2003/05/16

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第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第6号
平成十五年五月十六日(金曜日)   午前十時三十六分開会

○委員長(尾辻秀久君) 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。
 この法律案について質疑を続けさせていただきたいと思いますが、まず、これは事前通告をいたしておりませんが、非常に基本的なことでございますし、衆議院でも確認されている事項でございますが、細田大臣に確認をさせていただきたいと思います。
 この法律の、個人情報保護法案の第二条の「定義」に、「個人情報データベース等」という定義がございます。この第二条第二項の第一号にその定義がございますが、いわゆるホームページなどの検索エンジンですね、グーグルとかヤフーとかございます。これはこの第二条第二項第一号の個人情報データベースには当たらないということがもう衆議院の委員会でも確認されていると思いますが、具体的にこれどういうところがこの定義に、普通の一般の常識でいうと、特定個人情報を電子計算機を用いて検索できるように体系的に構築されているようなデータベースというふうに一般の方は読んでしまうと思うんですが、これは具体的にどの部分でこれ検索エンジンはこの個人情報データベースに当たらないのかということを大臣、可能でしたら御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) この検索エンジンというのは、一般的には、例えば私自身の姓名によっても検索ができますし、あるいは個人情報保護法制なんというのでもできたり、あるいはいろんな事件、出来事等についてもできますですね。したがって、本来、そもそも体系的に個人についてのタグが付いていないということから、これは個人情報が体系的に構成されていないものとして個人情報データベース等に該当しないというふうにお答えしておるわけでございます。
○松井孝治君 タグが付いていないから、私は、昨日、政府の関係の方とお話をしていまして、テキストのデータベースをそういったグーグルの方とかヤフーの方はお持ちじゃなくて、世の中に存在するいろんなホームページをざっと検索をしてくるから、タグが付いていないというのは自分でテキストデータをデータベースとして保有していないからというような御説明も部分的に受けたんですが、それは、そうすると、テキストデータベースを持っているかどうかということが基準になるわけではないんですか。
 大臣、ちょっとテクニカルな話ですから、もしあれでしたら政府参考人からでも結構です。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 データベースに該当するかどうかというのは、検索エンジン全体としての機能として考えているわけではなしに、あくまで検索用のソフトそれそのものがデータベース等という概念に当たるかどうかという考え方にしております。したがいまして、今御指摘の点についても、あくまで検索用のソフト自体は全体の個人情報、いわゆる識別可能な個人情報が体系的に言わば整理されて記録されているものというふうには見られないということから、個人データベース等には入らないという考え方になっておるわけでございます。
○松井孝治君 そうしますと、これはあくまでも脱法的な運用がなされてはいけないという観点でお伺いするわけでありますが、自ら例えばテキストデータをサーバーとして持っているわけではない。しかしながら、例えば世の中に存在する大きなサーバーあるいはデータベース事業者と契約を持って、自らはデータを持たないし、当然、タグを付けた情報を持たないけれども、それを体系的に何らかの外のデータベースの検索を行ってそれを把握して提供するような、そういう事業者が出てきたような場合は、場合によってはこの「個人情報データベース等」とみなされる場合はあると。それは、検索ソフトがどういうふうに構築されているか等から判断をして、体系的と判断されるかどうかによって決まってくるということになると理解してよろしいでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) これも、恐縮でございますが、実際にどういうような形態の業者が出てくるかということを、その段階で改めてよく見ないと正確な判断はできないかと思いますが、ただ、一般論として申し上げますと、その業者の用いている検索ソフト、その検索ソフトの中に、単にいろんなカテゴリーの情報を基にタグを付けているということではなくて、個人情報についてのみ、のみと申しますか、個人情報を整理して、それで体系的に構成していて、そのソフトによって検索すると。専らですから個人情報の検索専用ソフトみたいな形になろうかと思いますけれども、そのためのソフト。ただし、外部のデータベースにどういう形でリンクしているかどうかというよりは、むしろ、そのソフト自体の中で体系的な形で個人情報が整理されて記録されているかどうかという観点からの判断になると思っております。
○松井孝治君 これは具体的なデータベースの実態を見ないと確たることを、これ以上お伺いしてもしようがないと思うんですが、一つ留意いただきたいのは、やはり余り裁量的な解釈で、これが当たる、当たらないというふうに判断されてはしようがない。少なくとも、今のいわゆる検索エンジンというようなものは、これはIT社会の中ではこの利益を非常に享受している方々も多いものですから、そこは、体系的にということで、当たらないんだということは確認させていただいたと思います。
 それでは、通告を申し上げている本題の質問に入りたいと思います。
 この法律の構成が主務大臣制を取っていることについては、この本院の委員会においてもあるいは衆議院の委員会においても随分と議論がされてまいりましたが、この三十六条で主務大臣規定があるわけであります。それで、具体的にこの主務大臣というものの指定が、本当に明瞭な形で、個別具体的な事業者から見たときにはっきり分かるんだろうかということについて、衆議院の委員会でも若干の議論があったと理解しておりますが、そこについて細田大臣にお伺いをしたいと思います。
 衆議院で枝野委員が質問をされて、ゴルフ場の事例があったと思います。基本的にその事業所管でその主務大臣は決まるということだったと思うんですが、その事業所管という概念がこれは必ずしも明確でないものがありまして、ゴルフ場について、細田大臣、ゴルフ場自体は事業としては経済産業省の所管。しかしながら、財団法人が運営しているようなゴルフ場がありますね、財団法人あるいは社団法人が。これは大抵の場合は私の理解では文部科学省の所管であるというふうに考えますが、そうすると、財団法人のゴルフ場としては、事業として行われているのは経済産業省であるけれども、その趣旨に照らしてみると、体育の振興、スポーツの振興という観点で文部科学省の所管であると。そうすると、これは共管になるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 基本的には、ゴルフ場が取り上げられて、個人情報処理事業者としてどういう問題があるかということに着目される場合には、普通は、サービス業であるゴルフ場がコンピューター等を用いていろいろな個人情報を取り扱うことに着目されると思いますので、基本的に経済産業省、サービス業を所管する経済産業省が全体を網羅すると考えて結構でございます。
 ただ、沿革的に、最近は余りございませんが、社団法人制のゴルフ場というものが過去にございまして、これは一応許可を受けて、文部科学大臣の許可を受けたものがあるわけでございますけれども、これは、そういう許可を受けた経緯があるからということで、相談をする方がまず文部科学省の方に行って御相談をするということは、当然それで結構でございます。したがって、その場合には両方が、別の意味で主務大臣になると。
 しかし、サービス業として普通はこの問題が提起されるわけですから、基本的には経済産業大臣と、それからいわゆるゴルフ場協会のような団体もあるわけでございますので、そこが言わば認定団体になったりして全体の運用をするということになるでしょうから、そういう取扱いがいいのではないかと思っております。
○松井孝治君 端的にお答えいただきたいんですが、私が聞いているのは、社団法人の文部科学省所管のゴルフ場の場合は共管になるのかどうか。個別に相談されるかどうかなんということは聞いていないんです。この法律上の主務大臣はだれになるのかと。共管になるのか、あるいはおっしゃったサービス業ということで経済産業大臣になるのか、どっちなんですか。
○国務大臣(細田博之君) 私といたしましては、政府といたしましては、一般には経済産業大臣が主務大臣でありますが、社団法人制のゴルフ場につきましては、ゴルフ場事業の中の特殊形態で過去に許可をしたという観点で、社団法人を監督する立場から文部科学大臣も主務大臣として関与することがあり得ると考えております。
○松井孝治君 あり得るとおっしゃったんですね。あるかどうか分からない、そういう状態にゴルフ場、社団法人のゴルフ場については置かれている。共管かどうか、今、あり得るというのが責任大臣の御答弁でありました。このことは是非記録に残しておきたいと思います。
 同じように、今、サービス業だから経済産業大臣の所管だとおっしゃいましたね。これ、サービス業という概念はどういうふうにとらえておられるんでしょうかね。私は、例えば経済産業省の設置法を見ますと、サービス業という言葉は非常に限定的にしか使われていないんですね。サービス業は全部経済産業省の所管なんですか。大臣、お願いします。
○国務大臣(細田博之君) 厳密に言うと、サービス業は金融業とか特別の、その業務によって主務大臣が決定されておりますサービス業もございますから、私がサービス業と言ったのは必ずしも正確でございませんが、一般的に、その他の業として所管がはっきりしておらないサービス業については経済産業大臣が主務大臣として様々な行政を行っていることは、これまでの実績から見てはっきりしておると思っております。
○松井孝治君 端的にお伺いしますが、塾とか英会話学校はどこの所管になりますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 塾といってもいろいろ、文部科学省から専門学校等の事業を、免許ですか、そういう受けている場合もあります。そういった場合は文部科学省が所管されるということになりますが、それ以外の塾については、今、大臣からお答え申し上げた、言わば他の省庁による所管がはっきりしていないサービス業ということになりまして、経済産業省が所管するということになると考えております。
○松井孝治君 不思議なことだと思うんですね。文部科学省の所掌事務の中には恐らく生涯学習とかそういうことが入っていると思うんですよ。それが、特別の法令があるからそれは文部科学省だとか、ないからというのは何か変だと思いますし、それから、実は今、細田大臣がお認めになられたように、サービス業一般を経済産業省が所管しているというのは、もしもあるんなら法令上の根拠を示していただきたいと思うんですね。ですから、非常に今の話は、私は釈然としない。
 サービス業一般ということであれば、これ、もう一点、ちょっと論点が変わりますけれども、細田大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、例えば古物営業をしているところがありますね。これはどこの所管になるんですか。
○国務大臣(細田博之君) 古物営業法については、古物というのが盗品その他とよく関連しておるということから、過去からの経緯によって、警察が営業については許可を行い、常時それを監視して、例えば贓物が取引されていなかったかどうかというようなことを監視するために、警察庁が所管、国家公安委員会の所管でございますけれども、ただこれも一般的に古物営業法によって行っているものが必ずしもすべて古物だけを扱っているかどうか分かりませんし、ネットオークションというようなことが衆議院でも議論になりましたけれども、あそこには実際上は新品のものが出たり、そういうこともあるわけでございますので、やはり商業一般でとらえることができると。
 それから、今のサービス業云々ということについては、経済産業省設置法上は「商鉱工業の発達及び改善に関する基本に関すること。」ということでサービス業、読まれております。
○松井孝治君 私、法案担当の方から聞いたんですが、古物営業法というのはいわゆる事業所管法ではないんだと、ある種の、こういうことをしてはいけないという規制法なんで、その規制法の存在をもって、古物を売っているからといって警察庁の所管になるわけではない、国家公安委員会が主務大臣となるわけではないというふうに聞いています。
 そういう意味では、法律があってそれで何らかの規制をしているからということによって主務大臣が決まるわけではないというふうに考えますが、そういう私の理解で正しいでしょうか。これは政府側から聞いた話なんですが、細田大臣、いかがですか。
○国務大臣(細田博之君) しかしながら、各主務官庁がこれまでの行政においても、実際にその業と密接に関係があり、また、警察という目的からではありますけれども、許認可の対象となっている業である場合には、こういう場合は実際に苦情等を申し立てる人がどこへ行ったらいいかということが第一の判断になるわけでございますけれども、そのときに警察庁に行けば警察庁でいろいろ紹介をしていただいたり関係の団体を指導していただいたりということは私は妥当なことではないかと思います。
 もちろん、経済産業省に行ってそれをやってもらうことは当然できることでございます。
○松井孝治君 ちょっとはっきりしないんですよね。この法律の主務大臣ということが、実態上警察とお付き合いがあるからそこに相談してもらわないかぬとか、あるいは文部科学省が設立を許可した財団であれば、それは事業としては経済産業省の事業だけれども文部科学省は主務大臣になる可能性があるとか、そういう答弁を大臣がされるというのは、これは私、ちょっと法律の運用上非常に透明性を欠くと思うんですよ。
 もう一つ事例聞かせてください。パチンコ屋さんはどうなんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) これは風俗営業という観点からは警察庁の所管である、国家公安委員会の所管であるわけでございます。
 これはしかし、いわゆる風俗営業という観点の許可制になっておるわけでございまして、しかし片方で、もしパチンコ店が一種の、先ほど言われましたような五万名以上のデータを持って何らかの情報処理のようなことをやっておるとすれば、これは経済産業省の所管であると言うこともできるわけでございます。
○松井孝治君 私がなぜこういう質問をしているかということは委員の方々には御推察いただけると思うんですが、なり得るというような話が非常に多いわけであります。行政との、行政の所管関係というのは非常にこれ微妙でありまして、実態上いろいろな関係があるということとその行政がどういう法令上の根拠があってかかわっているかというのはもうまちまちなわけであります。それを事業を所管する大臣が主務大臣となるというのは、これは今の本当にこの経済の実態からいうと、いろんな事業やっている会社からいうと、じゃ、うちの会社はだれが、個人情報取扱事業者になったときにだれが主務大臣なのかというのは会社の方自体が分からないケースが非常にたくさんあると思うんです。その関連で私は御質問しているということをもう一回申し上げながら、更に御質問続けたいと思いますが。
 NPOがありますね。NPOというのはいろんな業務がNPO法上列記されていて、それの一つをやっているものもあれば複数やっているものがあると思います。これについて、これが当然、大きなNPOで個人情報取扱事業者になるというケースはもちろんあるわけでありまして、例えば国際協力を行っているNPO、町づくりを行っているNPO。NPOは認証制度ですから、基本的にどこの省に所管されているという認識はNPOの方々にはないと思うんですね。この方々の担当する主務大臣というのはどういうふうに決まっていくんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) NPOの所管については、委員御指摘のとおりでございまして、NPOだからといってどこかの主務大臣が決まるということはないということでございます。やっぱりNPOが具体的にどういう事業をやっておられるかということによって、その事業を所管する大臣が主務大臣となるという考え方でございます。
○松井孝治君 中間法人法というのができております。これは、端的に言えば、同窓会とか町内会のようなそういうものが存在するわけでありますね。
 これについても、例えば町内会というのは、主務大臣、大きな町内会で家族も含めたいろんなデータがたくさん保有しているという場合もありますね。同窓会なんて最たるもので、何十万人も同窓生がいるような大学の同窓会なんというのはあるわけですね。こういうものが例えば中間法人として登録されたと。ここが個人情報の取扱事業者になったときに、何とか大学の同窓会、これはもう既に社団法人として存在しているものもありますけれども、中間法人の場合はどうなんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 中間法人についても考え方は基本的に同じだと思いますが、ただ、中間法人ということになりますと、今御指摘のあった事例にも見られますように、その事業が本当に社会通念として事業と言われるべきものかどうかという意味でのやっぱりスクリーニングは必要になりまして、元々、この個人情報の保護法の対象にはならないというケースも出てくるとも考えております。
○松井孝治君 事業をやっているケース、たくさんあるじゃないですか、同窓会館みたいなものを運営して。それはどうなるんですか。どこが主務大臣になるんですか。大学の同窓会で親睦組織、中間法人で設立された。どうなるんですか。それは運営実態を見ないと分からないということですか。
○国務大臣(細田博之君) この法律上は、実際に個人情報処理事業者として活動している内容がどの省の所管であるかを見るということになっております。
○松井孝治君 要するに、委員の皆さんに申し上げたいんですが、その活動実態に応じて、一つの企業でも、例えば、個別企業名を挙げることに他意はありませんが、NECならNECという会社がある。ここは、従来からいえば経済産業省が担当するんでしょう、その事業は。でも、NECは通信、電気通信業もやっている。あるいはNECが関連事業でいろんなものを持っている。それは、例えばトヨタという会社は、ひょっとしたら病院までやっているかもしれないし住宅会社もやっている。それが一つの大きな顧客データを持って、当然、その一つの大きな顧客データベースはいろんなビジネスに活用できますから運用する。
 そうすると、一般的にトヨタのような非常に分かりやすい例でも、これはだれが主務大臣なのかというのは、事業の実態を見てみないと分からないということになるわけであります。ましてや、今申し上げたように、ここで業種名を挙げても、大臣は、いや、この大臣と共管になるかもしれないなんということをおっしゃる。
 これは、我々ですらそういう議論なんですから、逆に個別の事業者の観点から立ったら、それはそういう構成なんだからしようがないと開き直られたらそのとおりかもしれませんが、非常にやっぱり、これはだれが主務大臣になるかは、事業者の観点から見ると、どう判断されるか分からない。しかし、その主務大臣であるかどうかを判断する根拠が法令上明確になっているわけじゃない。
 例えばサービス業は、全般的に他の所掌に属さないものは経済産業省だなんということは、どこの法令を見たってそんなこと書いていないんですよ。さっき、商鉱工業の基本とかおっしゃいましたけれども、商鉱工業の発達改善の基本ということでそんなことが読めるのかということについても私は若干疑義があるのではないかと思うわけでありますが、ちょうど、政府参考人で松田行管局長がおいででございますが、これ、例えばサービス業で他の所掌に属さないものは経済産業省の所管なんですか、松田政府参考人。
○政府参考人(松田隆利君) 突然のお尋ねでございますから、ちょっと正確に申し上げられるかどうか分かりませんが、先生御存じのように、先生も省庁改革を担当されて、国の行政組織の変遷について御承知のことかと存じますが、今、ちょっと恐縮でございますが、やはりちょっと法令そのものを見ませんとなかなか判断ができませんので、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○松井孝治君 これは、この法律の主務大臣をどういうふうに決めるかという法律の、本当にここの主務大臣が具体的な監督をするわけですよ。そこの決め方のことを私は聞いているわけですよ。
 で、これは別に非常にテクニカルな話じゃなくて、一般的に他の所掌に属さないような、たくさんそういう事業者がこの法律による縛りが掛かってくるわけです。義務が掛かってくるわけです。だけれども、私は、どういうところが所管するのか、主務大臣になるのか分からないという方々がたくさんいらっしゃる。そういう方々に対して説明してもらわにゃいかぬ。そのときに、いわゆる一般的なサービス業は全部経済産業省に行くのか、いや、そうじゃないのかということをお伺いしているわけでありまして、松田政府参考人はむしろ行政組織を担当しておられる観点から、役所の所管関係がどうなっているかというのは行管局長が一番お詳しいはずですから。
 別に私、テクニカルな非常にすき間をねらって言っているわけじゃなくて、一般的に、どこかの特定の役所が個別の法律に基づいて所管をするということに必ずしもなっていないようなもの、さっき御質問申し上げたような塾であるとか英会話学校というのはほとんどのものは別に特定の法律に基づいた法人じゃないんです、株式会社なんです。そういうものとか、ほかにいろんなサービス業がありますよね、今私も一々言いませんけれども、そういうものはバスケットクローズとして経済産業省が所管だということならそれは分かりやすい。
 先ほどから細田大臣がおっしゃっていることは私にはそういうふうに聞こえるんですが、そういう細田大臣の考え方は、これはちょっとむしろ片山大臣に僕は伺いたいと思いますが。いや、これはもう基本的なことですよ。行政分野の所管関係ですから、これは総務大臣が監督をしておられるわけですから。他の所掌に属さないサービス業は経済産業省の所管なんですか、片山大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) 国の役所は法令に基づいてやっているんですよ。法令に根拠がないものがその他で何とか省に行くということはあり得ない。
○松井孝治君 明確な答弁だったと思うんですね。したがって、他の所掌に属さないものが経済産業省だということではないと思うんですよ。そうなってくると、結局事業の実態に応じて個別に判断しなければいけない。
 そうすると、私、やっぱりおかしいのは、この主務大臣制度を、まあ分かりますよ、主務大臣制度を取っておられることの一つの立論は。だけれども、事業者の観点から見たら、法令を見たって書いてない。今も大臣は、お二人の大臣が見解が若干これ違うわけですよ。それから、行政組織を担当しておられる政府参考人もはっきり、そういう分野がどこの省庁になるのかということもはっきりおっしゃれない。こういう状態で主務大臣をどうやって決めるんですか、そこに重大な疑義がありませんかということを私は指摘しているんですが、細田大臣、御答弁お願いします。
○国務大臣(細田博之君) 主務大臣について、いろいろ所管について争いがあったり、なかなか明確でないようなケースも出てくる可能性はもちろんありますけれども、その場合は内閣総理大臣が実際に交通整理をするということになっておるわけでございます。
