2003/05/21

戻るホーム情報目次


第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第9号
平成十五年五月二十一日(水曜日)   午前九時開会

○委員長(尾辻秀久君) 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 今日は警察問題の集中的質疑ということで、国家公安委員長にお越しをいただいております。
 この間、私が取り上げ、一部マスコミにも報じられた警察と大手金融会社武富士との癒着問題についてお伺いをしたいと思うんです。
 この問題は、まず第一に、個人の犯歴まで書かれた警察の内部資料と思われる文書が民間事業者にすぎない個人金融業者のところから外部に持ち出されたというところにあります。これについて、質疑で栗本局長は、現在、恐喝事件で捜査中の被害会社から持ち出したその資料であるということが報道されておりますが、その内容と非常に同様の内容だというように判断をいたしているところでございますと、こう答弁をされております。
 まず、警察庁に確認したいんですが、つまり私が提出をし、また警察庁にもお渡しをしたある人物の右翼標ぼう暴力団個人カードなる文書は武富士から持ち出されたものと同一である、つまり私が示したものと同一のカードが少なくとも武富士にあったということはお認めになりますか。

○政府参考人(栗本英雄君) 委員御指摘のとおり、恐喝事件の捜査の中で得られました資料の中にありますものと委員から示されました資料とは同様の内容が書かれているものと認識しております。

