2001/11/08 -2

戻るホーム情報目次


154 参院・法務委員会 司法制度改革推進法案 質疑・採決・付帯決議

13時から、法務委員会再開。質疑続行で、小川さんが45分間質問。すべての質疑が終局し、15時半、採決。反対は社民党だけで可決され、全会一致でリアルタイム公開まで入った画期的な附帯決議を付しました。


○委員長(高野博師君) 休憩前に引き続き、司法制度改革推進法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 司法制度推進法案の質疑に先立ちまして、一点、ここ二、三日、難民に関する点で注目すべき裁判がありましたので、その点について質問させていただきます。
 この点は、先般の入管法の質疑の際にも千葉理事の方から指摘があった問題ですけれども、ちょうどその後、難民申請中の外国人に対して強制収容がなされた。これに対して、一日違いでその申し立てを認める、収容を解くという申し立てと収容を解かないという判決と両方が出たわけですが、それに関連してお尋ねするんですが、どうも日本の政府の取り扱いは、難民に対して難民を認定するのが厳し過ぎるのではないか、難民に対する人道的な配慮が少し不足しているんじゃないかというような印象をどうも私、持っておるんですが、法務大臣、その点はいかがでございましょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 日本の取り扱いが、特に難民に対する同情心というか思いやりが欠けているのではないかという御質問だといたしますと、そういうことはないというふうに申し上げなければなりません。
 難民というのは、御存じのように、やっぱり条約で決まったものであり、それの条件を備えている者が難民として認定されるということになっておりますので、まじめといえばまじめなんですよね。そのとおりにきちっときちょうめんにやっているというふうに私は思っております。難民の、その人の状況によっていろいろと同情すべき点をも、いろいろとしんしゃくするべき点は十分に勘案した上でそのような条件に該当する者を難民とし、しかるべき措置をしているというふうに考えております。

○小川敏夫君 日本の場合、周囲が海で囲まれていますので、他の国と単純な数字だけでは比較にならない部分がありますが、日本はやはり厳し過ぎる、人道的な配慮が欠けているのではないかという声もありますので、そういう声が出ないような政策なり対策を講じていただきたいというふうに希望を申し上げます。
 それから、この出た判決の件なんですが、片方の判決に従えば釈放しない、片方の判決ですと釈放するということなんですけれども、裁判は、これ最終判断じゃありませんので最終決定は先のことになるとしても、どうも明らかに乱用に当たるような申し立てではなさそうでありますし、また当該関係者が重大な犯罪を犯すというような合理的な疑いがある場合でもないというような例であるように思うんですが、そういった点から考えますと、最終審の判断を待つということではなくて、やはり第一審で、裁判所の一つであっても、そうした難民条約の趣旨を踏まえた、難民の人権に十分配慮した判断が出たわけですので、法務省においても、そうした下級審の判断であっても、その点を重視して難民の人権に配慮した対処をしていただきたいと希望しておりますが、そこら辺のところはいかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、十一月の六日にアフガニスタン人に係る収容令書執行停止申し立てにつきましてその執行停止決定がございましたが、この決定につきましては、難民条約等に関する解釈の判示に不服があることなどから即時抗告をいたしました。
 なお、この点については、結論の異なる決定が、つまり全く違う決定が今月五日、その一日前に東京地裁の別の裁判体で出されているわけでございまして、これは、裁判官にもいろんな考え方の方がいらっしゃるでしょうが、法務省としては、同じようなケースについて違う扱いというのは非常に困りますもので、高等裁判所の御判断を仰ごうというふうに思っております。

○小川敏夫君 今、私、質問の中では判決と言いましたが、決定ですので、訂正いたします。
 最終的な判断はまた上級審で統一的な判断が得られるとは思うんですが、それまでの当事者のいわゆる身柄が収容されている、片や、収容されないという状態で、どうも別々になるのも何か国民感情からいってもしっくりしないというふうなところがあります。それを収容する方にそろえるんじゃなくて、収容しないで、難民の人権に配慮した方にそろえて、難民に公平な扱いをしていただきたいということを特に希望いたしまして、この部分に関する質問を終わらせていただきます。
 司法制度推進法案の質問に移らせていただきます。
 これまでも法科大学院、この理念あるいはそのあり方についてさまざまな機会で質問いたしておりますが、重ねて、またかということになるかもしれませんが、私どもとしましては、やはり法曹養成につきまして、法科大学院、これがやはり司法制度審議会の意見が打ち出したような理念が本当に実現されてこそ改革の真の意味があるんではないかというふうに考えておりまして、そういう意味でまた重ねて質問させていただきますが、やはり法科大学院の理念というもの、審議会の意見に十分反映されておりますが、こうしたものにつきまして、法務大臣、改めて法科大学院がどうあるべきかという理念を述べていただきたいと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) 法科大学院につきましては、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるという観点から、学部段階での専門分野を問わず広く受け入れまして、また社会人などにも広く門戸を開放するという必要があると思います。
 また、法科大学院における教育のあり方につきましては、専門的な法知識の習得だけではなくて、豊かな人間性の涵養、向上を図るということなどを含め、法曹が二十一世紀の我が国社会において期待される役割を十分に果たすための人的基盤を確立することを目的とした教育が行われることが必要だと考えております。

○小川敏夫君 それで、文部科学省の方にお尋ねするんですが、審議会の意見ですと、学校教育法上の法科大学院を設置するということでありますので、法科大学院が文部科学省の所管になると思います。
 そこで、文部科学省の方にお尋ねするんですが、今、法務大臣からお答えいただいたような理念、あるいは審議会の意見が述べたようなそうした法科大学院の理念、これを十分、十分というか、すべて反映するような、そうした法科大学院のあり方に努めていただきたいんですが、そこら辺の考えについて文部科学省の方から答弁いただきたいんですが。

○政府参考人(工藤智規君) 法科大学院のあり方につきましては、ただいま法務大臣の方から御答弁申し上げたとおりでございまして、全国の国公私の大学関係者も司法制度改革審議会の審議の動向を非常に重大な関心を持って見守って、かつそれぞれの大学でいろんな御検討がなされているところでございます。
 審議会の趣旨が十分実現されますように、私どもも正規の大学院としてのあり方について検討させていただき、その実現に努めてまいりたいと思います。

○小川敏夫君 また文部科学省の方に続いてお尋ねしますが、審議会の意見が法科大学院を三年制とする、三年制を標準とするということがございました。これの大きなねらいの一つは、法学部卒業生だけを対象にしたのではなくて、学部の卒業生、あるいは卒業生に限らず、幅広い分野から人材を集めて法曹を養成するんだということにあると思います。
 そうした考えは当然お認めいただけると思うんですが、今現在、大学では大学の法学部というものがあって、その上に法学研究科という大学院が二年制でございます。そうしますと、私の一つの危惧としまして、学校教育法上の大学というものがあって大学院というものがある、そこへ学校法人が法科大学院を設置するという場合に、従来あった大学院、法学研究科、これを少しいじくっただけでお茶を濁してしまって、審議会が述べたあるべき姿の法科大学院が教育ができるような内容にならないで終わってしまうんじゃないかという危惧を抱いているわけですが、そうしたことがないような対策といいますか心構えといいますか、そこのところを文部科学省の方からお聞かせいただければと思うんです。

○政府参考人(工藤智規君) 審議会の意見書にもございますように、今度のプロセスとしての法曹養成制度を目指そうという中での中核的な役割が期待されております法科大学院につきましては、公平性、開放性、多様性を旨とするということがうたわれているわけでございまして、この中でも多様性ということで、各界からいろいろなバックグラウンドを持った方が法曹界に入っていただくように、入試のあり方、それからカリキュラムのあり方も含めて、従来の法学部の延長にあります大学院とは違う新しい仕組みの大学院として整備することが必要と認識してございまして、そのためのあり方について、設置の認可といいましょうか、設置審査に当たりましての枠組みについては、今、法曹関係者、大学関係者を交えて御検討をお願いしているところでございます。
 他方で、御案内のとおり、研究者、研究後継者の養成でございますとか、各界へ進出しております法学部出身者のより高度の専門職業人としての養成という従来の法学部に置かれております大学院の機能もあるわけでございまして、おっしゃるようにその中でやるという仕組みではございませんので、新しいあり方としてきっちりした法科大学院の仕組み、枠組みを関係機関とも御相談しながら、よりよいものにしてまいりたいと思っております。

○小川敏夫君 重ねてお尋ねしますが、文部科学省の心構えは確認しましたが、実際に設置する、また実際に教育を行うのは各大学でございます。各大学には大学の自治がありますし、あるいは大学の自主性というものも尊重しなくてはいけないので、文部科学省が考えているとおりが必ず実現されるかどうか。大学の中にやはり安易にこれまでの大学院を少しいじくっただけでというようなことがあってはならないと思いますので、そこら辺のところ、文部科学省の心構えと同時に、大学の方にもきちんと指導をしていただきたいとは思うんですが、今現在、そうしたいわゆる法科大学院の設置に関して各大学について指導とか、あるいは指導じゃなくてもアドバイスとか、そういったようなことは具体的には動いていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) 先ほども御答弁申し上げましたように、審議会の審議については各関係の大学、重大な関心を持ってフォローしてきておりまして、これまで全国の国公私の大学、それぞれ独自にシンポジウムを開催するなどして御検討を深めてございます。
 そこに、私どもだけじゃなくて、法務省、最高裁の関係の方々にも御参画いただきながら、各大学のお取り組みにアドバイスをしたり、その審議を深める御努力をさせていただいているわけでございますけれども、あわせて、要は、新しいスキームでの法科大学院でございますから、そのスキームがどういうものになるのかというのが決まりませんと具体的な準備がしにくいのでございます。
 実際にどういうカリキュラムが必要最小限必要とされ、あるいはそれに伴う教員組織をどう構成すればいいのか等々、具体の諸準備のための前提がございます。そこを私どもも審議を促進しまして、できるだけ早くフレームをお示ししながら、各大学の御準備、検討をさらに深めていただくように今後とも適切を期してまいりたいと思っております。

○小川敏夫君 重ねてまた質問いたしますが、法科大学院に関しましては三年制が標準である、場合によっては二年制も認めるという方向であります。文部科学省におきましても、やはり当然、法科大学院に関しては三年制というのが標準であって、場合によっては二年制もあるという形の理念を十分生かしていただけるとは思うんです。
 そうしますと、同じような質問になるんですが、二年制の大学院があってこれに三年制がくっつくというような発想ではなくて、全く新しい理念に基づいた三年制の法科大学院があって、そこに法学部履修者等の特別な場合に二年制が附置されるんだというふうに考えておりますが、文部科学省も当然そういうお考えでこれからも法科大学院のあり方について対処していただけると思うんですが、その点について確認の答弁をお願いいたします。