 それから、もう一つ申し上げますと、あらかじめこれは主務大臣はどこであるかをすべて明確にして、昨今新しい業態が幾らでも出てくる中で、これはこの業、これはこの省というふうに全部を決め切るということはできませんし、それから、その必要がない法律でございますのは、主務大臣というのはあくまでも事後的に、すべて問題となって、その問題の事例がどこで扱うべきかも問題になって、例えば二つの省が、じゃ両方でこれをやりましょうということにもなりますし、あるいは場合によっては内閣の方で振り分けることにもなりましょうし、そのことで全く問題はないというふうに認識をしておるわけでございます。
○松井孝治君 いや、新しい事業が出てきて、それが所管が決まらないからこれは決めるという、それはそのとおりですよ。
 私が申し上げているのは、新しい事業じゃなくて、昔からあるビジネスについても役所の仕切りが決まっていないところってたくさんあるじゃないですかと。それについて特定の法益を持った法律があるから、それを所管しているからということで実態上付き合っている、だからそこは主務大臣になるんだというような考え方で整理していいのかと。
 経済産業省の中には中小企業庁というのがありますよ。中小企業については非常に密接な行政組織ですよ。じゃ、中小企業は全部、中小企業でもこれを、個人情報取扱業者になるところはたくさん出てきますよ。中小企業は全部中小企業庁の所管だということで、経済産業省が主務官庁になるんですか。ならないでしょう。なりますか、大臣。
○国務大臣(細田博之君) 主務大臣を定めた法律は、戦後だけでももう本当にたくさんあるわけですね。私自身も行政に携わっておるときに積極的な権限争議が起こって、これはわしの所管である、いや、こっちであるということを協議してきたこともあるし、消極的権限争議で、いや、わしの方は関係ないからおたくの省でしょうというようなことが起こり得ることは事実でございますし、過去にもたくさんの事例がございます。
 そのときに、各省が調整をしながら、救済を受けるべき例えば個人に迷惑が掛からないように速やかに決める必要がありますし、過去の例として、もう一つ非常にいい決め方という例がたくさんありまして、こういう個人を救済する、例えば消費者保護でも何でもいろいろありますね。
 おっしゃったように、一つの企業がよく見ると幾つにも関係するのはあるんですよ。情報処理業だって、いろいろ電気通信の関係があれば総務省と一緒に共管になるとか、そういう企業もたくさんあるわけですが、手を挙げれば、この問題は結構ですねと、私の方に申請がありましたけれども、苦情について、これをこれから処理さしていただきますが結構ですねということを、内閣の方でも連絡体制を取ることによって、いや、これは私も関心があるし、こういう法律に基づいてウオッチする必要がありますから一緒にやりましょうと言うと、それを直ちに両方とも一緒に対応するということも行われているんですよ。その所管争いでどっちがどうだ、わしじゃない、あなたじゃないということを避けることが最も行政庁としては国民に対して大事なことですので、そういうルールというのはもう不文律ですが過去にたくさんあるわけでございます。
○松井孝治君 いや、それは分かっているんですよ。分かっていて、そういうことでいろんなトラブルがあって、縦割り行政ということで、国民は中央省庁のその縦割りに対して不信感があるわけですよ。現実にこういう個人情報保護のような最も透明性、運用の透明性が認められるものについて、そういう、いや、これはうちの役所も関連すると言って一杯寄ってくるかもしれないし、いや、だれもこれは、あなた、この事業は私は関係ありませんと言って逃げる場合もある。そんな不透明な不安定な制度でいいんですかと。だから、もうこれ以上議論は、余りこの議論だけではありませんから長引かせませんけれども、私たちは第三者機関のようなものを作って、そこが一元的に監督官庁として行政責任を担った方がいいんじゃないですかと、それを申し上げているわけであります。
 それで、とにかく、今大体議論をしていて皆さん方、あるいはこれを、この議論を見られた国民の方々は、そこがやっぱり相当いい加減な部分があるな、不透明な部分があるなという印象を持たれたと思いますよ。
 しかしながら、じゃ例えば、現実にこの法律が運用されることになると、そうすると、いろんな役所から、今、大臣がおっしゃったように、規定として、行政機関が相互に連携を密にしなければいけないという訓示規定があるのは知っています。ですからそんな答弁は要りませんけれども、いろんな役所から、いや、お宅は複数の事業を持っているからと、例えば五つも六つもの役所が主務官庁だといっていろんな改善命令、勧告を出されるということはあり得るわけですね、制度上。そうしたときに、企業から見て、事業者から見て、いや、ちょっと勘弁してくださいと、もう五つも六つもの役所からそんなことを言われたらたまらぬですという悲鳴が上がってきたときに、その人はどこに駆け込んだらいいんですか。そういう窓口はありますか。
○国務大臣(細田博之君) その前に、そのような段階に至るようなケースにおいては、内閣が、内閣府で調整をいたしましてきちっとあらかじめ決めなければならないと思っております。
○松井孝治君 その前に内閣府が調整して決めるとおっしゃいましたが、主務大臣がいろんな具体的なこの法律に基づく権限があるわけですね、主務大臣の。事業者から見たら主務大臣の監督に付さなければいけないような条項があるわけですね。それを行うときに、法律どこを見ても内閣府を通じてやると書いていないように私は見えるんですが、私の見落としでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 内閣府でこの問題を各省と調整をして、案外この関係で多いかもしれないのは、個人情報処理、しかもコンピューター、インターネット等を通じていろいろやられるものでございますから、最も多そうなケースというのは、経済産業省と総務省が、いやこれは両方だと言って主張する場合は、それじゃこの問題についてはこうしましょうと。ただ、そういうときの行政庁の不文律は、この問題を速やかに処理するためにお互いに手を挙げて処理するけれども、共同で処理するけれども、それはその情報処理事業者等に迷惑を掛けないためにそうするけれども、これは事後の所管問題について前例として決定するものではないというような、これはやや行政庁の運用の中身に立ち入ったようなことを申しますけれども。
 そういうことによって国民に御迷惑は掛からないようにする仕組みでやっておりますし、それは常に今まで、もうたくさんある法律の中での所管、主務大臣があるものについてはいろいろな知恵が出されて何十年も来ている問題であり、また議員は正にそのことをよく御存じになりながらおっしゃっているわけですから、決して私はそれは阻害要因になるようなことはない。ましてこの法律は、いわゆる許認可権のような、非常にそのことで業が始まったり仕事が始まったりするようなものと違いまして、個人が自分の権利を侵害された、それをまず企業との間で調整をする、その上でいろいろな認定団体による苦情処理等も経て、それから主務大臣の方に入ってくるというか、そういうことでございますので、非常に例外的であると同時に事後的であることは御認識いただきたいと思います。
 あらかじめどの主務大臣だろうかと個人情報事業者がおびえてまずいる必要があるような法体系じゃございませんので、まず個人が直接この苦情を申し立てるところから始まりますので、その処理をきちっとやっていただければ全部そういうものはそういうもので終わると。それで処理し切れないものについての話でございますので、そういう対応はできると思っております。
○松井孝治君 分かっているから聞いているんですよ。
 それで、それで本当に縦割り行政で、もう片山大臣もちょっと笑っておられますけれども、それで情報通信の分野でどれだけの事業者が苦しんでいるか。不文律があるというが、不文律という言葉自体がおかしいんですよ。そういう言葉を行政の世界からやっぱりなくしていきましょうというのが行政の、今の行革の方針じゃなかったですか、片山大臣。そういう不文律で、取りあえずこの窓口にしておいて、後でやりましょうとか、あるいは権限関係の前例にしない覚書を作りますとか、一杯見てきましたよ、そんなもの。細田大臣も見てこられたでしょう、片山大臣も見てこられているけれども。そういうのがおかしいということで行政改革をやっているんじゃないですか。
 そういうことを従来やってきたから大丈夫ですよというようなことではなくて、従来やってきて、それで事業者に迷惑が掛かっていて、何とかしなきゃいかぬ、縦割りを是正しなきゃいかぬということで我々は議論をしているということが大前提にあるということは、これは細田大臣、是非認識をいただきたいと思います。
 そういう意味で、私はきちんと事前に、例えば情報通信の世界とか、これはこういう仕切りでいきましょうねとか、政府内で決めていただかにゃいかぬ。だけれども、決めていただいたとしても、現実にいろいろそれぞれの役所は個別の法益がありますから、いや、ここの事業は、例えば一つの事業でも、うちの関連した事業はこんなことでは困るんですと、名簿の扱いはというようなことをそれぞれの主務官庁が口を出せる仕組みになっているんです、事業を所管していれば。
 だけれども、それが出てきたときに、いや、しかしたまらぬと、こんなもう六つも七つも主務官庁からいろんなものを言われて、あちこちばらばらなことを言われたら困るというようなことが出てきたときに、出ないように工夫されるのは分かります。もし出てきたときに、どこに相談したらいいか、窓口がありますかと私は役所の人に聞いた。そうしたら、窓口はありませんから、そのときは個別の役所の苦情相談とか消費者相談に行ってくださいというのがお答えだったんですが、そんなことでいいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 相談は、身近な自分のところと関係するところに御相談いただいたらいいと思います。
 ただ、法的措置になりますと、法的措置に具体的になってまいりますと、それは主務大臣というものを明確にしなきゃいけませんし、それは関係各省の間ですぐ協議をして決めなきゃなりませんので、その速やかな体制を今後取っていくと。いやしくも国民に迷惑を掛け、それが遅滞するようなことがないような体制を組むことだけはお約束できると思います。
○松井孝治君 その体制なんですけれども、具体的に、各主務大臣のところに御相談を、それはもちろん各主務大臣にも苦情を言ったらいいと思いますよ。だけれども、そうじゃなくて、そういう行政の縦割りが出てきた、主務大臣制を取る以上は、僕はやっぱりそういうことというのは必ずマージナルな部分では出てくる可能性があると思うんですよ。そのときには、この個人情報保護法の運用に関しては、例えば内閣府なら内閣府でそういう相談窓口を置く。これは別に法令上のそんな根拠がなくても置けるわけです。そういうおつもりはあるわけですか。
○国務大臣(細田博之君) それは当然いたします。
○松井孝治君 そのことは確認させていただいて、もう一つ、これは逆に、今、事業者の立場から御質問申し上げましたが、個人の立場から、ちょっとこれはこういうケースが具体的にあるかどうか分かりませんけれども、一つの事例を挙げて聞きたいと思います。
 例えば、この法律の施行前に、私だっていろんなところで物を買ったときに顧客カードみたいなものに自分の個人情報を書き込むことがありますね。恐らく多くの国民はそういうことで情報提供をしておられて、住所を書かれたり電話番号を書かれたり、何の用途に使うのか分からないけれども生年月日を書くなんてことはよくあったと思います。
 そこで、ある事業者に対して自分の個人情報を提供いたしました。そして、この法律が施行になりました。この法律にのっとって、その事業者は適法に第三者提供を、自分が持っている名簿を適法に別の事業者に対してされました。そうすると、個人については、例えば私が氏名、住所、電話番号、生年月日を登録したとしますね。その私の情報が、私が登録した事業者と別の事業者に提供されたとします。そこの事業者から私のところにダイレクトメールが来た、あるいは誕生日おめでとうございます、誕生日のお祝いにこういうものはどうですかという案内が来た。私は、例えば誕生日の、私はそこの事業者に私の誕生日なんか提供した覚えがない。これを私は、私の誕生日について一々誕生日にダイレクトメールを送るのはやめてくれと言うことはできるんでしょうか、細田大臣。いや、これは基本的なことですから、細田大臣。これはもう非常に基本的なことです。
○国務大臣(細田博之君) 自分の誕生日が分かってしまって、それを向こうが勝手におめでとうございますと言ってきたと。それを例えばデータの中から削除してくれと請求することはできると思いますが、だから、その削除することがどのぐらいの負担になるかということもあると思います。例えば、CD―ROMで販売されていると、例えば役員四季報ですね、この間の、そういう話もあるかもしれません。そういうことでございますから、個人からは請求することはできると思っております。
○松井孝治君 参考人、端的にお答えいただきたいですけれども、請求するのは個人の自由ですけれども、それは、法律上それは削除を求められるんですか、削除しなければいけないんですか、事業者は。削除することは求められないですよね、削除する義務はないですよね、事業者に。
○政府参考人(藤井昭夫君) 委員御指摘のケースは、ある個人情報取扱事業者が合法的に持っていた個人データ、それが違法に他の個人情報取扱事業者に提供されたという事例ではないんですか。
○松井孝治君 質問を聞いてください。適法に第三者提供された場合と言って最初に聞いているんですから。政府参考人はきちんと質疑の状況を聞いて答弁してください、時間の無駄ですから。
 適法に提供された場合、私が元々提供した生年月日の情報は削除できないでしょう。
○政府参考人(藤井昭夫君) 別に違法な取得、違法な取扱いがあったわけではございませんから、利用停止請求の対象にはなりません。
○松井孝治君 そうなんですよ、請求対象にならないんですよ。というか、請求するのは個人としては自由かもしれないけれども、それは法律上認められないんです。
 これは、例えば私の生年月日が間違っていましたと。どうもどこかで入力ミスがあったみたいだと。間違った日に来ている、誕生日おめでとうございますと。これを私は正しい生年月日に改めることはできますか、参考人。
○政府参考人(藤井昭夫君) 誤ったデータが保有されている場合は、その事業の利用目的に必要な範囲内で訂正義務が生じるということになります。
○松井孝治君 それでは、誤った生年月日が登録されて、来ていると。しかしながら、私は元々、例えばケーキ屋さんにはあるいは本屋さんには、最初に提供したときに本屋さんだから生年月日書いた。ところが、次にDMが来たのは、適法にそれが提供され、第三者提供が行われて、ラーメン屋さんから誕生日おめでとうございますというのが来た。しかもその情報が間違っていた。だけれども、そのラーメン屋さんには申し訳ないけれども私は自分の生年月日を言いたくない。そのときに、間違った情報を訂正することはできますが、その間違った生年月日を訂正して、それは間違っていますから削除してください、しかし私はあなたには生年月日を出したくないんです、そういうケースは、私は間違った生年月日、間違った個人情報を削除をすることを求められますか。この法律上それは担保されていますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のケースのようになりますと相当やっぱり事実を確認しなきゃいかぬと思いますが、あえてそこを申し上げますと、あくまで訂正は間違っているかどうかということでございまして、今の、生年月日は間違っていないけれども嫌だというようなケースだと思いますが、そういった場合は基本的には訂正請求の対象にはならないと思います。
 ただ、生年月日というものが、新たにそのデータをお持ちになっている事業者の利用目的に必要なデータであるかどうかというところもございまして、それがもし不必要なものであれば、むしろそういったのは利用停止してくださいということは言えるということだと思います。
○松井孝治君 それは、不必要かどうかはだれが決めるんですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 法律上は、観念的にはそういう事実があったらそれは不必要なものということになるんですが、実際には訂正義務とか停止義務が生じるかどうかという判断になろうかと思いますから、その場合は、現に求めを受けた事業者が判断するということになります。
○松井孝治君 じゃ、事業者が判断するんですね。
 私が政府側から聞いているのは、訂正することは可能であったとしても、いったん自分が提供したものであれば、例えば、その提供した情報が法施行前のものであって別の事業者に提供した情報であっても、それを訂正することはできる。自己情報について訂正することはできるけれども、いったん法施行前に提供したものであってもそれを削除するということはできない。仮にそれが誤っていてもできないというのが、これは法案の担当者から私は伺った話で、これは私は、さすがにケース・バイ・ケースかもしれないけれども、そういう不条理なケースが出てくるんじゃないかということを申し上げたいわけです。
 そうしたときに、本当に、私は、情報というのは、いったん流通してきたものを本人が本人の都合ですべてをそれをコントロールさせるとこの情報社会に逆行する部分も確かにあると思いますから、今の法律の規定上、訂正権はあるけれども削除権がないというのは、そういう論理整合性を重視したものだと思うんですけれども、しかしながら、今、政府参考人ですら法案の起案者とちょっと違うことをおっしゃった。法案の起案者に聞いたら、それは、恐らくこういう方々が法律の運用をされると思うんですが、その情報、生年月日の情報でも住所でもいいんですよ、間違った住所に引き続きDMが送られ続ける、だからこれを訂正してくれと言うことはできるけれども、だけれども、その間違った住所をあなたには提供していないんだから、それは削除してくれと言えないというのが今の法律上の運用だということなんです。
 こういうことについて、やはり私がお願いしたいのは、制度的にはそういうことで切るのかもしれないけれども、実際、その個別の苦情の実例に応じてやっぱり判断していかなければひどいことが起こってくるんではないかというふうに思うんですけれども、今後の法律の運用について、そこら辺の弾力性というのはどの程度あるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 究極的には、それは一件一件が、例えば個人の判断によって訴訟等に持ち込まれ、あるいは主務官庁に持ち込まれて、あるいは関係団体との話合いで企業がそれにどう良心的に対応するか。
 できない場合に、やはりそれが個人の利益、権利にとって極めて重大であるからということであくまでも請求をして、あらゆる措置について、訴訟に訴えるとかそういうことによって前例が、判例が積み上がっていって、おのずと自己情報、すべての自己情報は自分がコントロールできるという学説もありますけれども、やはり中には、実際に非常に今後社会生活を営む上で大変な場合もあるし大きな負担を伴うから、やはりそこまでは請求は認めないけれども、次に発表、それを加工し直すときには削除するとか、いろんな実態によって対応する。そして、最終的には判例によって対応するしかないのではないかと。そういう意味で、非常にソフトな法律であることは私どもも認めておるわけでございます。
○松井孝治君 そういう私も個別具体的な事例に即して対応しなければいけない部分があると思います、恐らく。法律の起草者が想定していなかったような事態が私はあるんではないかということを今申し上げているんです。そのときに、私は今申し上げたように、それは事業者の判断だとかあるいは主務官庁の判断だということになってくると、どうしても弾力的に判断しなければいけないんだけれども、一つ間違ったらそれは非常に裁量的な運用になってしまうかもしれない。これは二律背反の部分です。
 だから、そういう意味でも主務官庁制度ではなくて第三者機関のようなものを作って、ある程度弾力的に判断をせざるを得ないけれども、そこはきちっと相互チェックが働くような組織にしなければいけないのではないかということを実は私が申し上げたくて、るるこういう御質問を申し上げているわけであります。答弁は要りません。
 予定された時間が、最初の部分で随分時間を取ってしまったものですから時間がなくなってまいりましたが、セキュリティー監査について、これは片山大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
 住民基本台帳ネットワーク、去年大変大きな騒動になったわけでありますが、この行政情報、行政機関が所有する情報の保護、個人情報の保護をどういうふうに行うかについていろんな議論がなされています。
 それで、昨年の七月二十九日に、これ片山大臣が記者会見をされていますし、総務省の方からその記者会見のときの発表資料もいただいたんですが、住民基本台帳ネットワークシステムを稼働するに当たり、以下の措置を新たに講ずることとするという記者発表がされています。その中に、外部監査によるシステム運営監査という条項があって、全地方公共団体を対象に監査法人等による外部監査を実施するというふうに明言されていますし、個別の新聞報道でも片山大臣はそういうふうにおっしゃったという新聞報道を私は持っております。
 本当に行政機関、特に市区町村が住民基本台帳ネットワークを運用する、その際のセキュリティーの問題が今非常に問われています。実際に、この外部監査をちゃんと全市区町村に、全地方公共団体に受けさせますから安心してくださいということを片山大臣が発表されたわけですが、現実にこの発表から一年近くたつわけでありますが、市区町村のうち外部監査を受けた団体は幾つありますか。片山大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) 私が去年の七月二十九日付けでこういうことを決めまして、記者会見で発表いたしました。今、委員が読まれたとおりなんです。その中に括弧があるんですよ。外部監査を実施する、括弧で、稼働後できるだけ早期に、全団体に対して、運営面でのチェックリストを配布し、その回答状況を点検するとともに、監査法人等により個別に監査を行う方法でやると、こういうことなんですよ。
 全部、三千二百も三百も全部外部監査法人を頼んできてやるというのは、お金の問題もありますし、それから手間や手続もあるので、チェックリストについては市町村に勝手に作らせるんじゃなくて、総務省と指定情報処理機関が協力してそのチェックリストというか調査票を作って、これを配布して、点検させて、それをまた見て分析をして個別に指導すると。その中で、特にこれは外部監査法人に直接やらせた方がいいというものはやると、これが百八市町村において実施だと、こういうことになっています。
○松井孝治君 今百八とおっしゃいました。三千二百余りある市区町村の中の百八しか実施されていないんです。確かにそういう読み方はできるのかもしれません、この文章を見ると、厳密に見ると。ただし、全地方公共団体を対象に監査法人等による外部監査を実施すると本文に書いてあるわけですよ。括弧して、見ると、早期に、全団体に対して、運営面のチェックリストを配布し、その回答状況を点検するとともに、監査法人等による個別に監査を行う方法を検討と。この全団体に対してというのはどこまで掛かっているんだという文章の読み方みたいな問題なんです。この全団体に対してというのはチェックリストを配布するということまでしか掛かっていないんだから、これはあとの外部監査は、三千二百のうち百幾つも受けているんだから十分だろうというふうな答弁に、今の片山大臣の答弁が聞こえるんですが、そういう御趣旨ですか。