○宮本岳志君 このカードが警察ではなく武富士にあったと、ここまではお認めになるわけです。それで、しかし警察にこれと同じカードがあるのかどうかと、これは答えられないということでありました。今回のカードは週刊誌の報道で氏名が出てしまっております。だから、それを答えると、警察がその人物のカードを作っていることが明らかになり、プライバシー上問題があると、こういう理屈だと思うんですね。
 それならば、仮にでお伺いしたいんですが、私が何も記入されていない個人カードの用紙を提出をして、これは警察で使われているものかと質問したら、あなた方は事実に基づいて正確に答弁をされますか。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいまの御質問は、先生がどのような様式、内容の資料を私にお示しになるのかちょっと分かりませんけれども、私ども、前にも御答弁申し上げましたように、暴力団対策上、捜査活動あるいはあらゆる警察活動を通じて暴力団あるいは暴力団員等に関します情報を入手し、資料化し、それを対策に効果的に生かしておるところであります。
 どのような形で管理しているか否か等につきましては、申し上げることは大変犯罪捜査等に支障を来しますので、答弁を差し控えさせていただきたいということになろうかと思います。
○宮本岳志君 なかなかよく分からない話なんですが、ただ、だれのカードを作っているのか、あるいはだれそれのカードはあるのかどうかと、こう聞くと答えることはできないということはよく分かるんですね。しかし、どのようなカードを作っているか、どういうことを、どういう内容を情報として集めているのかと、そこまで公表できないというのが非常に私どもは引っ掛かるわけであります。
 ならば、もう一つ聞きますけれども、警察が同趣旨の個人情報の収集を行っているのは右翼標ぼう暴力団あるいは暴力団だけに限られておりますか。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいまの御質問の趣旨がちょっとよく分かりにくかったんですが、暴力団対策上、いろいろな関係の情報を入手し、資料化している、その中に今のようなものがあるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、警察がどのような観点に立ってどのような情報を暴力団対策上収集しているかということは、取締り対象側に対抗措置を講じられる可能性があるという観点から、その内容について申し上げることはできないということを申し上げていることで御理解賜りたいと思います。
○宮本岳志君 いやいや、それは先ほど聞かせていただいたんです。
 暴力団に対する対応については内容も何も明かせないという御答弁なので、では聞くけれども、そういう内容も何も明かせないような情報収集をやっているのは右翼標ぼう暴力団や暴力団だけに限られるんですかと聞いたんです。いかがですか。
○政府参考人(栗本英雄君) それは暴力団対策上必要な、先ほど申し上げましたように、暴力団あるいは暴力団構成員と、そういうものに関して情報収集は行っております。
○宮本岳志君 暴力団対策以外のところでもやっているのかやっていないのかと聞いたんです。
○政府参考人(栗本英雄君) それは現時点で私から答えるすべてのものではないかと思いますが、警察法上、警察活動を推進するために警察法二条に定める責務の範囲内において適法になされることはあり得るかと存じております。
○宮本岳志君 捜査に一定の進展がこの問題であったようなんですね。これ以上押し問答していても仕方がないんですけれども。
 今日の新聞によりますと、新たに逮捕というニュースが流れております。その中に、「資料の中には十年以上前の警察の内部資料とみられるものも含まれており、」となっていて、私がお示ししたものは決して十年以上──あ、そうか、警察のものは日付はそうなっておりますかね、ということになっておって、これが内部資料と思われるということが書かれてあるわけですけれども。
 まず、これぐらいはお認めになると思うんですけれども、今回の事件は少なくとも何らかの警察からの重大な内部情報の流出があったという疑いが極めて強いと、これはお認めになりますか。
○政府参考人(栗本英雄君) そのような観点も含めて今後捜査の中で明らかにしていく問題でありまして、現時点においては答弁を差し控えたいと存じます。
○宮本岳志君 公安委員長、こうして国会でも問題になってきて、そして事実、その中身も私どもからもお示しをした。そして、いよいよ一般紙も今日、内部文書と思われるものもこの中に含まれていると。そして、それが武富士にあったということは今お認めにもなったわけですね。
 これは、疑いとしては、警察の内部文書が流出したという疑い、これは非常に強いと、これは公安委員長もそういうふうにお考えになるでしょう。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今お尋ねの件は、捜査が今行われている過程で委員がおっしゃったような問題についても現在調査を進めているところであるというふうに報告を聞いております。現段階では、まだそれがきちっと御報告できるようなところまでは行っていないというふうに聞いております。
○宮本岳志君 いや、捜査が続けられていることはもう前回から聞いているんですね。
 それで、私どもは、この事件そのもの、恐喝云々ということについては何ら捜査に影響を及ぼすつもりはないし、それは避けなきゃならないと思うんですけれども、ただ、例えば今日の報道を見ましても、その警察資料と思われるものもあったということは出ているんですけれども、全体としては、武富士の内部文書が持ち出されて、恐喝容疑で、恐喝未遂容疑で逮捕されたという話なんですね。
 今回、この国会でその中身が明らかになって、そこで持ち出された資料というものの中身が明らかになったから、この中に例えば右翼標ぼう暴力団員カードというようなものがあったり、あるいはその中にこの大手金融業者からそれこそ実名入りの、警察官にビール券などなどが配られたような資料もこの中に含まれているということが明らかになったりということが徐々に出てきたわけですけれども、国民から見れば、そんなことはもしこれがこういう議論がされていなければ分からないと。つまり、何か武富士の大事なものを持ち出して、そして脅そうとして捕まったんだなという話になるわけですよね。
 これは、その問題とは別に、現にそこにあったということなわけですから、そしてそこには数々の警察と武富士の正に癒着を示す中身があったわけですから、それとは区別して調査をして、そして国会の場で明らかにしてほしいということを前回、刑事局長にも申し上げましたし、この場でお約束もいただいたわけです。この点は国家公安委員長もよろしいですね。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、区別して、捜査と調査を区別してと宮本委員はおっしゃったと思いますが、なかなか切り離すのはこれ難しゅうございまして、私どもとしても、もちろん捜査は厳正的確にやらなければならないわけですが、それと同時に、その今おっしゃった個人情報の流出事実があるのかないのか、その中身は何なのか、これはきちっと所要の調査を行って、厳正に対処していかなければ私もいけないと思っておりまして、今捜査に当たって、あるいは調査に当たっている警視庁も督励してまいりたいと思っておりますし、それからその形がきちっと明らかになりましたときには国会でも御報告を申し上げなければいけないと、このように思っております。
○宮本岳志君 ちょっと前回の答弁からも後退するような答弁をされると困るんですけれども。まず、確認したい、調査と報告はおやりになるんですね、国会に対して。
○国務大臣(谷垣禎一君) 調査もいたしますし、その調査の結果を国会に御報告すべきものと考えております。
○宮本岳志君 それで、私ども前回の委員会でも申し上げたし、また国家公安委員長にも是非考えていただきたいんですけれども、今正に、個人情報保護法という法案、そして行政機関の個人情報保護法案が議論されている。そのさなかに、正に確かに恐喝容疑の事件にかかわるものであるとはいえ、現に大手金融会社に警察の内部資料と思われるものがあったと。そのことは事実としてお認めになったし、そのことを、正にお出しした資料とそれが一致するということまではお認めになっているわけですね。その私が示した資料と持ち出された資料とが一致すると。それがいかなるものであるかは、正にこの国会の場でも、委員会の場でも、不必要なところは消した上でのことでありますけれども、だれが見たって、なるほどこれは警察情報である疑いが強いというものですよ。
 で、そういうものが出ているじゃないかと。この問題を明らかにせずして、個人情報保護法あるいは行政機関の保護法というようなものを、そうですかというわけにそれはいかないと。やっぱりこの問題の解明が何といってもこの議論の前提ではないかという問題提起もされて、その中で、それはあいまいにしません、調査して報告するということでありました。その点では、正にこの国会で、この国会の中でこの法案の採決がどのような後の流れをたどるか、我が党はまだまだ論点は残っていると思いますけれども、それはともかくとして、やはり今国会でこのことが明らかにされなければ、また明らかにされる道筋が付かなければやっぱり納得はいかないというふうに思うんですけれども、この国会中にその報告を行うということは、委員長、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 国家公安委員会としてもずるずると調査ないし捜査を進めていればいいとは思っておりませんので、できる限りこれは速やかに調査、捜査を遂げるように督励してまいりたいと思っております。
 ただ、かなり関係者も多数にわたりますし、それらを照合してきちっと結論を得るには時間が掛かるということは御理解をいただきたいと思っております。
○宮本岳志君 全容解明にどれだけの時間が掛かるかというのは、それは捜査上の問題があるでしょう。だから、私はそのことは皆さん方を大いに督励してやっていただければいいと思うんです。
 ただ、国会としては、この問題がこういう形で提起されて、そしてその恐喝事件ということではなくて、現にこういう資料が大手金融会社にあったということは問題ではないかということを、それ自身を問題にしているわけですね。だから、このことについては、やっぱり国会との関係で、少なくとも国会の開会中に報告できるように努力するということでなければ、とてもじゃないがこれ納得いかないんですけれども、是非そういう御答弁いただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほども御答弁させていただきましたけれども、我々もできるだけ早くやるように一生懸命努力はいたします。また、それはしなければいけないと思っておりますが、ただ、先ほど申し上げたように、捜査も生き物でありますから、時間を切っていつまでということを申し上げるのはなかなか難しゅうございます。一生懸命早くやるように督励をいたします。
○宮本岳志君 私が示した資料ですね、委員長、ごらんになりましたか。あの中には、例えばもう警察官の実名が挙がって、ビール券がどういう枚数、何月、毎夏冬夏冬とこう配られたという資料もあります。で、それは毎夏冬、何年かにわたるものですから、枚数繰れば多いですけれども、顔を出す人はお決まりのメンバーですから、ダブっていますから、十数人の警察官が受け取り続けていたということを示す資料なわけですよ。それはそれで調査を進めるということは十分可能であると。
 それで、必ずいついつまでにということは言いにくいと、それは分かりますよ。しかし同時に、国会の開会中にその報告ができるように頑張るとも言ってもらえないというのでは、これはまたこちらの側も話にならないと、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 頑張るのは、頑張らせたいと思っております。
 それで、ただ、今、委員からいただいた資料ですね、おっしゃったように実名も出ております。しかし、これがいかなる性質の資料であるか、私が余り、捜査や調査の手法まで国家公安委員長が余り細かに申し上げるのもいけないと思いますが、どういう性質のものであるかということは、言わば双方を十分、何といいますか、聴くといいますか、事情を聴いて、多分この全体を総合しなければならないんだろうと思います。先ほど申しましたように、それには若干時間が掛かるということは御理解いただきたいと思います。私も一生懸命頑張らせたいと思っております。
○政府参考人(吉村博人君) 今、大臣から御答弁されたとおりでございますが、委員御承知のとおり、本件恐喝未遂事件は消費者金融会社を被害者といたしますもので、昨日三名、それから今日の未明に一名、都合六名の者を恐喝未遂として逮捕し、うち二名が既に公判請求をされている事案であります。
 言わば単純に一人の人間がどこかから資料を盗み出してその資料を基に恐喝をしたというのであれば、その人間を調べれば、言わば送った方といいますか、一方当事者は一人で明確なわけでありまして、それとリスト等に出てくると思われる警察官とを照らし合わせて調査をすれば警察官の非違行為がそこにあったのかどうかということは比較的短期間に明確になると思います。
 ただ、本件につきましては、今申しましたように、六人の、今現在で六人の被疑者がいると、当該金融の、消費者金融会社からだれがその資料を持ち出したのか、今議論になっております警視庁が保管する暴力団等に関する資料の写しではないかとされるその資料がその会社のどこにあって、どの時点でだれが入手をしたのか、あるいは、ビール券の問題についても、あのビール券を渡したとする書類はどうも見たところでは当該会社の中で言わばビール券を購入するのに要する金を支出するのに稟議をするための書類とも見えるわけでありますので、本当にあそこに書いてある名前の人間に渡っているのかどうかということについては、一方当事者、それから当該警察官を含めて警視庁で十分な調査をやらなければならないわけでありますし、現時点で既に相当の調査もやっております。
 事は恐喝未遂事件の捜査をきちんと仕上げるということと、その過程で警察官の非違行為があったということであればこれは厳正にかつスピーディーに処理をするのが当然のことでありますので、極力調査を急いで全貌を明らかにしたいと考えております。
○宮本岳志君 委員長、少なくとも国会でこういう形で議論になり、そして国会がこの法案とのかかわりでも明らかにする必要があるというふうに議論したということの重み、それは受け止めていただいていると思いますし、そういう当委員会のやっぱり意を体してこの国会中に、我々はこの国会中に出していただくということを強く望むわけですけれども、そういう方向での努力を尽くすということはおっしゃっていただけますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 大事な国会、法案の審議でそういう御議論がなされたこと、これは重く受け止めなければならないと思っておりますし、私どもも、犯罪捜査は警察の職責でありますけれども、同時に、警察にあるいはその情報等の扱いで不適切な点があったのではないかと、こういう問題がありましたときに、きちっとそれを調査を遂げて信頼を取り戻すということは警察にとっても必要なことであるというふうに私は考えておりますので、先ほど申しましたような、かなり調査に時間を要する、捜査にも時間を要するということはございますけれども、できる限り速やかに調査を遂げられるように我々も努力をさせたいと、このように思っております。
○宮本岳志君 今国会中の報告を強く求めて、私の質問を終わります。
○森ゆうこ君 国連(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 今日、この警察の問題に関して集中的審議を求めさせていただいたのは、今回の個人情報保護、個人情報の保護について、警察だけが特別扱いという印象を残したままこの審議を終了するわけにはいかないという、そういう問題意識で今回の集中的審議をするということに意義があると思っております。
 昨日、与党推薦の参考人、藤原靜雄先生からのお話によりますと、諸外国の個人情報の保護法では、警察の保有する個人情報について開示請求等の面においてこそ対象外とするなど特別の扱いがされてはおりますけれども、完全に個人情報保護というそういう法律の対象機関から外れ、除かれているということではなくて、安全管理など適切な取扱いを行う義務は課されているということでございました。
 一方で、我が国の現状を見ますと、国の行政機関につきましては、今回の行政機関個人情報保護法におきまして国家公安委員会、警察庁を対象機関にしておりますが、都道府県の個人情報保護条例では警察を対象から除いております。また、その個人情報保護条例が制定されていないというところも多数あるというところでございます。
 今回の事件につきまして、まだ事実関係が明らかになってはおりません。しかし、過去に起こった警察関連の犯歴情報漏えい事件について調べましたら、実にたくさんの事件が出てきております。これだけ不祥事が起こっているということは、都道府県警察における犯歴情報の管理に構造的な欠陥があると考えざるを得ません。個人情報保護条例の対象機関から外れているからといって、犯歴情報をずさんに取り扱っていいはずはありません。犯歴情報のようなセンシティブな情報は厳重に管理すべきであると思います。
 そこで、国家公安委員長に伺いたいんですけれども、なぜこのような事件が頻発するのか、そもそも警察における犯歴情報の管理はどのようになっているのか、警察はしっかりとした犯歴情報の管理を行うべきと考えますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 森委員にお答えいたします。
 警察では、検挙した被疑者に関する罪名などの記録、これは犯罪捜査など警察の任務を遂行していく上で是非とも必要であるわけでございますので、そういう目的で個人情報を保有しているわけでございます。その犯罪経歴に関する情報は個人情報の中でも特に重要なものであると考えておりまして、その取扱いの適正さを欠きますと、個人の権利利益というものも侵害しますし、警察に対する信頼も損なわれるということでございますので、これはもう当然、委員おっしゃるように、厳重に管理しなければならないわけです。
 そこで、どういう扱いをしているかということですが、犯罪経歴に関する情報を含めまして、警察の保有する電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関しましては国家公安委員会規則を定めるなどして、そしてまた、今、都道府県条例は必ずしもできていないじゃないかとおっしゃいましたけれども、各都道府県警もこの国家公安委員会規則に準拠しましてそれぞれ取扱いが定められておりまして、それは、データの目的外使用を禁止する、それからそのデータを使おうと照会をしていく場合に照会者の本人確認を行うと、それからその照会してきた状況を記録して事後に照会が適正に行われているかどうか組織的にチェックする、事後チェックすると、こういう等々の措置を取っているものであります。
 一方、委員が御指摘のとおり、残念ながら、近年、警察職員が犯歴等の個人情報を漏えいするといった不適正事案が散見していることは事実でございまして、大変これは我々としても襟を正して取り組まなければならないと思っております。警察におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば捜査を尽くすなど厳正に対処してきているものと承知しておりますけれども、国家公安委員会としては、不適正事案に対しては、これは警察法十二条の二などの厳正なチェックを行うなどいたしまして、個人情報が適正に取り扱われるよう警察当局を指導してまいりたいと思っております。
○森ゆうこ君 次に、総務大臣に伺いたいんですけれども、警察庁ということでは、内部できちんとした規則で行っていると、しかし、一方でそういう事件があるので厳正に対処していきたいという御答弁をいただいたんですけれども、今回のこの個人情報保護法、これが本当の意味で基本法であるならば、すべての国民、行政であれ民間であれ、大人であれ子供であれ、捜査機関であれ何であれ、個人情報保護のための基本的ルールを示すものでなければならないというふうに思います。
 この観点からいたしますと、個人情報保護条例において都道府県警察を対象機関から外しているのはおかしいんじゃないか、地方自治を担当する総務大臣として、条例の対象機関に警察を加えるよう地方自治体を指導すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○国務大臣(片山虎之助君) 地方自治というのは、地方のことは地方の当事者で決めるということなんです。したがって、個人情報保護条例も、都道府県はほとんど作っていると思いますけれども、作るときにいろいろ相談をして、我が県は警察まで入れなくてもいいということで入れていないのが多いんだろうと思います。
 ただ、今回、個人情報保護、行政機関個人情報保護法も通りますので、これは国の行政機関なんですよ、地方の行政機関のことまで決めているわけじゃないんで、しかし国と地方は関係がありますから、今回のこの法律の成立を待って、それを十分参考にして、もう一遍個人情報保護条例を見直してくれ、対象もすべてと、こう言っておりますからね。法律が通りましたら、よく都道府県、市町村の意見も聞きながら、この個人、行政機関個人情報保護法の精神、趣旨が生かされるような見直しをお願いしてまいります。
○森ゆうこ君 見直しをお願いしてまいりますということで、私はもう少しはっきり総務大臣から、警察機関もこの個人情報保護法の範囲の中に入れるべきであるという、もう少し明確なきちっとした御答弁いただきたいんです。そうじゃないと、やはり印象として、警察は捜査機関だから特別だと、こういうことが残っては、何のためにこの個人情報保護法を作るか分からないんですね。
 昨日、先ほど申し上げました藤原参考人、与党御推薦の参考人でございますが、お願いいたしまして、夜、メールをいただきました。警察と個人情報の関係、保護法の関係についてですけれども、基本的には、例えばイギリスで一九九八年では通知原則とか公正かつ適法な処理の原則は適用していない、それからドイツは憲法擁護庁などの治安官庁について開示が原則として認められてはいない、しかし警察は特別扱いされておりませんというメールをいただきました。本人に開示できない場合、一定の条件の下で連邦データ保護監察官に開示がされる、フランスも似たようなシステムであると。どの国も警察は対象機関に入っているという御報告いただいたんです。
 ですから、きちんと片山大臣に、最後、これ、御答弁いただきたいと思うんですけれども、もう一回、一言で結構ですので、お願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) だから、国のこの法律に入っているんですよ、警察機関も、公安委員会も。地方自治ですから、私くらい物をはっきり言うのは少ないと思うんですけれども、地方自治は尊重せにゃいけません。何でもこっちの言うことを押し付けちゃいかぬ、合併だって自主的合併なんだから。
 だから、今回こういう法律ができたことを十分参照しながらそれぞれの地域の事情を考えて決めてくれと、こういうのが地方自治なんですよ。委員の言うようなことを言うと地方自治の侵害になる。
○森ゆうこ君 いや、そんなことを言っているんじゃないんですよ。個人情報を保護するということできちんと、警察もその対象に入るということをきちっと言ってくださいと言ったんです。
 時間になりましたので、終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 この個人カード、そして流出の問題についてこちらも調査をいたしました。これは田園調布署、警察署となっておりますが、東調布署で作成、田園調布署の前身で作成された上で、警視庁刑事部捜査第四課、公安部公安第三課、捜査第四課は暴力団、公安第三課は右翼の担当です、ここに送られたという。それで、これはG資料、ABCDEFGのG資料というふうに呼ばれているということを確認をいたしました。そして、この金融会社に手紙を書いて、きちっとやりますと言っている警視庁の人は、このちょうど捜査第四課、刑事部捜査第四課に在籍をしていた。
 ここまで調査をいたしました。どうですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 今の点につきましては、現在所要の調査を行っているところでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、その資料等に関連いたしまして、報道等によりますと、消費者金融会社の元幹部が、今先生御指摘の資料の作成なり入手なり、そういうようなものにかかわっているという指摘があるわけでございまして、また、その者につきましては、先ほど官房長からも答弁がございましたように、既に恐喝事件の捜査の中で逮捕され、現在取調べを行っている段階でございますが、そのような中で、そのような事実があるのか否かも含めて、今後明らかにしてまいりたいと思います。
○福島瑞穂君 恐喝事件の全容など全く聞いておりません。この人間が捜査第四課に、暴力団対策の捜査第四課に在籍していたということはあるのでしょうか。あるいは、この文書は調べればすぐ分かることです。いかがですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 先般も答弁いたしましたが、ただいま先生の御指摘の資料は、報道されています資料等は具体的な個人の名前が書いております。極めて個人の名誉またプライバシーに関するような内容がある報道であり、また提出いただいた資料でございます。したがいまして、そのようなものが警察にあるのか否かということを申し上げることにつきましては大変大きな問題がございますので、その点については答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。