○政府参考人(工藤智規君) 現行の大学院の制度は、通常ですと、学部卒業者を受け入れる二年の修士課程、さらにその修士課程を終わった方の三年制の博士課程というのがございます。
 審議会から御提言いただきました法科大学院の構想は、三年制をベースとする新しい仕組みの大学院制度でございます。あわせて、従来のものとは違う新しい学位も差し上げようというスキームでございますので、従来のままということではなくて、三年制を前提としたカリキュラムとしてどういうものが必要で、かつそれにふさわしい学位としてはどういうことが、修士という名前の学位でいいのか、新たな学位を創設するのかも含めまして、三年制を前提とした制度設計をするのが前提と、当然のことに考えてございます。

○小川敏夫君 それでは、法務大臣の方にお尋ねしますが、当然、法科大学院制度を中心とした、法曹養成制度が変われば司法試験のあり方も変わってくると思います。今、現状の司法試験を見ますと、どうも大学の学部の授業が司法試験受験者の間では余り好評ではないのか、司法試験受験者はほとんどが予備校に通って、そこから司法試験に合格するという数が圧倒的に多いというような現状であるというふうに聞いております。
 私、それを思いまして、今、結局、大学の法学部教育が法曹養成にそれほど寄与しないで、現実的には、特に数的には予備校の方が寄与しているというのはちょっと不自然だと思うんですが、それを踏まえて、法科大学院という非常にすばらしい制度ができたとした場合に、ただ司法試験の受験を法科大学院の修了者に限るということもできないので、そうでない方の受験も当然認めることがあると思うんです。
 そうすると、私、ちょっと一つ心配するのは、今、学部と予備校との関係で起きていることが新しい制度になっても起きてしまわないか。つまり、法科大学院があるのに、法科大学院に行かなくたって予備校で試験勉強すれば司法試験に受かってしまう。そうすると、法科大学院がまた形骸化してしまって、しかも法科大学院は三年だけれども、うちの予備校へ来れば一年で合格を保証するよなんということになっちゃうと、もう制度の改革の理念が全くなくなってしまうと思うんですが、ちょっとそこら辺のところ、法務大臣としてどうお考えか、お聞かせいただければと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見では、法科大学院制度の導入に伴いまして、新司法試験は法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切りかえるべきであるとされておりまして、司法修習を施せば法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定するということを目的とするということになっております。
 ですから、これらの提言の趣旨を踏まえましてさらに具体的な検討を行っていかなければならないと思うわけでございますが、さらに、同じく司法制度審議会の意見では、経済的な事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由によって法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための適切な道を確保しなければならない、そのために、例えば幅広い法分野について基礎的な知識、理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることも考えられております。
   〔委員長退席、理事日笠勝之君着席〕
 具体的な制度の設計に当たりましては、審議会意見が指摘しているようなさまざまなポイントに留意しまして、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることがないように配慮することは当然のことでございまして、後で申しました予備的な試験を行う場合にも、この内容についてはその点に十分留意しつつ検討される必要があると考えております。
 先生御指摘のような弊害が現在非常に顕著に指摘されておりますので、そういうことをなくしたいというのがこの改革のための一つの動機でもございますから、新しい制度の設計に当たっては十分そのことを留意して検討していきたいというふうに思います。

○小川敏夫君 よろしく検討をお願い申し上げます。
 そうした検討をする上において、文部科学省の方にお尋ねしますが、現実の学部の教育が、法曹養成については予備校の方が結局中心になってしまったということについて、その現状に対する反省といいますか意見といいますか、何か述べていただきたいと思いますが、どうでしょう。その反省を踏まえた形で法科大学院の制度における司法試験制度というものも考えていきたいと思いますが。

○政府参考人(工藤智規君) ただいま全国の法学系の学部の入学定員が約四万五千人いるわけでございますけれども、その卒業者で法曹界を目指す方というのは必ずしも過半でない、ごく大ざっぱに言いますと一割近いわけでございますが、そういう意味で、法学部の教育というのが必ずしも法曹人養成に特化されているわけではございませんで、幅広い分野のいわばゼネラリストとしての機能を果たしてきたと思ってございます。
 そういう中で、残念ながら、予備校といいましょうかダブルスクールと言われているような状況で法曹界を目指す学生が多いというものについては、私どもだけではなくて大学関係者もじくじたるものがございまして、このせっかくの審議会の御提言がございました新しい法科大学院という構想、その設置を契機にまさにプロフェッショナルスクールとしてのすばらしい大学院をつくって法曹界の資質の向上、人材の育成に貢献したいというのが大学人の思いでもありますし、私どももそのために努力をしてまいりたいと思っております。

○小川敏夫君 次に行きますが、法科大学院で教育を受けた後、それを修了して司法試験を合格したという場合、それで法曹になれるのか、さらに司法試験に合格した後、研修というものが予定されるのかどうか。これは審議会の事務局長さん、お願いいたします。
   〔理事日笠勝之君退席、委員長着席〕

○政府参考人(樋渡利秋君) 先生御指摘のとおりに、審議会の意見も、この法曹養成制度は法学教育と司法試験と司法修習が一体となったプロセスとしての養成を提言しておりますので、法科大学院を卒業して司法試験に合格した方々にさらに司法修習を経ていただく、それで法曹資格を得るということに審議会の意見はなっております。

○小川敏夫君 そうすると、新司法試験の合格者に対する司法修習は、これはどこが所管するというようなことになるんでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 司法研修所で研修を行うということでございますが、その研修のあり方につきましては実務教育を中心としたものを考えていくべきだというのが提言の内容でございます。

○小川敏夫君 法曹人口が飛躍的に拡大するという中で、実際の数としましては裁判官、検察官よりも弁護士になる方が圧倒的に多いと思いますが、その新しい制度の司法研修所のあり方も、これまでのように裁判所の附属機関ということを前提に考えるのではなくて、例えば一番数が多い弁護士の団体である日弁連が単に協力するというだけではなくて、研修所そのものの運営に関与するようなそういった司法修習のあり方もあった方がいいのではないかと思うんですが、ここのところはいかがでしょう、またお尋ねしたいんですが。

○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の意見の内容によりますれば、最高裁判所の研修所の運営のあり方について、法曹三者あるいはその他の意見が十分反映されるような運営の仕組みも考えていくべきだというふうになされております。

○小川敏夫君 ですから、必ずしも最高裁判所の附属機関でなければならないということでもないようにも思いますので、そこら辺のところを、そうした日弁連やあるいは民間の声、国民の声が十分に生かされる形での新しい研修所システムを考えていただきたいと希望を述べさせていただきます。
 そこで、最高裁判所の方にお尋ねします。
 当然、これまでの法学部の法律を学んだ者を対象に、いわば法律学の司法試験を合格した者を対象に行っていた今の司法研修所制度ですが、今度はそれにかわった法科大学院が単に法律の知識だけではなくてさまざまな幅広い教育それから実務面にもわたって教育した後、新しい試験の合格者が研修に入ってくるわけで、そうすると、当然受け入れる司法研修所の研修のあり方も変わってくるとは思うんですが、そこら辺についてどのような新しい制度での研修のあり方を考えているか、最高裁の御意見をお聞かせください。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 国民の期待にこたえる司法制度を構築してまいりますためには、司法制度を支える法曹を拡充していくということが極めて重要であるということはこれは申し上げるまでもないことでございます。
 司法制度改革審議会の意見で提案されております法科大学院を中核とする法曹養成制度導入によりまして、質、量ともに豊かな法曹を育てていくということが期待されるところでございます。
 御指摘の司法修習につきましても、このような法曹養成のプロセスの中で、法科大学院の教育内容を踏まえながら実務の体験を中核とする実践的で体系的な法律実務教育を行いまして、御指摘のような国民の期待にこたえる法曹を養成していく役割を果たしていかなければならない、こういうふうに考えております。

○小川敏夫君 新しい制度になりますと、司法試験の合格者の数も、最初三千人という形で現行よりも相当多くふえるんですが、この全員を研修所として受け入れるという体制で考えていらっしゃるんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘のような司法試験合格者数の増加に対応いたしまして、具体的には平成十四年に千二百人程度、平成十六年に千五百人程度を目指すべきとされておりますけれども、これに対応いたしまして、司法修習の受け入れ体制を整備するために、集合修習における必要な体制の確保と修習内容の工夫、実務修習における受け入れ体制の整備や実施方法の工夫等につきまして具体的な方策を今後検討いたしまして、修習生の増加に柔軟に対応してまいりたいと考えております。

○小川敏夫君 全員を対象に研修を行うということだと思いますが、一時、分離修習といって、法曹の中で裁判官、検察官と弁護士とを分けて修習するというような声が過去、出たことがありましたが、数がふえたから、じゃ裁判官だけとか弁護士を除外するとか、そういったような修習ではなくて、やはり司法試験合格者の全員を、将来の進路を問わず全員を等しく扱うという、そうした研修体制を当然考えていらっしゃると思うんですが、いかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 今お答え申し上げましたのは、当然、将来の進路がどうであれ、研修所に受け入れて修習をしてもらう、こういうことでございます。

○小川敏夫君 先ほど、私、述べましたけれども、今現在、司法研修所は最高裁判所の附属機関ですけれども、最高裁判所のそうした附属機関ということよりも、日弁連とかそうしたものが参加する、最高裁判所の附属ではなくて最高裁判所も関与する研修機関ぐらいにしていただきたいとは思っておるんですが、最高裁判所としては、そこら辺の考えはいかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 司法修習のあり方について、法曹三者とあるいは法科大学院関係者が協力して司法修習、研修の運営について、司法修習について連携していくということは、協力していくということは、先ほど樋渡審議官の方から御説明があったとおりでございますが、所管そのものについては、この意見の中では、従来どおり最高裁判所が所管していくものというふうに私どもは理解しております。

○小川敏夫君 研修所のあり方について細部はむしろこれから議論して決めていくことになると思いますが、ぜひ研修のあり方について、この審議会の意見が最大限発揮されるような、そうした研修所のあり方について、最高裁判所もぜひ前向きに、今、後ろ向きだというわけじゃありませんが、前向きに努力していただきたいという希望を述べまして、質問を次に移らせていただきます。
 審議会意見では、行政訴訟について改革の必要があるというふうに意見を述べております。
 法務大臣にお尋ねします。
 これは本会議でも述べたんですが、そうした審議会が行政訴訟制度について改革の必要があると述べておりますが、これに対する取り組みについて、また改めてここで詳しくお聞かせいただければと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見では、「国民の権利救済を実効化する見地から、行政作用のチェック機能の在り方とその強化のための方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、「法の支配」の基本理念の下に、司法と行政それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められる」とされているところでございます。
 これから設置されます推進本部におきまして、審議会のこの御意見の趣旨を踏まえまして、所要の検討を進めていきたいと思っております。

○小川敏夫君 審議会の方が改革を必要とすると明確に述べております。その審議会の意見を踏まえて所要の検討を加えていただくそうでございますが、それは要するに改革するという審議会の意見を進めるということでよろしいわけですね。