○国務大臣(片山虎之助君) この全団体に対してというのは、運営面でのチェックリストを配布して、その回答状況を点検するという、ここまでまず掛かるんです。点検した結果、必要なものは監査法人等による個別に監査を行う方法をやると。だから、両方掛かっているんです。
○松井孝治君 じゃ、伺いますよ。両方掛かっているんでいいですよ、両方掛かっていいんですけれども、三千二百にチェックリストを配られましたよね、外郭団体が。外郭団体が配られましたけれども、そのうち、その百八の、百八でしたっけ、外部監査を受けられる。これ、この百八はだれが選んだんですか。その必要性をちゃんと総務大臣が判断して、じゃこの百八は必要だからという判断をして、選ばれて外部監査を受けられたというのなら私は今の答弁は納得できないわけではないですよ。私はそういうことと必ずしも理解していないんですが、いかがですか。端的に、時間がありませんので。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 事実経過でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 これは、指定情報処理機関と都道府県との話合いで、全県一から三団体、各県一から三団体、都道府県の希望でございます。失礼しました、市町村でございます。
○松井孝治君 そうなんですよ、市区町村の希望なんですよ。どちらかというと、私が聞いている限りでは、まじめなところで、うちは外部監査を受けたいと、そういうチェックを受けておきたい、きちんとしたシステムを構築する上で、というところが手を挙げておられるんですよ。
 それは判断が、これ、チェックリストを見ていて甘い、ここはちょっと危ないなということで、片山大臣の判断で、じゃここは受けさせようということだったら今の片山大臣の答弁は整合性があるんですよ。ところが、実際は、うちは受けてみたい、外部監査を受けてみたいというところが手を挙げられて、百八、外部監査を受けておられるんですよ。
 こんなことで、片山大臣、私は、これ自治事務であることは知っています、ですから今の制度上は市区町村が自分の責任で判断しなければいけないということが根幹にあるのは知っていますけれども、ただ、事は、これみんな今LGWANと霞が関WANがもう相当つながっていますよね。どこかでセキュリティーを壊されるようなことがあったら、それは全体の、国の全体の仕組みに影響するわけですよ。そういう意味では、個人情報、国民の個人情報保護全体がリスクにさらされる可能性があるんですよ。
 だから、自治事務ではあるけれども、これはその趣旨、元々片山大臣がこれは大分か何かでたしか記者会見されたやつですよね、去年の七月二十九日に。それはやっぱり私は、この問題については自治事務かもしれないけれども、やっぱり総務省が、地方自治制度を所管し、なおかつ情報通信制度を見ておられる総務省が、やっぱりこのセキュリティーの問題については全国民に責任を持って、きちんと胸を張れるような制度にしておかなければいけないんじゃないんですか。
 そういう意味で、この百八、自分で手を挙げたという団体は外部監査を受けました、それで片山大臣の七月二十九日の記者会見の趣旨が達成されたとは私は思えないんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) こういうことなんですね。今の百八は、なるほど希望なんですよ。そこで、今、二月ぐらいまでに全部自己点検の、自主点検の調査票を回収して、今それを中を点検しているんです、今度は再点検を。それから分析をしているんですね。その結果、これから七月末までに、第二次稼働が八月末ですからね、だからそれまでに個別の指導をやろうと、抜き出して、悪いものは、こういうように考えておりましてね、まあ一割ぐらいが必ずしも十分でないという我々の認識を持っておりますので、これはもう個別に指導すると、府県を通じてか府県と一緒に。こういうことを考えておりまして、第二次稼働までには全部点検しよう、それで必要があるものは更に外部監査ということも検討すると、こういうことになります。
 それと、住基ネットワークと、例のあれ、総合行政WAN、LGWAN、これと霞が関WANつなぎましたけれども、これは別の体系ですからね、委員御承知のように。住基ネットワークは全国でやってるでしょう。だから、これを、こっちが結んでいるから住基ネットワークがどうだということにはなりませんので。
○松井孝治君 終わろうと思ったんですが、今おっしゃったので、一言だけ言いたいと思いますが。
 住基ネットワークとWANが違うのは分かっているんですよ。だけど、住基ネットワークに入るときの市区町村の職員はLGWANに入っているわけですよ。そこが、住基ネットに入れる、入力するところが危ないと言われているんですよ、一番危ないと言われている。その市区町村の職員の机の上にあるパソコンの管理が一番危ないと言われているんですよ。サーバーから、コミュニケーションサーバーから先の話は大体大丈夫なんですよ、それでもいろいろ議論はありますけれども。
 だから、そこの面は、今おっしゃったことに限らず、きちっとセキュリティーのチェックをしていただきたい。
 本来は、今日は細田大臣に、恐らく同僚の他党の議員からも追及があるかもしれませんが、レガシーの問題であるとか、このセキュリティーの問題というのは、単にセキュリティーだけの問題じゃなくて、IT調達、これが非常に根の深い問題があります。
 それから、自治体の職員の皆さん方からいうと、本当に発注するときに仕様書を書く能力がない、だからベンダーの方々に、ベンダーと言っても分かりにくいですけれども、メーカーの方々に仕様書を書いてもらって、セキュリティーも含めてみんな丸投げをしてしまう、はやりの言葉でありますが、丸投げをしてしまう結果、ベンダー、要するにメーカーの人たちがあっちこっちの全国の三千二百相手に商売ができて、物すごくおいしい商売ができている。それで結果としてセキュリティーの問題も非常に大きな問題をはらんでいるじゃないか。
 税金の使い道、セキュリティーの問題、あるいはITを使った本当にe―Japanというものを構築する上で大きな問題を抱えているということをるる個別事例を含めて御指摘をさせていただきたかったんですが、これは別の機会に譲らせていただいて、同僚議員の質問に譲りたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時四十分まで休憩いたします。
   午前十一時四十分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十分開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから個人情報の保護に関する特別委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤原正司君が委員を辞任され、その補欠として山根隆治君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。
 お昼御飯の後、十分な昼休み時間もないままの大変つらい時間帯の審議でございますが、よろしくお願いいたします。
 昨日、同僚の平野議員は胃カメラを飲まれた後とかとおっしゃっていましたが、私は昨日バリウムを飲み、つい直前に胃カメラを飲んでやってまいりまして、大変調子は不調でございます。
 午前中、同僚議員から大変鋭い質問が出ておりましたが、少し私も伺っておりませんでダブるところがあるかも分かりません。特に、苦情処理の関係についてはダブる部分があるかも分かりませんけれども、私の方は、鋭くはないけれども素朴な質問をさせていただきますので、是非分かりやすい御答弁をちょうだいしたいと、このように思っております。
 それでは、まず冒頭、曽我ひとみさんが朝日新聞に抗議をなさったあの件につきまして、私は、大変これは個人情報、プライバシーの問題についてシンボリックな問題だと思いますので、本個人情報保護法案の担当大臣でいらっしゃる細田大臣からこの件についての所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 曽我ひとみさんの件とおっしゃいますのは、朝日新聞の五月十三日付けの夕刊十四面に掲載された記事におきまして、曽我さんに御主人、夫から手紙が届けられたこと、夫の連絡先の北朝鮮の住所、北朝鮮の担当者の名前を掲載していたこと等を指していると思っております。
 本件につきましては、本法案の問題というよりも、むしろ従来からメディアとプライバシーの関係で議論されてきた問題でございます。メディア自体はプライバシーの問題についてこれまでも長い経験と強い認識を持っておられると思いますが、今後、こういう問題につきましては判例の蓄積とか国民的な議論により検討すべき問題であろうと思います。
 ただ、この個人情報保護法自体から申しますと、やはりこの活動は報道活動として行われたことでございまして、適用除外であることは明確でございます。本法案では、報道機関においても個人の人格尊重の理念に立ちまして個人情報が厳正に取り扱われるべきであることに変わりはなく、報道機関に自主的な取組を求めているところでありまして、そういった意味では、この自主的な取組を行うべき筋合いの問題の一環であろうと思っております。
○川橋幸子君 朝日新聞は、この新聞記事によりますと、プライバシーへの配慮が足らず、おわび申し上げると、曽我さんの心を傷付ける結果となりましたという、そういう談話を発表しているところでございます。
 また、内閣官房の拉致被害者・家族支援室の方で、これを、曽我さんの抗議文を公表されたわけでございますけれども、ということは、多分内閣支援室の方では、あるいはそれを担当なさる安倍副長官の方では、不適切という御判断だったのかなと思いますが、こういう一連の新聞社の対応、あるいは支援室の方の所見、態度について、細田大臣はいかがごらんになられますでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 私の所管の問題であるとは必ずしもこの点は申せませんけれども、内閣の一員として考えますと、これだけ北朝鮮の問題、拉致家族の問題、そしてその親族の問題、家族の面会の問題が非常に大きな問題となっており、それぞれの安全の問題等が注目されております現時点で、差出人の御主人、夫の住所を、住所、氏名、氏名は元々分かっておりますけれども、これらについて明確に報道しておるということは、やはり非常に大きな問題があると思っております。
○川橋幸子君 私は、住基ネットに登録される四情報、氏名、性別、年齢、住所、これはむしろ本人のアイデンティファイ、アイデンティフィケーションになる、守られるべき部分がある、これは公表情報だと言われているそういう情報でさえも、扱いによっては非常にその人の人生、安全を狂わせることがあると。
 そういう問題として是非、何というんでしょうか、この問題は、やはり法によって取り締まることよりも、むしろ教育啓発の問題なのかなと。個人のプライバシー、個人の情報を保護するということがいかに大事なことで、ある部分については国家でも、それから国家に準ずる大きな力を持つメディア、中間団体も、個人のその問題についてはもう立入禁止区域があるんだよと、立ち入ってはならないことがあるんだよと、そこの社会意識、社会の理解が足りないんじゃないかと、このように思うわけでございますが、そうした意識啓発の件についてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(細田博之君) また、年々歳々こういうIT化の促進によりまして、しかも情報が拡散していきますので、そういった点は大変大事だと思います。
 例えば、私も川橋先生の、このある紹介の本によってこう見ますと、この多くの先生方は最近は何々宿舎と書いてあるだけで、それ以上の細かいことは書いていない方も多くなっています。それは国会議員の人が身の安全とかいろんなことで、それを個人の立場からこれを修正してくださいと。しかし、この川橋先生のようにもう全部住所まで書いて電話番号まで書いてあるということは、正に先生から見られると本当にいいのかと。
 最初はどこかに届けられたと思うんです。我々も議員になったときは全部届け出て、だんだんそれはおかしいなと、かえっていろんな被害もあるなというと、自分の言わば個人情報は防いでほしいと、防ぎたいということで、本当に親しい人へは知らせるけれども、あとは議員会館の方に問い合わせてくださいというふうにして対応していますけれども、こういうこの個人情報の扱い一件一件見ますと極めて心ない対応のものも多くなっておりますので、私は、こういった点は本当に報道機関もこういったものの出版も含めて慎重な対応をしていただくことが適当であると思っております。
○川橋幸子君 どんな議員が質問するのかということで急遽取り寄せられたのかも分かりませんが、国会議員の場合はそうしたリスクは当然背負った上で国政に対して責任を持つということもあるかもしれませんので、国会議員というよりも一私人のプライバシーというのは人権なんだと、新しい人権なんだということを御認識の上この施策に取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、次に移らせていただきます。
 幾つかダブるかとは思いますけれども、やはりこれまでの審議の中から、私個人としても強調してお伺いしたい点、数点を伺わせていただきたいと思います。
 まず、自衛官募集に関連してでございます。
 先日来、もう四条件だけしか石破長官は求めない、それから求める求めないは防衛庁の所管であるとして、片山大臣の方も自治体として提供するのは四情報が適当であろうというお話が繰り返し繰り返しある中で、自衛官募集について四条件以外の条件が必要で、それが認められる、適法なのかどうかの話が絶えず繰り返されてまいりましたが、一番の根本は、中卒の募集者、中卒の子供たちに対してこのような募集行為というものが、民間にしろ、国家公務員あるいは地方公務員にしろ、文部省の通達によれば、新規中卒者には文書募集を行わない、これは平成十六年度の募集に関してもそういう、通達か何かよく分かりません、告示か何か分かりませんが、そういう態度が出されていて、それが遵守されている中で、なぜ自衛官だけが中卒の子供たちに文書募集が必要なのか。
 それから、その法律が認められる認められないの話は別として、これからの考え方として、それは必要でなければ現行法の運用を改めればよいということでございます。
 なぜ自衛官だけが認められるのかということを伺いたいと思います。まず最初に文科省の方から伺いたいと思います。なぜ自衛官だけが認められるのでしょうか。
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の文部科学省と厚生労働省の共同通知におきまして新規中学校卒業者を対象とする文書募集は行わないこととしておりますのは、中学校段階では社会経験が浅いこと、職業についての知識が少なく、職業選択能力も十分ではないこと、求人広告等に記載された内容だけに基づいて就職先を選択することは生徒にとって著しく不利な労働契約を結んでしまう可能性があることなどの理由によるものでございます。
 自衛官の募集につきましては、自衛隊法等に基づき防衛庁が独自に募集できることとなっているところでございますが、私どもといたしましては、このような共同通知の趣旨にかんがみ、従来より防衛庁に対しましては理解と協力を求めてきているところでございます。
 御指摘の中学生に対する自衛隊生徒の採用試験に関する募集広報に関しましては、平成十五年四月三日付けの防衛庁事務次官通知によりまして、当該中学生の保護者又は当該中学生が在籍する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限定しているものと承知をしておりまして、今後とも、共同通知の趣旨を踏まえた適切な募集広報活動をお願いしたいと考えているところでございます。
○川橋幸子君 文科省の方からは防衛庁に対してこの通知の趣旨に沿って募集をやってほしいという協力要請をやっていたということのようでございますが。
 そこで、それじゃ防衛庁の方にお伺いしたいと思います。
 この質問だけに赤城副長官にお見えいただいて大変恐縮でございますけれども、大事な問題でございますので、是非お答えいただきたいと思います。
○副長官(赤城徳彦君) お答えいたします。
 その前に、ちょっと先生御指摘の四情報の件について、是非これ御理解いただきたいと思うんですけれども、防衛庁は四情報以外の情報についても提供を受けてきました。これは法律に基づいてそれは認められていることですけれども、必要最小限に限るということで、今後は四情報にしましょうと、こういうことでありますから、これまで何か違法なことをしてきたということでございませんので、その点は是非御理解をいただきたいと思います。
 それから、中学生に対する文書募集の件でございますけれども、ただいま文部科学省からの説明にありましたように、基本的にはそういう理由で新規中学校卒業者を対象とする文書募集は行わないことと、こうなっております。これは、自衛隊法、自衛官の募集については自衛隊法等に基づいて独自に募集できることになっておりますので、この文部科学省と厚生労働省の共同通知がそのまま直ちに適用されるということではありませんけれども、ただいまのように共同通知の趣旨を尊重するということで取り扱ってまいりました。
 具体的に申しますと、例えば新規中学校卒業者本人に対してダイレクトメールを送付することは、こういう共同通知の趣旨にかんがみれば必ずしも望ましくないということで、本年四月三日に通達を発出いたしまして、その中でこういう扱いにしております。中学生に対する募集広報については、当該中学生の保護者又は当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限るものとすると。ただし、新聞、雑誌、ポスター、テレビ、ラジオ、ホームページ等で広く一般に対して行う募集広報はこの限りではないということで、本人に対しては文書、ダイレクトメールを発出するということはしないという扱いにしてございます。
○川橋幸子君 それでは、もう一回文科省に伺いますけれども、もし子供の立場から考えれば、自分の人生選択に当たって、ほかの情報は別に自分のうちには来ないと。お父さん、お母さんの保護者名と連記か、あるいは保護者名だけなのかよく分かりませんけれども、ほかの情報は一切来ない。その中で自衛官募集だけ来る。子供の人生選択から考えて、やはり防衛庁の文書募集は突出していると、このようには考えられませんか。
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 先ほど申し上げました共同通知の趣旨につきましては、これまでも防衛庁の理解と協力をいただいてきたところでございまして、今後ともその趣旨を踏まえた、先ほど御説明申し上げましたような適切な募集広報活動をお願いしたいと考えているところでございます。
○川橋幸子君 お伺いしたことに直接お答えいただきたいと思いますけれどもね。
 保護者名が付いているにしろ何にしろ、本人が住んでいる住居までこの情報だけが行く。子供の人生選択にとってやはり情報提供が突出しているんじゃありませんか。もし保護者名が付けばよろしいということだったら、ほかの民間企業でも、あるいは公務員でも、そのように、そこのところはお譲りになられたらどうですか。
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 自衛官の募集につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、自衛隊法等に基づきまして防衛庁が独自に募集できることになっているところでございますが、先ほど申しました共同通知の趣旨につきましては、これまでも防衛庁の理解と協力をいただいてきたところでございます。その趣旨を踏まえた適切な募集広報活動に今後ともお願いをしたいと考えているところでございます。
○川橋幸子君 何回繰り返してもちゃんとしたお答えいただけないということでございます。
 赤城副長官は大変お若い政治家でいらっしゃって、今の価値観の多様化、あるいは今の労働市場の在り方、子供たちの在り方、よく御存じだと思われます。この際、自衛官募集についても、やはり子供の人生選択、子供の考え方をむしろ尊重するんなら、ダイレクトではなく一般に、フェアに、その代わり、自衛隊はこういうところに入ればこういうトレーニングも受けられる、あるいは、国防以外にもこういう人生、キャリア形成に役立つと、そういう訴え方だってあると思いますけれども、この際思い切って、もう個人の自宅への文書募集は行いません、そのように検討します、その方がフェアな子供に対する情報提供であるということを御検討くださるようにお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
○副長官(赤城徳彦君) 防衛庁としましては、この自衛隊法に基づく募集で必ずしも共同通知が直に、直ちに適用されるわけではありませんけれども、その趣旨はきちっと守っていきたいと思っております。
 その趣旨といいますのは、中学生段階では社会経験が浅いとか、あるいは職業に関する知識が少なくてその選択能力が十分でないと、そういうことでございますから、中学生本人にダイレクトメールが行って、本人がそれを見て適切な判断ができないということがあってはいけないと。したがって、保護者あるいは就職担当者にあてて募集をするということによって、保護者とともにきちっとした判断をしていただくということが大事だと思いますし、一方で、自衛隊法で独自に募集ができるというふうに規定されているのは、これはもう自衛隊という、自衛官というその持っている職業の特殊性といいますか、あるいは国の守りの一番の基盤でございますから、その募集の重要性ということを反映してこのようになっているものと思っております。
 いずれにしましても、共同通知の趣旨はしっかり体してまいりたいと考えております。
○川橋幸子君 もうこの問題は何回繰り返してもちっとも検討しますというお答えがいただけないようで、大変落胆いたします。若い世代の政治家でいらっしゃる赤城副長官でも壁は破れないことに対して大変落胆いたします。正直に申し上げます。
 そこのところは、もう繰り返しても時間の無駄ですからやめますけれども、何で国防だけが大事なのかという、そこについいくと思うんですよね。民間企業は大事じゃないのですか。地方自治体の仕事は大事じゃないのですか。やっぱりこれは募集する側のあの楽な募集を助けるためにやっているだけの話ではありませんか。
 子どもの権利条約も批准したことですし、子供のための最善の利益、もし職業情報をちゃんと親を通じて提供するなら、私は文部省も厚労省も含めて、これから自立した日本の次世代を担う子供たちを育てていくなら、そのような人生選択のチャンスをフェアに与えるべきだと思います。子供にはいろんな可能性があるんです。
 ですから、国防は国防で結構でございますよ、なぜそれだけなのかということなのですということを申し上げまして、お分かりいただいた方はお分かりいただいたと思いますので、次の質問に移ります。
 さて、これも再三再四質問が出ているところでございますが、住民票の写し等の請求書について、本人による開示請求ができるようにすべきではないかという質問がありまして、この点については片山大臣は大分うなずかれておりまして、検討する、検討するとおっしゃっているわけでございます。