○福島瑞穂君 では、この担当者、手紙を書いている人間が刑事部捜査第四課に在籍したことはあるのでしょうか。
○政府参考人(栗本英雄君) 個別に個人名を挙げられまして、警視庁のどの組織にそういう者がいるのかいないのかということについては、基本的には答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○福島瑞穂君 何も、これは先週国会で問題になり、少なくとも在籍や事実関係についてはもう少し国会の中で明らかにしていただきたいと思います。
 というのは、これはしっかり田園調布警察署作成者印鑑が押しておりまして、これが全く偽物であれば公文書偽造罪になるわけです。警察とすれば、これは公文書偽造罪だというのか、いや違うんだというのは非常に重要だというふうに考えます。
 これについて、個人データ、個人カードについて存否を明確にしていただけませんので、仮定として御質問いたします。
 警視庁の個人カードについて、監督官庁として警察庁は適切、合法と考えているのでしょうか。各都道府県警にも通じる問題だと考えますが、この問題をどうお考えでしょうか。いや、大臣お願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、私は警察庁ではございませんで、警察庁を管理するという役をしょっておりますので、そういう立場から御答弁させていただきますが、まずカードについておっしゃいまして、そのお尋ねの資料は、先ほど刑事局長が答弁いたしましたように、特定の個人の情報に関連いたしますので、それについては、あるとして、ある、ないということも含めて、それは答弁を差し控えさせていただきたいと思うんですが、ですから一般論として申しますと、警察では、警察法二条の責務を果たすために、暴力団であるとかあるいは暴力団員等に関する情報を組織的に集めているのは、これは事実でございます。それで、それを犯罪捜査とか暴力団対策に活用しているところですが、こういうこれも個人情報に当たるわけでありますから、個人のプライバシーに関するところが非常にございます。
 今後とも、この収集それから管理というものは適切にやっていかなければなりませんので、国家公安委員会としてはそれをきちっと指導してまいりたいと思っております。
○福島瑞穂君 情報収集ということなんですが、この個人カードが非常に珍妙なのは、令状請求・送致資料等に添付しないこととわざわざ印鑑が、判こが押してあります。捜査資料、例えば捜索・逮捕令状などには様々な添付資料があるのですが、わざわざこの個人カードは令状請求・送致資料等に添付しないことと判こが押してありながら、されている。ということは、こういう個人カードを作っていることが裁判所や外部に出るのはまずい、存在そのものが怪しい、問題だからこそ出せなかったんではないでしょうか。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいま委員御指摘の資料ということが、そもそも論として、現在調査をしておるわけでございますから、警視庁として、あるのか否かにつきましてはお答えを現時点においては差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、当然、暴力団に関します情報は捜査活動とかあるいは他の警察活動を通じて得ているところでございますが、いずれも適正にまた妥当にそのような収集活動を行い、適正に管理をしているところでございます。
○福島瑞穂君 そもそも、こういう個人カードがあるのかどうかという問題、それからそれが適正かという問題、その情報がどう集められたかという問題、その存否についても、一切だれも、内部のごく限られた人以外には分からないという問題、それから、それの極めて重要な情報が外部に流出をしているという問題、これは全部それぞれきちっと検証しなければならない問題です。
 しかし、存否すら明らかにできない。やじで、あるの当たり前じゃないかというやじなども出ます。でも、あるかないか、そしてそれが適正かどうかということについて、私たちは国会の中でも検証ができない、国民が分からない、そのことは本当に問題だというふうに考えます。
 この存在は、この法律に基づき総務大臣に、もしこれが真実のものであるとすれば総務大臣に届出がなされるのか、総務大臣は届出がされていないことが明らかになった場合どのような勧告、処分等を行う予定なのか、それをお聞かせください。総務大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) これがこの法律の個人情報ファイルに該当して適用除外でなければ事前通知の対象になるんです。しかし、私よく分かりませんよ、この個人カードなるもの。よく分からぬけれども、これは紙みたいですから、紙ならそれは対象外ですね。
 ただ、紙だから対象外でも、やっぱりこの法律に基づいて目的の範囲で利用する、目的外利用や提供はしては駄目だと、極めて限定的ですよね、目的外利用。その法律の適用があることは事実なんですよ。それで、もし不適切な運用があるようなことがあったら総務大臣が関与できる規定がありますからね。法律はそういうふうになっています。
○福島瑞穂君 今回、このような形で明らかにならなければ、国会議員も含めて他の省庁の人たちも、この個人カードなるものがこのような形で存在するかどうかについても知ることはできませんでした。
 今、総務大臣は事前の通知というふうにおっしゃいましたけれども、その存否そのものもまだ全然明らかになっていないわけですから、存否が明らかにない情報を、事前通知がもし懈怠されているとして、もし無視されているとして、どのように監督をされるのでしょうか。どのような監督が可能なのでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) いわゆる法律で言う個人情報ファイルなら、これは通知してもらわないかぬのですよ。
 ただ、今いろいろやり取りを聞いておりまして、紙みたいですから、紙情報ですから、これは、こんなものまで一々事前通知の対象にしていたら大変ですからこれは対象外にしているんです。していますけれども、何度も同じことを言いますが、法律に基づいて適正に処理してもらわなきゃならぬと、そういうことの徹底は警察庁にいたします。ただし警視庁は、これは地方ですから国の行政機関のこの法律の対象にならないと、そこだけは御理解賜りたい。
○福島瑞穂君 私は、今回のことも今度の法律の一つの欠陥を現しているのではないかと思います。
 これが仮に電子情報だとしても、警視庁そのものが存否そのものを今日に至っても国会にすら明らかにしない状況で、もし事前通知をされていなくても、個人情報ファイルが、総務大臣としてはそのことのチェックがやはりできにくいと、できないということはこの法律の欠陥であるというふうに考えます。
 先ほどもありましたが、今国会中の報告を求め、私の質問を終わります。
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 本日がこの委員会の締めくくりの質疑ということでございまして、いささかお名残惜しい気もするわけでございますけれども、本日は警察行政をめぐる件についての集中審議ということで御質問申し上げたいと思います。
 理事会で、三点セットといいますか、その資料が配付されている、そして大臣等にはお手元に行っているということ、もちろんそのことの真偽のほどはまだ定かではないという状況は十分承知しつつ、しかし、やはりその資料等から教訓とすべきものがあると、このような見地からちょっと御質問をしたいと思います。
   〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕
 まず、中元、歳暮などの付け届けリストなるものが出ているわけでございますけれども、そのことについてです。
 地方公務員が中元、歳暮などの贈答品を受け取る場合についての定め、これは地方自治体がそれぞれ定める倫理条例によるものというふうに伺っておりますけれども、その現状がどうなっているのか、把握してあるところを総務省にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(森清君) お答えいたします。
 国家公務員倫理法がございまして、その四十三条におきまして、地方公共団体も、この法律の規定に基づいて、国の施策に準じて、地方公務員の職務に係る倫理の保持のために必要な施策を講ずるよう努めなければならないという規定がございます。これを受けまして、平成十四年六月現在の数字でございますが、四十七都道府県のうち九団体において倫理条例が制定されております。残りの三十八団体におきましても、倫理条例はございませんけれども、独自の倫理規程あるいは通達、通知、指針等を定めておりまして、結局すべての団体におきまして何らかの対応措置が取られているわけでございますが、その中で、先生御指摘の利害関係者からの贈与の禁止あるいは制限等の規定が含まれているわけでございます。
○辻泰弘君 政官財癒着の構造と言われて久しいものがございますけれども、そういう中で、取締り官庁と取締りの対象者との関係というものは、国民から見て癒着やなれ合いだというふうに思われないようにしっかりと対処すべきだと思うわけでございます。
 今回のやつも、真偽のほどは分からないにしても、まあ場合によっては贈収賄につながるようなものにもなるかもしれない事例も、今回のこととは限りませんけれども、あるかもしれないと思うわけでございまして、そういう意味で、その今の倫理条例、しっかりとしたものにしていかにゃいかぬと思うわけでございますけれども、総務大臣、このことについて御所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 国家公務員倫理法というのは、あれは議員立法ですよね。
   〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
 国会で議論されてできて今日に至っておりますが、あの中に今、公務員部長が言ったような規定があるものですから、それに従って同じように考えてくれと、こういうことを地方団体にも言っておりまして、幾つかの県なり市町村では倫理条例を決めていると。決めた以上は守ってもらわないかぬのです。地方公務員も全体の奉仕者です。地域全体の奉仕者、パブリックサーバントですから、そういう認識をしっかり持ってもらって、倫理には特に厳しくやっていただくように指導してまいります。
○辻泰弘君 国家公安委員長にも、警察行政を預かられるお立場から、この点についての警察の倫理確立といいますか、その点についての御決意を一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 警察職員は、これは警察職員に限らないんですが、特に法の執行を担当している警察職員は公正な職務執行を行わなければなりません。そのために、その前提として、常日ごろ国民から疑惑や不信を持たれないように行動すべきだというふうに私は思っております。
 警察庁においても、そのような趣旨で各都道府県警察に対しまして指導しているところと承知をしておりますし、国家公安委員会としても、このような綱紀の粛正の徹底は、十分これは督励をして指導監督してまいりたいと思っております。
 それから、先ほど委員がお触れになりました、今、三点セットとおっしゃいましたが、今調査を、調査ないし捜査をしているところでありまして、仮にも非違があるということであれば、これは厳正に対処しなければならないと思っております。
○辻泰弘君 この点についてもしっかりとしたお取組をお願いしておきたいと思います。
 三点セットのその二つ目のことでございます、いわゆる個人情報にかかわる警察の内部資料の流出、漏えいとされる件でございます。これも真偽のほどはもちろん定かでないという状況ではございますけれども。
 それで、お聞きしたいのは、その警察の保有する個人情報の流出を防止するための現行の法律は何かということをまずお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(吉村博人君) 一般的に申し上げまして、国家公務員法あるいは地方公務員法に規定をされております秘密を守る義務がございますので、個人情報を漏えいした場合には一年以下の懲役又は三万円以下の罰金ということでございますが、当該法律に触れる可能性があるということであります。
 もちろん、法律違反の部分は今申し上げたとおりでございますけれども、懲戒処分の指針も警察庁で定めておりまして、職務上知り得た秘密を漏らすと、相応の免職、停職、減給、戒告の懲戒処分を行うということにしておるところでございます。
○辻泰弘君 これまでの情報流出の事例というものがあったかと思うんですが、お示しいただきたいと思います。
○政府参考人(吉村博人君) 最近におきましての警察官が刑事事件として問われた事例といたしましては、例えば、昨年の十二月でありますが、神奈川県の巡査部長が調査会社からの依頼を受けて、軽自動車の所有者の照会を行って、その結果を当該調査会社に教示をしたということで、今申し上げました地方公務員法違反あるいは文書偽造に問われた、これは逮捕事案でもございますし、懲戒免職事案であります。あるいはまた、昨年の八月の事案でありますが、埼玉県の警部補が同様に調査会社の依頼を受けまして、携帯電話の契約者、住所、被疑者の犯歴を教示したとして、地方公務員法違反あるいは収賄に問われたという事案がございます。
○辻泰弘君 この点につきましても、先ほど審議がございまして、国家公安委員会規則等に準拠してというような御指摘もあったわけですが、この点について、国家公安委員長、一言御決意のほどをお願いしておきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 国家公安委員会規則も作っております。また、先ほど御答弁申し上げたように、それに準拠して、地方の条例、必ずしも警察規定しておりませんけれども、国家公安委員会規則に準じてそれぞれのところで従うべき基準を作っているわけでございます。
 それからさらに、今、こうして個人情報保護法案というものが国会で御審議をいただいているわけでありますので、これが成立しますと、当然この法律の精神に従った検討というものを警察内部でもしていかなければならないだろうと思っております。
 今後、その再発防止と申しますか、こういうのにまた私ども更に意を用いなければならないわけでありますが、事案に応じて所要の調査、捜査というものを尽くして厳正に対処するということが第一でございますが、この種事案の未然防止を重点的に志向した監察というものを徹底して行わなければなりませんのと、職員に対する個人情報の重要性についての周知徹底というものも、従来も行っておりますが、更に力を入れなければならないのではないかと。
 そういった個人情報取扱いに係る業務管理の徹底等の諸対策をこれから更に推進していかなければならないんだろうと思っておりまして、国家公安委員会としても、警察、督励してまいりたいと思っております。
○辻泰弘君 三点セットの一番最後の三点目になりますけれども、これは、いわゆる警察の幹部と目される方が部下の信用情報の提供を消費者金融会社から受けたとされるということでございます。部下がサラ金地獄にまみれていないかをチェックすると、そういうような趣旨だと思うんです。それも真偽のほどは分からないということですが。
 まずお聞きしたいのは、貸金業の規制等に関する法律三十条で信用情報機関という規定があるわけですけれども、信用情報機関の現状と信用情報の提供についてのルール、現行がどうなっているか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 貸金業法の三十条第二項におきましては、貸金業者の、貸金業協会員たるその貸金業者に対しまして、資金需要者の借入金返済能力に関する情報をその目的以外に使用することを禁止しているところでございます。
 またさらに、事務ガイドラインにおきましても、貸金業者及び信用情報機関に対しまして、信用情報の目的外使用の防止等の観点から適切な対応を具体的に求めているところでございます。
 なお、現在、信用情報機関といたしましては三つほど全国規模のございまして、一つは、全国銀行個人信用情報センター、KSCと申すものでございます。またもう一つは、日本情報センター、JICで、さらにもう一つ、CICというのがございます。
○辻泰弘君 それで、お聞きしたいんですけれども、警察が、刑事訴訟法の定める捜査など以外の、平時の場合といいますか平常の場合に、信用情報機関に対して個人情報を照会するということは現行法上どのように位置付けられているのかと。規定がないように思うんですけれども、合法性についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 現行法の規定によりますと、行政機関による信用情報の利用につきましては、金融当局として現在直接の規定があるとは承知いたしておりません。
○辻泰弘君 しからばもう一つ、再度ですけれども、同じく、刑事訴訟法の定める捜査など以外の、平時といいますか平常の場合に、警察からの照会に応じて信用情報機関が情報提供を行うことは現行法上どういうように位置付けられるでしょうか。
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますが、貸金業法の第三十条の二項におきましては、貸金業協会員たる貸金業者に対しまして資金需要者の借入金返済能力に関する情報をその目的以外に使用することを禁止しております。さらに、そのガイドラインにおきましても、具体的な対応を求めておるところでございます。
○辻泰弘君 ですから、その貸金業法三十条二項の精神に反するということが法律的には位置付けになるということだろうと思うんです、精神に反するということがですね。逆に言えば、それしかないということになろうかと思うんです。
 そこで、今時法案、今回の個人情報保護法案に関連してお伺いしたいんですけれども、今回は地方自治体は適用除外というふうになっておりますので都道府県警は法律の対象外であると、こういう位置付けだと思うんですけれども、一方の信用情報機関は個人情報取扱事業者となるということになるわけで、その信用情報機関が警察からの照会に応じて信用情報の提供を行うことは今回の法案でどのように位置付けられるのかということでございます。二十三条に掛かってくるのかと思うんですが、その辺についてのことをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 二十三条一項は、個人情報取扱事業者による本人の同意を得ない個人データの第三者提供を原則禁止としているわけでございます。
 しかし、個人情報取扱事業者からの行政機関への提供に関連しては、二つの例外を認めておりまして、二十三条第一項第一号の「法令に基づく場合」ということでございます。このケースは、例えば個別具体的な犯罪捜査に関連しての情報提供などであると考えております。
 また、同項第四号において「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。」としておりますが、これは、例えば警察の重要な業務である犯罪の予防のために必要であるということが客観的に認められる場合に限られ、このような場合には同意を得ないでも提供できるというふうに考えております。
○辻泰弘君 そうしますと、この法令の定める事務を遂行することには、今回の言われている部下の信用情報の掌握ということは入るでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) それは、警察等の法令の体系ですね、それはちょっとその所管に聞いていただきたいと思います。
○辻泰弘君 時間の関係で最後になるかと思いますけれども、今回の法律の七条において、基本方針を策定するということになっているわけでございます。その中には、地方公共団体が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する基本的な事項を定めると、こういうことになっているわけでございまして、そういう意味で、やはり警察が保有する個人情報の保護の在り方、このことについても含めて、視野に入れて方針を策定いただきたいと、このように思うことが一点でございます。
 それと同時に、警察が持つ個人情報の保護、管理の厳格化に向けての国家公安委員長の決意、この点について細田大臣と国家公安委員長の御所見をお伺いしたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) 答弁、手短に願います。
○国務大臣(細田博之君) 都道府県警察を含む地方公共団体に対しましては、地方自治を尊重する観点から第七条第二項第三号において、地方公共団体が講ずべき云々の措置に関して基本的な事項についてのみ定めるものとされているところでありますので、例えばどのような機関を対象とした条例とすべきか等についてまで国が基本方針で定めることは考えておりません。
○国務大臣(谷垣禎一君) 個人情報の重要性についての職員の意識の周知徹底、その他個人情報取扱いに係る業務管理の徹底を更に推進してまいりたいと思っております。
○辻泰弘君 総理をお迎えしての締めくくり質疑の時間になりましたので、残余の時間ございますけれども、以上で終わらせていただきます。
○委員長(尾辻秀久君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○若林正俊君 自由民主党の若林正俊でございます。
 国民のプライバシーを守る基本法制が小泉総理大臣の出席の下でいよいよ最終の審議をし、ようやく日本でもその実現のときを迎えつつあるわけでございます。国民の皆さん方はこの個人情報保護法に対して必ずしも正確に状況を承知しているとも言えないというふうに考えられますので、やや、国民の皆さんにも御理解いただけるような、そういう趣旨で総理に御質問をさせていただきたいと思います。
 国民の皆さんのところには毎日のようにいろいろなダイレクトメールが届いていると思います。子供が小学校の入学を迎えるようになりますとランドセルだとか机だとか学用品の広告が入っていたり、あるいは娘が成人式を迎えるころになりますと呉服屋さんからそのような御案内があるとか、また、私などうっかり家族の誕生日、家内の誕生日を忘れていますと、何かそのようなプレゼントの御案内があったりして助かることもあるんですけれども、そういうことがありますと、どうしてしかしこんな情報を知られているんだろうか、一体どこまで自分の情報を他の人たちが承知しているんだろうか、そういった疑問と同時に不安も持つようになるわけでございます。
 私たち政治家は、有権者、国民の前に自らの言わばすべてをさらけ出してこの仕事をすると、そういう覚悟でやっておりますから、苦情も言えるような状況じゃありませんけれども、それにしても間違った情報が独り歩きするということについての不安といいますか、不満はあるわけでございます。
 パソコンなどの普及で、インターネットの利用は年々驚くほどのスピードで急増をしております。行政手続面でのオンライン化も進んできております。民間では名簿の販売業などというものも現れてきているわけでございますが、そういう情報技術の発達で私たちの生活やあるいは経済が大変便利になってくる、そういう利便性が増してきますけれども、他方でプライバシーが侵されるというケースも増えてきているように思います。
 そこで、一日も早くこういう個人のプライバシーの権利や、また利益を守る法制を整備しなければならないわけですけれども、日本では個人情報保護制度の論議が国会で活発になりましたのは、小渕内閣のときに、平成十一年でありますが、住民基本台帳法の改正によりまして、住民基本台帳ネットワークシステムの実施をめぐります国会の論議の中でこれが具体的な政策課題になってきたと、このように承知しているわけでございます。
 個人情報保護法案の政府案が最初に国会に提出されたのは平成十三年。途中、新聞など報道関係者の反対でありますとか、あるいは行政部内におきます情報の、情報リストの作成あるいは情報の漏えいといったような問題も起こったりしまして、この政府が当初出した法案はなかなか審議が進まず、廃案になる。そしてまた政府が出し直しをしたわけでございまして、結局六回の国会にわたってこの審議が続けられて今日に及んでおります。今回、民主党など野党もこの国会で独自の対案を提出をするなど積極的な姿勢で取り組んでいただいており、我々もいい論戦が展開されたんじゃないかというふうに思っております。
 担当大臣として、細田大臣、片山大臣、もう連日連夜でございますが、この審議の中で大変御苦労をいただいております。敬意を表しながら、あとしばらくですから、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さて、日本はIT技術面では世界をリードするような先進の立場になっているわけでありますけれども、個人情報の保護の面では、昨日も参考人のお話を聞きましたけれども、ヨーロッパ先進国に比べて二十年ほども後れているというような認識が示されております。
 OECDが一九八〇年にプライバシーガイドラインというのを決めております。いわゆる八原則を明らかにしまして、民間部門を含めた法制化が進められ、EUにありましては、その諸国にこの原則を守る法制が十分でないような国には個人データの移転を限定できるというような指令も出ているわけであります。