○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございます。

○小川敏夫君 審議会の意見は、行政訴訟制度の改革の必要性は述べているんですけれども、各論がなくて、行政訴訟制度を具体的にこうしろという提言はありませんでした。これは時間的な制約とかさまざまな点があったとは思うんですが、そうしますと、総論的には改革の必要性で、そういう方向で検討を加えても、これを現実化するのはなかなかそう容易ではないかと思うんですが、またもう一つ私が考えまして、行政訴訟制度を改革するとなりますと、これを行政側に任せますと、どうも国民のサイドに立ちますと当然行政側に不利なように改革するという方向になると思うんですが、審議会の意見も当然そういう趣旨だと思います。
 そうしますと、審議会の意見で総論があって各論がなかったということも踏まえて、今度は各論の議論をする、そうした審議会ですか、行政訴訟制度改革審議会のようなものをまた新たに設けて、行政の手で、今、行政側だけで行政訴訟制度の改革を論じるのではなくて、そうしたまた今般の司法制度改革審議会の意見が民間の声を聞きまして非常にいい意見が出ましたので、そうした例も踏まえて、行政訴訟の改革についてもそのような手法をとってはいかがかとは思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 行政訴訟制度改革審議会を設置してはどうかという具体的な御提案がございましたが、そのようなお考え方も一つの方法かとは思いますけれども、いずれにいたしましてもこれから設置される推進本部におきまして、さきの司法制度改革審議会の意見の趣旨を踏まえて所要の検討を進めていただくということになるわけでございまして、今、私の立場で細かい具体的なことを申し上げることは適当ではないと思います。

○小川敏夫君 行政訴訟制度の改革の必要性と、それを進める方向での検討をしていただくという答弁をいただきました。その方向でしっかり頑張っていただきたいというふうに希望を述べさせていただきます。
 次に移らせていただきますが、午前中に行われました参考人の意見の際にも、審議会の委員の吉岡委員でございましたが、審議会の議事を公開したということが大変にいいことだったというふうに感想を述べておられました。そういう観点で、いかがでしょう、今回の推進本部の方も基本的にすべての議事は公開するということを、それもリアルタイムに公開するということを原則にしていただければ非常にいい審議会として国民が評価できる、そうした審議ができるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) これも再々申し上げておりますことでございますけれども、新しくできます本部の中に例えば顧問会議とか検討会というようなものを設けるという考えが出ているようでございますが、そのような会議の議事を公開する、できるだけ多くの方に見ていただく、聞いていただく、そして皆さんの御意見もちょうだいするというようにオープンなやり方でやるということが望ましいと私も思います。
 しかし、どういう方をお願いするか、これからの話でございますので、メンバーの方々の御意見もございますでしょうし、そういう手続を経た上でできるだけ審議会のようなやり方で公開して、広く大勢の方からの御意見をちょうだいしながら進めていくべきだというふうに思っています。

○小川敏夫君 前向きな御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 その推進本部の体制の中で顧問会議が設けられることになっておりますが、私、考えまして、顧問会議、そもそもこの推進本部そのものが審議会の意見を具体化するのが目的だということを考えますと、もう審議会の委員の方全員に顧問会議に入っていただいて、さまざまなアドバイスや助力をしていただいたらいいとは思うんですが、顧問会議のそうした構成についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) まだ本部ができておりませんので、できました上でこれから考えられることだとは思いますが、審議会の方は非常に二年にわたって集中的な御熱心な御討議をいただいて立派な答申を出していただきました。
 ですから、その審議会の先生方をまた当分の間拘束するというのもいかがなものかとも思いますし、そこは、この審議会の意見が具体化されるに当たって間違った方向に行っていないかということをチェックしていただくということは必要でございますけれども、できるだけほかの立場の方にも見ていただくということで、さらにオープンにやっていったらいいんではないかというふうに思っております。

○小川敏夫君 こうした議事等の公開とか各事務局の構成等について再三いろんな機会に質問しておるわけで、しつこいような気もしますが、私どもとしてはむしろそれがやはり本当の意味でこの改革審議会の意見を理念のとおり実現するためにどうしても重要なことだと考えておりますので、再三にわたって質問をさせていただいておるわけでございます。
 その推進本部、本部長と、その本部は、閣僚でございますけれども、事務局とか検討会、顧問会議というものが実際のこれからの形づくりの作業をすることになると思います。
 私、翻って考えますと、審議会で大変すばらしい意見が出てきたのは、これは行政主導ではなくてやはり民間の率直な声が反映されたということがその最大の要因ではないかというふうに私は思っております。これが今回また行政主導になってしまいますと、その審議会のそうした理念がまた少し国民の見えないところで後退させられてしまうんじゃないかというふうに危惧しておるわけでございます。
 そうした意味で、審議の公開ということも再三希望して求めているわけですが、同じようにこの推進体制の中にも行政の方主導ではなくてやはり国民主導という立場から、行政の方を具体的に法律づくり等がありますので排除することはできませんけれども、そうした観点から日弁連やあるいは国民の有識者等の積極的な登用なり参加をしていただけたらと思います。
 それで、事務局、検討会の中に弁護士が四、五名とか、民間人、弁護士を含めて七、八人とも聞いておりますが、全体の数からいうと二〇%以下ですか、非常に少ないように思いますが、ぜひそこのところをもっともっと大幅に登用するなり何らかの形で参加させていただきたいと思いますが、法務大臣、その点はいかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 私の立場でも、関係省庁から派遣されるお役人だけではなくて多様な知識、経験を有する民間人の積極的な活用を図るべきであるというふうに思っておりますし、ぜひそうしてほしいと考えております。
 しかし、一方において、そういう方々に公務員になっていただくわけですから、なかなか私が願うようにたくさんの方をどんどんというわけにもいかない制約もございまして、しかしそういう制約の中でもできるだけ多くの民間の知識のある方、経験のある方のお力をおかりしなければならないというふうに思っております。
 検討会につきましては、それぞれテーマ別にその専門の知識をおかりするということもございますので、その役割に照らしまして適任の方にお願いできますように今後人選が行われていくものというふうに期待しておりまして、できるだけ多くの民間の方のお知恵をおかりするように努力したいと思います。

○小川敏夫君 これで最後の質問にさせていただきますが、その民間の声、国民の声という中で、私は、やはり日弁連や有識者という方の参加ももちろん大事なことですが、やはり司法制度、これは国民のための司法制度ということでございます。裁判を利用するという立場の国民の声も十分反映する必要があると思いますので、そうした有識者あるいは日弁連という専門家ではなくて裁判を受けるという立場の、一般の市民といいますか、一般の国民といいますか、この方の参加についてまたお考えを聞かせていただければと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) 私も小川先生のおっしゃったお気持ちは全く同じでございますが、そのような方に参加していただく方法あるいはその方々の御意見をちょうだいするやり方というのがなかなかまた難しゅうございまして、一人二人の方を選ぶというのはなかなかかえって限定されてしまうかもしれない。
 それよりは、議論を先ほど申し上げましたように公開にいたしまして、できるだけ皆さんが、それぞれ国民の多くの方が御関心を持っていただいて、それぞれの立場で御意見をどんどんいただくというような仕組みで、例えばインターネットであるとかホームページであるとか、その他さまざまな方法で皆さんに知っていただき、そして御意見を率直にいただくというのがいいんではないかなというふうに思っておりますが、いずれにせよあらゆる努力をいたしまして、国民の多くの声を、利用者の方のお声を十分勘案しながら進めていきたいと思っております。

○小川敏夫君 ありがとうございました。
 終わります。

○荒木清寛君 まず、この点は本日も含めてたびたび議論されておりますけれども、しかし大変重要な問題でありますので、まず顧問会議、検討会のリアルタイム公開の問題についてお尋ねをいたします。
 さきの司法制度改革審議会の議論が事務局主導ではなくて委員主導で行われたという点で高く評価をされております。それは、委員の人選が適切であったということもありましょうし、もう一つ、リアルタイムで審議会を公開したということが非常に大きいと思います。きょうも当時の委員の吉岡参考人がいらっしゃいまして、やはりこのリアルタイム公開ということで、自由に、かつ緊張感のある、すなわちいいかげんな議論はできないと、そういう緊張感のある議論ができましたというふうにおっしゃっていました。
 したがいまして、再度、この顧問会議、検討会につきまして、審議会と同様にリアルタイム公開をすべきであると思いますので、大臣の基本認識をまずお伺いいたします。

○国務大臣(森山眞弓君) たびたびお話がございましたように、この審議会の答申が大変内容の立派なものに、参考になる貴重な提言をいただけたということは、おっしゃいましたように、この議論をできるだけ公開して、いろんな反応が直接響いてくるようなそういう仕組みで進めてまいったことからであろうと思います。
 ですから、これからの本部で行われますさまざまな議論や討議の内容についても、司法制度改革審議会のときと同様にできるだけ公開していきたいというふうに思っておりますが、しかし本部はこれからつくっていただくということでございますので、そこに御参加いただく顧問会議の面々や、また検討会に御参加くださる方々、どのような方が参加してくださるかまだ決まっているわけではございませんので、いよいよとなりましたときには、その御参加くださる方々の御理解も得てそのような方向に持っていくように努力をいたしたいというふうに思っております。

○荒木清寛君 大臣おっしゃるように、もちろんそのメンバーとなる方の御意向もあると思います。しかし、逆にリアルタイム公開をすることを前提に、条件にして委員に御就任いただくと。そういう公開が嫌だという方にはお引き取りをいただくというぐらいの人選をしなければ大臣のおっしゃったようにならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 顧問会議のメンバー、また検討会に御参加くださる方々、それぞれ知識、経験、学識経験をお持ちの方にそれぞれの専門的な知識を生かしていただくためにお願いするわけでございますので、まずはそちらの方の条件が重要だと思いますが、その上で、実はこの会議は、前からの審議会の答申をつくってきたプロセスのこともあり、できるだけ公開していきたいと思いますということを申し上げて、そして御説明申し上げ、御理解を得て、そして御支持をいただいてその方向に持っていくように努力したいというふうに思います。

○荒木清寛君 次に、この隣接法律専門職種の課題について論じたいと思います。
 従来、弁護士が少ないということもあったんでしょうが、司法書士、税理士、弁理士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士という隣接法律専門職種の方が国民に対する法的なサービスの提供という上で大変大きな役割を果たしてこられたと思います。
 ところで、今回の改革審の意見書では、将来、弁護士人口が増大した後における隣接職種のあり方については触れられていません。つまり、二〇一八年には法曹三者で五万人程度になるということですが、では、そういうときにそういう隣接職種の方はどういう役割を果たすべきかというその視点がなかったと思います。
 したがいまして、今後の司法制度改革の実現が国民の立場に立って行われる、利用者の立場に立っての改革という観点からしますと、この隣接法律専門職種のあり方についての検討も今後していかなければいけないと思います。この点を中途半端にしてはいけないと思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見では、司法書士への簡易裁判所での訴訟代理権の付与など、訴訟手続やいわゆるADRを含む訴訟手続外の法律事務に関し、隣接法律専門職種などの有する専門性の活用ということが提言されております。また、弁護士と隣接法律専門職種の関係について、弁護士人口の大幅な拡大と諸般の弁護士改革が現実化する将来において、法的サービスの担い手のあり方を改めて総合的に検討する必要があるといたしております。
 このような隣接法律専門職種の有する専門性の活用につきましては、重要な課題であるということが審議会でも言っているわけでございますし、私どもも大変重要な課題だと認識しておりますので、このような御提言の趣旨を踏まえまして、関係機関と十分な連絡をとりながら所要の検討を進めてまいりたいと思っております。