 さて、本格稼働も間近でございますけれども、スムーズな本格稼働に入るためには、この部分の手当てをすることによって、市民、住民それから自治体の理解が得られて、この個人情報保護法とも相まって法の目的が円滑に施行されるんじゃないかと思いますが、住民基本台帳の改正を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 今の住民基本台帳の考え方は、四情報は公開情報なんです。何人でもそれを知り得る。これが居住関係の公証ですし、それから同時にあらゆる行政のベースとなっていますから、基礎になっていますから、これぐらいは公開すべきだろうということで来ているわけですが、いろんな議論が出てきたものですから、例えば、請求、何でその住民票の写しが要るのかという請求理由を求める、求めたときに、正当な理由でなきゃ拒否できる、こういう改正をやったんですね。
 そこで、この委員会でもいろいろ御議論いただいているのは、例えばダイレクトメールをやるために、そういう名簿を大量閲覧をして作ってそういうところに売り込んでいるとか、金融機関、余り良質なのはないんでしょうが、良質でない金融機関がまたこれを利用しているとか、いろんな御指摘があるから、そういうことは確かに弊害がありますよ。あのDVの話もありますし。
 そこで、関係者の意見も聞きながら実態を見て、必要なら検討いたしたいと、こう言いましたが、もうすぐやるという話じゃ川橋委員ないんですよ。よく実態を調べて、これは大問題ですから、基本的には公開ということなんだから。それを変えるんですから、そこのところは大きな議論を、議論というか改革になりますから、いろんな多方面から議論をしてできるだけ多くの人の合意を得てスムースに、場合によっては直すということもあり得るなと、そういう検討をさせていただくと。これだけ踏み込んだというのは大変なことなんですよ、この委員会で。だからそこは御理解を賜りたいと、こういうふうに思います。
○川橋幸子君 昨日は個別法の制定について、電気通信分野の個別法の制定については大変前向きの思い切ったお約束、公約をいただきまして、さすが片山大臣だなと私も尊敬しておりますけれども、思っておりましたが。
 住民票の問題につきましても、これは渋谷区の例でございますが、自分の住民票の写しを請求した人物を教えてほしいと。先ほど曽我ひとみさんの例で申し上げましたように、公開情報であっても、使われ方によってはやはりデメリットになる。しかも、電子社会になりますと、関係者、狭い関係者じゃなくて、本当に大量にうわっと出ていくわけですね。善人もいるかもしれないけれども、悪人もいるわけです。そうした問題についてこの渋谷区は、自分の住民票の写しを請求した人物を教えてほしいという男性の請求を認めて、条例に基づいてその氏名などを開示した。こんな、もちろん御存じの例だと思います。そういうふうに取り組んでいる自治体も既にあるわけです。
 ですから、そういうことも考えられる、あれも考えられる、これも考えられるというよりも、もう少し事態は動いているというふうに私は思うのでございます。即やれというふうに御要望申し上げているわけではなくて、検討するとおっしゃったわけでございますので、様々な御意見を住基ネットの本格稼働の前までに手当てしていただきたい、検討していただきたいと。改正しろとは申し上げません。そこまでの約束は結構でございますが、検討の方をしっかりやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) だれに閲覧させたり写しを交付したかということを開示請求ある場合認めろと、こういうお話なんでしょうが、これは川橋委員、あれなんですね、登記簿の謄抄本やそれから例の戸籍の謄抄本も同じ扱いなんですよ。これも原則公開なんですよ、何人にも。こういうところの関係もありますし、閲覧を求めたり写しの請求した人のプライバシーの問題もあるんですよ。
 その辺の検討をいろいろしなきゃなりませんので、第二次稼働が一つのこれは区切りですから、そこまでにできるだけ結論して方向付けできるように努力しますけれども、しかし、もうそれはすぐですからね。私が昨日、電気通信事業の関係言ったのは二年後ですよ。これが施行するまでに結論を出す、個別法が要るのか要らないのか、要るとしたら大体の内容はこうだという結論を出すと言ったわけでございまして、八月と二年後は大分違いますからね。
 だから、できるだけ早急に、川橋委員のお気持ちも分かりますから、できるだけ早急に検討はいたします。
○川橋幸子君 それでは、次の問題に移らせていただきます。
 これは、衆議院の四月二十二日の特別委員会、横路委員が質問された今の名簿業者の危険性、リスクについての問題でございます。繰り返しになると言われるかもしれませんが、やはり大きな問題でございますので、この参議院でも指摘させていただきたいと思います。
 横路委員の方も、大臣には、これが実態ですよと、名簿業者の実態ですよというその資料は差し上げてあったかと思いますが、私も重ねて、昨日コピーしたものを事務方を通じてお届けさせていただきました。
 それはコピーですから白黒でございますけれども、本物はこれです。(資料を示す)大変色鮮やかなものでございまして、一万五千件の最新データと書いてある。質問取りに来てくださった役所の人は、あっ、人口よりも多いですねと言っておりましたけれども──一万五千じゃない、一億五千万件でございます。
 デフレの不況のときに、ビジネスチャンスをこの名簿が差し上げますというような感じで、実に様々なデータが出ているわけですが、今日は、そうした名簿がやはり個人の側にとっても、ユーザーの側にとっても、消費者の側にとっても、それは欲しいと思う情報が入るという、そういう話もありますので、その中で問題と思われるものに絞って質問させていただきたいと思います。
 身体障害者一万人以上の全国名簿と、豊島区独り暮らし老人名簿とか、そういうものがウェブサイトで広告されて、だれでもアクセスできるんですよね。どうでしょうか。何か被害者名簿、悪人から見れば、あっ、ここビジネスチャンスと思うかも分かりませんけれども、御本人から見れば、被害に遭うリスクが高くなるということも、そういう可能性のあることも心配されるところでございます。
 まず、こんな名簿が、名簿業者が売り出されていることに、そういう問題について大臣の御所見伺いたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 正に、個人情報保護法はこういう問題に適切に、しかも早急に対処をしなければならないと。しかも、現在の刑法等ではどうしても対応できないと、かといって今の裁判所制度を行政や立法の立場から云々するわけではございませんが、残念ながら時間が掛かるという中で、是非とも早く対応策を法律にしまして適切な対応ができますようにということでお願いしておりましたが、やっぱり当初提出以来二年以上の時間というのは、非常に残念なことですが、もう大変に事態が進んでおります。しかし、私どもとしては、この法案をできるだけ早期に成立させていただき、もちろん与党、野党、野党案も出されまして、いろんな差はございます。しかし、思いは同じでございます。
 私どもも、川橋議員がおっしゃいましたように、このようなことを許してはならないという気持ちでございますし、また多くの質問者はこういうことはやはりおかしいと。逆のお立場のようにうかがえる、行政庁がこんなに権限が大きくて民を圧迫するようなことがあっていいのかというお立場もありますから、そこはバランスの取れた議論はしなきゃなりませんけれども、しかしやはり個人の情報保護は本当に大切であり、かつこの身体障害者一万以上の、一万人以上の全国名簿とか豊島区独り暮らし老人名簿というのが一体だれが出したのか。もちろん、官の関係者が出したとすればもちろん大きな問題でありますが、そうではなく、いろいろな基のデータがありまして、それが次々に第三者提供をされる、あるいは不正取得されるというようなことが繰り返された可能性もあるわけですし、今後もそれが行われる可能性がありますので、この法の第十七条による不正の手段による取得を禁じることとか、あるいは二十三条一項によりまして第三者提供の場合はあらかじめ本人同意を得るか、又は同条第二項により、本人の求めに応じてその名簿から個人情報を削除する等一定の要件又は手続を満たす場合のみ第三者への提供を認めると、こういうことによると。
 また、ルールが設けられまして、本人が名簿から個人情報の削除を求めることができるようになるわけでございまして、これらは実際に利用停止、それで差止め請求をするということになるわけでございますので、個人の権利利益の侵害の未然防止が図られると思います。
○川橋幸子君 今、大臣が後段お答えになったこと、本法でもこうした名簿がそう安易に作られないようにする、出回らないようにする、あるいは本人からも削除請求ができるというような、これはちょっと後ほどの話にさせていただきたいと思います。本法では、それはまだ解決しない問題であると思います。
 それを前に、もう大臣のお答えが大分先の方まで行っていらっしゃいますが、改めて厚生労働省に伺いたいと思いますが、こういう問題というのは個人情報保護法をまつまでもなく、行政の方から問題視されて調べられる必要があると思うんですけれども、厚生労働省、いかがですか。こういう身障者の一万人名簿とか独り暮らしの老人名簿がこのようにビジネスとしてだれの目にも触れるような状況になっていることについてはどう思いますでしょうか。
○政府参考人(水田邦雄君) お答え申し上げます。
 まず、基本論のところからお答えさせていただきたいと思いますけれども、私どもの厚生労働行政分野における個人情報保護に関しましては、今事例に出されました福祉分野、医療分野、大変特に保護が必要な分野が多いということでございまして、これまでも医療従事者の守秘義務の整備でありますとか指針の策定、こういったことを行ってきているところでございます。
 御指摘の点、個別のことにつきまして私ども承知をしていないわけでございますけれども、仕組みとしては、御指摘のような障害者でありますとか高齢者の方々の情報、安易に出ることはあってはならないわけでございますので、こうした情報を取り扱う施設の従事者でありますとか公務員であるとか、そういった方々の守秘義務の徹底ということを図ることがまず重要であると、このように考えております。
○川橋幸子君 要望です。
 守秘義務の徹底に行く前に、まず、ここにアクセスしてみて、本当にこの名簿というのはどんなものなのか、一件何十円だか掛かるようでございますけれども、取り寄せてみられて、e―Japanの、電子日本のリスクというのを行政側も実際に調べられたらどうですか、と思います。
 どうですか。これ、とにかく差し上げますので、アクセスしてみて、ちゃんと調べてみていただけませんか。
○政府参考人(水田邦雄君) 御要望として承らせていただきました。
○川橋幸子君 要望というよりも、これが私、役所の役割だと思いますけれどもね。行政の役割だと思いますけれども、私も行政出身でございますけれども、何か行政の使命というのがとんでもない感じがしますけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(細田博之君) ちょっと午前中に逆の方向の御議論があったような気もしまして、これはいろんな議論の混同が行われておりますが、本当に大切なこと、それから、これは非常に問題があると、しかも、今回のように担当の部局もはっきりしておって、しかも国会で指摘を受けたこと。これは当然、事業所管省、主務大臣の方において少なくとも実態は調査する、それがこの法律、まだ施行されておりませんけれども、の基本的な考え方でございます。
 午前中の議論は、御存じのように、あるいはこれまでも大変多くの議論は、ちょっと主務大臣なんというのを勝手に決めて、主務大臣が何か勝手なことをしたり、見逃したり厳しくし過ぎたりするのはどうかと思うというような議論がありましたけれども、やっぱり日本政府においては、川橋議員も御経験ありますように、これはおかしいということがあれば、直ちに行政庁が自分の所管の事業としておかしいということで実態を調べて、国会にもきちんとお答えするという体制が大事でございますので、そういうことを私どもも大いに今後やってまいりたいと思いますが、これはあくまでも法律制定も急ぐという意味で申し上げたわけでございます。
○川橋幸子君 細田大臣からも国務大臣としての御発言がありますので、厚生労働省しっかりしていただきたいと思います。
 先ほど細田大臣は、なかなかこういう問題は刑法なり民法なりでは取り締まれない状況だと言われました。私もそのとおりだと思います。だからこそこの本法が必要だということにはなるわけでございますけれども、今のような実態、このようなリスクをはらむ名簿が蔓延していて、しかもこれこそが新しいビジネスチャンス、あなたの起業、新しい業を起こすチャンスですよと、こういう商行為というのはどうなんでしょうか。法務省としてはどんな所見を持たれますか。
○政府参考人(房村精一君) 違法な行為について民法では、民法九十条に「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」と、こういう条文が置かれております。これは、社会の一般的な秩序あるいは道徳観念に違反するような法律行為について、その効力を認めることは適当でないと、こういうことから効力を否定するものとしたわけでございます。
 典型的な例といたしましては、刑罰法規に違反するような行為、例えば犯罪行為、これを行うことを目的とする契約であるとか、社会の道徳観念に反するいわゆるめかけ契約、こういったものが典型例として挙げられますが、そういった社会の一般的な秩序あるいは道徳観念に反するような契約等をした場合に、法律上その効力は無効としますので、契約を締結していてもその履行を求めることもできませんし、また対価を支払う約束をしていてもその対価を、支払を求めることもできないという、そういうことになるわけでございます。
 今回問題になっております名簿の売買でございますが、これは具体的な事情いかんによっては、今申し上げた九十条の一般的な秩序あるいは道徳観念に反するというような場合もあろうかと思いますが、それは具体的事情いかんによりますので、それ以上のことはちょっとお答えを差し控えさせていただきます。
○川橋幸子君 そういうお答えになって、法務省のお答えとしてはそういうことでございますが、そういう危険をはらむ社会の状況になってきているという御認識は法務省の方でもお持ちだということでございますね。
 さて、本法は包括法であって、個別、先ほど大臣がおっしゃったように、本法を規定すれば、こういう名簿業者の問題も社会秩序が保てるようなことを申されましたけれども、私はちょっと無理だろうと思います。勝手に作られるわけですから、本人が、そこに挙がっているかどうか本人が知りようがないですよね。本人がパソコンおたくでしょっちゅうしょっちゅうアクセスしてやればともかく、えっ、そんなところにそんな名簿が売られているのと。これによると、何とか大学卒業独身女性名簿なんといって、お嬢様名簿みたいのが出ていて、ストーカーには大変有効な名簿なのかも分かりませんけれども。まさかそんなところに若い女性が自分の名前が載っているなんていうのはアクセスしませんよね。
 ということで、話を飛ばすと、やはりこれから実態を調べなければいけないということはともかくといたしまして、個別法で対処すべき問題がたくさんあるということはこの委員会でも考えられてきたわけでございます。衆議院の附帯決議の五項目め、個別法の対処の問題についてもうさんざん議論されたかも分かりませんが、よく言われる金融の方のセンシティブ情報あるいは医療の方のセンシティブ情報等々、代表例でございます。
 今申し上げたようなそういう問題もあるので、個別法の検討は急ぐべきだ、具体的に取組をともかく進めるべきだと思いますが、もう一回、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 医療とか通信情報分野等において個別に必要な法律を整備しようということは御答弁も申し上げておりますし、そのための審議会等の動きがございます。
 ただ、ちょっと誤解があるかもしれません、今までの議論で。というのは、個人情報保護法で守られる範囲というのがございまして、差止め請求だとか開示だとか修正、訂正だとか、これは共通のものですね。
 他方、じゃ、医療情報という情報がそこに、ちょうどお手元にありましたように、あるいは金融情報でいいんですが、多重債務者名簿としてもう既に、医療機関や何か関係のものから転々と、金融機関から転々として、あるところにあると、存在する。それがまた転々と流通するかもしれないという場合には、言わばそういうサービス業者を捕まえてこれを止めなきゃならないんです。だから、これは金融の問題というよりは情報管理の問題でありまして、これは正に個人情報保護法がねらっている中身であります。ですから、一体、金融を縛るという場合には、金融業という根っこを縛るということがまず基本で、それは根を絶つわけですから、一番大事なこと。
 今度は、転々流通した場合は、元は金融情報であるけれども、多重債務のような情報がそれ以上加工されたり転々流通しちゃいけませんから、それはむしろ個人情報保護法のような法体系で抑えなきゃならないんです。ということでございますので、その各論の法律が決められさえすればすべてに対応できるかどうかは、今後、本当に個別に検討していきませんと、やってみたらいろいろ、病院の職員にいろいろ、もっと細かくチェックして罰則も掛けますよという法律ができても、既にお持ちのような情報の転々流通を防ぐことには役に立たない可能性があります。そういう点をよく問題を整理しながら、必要なものは個別法を決めるということが本来の趣旨でございますので、この際申し上げます。
○川橋幸子君 そこで、やはり担当大臣、一体、この個人情報保護法が成立したとして、運用されて、更に個別分野の必要な法制整備に移っていくとして、一体だれが旗振り役なんだろうかというのがいつも宙に浮くわけですね。
 この法律、細田大臣はこの法律を作るまでのお役割を担当される大臣なのでしょうか。できた暁には一体どなたが担当されて、どなたがそうした大変複雑なその業界の本を絶つものと、その業界の中から出てくる情報をうまく運用するなり規制するなり、省庁間の総合調整が要ると思うんですけれども、その後の、法律ができた後の担当大臣というのはどなたになるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 私はIT担当国務大臣ということで総理から任命を受けまして、従来、IT担当大臣が併せて行っておりましたこの個人情報保護法の担当を命じられておるわけでございます。
 これを、この法案が成立した後、それを実施する段階でのこの主管大臣は、他方で国民生活局という組織が今主務官庁の主たる部局であるということで今まで進んでおりますが、その特命の閣僚がだれになるか、どういう人を任命するかということにつきましては、そのときの内閣総理大臣の判断でございますが、そういう責任はしっかりして、明確にして任命することになると思っております。
○川橋幸子君 執行体制については内閣府の国民生活局が所管する、ここははっきり何か書かれているわけでございますね。ですけれども、分からないのですよ。現在、国民生活局は消費者行政を担当するということで、この局の直属の担当大臣は竹中大臣でいらっしゃるんですね。竹中大臣がこれをこれから所管されるのが適当になるというように総理は御判断になるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) これはまだ決まっておりませんが、内閣として責任を持って決めなければならないと思います。
 それぞれの、例えば特区の担当大臣とか様々な特任の大臣がおりますので、この問題は非常に大事ですので、男女共同参画問題担当大臣とかいろいろありますね。したがって、それと同じように個人情報保護担当大臣というのは恐らくきっちりと発令しなければならないことになると思っております。
○川橋幸子君 担当大臣は恐らく識見があり有能で非常に適任の方が就任されるであろうということを伺いまして、まあ少し安心いたしますが、でも扱いは違うわけですよね、特命って。
 IT社会担当の大臣の立場、特区担当の大臣の立場、あるいは食品安全の担当の大臣、特命担当大臣としてはっきりその職務が決められて、各省庁に対する総合調整権限を持つ大臣とは違うんですよね。やっぱり各省の施策を寄せ集めてホッチキスで留める連絡調整担当大臣ということになるのではありませんか。
○国務大臣(細田博之君) 内閣としてはっきり担当大臣を決めると思います。それで、決める下にちゃんと国民生活審議会というのもありますし、各省の協議機関も決めますし、それから必要な基本方針を定めていくわけですから、当然その中で所管問題等も含めてこの基本的な枠組みをきっちり決める方針でございます。その基本は基本方針に盛り込まれると考えていただいていいと思います。
○川橋幸子君 しかし、よく分からないのは、執行体制の部分は国民生活局が所管するとして、そこが法律に明記されているのに、担当大臣のことは、大本の最も知りたい、国民が知りたい、明確にしてほしいと思う担当大臣のことについては法律は何も触れていない。
 次に移ります。
 私は、昨年、国民生活センターの独立行政法人化の法案審議に内閣委員会の方で担当させていただいたのでございます。一番不思議なのは、昨年、国民生活センターを審議する際に、この話は一つも出ていないのですよ。もう数年前の話じゃないです。今までの国民生活センターを独立行政法人化させると。しかも、これは苦情処理に非常に関係してまいりますけれども、国民生活センター、まあ人員も少ない、予算もそう多くはない、はっきり言って予算も本当に細々としている。そういうところが今度苦情処理の窓口になるわけですね、この法律によりますと。
 じゃ、昨年衣替えして、そういう世帯でも消費者行政はしっかり担えます。そのために、例えば一例として、応じる相談は、直接相談応じるんじゃなくて、都道府県あるいは自治体の中でも消費者センターが、地方の消費者センターが整いつつある、そこから上がってくる経由相談。だから、直に扱うんじゃない、一回粗ごなししたものが上がってきて、そこの解決ができない部分を担当する、より上位のセンターなのでこうした体制で大丈夫なんですということが説明されてこの法律が成立したばかりなのに、今度は、個人情報の関係については直にこれが、経由相談じゃない直接の問題を担当する。しかも、今までの消費者行政というこのセンターが持っている経験、知識を飛び越えるプライバシーの問題、プライバシーをどう考えるか、非常に新しい問題を直に担当するということになるわけでございます。
 本当にこの国民生活センターは苦情処理機関として適切なんでしょうか。法案担当の大臣から。
○国務大臣(細田博之君) 国民生活センターの独立行政法人化の時点で既に前の個人情報保護の法案は出ておりまして、その中にも国民生活センターの役割は書かれておったわけでございますが、多分、大きな議論になりませんでしたのは、そもそも、これは政府としては出してみたものの大変な議論を呼んで、与党、野党間で、果たして国会で本当に成立するかどうかの見通しもはっきりしない状況の下での議論であったからだと思っております。
 ただ、実態から申しますと、国民生活センターは、現在、年間九千件ほどの苦情処理あるいは相談を受けております。その中で、各地域経由のものもございますし、都道府県には百六十七、あるいは市町村においては二百九十六、合計四百六十三のそういう機関があって、それ経由で上がってくるものもあるし、各地域で処理されるものもあります。そして、その九千件のうち、各省に回って、これはあなたの省の問題ですよというふうに決まる案件も多いと。逆に今度は、経産省などは、自ら消費者からは一万件、国民生活センターからは四千件の苦情処理あるいは消費者の相談が寄せられまして、それらを今処理しているわけですが。