 そこで、このたびのこの政府案、法案では、旧法案の段階では基本五原則というものがあったわけですが、これを削除して提出をしております。そういう状況の中で、このOECDのプライバシーガイドライン八原則を今度の法案は十分満たしているのかどうかというようなことについて、その基本的な認識を総理に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) このたびの個人情報保護法案は、個人の権利に関して言えば、本人に開示をするということ、あるいは内容が事実でないときの訂正を求めることができるということ、それから利用停止等を求めることができるということなど、もうちょっと細かくOECDガイドライン八原則に従って申し上げればよろしいのでございますが、それぞれ八原則の、収集の制限、データ内容、目的明確化、利用制限、安全保護、公開、個人参加、責任の原則という八原則に沿って定められたものでございます。
○若林正俊君 国際水準としての個人情報保護の規定が盛り込まれた法案がいよいよ成立するということでございます。
 そこで、この法案について、どうも官に甘くて民に、民間に厳しいんじゃないかというような批判がしばしば行われております。片山総務大臣、そのたびに、決してそんなことじゃないという御答弁であります。私もそんなことはないと思います。そういうことが言われる背景というのは、やはり管理社会に対する漠然とした不安を国民が持っているということのほかに、やはりこの法案が提案されて以来の審議の様子なども、必ずしも報道が的確になされていなかったということもあるんじゃないかなと私は思います。
 個人情報保護法案は、言わば一般法であります、基本法であります。行政機関に対しましては、行政機関の保有する個人情報保護法案、これは言わば特別法の関係に立っていると思います。
 IT時代になって個人情報の経済的価値がますます大きくなってきます。物の販売やあるいは金融の取引、その他各方面でITの利用によって生活や経済の利便性が増します。効率性も高くなります。社会は今大きく変わってきている。そういう、それだけに、民間の積極的な利用、活用、そのことによってビジネスチャンスも広がってくる。
 本来、民間は自由であって、そして市場経済によって動いていくというものでありますから、個人の情報の保護など、どうしても規制をしなければ、ルールに従ってもらわなければならないものを除いては、基本的には自由にやっていくということが好ましいと思いますが、一方、行政の方は、本来、法治国として法の下に置かれた公務員の活動でありますから、行政組織及び公務員の行動というものは、当然のことながら法に基づいて、法の根拠に基づいて行われていくべきものでありますし、その公務員は法令を遵守する義務がある、あるいは職務上知り得た秘密は外に漏らしてはならないというような守秘義務があると。そういう意味で、これらに違反した場合には、当然、公務員法で処罰されたり、あるいは内部の倫理基準に従って措置されたりというふうになっているわけであります。そういうことを前提としてこの法律体系ができ上がっているというふうに思います。
 このたびのこの法制では、こういう原則にのっとって必要な規定を設けているので、私は決して官に甘く民に厳しいというような批判は当たらないと思いますが、改めて総務大臣に結論だけ教えていただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 官に甘く民に厳しいというのは、いかにもメディアに乗りやすいんですよね。そういうことがはやっていますからね。しかし、そんなことは決してないんですよ。今、若林委員の言われたとおり、民は基本的には自主規律なんですよ。だから、必要最小限度のいろいろ規律に服してもらうと。官の方は、これは公開性、透明性ということで、かなり厳格、厳重な規定になっているんですよ。
 結論だけと言われましたけれども、幾つか言いますと、例えば対象は、民の方は一定量の体系化された情報なんですよ、民は。官は全部の情報です、紙を含めて。それから、事前チェックの制度を、あらかじめ個人情報ファイルについては総務大臣に事前通告してもらう。事前チェック、民にはありません。
 それから、個人情報ファイル簿については公表するんですよ。利用目的であるとか、何を載せているかとか、提供先はどこかとか、どうやって集めたかとか、こういうことを詳細に公表するんです。民の方は、包括的な目的だけなんです。
 それから、開示、非開示の基準だとか手続は詳細に決めていまして、民の方は大まかでいいんです。事業者が決めればいい。それから、行政機関の決定に不服があれば、第三者機関の審査会にこれは訴えることができるんです。民は、事業者に対して文句を言って、これは苦情処理なんです。
 そういう意味で、官に厳しく民には甘いと、こういうことでバランスが取れていると私は考えております。
○若林正俊君 大変分かりやすく、しかし丁寧に御答弁をいただきました。
 さて、旧法案と現在審議中のこの法案との関係でございますが、旧法案には基本原則が定められておりました。いわゆる五原則でございます。それが削除されて、この法案では極めて抽象的な基本理念に置き換えられております。私は非常に残念な思いをしておりますが。
 改めて思い起こしますと、この五原則のうち、一つは利用目的による制限。これは、個人情報というのはその利用目的が明確にされるとともに、その目的達成に必要な範囲内で取り扱わなければならない。二つ目は適正な取得。個人情報は適法かつ適正な方法で取得されなければならない。三つ目は正確性の確保。四つ目は安全性の確保。これが漏えい、滅失、毀損などをちゃんと防止するような安全管理のために必要適切な措置が講ぜられるように配慮されなければならない。五つ目は透明性の確保。本人が適切に関与し得るように配慮されていなきゃならない。
 これ、全く当たり前のことを実は五原則は決めていたと思うのでありまして、これを決して強制するものでもなく、一つの努力目標として基本原則を定めたもので、このところが、先ほど細田大臣とお話ししましたが、OECDの決めたガイドラインと同じようなものだと、こういうふうに思います。
 ところが、これが報道機関などからはメディア規制法案だといったようなレッテルを張られて、そしてこのことを削るようなことになったのは残念だと思います。この五原則をこうやって削ってしまったということについては、それが削られてもなおその趣旨が生かされるようにこの法案の中にあるんだと細田大臣からのお話がございましたけれども、国民に対して分かりやすいという意味ではやはりあった方がいいように私は思うんですが、これが削ることになったというのは報道機関からの反対が非常に強かったからだと、こういうふうに受け止めていいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 法律は社会のかがみであると思います。したがって、基本原則というのは報道規制を目的とするものではなく、一般的に個人情報を取り扱う者が遵守すべき原則であったわけでございます。これについて非常に強い反発があったことも事実でございます。
 他方、野党も一生懸命考えられて法案を提出されて、基本的に報道、表現の自由を尊重しつつ、しかし個人の権利利益を保護するという内容の条文を書かれましたが、これも報道からは、なおこれはけしからぬというような反応が出たわけでございますけれども。
 思いは共通のものがあると思いますけれども、非常に報道が過去の不幸な歴史等を背景に、この法案の対象になって、これ、自主規制になっているわけでございますが、基本原則に書かれることも適当でないというように言われましたことは誤解等もあったと思いますが、そういったことを配慮して削除したわけでございます。
○若林正俊君 報道の自由あるいは表現の自由というのは、基本的な大事な自由でございます。これは尊重されなければならないことは当然でありますが、同時に、みだりに報道機関といえども個人のプライバシーの権利を侵害していいというわけではない、こういうふうに思います。
 報道の自由といったような関係で、この法案は、五十条三項では報道機関が自主的にルールを決めるように努力をするというような規定が入っておりますが、このことにどんな報道機関の自主的なルールを期待をしているのか。官が介入するという意味ではありませんが、政府として、提案者としてどういうことを期待してこの規定があるのかということ。
 テレビ、ラジオにつきましては、業界はBROというようなことであって、業界内部でそういう苦情処理や何かもチェックするようになっているんですね。昨日、参考人から話を聞きましたが、雑誌協会は雑誌人権ボックスというようなものを設けて個々人のいろんなクレームについて救済の方法も決めたりしています。新聞もできれば私は、業界として、他社もみんな入った業界としてそういう、個人のプライバシー権利の侵害を受けたとするそういう救済申立てなんかについては、協会としてちゃんとこれに対応するようなそういうシステムを作っていただくことを期待をしたいと思っておりますが、その点についてはどうですか。
○国務大臣(細田博之君) 報道機関はすべてこの法案で除外したわけでございます。それが第一点。したがって、あとは報道機関で自主的な規律を考えてくださいよということを五十条第三項で申しておるわけでございます。
 確かに、放送局については数年前のいろんな事件もございまして、BROという放送と人権等権利に関する委員会機構というのを設けておって、自主的対応をしておられますが、報道全般あるいは新聞その他、こういったことについて政府として特に具体的な要望は申し上げません。あくまでも自主的に報道の皆様方がお考えいただくことだと思っております。
○若林正俊君 介入という意味ではなくて、しかしこういうようなことを期待しているというふうなことは、やはりメッセージとしてそういう報道機関などにも伝えていくという姿勢がやはり必要なんじゃないかと思うんですね。国民の側からは、それぞれいろんなことがありまして、不信、不満もあることは事実なんですが、もう一度、どうですか。
○国務大臣(細田博之君) これは、この審議を通じまして、与党、野党を問わず、それでは報道機関は王様であって何でもいいのかという御質問もありました。それから、各政党も様々な報道に遭って、個々に見るといろいろな経験があります。
 しかし、私どもは、それはこういう法案によって対応することではなく、民法、私法上の措置等、それぞれの例えば損害賠償請求とか記事の取消しとかそういう謝罪とか、そういう面で対応するという現在の在り方でやっていただきたいと思っておりまして、今後の世論等の動向は見極める必要があると思いますけれども、そのような考えでございます。
○若林正俊君 それではちょっと質問を変えたいと思います。
 この個人情報保護法の下でルールに従って情報の収集、管理、そしてそれぞれの個人との対応などを定められる対象となる事業者は一応五千人というめどで、五千人を超える規模のデータベースを持っている場合に絞っているわけでございます。
 ただ、五千人分に満たないような小規模のものでありましても、例えばお医者さんですね、開業医の持っているカルテの情報でありますとか、あるいは貸金業などでそれほど大きな規模で貸金業を営んでいない貸金業の人たちの貸付金及びその回収の情報とか、規模が小さくても大変センシティブで、それが他人に知られるということは好ましくない、そういうような業、分野もあると思うんですね。そういうような分野が全くこの基本法制の枠から外れているということについては、どうも納得できない部分がございます。
 特に、衆議院においても附帯決議にありますが、医療とか金融・信用とか情報通信といったようなより高度な個人の情報を保護していかなきゃならない、管理をしなきゃならないといったようなものについては、この基本法と別に個別法で対応をすると、それを早急に検討をするということが言われております。
 私も、やはり情報の性格によりまして個別に対応しなきゃならないことの中に今申し上げたようなことがあるわけでございますが、これについてどう対処していくのか、できるだけ早くできるところから個別の法制整備を図っていくべきだと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(細田博之君) IT社会の進展に伴いまして、あらゆる民間の個人、企業がパソコンを導入したり、その他の手段によりまして個人情報を集積し始めているわけでございますので、例えば本屋さんでも、米屋さん、酒屋さん、運送屋さん、卸売業者も、町じゅうにそういう方々がたくさんおられます。そこで、だれでもかれでも個人情報処理事業者だということは適当でないということから、五千人分以上の個人情報を処理するということで、すそ切りをすることを政令で定める方針を政府は明らかにしておるわけでございますが、たとえ一件でも、個人情報について非常に大きな問題があるであろうというものについて特別な措置をせよという御議論は、確かにそういった需要があると思います。例えば、金融にしても、あるいはお医者さんですね、そういった、あるいは情報通信等でもあるかと思いますが、その場合には、この法律上も書いてありますように、個別法において対応をする、その検討を、個別に政府部内で検討を開始すべきであると思っております。
○若林正俊君 できるだけ早く個別法の検討を進め、結論を得て立法にすべきだというふうに思っております。
 その医療、今お話しの医療に関連してでございますけれども、御承知のように、今、遺伝子の解析技術が大変進んでおりまして、そのことが治療のみならずバイオの世界にも非常に活用されていくということが展望されているわけでございます。この法律は、適用除外、報道機関などと並びまして学術研究というのは適用除外になっているわけでございます。
 しかし、この遺伝子解析技術の進歩に伴って、DNAの分析、その研究開発を進めていく、このことが適用除外になるわけですけれども、しかしこの研究の基礎になりますデータというのは、個々人の病歴でありますとか、あるいは生活歴でありますとか、家族の情報でありますとか、そういうものの協力をいただいて、それをデータベース化しながら大量に処理していかなければできない分野であります。そういう意味で、この提供者側の個人情報の保護システムというものがしっかりしていないとこの研究開発への協力が得られない、信頼が得られないということであります。
 ヨーロッパは、先ほど言いましたOECDの八原則、さらにEC指令なんというのがありまして、この辺についてはきちっとした対応ができているわけですね。それであるがゆえに、この遺伝子系統の学術研究分野も実用化を含めて大変発達してきていると。
 そういうことを考えますと、日本でも、日本医師会を始めとしてバイオ産業の会議などからも、この個人情報の提供者を守るという意味で早急に特別の立法措置が要るということを指摘しているわけですね。言っているんですよ。これは急ぐと思うんです、私は。
 そういう意味で、この分野を、先ほどの医療、金融・信用あるいは情報技術、情報産業ということと並びまして、あるいは急ぐ度合いからいえば非常に早く措置しなければならない、こんなふうに思うんですけれども、この点について、総理、どうですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 御指摘の医療分野における治療方法といいますか、技術開発、医療機器の発達というのは目覚ましいものがありまして、遺伝子情報等というのは、自主的な個人の協力によって提供された場合にも、本人が分からない病気までも専門家のお医者さんは分かると。それを他人に流されたら個人のやっぱりプライバシーの侵害になる。これをいかに守るかということは非常に重要なことだと思っております。
 今後、そういう特別な分野においてどのように個人情報保護、プライバシーの侵害防止を、防ぐかということについては、やっぱり早急にこの法案成立後検討していかなきゃならない問題だと認識しております。
○若林正俊君 お医者さんとか医療にかかわっている看護師さんたち、この人たちは守秘義務があるんですね。ただ、研究開発の分野になりますと、お医者さんたちだけじゃなくて守秘義務の掛かっていない人たちも多数かかわらないと研究開発が進められないということが実情としてありますので、今、総理おっしゃられましたけれども、もう早急にこの問題を詰めていただいて対応をしていただきたいと思います。
 次に、裁判所の管轄の問題についてお尋ねしたいと思います。
 この個人情報が侵害されたとして、いろいろな不服の申立て、いろいろございます。それが裁判になるといったようなときに、これ、中央省庁、特に行政にかかわる場合ですが、中央省庁の措置であればみんな東京地裁の方に来なきゃいけないんですね。情報公開法では、いろいろな議論がありましたけれども、高等裁判所の所在の地方裁判所で訴訟できるようになっています。
 これは司法制度全体にかかわる問題ですから、その中で解決をしていくんだ、検討しているんだという御答弁でございます。それはまあもっともだと思うんですけれども、総務大臣がしばしばお答えになっております、できるだけこの行政庁内部における権限を地方の出先に下ろすと、処分権限を。そうすると、その地方の、出先の処分に対する不服ということになりますから、その地方で訴訟できるわけですね。これはやはり、行政の迅速化、責任の明確化、いろいろな面から、できるだけ各省庁、この決定を地方に下ろしていくということをしっかりさせなきゃいけないと思うんです。
 これは省庁に通じている問題で、総務大臣はそういうお話を、説明をされ決意を述べておられますが、総理からこれをひとつ各省にしっかりと下ろしていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 全部東京に来なきゃいけないというのは、住民にとっては迷惑、不便なことでありますので、できるだけ地方にその権限を委託していくということについては、趣旨をよく徹底してそういうような措置を図る必要があると思っております。
○若林正俊君 今回のこの法案につきましては、担当の大臣として、基本法制の部分については細田大臣、行政にかかわる部分については片山大臣と、担当を決めていただいて審議が続けられてきたわけであります。問題は、この法案が成立した後のことなんですが、後のことは主務大臣にいろいろなことを、権限もあるいは責任もかぶせているんですけれども、これ実際、各省庁に徹底をし、そしていろいろな個人からの要請に対応しながらやっていくには、私は、この法案が成立後におきましても是非内閣で担当の大臣というのを御指名いただいて、その担当大臣が各省庁との関係、連絡調整あるいは協議などをやるという方針を、是非今後この、この基本法制の執行、運営につきまして担当大臣を続けて決めていただきたいということをまず要望したいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 行政機関法の方は総務大臣が御担当でございます。そして、一般の、民間の個人情報保護法の主務大臣は、おっしゃいますように事業者の業種によりまして主務大臣が異なる可能性があるわけでございますので、各政党からも様々な御要望がございました。問題点提起もございました。
 そこで、私ども、方針を今決めておりまして、内閣府に各省のこの問題の連絡会議を開催して、関係省庁を構成員とする連絡会議を開きます、常に。そして、常に、いろんな消費者の国民生活センターに寄せられるもの、各省に寄せられる苦情、こういう苦情処理は、それぞれどういう状況にあるか等の連絡をすると。そして、非常に問題のある、悪質でかつ国家的に見て報告徴収、勧告、命令までいかなければならないようなものについて、一体主務大臣はだれなのかという問題がございますので、それは、各省連絡会議で、いよいよこれは報告徴収する必要があると思うが自分はその主務大臣であると思うと、そして、主務省が、それをまた関係省も協議をいたしまして、それじゃ主務大臣はこことここにいたしましょうということで協議をするような機関を定めて、そういう議論が遅滞なく行われるようにしたいと思います。
 ただ、その一番上にあります調整の大臣が、だれがこの担当大臣かということについて、国民生活局を事務方とするわけでございますけれども、その担当大臣はだれにするのかということは内閣総理大臣の権限でございますので、決めていただかなきゃならないと思いますので、あとは総理大臣にお願いします。
○若林正俊君 今お話しのように、国民生活局、国民生活センターがいろんな苦情処理などをいろいろやるという仕組みになっているんですね。国民生活局の担当と、こういうふうに行きますと竹中さんに行くわけですけれども、竹中さん駄目だというわけじゃない、いろんな忙しい話がありますが、どなたとは言いませんけれども、これは、関係各省庁が非常にかかわって、それで円滑な仕事をやるということになっております。だれということではありません。
 是非、この法律が成立した後、この施行、執行につきまして、民間の事業の部分について、民間の事業について、官の関係、行政機関の中は総務省ということになると思いますが、そのことについても、しっかりとした責任ある調整をし、取りまとめていく担当大臣を是非指定を、指名をしておいていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 御指摘も踏まえまして、よく検討したいと思います。
○若林正俊君 そこで最後に、この委員会審議を通じて、防衛庁におきます情報の収集、あるいは警察庁におきます警察機関の情報の収集管理、また更には漏えい問題、いろいろ指摘をされ、論議が行われました。
 やはり、官におきます情報管理というのは、いろいろ注意をしてもやはりいろいろずさんなことがあるんじゃないかということがしばしば報道をされてきているわけであります。そのことがやはり不信を持たれていると思います。
 この法律が施行、成立しました機会に、これは法律が成立しなくてもやらなきゃいけないことですけれども、この法案が成立した機会に、官全体として、組織体制の確立のみならず、また、そこに働く公務員の情報、個人情報保護に対する意識の改革といいますか刷新といったようなこと、規律の厳格化というようなことについては、これはもう全省庁に通じて徹底的な見直しが行われ、対応措置を取らなきゃいけないと思うんです。それはやはり総理大臣からしっかりとした指示を出していただきたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(片山虎之助君) それじゃ、まず私からお答えさせていただきますが、制度は、これができると現行よりは相当進むんです。
 また、特に皆さんの御意見も国会での御意見もあったものですから、罰則も三条も追加をするわけですね。これは、民間の場合には、勧告をやって命令をして、悪質なものだけ限定的に罰則ですけれども、公務員の場合には全部掛かると、こういうことですね。
 そこで、制度ができても運用ですよ。運用は人です。だから、そういう意味では、今、委員が言われましたように、責任体制を確立することと、公務員全員に対して十分な教育研修をやって意識を徹底することでございます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 総務大臣の答弁のとおり、人が大事でありますので、よくこの趣旨を徹底させるように研修なり訓練なり、しっかりと厳格に管理体制注意するように各省庁に徹底したいと思います。
○若林正俊君 これで終わりますけれども、大変重要な法律が今成立しようとしております。是非この法律が国民の信頼をかち得るように、その運用、執行に当たって万全を期していただきたいと御要望しまして、終わります。
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。
 今日は総理来ていただいております。先ほど自民党の委員の方からは余り総理に聞くチャンスがなかったので、私の方から総理を中心に基本的なことをお伺いをしたいなというふうに思います。
 先ほど若林委員の方からいろいろ質問のあった中で、総務大臣も運用は人だという話ございました。まず冒頭、今朝のニュースですので質問通告はしてありませんけれども、総理に、総理の方には報告が来ていると思うんですが、例のあのSARSの問題で、大阪の、関空の、厚生省のところが報告、ちゃんと報告が来ているのに報告をしなかったと。厚生労働省の方にも報告をしたが、またそれもずっとほったらかしで、十六時間か十七時間ですか、ほったらかしになっていたと。これは命にかかわる情報なんですね。
 今回のこの個人情報保護法、行政の個人情報保護法と意味合いは多少違うかも分かりませんが、情報という意味では大変重要な情報だと思います。その意味で、あのような状況になっていることを、先ほどの運用は人だというお話ありましたけれども、正に制度はできていても何にもできていない、こんなことで本当にいいのかというふうに、国民は大変不安になっていると思います。
 特に今日の、今朝のニュースでございますが、あのSARSの問題で、大阪の方大変な状況に今なっています。泊まったホテル、実質的には何千万という被害が出ているそうです、キャンセルが相次いで。本当にこういうことでいいのかというふうに私は憤りを感じるんですが、まずそのことについて、総理、御所見をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 必要な情報をいかに必要なところに伝達するかということに対しまして、今いろいろな御批判を受けております。この御批判に耳を傾け、今後手抜かりのないような対応をしなきゃならないと。正に、制度はできましてもそれをしっかりと適用するのは人でありますので、このような点につきまして、今回のSARSの件につきましても、より適正な対応が取られるように指示を出しておりますので、今後とも御批判にこたえるような対応をしっかりしていきたいと思っております。
○高橋千秋君 この問題については厚生労働委員会でもまたいろいろ論議があると思いますし、いろいろなところで論議されると思いますけれども、大変急を要する話だと思います。是非、対応をすぐに取っていただきたいと思います。