○荒木清寛君 次に、国民の立場に立った司法改革を実現をするためには、官主導ではなく、審議会同様、民間主導といいますか民間重視の、利用者重視の観点を失ってはいけないと考えますが、法務大臣の認識を伺います。

○国務大臣(森山眞弓君) 当然のことと存じますが、司法制度改革審議会の意見におきましても、司法制度の全般にわたり利用者である国民の視点からその根幹にかかわる大幅な改革を提言されたものでございまして、司法制度改革の推進に当たっても、引き続き利用者である国民の視点から取り組んでいくというのが当たり前といいましょうか、当然なことだと思います。

○荒木清寛君 したがいまして、その当然の視点をいかに実現するかというこの組織のあり方が非常に重要かと思います。この点も先ほども議論がございましたが、そうした意味では、今後この法律のもとでの事務局の人選が非常に重要でありまして、民間人、先ほど、七、八名というようなお話もございましたが、巷間そのように言われているようにも聞いておりますが、それにとどまらず、民間人を積極的にこの事務局に選任をしていただきたいと思います。
 つきましては、弁護士、そしてユーザー代表、また今申し上げましたように、この隣接法律専門職種の問題ということも考えれば、司法書士を含むそうした方々の参加も今後十分に考慮すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) これからつくっていただきます本部の事務局につきましては、関係省庁等からも派遣される者、そういう方も参加していただきますけれども、多様な知識、経験をお持ちの民間の方々、弁護士さんその他を含みます民間の方々の積極的な活用を図りたいということを考えておりまして、どのようにするか、どのぐらいの人数にするかということは検討しなければならないと思っております。
 具体的な人選につきましては、本部ができました上で検討をしていきたいというふうに考えます。

○荒木清寛君 そうしますと、具体的な人選につきましても、我々もいろいろと意見を今後言わせていただきたいと思います。
 そこで、別途設けられることになっております顧問会議でありますが、これは何名ぐらいを想定されているんですか。

○国務大臣(森山眞弓君) これもまだこれからの話でございまして、具体的な数字をはっきりと今は申し上げることはできませんのですが、普通に考えて数人かなというふうに私としては考えているところでございますが、人選あるいは適当な方に承知していただけるかどうか、これからの問題だと思います。
 さらに、司法制度改革審議会の意見は既に意見書としてまとめられておりますので、そのことが具体化できるようにということでお目付役という意味もあるとは思いますが、意見書をおつくりくださいました委員の方々全員にというお話がさっきございましたが、それはちょっと屋上屋みたいになってしまうのかなと思いますし、非常に忙しい先生方ばかりでございますので、その方々をまたしばらく拘束するというのも御迷惑かなと思いますので、これからいろいろと考えた上でやることではございますが、できればまた別のお立場から御意見をいただけるということも貴重なことではないかと、あれこれ考えているところでございます。

○荒木清寛君 大臣おっしゃいましたように、この改革審議会の意見書の実現のお目付役という、大所高所でのお目付役という会議だと思います。数名ということですから、審議会の委員全員が入るような規模では恐らくないんだろうと思いますが、しかしこの人選につきましても、ちまたでは改革審議会の会長はお入りになるんだろうというふうに言われておりますし、道理から考えるとそういうことになるんではないかなというふうに私も思うんですね。
 思うんですが、私が申し上げたいのは、会長も含めて、それは全員の方に入っていただくということは現実的ではないにせよ、複数の委員に、実際その意見書をつくるについてかんかんがくがくの議論をしてきた方に、やはり複数の方に参加していただくべきだというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) ただいま申し上げましたように、ほかの立場からもう一度新たな目で見ていただくということも重要だというふうに思いますので、そのことも含め、これから考えさせていただくということでございます。

○荒木清寛君 そうしましたら、このことも法律が成立してまたいろいろと言わせていただきたいと思っています。
 また、検討会の人選においても民間人を入れることは当然であると思います。民間人、ユーザー、利用者、そういう方の意見をこの検討会の人選において反映をしなければいけないと思いますが、この点もよろしゅうございますでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) これも今後の人選ということになるわけでございますが、多くの民間の方に参加していただくということは当然のことだというふうに思っております。その役割に照らして、適任の方にたくさん参加していただきたいというふうに考えております。

○荒木清寛君 検討会についても八つぐらいではないかとかいろいろ言われているわけでありますが、事柄の重要性からしますと、刑事裁判への国民参加といいますか、裁判員制度については当然私はその検討会ができるんであろうというふうに思います。
 そこで、この裁判員制度につきましては、主権者たる国民を裁判官とともに参加させようという国民主権の原理に基づくところのそうした制度設計が必要であろうかと思います。そこで、この裁判員制度を検討する検討会につきましては、将来こうした制度ができるとこの裁判員になることもあり得るユーザーですね、一般国民も、この意味での検討会に加わるべきである、これは必須の条件であると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 検討会の数やその取り上げるべきテーマにつきましては、本部ができました後、司法制度改革推進本部において検討されるということになるわけでございますが、そのメンバーにつきましては、その役割に照らしまして、適任の方にお願いできるようにということを先ほど申し上げたとおりでございます。
 なお、いわゆる裁判員制度につきましては、国民の相当程度の負担を必要とするものであるということにもかんがみまして、このような国民の立場からの意見も十分に反映されるように検討が行われていくものと考えておりますし、その裁判員制度を検討する検討会が設けられた場合には、国民の各層における御意見をいただくということはもちろん必要だと思われますので、いろんな機会を通じていろいろなやり方で国民の意見をお伺いしたいということはもう当然のことと考えておりまして、これからどのようにしたらいいかということは制度設計も含めて考えていかなければいけないというふうに思います。
 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、すべての有権者を対象にしてということになると、それはだれかを一人選ぶというのはかえって難しゅうございますので、そういうことよりは検討会の議論を広く国民全体に公開いたしまして、それを見たり勉強したりした方が御自分の意見をどんどんお寄せいただくというような方法が現実的かなというふうに思っているところでございますが、すべてこれからいろいろと工夫をしてみたいと思います。

○荒木清寛君 ぜひ、この人選の面での工夫をお願いしたいと思います。もちろん、リアルタイム公開をして、また意見を求めるということもいいんですけれども、今インターネットの時代ですから、もう何万件という意見がぱっと来てしまうわけでして、それは全部子細に検討して反映させるということも言うべくしてなかなか難しいということもあると思うんですね。ですから、実際、検討会で意見を言う人の中にそういう何らかの形で利用者というのがやはり加わっていなければいけないと思います。
 そこで、裁判員制度を導入するに当たっては国民の負担という点も十分考慮する必要がありまして、そのような観点からは刑事裁判の迅速化のための方策についても検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、裁判の迅速化というのは国民一般の世論だと思いますが、特にこの裁判員制度を導入するということにもしなりますと、国民の負担ということは非常に大きくなるわけでございますし、公判が可能な限り連日継続して開廷されて真の争点に集中した充実した審理が行われるようにするということによりまして、刑事裁判の充実、迅速化を図るという必要があると思われます。
 この点は司法制度改革審議会の意見でも述べていただいているところでございまして、そのためには争点整理のあり方、証拠開示のあり方、裁判所の訴訟指揮権の実効性の担保方法、弁護人を含む関係当事者の人的体制の整備等の点を今後検討しなければならないと思っております。

○荒木清寛君 今回の今後の改革の一つの目玉は法科大学院構想だと思います。私もいろいろと考えました。この法科大学院制度は、法律だけしか知らないという視野の狭い法曹ではなく、幅広い勉強をした人材の育成を目的とするものでなければいけないと思います。
 きょうも、企業法務の立場から、企業法務の立場からというか利用者の立場から参考人が意見を開陳されましたが、語学ということも今後は必要になるというふうなお話もございました。要するに、もう法律だけしか知らないというのは、弁護士なり裁判官なり検察官ではこういうグローバルな時代に通用しないという趣旨というふうに私は受けとめたわけでありますが、そういう意味で、この点につきましての大臣の見解を伺います。

○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましては、二十一世紀の司法を担う法曹に必要な資質といたしまして、「豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力等が一層求められるものと思われる。」と書かれております。
 また、審議会意見では、法科大学院について、「学部段階での専門分野を問わず広く受け入れ、また、社会人等にも広く門戸を開放する必要がある。」としておりまして、今後これらの提言の趣旨を踏まえまして、関係機関と連絡しながら具体的な制度設計をしてまいりたいと考えております。

○荒木清寛君 先ほどの質疑では文部科学省の工藤局長から確認がございました。その点、私は大臣にも確認したいと思いますが、審議会の意見書では、法科大学院の修業年限は三年を標準とすると、一定の素養のある法学既修者については二年とするというふうにしております。この原則を私は大事にしていただきたいと思います。
 すなわち、法律に限らず、幅広い勉強をしてきた者を法曹として養成するという観点からは、この答申のとおり三年制を原則とすべきという原則の上に制度設計をするべきだと思いますが、この点についての大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) 審議会意見におきましても、法科大学院の標準修業年限を三年とするという一方で、「法律学の基礎的な学識を有すると法科大学院が認める者については、短縮型として二年での修了を認めることとすべきである。」としておりますが、この趣旨は、修業年限を二年のみとする法科大学院を想定していないというふうに考えられます。
 今後関係機関と連絡して、二年短縮型の要件等も含めまして具体的な制度設計を検討してまいりたいと思います。
 先生おっしゃいますように、これからの法学、法科大学院、そしてそれを卒業して法曹になる人たちが相手にする社会というのは、非常に多様で多岐な、また国際性もある非常に流動的な社会全体を相手にするわけでございますので、今までのような法律の知識に偏ったという人ではもう賄えないということは明らかだと私も思いますので、審議会の御意見はまことにごもっともで、そのような方向でぜひやりたいというふうに考えております。