 もう既に、国民生活センター受付分で受け付けております九千件ないし、平成十四年度はちょっと下がって八千三百十四件でございましたが、百五十件ないし百八十件の案件はプライバシーの侵害に関する相談であったということでございますが、実際は消費者からの苦情、一般国民からの苦情一般ということになるとそういった個人情報の関係も寄せられてきておりますので、私はこの国民生活センターでまず相談に応ずるという体制は優れたやり方ではないかと思っております。
○川橋幸子君 国民生活センターの方の担当局長にもお見えいただいていて、本当は現場の話もよく聞きたいと思ったんですが、大変恐縮です、時間がなくなってしまいましたので。大臣も、細田大臣も国民生活センターの業務に対しては大変御理解があるようでございますので。
 もう時間がありませんので、最後のまとめの質問に移りたいと思います。
 結局、野党が第三者機関が必要だ、これだけの法律、新しい日本の在り方としてやっていくためにはそうした機構が必要だと言っているときに、この行革の時代になかなか人も予算もできないと。物すごく乖離があったわけですけれども、私は途中の論議が抜けていた感じがするんですね。
 本当に今の国民生活センターで発足して大丈夫なのか。しかも、苦情相談の部分は法律の公布時に施行すると。それまでに準備体制を整えて、どのような苦情相談が出てくるか、それに対してはどういう専門家を配置して、どう受付に対してちゃんとこたえられるかというその現実の施行面についての議論というのがほとんどなされていない。大臣は大丈夫だ、大丈夫だとはおっしゃいますが、もし大丈夫じゃなかったらちゃんと予算も人も手当てする、そういうような御検討していただけますか。
○国務大臣(細田博之君) 当然ながら、そういう対応には万全を期してまいりたいと思っております。
○川橋幸子君 是非、特命というふうになるのかならないかよく分かりませんが、この法案成立に汗をかかれて、大変知識、経験、識見踏まれた大臣が引き続きこの担当大臣になっていただきたいと要望させていただきますが、それに対する御本人、御自身の御決意、御自分から私は総理に申し上げたっていいと思うんですよ。どうですか、この混乱ぶりから考えたら。法律作るまでの大臣じゃなくて施行にも責任を持てる大臣として、一言、決意を総理に申し上げていただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) せっかくのお言葉でございますから、総理に伝え、官房長官にお伝えしますが、まずその前にこの法案を是非よろしくお願い申し上げ、私どもは責任を持った対応をいたしたいと思っております。
○川橋幸子君 以上で、私、質問を終わらせていただきます。
 昼休み十分じゃない後の質問で大変御無礼なことがあったかも分かりませんけれども、野党も対案を出しておるのは別に法律を成立を妨げるためのものではなくて、やっぱり新しい社会、どうしてもイメージがそう膨らまないわけですよね。そうした場合にはやっぱり万人の知恵を集めて、そして新しい問題に対処していくということが必要かと思いますので、是非総理に御指名いただくように御自身も希望をお出しくださいますように御要望申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(尾辻秀久君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案の審査のため、本日の委員会に総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 今日初めてこの法案に対して質問させていただきますが、思えば前に住民基本台帳の改正のときに、コンピューターでつなぐという話がありまして、当時私ども公明党は野党の時代でございまして、担当していた者としては本当に個人情報保護が大事だということで、附則の部分で改正をしていただきまして、その担当している者としては本当に今日は感慨深いといいますか、法案は提出すればいいという話じゃなくて、やはり成立してしっかり住民基本台帳のネットを稼働するときに合わせてしっかりこの法律が動いているということが大事かと思っておりまして、一日も早い成立を私どもも願うものでございます。それを前提にいたしまして、今日、若干、行政機関の保有する個人情報保護に関する法律を中心に若干の質問をさせていただきたいと思います。
 私ども国民が漠とした不安を持っているのは、やはり自分の情報が知らないうに取得されて利用されてということになるわけでございますが、この行政機関の方では、何回か出ているようでございますが、個人情報の取得の際の制限がないといいますか、基本法の方には、偽りその他不正な手段により取得してはならないという条文があるわけでありますが、行政機関の法案の方にはないということでございますが、やはりきっちり取得についての制限を設けるべきではないかというふうにも思えるわけでありますが、設けていない理由、これについて御説明をお願いしたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
 まず、行政機関はそもそも法令を遵守して適法かつ適正に個人情報の取得を当たるべきと、これは御存じの日本国憲法七十三条、国家公務員法九十八条、これに法令遵守義務、しっかりと記述されているわけであります。そういう意味で、既に法規範として存在しているということで、改めて今回のこの行政機関個人情報保護法には規定していない、このように取り扱ったところでございます。
 なお、適法に取得されたものでない個人情報、これにつきましては、御存じのように利用停止請求の対象となっておりますが、いずれにしても今、委員の御懸念の問題が起こらないような、必要な場合には当然法令による取得根拠を明確にし、更には利用目的を厳格に特定する等、法の適正な運営に万全を期してまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 今、お話がありましたように、三十六条一項一号、そこでは、適法に取得されたものでないときには利用の停止あるいは消去、提供の停止、これを求めることになっているわけであります。
 もちろん、憲法まで引用された上でのお話ではありますけれども、憲法の中でもそれは国家賠償法まで規定、国家賠償といいますかね、損失補償まで含めて載っているわけで、国がやることがすべて正しいということは全くないわけで、この法律の中でもこの適法ではない取得、そういうことが想定されているんだろうというふうには思うわけでありますが、しかしそうなんであればやっぱり、この基本法の方にはこういうふうに明確に載っているわけでありますものですから、あえて区別して載せる必要は、規定をする必要はないんではないか。もう一度そこのところをお願いできますか。
○副大臣(若松謙維君) この行政機関の個人情報保護法におきましても、やはり行政は間違いがないと、そのような想定で法律は規定しておりません。
 例えば、三十六条でも利用停止請求権を求める等、また、これは基本法の十七条とも関係するわけでありますが、いずれにしても、あくまでも行政機関は無謬ではないと、間違いはあり得ると、そんな前提から幾重にもそのようなことがないような措置を講じた法律体系となっていることを御理解いただきたいと思います。
○魚住裕一郎君 三条に個人情報保有の制限というものがありますけれども、この「保有」というその文言でございますが、これは情報にアクセスをする、それだけでは保有という概念には当たらないというふうに考えていいわけですね。そしてまた、その場合には利用の制限といいますか、そういうその制限がかぶらないというふうに判断するのでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) 行政機関の方におきましては、「個人情報を保有する」、この意味でございますが、当該個人情報について実質上支配している状態と、いわゆる当該個人情報の利用、提供、廃棄等の処理につきまして判断する権限を有している状態ということでございまして、今お尋ねにあるような、単にアクセスする、閲覧する、このような場合には保有には当たらない、このように考えております。
○魚住裕一郎君 この三条の二項には、「必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。」、こういう規定ぶりになっているわけでありますが、必要な範囲を超えれば違法ということでよろしいんですね。また、利用目的が達成した後、これはもう必要ないといいますか、必要の範囲がすべて消滅するというふうに考えられますが、その場合の個人情報の取扱いはどういうふうになるんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 先生お尋ねのとおり、利用目的を超える個人情報の保有というのは正にこの規定で違法になるということでございます。
 それから、既に保有をいたしましてその利用目的を達成してしまった、そういう個人情報につきましては、当然のことながらその必要性がなくなるわけでございますので、廃棄をすると。具体的には、行政文書に記録されている個人情報がこの規制の対象でございますから、情報公開法に基づく文書の管理の定めを作ることになっております。その保存期限の際に廃棄をするということになるわけでございます。
○魚住裕一郎君 それから、第四条では利用目的の明示ということが規定されておりますが、除外事由も何項目かあります。除外事由はこれはもうあらかじめ本人に対し明示しなくてもいいということでございますが、例えば一号の方でございますが、人の生命、身体、財産の保護のため緊急に必要があるとき、このような場合、事後であっても、事後の明示と言うんですかね、事前の明示じゃなくして、そういうことが必要ではないのか。また、二号の第三者の生命云々というのがありますが、この場合もどうやって判断するんですかね。第三者の権利利益、これとの比較考量をすると、そういう趣旨でございましょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 第四条の利用目的の明示でございますが、一般に申請書等の様式で個人情報を収集、保有するというような場合が多いわけでございますが、そういうものについてはあらかじめその様式に利用目的を記載をしておくということなどの方法が考えられますほか、口頭による方法もあるわけでございます。
 いずれにしましても、本人が利用目的が認識できるように適切にその利用目的を明示するということが必要であるわけでありますが、ここでは、例外としまして、同条の第一号では、人の生命、身体又は財産という基本的な権利利益を保護するために緊急に必要がある場合にはあらかじめ利用目的を明示することを義務付けますのは、そこまでは妥当性を欠きますので適用除外しているわけでございます。
 また、同条第二号で、利用目的を明示するだけで本人又は第三者の不利益になる場合、結果として本人又は第三者に損害を与えるおそれがある場合、そういう場合に適用除外しているわけでございまして、例えば国立病院等におきまして、がんとかあるいは難病の疾患に罹患されているその方に、個人情報を収集する場合に、その利用目的を告げるだけでむしろ本人の不測の事態になるおそれがある場合は適用除外しているというのが同条第二号でございます。
 第一号の方に関しましては、そういう緊急の必要でございますので、事後、必要に応じ利用目的を明示するということが望ましいと考えられますが、第二号の方はそういう趣旨で本人又は第三者の不利益になる場合等を適用除外とするものでございますので、通例は事後的であっても明示するのが果たして適当かどうかという問題があろうかと思います。
○魚住裕一郎君 今、第一号の方は望ましいということでございますが、やるんですね。
○政府参考人(松田隆利君) 基本的には利用目的を明示するというのが第四条本文の考え方でございますので、その基本に沿って対応していくべきものだと考えております。
○魚住裕一郎君 第五条に正確性の確保ということが規定されておりますが、利用目的の達成に必要な範囲内で正確性を期するという言い方になっておりますが、この利用目的の達成に必要な範囲外ということですが、範囲を超えた場合は、たとえ事実と違っていても訂正はしない、する必要はないと、こういうことなんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 個人情報につきましては、その利用の目的に沿って正に保有し、利用、提供されなければならないということでございまして、利用目的の達成に必要な範囲内で正確である必要があるわけでございます。この規定は行政機関に言わば義務を課しているわけでございまして、例えば利用目的によって、例えば過去の一定時点の事実のみで足りる場合、その後その事実が変更した場合、その変更した事実まで記載をする必要がないというようなそういう意味でございまして、もちろん、利用目的の達成に必要な範囲を超えて保有している情報を正確にしていくことは、当然望ましいことだということでございます。
○魚住裕一郎君 今の利用目的からすれば範囲外だと。だけれども、利用目的が変わるといいますか活用するといいますか、そういうこともあるわけであって、もしその場合で訂正しておかないと、活用されたときに不正確のままになってしまうという、なるわけですね。
 やはりこれは、この目的達成に必要な範囲内というような言い方じゃなくて、本来的にやはり正確性は期するべきであると思うんですが、もう一度お願いします。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、この法規は正に行政機関はこうしなければならないということを規定している法律でございまして、利用目的の達成に必要な観点から正確な個人情報を保有しなければならないということを義務付けているわけでございます。
 先生お尋ねのように、もちろん、その状況の変化によって新たな利用目的が発生すれば、当然その目的の達成に必要な範囲で正確性を確保しなければならないわけであるのは当然でございますが、同時に、先ほど申し上げましたのは、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、超える情報であっても、できるだけ正確に、正確性を維持するということが当然望ましいことであるということを申し上げたわけでございます。
○魚住裕一郎君 第六条に安全確保措置ということが規定されております。行政機関の長は必要な措置を講じなければならないという言い方でございますが、いろんな行政機関の長にしても職員にしても個々人でございますし、個々人、その職員、あるいは長、あるいは職員、それぞれいわゆるプライバシーという、そういうことについても理解の程度の差があるでしょうし、あるいはまた、この個人情報を保護するという、そういう視点についてもやはり認識の差があるんだろうというふうに思っているわけでありますが、国民の側から見て、やっぱり違った認識というか、レベルの差に応じて取扱いが区々になってくるということであれば、非常に不安を覚えるわけでございますが、やはり人権というか、それを本当に世界に誇れるような国にしていくためにも、やはり職員の監督といいますか、また職員自体のレベルアップということも考えていかなきゃいけないと思っているわけでありますが、例えば講習を定期的にやっていくとかいうようなことも考えられると思いますが、その辺に対しての取組について所見を伺います。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
 今、委員御質問の第六条の安全確保措置でございますが、何といっても行政機関の長は職員に対するもうしっかりとした監督責任を持っていると、こういったことでございまして、この法の運用の信頼性ですか、これは何といっても一人一人の職員にかかっていると、これはもっともなことでございまして、そのために個人情報の保護に対する職員の意識統一を図ることは大変重要な課題であると認識しております。
 今後、この法案の成立と併せて、今まで以上に個人情報保護をテーマといたしましたセミナー又は全省庁による連絡会議、これを開催しながら、まず各省庁におきましても研修会に我が省から、又は関係省からの立案担当職員を派遣するなど、この個人情報の保護に関する職員の意識の高揚に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 現在のところ、総務省の例えばホームページにこの法案の仕組みを掲載したり、又は法案関係資料に各省庁に電子情報で配布したり、又は分かりやすい法令のコンメンタール、これも作成をしているところでございますが、委員も御専門家でございますので、いろいろなアドバイスを期待しているところでございます。
○魚住裕一郎君 この六条でございますが、これは業者、受託を受けた業者、この安全確保措置も含まれるというふうに思っておりますが、以前、京都の宇治で二十一万六千何名という物すごくきちっとした一年以内のデータというのが出ました。これは、住民はもとより、在日外国人の方含めた全部が流れたわけでありますが、どうも事案を見てみますと、コンピューター業者のアルバイトの人がMOを使って全部コピーしていったといいますか、それを売ったというような案件のようでございますが、しかし、そのコンピューター室も地下か何かで、ちゃんと入る場合にも厳重な注意があったようでございますが、そういった中で現実にこの住基データが一遍に出たということがありますが、やはり業者に対する安全確保措置ということも大事になっていくだろうと思いますが、国としてどういうふうにこの辺はお考えなのか、お伺いをいたします。
○副大臣(若松謙維君) ただいま委員御指摘の宇治市のケースでございますが、これは九九年五月に発生した事例ということで、いわゆる行政機関から個人情報の取扱いの委託を受けた業者、これに対する取扱いでございますが、この新法におきましては、第六条第二項で正に業者にも安全確保措置を講ずる義務が課されている、こういう法体系になっておりますし、また行政機関の個人情報保護法の五十三条、五十四条、この罰則対象にも委託先の従事者も含めているという意味で幾重にもこの義務が課しているという体制になっております。
 現行法におきましても、第五条に基づきまして、委託先において不適切な個人情報の取扱いがなされないように、ガイドラインに必要な事項を定めて各省にお示ししているところでありますが、具体的には契約書に善良なる管理者の注意義務、又は秘密保持義務、更には安全確保の措置の義務、これを明記して、再委託者に関する事項を覚書等で取り交わすなどの措置について定めているところでございます。
 この新しい法案の施行に当たりましても、個人情報取扱業者の委託が更に適切に行われるように、ガイドライン、これを更に必要な事項も盛り込みながら、法の適切な運営に万全を期してまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 午前の質疑で、コンピューターと関連してWANとかいうのが出たわけでありますけれども、最新のセキュリティーでしっかりやっているというお話でございました。
 個人情報をしっかり保護するという観点でお伺いしたいんですが、現在スパイウエアとかいうのがあるようでございまして、自分が知らないうちに自分のパソコンに侵入して自分のIDとかパスワードを収集されてしまう、また、アドウエアというのがあるようでございまして、今度は個人の識別情報ではなくしてデータを特定のところに持っていかれてしまうと。しかも、これらはファイアウオールとかウイルス対応ソフトではなかなか対応できるものではないというふうに言われているわけでありますが、これは本当に大事な情報を全部コンピューターの中に入れていたらもうみんな持っていかれるみたいな、そんなことになるわけで、やはり自分の知らないうちにどうかされてしまうという。現実にも、ネットバンキング等でパスワード等を持っていかれて現実に被害が出ているようでございますが、個人情報保護という観点で、こういうソフトについてどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 魚住議員の御指摘、誠に重要な課題でございまして、こういったセキュリティー、情報に関するセキュリティーの問題は政府として挙げて取り組むべき課題でございます。
 ちょうど昨年来、IT戦略の第二弾、我々IT基本戦略2と仮称しておりますが、昨日、夕刻から総理官邸でIT戦略本部を開かれまして、そこに専門調査会、ソニーの出井会長を座長とする四十ページにわたる今後の方針を討議いたしたわけでございますが、その中ではっきりと二〇〇五年までに、コンピューターウイルスにしましても、不正アクセス等による被害、あるいは今おっしゃいましたような具体的な様々なスパイウエアその他も含めまして、こういったセキュリティー対策の技術的なガイドラインを策定し、専門的な監査の実施を行うための体制を確立するとか、あるいは、情報セキュリティーを確保し、不正アクセス、違法有害な情報の流通その他不正行為に対処するための対策を推進する、また必要な法制度の検討を行うということが出て、書かれております。
 これを実際に具体化するために、もっと飛躍的に、国家、政府としても非常にこのセキュリティー関係の充実が必要でございますので、施策、体制の拡充を図ってまいりたいと思っております。
○魚住裕一郎君 本当にしっかり私どもも取り組んでいきたいと思いますが、やはりこれが犯罪に該当するというふうになるとまた大変な問題になるわけでありますが、この点に関して法務当局はどのような検討といいますか、なっているか、御答弁いただけますか。
○政府参考人(河村博君) 御説明申し上げます。
 委員御指摘の点につきましては、本年三月二十四日、法務大臣におかれまして、法制審議会にハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備について諮問がなされまして、現在、そのための部会において調査検討が行われているわけでございますが、その中で、私ども事務当局といたしましては、不正指令電磁的記録等の作成などの罪の新設といったようなことについても提案いたしております。
 これは、コンピューターに保存されました個人の情報などを、コンピューター利用者の意図に反して送信する機能を有する不正なプログラムを他人のコンピューターで動作させるようにする行為でありますとか、こういった不正なプログラムを作成するといったような行為などを対象とする罰則の整備を含むものでございまして、現在、部会で調査検討が行われておるということでございます。
○魚住裕一郎君 また本文に戻りまして、行政機関個人情報保護法第八条、「利用及び提供の制限」ということが規定されております。二項の第一号、「本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。」云々と、こうございますが、この「同意」という部分については、やはり当然の前提ですが任意でなきゃいけない、またしっかり確実でなきゃならないと思うわけでございますが、その辺りの担保について、御検討状況をお知らせください。
○副大臣(若松謙維君) やはり原則は書面だと思います。そうでないといろいろと行き違い等もございますので、そのような書面による同意、こういったところをしっかり確保していきたいと考えております。
○魚住裕一郎君 同じく第八条二項二号、三号の利用ということがありますが、「内部で利用する場合であって、」云々ということがありますが、せめて、利用・提供されたときに、この部分については事後の本人の知る機会、こういうことを与えてもいいんではないかと思いますが、いかがですか。
○副大臣(若松謙維君) 目的外利用・提供でございますが、これは現行法でも施行状況調査を行っておりまして、電算処理個人情報ファイルについての目的外利用・提供の状況を調査の上、公表しているところでございます。
 新法の施行状況調査も、引き続き電算処理個人情報ファイルの目的外利用・提供の状況につきまして調査の上、公表したいと考えております。また、その公表の内容の充実についても今後引き続き検討していきたいと考えております。