 続いて本題に入りたいと思いますけれども、今回のこの個人情報保護法については、参議院のこの委員会でも本当に熱心に今までやってきました。しかし、先ほどの若林委員のお話を聞いていても、まだまだ不備な部分が随分あるんじゃないかということが自民党、与党の方からも今いろいろ指摘があったかと思います。私は、前向きに対処していきますというようなお話ありましたけれども、やはり法律の中にきっちり決めていかなければいけないというふうに思います。その意味で随分まだまだ不備があるんじゃないかなというふうに思うんですね。
 情報公開法という法律ができて、後ればせながら日本でも情報公開法ができました。これは情報をどうやって公開をさしていくかという問題、もう一方で、こっちの個人情報保護法等については守るという、情報を守るというそういう法律。公開しなければいけないところと守らなければいけないところ、これは当然あるわけですけれども、しかし現状を見ると、国民の方から見ると、守ってもらわなければいけないところを守らずに、公開してほしいところは公開しないというような、そういう国民の感覚ではないかなというふうに思うんですね。
 この行政の個人情報保護法の第一条のところに目的があります。何度もこれは総務大臣からも答弁ありました。しかし、これ読むと、行政の適切かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護するというのがあるんですね。
 私、非常に気になるのは、行政の適切かつ円滑な運営を図りつつというのがまず先に来ているんです。これは、そうじゃないよというふうに総務大臣はずっと言われてこられましたが、正に行政の側から見た、自分たちの運営をしやすいようにするための法律だというふうにここで言っているんではないかなというふうに思うんですね。
 確かに、このIT化の中で非常に情報が飛び交って、その情報を守らなければならない、情報を管理しなければならないという部分は我々も必要だと思います。ですから、今日も後で修正動議を出させていただきますけれども、それは必要です。
 しかし、今回のこの法律見さしていただいて、私は、だれのためにこの法律を作っているのか、作るのかということがどうも国民に見えてこないんですね。どうも官僚が便利になるために、行政が便利になるためにこの法律を作るんだ、そういう発想があるんではないかなという、これは私だけじゃなくて国民の多くの人が、そしてマスコミも当初いろいろ言っておりました。それもやはりこういうところからあるんだろうと思います。
 総理にお伺いしたいんですけれども、これは確認をしたいと思いますが、だれのためにこの法律を作るのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。総理にお願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この法案は、国民の便益あるいは権利なり利益にどのように行政が対応するかというような法案でございます。
 国民は様々なサービスを行政側に求めてまいります。それに的確に対応するためにはどうしたらいいかと。今御指摘のように、一方では自らの情報を保護してもらいたいという要求と、情報を公開してくれという要求、一見相反するようでありますが、これを両立さしていかなきゃならない。
 例えて言えば、自分の情報はどうなっているのかと、医療情報におきましても知りたいと、あるいは学校なんかの内申書もどうなっているのかと、情報公開できるようになったと。一方、こういう個人の微妙な、人に知られたくない情報というのは守ってもらわなきゃならない。
 同時に、役所に対しては、これから世界でもIT最先端の国家になろうと今実現を目指して努力していると。一々役所に行かなくても、住民票等、自宅で手に入れることができる。あるいは税務申告などでも、これはもう税務署に行かなくても自宅でできると。金融機関に対して、一々金融機関に行かなくたって自宅で払込みもできると。こういうIT社会、今まで考えられなかったような便益を提供することができるわけですね。
 こういういろいろな住民の要求に行政側はどう対応していくか、これはやっぱりIT最先端国家を実現しようというなら、そのような住民の、国民の要求にこたえるような行政サービスを考えなきゃいかぬ、そういう体制を整備する。一方では、人に知られたくない個人情報、プライバシーを侵害してもらいたくない、これを守っていかなきゃならない。
 そういう意味におきまして、御指摘の点を十分踏まえて、いかに多くの国民に便益を提供するか、同時に権利、プライバシーを保護していくかという法案であるということをよく念頭に置きながらこの法案の運用に厳格に対応していかなきゃならないと思っております。
○高橋千秋君 正に総理の言われていることはそのとおりだと思います。ただ、今回のこの法律見ていて、情報を国が守ってやるんだということではなくて、個人の情報は守られるというそういう権利が、基本的な権利があるはずなんですね。それを担保するのがこの法律だろうというふうに思うんです。
 しかし、いろいろ中身を見ますと、自分の、いろいろこれまでの委員会の中でも何度も出ました、自分の情報をどうやって使っているのか分からない。いわゆる自己情報コントロール権、この部分ですね。さっきも若林委員から話があった、突然ダイレクトメールがやってくると。確かにこれ、どこで私の名簿を手に入れたんだろうと不安になることがあります。しかし、それを、行政もやっぱり同じようにいろんな情報を民間よりもっと簡単に手に入れやすい。過去にずっと、この委員会の中で問題になった防衛庁の問題もありました。
 その意味で、やっぱり自己情報コントロール権というのをきっちりとこの法律の中に入れるべきだというふうに思うんですが、我々のこの修正動議の中には入れておりますけれども、今正に、今日採決されようとしている中にはこのことがはっきりと書かれていないんですね。総理が言われたように、やっぱり守らなければいけない、その法律というのは、やっぱり自分のことでありますから、守ってもらわなければいけない。非常にナイーブなことたくさんあるんですね。
 その意味で、もう一つこの委員会で問題になったセンシティブな情報、片山大臣は、女性にとっては年齢もという話ありました。適切かどうか分かりませんが、おかまにとっては男性か女性かというのもセンシティブだと言われました。これは片山大臣が言ったんですね。それと、最近問題になった曽我ひとみさんの住所の問題、あれも、住所ですけれども非常にセンシティブな問題だと思います。
 そういうセンシティブなことについても、はっきり言って明確な規定がないんですね。OECDの勧告とかEU指令とかそういうところと比べても、やっぱりかなりそういう部分は劣っているように思います。その意味で、私はそういうことを明確にすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 自己情報コントロール権という権利について、学説等でいろいろ議論されていることは事実でございます。
 しかしながら、これを、条文上これは自己情報コントロール権を認めると、すべての自己情報は自分がコントロールすることができるんだという定義をすると、多分非常に広過ぎて、住所だとかあるいは財産ですね、不動産登記だとか抵当権とかも含めて、じゃ全部嫌なものは知られないようにできるのかというと、そうではないんですね。やはり社会の要請とそれから自分のプライバシーの権利との調整を図っていかなきゃならない。
 したがって、そこで政府案は、そのような、逆に学説上もあいまいで、かつ自己情報であればすべて自分がコントロールして取り消したり人に分からないようにできる、弁護士さんが調べたくても調べないようにできるなんていう権利を作っても仕方がないんで、これは、むしろ自分から開示を求める、訂正を求める、利用停止を求める、あるいは第三者に自分の情報を提供するに当たっての本人同意を求める等のしっかりした権利を認めることが、実際に自己情報に対するコントロールの権利を認めたことになるということで十分に措置しておると見ておるわけでございます。
 それから、センシティブ情報も、ヨーロッパ等ではいろいろな定義がございます。しかし、その中には、何かよく分からないものもあるんです。例えば、労働組合についての情報はセンシティブ情報であると立派にもう書いてあるんですが、野党案にはそれが入っていない。じゃ、それはどうしてなのかとか、そういうことも詰めていかなきゃならないセンシティブ情報たくさんある。
 それから、健康情報一般とか、あるいは財産情報も大事なセンシティブ情報でございますので、そういった定義が非常に難しいということもございまして、そういう概念は採用しておらないわけでございます。
○高橋千秋君 先ほど総理の方から、国民のニーズにこたえるというサービスをしていくという話ありましたけれども、さっき裁判所のことも話出ました。地方になるべく下ろしていくという話ですけれども、情報公開法と比べると、これも何度も問題になりましたが、地方で訴訟できないんですね。さっき総理も言われました。
 私、法律の中にやっぱりそういうことをちゃんと入れればいいじゃないですか。別に、あえて地方に下ろしていくんなら、そのことをきっちりとやればいいと思うんですよね。その管轄の問題ですね、これも何度も問題になりましたけれども。総理から先ほどそういうふうな話ありましたけれども、総理として、もう一度確認をしたいと思うんですが、法律に入れるべきじゃないですか。総理に是非。
○国務大臣(片山虎之助君) この裁判管轄の問題は当委員会でも相当議論していただきまして、今は司法制度全体を改革しようというときにですよ、管轄の問題も大きなテーマですから。
 だから、ここでそちらの方の議論に任せて、今回は、今の行政事件訴訟の原則的な考え方でいって、できるだけ運用で、教育と医療が多いんですから、八、九割そうですから。だから、いろんな病院だとか学校に、学校の長が開示請求その他のことの決定権を持つようにして、現場で訴訟が起こるようにするのが一番ベターだと。
 司法制度改革という一つの大きい、今進行中のことがありますから、そこでこちょこちょじゃありませんが、またいろんな例外をやるとかえって大きな司法制度改革の方に支障が出るんじゃなかろうかと。情報公開はいろんな議論がありましたが、あれはなかなか現場に下りないんですよ。現場で下ろしにくいんです、事柄を見ますと。ただ、今回の個人情報保護の場合には私は必ずしもそうではないと思うので、運用上、対応できると考えております。
○高橋千秋君 運用という話がありましたが、冒頭に言いましたように、運用は人によるということで、かなり人によって違ってくるという思いがありますから、その意味ではやっぱり法律にきっちりと定めていくべきだと思うんですね。
 それで、先ほど総理の方からIT先進国としてという話がありました。私は、そのIT先進国を標榜する日本とすれば当然のことだと思うんですが、いろいろマスコミからの批判もあります。報道の自由という部分で今回かなり何度も何度もやって修正して、一度廃案になったものがまた出てきたと。報道の自由ということがずっと問われてきているんですね。このことによって今回のこの法律、自民党の委員からは前の方が良かったというような話がありましたけれども、その報道の自由が今回のこの六回の国会を経てきた中で論議されてきたわけでありますけれども、本当にきっちりと守られたというふうに思われますでしょうか。総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 旧法案でも私は報道の自由は守られていると思っていたんです。しかし、多くの方々、特に報道の関係につきましては各方面から不安や懸念が強く表明されました。そのような指摘や国会での議論を踏まえて、それでは、より報道の自由に関する、あるいは言論の自由に関する不安や懸念を払拭するためにはどのような修正が必要かということで改めて法案を提出したわけですから、私は、前もそのような報道の自由を侵害する意図は全くないし、個人のプライバシーの保護と報道の自由、言論の自由は両立させなきゃならないといった点につきましては、より安心感を与える法案になったものと考えております。
 だからこそ、慎重に審議しようと。旧法案を提出した際にも、私は、報道の自由、言論の自由は大事なんだから、必ずしも、政府案は完全なものであるという前提、今までそれは当たり前のことだったんですけれども、そういう前提は前提として、多くの国会の議論を踏まえ、修正するべきは修正してもいいんじゃないかという柔軟な対応で臨んだわけであります。そして新法案を提出したわけですから、もう最初のときから私は報道の自由を制限する気は全くありませんし、民主主義社会において言論の自由、この重要さは私もよく認識しております。
 そういう点から考えまして、今回は前回よりもそういう報道の自由に対する懸念や不安は払拭されたものと考えております。
○高橋千秋君 総理はそう言われますが、昨日の参考人の話なんか聞いても、まだまだそうではないという意見もかなりあるんですね。
 それで、この法律を見ますと、国民の方からの声としては、行政、個人情報保護法の方ですが、行政による民間事業者を一律に規制するようなものではないかと。先ほど総務大臣の方から、官に甘く民に厳しいというのは当たらない、官に厳しく民に甘いと言われました。もしそれが本当だとしても、それは当然のことなんですよ。官に厳しいのはそれは当然、当たり前のことなんです。そういう姿勢でいかなければいけないけれども、残念ながら中身を十分見ると、やはり官に甘くというところはぬぐえないと思うんですね。
 その意味でも、先ほど主務大臣の話がありました。そういう前向きな話ありましたけれども、その主務大臣についても、今回のこの法律の中にそれはきっちり出ていないですね。今後のこの法律の主務大臣、それから主務大臣によって様々な解釈ができるような中身があるという批判もずっとありました。いろいろ見ますと、本当にあいまいな抽象的な表現、物すごく多いんですね。これだとどのようにも解釈ができる。
 先ほど総理が、完全なものが前提だというお話ありましたけれども、やはり法律というのは日本国民全員に当然影響があるものでありますから、やはり完全を目指していく、本当に完全というのはなかなか難しいかも分からないけれども、より完全に近い、そういう法律を作るのが当たり前だと思うんですね。その意味で、今回のこの法律を見ると、非常に抽象的で、どうにでも解釈できるような、そういうことが多いんですね。だから、国民は官に甘い、そのように言っていると思うんです。
 それについて、総理、どう考えますでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 法律の話ですから。
 法律は具体的にケースごとに書くということはできないんですよ、法律ですから。ある程度それは、まとめて書く、抽象的、一般的に書くということはあるんですが、少なくとも現行法に比べまして、恐らく委員の認識には目的外利用・提供のところがあるんだろうと思いますけれども、現行よりは相当厳重にしているんです。例えば、相当の理由というのをどうにでも解釈できる、それはできないんですよ。最終的には司法の判断ですけれども。それはだれが見てもなるほどなと。
 いつも言いますけれども、郵便局で恩給を出す場合に、郵便局に恩給を出す人のデータを恩給局が渡すと、こういうことなんですよね。出入国をきっちりやるために、旅券データについて必要なものを法務省の出入国管理局に渡すというような場合で、だれが見ても納得できないようなものはすぐ利用停止の請求してもらえばいいんですよ。あるいは最終的には審査にかける、訴訟ですから。
 そういうことで、法文としての書き方というのがあるものですから、やや抽象的、一般的という御批判があるいはあるかもしれませんけれども、しかし、それは厳重な、厳しい、厳格な運用をするということが前提でそういう書き方をしているわけでございまして、そこは是非御理解を賜りたいと思います。
○高橋千秋君 確かに基本法で全部定めるというのはなかなか難しいかも分かりません。先ほどお話、答弁あったかと思うんですが、それぞれの個別の法律を今後考えていけばいいというような話もありました。やはり私、これは法律を作るときに個別法も同時に進行してやるべきではないかというふうに思うんですが、どうなんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 確かに金融とか医療を中心に大きな問題が発生しているケースがありますし、それが非常に個人のプライバシーを侵害する度合いが大きいということ、それから、この個人情報保護法が五千というような規模で律しておりますが、それ以下のものについては律していないことから、個別法を検討した方がいいという御指摘はこの委員会でも強くあったわけでございまして、それは今後とも政府担当部局において積極的に検討いたすわけでございます。
 それは責任を持って検討するわけでございますが、問題は、今、元の金融情報が次の情報業者、次の情報業者に転々と行く場合に、金融を律する法律で律せるのかというと、多重債務情報がいったん流れますと、普通は金融庁が考えます金融規制法では対応できません。それでは、一般法である個人情報保護法でどこまで対応できるか、それと金融を押さえるということをどういう関係を持つかということをまた更に深く検討しなきゃなりませんので、総合的に、あくまでも総合的に考える必要がある。金融庁の金融機関を監督することだけを強化する法案をイメージしていただくとすると、それは必ずしも十分でないというところが難しいところでございまして、それはしかし必要なことでございますから、関係部局等あるいは関係省庁でよく検討を深掘りしていく必要があると思っております。
○高橋千秋君 この法律が国民やマスコミから不評だった、現在も不評だと思うんですが、その部分というのは基本的に、冒頭に述べましたけれども、官僚、行政というのは悪いことをしないんだという発想でこの法律は作られているんじゃないかなというふうに思うんですね。最近いろんな事件があって、昔は国とか政府、行政というのを国民はやっぱりもっと信頼していたと思うんですね。今日もこの国会周辺に修学旅行のバスがあふれ返っていまして、私も時々地元の中学生が来るとごあいさつさせてもらいますけれども、私が中学校のときにこの国会見学に来ました。あのときに政治家を見た姿と、政治家や官僚の方を見た姿と、現在のこの姿はどうなのかなというふうにいつも思うんですね。
 その意味で、国民の信頼という部分は私はかなり落ちているんじゃないかと思うんです。だから、法律の中にあいまいな部分があると、それを、さっき大臣はそんな簡単に解釈できませんよという話ありましたけれども、やはり信頼していないんですよね。だからこそ、もっと明確に細かくいろんな部分をやっぱり、私は公務員を性悪説、性善説どっちでも考えていません、それぞれ人による部分もあると思います。しかし、法律というのはある程度性悪説で考えていかないと駄目な部分があると思うんですね。
 その意味で、私は、この法律をもっと詳しく、もっと個別法も作りながら、そしてもう一つ我々が提案しているのは、主務大臣の権限だけではなくて第三者機関をやっぱり作ってチェックをすべきだ。それがないと、第三者機関を作れば国民もやはり信頼すると思うんですね、官僚だけでやっているんじゃないと。主務大臣といっても片山大臣が全部それやるわけじゃないでしょうから、それは部下の官僚の方々がそれぞれの担当をやるわけですよね。ですから、私は、第三者機関もきっちり作るべきだ、法律もやっぱり個別法も同時に作っていくべきだというふうに思います。その意味で今回のこの法律の中にはそれが抜けているんですが、総理、どう思われますでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 官の方が信頼されていないと言いますが、また政治家も信頼されていないと言いますが、私は、これは民主主義社会の中で政治家は信頼されていないというのは日本だけじゃないんです。日本は、外国の政治家は立派だという表現がよく出ていますが、外国へ行ってみると分かりますよ。もう外国のマスコミはやっぱり自国の政治家というのに対しては大変批判しています。日本と同じように批判している。フセイン大統領一〇〇%支持だ、あれは言論統制しているからです。共産主義国家、独裁国家では政治家の批判は許さないから非常に信頼されて言うことを聞くと思っているけれども、もう政治家の批判は当たり前だ、自由な言論が許されるところではどこでもやっぱり批判自由であります。
 官においても、全般的に批判ありますけれども、いろいろな地方へ行きますと、役所が関与すると、ああ、あの人はいいなと。民間を信頼しない風潮はまだあるんですね。一部でやっぱり役所の中でも批判を受ける点はたくさんあると思います。しかし、日本の国におきましては、やっぱり行政がしっかりしているということは大事な点でありますので、この法の運用に関しましても国民の批判を受けることがないようにしっかりとした体制を確保していくための措置が必要だと、十分心して対応していかなきゃならないと思っております。
○高橋千秋君 時間が来たので終わりますが、フセインと小泉総理、一緒のように言われておりましたけれども、私は、先ほど細田大臣から法律は社会のかがみという話ありましたが、私は、今回審議している法律は随分曇った鏡だというふうに思うんですね。やっぱり、もっときらきらに輝くそういう鏡にするためには、やはりまだまだ審議が必要だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。
 まず私は、個人情報の保護に関する法律案、いわゆる基本法案につきましてお尋ねをいたします。
 この法案は、IT社会におきまして国民の権利利益を保護するための基盤でございます。いわゆる高度情報通信社会というのは、国民生活を便利にしますが、しかしそのことによって国民のプライバシーが丸裸になる、そのようなことがあってはならないという、そういう基本法制でございます。
 そこで、森内閣のときにはIT戦略会議を発足をさせ、二〇〇〇年六月のサミットではこのことが大きなテーマになりました。五年間で日本をITの先進国ナンバーワンにするという非常に意欲的また野心的な戦略で、インパクトがあったわけでございますが、その後、やや国民のこのITに対する熱が冷めているという印象を私は率直に持つわけでございます。
 そこで、改めて小泉総理に、総理としてどのようなIT戦略を持って国民生活を向上させ、さらには日本の国の繁栄を維持していこうというお考えなのか、お尋ねをいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 森前内閣の時代に、今後、世界最先端のIT国家を実現させるという目標を立てて、今その実現に向けて努力しているわけであります。IT社会、これはもう目覚ましい進歩を遂げていると思います。もう、今日こうしてああいう、生徒の皆さんが傍聴されていますけれども、我々の時代には想像できない、パソコンにしても携帯電話にしてもIT情報にしても、運用にしても知識にしても能力にしても、もう大人なんてかないませんね。
 そして、このようなIT情報通信技術の発達によって、専門家の分野だけでなくて、いかに国民がこのIT社会の利益を受けるかということの体制を整えていこうというのが、最先端のIT国家実現を目指すということであります。現に、今は日本は高速インターネットのサービスの料金は世界で一番安い水準になりました。それで多くの国民は、今までだったら住民票を取りに行くのに市役所へ出掛けていかなきゃならないというのも自宅でできるようになった。先ほども言いましたように、税務の申告だって税務署へ行く必要ない、自宅でできる。銀行の振り込みだって、今はもう、夜帰ったら銀行閉まっているといったって、自宅でもうインターネット使って振り込みできる。これもう正に、役所じゃない、国民が便益を受けるんです。
 こういうようなIT先進国家を作るための努力をしているのであって、こういう中で余りにも情報が錯綜する、あるいは個人の情報がいろんな機関によって集められる、それが逆に、知られたくない情報まで人に知られちゃ嫌だ、これはやっぱり保護しなきゃならない、個人の権利を守らなきゃならない。同時に、じゃ報道機関に対して、余り、個人の情報を保護するあるいは個人の権利を守るということで、言論の自由が制約されちゃ嫌だ、報道の自由が制約されちゃ嫌だという不安もある。これをどうやって払拭していくか。
 だから、報道の自由と言論の自由と、個人のプライバシーが侵害されるのは嫌だ、個人の情報、自分だけしか、知られたくない、これは守ってほしいという、これをいかに両立させるかというのが今回の法案でありますから、私は、この点をしっかり踏まえて、世界最先端のIT国家になるということと、言論の自由、報道の自由、そしてプライバシーの侵害を防止する、これを今後とも、今までの国会の論議を踏まえて、不安、懸念を払拭すると同時に、この法律の趣旨を生かした体制を整備していきたいと思っております。
○荒木清寛君 今も総理から答弁がありましたが、日本が先進国でありながら二十年この法整備が後れた原因の一つは、表現の自由とプライバシーの調整をどうするのか、この議論に時間が掛かったということがございます。
 表現の自由は正に民主主義の基礎でございます。戦前も日本には国会もあり選挙もありましたけれども、表現の自由ということが制約をされており、民主主義は機能せず、あの無謀とも言える戦争に突入をしていったという歴史がございます。一方で、現在の高度情報社会におきましては、プライバシーの確立なくして個人の尊厳というのは実現できない。したがいまして、両方とも憲法上の要請でありまして、それをどう調整をするかということでございます。
 そうした意味で、与党三党が昨年の十二月にこの法案の修正要綱をまとめましたのも、正にこのプライバシーの保護と、報道の自由を始めとする表現の自由をどう両立をするのか、そしてメディア規制ではないということをより明確にするために、そうした要綱、修正要綱をまとめ、この通常国会での法案提出に至ったわけでございます。