○荒木清寛君 大臣もこの意見書の重要性をよく踏まえられていると思います。
 手っ取り早く弁護士になろうということであれば、法学部に入って、そして短縮型の二年の法科大学院に行けば六年でなれる。優秀な人は飛び入学というのが先般の通常国会で認められましたから五年で行けるわけですね。しかし、そういうのが主流になるようでは私はちょっと今回の意見書の趣旨が損なわれるんではないかというふうに思っていまして、大臣も同様の認識を持っていただいていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、若干また隣接法律専門職種の問題に戻りますが、こうした形で法曹三者、弁護士、検察官、裁判官についてはプロセスを重視する養成システムをつくることになったわけでございます。私は、大変それは大きな成果を生むことになると思いますが、先ほども申し上げましたように、審議会意見書ではやや隣接法律専門職種の問題について消化不良、消化不足といいますか、議論が途中になっているんではないか、どうも弁護士中心主義という批判をする人もいるわけでありますが、若干、先の議論にゆだねられた点があると思うんです。その一つがこの隣接法律専門職種の養成問題だと思うんです。
 当然、これから大きな司法を目指すわけでありますから、いわゆる法曹三者だけではなく、隣接法律専門職種の人にもさらにレベルをアップしていただいて、国民のための仕事をしてもらわなければいけないわけであります。そういう意味では、改革審議会の意見の過程では、簡易裁判所の訴訟代理権を司法書士に付与することなどにもかんがみて隣接法律専門職種を含めた法律家の養成を考慮すべきという意見があったということは、私は重要な視点であると思います。
 したがいまして、この点につきましても、推進本部におきまして今後鋭意検討すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましては、隣接法律専門職種について、その有する専門性を活用する見地から、司法書士や弁理士に対する一定の訴訟代理権の付与やADRにおける活用の検討等が提言されております。こうした隣接法律専門職種に期待されている役割にかんがみますれば、その養成制度を充実させることは今後ますます重要になるということが考えられます。
 この点についても検討が加えられるものと思いますが、審議会の議論の中では、委員御指摘のようにいろんな意見がございまして、例えばまず狭義の法曹を養成する制度として考えるべきではないかというような、そういう意見も述べられた委員があったと聞いております。
 いずれにしましても、法科大学院は、専門的な法知識を確実に習得させるとともに、創造的な思考力とか法的分析能力とか法的議論の能力などを育成いたしまして、豊かな人間性の涵養、向上を図ることなども教育理念とするものでありまして、隣接法律専門職種を目指す方々にとっても、法科大学院で教育を受けることは大いにお役に立つのではないだろうかというふうに思います。

○荒木清寛君 今おっしゃられた法科大学院とのリンクの問題も含めてこれは鋭意検討していただきたいと思います。
 そこで、次に、我が国の司法は小さな司法と言われ続けております。しかし、司法全体の規模を拡大していくことが極めて重要であります。このような観点から、意見書にもありますとおり、法曹人口の大幅な増加を図っていくべきでありますが、この点についての法務大臣の決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、国際的に見ましても、また今後の社会経済の進展、国民生活のさまざまな面を考えますと、法曹に対する需要が量的に増大するということが容易に想像されるわけでありますし、また質的にも一層多様化、高度化していくということが考えられます。二十一世紀の司法を支えるためには、その人的基盤の整備といたしまして法曹人口を大幅に増加させるということが不可欠であるというふうに考えられます。
 司法制度改革審議会の意見におきましては、司法試験合格者数を平成十六年には千五百人とし、さらに法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見きわめながら、平成二十二年ごろには三千人程度とすることを目指したいということが言われております。この意見を最大限に尊重いたしまして、法曹人口の大幅な増加の実現に取り組んでまいりたいと思っております。

○荒木清寛君 言うまでもないことでありますが、その場合、当然、弁護士、裁判官、検察官の法曹三者すべてについての大幅増員をすべきであるということでよろしゅうございますね。

○国務大臣(森山眞弓君) 当然でございます。

○荒木清寛君 司法を支える人的基盤の拡充という観点からは、そうした法曹三者だけではなく、裁判所や検察庁に関連する職員の大幅な増員も図らなければ、法曹だけふえてもだめなわけでございますが、この点につきましての大臣の見解をお聞かせ願います。

○国務大臣(森山眞弓君) 当然、法曹三者の方が仕事をしていただいて効果を上げていくためには、それを十分補佐する周辺に働く事務員、職員の方々が不可欠でございまして、司法制度改革審議会の意見の趣旨にもございますが、裁判所、検察庁等の司法関係職員の人的体制の充実を図り、司法の基盤の充実強化に努めるべしということでございますので、これも大変重要な要件と考えております。

○荒木清寛君 そうした大きな司法を実現しまして司法を新しい時代にふさわしいものにしていくためには、その財政的基盤の充実強化であります。大きな司法というとお金が要るわけですね。ロースクールの奨学金ですとか、あるいは大学への補助ですとか、あるいは今の裁判官、検察官の大幅増員ということになれば、当然これはお金が要るわけであります。そういう意味では、司法関係予算を今後大幅に拡充をしていかなければならないことは当然でございます。
 一方で、今、聖域なき構造改革を進めているわけでございまして、十四年度の概算要求についても一般政策経費一律一〇%カットということでございます。もちろん、義務的な経費についてはそうではないわけでございますが、しかしそういう厳しい財政状況の中で立て直しをしなければいけないという中で、この予算を獲得し大きな司法を実現するということは、並大抵でない決意を大臣に持っていただかなければできないわけでありまして、その点、私たちは全力でバックアップし、財務省ともやり合いたいと思っておりますけれども、この点につきましての大臣の強い決意をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、人数もふやさなければいけない、いろんな制度も改革していかなければいけないということになりますと、先立つものがどうしても必要でございまして、それも今までとは全く違った新たな抜本的な改革でございますから、今までの一〇%増しとか一五%増しとかいうような計算で算出できるものではなく、初めから計算して積み上げていくと。
 その結果どうなるかまだわかりませんけれども、相当のものが必要であろうということは容易にわかるわけでございますが、せっかくここまで大勢の方の御苦労をいただいてできました審議会の答申であり、またこれからも多数の方の汗を流していただかなければならない、国民の皆さんからの御期待も非常に大きいということを考えますと、ぜひともこの目的を果たさなければいけないと思いますので、所要の予算の確保につきまして、ぜひとも先生方の御支援もいただき、各関係方面の御理解を得まして、ぜひとも確保していきたいというのが私の考えでございます。

○荒木清寛君 これは国民的な世論のバックアップがある、この大きな司法ということにつきましては国民的世論のバックアップがある問題だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 最後に、一部に、今回の司法制度改革というのはそういう企業の視点からの規制緩和ということだけではないかという、そこから始まったのではないかと言われる向きもあるわけでありますけれども、しかしこの意見書を読んでいただければ、決してそのような意見書になっていないと思います。
 私は、そういう意味で、多くの庶民、国民が、身近にこの司法制度を利用できるような改革でなければいけないと思うわけでございまして、そういう意味で私は、公明党は従前からこの問題はもう主張しておりまして、野党の時代からも一貫して民事法律扶助の一層の充実ということを主張しておるわけでございます。あす提出されます補正予算の中にも、セーフティーネットという中でそういう法律扶助の充実ということが含まれているわけでありまして、評価をしております。
 しかし、まだまだ日本のこの法律扶助のレベルというのは低いわけでありまして、一けた違うというのが我々の見解でございます。したがいまして、この大きな司法の中の重要な要素として、この法律扶助の一層の充実、抜本的な拡充に取り組んでいただきたいと思います。この点いかがですか。

○国務大臣(森山眞弓君) この問題につきましても審議会の意見におきまして、「対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである。」とされているところでございます。
 司法制度を国民に利用しやすいものとして、その役割を十分に果たすことができるものとするために、民事法律扶助につきましても、そのより一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

○荒木清寛君 以上で質疑を終わらせていただきます。
 いずれにしましても、公明党は生活者の政治を標榜しておりまして、この問題についても、あくまでも利用者、ユーザーの立場での改革にしなければいけない、こういう視点で、今後、法律も何十本出さなければいけないというようなことでしょうけれども、しっかり議論をしてまいるという決意を申し上げまして、終わらせていただきます。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案に関する質問に先立ちまして、私からも、さきにありましたアフガニスタンの難民収容問題について述べさせていただきます。
 東京地裁は、六日、難民申請中のアフガン男性五人の収容について、「収容の必要性は認め難い」として、収容を停止する決定を出しております。国の対応について、「難民にあたる可能性がある場合に、不法入国や不法滞在の疑いだけで収容するのは、難民条約に違反する」と、こう述べまして、政府の姿勢を「国際秩序に反する」と厳しく批判をしております。
 私も、本委員会で、条約の精神に基づいてこれは収容するべきでないということも求めたわけですが、先ほど即時抗告をしたということが述べられまして、大変残念に思います。やはり、難民条約の精神に基づきまして収容を停止するように求めておきたいと思います。その上で、法案について質問をさせていただきます。
 審議会の答申は、「制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。」と何カ所かで述べております。この人的基盤の整備の重要な一つである裁判官への弁護士任官の問題について質問をいたします。
 最高裁は、事件数がおおむね現状どおりで推移をしても制度改革に対応するためには今後十年間で五百人程度の増員が必要としておられます。衆議院での審議で、この五百人の増員について、こう答弁をされました。「優秀な弁護士等からの任官者が大幅に増加するということが大前提であります。これが実現できませんと絵にかいたもちになる」、「弁護士任官が非常に重要」と、こういう答弁でありました。
 今後、司法試験の合格者などが順次ふえていくわけでありますが、しかしやはり増員については弁護士任官の大幅増加が大前提であり非常に重要だと、こういう認識で間違いありませんね。

○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) そのとおりでございます。

○井上哲士君 この大前提であり非常に重要だと言われている弁護士からの任官ですが、いただきました資料では、一九八八年以降ことしの十一月六日現在までで判事が五十一人、判事補九人、計六十人、年間平均わずか四人余りということにとどまっているわけで、この状態ですとまさに絵にかいたもちになるわけです。
 ですから、やはりこれまである問題点を改善していくということが大変大事なわけでありますが、なぜこれまでこの任官が進まなかったのか、その問題点はどこにあるんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 司法制度改革審議会の意見書が提言しておりますように、裁判官に多様な人材を確保するためには、裁判所の戦力となり得る優秀な弁護士の任官を推進していくことが最も現実的であり意義のある方策であると考えております。ただ、これまで裁判所としても弁護士任官を推進するための方策を講じてまいりましたけれども、委員御指摘のように、必ずしも所期の成果が得られていない状況にございます。
 弁護士任官が必ずしも順調に進んでいない原因でございますが、種々の要因が考えられると思いますが、まず第一に、弁護士として成功されて依頼者等の関係も安定しているという弁護士さんが、相当の年齢になりましてから新しい仕事に飛び込むということになるわけでございますから、それには相当、かなりの決断を要することであろうと思います。また、同じ法曹ではありますけれども、訴訟実務におきましては裁判官と弁護士ではその果たしている役割が大きく異なっている面がありますために、これまで任官された方の多くが、例えば両当事者の主張を聞いてみずから最終的な決断を下したり、みずからの判断を説得力ある形で判決に表現するといった点で非常に苦労されておって、そのような実情もまた任官申し出をためらう理由になっているのではないかというふうに思われるわけでございます。それからまた、弁護士事務所の共同化が現在まだ十分に進んでいないということも弁護士任官者がふえない一因であるという指摘も聞かれるところでございます。
 こういう原因、問題点が考えられるところでございますが、現在、日弁連との間で弁護士任官等に関する協議会を開催しているところでございまして、裁判所といたしましても、このような形で日弁連と連携を図るなどいたしつつ、積極的に弁護士任官の推進に向けて努力してまいりたいと思っております。