○魚住裕一郎君 この八条の二項の二、三、四号はそれぞれ、「相当な理由」あるいは「特別の理由」、そういうような書きぶりになっておりますが、これはだれがそう判断するんでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) 今、委員が御指摘をいただきました相当な理由又は特別の理由の判断につきましては、第一次的には行政機関の長が行うと、このようになっておりまして、決して恣意的な運用を許すものではないということを御理解いただきたいと思います。さらに、その際の行政機関の判断に疑義があるとした場合は、本人からの利用停止請求権の行使を通じまして、又は情報公開・個人情報保護審査会、さらには裁判所による第三者機関的な立場からのチェックが可能な仕組みとなっております。
 いずれにしても、条文の運用につきましては、その趣旨に沿って慎重かつ客観的に行うように努めてまいりたいと思います。
○魚住裕一郎君 ただ、これ、今の御答弁の中で本人の利用停止請求と言ったけれども、これは知らせない場合でしょう、これ。知らせないのに利用停止求めると言ったって変な具合になるんじゃないですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 目的外の利用・提供につきましては、一つは、もちろん前提として本人の権利利益の侵害にならないことということであるわけでありますが、一つは先ほどお話ございました本人の同意と。それ以外に、相当な理由又は特別な理由ということで、相当な理由の方は、行政機関が法令に基づく所掌事務のために必要な場合で、かつだれもが納得するような、そういう目的外利用されて当然のような、そういう理由があるというようなこと。特別の理由の方は、行政機関以外の例えば公益法人等に目的外利用・提供する場合でございまして、行政機関の場合と同じような公共上の特に必要性が高い場合に提供することができるようになっているわけでございますが、その目的外利用・提供の状況につきましては、総務大臣は、法の運用の施行状況調査ということで、一定の個人情報ファイルの目的外利用の状況について毎年報告を求め、その公表をするということになっているわけでございます。
 そのような形で、主要な個人情報ファイルにつきましては目的外利用の状況が分かり、本人からの、本人関与としての開示請求その他のチェックが可能なわけでありますが、それ以外の軽微な個人情報ファイル等につきましても、別途、法第四十七条かと存じますが、各行政機関は、個人情報がどこにどういうふうにあるのか、その特定に資する情報提供をするということになっております。また、総務省の方では総合案内所というようなものを整備いたすことにまた同条でなっておりまして、それらにより本人のチェックがより適切に行われるように措置してまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 万人が納得する理由だったらだれも文句言わないかもしれませんけれどもね。
 それから、第九条に、保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求というのが規定されておりますけれども、必要な措置として具体的にどのようなことをお考えになっているのか。また、必要な措置が取られていないときはどういう対応を考えているのか。また、もし違約した場合、どういうようなペナルティーといいますか、考えられているのか。その辺までまとめて御答弁いただきます。
○副大臣(若松謙維君) まず、必要な措置を具体的にというお尋ねでございますが、行政機関が個人情報を外部に提供する場合に、受領者による提供、目的以外の利用又は漏えい等を防止するために、この九条で行政機関の長が必要があると認めるときは受領者に対して必要な措置を講ずると、こういう法的になっているわけでありますが、この行政機関の長が受領者に求めることとなります例えば漏えいの防止のための必要な措置、これにつきましては、安全確保措置の要求、又は臨時の実施調査、そういう形で措置の状況をいろんな形で確認をする手続が組まれております。そういった中から必要な措置というのをしっかりと確保していきたいと考えております。
 仮に、受領者が要求された措置を遵守しなかった場合、その場合にはその後の提供を停止したり、又は提供した保有個人情報の返還を求めたり、このような形で対応を考えてまいりたいと思っております。
○魚住裕一郎君 保有情報の返還といったって、情報を返還というのは難しいよね。頭の中から消し去れという話なんで、難しいかもしれませんが、更に一緒に考えたいと思います。
 開示請求権が十二条に規定されておりますが、未成年者の法定代理人で請求できるとありますが、未成年者御本人が法定代理人にも知られたくないような場合、これにはどういうふうな対応をお考えなんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) 未成年者本人の利益と反する場合ということでよろしゅうございましょうか。
 法定代理人が開示請求する場合におきまして、第十四条の第一号にございますように、開示請求者本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報、例えば先ほど病院のケースの難病の情報みたいなお話をちょっと申し上げましたが、そういうものの開示を法定代理人がしてきた場合に、当該情報は不開示情報に該当としますし、不開示とするということがあろうかと存じます。
○魚住裕一郎君 そして、開示請求というのは原則開示というふうに理解していいんでしょうか。
 そしてまた、非開示理由、そういう主張立証責任は行政機関にあるというふうに判断してよろしいですね。
○副大臣(若松謙維君) この法律によります開示請求に係る保有個人情報、これは一定の不開示情報に該当しない限り、原則開示を行政機関の長に義務付けております。
 また、不開示とする処分ですね、これにつきましては、国民の権利利益に関し不利益をもたらすものであり、このような場合には、一般に行政機関の長の側に立証責任があると考えております。
○魚住裕一郎君 手数料が二十六条に規定されておりますが、これ手数料、開示請求だけにあって、ただ訂正の請求とか利用停止の請求、まあ利用停止の場合は要らないだろうと思いますが、訂正のときには手数料、載っていないわけでありますが、これは開示請求だけについて手数料が取られるといいますか、必要だということなんでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) いわゆる通常の開示の手数料、これにつきましては、もう当然、できる限り利用しやすい額という形で、請求の際にのみ徴収して、実施の際には徴収しないということがありますが、委員御懸念のいわゆる訂正及び利用停止の請求についての手数料ですね、これは徴収しないこととしております。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
○魚住裕一郎君 情報公開法では、開示請求に対する手数料、それからまたこの開示実施に対する手数料という二段階手数料方式というんでしょうか、それぞれに手数料取られるというふうな方式になっているわけでありますが、この法案を見る限りでは、開示請求する者はと書いていますから、請求だけになっているように見えるんですが、開示実施については無料というふうに理解していいんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 ただいま副大臣からも御答弁申し上げましたように、開示の請求の段階のみ徴収をいたしまして、実施の際には徴収をしないということにいたしております。
 情報公開法では、開示請求手数料とそれから開示実施手数料と、開示実施ということで、かなり膨大な行政文書の開示請求もございますのでそういう二段階の手数料になっておりますが、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法の場合は、保有個人情報、一人当たりの情報量ということになりますので、情報公開法の場合のように大量のものにはならないだろうという想定で開示請求手数料で足りるのではないかと考えているわけでございます。
○魚住裕一郎君 基本法の方に戻るわけでございますが、先ほど、電気通信事業の分野における個別法の話が総務大臣の方のお話から出られました。これ、もう是非、今後の社会を考えると本当に必要な分野だなというふうに私も懸念をしているところでございますが、これ、アメリカで子供のオンライン・プライバシー保護法というのがあるそうなんですね。これ、チルドレンズ・オンライン・プライバシー・アクトという、一九九八年のようでございますが、これは通信なのかウエブサイトの問題なのかよう分かりませんけれども、いろんな、子供が利用するときのいろんな配慮があるわけであります。
 我が国の中においても、これは通産の外郭団体なんでしょうか、電子商取引実証推進協議会というのがあるようでございまして、その電子商取引における個人情報保護に関する調査研究報告書、ガイドラインみたいなものが作られているようでございますが、その中に子供に関する特則ということで、保護者の了解をどういうふうに取るかとか、いろいろ考えているようでございます。
 子どもの権利条約というのがあって、子供のプライバシー保護もしっかりやらなきゃいけないということが出ているところでございまして、電気通信事業の個別法を考える場合、この子供に関する部分についても是非とも特則といいますか、それが私、世界標準だと思っているわけでありますが、やはり日本国も子供についてしっかり配慮しているんだというそういうことを示す絶好のチャンスだろうと思っているところでございまして、この点についてもどのような御所見お持ちか、ちょっとお伺いをしたいんですが。
○政府参考人(有冨寛一郎君) お答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、アメリカにおきましては、サイト開設者を対象といたしまして、子供の個人情報を収集あるいは使用する際に事前に親の同意を得なくてはならないといったようなことを定めました法律がございますけれども、それについていろいろな取組がなされているというふうに承知はしております。
 オンライン上の子供のプライバシー保護をどうするかにつきまして、ちょうど現在、電気通信事業分野におきましてプライバシー情報に関する懇談会を開催をしております。アメリカの取組の状況、実際どうなっておるのかということも踏まえまして、この研究会において、先生の御指摘の点を踏まえながら、どういう方策が適切なのかということについて適切に検討していきたいと、このように思っております。
○魚住裕一郎君 基本法の方でございますけれども、主務大臣の報告徴収とか助言とか勧告とか命令とか、そういう権限が規定されているところでございますが、これはかなり裁量の余地が広いんではないかなというような懸念を持ちます。裁量によっては事業者への扱いが変わってくるのではないかというような不安も出るわけでございますが、この辺の公平性の担保の措置といいますか、どういうふうに考えておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 民間部門に関する個人情報保護法は、やはり民間の方、そして個人の方が直接まずは個人情報取扱事業者との間で様々な問題について苦情を処理していただくということを大きな骨子としておるわけでございまして、例えば、じゃ強制的に何とかしてほしいという場合には自らが裁判手続によると、これは釈迦に説法でございますけれども、そういう言わば民事的なものをベースとしておる。しかし、世の中には非常に看過できないような、行政的に看過できないような極めて悪質な例もございますので、そういったものには報告徴収、勧告、命令、罰則によってそれらを担保するような、実効性を担保するような分野を設けておるという、言わば完全に二階建てのような格好をしておりますですね。
 そういった部分について、おっしゃいましたように、例えば本当に必要なときに恣意的な運用がなされないのかというような御懸念、あるいは裁量の範囲が広いのではないかという御懸念がありますが、これはやはり今後事態のそれぞれの起こり方によりまして国民生活審議会あるいは関係官庁がきちっとした組織を作って基本方針の中に盛り込んでまいりますけれども、対応を一つ一つ協議して積み上げていくと、おのずと全体に対する対応ができてくるのではないかと。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
 しかもその中で、どうしても単に後追いの行政措置だけでは駄目だというもの、あるいは個別に必要であるというもの、先ほど議員がおっしゃっておりましたけれども、そういうものについてどう対応するかということを毎度ケースをまたリサーチしながら更に詰めていく、制度を精緻なものにしていくという必要は私はあると思います。これからいろんな意味で変化をしてまいりますので、そう思っております。
○魚住裕一郎君 最後にしたいと思いますが、今、大臣は二階建てというようなお話もされました。やはりこの分野は民間の自主規律という、そういう取組が非常に大事だというふうに思います。
 また、社会の中においてもそういう取組をしっかりやっていると、そういう企業、団体が評価をされていくと、そういうふうになっていけばもっと変わってくるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、政府として、この民間の自主規律に対してやっぱり促進を促していくという方策を考えていくべきだろうと思いますが、それをどのような促進策をお考えなのかお聞きいたしまして、質問を終わります。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃいましたように、普通一般のケースにおきましては、そして言わば、語弊があるかもしれませんが、まじめに本来の業務に従事しておられる企業等につきましては、むしろ企業にとっておかしなこと、個人との摩擦が生じてはいけないわけでございますので、いかにして企業の信用を守るか。中から情報漏れをするのを防いだり、あるいは個人の要請に答えたりということをまじめに取り組む動きが既に大変に大きく始まっております。
 そういった中で、今の法律の下でガイドライン等も作りまして、主務大臣との話合いも進んでおり、特に過失、大きな過失、あるいは内部規律が十分でないというようなことについての対応が一番実は大事でございますので、その点については十分これからもよく精査し、また相互に意見交換をし、必要なソフトウエアをきちっと導入し、この個人情報の保護を進めてまいりたいと思います。
 そしてさらに、意図的な、悪質なものについては、また先ほど申し上げた部分があると思いますが、その前段こそが私は今、差し当たり非常に必要なことでございますので、これは魚住議員のおっしゃるとおり、精緻に行政が対応してまいりたいと思います。
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 今日はちょっと声を痛めておりまして、お聞き苦しい点は御容赦いただきたいと思います。
 先ほど、この法案について、住基ネット法案の審議にかかわって、提出すればよいというものではないんだという御意見がありまして、私もこの住基ネット法を審議をするときの担当委員会の一員でもありましたので、当時はこの個人情報保護法、こういったものが万全としたものがあったとしても非常に大きな問題ではないかと。審議を、与野党で審議日程も決めて進めている最中に、中間報告という形で生木を裂くように中断をされたことを思い出しておりますので、提出すればよいというものではないと。これは当然でありますが、内容が伴わない法律、個人情報保護という名前の法律を作れば住基ネットを本格稼働させてもよいと、こういうことでは絶対にないというのを肝に銘じてこの審議に入りたいというふうに思います。
 まず最初ですが、先日、吉川委員の質問に片山大臣は、ドメスティック・バイオレンスの場合の住基台帳の閲覧、住民票の写し等の交付について、被害者の個人情報が漏れないように国としても対応を検討する、こういうふうに述べられました。一刻も早くこれは実施していただきたいと思うんですが、もう一つ検討していただきたいのは、今日も午前中に、ちょっと午後に触れられましたが、戸籍の付票についてであります。この戸籍の付票というのは、ある方の住所の履歴を本籍地の自治体が作るわけで、これも住基法二十条で何人でも写しの交付を請求できることになっています。執拗に被害者を追い掛ける加害者がこれを見ますと、被害者の転居先が分かってしまいますから、命にかかわる大きな問題であります。
 東京都が最近、このドメスティック・バイオレンスにかかわって、各区、それから市町村、これの調査をされました。この住民基本台帳取扱状況調査というのを見ますと、戸籍の付票の写し、交付は全国的な対応が必要とされるので、国から取扱指針が示される必要がある、こういうふうに示される、これは担当者からの御意見ですけれども。大臣、戸籍の付票の取扱いにつきましても、ドメスティック・バイオレンスやストーカーの被害者の場合は、せめて被害者本人の申出があった場合は非公開にするとか、あるいは住民票の異動の際の、被害者本人の希望があれば付票の通知をどうするか、行わないとか、こういう対応が、今までこれにお触れになったことがございませんので、戸籍の付票についても検討していただくべきだと思いますけれども、御見解を伺います。
○国務大臣(片山虎之助君) 住民票とこれも同じ扱いにしていますよね。今の法律上の扱いも。
 ただ、これは私どもの方だけの所管じゃないですよ。これは法務省というれっきとした役所がありまして、共管的なんですね。だから、DVとの関係では既に御質問いただきましたし、広く関係者の意見を聞きながら、あるいは市町村の意見も聞かなきゃいけませんけれども、実情を把握して対応を考えたい、検討したいということを申し上げましたんで、今回は法務省も入れまして、この住民票の扱いと併せて検討するようにいたしたいと思います。
○八田ひろ子君 共管ということですので、内閣としてDV法に基づいてきちんとできるように早急に検討していただきたいというふうに思います。
 次に、警察と個人情報保護法案の体系との問題でありますが、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案は、現行の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の後継法と言えるものであります。
 警察庁は現行法の対象機関となっておるんでしょうか。また、新しい法案では対象となる行政機関の範囲に入るのかどうかお示しください。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 現行法の対象の行政機関でもございますし、新しい行政機関法の対象機関にもなるわけでございます。
○八田ひろ子君 警察庁というのは庁なので政令だということで、特別に政令に指定されているわけなんですけれども、今後も指定するというふうにおっしゃるんだと思いますけれども、その理由についてお示しください。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 正に行政機関でございますので、その一部でございますので、対象になるということでございます。
○八田ひろ子君 警察も当然入るということですね。
 現行法第六条で、「行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該行政機関の長は、あらかじめ、総務大臣に対し、次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。」と規定して、第八条で「個人情報ファイルの公示」が定められています。
 警察庁ではどんな個人情報ファイルが保有されているのか、明らかな、公示の分で結構ですけれども、お示しください。
○政府参考人(安藤隆春君) 警察庁におきましては、例えば古物商及び古物市場主の管理ファイルとか家出人ファイル、あるいは運転者管理ファイルなどを保有いたしまして、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の第六条一項に基づきまして総務大臣に通知しているところであります。
○八田ひろ子君 警察庁も行政ですので当然この法律に掛かり、この官報によりますと十件の個人情報ファイルを保有しているというふうに公示されているということであります。
 そこで伺いたいんですけれども、この警察庁と同じ警察法で規定をされております組織に都道府県県警があります。警察庁は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案の適用を受けることが明確になっていますが、都道府県警の場合は個人情報保護のためにどんな法的規制を受けているのか、お示しください。
○政府参考人(大野慎一君) 都道府県の場合に、都道府県の警察を律するということになりますと、各県の個人情報保護条例で対応するということになるわけでございます。しかしながら、現在、私どもが調べてみますと、都道府県警察を対象としている個人情報保護条例というものを制定している都道府県はございません。
○八田ひろ子君 それはどういう理由でしょうか。
○政府参考人(大野慎一君) これは、私どもつまびらかにするところではないわけでございまして、各県がそれぞれ条例を作ります場合に、議会との話合いの中で条例を出して議会の議決を受けるわけでございまして、それぞれの自治体のお考えだろうというふうに思います。
○八田ひろ子君 四十七都道府県のうち個人情報保護条例を制定しておりますのは四十都道府県ということだそうであります。私、調べましたら、おっしゃるようにこの四十の都道府県の条例の中に警察は入っておりません。
 どうしてなのかなと思いまして、幾つかの府県に聞いてみました。愛知県では、条例制定の際、県警に声を掛けましたが、時期尚早ということで対象に入らなかった。東京都では、全国的な流れがあり、将来の検討課題としたと。宮城県では、条例制定の際、入れるかどうか議論になったと。しかし、警察は非開示情報が多いとの理由で条例に入らなかったと。先ほど警察庁に聞きましたら、ファイルがあって、それは個人情報保護法には入るということなんですけれども、宮城の場合はちょっと勘違いされているのかなと思うんですが。また、ほかの都道府県は、警察業務というのは国の警察庁の管理の下にあったり、他県との共同があるので、自分のところだけ入れることはできない。自分のところ、先ほどはいろいろそれぞれで判断するというふうにお答えいただきましたけれども、一つの自治体だけでは入れられないんだと。
 確かに、警察の場合に、犯罪捜査にかかわる個人情報が多いということは先日来容易に想像できるわけですけれども、それ以外の個人情報もありますし、さっきの警察庁の十件の個人情報ファイルが登録、これ、捜査と関係ないのですね、官報に示してあるのですから。情報公開条例の場合は、以前は公安委員会及び警察本部は対象から除かれていました。しかし、国が情報公開法を制定をした後は、条例改正ですべて対象ということもお聞きしております。
 で、片山大臣に伺いたいんですけれども、都道府県警察も条例の適用がされるべき中身ではないかと私は思うんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 地方自治ですから、それぞれが十分、関係者相談して議会の議決を経て決めるんですから、よく相談をしてもらいたいと思いますし、私どもの方の行政機関の中に入っているようですから、そういうことも一つの参考になるかもしれませんが、各府県の状況に応じてよく相談してもらえればいいと思っております。