 そこで、改めて総理に対し、総理に、このプライバシーの保護と表現の自由の関係についてどう考えておられるのか、そしてそのことがこの法案の中でどう調整されているのか、御説明を願います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、現在でも報道の自由というのは十分確保されていると思っております。ある面においては、報道機関においても言論の自由というものをよくわきまえて、個人のプライバシー侵害しないように自主的な規律というものを持ってもらいたいという気持ちを思うこと、しばしばあります。
 私は、もう政治家でありますから、まして総理大臣ですから仕方ないんですけれども、最近の報道ぶりを見て、あきれていますよ。偽装報道どころじゃない、虚偽報道、いかに多いか。もう、これに対して一々私は抗議していたら切りがないから、もう最近は見ませんよ。いろんな出版社のとか新聞、よくもこううそが書けるのかと。しかし、仕方ない、もう政治家である限り。もう、そういう中で、一般の個人の方に対し、方も同じような報道で迷惑される方はたくさんいるんですね。
 よく私、聞きますよ。週刊誌等を読んでいてね、新聞読んでいて、自分に関係ないことがあると思ったら、みんな本当だと思ったと。自分に関する報道を見て初めて、いかにうそが多いかと、多く感じていると、これを何とかしてくれないかと、これだけの虚偽報道、名誉侵害。しかし、これは言論の自由、報道の自由ということを考えると、もうある程度泣き寝入りも仕方がないなと思って私はあきらめているんですよ。
 もう、これだけうそ、いい加減な報道で、もう率直に言って頭にくることもありますけれども、何事も耐えなきゃいかぬと、我慢しなきゃいかぬ、いずれ後になれば分かるだろうと思って我慢しているんですけれども、こういうのは政治家だから仕方がないんですが、一般国民に対しましては、やはり個人のプラバシーの侵害をいかに防止するか、基本的な人権を守るかということに対して十分配慮しなきゃならない。同時に、報道の自由、言論の自由は民主主義社会の発展にとって欠かすことができませんから、できるだけ多くの国民に正確な情報を提供するような情報公開、これも必要であります。
 情報公開ということと同時に、情報公開のためにはどうしても守られなきゃならない秘密もあるんです。この点をよく考えながらこれから行政としても注意しなきゃなりませんし、この点については、今までの審議を踏まえて、報道の自由と個人のプライバシーを侵害されるのを防止する、これをよく守るように厳格な運営、そして各省庁の担当者に対しましてもこの趣旨をよく徹底して運営するような日ごろからの研修なり訓練なり、よく法律が適切に機能されるような対応をするように今後も配慮していかなきゃならないなと痛感しております。
○荒木清寛君 今回の法案はメディア規制では断じてないということを私は明確にするとともに、今、総理が指摘をされました報道による人権侵害、このことについて、しかし泣き寝入りということはないようにしなければいけない、こういう問題意識を持って我々は政治活動をしていかなければいけないと考えます。
 そこで、時間の関係で、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案についてお尋ねをいたします。
 行政機関は民間よりもたくさんの個人情報を集めますし、しかも権力を使って集めるわけでありますから、これに対する規制が厳格でなければならないことは当然でございます。したがって、与党修正に基づきまして、当初の案になかった公務員に対する直罰規定というのが設けられたわけでございます。
 ところで、本院における審議において、防衛庁において自衛官の適齢者情報を地方公共団体から収集をしていたということが議論になりました。いわゆる住民基本台帳の上でだれもが閲覧できるいわゆる四情報、氏名、性別、生年月日、住所だけではなく、親の職業ですとか本籍地といった情報までも収集をしていたということが問題になりました。
 報道ぶりを見ますと、あたかも防衛庁がこの住民基本台帳を悪用しまして適齢者の情報を違法に集めていたかの、そうした指摘もあるわけでございますので、今日は最後ですので、総理にこの場で国民の皆さんに明確にしてもらいたいと思います。すなわち、防衛庁が今申し上げたような適齢者情報を収集していたことは違法やあるいは不適切なことであったのかどうか、そしてまた、こうしたことを踏まえ、今後における個人情報の保護に配慮した隊員募集の望ましい在り方について総理はどう考えているのか、答弁を求めます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 防衛庁が自衛官を募集する際に地方自治体に協力を求めることができるとされております。その際に、この情報というものを目的以外に利用してはならないと、そういう点について誤解を受けた面があったならば、これは謙虚に反省して、このようなことがないように今後十分に対応するように既に指示しておりますので、今までの御指摘を踏まえて、目的外利用を決してしてはならないということについてより厳格に対応するように指示をしておりますので、適切な対応をするようによく注意していきたいと思います。
○荒木清寛君 そうしたことを踏まえ、現場の自衛官の募集に当たられる方の御苦労も今後は増えてまいると思います。よく総理からそうした現場の皆さんを激励をしてもらいたいと思います。
 こうしたことで、今日、個人情報保護に関する法整備が整うわけでございまして、いよいよIT革命に向けての基盤整備ができたわけでございます。冒頭述べられた総理の戦略の下に、我が国の繁栄を維持をし、国民生活を向上させるための政府一体となっての取組を求めまして、質疑を終えます。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 まず冒頭に、審議を通じて数々の法案の問題点が明らかになる下で、しかも衆議院、参議院通じて公聴会も行わないまま本日採決というのは我が党は反対だということを申し上げておきたいと思います。
 私は、この間、本委員会で警察幹部と大手サラ金業者の癒着という問題を取り上げてまいりました。一部報道もされておりますが、警察の少なくない幹部と大手サラ金業者との間で重大な不正、腐敗が過去十年近くにわたって行われていたという疑惑が浮上しております。時間が限られておりますので、今日はその問題の要点をパネルにして持ってまいりました。(図表掲示)
 私がこの委員会に証拠を示して明らかにした事実は三つあります。
 一つは、個人の犯歴まで書かれた警察の内部文書の写しがサラ金業者に渡されたということですね。それを示す資料です。私が委員会に提出した、警察からサラ金に渡ったとされる資料には、本人の生年月日、住所、本籍地や所属団体、家族関係、犯歴など、本人の出生から今日に至るまでの生々しい記述が掲載されております。
 二つ目は、今度は大手サラ金業者から警察幹部へのビール券や時計などの付け届け。これは、ビール券を送った相手として、警察庁、警視庁の各課、暴対、新宿署、池袋署、渋谷署、上野署等々、さらには京都府警の警察官の名前まで記載されているというものなんです。もしこれが事実であれば極めて重大な腐敗であり、情報漏えいだということになります。
 今朝も国家公安委員長は、調査し国会に報告する、重く受け止めるとこの場で約束をされました。
 まず、総理もそれは、調査はよろしいですね。
○国務大臣(谷垣禎一君) お尋ねの件につきましては、警察として、今、内部情報に基づく恐喝事件として捜査をいたしておりますが、それと併せまして、個人情報の漏えい等があったのかなかったのか、そういうことも含めまして調査をきちっとさせて、厳正な処分をいたすべく、私としても、国家公安委員長としても警察を督励いたしたいと思っております。そして、その上で、その調査の結果についてもこの国会に御報告をすべきものと考えております。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今の御指摘の点につきましては、調査をしているという段階だと私は聞いております。事実関係はまだはっきりしませんが、恐喝事件として捜査中だという話を聞いておりますので、この結果につきましては私はきちんと報告をすべきだと思っております。
○宮本岳志君 三つ目の事実なんですけれども、このパネル、もう一度見ていただきたいんですが、実は、サラ金業者から警察に渡されていたのはビール券だけではなかったんですね。実は、信用業界からは決して出してはならない個人信用情報、これが提供されたと。警察の部下の借金情報が提供された、そのことを示す資料もお示しをいたしました。
 私は、ある警察幹部が今度はこのサラ金のある人物を通じて部下の信用情報を信用データベースから引き出したということを示す資料も示したんですね。これも先ほど調査をお約束いただきました。
 この信用データバンクというのはジャパン・データ・バンクというんですが、これは、警察といえども犯罪にかかわる場合でも令状なしには閲覧できないと。改めて言っておきますけれども、これは犯罪者の信用情報じゃないんですよ、警察官の部下の信用情報を調べさせた疑いがあると。これは、不正にデータを持ち出されたジャパン・データ・バンクもこれを重視して調査を開始したと聞いております。昨日、私が問い合わせたところによると、重大な問題であり今の時点で調査の状況を明らかにすることはできないが、問題の資料を見る限りその業者から出たものだろうと、こういうお答えもいただきました。
 これは、事実関係は調査を待つほかないんですけれども、これが事実とすれば、民間信用調査機関の個人情報保護の信頼性を揺るがすこれまた重大な問題だと。それだけに私たちは、私たちが求めていた特に個別の法制、とりわけこの金融・信用情報の保護、これを始めとするやっぱり厳格な個別法制というものが必要だと、この一例からも私、感じるわけですが、これも総理にお答えをいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 金融分野に限らず、他の分野におきましても、個別の法制は必要だという議論なり御指摘なりを今までの審議で十分されております。その点も踏まえまして、今後検討していくべき課題だと考えております。
○宮本岳志君 正に先ほど取り上げたこの問題、今、国民のプライバシーを本当に守るんだという政府の姿勢が問われていると思っています。同時に、公務員による個人情報の不正な収集や不正な使用を本当に根絶できなければ、個人情報保護法の名に値しないと言われると思うんですね。
 それで、例えばこの事件、私、一番最初に取り上げたときには警察は、調査し国会に報告すると言わなかったんですね。最初は、捜査に支障があるのでということでなかなかお答えになりませんでした。私はこの点が今本当に大きな問題だと思っています。本法案の主要な欠陥ということを一つ言わせていただくと、これは主務大臣制にあると思うんですね。警察に関することはすべて捜査に支障があると、こう言われれば、外部にいる者からはこれは知る由もないわけですよ。今回の行政機関法は、警察庁掛かります、掛かりますけれども、捜査にかかわるものということで、まあ除外規定があって除かれるということになっているわけですね。
 それで、総理にひとつ、これは総理のお考えをお聞かせいただきたいんですが、自分で自分を律する、役所が自分で律するということが本当にできるとお考えかどうか、総理の御答弁をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 警察、特に捜査に関する情報については、これはどうしても調べなきゃならない調査と、この調査を決して漏らしてはいけない、両方あると思いますね。この点については、やはり警察、捜査にかかわる担当者というのはやっぱりよく認識して、捜査に必要な情報と決して個人のプライバシーを侵害しちゃいかぬという観念というものにつきましては、日ごろから、適切に捜査をしながらも、法律を厳正に運用するということにつきましては、幹部から担当者含めまして、よくわきまえるような対応を図れるように、今後も不断の注意なり対応をしていかなきゃならぬと私も思っております。
○宮本岳志君 厳正にやる努力をするのは当然のことだと思うんですね。
 ただ、私が総理にお伺いしたいのは、つまりその役所が主務大臣制で自分でやるんだというんだけれども、本当に自分で自分を律するということが総理はできるとお考えになるかということを聞いているんです。いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これはだれにも言えることだと思うんです。やっぱり自分で自分を律すると。公僕、公務員ですから、これは当然してもらわなきゃならない。そういうことができるようにそれぞれ努力していかなきゃならない。たまにはできていない人もいるでしょう。それはどの分野でも同じです。
 しかし、一番大事なことはやっぱり自らを律するということ、これは特に公務員にとりまして、あるいは指導的立場にある者として、言論機関、報道機関、どの分野にも言えることだと私は思っております。
○宮本岳志君 私は、それは甘いと言わざるを得ないですね。
 一部にというふうにおっしゃいましたけれども、私は、総理が総理大臣になられてこの三年間、振り返ってもらっただけでも、そういうふうになっていない事実が一杯出てきた。
 例えば、外務省の不祥事というのがありましたが、これは鈴木宗男氏の事件などから発覚したものなんですね。外務省自らが調査して最初から出してきたというものではなかった。これはもう総理も覚えておられると思います。法務省の名古屋刑務所問題、これは九月事件と言われる事件で、被害者がたまたま外部の病院に担ぎ込まれたことから隠しおおせなくなって発覚をしたと。あるいは防衛庁リスト問題もマスコミの報道から発覚したという、やっぱり端緒はそういうふうになっているわけなんですよ。はっきり言って、役所が自ら不正を明らかにしたというものはほとんどないんです。国民は役所の隠ぺい体質を嫌というほど見せ付けられてきました。
 国民はだれも役所が自分で自分を規律できると、そういうふうには信じないですよ。総理、そう思われませんか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、そう思うのも無理ない事件が最近よく出ておりますし、だからこそ国会というものも存在していると、不断の監視も必要だと。
 しかし、基本的にはやっぱり法律ですべてが解決するものではございません。その以前に、法律以前に道徳観念とか倫理観とか使命感とか責任感、これはやっぱり国民全体の水準の問題でもありますから、その点については、特に公務員なり指導的立場にある人たちにとりましてはいかに自らを律することが必要かということについては、これは教育の問題にもかかわってくると思いますけれども、国全体の問題として大変大事なことだと思います。
○宮本岳志君 私は、システムをきちっとする必要があるということを申し上げたいんです。
 先ほど挙げた役所ですね、外務省は外交機密にかかわる、防衛庁は防衛秘密にかかわる、警察は捜査に支障がある、そう言えばだれも外から触れない、そういうところで不祥事が次々噴き出してきているわけですよ。それも全部、偶然だったり勇気ある内部告発だったりということから発覚している。このこと一つを見ても、野党が主張しているような独立性を持った第三者機関に判断をゆだねる必要がある、これが確かなシステムになる、こう思うんですが、総理のお考えいかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この点につきましては一番よく分かっているのが主管の官庁であります。しかも、報道機関、国会、いろいろな国民の監視もある、あるいは情報公開法も整備された、こういう点を活用してより良い行政運営がなされるように、今後も、国会も行政も報道機関も民間も適切に制度を運用して誤りない運用をしていくことが重要だと思っております。
○宮本岳志君 警察のことはすべて警察が決める、役所のことはすべて役所が決めると、こういう仕組みでは駄目だと思います。野党四党が示した修正案を受け入れるということを強く求めて、私の質問を終わります。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 本日、総括締めくくり質疑に当たりまして、私、基本的な考え方、問題点について総理にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 この個人情報保護法の問題というのは、結局、これからのネットワーク社会において実効性のある個人情報保護の仕組みをいかに組み立てていくのかという問題だと思います。このネットワーク社会の特徴というのは、コンピューターがその性質上、情報をどんどん集める、そしてインターネットということで、あっという間にその情報が分散してしまうということなんだと思います。それがどこまで広がっているか、そしてどう利用されているか分からないし、また元に戻すことができない。先ほど、総理はそのネット社会の光の部分だけ大変詳しく述べられましたけれども、この負の部分、マイナスの部分、これをどうするかということが今回のこの個人情報保護法で一番問題にするべき点だったと思うんですね。
 そして、このネットということは、国民すべてが活用できると。ですから、国民すべてが個人情報保護の取扱いにかかわるということになる。制度を考えるに当たっては、当然このことを前提に考えるべきだったわけです。つまり、何が必要だったかといいますと、個人情報保護法ということ、このものが基本法であるという性格、これが一番大切だと思います。すべての国民、行政であれ、民間であれ、大人であれ、子供であれ、捜査機関であれ、個人情報保護のための基本的ルールをこの法案で示しておく必要があったと、そのように考えます。
 そういう点において、私は根本的に納得できないのが、基本原則をすべて削除してしまったという点なんです。基本原則を削除したことによって、個人情報の適切な取扱いのために何をすればよいのかが明確ではなくなったというふうに思います。
 このことにつきまして、話が長くなるといけませんけれども、個人情報取扱事業者に関しましては第四章に具体的な義務が書かれていますけれども、個人情報取扱事業者に該当しない者に対しては基本理念だけなんですね。この基本理念のような抽象的な規定では、個人情報取扱事業者に該当しない者は一体何をすればいいのか分からないじゃないですか。これで本当に基本法と言えるのでしょうか。その意味においては、この原則ということが示されているという点においては、私は旧法案の方がその点では優れていたのではないかと考えます。
 個人情報保護法がネット社会の基盤となる法律であるという本質的な問題を理解しないまま、過剰とも思われる反応を示した一部のマスコミにのみ迎合する形で基本原則を削除してしまったことに根本的な間違いはなかったのか、小泉総理の見解を伺いたいと思います。総理です、総理。もう細田大臣の答弁はさんざん聞きましたので。済みません。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、もう先ほども答弁いたしましたけれども、報道の自由、言論の自由に対しましてマスコミ等から不安や懸念が再三表明されました。元々、旧法案につきましても、政府としては報道の自由を制限したり、あるいは言論の自由を制限したりする意図は全くなかったわけでありますが、それでもなおかつ不安、懸念の念がなかなかぬぐい切れないという表明があったのも事実でございます。
 そういうことにもよく配慮をして、また国会の審議等を踏まえながら、そのような不安を、懸念するためには、どのような対応が必要かということで今回法案を出し直したわけでありまして、元々、この報道の自由と個人のプライバシー侵害を防止しようという理念、基本については全く変わりないと。ただ、不安、懸念をいかに払拭するかについて、いかにより多く配慮したかという点は私はお認めいただけるのではないかと。別にマスコミに迎合したということではなくて、そのような民主主義社会の基本理念であります報道の自由と言論の自由をいかに確保するかという点について、国民の心配を払拭をするためにはどのような修正が必要かという点について十分配慮したわけでございます。
○森ゆうこ君 昨日、与党推薦の藤原参考人の方からも、柱となる原理というものは時代が変わってもその法律を作ったときの原理は変わらないのだと、基本法というものの重要性について御指摘があったわけですけれども。
 私、今回のこの法律の中でもう一点大変問題だなと思うのは、いろいろ御指摘ありますが、主務大臣制なんです。小泉総理、主務大臣の所管が明らかでない分野が存在する、例えば、そもそもNPOなどの市民活動の主務大臣は一体だれなのかといったような質問が本当にこの委員会でも数々出されました。
 小泉総理は、構造改革ということを掲げていらっしゃるんじゃないでしょうか。小泉総理のおっしゃる構造改革というのは、官から民へ、官僚支配で閉塞した日本から新しい自立した市民による新しい日本へと作り変えるということが構造改革ではないんですか。小泉総理の言う構造改革とは一体何なんでしょうか。お答えください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 三分で答えろというのはとても無理ですよ。全部使っていいですか。
○森ゆうこ君 いや、ちょっとだけ残してください。二分。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、税金も必要な分野に重点的に配分する、行財政改革はあらゆる分野で見直していかなきゃならない、同時に金融改革もしていく、税制改革もする、規制改革もする、歳出改革もしていく、そして民間主導の持続的な経済成長につなげていくということが私の内閣の最大の主眼でありまして、これを実現することによって、より自立性の高い、効率的な政府を形作って、経済活性化に資するか、国民生活を豊かにしていくかというのが大きな主眼でございます。
○森ゆうこ君 官から民へということがやっぱり一番象徴的だと思うんですけれども、私は、この主務大臣制ということが官僚の権限、そして裁量、この懸念を、やっぱりいつまでも残る問題だと思うんですね。この点がこの委員会の審議の中でも最後まで懸念として残ったわけです。
 今回、昨日ですね、KSD問題の村上正邦元労働大臣が実刑判決を受けました。これは、政官業癒着、業界指導による官僚の支配ということで、そしてそこに政治家が介在する、この問題の象徴だったと思うわけですね。
 この個人情報保護法が相変わらず主務官庁制という旧来の形態を脱し切れていない、これは総理の掲げる構造改革ということに根本的に反するのではないか、この懸念が私としては最後まで払拭し切れなかったと最後に申し上げまして、もうちょっと総理にお聞きしたかったんですが、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 この委員会において、行政情報、個人情報両方の法案の問題点が、矛盾点が大変明らかになりました。これらの法案は廃案にすべき、せめて四野党の修正案、少しでも考慮をすべきであると、公聴会もなく、議論がされていることに強く抗議をしたいと思います。
 ところで、防衛庁のそのリスト問題、防衛庁による適齢者情報収集問題、警視庁の個人カード作成問題、信用情報提供問題など、個人情報の官によるたらい回し、それから情報の流出が大変明らかになりました。
 防衛庁だから問題というのではなくて、官庁が四つの個人情報を取るのも問題。今回、防衛庁のこの適齢者情報収集で明らかになったのは、本籍を取っていたり、家族の勤務先を取っていたり、保護者、筆頭者、戸籍筆頭者です、こんな本当に重要な情報、本籍地は部落差別などの観点もあり、今、民間の履歴書からは削除になっています。家族欄もこれはない履歴書がもうできていると。だから、これは国土交通省であれどこの省庁であれ、こんなやり方で情報を取っている、しかも表から閲覧、交付を住民票をやるのではなくて、陰から情報を自治体から取っていると、この実態は本当に問題であると思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 防衛庁の問題につきましても、これは目的に沿って、またこの法律の趣旨に沿って運用するんだということについて配慮が欠けていた面があったと思います。
 御指摘の点も踏まえまして、これは防衛庁に限らず、ほかの分野についても問題があるという福島議員の御指摘だと思いますけれども、こういう点につきまして、この法律の趣旨というものをよく各省庁徹底いたしまして、厳格に運用することが重要だと思っております。
○福島瑞穂君 配慮が足りなかったという御答弁でした。
 私は、今の四情報についても、それは住民基本台帳法上、表からきちっとやるべきであって、内部で取ることは本当にやめてほしいと。民間や、それから他の役所はこんなことをやっていないわけですし、やれないわけですから、その点についても強く要望をいたします。
 それから、この法案の根本的な問題点は、民間については主務官庁がある。ですから、個人情報を持っている人、訴えられて調査に入って主務官庁から呼出しが来て初めて、あ、自分は個人情報取扱事業者だ、民間の人がそう思うような、かなり広範囲な国民を対象にしています。一方で、官の方はどうかといいますと、さっきから出ております、官を見張る人はいないわけですね。主務官庁は国民一人に調査や報告を求める。しかし、官の方は、官がいろんな、例えば今日も問題になっているような官の中のたらい回しやいろんな情報のたらい回しについては、官はそれはないわけです。官はその監督ができない。
 ですから、ここで第三者機関なりをきちっと作って、官の中こそきちっとやるべきであると改めて申し上げたいと思います。