○井上哲士君 いろいろお聞きをしますと、例えば任官の基準が非常に不透明だというお話を聞きます。それから、希望をしても返事がないであるとか、それからなぜ任官されなかったかという理由がよくわからない、こういうお声も聞きます。また、非常に官僚的な裁判所の体制のもとで、自由な仕事をされてこられた弁護士さんがなかなか息苦しそうで行きたくないなと、こんな声も聞くことがあるんです。
 いずれにしましても、これを推進していくために、今もありましたように、日弁連と最高裁の協議が前向きにされているということは大変大事だと思うんですが、先ほど挙げられましたような問題、それからそういう任官基準や手続の透明性という問題で、今の協議の中で何が解決をされてきているのか、何がネックになっているのか、その辺をお教えいただけますでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 最高裁と日弁連との間で、今お話にございましたように、弁護士任官等に関する協議会を設置いたしまして、本年の四月から月二回のペースで弁護士任官の推進に向けて精力的に協議を行っているところでございます。
 協議会において協議あるいは意見交換する事項として、弁護士任官全般を推進するための具体的な措置、これは例えば弁護士任官の基準であるとか手続であるとか、研修のあり方、配置のあり方、勤務条件等でございますが、また多様な任官形態、これは特定分野別の任官でありますとか、短期弁護士任官であるとか、あるいは非常勤裁判官制度でありますとか、そういうところでございますが、それからまたこれは弁護士任官と別に、判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための方策もこれも議題となっておりますが、いずれにいたしましてもこういう弁護士任官推進等に関する要綱等の策定と恒常的な協力体制の整備が掲げられているわけでございます。
 協議会では、これまでこういった協議事項につきましてずっと協議を行ってきておりまして、弁護士任官の基準や手続などの問題について相当の時間を割いて意見交換を行ってまいりました。今後、弁護士任官の環境をより一層整備するという観点から、弁護士任官者の研修、配置のあり方等についてもさらに協議を進める予定になっております。
 最高裁といたしましては、今後とも、日弁連との間の協議を鋭意重ねることによりまして、弁護士任官を推進するための具体的方策について検討を進め、その結果について日弁連との間で取りまとめができるように努めてまいりたいと思っております。

○井上哲士君 基準や手続について相当の議論をしていると今ありましたが、私は、ここのやっぱり客観化、透明化を図るという点で、審議会の意見書が裁判官の任命手続の見直しを求めている、この趣旨、精神は非常に大事だと思うんですね。
 意見書は、最高裁が下級裁判所の裁判官の任命をする過程で国民の意思を反映させるために諮問をする機関をつくるということを述べております。最高裁としては、意見書のこの部分についてどのように受けとめて取り組みを進めていらっしゃるんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘ありましたように、改革審議会の意見書は、下級裁判所の裁判官の指名過程を透明化し、国民の裁判官への信頼を高める観点から、最高裁判所に、その諮問を受け、指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置するということを提言しておりますが、この提言は、裁判官に対する国民の信頼感を高めるという趣旨に立つものでありまして、裁判所といたしましても、国民の信頼の上に立ったよりよい裁判官制度を実現していくために有意義であると考えております。
 この機関の具体的あり方につきましては、いずれも意見書が指摘するところでございますが、その機関が適任者の選考に関する自主的な判断を行い得るような十分な配慮がなされるべきであり、委員の構成及び選任方法について中立性、公正性が確保されるよう十分な工夫を凝らすとともに、裁判官の独立を侵すおそれのないよう十分に配慮する必要があるものと考えております。
 裁判所といたしましては、こうした機関を設置することは、今申し上げましたとおり、よりよい裁判官制度を実現していくために有意義であると考えておりまして、そのような機関が早期に設立されるよう、最高裁に下級裁判所の裁判官について指名権を付与している憲法の趣旨を踏まえつつ、そのあり方について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 そういう国民の声を反映する機関が大変有意義だという御答弁でありました。
 そこでお尋ねをするんですが、近畿弁護士会連合会が弁護士任官を進めるために、下級裁判所裁判官候補者調査評価に関する協議会というのを発足させております。
 この協議会は、最高裁の弁護士からの裁判官採用選考要領に基づきまして、採用願を提出しようとする弁護士の裁判官としての適格性の評価及び推薦の可否について審議をするというものとして近畿弁護士会連合会が発足をさせられました。この協議会の結果に基づいて連合会として推薦をする、手続、基準の透明化、そして公正さを確保していこうという、私は大変有意義な取り組みだと思うんです。
 この取り組みについて承知をされていると思うんですが、最高裁としてはどう評価をされているでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 近畿弁護士会連合会が弁護士推薦委員会や弁護士以外の委員を含めた協議会を設置して、任官希望者の適格性の調査、評価を行い、最高裁に推薦するという制度を設けたということは承知しております。このような連合会の動きにつきましては、裁判官にふさわしい弁護士をできる限り多く裁判官として確保するための弁護士会側の努力の一つであろうというふうに受けとめているところでございます。
 このような一部の弁護士会の動きがあります中で、最高裁といたしましても、日弁連との間で、現在、先ほど申し上げました弁護士任官等に関する協議会におきまして弁護士任官を推進する具体的な検討を進めているところでございますので、こうした協議を通じまして、裁判官にふさわしい優秀な弁護士がより多く任官されるように、その促進のための方策について検討していきたいと考えております。

○井上哲士君 弁護士会側の努力だという前向きの受けとめがされたと思うんですね。
 私もその概要などを見せていただきましたけれども、例えばこの委員会の構成は、弁護士委員十六人と市民委員が八人ということになっておりますが、この市民委員は、マスコミ関係者二人、経済界から一人、労働界から一人、消費者から一人、裁判にかかわる市民団体から一人、学者から二人と、こういう大変いろんなところからの国民の声を反映する構成になっているわけです。
 先ほど述べました裁判官任命の諮問機関の構成について、意見書は、公正で権威のある機関とするため委員の構成及び選任方法については中立性、公正性が確保されるような十分な工夫が必要だと、こういう指摘もされておりますが、私、弁護士任官という問題ではありますけれども、この近畿弁護士会連合会の協議会というのは、その過程の透明性、中立性、公正性を確保するという点でこの意見書に述べられた精神と大変合致をしていると思うんですが、その点、お考えはいかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 近畿弁護士会連合会でおつくりになっている委員会の方は、これは弁護士会として適任者と考える方を選定する手続として設けられたことでありますが、これからできるでありましょう最高裁に置かれる任命諮問委員会、指名のための諮問委員会、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、意見書が述べておりますような、委員からも御指摘がありましたような考え方に基づいて設置されていくものであろうと考えております。

○井上哲士君 この協議会は、本人から推薦調査質問票に基づいて回答を得ます。それから、本人以外の第三者からも評価調査票に基づきまして能力、評判、適性、執務姿勢などについて幅広く聞くようになっております。そして、私も面接をされた学者の方のお話を聞いたことがありますけれども、そういう市民委員の方などが弁護士さんに面接をする、大変手続的にも透明で公正なやり方がされていると思うんですね。
 こういう努力が広がっているわけですので、ぜひこの弁護士任官が進むように、絵にかいたもちにしないという点で、こういう機関を通じて弁護士会が推薦をする者についてぜひ尊重して進めていくようにしていただきたいと思います。
 最後に、この改革を支える予算の問題について一言お尋ねをします。
 裁判所予算は年間わずか三千百億円で、東京の警視庁予算の半分程度と。国の予算全体に占める割合を見ましても、一九五五年の〇・九三%をピークに年々下がりまして、今〇・三九%、余りにも小さいと思うんです。この改革を進める上でどれだけの予算が要るのか、明らかにして求めていく必要があると思います。
 例えば、民事扶助制度につきまして、今年度は国庫補助二十五億円にふえまして概算要求は三十六億と承知していますが、フランスなどは百八十億以上、イギリスでは千百五十億程度ということになっています。法曹の数をフランス並みにするというならば、こういう法律扶助制度に対しても欧米並みの予算が必要だと思うんです。
 その点も含めまして、これだけのことをやればこんなに司法が変わるんだ、そのためには予算が必要だということで国民の前に明らかにして、国民の世論のバックアップのもとに進めていくことが必要かと思います。その点の決意も含めて、御答弁をお願いします。

○国務大臣(森山眞弓君) 本部がこの法律を成立させていただきました後できまして、その本部でこれから必要な法律を具体的に立案して、どのように変わっていくかという姿がはっきりと見えてくるということになりますので、今この時点で幾らになるということは申し上げかねるのでございますが、民事法律扶助につきましても、所要の予算を確保いたしましてその充実強化に努めてまいりたいと考えておりますし、先ほどもお答え申し上げましたように、たくさんの方の知恵の結晶であるこの審議会の成果が本当に実りあるものとして具体化していきますように、そのために必要な予算の確保につきましては、国民の理解と支援のもとに改革を推進するという意味で、ぜひ内容を明らかにし、かつその充実強化に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

○井上哲士君 終わります。

○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 午前中に参考人質疑をいたしました。そうしますと、参考人の方たちの中から、リアルタイムで情報公開を例えば検討会や顧問会議などでなされることが大変必要なのではないかという話がありました。つまり、今まで行われてきた審議会がリアルタイムで情報公開をしてきたので、そのことが国民にとって非常に意見を喚起するいい機会であったという御指摘がありました。
 それで、御質問いたします。
 顧問会議、検討会の情報に関して、経過や内容についてリアルタイムで公開し、透明性を確保することというのは担保されるのでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 本部ができました後、顧問会議とか検討会とかを設けるということが考えられておりますが、その公開につきましては、そこにお集まりいただく先生方の御意見を聞かなければいけないとまず思いますが、できるだけ、審議会のときにいたしましたようなできるだけ透明なやり方を進めていきたいものと願っております。

○福島瑞穂君 前向きの御答弁、ありがとうございます。審議会がリアルタイムで公開されたことがとても重要だったと思いますので、今後もたくさん法律が出てくる過程で、政府がどのような立法をしているのかリアルタイムで公開し、かつ透明性を高められるように本当に要望いたします。
 ところで、後ほど提出予定の社民党と共産党の司法制度改革推進法案に対する修正案はお手元にお持ちでしょうか。
 この中で、顧問会議の中について、次のような人たちをぜひ入れるようにという修正案を考えております。裁判官一人、検察官一人、弁護士一人、司法制度に関し学識経験のある者二人、使用者を代表する者一人、労働者を代表する者一人、前各号のいずれにも該当しない者のうち、消費者を代表する者または訴訟の当事者となったことがある者三人。特に重要なものは、消費者を代表する者または訴訟の当事者となったことがある者三人ということで、顧問会議の中にぜひユーザーの立場、国民の立場の人を入れていただきたい。
 こちらの修正案はこういうものを入れるということの修正案なんですが、この顧問会議の構成メンバーについて、再度、前向きの答弁をお願いいたします。