○八田ひろ子君 そういうお答えはおかしいんじゃないですか。今、私が申しましたように、一つの県では入れられないというのが現実に地方から上がってきているんですよ。
 先日来の審議の中でも、また私、この表をいただきまして、今度の個人情報保護法がどういうふうに掛かるのか。民間に掛かり、行政があり、その中に地方自治体があって、それぞれがやりますよという。民間、警察は民間じゃないですから掛かりませんよね。国家って、警察庁までは掛かりますよ。だけれども、国家機関でもないですから都道府県警と。それで、地方かと思うと、その地方は警察だけ、警察だけないんですよ。
 笑い事じゃございません。だって、警察というのは住民と関係ないんですか。何でこうなのかというのをあなたお考えになったことないんですか。
○国務大臣(片山虎之助君) いや、それはそれぞれの府県がいろんな理由を考えて入れないんで、それはそのそれぞれの府県の意思ですから、議会が関与しているんですから。それは皆さんのところの議員さんもおるでしょう、そういう議員さんを含めて議論をして、最終的には議会が決めるんですから、それぞれ理由があるんですよ。
 警察は国の行政じゃありませんよ。国の行政である部分もあるし、都道府県の行政である部分もあるんで、だから都道府県警察なんですよ。だから、それぞれの都道府県が十分に議論して、皆さん方の方の関係の方も含めて議論して結論を出しているんですから、それはいいとか悪いとか言えませんよ、それが地方自治じゃないですか。
○八田ひろ子君 地方自治と言えばすべて解決するかと思うと、そういうわけではありませんでしょう。
 先ほどもありましたけれども、この都道府県警察というのは、ちゃんと法律によって定められているんですよ。警察庁と並びであるんですよ。だから、さっき私がなぜ警察庁はこの法律の中の対象ですかと言ったら、当然だからだということをおっしゃったわけでしょう。どうして警察だけは、地方の警察だけは、この中央の警察庁とも一緒に仕事をしているのに抜けるのか。一つの自治体だけでは入れられないというふうに地方自治体が言っているのに地方自治体で考えなさいというのは、私はおかしいと思います。
 ちょっと今日は時間がございませんので、次の、何で私がそういうことを言うのかというのもちょっと質問をしていきたいと思いますので、ペンディングしていきますけれども。
 この公務員の個人情報漏えい問題ですね、これで、私、資料をいろいろと作っていただきましたね、調査室で。ここで一番多いの、これは都道府県警からの漏えい問題というのが一番多いわけですね。それは大臣も御承知だと思います。
   〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕
 昨日宮本議員が示しました犯歴ですね、この犯歴。(資料を示す)この犯歴は、何も宮本議員が初めて取り上げた、現物を皆さんにお見せしたのは昨日が初めてかもしれませんけれども、この資料の中にも一杯ありますよね。この犯歴、この犯罪経歴データ、こういうものを漏えいして見返りに現金を受け取る。十年間に六十七件の個人情報漏えいが報道、報道ですから全部じゃないかもしれませんが、地方公務員に係る五十二件のうちの五五・八%、二十九件は都道府県県警なんですね。
 個人の情報漏えいであるんですけれども、ちょっと大臣は後で考えておいていただいて、警察庁、これはこういう個人情報の安全確保の問題としてどう考えておいでになるんでしょうか。
○政府参考人(安藤隆春君) およそ警察におきまして、個人情報等、警察が職務上知り得た秘密を他人に漏えいするような法に違反する行為はあってならないことでありまして、かかる事案を認知した際にはこれまでも厳正に対応してきたところであります。
 今後とも、警察といたしましては、このたびの法案提出の趣旨も十分踏まえまして、各警察職員に対しまして警察の保有する個人情報の保護の重要性について周知徹底を図るとともに、個人情報の適正な取扱いに関する指導、管理を徹底し、この種事案の再発防止に努めてまいる所存であります。
○八田ひろ子君 そんな通り一遍の反省とか、今回法律ができたからって、法律ができる前でも、例えばここに載っている一つの例でいいますと、愛知県警では九九年五月から十二月まで熱田署の巡査部長が二百件余りの犯罪経歴データを漏えいして、見返りに現金を受け取っていた。警視庁でもありますよね。元警部補が社長を務める信用調査会社が犯罪歴データを流出する。現職警察官数人が依頼されて情報漏えいに関与した事件が報道されています。これは、こういう事例が私、最近のだけでもちょっと新聞をコピーしてみたんですけれども、素朴な疑問がわくんですね。
 犯罪経歴というのは、今おっしゃったみたいに、漏れてはならないものだと。私たちは、最もセンシティブな情報だというふうに思うんです。だけれども、警察の中ではだれでも簡単にアクセスできて、警察官のOBに大量に提供されているんじゃないか。だって、こういうのをコピーして二百枚も渡すとか、一杯この調査の中にも出てくるわけなんですね。
 今までにこんなにたくさん出てきて、専門的な検討チームを作って原因を究明したり再発防止策を確立をする、そういう検討がありますか。独自の検討をされたことあるんですか。
○政府参考人(安藤隆春君) 確かに御指摘のように、数の漏えい事件が報道されておるわけでありますが、その一つ一つにつきまして厳正に捜査をして処分をいたしているということで、もちろん、警察の中でそうした再発防止に対して、これまでも警察庁が都道府県警察に対しましてきめ細かく指導を徹底してまいっておるわけでありますが、なおそうした事案があるということは誠に遺憾なことであります。
 その原因についてはいろいろあると思いますけれども、やはり事案を起こしました職員個人の職務倫理意識の欠如とか、あるいは上司の業務管理の不足ということに起因することが大きいと我々は考えておりまして、それを踏まえて更に強力な対策を今打っているところでございます。
○八田ひろ子君 私は、個人の問題にしてトカゲのしっぽ切りで、厳正な対処をしますというのが結果がこれなんですよね。それじゃ、これからもまたますます私たちのこんな警察に対する信頼というのは回復できないと思うんですね。
 大臣、少し頭を冷やしていただいたかもしれませんが、私ども、センシティブ情報のときに、特に慎重な取扱いをしていただきたいというふうにお願いしてきたんですよね。警察も、すべての県の条例には警察は入っていないんですけれども、大臣御承知のように、いろんな県では条例の中にセンシティブ情報の収集だとかそういうのを禁止しているというのを御存じだと思います。
 例えば、愛知県の個人情報保護条例では、第七条四項で、「実施機関は、思想、信条及び信教に関する個人情報並びに審議会の意見を聴いた上で社会的差別の原因となるおそれのある個人情報として実施機関が定めるものを収集してはならない。」と。
 無論、これは警察に一般的に当たるという意味じゃないんですよ。だけれども、やっぱりこういった条例があるんだと。警察もこういうのに掛かるんだよということが必要。センシティブ情報の収集を原則禁止しているのが世の中のルールなんだよということは、私はきちんとやるべきだと。だから、法律にもこういうのはきちんと書いていただいて、そして条例の中にも警察は入れていただいて、捜査の取扱いはどうするかはもっと厳しくていただくというのが大事だというふうに私は思いますので、今のこの法案は全然だめじゃないですか、水準が。どう思われますか。
○国務大臣(片山虎之助君) いや、だから地方自治なんですよ。国が入れて、センシティブ情報はまだこの概念がしっかりしていないし、だから全部の個人情報についてセンシティビティーがあるので、全部の個人情報について厳重に目的を明らかにして、必要最小限の目的に応じて扱って、極めて例外的な場合に目的外の利用や提供をやると、こういうことにしているんですよ。
 ただ、地方は、委員が言われるように、何か所はセンシティブ情報のいろんな規定を置いていますよ。だから、それは私はそれでいいと言っているんですよ。その代わり、国は警察入れていますよ、行政機関の中。だから、地方はいろんな事情で警察を入れたくない、これも結構だと言っている。それが地方自治ですよ。国と金太郎あめみたいに同じにする必要はないんです。それぞれの事情を考えて、関係者がみんな議論して一つの結論を出して決めていくのは非常に結構じゃないですか。
○八田ひろ子君 そんなすり替えの議論では駄目ですよ。個人情報の保護をきちんと守ってほしいという今の世論は一体どういうものなのかというのを真摯に受け止めていただきたいし、何で警察だけ関係ないんですか、この法律の枠の中に。こんな大きな枠があって、私たちはもう全然ざる法みたいでばあばあだからもっときちんとしなさいと言っている。その中にも入らないなんというのは、私は本当に異常な神経だと思うんですよ。
 その異常なというか、警察のやっていることについてちょっと伺いたいんですけれども、防犯カメラの問題です。
 今、防犯カメラが、こういうカメラじゃなくて、ドーム型のカメラなんかもたくさんあるんですけれども、だれかに監視されている恐怖を覚えるというので大きな社会問題になっています。
 報道によりますと、例えば愛知県の名古屋市ではコンビニの土古支店というところがあるんですけれども、そこには愛知県警直結の高性能カメラが設置をされているということであります。これについて警察庁は確認をしておいでになるでしょうか。
○政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。
 御指摘のカメラの件でございますが、これは、愛知県警におきまして、コンビニエンスストア一店舗についてモデル事業といたしまして、大変愛知県下でコンビニをねらった強盗事件が非常に多発をしておりまして、そういったことからモデル事業として、強盗事件が発生したときに警察へ非常通報ボタンを押すとそのコンビニエンスストアに設置してある防犯カメラが作動して当該警察署にその店内の画像が送信される、こういうシステムを設置されたものというふうに承知をしております。
○八田ひろ子君 こういうのが愛知県以外の都道府県でも、警察と直結した監視カメラというのは全国でどれぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(瀬川勝久君) コンビニエンスストアの防犯カメラの映像が警察署に送信される、こういうシステムはほかの都道府県につきましては承知しておりません。
○八田ひろ子君 これは、今ここの土古支店が非常に問題になっているのは、犯罪にかかわらないのに不特定多数の人を犯罪扱いにして、今、非常ベルを押したらというふうにおっしゃいましたが、本当にそうなっているかどうかというのは、実際にはこの法律の網にも掛からない地方の警察がなさっていることですので、大変心配なわけなんですね。
 ですから、私はこういうことは、実験的な問題でも、人の人権にかかわりますので、やめさせるべきだというふうに思うんです。
 私がなぜこれを問題にするのかといいますと、この愛知県警の問題でまだほかにもあるんです。
 指紋や顔かたちなど生体情報で人体を特定する技術というのが今、バイオメトリックス技術というんですか、こういうのが既に成田と関空では二〇〇二年から実用化されております。これは希望者だけということのようですけれども、ここで問題にしますのはこういう問題ではなくて、各都道府県警と直結した監視カメラとこのバイオメトリックス技術との結合という、こういう問題であります。
 既にアメリカではフロリダ州で、スポーツ観戦の観客十万人の顔を本人には全然知らされずに撮って、それをスキャンして警察が利用していたと、こういうことが発覚をして大変大きな問題になっています。これは去年の十月の中央公論という雑誌にも載っておりますが、事件そのものはアメリカの報道であります。こういうことがもし日本で実験であろうとどういう名目であろうと行われたら重大な人権侵害だと私は思います。
 ところが、今年、二〇〇三年一月八日付けの新聞ですね、ここで実は、県警の担当者がジャーナリストの斎藤貴男さんという方のインタビューに対して、顔認識技術、これ、バイオメトリックス技術ですね、これと今のサークルKとのあれですね、この連動も検討中だと、こういうことを答えている。これがその新聞記事でありますけれども、こういうことを報道されているんですね。警察庁としては、警察に直結した監視カメラと顔認証技術との連動について警察庁として検討されているんでしょうか。
○政府参考人(瀬川勝久君) 御指摘のそのコンビニのカメラでございますが、顔の認証技術につきまして愛知県警でも今検討しておりまして、これは先ほどモデル事業ということで申し上げましたが、このモデル事業として顔の認証の仕組みを使うことができないかどうかという実験といいますか、をいたしました。
 ただ、これは一般の方を相手にしたものではなくて、県警の職員を言わば被疑者役として写真を撮らせまして、それで顔認証技術の応用ができるかどうかということで実験をしたことがあるというふうに報告を受けております。結果としましては、明るさの問題その他、いろいろ角度の問題ありまして十分な成果が得られなかったということで、平成十四年の一月からは実験はもう行っていないものというふうに聞いております。
○八田ひろ子君 そういうのを警察庁としては是とされるんですか。私は、絶対許せない実験。実験だとしても、それは私さっき順々に聞いているのは、愛知県警直結の超高性能監視カメラ店、これの店舗に設置されている、これの担当者の話として、このやっている、これは実験しているとは言っていませんよ、検討中という、その実験を重ねて、今実験をやめられたと言いますけれども、これは一月八日の新聞なんですけれども、警察庁としていいと思っているんですか、そんなことが。
○政府参考人(瀬川勝久君) いろいろ犯罪捜査の過程において、例えば銀行のATMから犯人が金を引き下ろしたときに、そのATMに設置されていたカメラに残っていた映像、顔写真というものからその犯人を特定をしていくというようなことが当然これは犯罪捜査のために必要になるわけでありまして、そういう観点から、その顔の画像の識別ということにつきまして、これは、犯罪捜査上も必要なものとしてこれは私どもとして研究を進めていかなければいけないものというふうに考えております。
○八田ひろ子君 私、とんでもないお答えだと思いますよ。私、さっきから質問していますでしょう。ここはサークルKに、要するにコンビニにこのドーム型の監視カメラを付けている。それが直結しているのが愛知県警なんですよね。その愛知県警の担当者がこの斎藤さんに答えて言うのは、ドーム型ですからね、ATMを不正に引き出したりとかそういうのとは違うんですよね。買い物に来る人ですよ、コンビニというのは。それ、その画像と顔認証技術との連動も検討中だということは、私はこれは踏み越えてはならないところの部分を踏み越えるんだということを公然と言っていることで、こんなのは絶対に許せないというふうに私は思うんですけれども、どうしてそういうふうに平然と犯罪捜査のために必要なことだというふうにおっしゃるんですか。犯罪捜査のためだったらすべての国民、このアメリカで問題になったような十万人のをスキャンしたりとか、そんなことを警察は許されるんですか。
○政府参考人(瀬川勝久君) この愛知県のコンビニのモデル事業でございますが、最初にお答えいたしましたように、強盗事件等が具体的に発生した際に警察に、非常通報ボタンを押していただくということによってその画像が警察に届くと、こういうものでありまして、そういった場合に犯人である者の顔写真等がうまくそのカメラに写っていれば、それを顔の認証技術等を応用してその犯人の特定をしていくということは、こういった強盗事件を解決するために大変有効な方法ではないかというふうに考えているものであります。
   〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
○八田ひろ子君 警察庁はかねてコンビニを第二の交番とするんだと、こういうふうにおっしゃって位置付けられて、一昨年は専門誌にその旨の論文が載ったことは御承知のとおりだと思うんですね。現実にこういう具体例を挙げて私が質問しているのは、大変危険な問題を平気で踏み越えていくのが警察だというふうに思われるからなんです。
 先ほどからも述べておりますように、都道府県警、今日は警察の方はそうおっしゃいませんけれども、何か言うと、昨日のNシステムでもそうですけれども、あれは都道府県警がおやりになっていることでございましてと。さっきの片山大臣も、言葉は違いますが、都道府県でお考えになることでと。ですけれども、実際には法的にはつながっているじゃないでしょうか。そんな、警察が何でも個人情報を、人の顔であろうと何であろうとコンビニでスキャンする、保有できる、データマッチングもできる、監視カメラやバイオメトリックス技術がそうで、Nシステムも、もしこれを全部連動しますと、県警などを隠れみのに国家組織そのものが個人を管理できることになるという、こういう心配はそのまま絵にかいたようになっているんじゃないでしょうか。
 私は、監視カメラとバイオメトリックス技術で、この監視カメラの地点、何時何分に通ったというNシステムとドッキングさせるなんという、こういうことは絶対に許されないというふうに思うんですが、今日、私、二十分までしか質問時間がないんです。次のITの質問もしたいと思いますので、委員長にお願いしたいんですけれども、警察の問題、この都道府県警察は条例にも入らないし今回の法律そのものの枠の中にも一つも現実に入っていないんですよ。やっていることは大変なことですので、これはこの問題だけで集中審議していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○委員長(尾辻秀久君) 理事会で協議をいたします。
○八田ひろ子君 じゃ、警察問題の集中審議は是非やっていただくということで、次の問題に移ります。
 総合行政ネットワーク、朝の質問でもLGWANの問題が出まして、この総合行政ネットワークはどういうものか、国民にどうかかわりがあるのか、簡単にまず御説明ください。
○政府参考人(大野慎一君) 一言で申し上げますと、地方公共団体の電子的な文書の交換でありますとかあるいは電子メール、電子的な情報をやり取りをする行政専用のですね、行政専用のネットワークというふうに御理解をいただければと思います。
○八田ひろ子君 今、ITというふうに言われますが、住基ネットの利用拡大などの問題があって、個人情報保護、住基ネットもそうですけれども、このLGWANについても本当に保護が図られるかということで私どもは反対しましたが、昨年、このオンライン三法が成立をして、申請や届出等の行政手続のほとんどがインターネットを通じたりオンライン上でできるようになったということで、今御説明のように、国と地方の情報のやり取りがオンライン上でできる、LGWANと霞が関LANがリンクするということですよね。
 これは、国、地方を合わせて行政手続は五万二千を超えると言われていますけれども、国は今年、二〇〇三年度末に行政手続の九八%、地方の行政手続の九五%をオンライン化したいと計画されているんですけれども、住基ネットとともに電子政府、電子自治体の基盤になるネットワークなんですが、どういう個人情報が流れて、保存管理をされているのか、これも分かりやすい例を挙げてくだされば結構ですから。
○政府参考人(大野慎一君) このいわゆる総合行政ネットワーク、LGWANでございますが、ここにどういう情報を流すかということにつきましては、この運営を行いますのは、地方公共団体の代表者から成る協議会がございまして、この協議会の方と、例えば国の場合であれば各省庁が御相談いただいて、セキュリティーレベルを合わせるということもありますので、個々具体的に相談をして決めていくというふうになるわけであります。
 今想定されるものは、地方団体と国との間で電子情報のやり取りが必要になるような情報システムというふうになるわけでございまして、これは相当いろんなものが想定されるわけでございまして、私どもは、このe―Japanの重点計画のアクションプランの中でも、個別にシステムを作って流すのではなくて、行政の情報処理につきましてはできるだけこのLGWANと霞が関WANを連動させることによって情報の処理、やり取りを図っていただきたいと、このようにお願いをしているところでございます。
○八田ひろ子君 大変なことだなと思うんですね。
 「日経コンピュータ」の今年の三月の記事ですと、国の行政機関が保有する個人情報の一千六百六十一種、東京都でいいますと約二千三百種、種類ですね、個数じゃなく、足立区でいうと五百八十種ということで、大変、何ですか、このLGWANというのはどのような法律に基づいて構築されているんでしょうか。
○政府参考人(大野慎一君) 先ほど来申し上げておりますように、自治体の行政専用の共同のネットワークということでありますが、一定のセキュリティーレベルをきちんと担保するということが必要でありますので、情報のやり取りにつきましては、暗号化処理をするとか、あるいは侵入検知装置を付けるとか、それから操作者につきましても、IDとかパスワードを使って操作するというふうな技術面での格別のセキュリティー、それから、運用面におきましてもセキュリティーポリシーというものを決めて対応するというふうにする仕組みでございます。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 今、政策統括官の方から御説明申し上げましたのは一般の情報のLGWANあるいは霞が関WANによるやり取りの問題でございまして、個人情報につきましては、正に電算機個人情報保護法が現行法において適用されるわけでございまして、目的外利用は原則禁止ということになっているわけでございまして、目的外で利用・提供する場合は、総務大臣が施行状況調査で明らかにしておりますような状況になっております。
 そういうことで、どこにでも個人情報が流れるような仕組みになっているわけではございません。
○八田ひろ子君 朝の議論でもあったんですけれども、住基ネットは法律を作って、そして再三大臣も、私たちは不十分だと思うんですけれども、いろいろな条例だとかいろんなものを作って、それからチェックもしてやるんだというふうにおっしゃっているわけなんですよね。不十分だけれども、一応住基台帳はそういう保護策をやりましょうと。全国的にも実際には希望者だけを第三者機関でというので、本当に不十分だなと私たちは心配しているんですけれどもね、あの住基ネットの場合は。
 ところが、これ、こちらのLGWANの方は、そういうのはどうなっているのかということを聞いているんですけれども。
○政府参考人(大野慎一君) LGWANといいますのは住基ネットとは全く違うものでございまして、言わば行政情報のやり取りをする電線を地方団体が共同で活用するものだというふうにまず申し上げた上で、その上で、そこの情報のやり取りを、何をさせるかということにつきましては個別具体的に、運営主体であります都道府県の代表者から成る協議会と、例えば国の機関であれば国の機関がよく相談をすると、こういう仕組みになっているわけでございます。
○八田ひろ子君 実際に、住基ネットとシステムは違いますよ。住基ネットは閉じていますでしょう、LGWANというのは開いていますでしょう、インターネットからも入れるようにしなくちゃいけないですからね、電子認証なんかのときには。だから、そういうシステムは違うというふうに思うんですけれども。
 朝の議論の中にもあったんですが、実際には、住基でいうと岩代町の全町民の住基データを含む個人情報が流出をしたと。私たちは、住基ネットの場合は住基コードが非常に問題だというふうに思っているんですけれども、金融庁が銀行窓口の本人確認に住基コードの番号を、通知票を使ってもいいと通知を出して、私が質問したときはまだ実際に使われた報告はないって大臣は言われて、その後は調査されて金融機関の四割が使っていたと、その番号の付いたのを。そういうミステークというのは現実にあるわけです。流れちゃう前にもそういうことがある。だから、私は大臣答弁や政府の答弁が信用できないなって思う部分があるんですよ。