 総理いかがですか。いや、済みません、総理大臣、お願いします。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 行政に対して適切な運用がなされているかについては、国会が存在しているわけであります。国会の機能、また政治家の役割という点につきましては、大変重要なことだと思っております。
 こういう点に関しましても、官の対応も大事でありますけれども、国会の私は役割というものも非常に大きいと思いますし、今後ともこの法が適切に運営、運用されるよう、国会におきましても十分な議論なり監視なり対応が必要だと思っております。
○福島瑞穂君 いや、おかしいですよ。民に関しても官に対しても国会はきちっと見張る必要があります。でも、民は主務官庁がある。しかし、官については、官の中での問題が起きたときに官を呼び出したり官を調査したりという部門がないことが問題であると。国会ももちろん頑張ります。しかし、官がちゃんとやらないことが、総理、今後、この点については是非見直しや検討が必要であると考えますが、いかがですか。
 済みません、片山さんからはもう十分聞いたので、というか、いいです。総理、お願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) 行政機関の方の個人情報保護は総務大臣が所管大臣で、そのために総務大臣の事前チェックを始めとする権限が、御承知かと思いますけれども、四十九条から五十一条に書いているんですよ。利用状況の調査もする、公表もする、悪いことがあれば意見も言う、調べられると。こういうことをしっかりと機能させて信頼を回復するようにしますけれどもね。
 防衛庁は、そこまではというあれはあるけれども、ひとつも違法でも何でもないんですよ、そこは是非御理解賜りたい。
○福島瑞穂君 総理が配慮に欠けていたと言い、総務大臣が問題ないという答弁をまたされるという、私は是非、官の中での情報の収集の在り方、それから官の中での情報の使われ方についてきちっと検討すべきであると。これらの欠陥法案は廃案にすべきであるということを主張して、私の質問を終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
 他に御発言もないようですから、五案に対する質疑は終局したものと認めます。
 五案の修正について内藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内藤正光君。
○内藤正光君 私は、ただいま議題となっております個人情報の保護に関する法律案外四法律案に対しまして、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会及び社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 今日、情報通信技術の急速な進展に伴い、多様な個人情報の利用が飛躍的な広がりを見せており、個人情報保護法制の必要性は、我々野党も一致して認めるところであります。
 しかし、我々は、個人情報保護に対する基本的な哲学において政府と考え方を異にしており、また、行政機関の保有する個人情報保護の在り方はまだまだ甘いものと断ぜざるを得ません。
 こうした見地に基づき、我々野党四会派は、国民の個人情報を適切に保護するために、五法律案に対する修正案を提出するものであります。
 以下、各修正案の主な内容を御説明いたします。
 まず、個人情報の保護に関する法律案への修正案について申し上げます。
 第一に、個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関し本人が関与するという自己情報コントロール権を第一条の目的規定に定め、個人情報取扱事業者の義務の部分で具体化しております。
 第二に、個人情報取扱事業者に対して、センシティブ情報の特に慎重な取扱いを義務付けております。
 第三に、個人情報保護における主務大臣の恣意的な運用を避けるために、いわゆる三条委員会である個人情報保護委員会を内閣府の外局として設置し、個人情報の適正な取扱いのために必要な監督、苦情の処理等の役割を与えることといたしております。
 第四に、適用除外規定については、政府案のように活動機関に限定するのではなく、活動の目的によって規定することといたしております。
 第五に、本法公布後、二年を目途として、政府は金融、情報通信及び医療分野における個人情報保護について、法制上の措置を講ずるものとする旨の附則を加えております。
 その他、個人情報取扱事業者の義務規定を明確化する等の修正を行っております。
 次に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案に対する修正案について申し上げます。
 第一に、個人情報の目的外利用につきましては、厳格な禁止規定を設けております。例外的に、業務の円滑な遂行に著しい支障が生じるときには目的外利用を認めておりますが、その際も、情報公開・個人情報保護審査会の意見を聴かなければならないことにすることにより、行政機関の個人情報の濫用を許さないこととしております。
 第二に、公務員に対する実効的な罰則規定を設けております。行政機関の職員が、その職権を濫用して個人の秘密に属する事項が記録された文書などを収集したときには罰則を科すことといたします。また、行政機関の職員が、個人情報ファイル簿に掲載をされていない個人情報ファイルを利用したときにも罰則を科すこととしております。
 第三に、不服申立てがあった場合における行政機関の長の情報公開・個人情報保護審査会への諮問は、当該不服申立てがあった日の翌日から起算して三十日以内に行わなければならない等といたしております。
 第四に、個人情報開示決定等の取消しを求める等の訴訟につきましては、訴訟の管轄の特例を定めることといたしております。
 その他、本法施行後三年を目途として見直し条項を附則に加える等の修正を行っております。
 次に、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案に対する修正案でございますが、これは行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案とおおむね同様の修正内容でございます。
 次に、情報公開・個人情報保護審査会設置法案に対する修正案でございますが、情報公開・個人情報保護審査会の所掌事務を追加するとともに、審査会の委員数を原案の十五人から二十四人に増加させる等の修正を行っております。
 最後に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきましても、会計検査院情報公開・個人情報保護審査会の所掌事務を追加する等の修正を行っております。
 以上が、我々四会派が共同提出いたしました修正案の提案理由とその概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○委員長(尾辻秀久君) ただいまの内藤君提出の修正案のうち、個人情報の保護に関する法律案及び情報公開・個人情報保護審査会設置法案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。細田国務大臣。
○国務大臣(細田博之君) ただいまの個人情報の保護に関する法律案に対する修正案及び情報公開・個人情報保護審査会設置法案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
○委員長(尾辻秀久君) これより五案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○藤原正司君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の個人情報保護関連五法案に反対し、民主党、自由党、日本共産党、社会民主党提出の個人情報保護関連法案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。
 防衛庁が自衛官募集のために適齢者の個人情報の提供を各市町村に要求していたという事件が先日発覚しました。この事件は、行政が自分の情報を勝手に収集、蓄積して活用しているのではないかという国民の不信や不安を更に増幅させました。行政側の不透明な情報収集やセンシティブ情報の収集を明確に禁ずることのない政府案では、この国民の不信や不安を払拭できません。
 以下、野党四党修正案に賛成し、政府案に反対する理由を具体的に申し述べます。
 まず、基本法、行政機関法に共通する論点について述べます。
 第一に、政府案には、自己情報コントロール権に関する明確な規定がなく、個人情報保護とは名ばかりのものとなりかねません。それに対し、野党修正案は、自己情報コントロール権の考え方を基本にしており、この考え方を反映した具体的な措置も講じています。
 第二に、真の個人情報保護を実現するために、野党修正案は、センシティブ情報について特に慎重な取扱いを求める規定を設けておりますが、政府案にはこのような規定がありません。
 次に、個人情報の保護に関する法律案に関する論点を述べます。
 第一は、事業者の監督スキームについてです。政府案は、包括法でありながら個別の事業者に対してそれぞれ主務大臣が監督権限を行使するという大きな矛盾を抱えています。これでは、法の実効性が担保できない一方で、特に適用除外に関しては、放送機関、新聞社、通信社以外の報道機関がその他報道機関と一くくりにされるなど、大臣や官僚の裁量にゆだねられるおそれがあります。それに対し、野党修正案では、第三者機関に権限を与え、国会への報告を義務付けるなど、作為的な介入や特定業者との癒着が起こらないよう、最大限配慮する内容となっています。
 第二に、金融、情報通信及び医療の三分野においては、個別の情報漏れが著しく、情報漏れが起きた場合の被害が甚大なので、野党修正案では、本法律の公布後二年を目途として個別法を制定することとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
 第三は、見直し規定についてです。本法案により、規則が過度に掛かってしまう分野も出てくるかもしれません。野党修正案では、施行後三年を目途として本法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
 次は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案についての論点です。
 第一に、政府案では、個人情報の収集や個人情報の目的外利用についての裁量幅が大きく、本人の知らない間に個人情報が流用されたりするおそれがありますが、野党修正案では、一定の制限を設け、官僚の行動に歯止めを掛けています。
 第二は、データマッチングについてです。高度情報化に伴い、不法な目的外利用・提供などが容易になってしまいました。政府は、目的外利用の制限で十分規制されると言いますが、野党案では、入念にデータマッチングに関する規定を設けています。
 第三に、政府案では裁判管轄に関する明示の規定がないため、行政庁の所在地以外には訴訟ができませんが、野党修正案では、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができるものとしています。
 第四に、政府案の罰則規定では、防衛庁リスト事件のような問題は不問に付される可能性が非常に高く、行政機関に甘い法案となっています。それに対し、野党修正案は、行政機関に厳しい姿勢で臨み、実効性のある罰則を設けております。
 第五に、本法律が施行されても行政機関における個人情報保護が万全になるとは限りません。ゆえに、野党修正案では、施行後三年を目途として本法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしておりますが、政府案にはそのような規定がありません。
 以上のように、政府案は、個人情報保護に名をかりて、官僚や与党政治家にとって住みやすい世の中を作るための法案にすぎません。それに対し、野党修正案は、真の個人情報保護を目指すと同時に、表現の自由を始め、国民生活の自由に最大限に配慮した内容となっていることを最後に申し述べ、私の討論を終わります。
○山本保君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の個人情報の保護に関する法律案等関係五法案について、賛成の立場から討論を行います。
 今日の高度情報通信社会の急速な進展の下、個人情報の有用性に着目し、国民が幅広い情報通信技術の利便性を享受することが重要な課題となっております。しかし、残念ながら、顧客名簿の流出、インターネットホームページからの個人情報の漏えいなどの事例が発生しているのも事実であり、自分の個人情報が果たして適切に用いられているのかといった国民の不安感は解消されず、国民のプライバシーに対する意識も高まりつつあります。すなわち、今、我が国に必要なのは、個人情報の有用性に配慮しつつ、プライバシーを始めとする個人の権利利益の保護に努めることであります。
 第百五十一回国会に内閣が提出した個人情報保護法案は、このような今日的課題に対応し、IT時代における国民生活の保護のための基盤法制として提出されましたが、一部に、この旧法案がメディア規制を意図するものであると指摘され、懸念視されたことは遺憾であります。与党三党としても、このような懸念を更に払拭するための努力を重ね、与党修正要綱を昨年十二月に取りまとめました。
 今国会に内閣が提出した個人情報保護法案は、この与党修正要綱に沿って昨年廃案となった旧法案を提出したものであり、具体的には、一、旧法案における基本原則を削除する、二、報道機関等への情報提供者に対し、主務大臣は関与しないことを明記する、三、報道の定義を明記する、四、報道機関に個人が含まれることを明記する、五、著述を業として行う者を個人情報取扱事業者に対する義務規定の適用除外とすることを明記する、などの修正を行っております。この修正によって、この新しい法案が、メディア規制を意図したものであるという不安、懸念は払拭できたものと考えます。
 また、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案は、昭和六十三年制定の現行行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律について、一、保護の対象範囲を電算処理された個人情報ファイルから、行政機関が組織的に保有するすべての個人情報に拡大する、二、新たに、訂正請求権、利用停止請求権を明記するなど、現行法を全面的に充実強化するものであります。
 なお、この法案においても、昨年廃案となった旧法案から与党修正要綱に沿った修正を行い、行政に対する国民からの信頼を確保するため、コンピューター処理された個人データの漏えいに対する処罰など、新たに罰則を設けております。
 このたびの内閣提出の個人情報保護法案及び行政機関個人情報保護法案等の関係五法案により、官民の両分野において、IT社会にふさわしい個人情報の保護が推進されるものと確信しております。
 本委員会においても、四十時間を超える長時間の審議を通じて、巷間言われておりますような、本法案がメディア規制を意図したものであるとか、官に甘く民に厳しいとかいった指摘については、全くの誤解であることが明らかにされました。良識の府としての本院の役割を十分に果たしたものと考えます。
 以上、内閣提出の個人情報保護法案等関係五法案に対する賛成の理由を申し述べました。
 最後に、野党提出の修正案には反対することを表明いたしまして、与党を代表しての賛成討論といたします。
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の個人情報の保護に関する法律案及び関連四法案に反対、野党四党提出の修正案に賛成の討論を行います。
 本委員会では、自衛官適齢者名簿問題、警察と大手サラ金業者の癒着疑惑と犯歴データ、信用情報を含む個人情報漏えいなど、法案審議の前提となる重大な問題が明らかになりました。これらの問題の解明をまともに行わないまま採決に付すことは、国会の責務を放棄するものであり、極めて遺憾であることをまず指摘するものであります。
 反対理由の第一は、主務大臣制を取っており、表現、言論の自由を脅かすおそれがあることです。
 主務大臣には、事業者の取り扱う個人情報が報道目的なのか著述目的なのかの判断がゆだねられており、報道や著述が狭く限定されたり、恣意的な判断がなされるという危険な構造になっています。疑惑の政治家がこの規定を根拠に苦情に応ぜよと要求し、報道の取材活動が妨害されるおそれが危惧されます。また、マスメディアを始め、NPOや市民団体、労働組合などの活動に公権力が介入する道を開くべきではありません。
 反対の第二は、法案には、思想、信条など個人の名誉、信用、秘密に直接かかわるセンシティブ情報収集の原則禁止規定が欠落していることであります。
 政府は、類型化できないからとしていますが、この規定は国際基準となっております。個人情報保護条例を策定している地方自治体の六割も既に実施しており、さらに経済産業省などのガイドラインにも明記されております。
 反対の第三は、自分の情報の取扱いに本人が関与し選択するという自己情報コントロール権が明記されていないため、企業や行政機関の運営が優先され、個人の権利が後景に追いやられています。
 目的外利用についても、行政の都合や利便性に偏った判断で、個人情報が国の機関から地方公共団体まで全国の行政機関で使い回しされるおそれが払拭できません。行政機関法のこうした欠陥の重大性は、委員会審議で明らかにされた、都道府県警察に個人の情報保護の法体系の網が掛けられていないことなどによっても一層浮き彫りになったことを指摘しておくものであります。
 反対の第四は、政府案の策定によって、金融など手厚く個人情報保護策を講ずる必要がある分野の施策がむしろ後退するおそれがあることであります。
 一方、野党の修正案は、第一に主務大臣制をやめて第三者機関を設置する、第二にセンシティブ情報の収集を原則禁止とする、第三に自己情報コントロール権を明記することなどによって、これらの法案の欠陥を改めるものであります。
 政府は、本法案の成立をもって住基ネットの本格稼働の免罪符にしようとしていますが、とんでもありません。それは、問題が多い本法案が成立しても、個人情報の保護に万全を期するため所要の措置を講ずることにならず、住基ネットの個人情報の漏えいの危険性がなくならないからであります。このような住基ネットは直ちに中止すべきであります。
 日本共産党は、今後も基本的人権の大切な柱であるプライバシー権を守り、個人情報の保護と表現、報道、言論の自由を守るために国民の皆さんとともに全力を尽くすことを申し上げ、討論を終わります。
○森ゆうこ君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、政府提出の個人情報保護関連五法案に反対し、民主党・新緑風会、日本共産党、国会改革連絡会及び社会民主党・護憲連合共同提出の修正案に賛成する立場から討論をいたします。
 平成十四年度末のインターネット利用者は約七千万人となり、人口普及率も五四・五%と、国民の二人に一人がインターネットを利用している状況にあります。また、ほとんどの行政機関や民間企業でもコンピューターによる情報管理を行っており、ITは国民生活や企業活動に欠かせないものとなりました。このようなネットワーク社会においては、物の価値だけでなく、情報の価値、特に個人情報の持つ価値が重要視されてまいりました。しかし、個人情報の価値が増す一方で、ネットワーク社会の負の部分である個人情報の漏えい、不正利用が社会問題化しております。
 国民すべてに個人情報保護の必要性につき問題意識を持ってもらい、個人情報漏えいなどの不適正な取扱いに伴う被害を防止するものとして、個人情報保護法制は必要不可欠のものであります。また、今この瞬間にも個人情報の漏えいは起こっているかもしれません。個人情報保護は正に緊急を要する問題なのです。
 政府は、これらの問題意識からこの五法案を提出したはずですが、これらは現下の状況を解決するものとはなっておりません。
 以下、政府案に反対する理由を申し上げます。
 反対の第一の理由は、個人情報保護法案には基本法としての性格が欠如していることであります。
 一部マスコミからの強い批判を受けて基本原則を削除したことにより、個人情報保護法案は民間事業者の規制法という性格に転化してしまったのです。そのために、だれのための個人情報保護法案か、だれのための法制化かという点が不明確であります。
 反対の第二の理由は、主務大臣制であります。
 小泉総理の提唱する構造改革は、正に官から民へということを柱としていたはずです。にもかかわらず、この法案において、民間事業者の監督を官の代表たる主務大臣に任せたことは、構造改革に逆行する発想ではないでしょうか。
 行政のため、企業のための個人情報保護であってはならないのであります。参議院における審議において、所管が明らかでない分野が存在することや競合する分野があることなど、主務大臣制を運用するに当たっての多くの問題が明らかになり、政府から納得いく答弁が得られませんでした。
 このように、政府提出の五法案は、私が当委員会で指摘したその他多くの問題点を含むものであり、国民が持つネットワーク社会への不安を払拭する内容とはなっておりません。四会派で共同提出した修正案は、国民の立場に立ち、これらの問題点をおおむね解消する内容となっております。
 以上、政府提出の五法案に反対し、四会派共同提出の修正案に賛成であることを表明して、私の討論を終わります。
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました内閣提出個人情報保護関連五法案につきまして、政府原案に反対し、野党共同提案の修正案に賛成の立場で討論を行います。
 高度情報社会の進展、住民基本台帳法の改正、警察を始め各種機関からの情報流出・漏えい事件など、個人情報の保護の必要性が高まっており、私たちも個人情報保護法を早く制定すべきだと考えております。かのJ・S・ミルが、人は、自分自身、その身体、そしてその精神の主権者であるとしながら、行政の能率の追求や経済利益の追求、便利さの追求が優先され、個人の尊厳が極めて弱い位置付けに置かれてきたのが現実の世界です。ここに光を照らし、個人情報の本来の持ち主の権利を保障するのが本来の個人情報保護法案であると思います。
 このような個人情報の保護を求める国民の期待を逆手に取り、提出された政府案は、行政に甘い一方、表現の自由、報道の自由や広範な自由な市民活動を規制し、個人のプライバシーへの国家介入をもたらす危惧を抱かせるものとなっていました。今回の再提案も、野党四党を始めマスコミや市民団体などからの激しい反対を受け、昨年末に廃案となったものについて、根幹を変えずに法案成立のための小手先の修正を図ったものにすぎません。
 本委員会における審議では、民間法制が広く市民を主務大臣の裁量や監督下に置くこと、個人情報取扱事業者と主務大臣をめぐり様々な矛盾点、疑問点があること、何が報道に当たるかなどを含め主務大臣の裁量や判断にゆだねられていること、出版社は適用除外として明記されていないこと、死者の情報の在り方や個別法の必要性など、大きな問題は変わっていないことが改めて浮き彫りになりました。
 また、本来、民間以上に激しく対処されなければならない行政機関法制も、罰則の一部が手直しされただけで、防衛庁による適齢者情報収集問題や警視庁の個人カード作成問題、信用情報提供問題などによって明らかとなった個人情報の官によるたらい回しに対し何の歯止めたり得ないことが露呈しました。また、政府としての個人情報保護への意識の低さが法案審議の過程で明らかになったことも大問題です。地方在住者の切実な要望である裁判管轄の特別規定についても先送りをされています。
 多くの問題を有する政府案に対して、野党四党は、自己情報コントロール権、センシティブ情報の慎重な取扱い、個人情報保護委員会の設置、メディア規制の懸念の払拭、例外事由の絞り込みや行政の裁量範囲の厳格化など、政府案の欠陥にできるだけのメスを入れた最低限これだけはという修正案を提出しています。しかし、政府・与党は、基本的人権全般にかかわる重要法案でありながら、中央・地方公聴会を開催しないまま、総理の訪米や有事法制の審議日程を優先し、野党の修正要求を一顧だにせず、ひたすら採決を急いできました。このような審議の在り方は、参議院の良識の府の名をおとしめるものとはならないでしょうか。
 審議すればするほど矛盾が明らかになってきている政府案は、本来の個人情報保護法たり得るものではなく、これをもって住基ネット第二次稼働の免罪符としてはなり得ません。
 戦後、辛うじて得たものが様々な自由でした。それら自由の中で絶対に失ってはならないものが言論の自由です。言論の自由を失えば他の自由のすべてが吹き飛ばされ、再び戦争へと向かいかねません。個人情報保護法は、その大事な大事な自由をつぶそうという、とんでもない法律です。さきの戦争での大きな犠牲をせせら笑うような法律ですと、城山三郎さん、参考人の心からの警鐘を最後に訴え、討論を終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 初めに、個人情報の保護に関する法律案の採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、岡崎君から発言を求められておりますので、これを許します。岡崎トミ子君。
○岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました個人情報の保護に関する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