○国務大臣(森山眞弓君) 修正案のお話がございました。今拝見いたしましたし、今お読み上げいただいたのを拝聴いたしましたが、大変細かく割り当てを考えていただいたようでございますが。
 政府提案の方の気持ちといたしましては、顧問会議、それから、法律には書いてございませんけれども、検討会とか、その他いろんな役目に応じてそれぞれの専門家の方の御意見を承ろうと、そしてできるだけ一般の民間の方々からも、またユーザーとおっしゃるそういう方々からも御意見をいただく機会を得なければいけないというふうに思っておりますが、修正案でお述べになりましたような細かいそれぞれの割り振りまでは今まだ考えておりません。

○福島瑞穂君 極力、国民の代表、ユーザーの代表を入れてくださるように、複数人入れてくださるように強く要望をいたします。
 先ほども事務局にどういう人が入るのかという質問がありましたし、午前中の参考人質疑でも野澤参考人の方から、事務局にやはり民間の人を入れて、役所、官僚がつくる司法制度改革にはしないでほしいという意見の表明がありました。
 顧問会議、検討会というのにかなり市民の人が、かなりというか何人か入ってくださるように強く要望したわけですが、事務局の段階についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 事務局につきましては関係する各省庁から派遣される者が入りますが、その方たちだけではなくて、多様な知識、経験を有する民間人を積極的に活用してまいりたいというふうに思っております。

○福島瑞穂君 司法制度改革審議会意見書の中に、「司法の行政に対するチェック機能の強化」という項目があります。済みません、これはちょっと質問通告していないので申しわけないんですが、この中で行政訴訟手続の点についての言及があります。この委員会の中ではこの点は余り出てきておりませんけれども、私自身も、司法の行政に対するチェック機能の重要性にかんがみ、行政訴訟制度の見直しに積極的に取り組むことが今後の司法制度改革には不可欠だと考えますが、この点についていかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましても、「国民の権利救済を実効化する見地から、行政作用のチェック機能の在り方とその強化のための方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、「法の支配」の基本理念の下に、司法と行政それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められる」とされております。
 今後設置される推進本部におきまして、この審議会の意見の趣旨を踏まえまして所要の検討を進めてまいりたいと考えております。

○福島瑞穂君 敗訴者負担と証拠開示などについても聞いてきたのですが、再度御質問をいたします。
 裁判員の制度についてお聞きをいたします。
 裁判員の制度については、被告人の選択が現段階で認められていません。職業上の裁判官の裁判を受けるのか、裁判員も交えた裁判を受けるのか、これについて被告人の選択は認められておりません。日本にも存在した陪審の制度では選択権があったわけですが、今回は選択権がないのですが、この点は非常に欠点だと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 委員御指摘の点に関します司法制度改革審議会の意見は、「新たな参加制度」、これは裁判員制度と言われているものでございますが、それは、「個々の被告人のためというよりは、国民一般にとって、あるいは裁判制度として重要な意義を有するが故に導入するものである以上、訴訟の一方当事者である被告人が、裁判員の参加した裁判体による裁判を受けることを辞退して裁判官のみによる裁判を選択することは、認めないこととすべきである。」というふうに述べているところでございます。

○福島瑞穂君 しかし、被告人にとっては、職業上の裁判官で受けたいと思う人と、裁判員が入っているので受けたいという人といると思うんですね。かつて、日本にも存在した陪審制度のもとでは選択権が認められています。被告人にとってはそれは極めて重要な、例えば今回発足するかもしれない裁判員の制度はある程度実験段階みたいなところもあるわけですから、被告人にとっては、例えば自分がどうなるのかということに関してはやはり選択権があるのがいいと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) そういう御議論といいますか、御意見が審議会の議論の場でも出ておったことは、私、陪席しておって聞いておりまして事実でございますが、審議会の委員のその結論はこの意見書に述べてあるとおりで、こういう制度にしようということを結論として、意見として述べられたものというふうに記憶しております。

○福島瑞穂君 それでは、今後の議論のときにはぜひその点もよろしくお願いします。
 また、この裁判員の制度は、量刑手続も関与をすると。外国の陪審制の制度はさまざまですが、有罪か無罪かということに関与し、かつ量刑は裁判官がやるというのもよく行われておりますけれども、今回の裁判員の制度は量刑手続も関与する。死刑にするか無期にするか、これについても関与するわけですね。この点については若干問題があると思う。
 例えば、量刑というのは、さまざまな判例の蓄積の中である程度こういう事件はこれぐらいの量刑というのが何となくあるようなないようなところがあるわけですが、それが非常に突然突発的に変わるということもあり得ると考えますので、私は量刑手続にも関与することには若干疑問も持っております。いかがでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の議論でもいろいろの議論がございまして、要するに陪審員制度の方がいいんではないかとかいう議論もございました。
 しかし、司法制度審議会の意見におきましては、「裁判員が関与する意義は、裁判官と裁判員が責任を分担しつつ、法律専門家である裁判官と非法律家である裁判員とが相互のコミュニケーションを通じてそれぞれの知識・経験を共有し、その成果を裁判内容に反映させるという点にある。」といたしまして、「このような意義は、犯罪事実の認定ないし有罪・無罪の判定の場面にとどまらず、それと同様に国民の関心が高い刑の量定の場面にも妥当する」というふうにしているところでございます。

○福島瑞穂君 今後も調査検討をぜひお願いいたします。
 証拠開示のことなんですが、例えば集中審理のもとでやる場合には、事前の全面開示がない限り検察官によって隠された証拠が日の目を見ることは事実上不可能となるという、そんな問題があります。つまり、さまざまな制度を導入するに当たって、証拠開示ということが最低限のさまざまな制度の条件になると考えますが、この意見書には一定証拠開示については前向きのことが書かれておりますが、もっと踏み込んで、裁判員の制度を導入するにしろ証拠開示が最低の条件であるというもっとリンクした議論が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 証拠開示に関しましては、委員御指摘のとおり、審議会の意見で、証拠開示の拡充が必要であり、証拠開示の時期、範囲等に関するルールを法令により明確化するとともに、新たな準備手続の中で、必要に応じて裁判所が開示の要否につき裁定をすることが可能となるような仕組みを整備すべきであるというふうにしておるところでありますが、その証拠開示のルールの明確化に当たりましては、証人威迫、罪証隠滅のおそれ、関係者の名誉、プライバシーの侵害のおそれなどの証拠開示に伴う弊害の防止が可能となるものとする必要があるというふうにもしているところでありまして、証拠開示の具体的あり方につきましては、こうした意見を踏まえつつ、今後十分に検討される必要があるというふうに考えております。

○福島瑞穂君 刑事事件の再審請求の中で、具体的に証拠開示の問題で私自身も苦しんでいます。証拠開示がなかなかなされない、今の基準ですと、余り現行法と変わらないのではないかという危惧も大変思います。
 しかし、裁判員の制度を仮に導入するとすれば、あるいはさまざまな制度を導入するとすれば、証拠開示なくして裁判員の制度はできないと考えますので、もっと今後、議論、検討されるときに、証拠開示についての前向きあるいは全面開示に向けてのルール化など積極的にしてくださるようにお願い申し上げます。
 もし裁判員の制度を導入するとすれば、証拠のあり方などかなり変わらないとだめなのではないかという参考人の意見が午前中にありました。例えば、伝聞証拠の扱い方などについてなんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) そういうことも含めまして当然検討がされるべきことだというふうに思っております。

○福島瑞穂君 ぜひ、これからも徹底的な検討をお願い申し上げます。
 ロースクールの問題に関しては今までも何度も議論が出てきているんですが、再度確認をさせてください。
 今、司法試験受験生の人たちが非常にたくさんいるわけですが、一体ロースクールというのがどうなるのか、皆さん、この間も佐々木委員の方からもありましたが、不安を感じています。これが今の説明ですと、ロースクールと司法試験がしばらく併存するというイメージをこちらは持っているのですが、としても、やはり司法試験受験生は人生かけて勉強しているので不安を感ずると思うんですが、もう少しどういう形になるのか御説明をお願いします。

○政府参考人(樋渡利秋君) 委員のお考えのとおりでございまして、司法制度改革審議会の意見は、新制度への完全な切りかえに至る移行措置として、現行司法試験の受験生に不当な不利益を与えないよう、新司法試験実施後も五年間程度は並行して現行司法試験を実施すべきであるというふうにしております。
 今後、これらの提言の趣旨を踏まえて、関係機関と連携しつつ具体的な制度設計を行っていく必要があるというふうに考えております。

○福島瑞穂君 きょうはずっと財政上の措置の問題、つまり法務省が財源を獲得するに当たって、国会議員はみんな頑張るので、ぜひ頑張ってほしいという旨の質問が続いたと思います。午前中の議論もそうなのですが、かなりやはりこれは財政的な保証がない限りロースクールに通う人の財政上の負担がふえる、あるいは充実したロースクールができないという点ではそれは当然のことだと思います。
 ですから、私の方も、ほかの委員も説明して私からもでちょっとしつこくて済みませんが、大臣、ロースクールも含めた、あるいは司法扶助制度も含めた、被疑者段階での国選弁護にしても相談センターにしても、いずれも増員の、裁判官、検察官、弁護士の増員確保にしても非常にお金がかかるということは明らかです。その点についてぜひ御決意をお願いいたします。

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、大変多岐にわたった、しかも抜本的な改革をしなければならないということで、非常に財政の面でも大きなそれこそ思い切った改革が必要だというふうに思っておりますが、一方において、財政事情は決していい状態ではございませんので、随分難しい難関がたくさんあると思います。
 しかし、ぜひともこの提言が成果を上げますように精いっぱいの努力をしてまいりたいと思いますので、どうぞ先生方の御支援をよろしくお願いいたします。

○福島瑞穂君 この司法制度改革推進法案を見て、前回もちょっと申し上げたのですが、やはり人権という点の文言が本当に弱い。それについては法務大臣は、基本的人権を尊重するということは当然のことだから条文に書かなかったのだというふうにおっしゃいました。ただ、私はやっぱりぜひこれは書いてほしいというふうに思っております。
 例えば、五条でも、民事と刑事とあるんですが、刑事の部分に対する条文は、「刑事に関し、裁判所における手続の一層の充実及び迅速化、被疑者及び被告人に対する公的な弁護制度の整備、検察審査会の機能の強化等を図ること。」となっておりまして、被疑者、被告人の権利の保障、あるいは捜査の透明化などについてはうたわれておりません。この司法制度改革審議会の意見書の中でも、被疑者、被告人の身柄拘束に関連する問題などについては、「直ちに具体的結論を得ることは困難である。」ということで終わってしまっております。
 今後、議論される司法制度改革の中身に当たっては、民事、刑事いずれも重要です。しかし、刑事の中における捜査の透明化や、被疑者、被告人の身柄拘束に関連する諸問題についてもっと検討を深めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森山眞弓君) この本部をつくっていただくことができました上で十分検討したいと考えます。

○福島瑞穂君 この意見書の中で濃淡が物すごくありますけれども、ぜひ検討をしてくださるようにお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○平野貞夫君 最後のバッターなんですが、内閣審議官にまずお尋ねしますが、法科大学院を設けるべき理由の中の審議会の認識として、「法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼすに至っている。」という言葉があるんですが、審議会として何か理想とする法曹の資質みたいなものを考えていたんですか、もしわかったら。