    個人情報の保護に関する法律案に対する附帯決議(案)

 高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、政府は、本法の施行に当たっては、表現の自由等の基本的人権を尊重し、個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益の保護に万全を期するよう、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。

 一、取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれの少ないものとして、個人情報取扱事業者から除かれる者を政令で定めるに当たっては、国民生活への過剰な規制やIT社会の発展の妨げとならないよう十分に配慮すること。

 二、利用目的による制限、利用目的の通知、第三者提供の制限、保有個人データに関する事項の公表、開示等に係る義務規定の例外事由の解釈に当たっては、個人の権利利益の適切な保護の観点から十分に配慮すること。

 三、主務大臣の権限行使に当たっては、「表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない」とする本法の規定の趣旨を徹底すること。

 四、出版社が報道又は著述の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合は、個人情報取扱事業者に係る義務規定の適用除外となることを明確にすること。

 五、医療(遺伝子治療等先端的医療技術の確立のため国民の協力が不可欠な分野についての研究・開発・利用を含む)、金融・信用、情報通信等、国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野について、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報を保護するための個別法を早急に検討し、本法の全面施行時には少なくとも一定の具体的結論を得ること。

 六、第三者機関の意義や死者に関する個人情報の保護の在り方等について交わされた論議等これまでの国会における論議を踏まえ、全面施行後三年を目途として、本法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 七、国民が苦情窓口を利用しやすく、また円滑かつ的確な苦情処理を確保するため、認定個人情報保護団体の整備、国・地方公共団体の窓口の明確化、国民生活センター機能の充実強化とその活用、各窓口の連携体制の整備を図るとともに、国民に対する情報提供、担当職員の教育、研修を推進すること。

 八、本法の適正な運用を確保するため、国民生活審議会は、法の施行状況の把握に努め、必要な意見を述べること。

   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(尾辻秀久君) ただいま岡崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、岡崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、細田国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細田国務大臣。
○国務大臣(細田博之君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(尾辻秀久君) 次に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案の採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、岡崎君から発言を求められておりますので、これを許します。岡崎トミ子君。

○岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

   行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案に対する附帯決議(案)

  膨大な個人情報を保有する行政機関の特性及び高度情報通信技術の急速な発展が国民生活に及ぼす影響にかんがみ、政府は、本法の施行に当たっては、個人の権利利益の保護に万全を期するよう、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。

 一、行政機関の保有する個人情報の開示請求権、訂正請求権及び利用停止請求権の実効性を確保するため、個人情報ファイルの保有等に関する事前通知並びに個人情報ファイル簿の作成及び公表に係る義務規定の適用除外の解釈に当たっては、個人の権利利益の保護の観点から十分に配慮すること。

 二、一年以内に消去することとなる記録情報のみを記録する個人情報ファイル等、総務大臣への事前通知の対象とならないものについても、運用の厳格化を図ること。

 三、保有個人情報の目的外の利用及び提供が所定の要件に該当するか否かの判断は慎重かつ客観的に行うとともに、利用目的が異なる二以上の個人情報ファイルを電子計算機を用いて照合し、又は結合する場合には、個人の権利利益を侵害しないよう十分に留意すること。

 四、開示決定等の期限等については、請求者の権利行使を侵害しないように厳正に運用するとともに、個人情報に係る訴訟に関しては、地方在住者に対して不利益にならないように、本法施行後における当該訴訟の状況を考慮し、司法制度改革の動向を踏まえ訴訟の管轄について検討すること。

 五、思想、信条、宗教、病気及び健康状態、犯罪の容疑、判決及び刑の執行並びに社会的差別の原因となる社会的身分に関する個人情報の取得又は保有に当たっては、利用目的を厳密に特定するとともに、可能な限り法律その他の法令等によって取得根拠を明確にし、その利用、提供及び安全確保に特段の配慮を加えること。

 六、個人情報の取得に当たっては、防衛庁リスト問題、自衛官適齢者情報入手問題等の教訓を踏まえ、適法かつ適正な方法により行うこと。

 七、本法施行後三年間は、施行状況調査に当たり、調査項目等についてパブリック・コメントを行うこと等により、調査内容の充実を図ること。

 八、本法を適正に運用していくため、責任者を定めて責任の所在を明確にするなどの管理体制の整備、指針の作成、研修の実施等による指導の徹底を図ること。

 九、住民基本台帳の閲覧や住民票の写しの交付等について、配偶者からの暴力の防止等の観点から、現状を把握し、関係者の意見を聴いた上で、所要の措置を検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(尾辻秀久君) ただいま岡崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、岡崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山総務大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(尾辻秀久君) 次に、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案の採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、情報公開・個人情報保護審査会設置法案の採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、五案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会


2003/05/21

戻るホーム情報目次