○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の議論の中で、二十一世紀の司法を担う法曹に必要な資質といたしましては、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識等の基本的資質に加え、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚等が一層求められるというふうにしているところでございます。

○平野貞夫君 なるほど、そこでこの法科大学院の教育理念に結びつくわけですね。
 私は、法科大学院設置について賛成です。賛成ですが、ちょっとこの審議会の意見を読みますと、教育理念というものをかなり具体的に書き込んである。となると、法科大学院、独立行政法人の大学でつくられる場合もあるし私学でつくられる場合もあるわけですが、余り特色というか個性がなくなる。やっぱり法科大学院といえども、法曹人口をふやすためだけじゃないでしょうし、やはり日本の法学という、法律学といいますか、法文化を向上させるために存在するんでしょうから、ちょっとそれぞれのこれから設置される法科大学に理念の押しつけのような印象を持つんですが、その点について何か御意見があれば。

○政府参考人(樋渡利秋君) この審議会で考えております法科大学院の一つの特性といたしまして多様性を考えております。そのカリキュラム等もいろいろなことを、基本的なことはもちろんやっていただかなきゃなりませんけれども、多様な考えの中で法科大学院の自主性を重んじたものを開放的に、公平性を持って設立していっていただきたい。
 したがいまして、その設立は幅広く受け入れるものにしていくべきだというふうに言っておりますので、法科大学院はそれぞれ個性を持った立派なものができていくように期待しております。

○平野貞夫君 そこで、ちょっと法務省にお聞きしますが、平成になって以来の、過去十年ぐらいで結構ですが、弁護士で、除名といいますか、登録を取り消すというのか、専門的な言葉は知りませんが、となった数の変化といいますか、傾向、それから除名事由、理由の傾向を教えてくれませんか。

○政府参考人(房村精一君) 弁護士の懲戒には戒告、業務停止、退会、除名とございまして、退会と除名を受けますと弁護士の資格を最終的には喪失するということになりますので、その二つを合わせた人数を御報告したいと思います。
 年度ごとに申し上げますと、平成三年から平成十二年までですが、平成三年が一名、四年が二名、五年が七名、六年が四名、七年が七名、八年が四名、九年が四名、十年が四名、平成十一年が八名、十二年が八名、以上十年間で合計四十九名でございます。
 処分事由としてはさまざまなものがございますが、比較的目立ちますのは、顧客から預かったお金を使い込んでしまうというような事例、それから弁護士でないいわゆる整理屋と称するような人と提携をして本来は弁護士法で禁止されている業務を行ってしまうという、非弁提携と申しておりますが、そのようなものが比較的目立ちます。特に、近年はこの非弁提携が次第にふえてまいりまして、平成十二年には過去の年度に比べて最高の件数を記録しているというぐあいに聞いております。

○平野貞夫君 これから法曹界に入ってくる人たちのために、この法科大学院が豊かな人間性とか創造的な思考力とか、それから人権とか社会への貢献を行うための意思とか、そういうものを養うことが大事だという審議会の話なんですが、これからの人にも大いにこういうことは、人間性の幅広さを持ってもらいたいんですが、今の司法法制部長さんの説明によると、やっぱり弁護士さんのこういう不祥事件がふえていると。それが現実だというふうに言わざるを得ないと思いますが、となると、新しく法曹に入る人だけじゃなくて、現在の法曹の人たちのこういった、再教育と言ったら大変失礼かもわかりませんが、これはなかなか問題があるんじゃないかという私は問題点を指摘しておきます。
 余り言うと嫌われますから、弁護士さんの話はこれにとどめますが、最高裁の方、弾劾制度ができて訴追された事例とそのときの裁判官の地位、どういう地位であったかということを。

○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 昭和二十二年に裁判官弾劾裁判制度が発足しておりますが、それ以来七件、これは人数としては六名でございますが、二回訴追された者が一名おりますので七件ございまして、その訴追されたときの裁判官の地位は、地裁判事が二名、それから判事補が二名、簡裁判事が二名、このうちの一回、一人二回訴追された者がおるという状況でございます。

○平野貞夫君 となると、簡易裁判所の裁判官ですか、それから地方裁判所の裁判官あるいは裁判官補というんですか……(「判事補」と呼ぶ者あり)判事補ということで、高等裁判所とか最高裁にはさすがあれですな、そういう事例は。
 これは国会の中に付設されている制度ですから、実際の具体的な事例については最高裁から話をするのは酷だと思いますので私の方で申し上げますが、昭和二十三年、いわゆる物すごく食糧危機といいますか、終戦直後、このときにやみ物資の取引をめぐっての、警察官に物を言ったり、それからやみ取引の捜査の情報を漏らすというふうなことで訴追されて、しかし国会の弾劾裁判所はその程度のことはいいだろうということで、罷免にはなっていないというデータがあるわけなんですが、そのころのことはやっぱりちょっと論外にせないかぬと思いますが、餓死して亡くなった裁判官もいますからね、片一方。
 その後五十数年たって、裁判官が訴追されるというケースがこの数字で多いのか少ないかということの議論はなかなか難しくて私も判断がつかないんですけれども、少なくとも私、間もなく判決があります児童買春のケースですね、私は実はあの法律の提案者でございまして、非常に残念に思っておるんですが、それと例のロッキード事件のときの、当時の内閣総理大臣に電話をかけて録音して記者団に話したというこのケース、この二つは、これはやっぱり司法試験に合格させたところに責任があるんじゃないかと私は思うんですがね。これは答弁要りませんよ。やはり、法曹人というものの人格というのは本当に大事だと思うんですよ。検察官のことについては支障がありますからここでは言いませんですけれども。
 私は衆議院の国会事務局にいたときに、政治家が捕まる前の特捜の人たちとの窓口をやっていまして、若い人が使いに来るわけですが、ひどかったですよ、当時は。これは昭和五十年代なんですけれども、立派ですよ、法律のことについては極めて、際立だって明晰に説明できるんですけれども、世の中のこと、社会のことをどれだけ知っているのかということについて困ったこともありますし、それからロッキード事件のときに、一回目の金銭の授受のときにちょうど衆議院議長が国会の強行採決の収拾の国対委員長会談をやっていまして、私、議長秘書をそのころにやっていて、国対委員長会談をやっていたということを証明したら、弁護団に言われて、途端に特捜から、お前は幾らもらったのか、裁判所に引っ張り出すぞと言われまして、かなり、自分の体験を言えば間違いないですから、検察側の人たちの教育といいますか、そういうものにも非常に問題があると思っております。
 そういうことで、よほど法曹人の人間教育というものには留意をしていただきたいと思います。
 余りもう私、長く時間使いませんが、ただ一つお願いをしておきますのは、大きく制度が変わります。先ほど福島委員の話の中で、制度の移行として五年間の併用の、新制度と旧制度の併用の期間を置くということなんですが、実は制度の変わり目におかしなのが出てくるんですよ。ロッキードの判事補はそうなんです。なぜ知っているかといったら、私、同級生だから。だから、よほど、やっぱり大きく制度を変えることは大事なんですけれども、制度の移行期にはくれぐれも法曹三者の方は気をつけて、二度とああいうことのないような、永遠にないような、日本の国において、ことをお願いして、終わります。

○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について井上哲士君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上哲士君。

○井上哲士君 私は、日本共産党、社会民主党・護憲連合を代表して、司法制度改革推進法案に対する修正の動議を提出いたします。内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨を御説明いたします。
 本修正案は、国民のための司法改革を進めるためには、国民の参加と公開が肝要だとの観点からであります。
 第一は、第一条の目的から「、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ」を削除するものです。これは、国民の求める司法改革、すなわち憲法を堅持し、基本的人権を守るための司法改革との観点を無視し、政府、財界の一方的なイデオロギーのみを掲げることは公平を欠き、本法にふさわしくないからであります。
 第二は、第二条の基本理念に「基本的人権の保障及び社会正義の実現を図る」ことを追加するものです。法務大臣は、法文に書き込まなかったのは当然の前提だからと答弁されましたが、司法制度改革の目的、理念として欠かせない文言であります。
 第三は、第五条の基本方針に「裁判官の任命手続及び人事制度その他の司法行政の在り方の見直し」を追加するものです。これは、司法の現状について、最高裁判事の任命のあり方、最高裁事務総局による人事管理、裁判官のキャリアシステム、判検交流など、司法行政のあり方などに対する国民の批判にこたえるため、これらの改革を基本方針に明記するものであります。審議会意見書でも触れられているにもかかわらず、法案から抜け落ちているのは適切でなく、きちんと明記しておくことが必要だからであります。
 第四は、第九条に第二項を新設し、推進計画の作成並びに法律案等の立案に当たっては、成案を得る前に中間試案を公表して、広く国民の意見を聴取しなければならないとの趣旨を明文化したものであり、国民参加の司法改革にとって欠かせない手法であります。
 第五は、第十四条を新設して顧問会議を置くこととしました。衆参の審議を通じて、顧問会議の設置が約束されましたが、その政令などの内容は明確でありません。組織の地位、目的、構成、人選について法文上明記することは、推進本部が内閣そのものであり、行政のみで推進することになっているだけに重要であります。
 第六は、事務局に日弁連の推薦に基づく事務局次長を置くこととしております。これは、行政主導となることを避け、設置が予定されている検討会の運営や事務局の事務処理などを、国民を代表して総合的に把握、推進できるようにするためであります。
 以上が修正案の趣旨であります。国民による国民のための司法改革を実現するため、同僚委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。

○委員長(高野博師君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより司法制度改革推進法案について採決に入ります。
 まず、井上君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(高野博師君) 少数と認めます。よって、井上君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。

○千葉景子君 私は、ただいま可決されました司法制度改革推進法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属さない議員柏村武昭君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    司法制度改革推進法案に対する附帯決議(案)
  本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一 政府は、司法制度改革の推進に当たっては、司法制度改革審議会意見書の意見を尊重するとともに、諸施策を策定・実施するに当たり広く利用者である国民の意思を反映することができるよう、司法制度改革推進本部に設置が予定されている顧問会議、検討会の構成等に特段の配慮をすること。
 二 政府は、顧問会議、検討会を運営するに当たっては、その経過と内容についてできる限りリアルタイムで公開するよう努め、透明性を確保すること。
 三 政府及び関係機関は、人権擁護と社会正義の実現の観点を踏まえ、司法制度改革審議会意見書の指摘する諸課題について、引き続き更なる調査、検討を進め、司法制度改革の推進に積極的に取り組むこと。
 四 政府及び関係機関は、司法制度改革の緊急性にかんがみ、三年以内に主要な関連法案の立案等を遂げるよう努めること。
 五 政府は、司法制度改革を実効性あるものとするため、裁判所、検察庁等の人的・物的体制の充実等を始め、万全の予算措置を行うよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。

○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。

○委員長(高野博師君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会


2001/11/08

戻るホーム情報目次