 だけれども、住基ネットの場合は、孫請というんですか、これは禁止されていますでしょう。だけれども、LGWANの場合はそうではないんじゃないかと、認められている。さっき、上の省庁と相談しながらとか種類が違うものが流れているからとかっておっしゃったんですけれども、民間企業に丸投げできるんじゃないんですか。だから、そういう総合行政ネットワークの個人情報を守るということは、住基ネットに劣らず私は大きな問題、きちんとやっていかないといけない。これ不人気で、皆さんやっていらっしゃらないんですよ、各自治体はね。不人気の理由そのものもやっぱりそういうことがあるんではないかと。
 午前中も非常にセキュリティーで問題じゃないかというふうに言われていますけれども、私は、この今回の個人情報保護法では、地方自治体が保有する個人情報保護というのは条例にゆだねることになっているんですけれども、こういう問題は、じゃ、その条例できちんと決めるのか、そして省庁の方は、セキュリティーに関しては、住基も私は不十分だと思うんですけれども、少なくとも住基並みのセキュリティーの援助だとかそういうものをやっているのかどうか、これをお示しください。
○政府参考人(大野慎一君) LGWANも決して開かれっ放しのシステムではございませんで、行政専用のネットワークということになるわけでして、各自治体のLANとはきちんとセキュリティーを守るためにファイアウオールを設定するとか、そういう一種の遮断された形でセキュリティーレベルをきちんを上げたシステムでございます。
 そこで、セキュリティーの問題は、先ほど申し上げましたように、各協議会でレベルを決めて、それを自治体が守るというふうになっておりますし、それから業者に丸投げというふうなことも、再委託は禁止されているというふうなことでございまして、レベル的には、私どもは住基ネットの情報通信としての線のセキュリティーレベルとは同程度に高いものだというふうに考えているわけであります。
○八田ひろ子君 あれですか、丸投げ禁止、孫請禁止の法律があるんですか。
○政府参考人(大野慎一君) 度々申し上げておりますように、これは地方団体が作り上げた言わば情報通信網ということになるわけですが、この場合の具体的な契約の中でそういう取決めをするということでございます。別に法律の根拠があるわけじゃございませんので、それは契約の中でやっていくということでございます。
○八田ひろ子君 それが駄目だと私最初から言っているんじゃないですか。法的な根拠がなくて、住基ネットでも、入口とかそういうところで私たちは心配だというのがありますけれども、全国統一の法律を住基ネットはきちんと作っていて、地方のお作りになったシステムですと言うけれども、地方はシステムは作れないものですからね、お国の方針でお作りになって地方が主体になっているという形で、住基ネットと同じセンターがやるんじゃないですか、このLGWANだって。
 だから、私はきちんと総合行政ネット、LGWANもきちんとそういう法律的な裏付けを持って、丸投げとか、実際に地方ではそういう、何というんですか、力がないということは御存じだと思うんですよ。契約でそうなっていると言っても、やはりきちんとこれは規制をしなければいけない。私ども通信情報の問題ではきちんと個人情報保護の別の厳しい法律が要るというふうに思うんですけれども、そういう問題以前に、これは私は法律できちんとやっていただかないと駄目だというふうに思うんです。
 少なくとも、センシティブ情報はオンラインでも絶対に流通さしてはいけないよとか、データセンターへの個人情報管理、これは行政が責任を持つよとか、民間営利企業への丸投げ禁止や孫請禁止、こういうのをきちんとやるという、そういう法律的な裏付けがなかったら私とても恐ろしいことになると思うんですけれども、大臣どうなんでしょう。
○国務大臣(片山虎之助君) そんなに恐ろしいものじゃないんですよ。今、事実上、文書や何かでやり取りしているものをオンライン化してお互いのWANでつないでいくということなものですから、例えば国から情報が地方に行ったり、地方のいろんな統計の情報含めて、あるいは申請なんかもあるのかもしれません、そういうものが上がっていくので、それから統計なんかやり取りできますよね、そういうことを基本的には考えているんです。
 ただ、そうでありますけれども、やっぱり公的な情報ですから、個人情報はないにしても、セキュリティーについては、住基ネットまで行かないけれども、それ並みの例えば専用回線の利用だとか通信データの暗号化だとか、あるいは仕様書の統一だとか、IDSによるネットワークや機器の二十四時間常時監視だとかパスワードとか、いろんなことやっているんですよ。法的な根拠が要るって、事実上みんなが相談してそういうことにやろうと、紙の代わりにこれでやろうと、ネットワークでやろうと、こういうことですから、それは法的な根拠はあってもいいのかもしれないけれども、なくてもいいんですよ。
 それは国の霞が関WANだって同じですよ。だから、霞が関WANとLGWANを今つないでいるんで、まだ全部つなぎ切っていないんです。つなぎ切っていないんで、だから、まあそれは委員の言われる心配も、大変心配性の方ですからよく分かりますので、だから検討はいたします、いろんなことを含めて。
○八田ひろ子君 最後に一言、検討しますと言われたんですけれども、私、総務省はITの担当なんですから、その大臣のお言葉とも思えないんです。専用線といったってバーチャルでしょう、バーチャル専用線ですよ。
 もう時間がないので、最後の質問に移りますが、この電子政府、電子自治体構築に当たっては、個人情報がどのように行政機関に使われるかという利用外目的、これは目的外利用、これを分かるような個人に対する個人情報のアクセスログの開示が絶対必要だと思うんですね。これは住基だけじゃなくてです。住基もさんざん言ってきましたけれどもね。
 例えば長野県は今年になって県内百二十の市町村でこの住基ネットの担当者のアンケート調査しています。この本人確認情報の安全性を脅かすおそれのある利用形態は、国の行政機関に対するもの、国が一番危ない、国に提供するのが一番心配だと、これは百十二のうちの五十九のところ。これ長野県だけじゃないですよ、何度も住基ネットで言っていますけれどもね。
 ですから、私は国の行政機関が利用目的以外に使っていないことを証明するためにも、年金事務とか税務とか、できることから、やっぱりきちんと個人情報のアクセスログを開示できるようにシステム作ってください、お願いします。どうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 住基のアクセスログは、これはもう大変な手間とお金が掛かるんですけれども、今そういう方向で意思統一をしてシステム開発やっておりますから、そのうちそういうことになると思います。
○八田ひろ子君 それじゃない話をしているんですよ、今、私が言ったのは。国のことを言っているんです。
○国務大臣(片山虎之助君) 国はこれからですから。国はこれから、法律をまず通していただいて。大前進ですよ、これはもう二歩も三歩も、大前進ですから。それから、施行までの間にいろんなことは検討いたします。
○八田ひろ子君 時間が参りましたので、次の質問も反論もできなくて残念ですけれども、やっぱり私はもっときちんとしたことをやっていただかないといけないということで、終わらせていただきます。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党)の森ゆうこでございます。本日もよろしくお願いいたします。
 まず、昨日の夕刊若しくは本日の朝刊ですけれども、この個人情報保護の特別委員会、二十一日の採決を前提としてというふうな、二十一日も採決があるかのごとく報道されましたけれども、今の、今日の議論を聞いていましても、私はまだ拙速は禁物だと思います。これは大臣からの御発言で二十一日採決ということだったんでしょうか。まず確認させていただきたいと思いますが。
○国務大臣(細田博之君) 御審議は参議院にゆだねておりまして、私どもはただ御質問にお答えし、委員会に出席させていただくのみでございまして、そういうことは承知しておりません。
○森ゆうこ君 それで、そうでなければいけないと思いますし、質問させていただいた事柄には明確に答えていただきたいと思います。
 まず、質問の順番をちょっと変えまして、片山総務大臣に地方の取組について、今、八田委員からも様々な御指摘ございましたので、続いて質問させていただきたいと思います。
 個人情報の保護条例が未整備の地方の問題がございます。地方自治体の中にはいまだ個人情報の保護条例を制定していない市町村が多いということは今ほどもお話がありました。このような未整備の自治体に対して大臣はどのように受け止めておられるのか、また条例を制定している市町村に対しても、その内容がきちんとしたもの、すなわち十分な個人情報の保護措置が講じられる必要があると考えておりますが、この点について伺います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今条例を作っているのは大体三分の二ですね、六六、七%。だから、残りはまだ条例を作っていないと。条例は作っていないけれども規程や規則を作っているという、要綱ですね、規則や要綱を作っているというところを入れると八割。ですから、特に市町村ですけれどもね。だから、これはもう作ってもらわにゃいかぬと思っています。何にもなくちゃ困る。だから、それは作ってもらうんですが、作ってもらうのと、一方、国の方は個人情報保護五法が通るんですから、それとある程度合わせていただく。
 ただ、全部同じようにしろと言うつもりはありませんよ。例えば、今まで国の法律も電子処理された情報だけだったから、今度は紙情報まで入れますから、やっぱり紙情報も入れるというようなことは一つ必要だと思う。
 それから、本人関与の権限が、今までの法律だと、御承知のように、開示請求と訂正の申出だったんですよ。だから、今度は開示も訂正も利用停止も請求権として認めるわけですから、そういう基本的なところは私はそろえていただいた方がいいんではないかと。しかし、それは地方自治ですから、八田委員にも言いましたけれども、地方の意思を尊重するというのが私どもの方のあれですから、よく相談をして、納得をしていただいて、そういうふうに直していただこうと、こういうふうに思っております。
○森ゆうこ君 それで、地方自治だと、地方の自由であるというふうに、先ほどは地方の自由だというふうに大臣お答えになったと思うんですけれども、第五条の「地方公共団体の責務」について伺いたいんですけれども、第五条では「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じて、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」とあります。
 まず、法律の趣旨にのっとりその施策をというふうにございますけれども、この法律の趣旨、これに基づいて、それでは条例を作るということが責務になるのかどうかという点について、両大臣に伺います。
○国務大臣(片山虎之助君) それは基本法制の方ですか、行政機関の……
○森ゆうこ君 基本法制。
○国務大臣(片山虎之助君) 基本法制の方ですね。それは細田大臣から答えていただいた方がいいと思いますが、基本的にはそういうことですよ。今、委員が言われたようなことです。
○国務大臣(細田博之君) この個人情報保護法の制定に伴いまして、是非地方公共団体においても体制を整備していただきたいと思っております。
○森ゆうこ君 その辺のいただきたいというところがはっきりしないんですけれども、それはこの責務というのが条例を作るということ、義務ということになるんでしょうか、そうじゃないんでしょうか。その辺をはっきりしてください。
○国務大臣(細田博之君) 法案の第五条におきまして個人情報に関する地方公共団体の責務を明らかにしておりますとともに、法案十一条がございまして、個人情報の適正な取扱いを確保するよう必要な措置を講ずることに努めるべき旨を定め、その自主性、自律性を尊重しつつ、保有する個人情報の適正な取扱いを確保することとしております。
 各地方公共団体においては、本法成立後、これらの規定を受けて、本法の趣旨にのっとりまして、国の行政機関個人情報保護法を参考としながら条例の整備に早急に取り組んでいただきたいと考えております。
○森ゆうこ君 それで、取り組んでいただきたいと、あくまでもこれは要望ということなんでしょうか。
 それで、詳しく私通告しておりませんが、これはもう大臣もいろんなところでお答えになっているわけですから、もう少し詳しく聞きたいんですが、第八条において地方公共団体への支援というところがございます。国が地方自治体を支援するという規定になっているわけですが、あくまでも、例えばただいまのような条例の制定についての単に支援ということで、命令、服従ということではないという理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) これは第八条がございまして、国は、地方公共団体が作成し、又は実施する個人情報の保護に関する施策及び国民又は事業者等が個人情報の適正な取扱いの確保に対して行う活動を支援するために、情報の提供、事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための指針の策定その他必要な措置を講ずるとしておるわけでございますが、やはり全国的にいろんなことが起こりまして、それらのバランス等を考慮する必要もございます。そして、判断に対しては常時情報を提供するということは非常に大事でございますし、また個別のローカルな個人情報の処理事業に携わる人が円滑にこの体制を整備できるように、これはできるだけ地方公共団体において対処していただきたいので、国としてもできる限り情報の伝達、それからどのようにしたらいいかということについてアドバイスを与えるとともに、地方からも様々なお尋ねがあると思いますので、直接全国的な問題として処理する場合もございましょうし、また地方の問題としてアドバイスする、お助け、お手伝いをする場合もあると思います。
○森ゆうこ君 情報漏えいの問題については、地方の自治体による個人の情報の漏えい事件も少なくないわけですね。地方自治体における個人情報の保護というのも、国の行政機関だけにとどまらず大変重要な問題であると考えているわけです。
 私のイメージとしては、この個人情報保護法、完全なものと思っておりませんけれども、仮に成立した場合のことを考えてみますと、当然そのような条例が全国的に整備されて、しかも、昨日も申し上げました住基ネット、本格的に稼働するわけですから、この法案が成立すればそれがもう全国的に行われるというふうに、昨日までそう思って審議に、委員会に臨んでいたわけですけれども、先ほどの御答弁を伺いましても、あくまでも地方の自由であるということで、この個人情報の保護条例が全国津々浦々の地方自治体ですぐさま取り掛かるということでもない。じゃ一体何のためにこの法案成立させなきゃいけないのかとだんだん分からなくなってきたんですが、個人情報の保護条例について、地方自治体が制定するという義務はないんですね。
○国務大臣(片山虎之助君) 今回、基本法制は初めてできるんですよ。基本法制というのはこれは国や地方も抱え込んでいるんです。特に民間に対しては国の機関の権限を地方公共団体に委任できるんですよ。委任の規定があるでしょう。そういうことで、これは基本法制の方ですよ、民の方ですよ、それについてはこれは一体でやるんです、基本法制を中心に。しかも、これは法律を公布してから施行まで二年ぐらい時間があるんです。その間にいろんなことをやってもらうんです。
 我々が今問題にしているのは行政機関の方の個人情報、行政機関が持っている、市町村や都道府県が持っている個人情報の扱いについて、今も条例を持ってやっているんですよ、あるいは規程や規則でやっているんです、あるいは要綱でやっているんですよ。
 それを今度は国の行政機関の個人情報保護法ができるんだから、それに合わせてきちっとやってくれと。今やっているんです、もう、官の方は。民を含める基本法制はこれからできるんです。これから体制を整えて二年後から施行するんですよ。だから、それにも十分対応してもらいたいと。そういう意味ではこの五法が通るということは大変な意味があるんです。よくその辺は御理解を賜りたいと思います。
○森ゆうこ君 ということは、この法案が成立した場合には、まだ個人情報保護条例が未整備の地方も条例の整備に向かうと、そしてその内容についてもこの五法案の規定に基づいて行われると、そのように考えてよろしいですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 当然、私どもの方は指導をしまして、地方団体でもそういうもう要請がありますからそこはやってもらおうと、こう思っておりますが、最終的に条例というのは市町村や都道府県の議会が決めるんですよ、御承知のように。だから、それは我々としてはこうやってほしい、いろんな情報提供もします、求められれば指導もします、技術的な助言もします。しかし、最終的にやるかやらないか、そこが地方自治なんですよ。そういうようなのを都道府県や市町村が決めるんですけれども、まあ私は全部やるだろうと、こういうふうに思っております。
○森ゆうこ君 全部やるだろうという、何となく頼りないあれなんですけれども。
 それでは、一つ確認しておきたいんですけれども、「区域の特性」というところがありますが、区域の特性というのはどのようなことでしょうか、確認しておきたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) ちょっと改めて御説明させていただきたいんですが、基本法制は全体としてやっぱり公的部門、民間部門、総じて個人情報の保護が図られるようにすると、全体のレベルアップをするというような考え方に立っております。
 ただ、国の行政機関については、やはり国の行政機関にふさわしいもっと厳格なものを作るということで、法案の第二条で除外しております。除外した上で別途厳しい法律を作るべきということで、例えば国に対しては、第六条なんかに書いてございますように、はっきりと法制上の措置を義務付けているわけです。同様に、地方公共団体の保有する個人情報につきましてもきちっとした制度を作っていただきたいというのがやっぱりこの法律の趣旨でございます。ただし、そこは両大臣からるる御説明しておられますように、あくまでこれは地方の事務としてやっていただくということになると。
 そこで、国としては、法律的に具体的な義務としてやれというような言い方はそういう地方自治の本旨には沿わないわけですから、そこでこういう責務という、責務と義務はどう違うかというのはまた学者的な説明になっちゃうんですが、要は個別具体的な義務としてではなくて、やっぱり国の法律の意思としてはやっていただきたいんだということをまず明確にしているということでございます。
 その上で、今御質問ありました区域の特性とかいうのは、あくまでやっぱりこれは地方自治そのものの哲学だろうと思うんですが、やっぱり地域は地域の実情に即して、地域の自分の御判断でいいものを作っていただきたいという趣旨でこういう言葉を言っているわけで、具体的にどういう場合があるかというのは、これはいろいろな例としては挙げられますけれども、あらかじめこういう場合はこうしなければいけないというような考え方ではございません。むしろ、地方が自らの御判断で自主的、自律的に自分たちの住民のためにいい制度を作っていただくと、そういうことを法律が許容しているんですよという趣旨というふうに考えていただければと思います。趣旨を踏まえてというのは、やっぱりこの法律全体として個人情報の保護のレベルを上げるんだというのがこの法律の趣旨なんでございます。
 したがいまして、先ほど片山大臣なんかからもいろいろ御説明ありましたが、法律のいいところはやっぱりどんどんどんどん取り入れてほしいと。また、地域の実情に即してもっといいものがあるんであれば、それはそれでまた条例に取り込んでほしいという趣旨を考えてこういう規定の仕方になっているということでございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 それでは、この法案の、法律の趣旨にのっとり、全国津々浦々で個人情報保護のための様々な施策が展開されるということを確認させていただいたと思います。
 午前中もいろいろな事例が引き合いに出されておりました。英会話学校はどうするんだ、英会話スクールはどうする、塾はどうするという話がありました。私、この委員会でそういう具体的な例を出していただくのは今回初めてだと思いますが、さっきとほとんど同じなんですけれども、例えば受験予備校というのはいわゆる業界を規制する業法というものはないわけですよね。受験予備校が専修学校、各種学校になっていれば都道府県知事の所管、言わば文部科学省の所管になるわけで、しかし株式会社が受験予備校を設立している場合がありますから、午前中も同じような話がありました、サービス産業ということで、その場合は所管省庁は経済産業省ということになると。受験予備校なんというのは本当に学生の氏名、住所、年齢、家族構成等の様々の個人情報を取り扱っておりまして、個人情報の収集、利用目的などに関しては主務大臣を指定しなければならないということがあると考えられます。
 そこで、具体的にこれは一つ聞かせていただきたいんですが、内閣総理大臣が業法の中に含まれていないところについては交通整理をするというふうに大臣は午前中お答えになったわけですが、例えば受験予備校はだれを主務大臣に指定することになるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 事案が発生するたびに迅速に対応しなければならないと思います。それは、関係各省会議も開きましてこれについて決定をしていくということになりますが、文部科学省の所管しております専修学校、各種学校に該当する場合は文部科学大臣が主管と、主務大臣となることは何ら差し支えないと思いますし、そのような対象にならない場合においては、御指摘のように、サービス産業に該当するという認定があれば経済産業大臣が主務大臣になるようにいたしたいと思います。
○森ゆうこ君 次から次へと、このような例はどうなんですかとか、この場合はどうなんですかという質問が毎日のように出てくるわけですね。なぜだとお思いですか。
○国務大臣(細田博之君) それは若干、この主務大臣というものにつきまして非常な誤解もありまして、主務大臣がすべてを決定するようにまずお考えになっておられる面もあります。
 それは、この法律案自体が、本来、言わば民法上の私人間の様々な問題を、プライバシーの権利をめぐりまして、これを別の言葉で言う方もおられますけれども、そしてそれをできるだけ円滑に処理しなきゃならない、そして典型的に起こる問題につきまして個人情報取扱事業者との間にその請求をいたす、そして開示、訂正、利用停止その他を定めまして、そういうことを本人が関与して進める、そうしてあくまでも個人情報取扱事業者に対して苦情処理をいたしまして、それがどうしても駄目な場合は裁判手続に行くのであります。基本的に民事法において裁判で決めなければならないことになります。
 その前に、しかし、非常に多くの部分は、それを取り扱っている事業者が、いや、これは申し訳ない、過失がありましたとか、こういう不心得な者があって、ここにこうなってしまいましたが、自後、修正いたしますとか、いろんなやり取りで済むわけでございます。
 そこで、主務大臣というのはそれとまた独立いたしまして、非常に大きな問題が生じて主務大臣が乗り出さなければならないような事案、それについては、まず報告を聴取し、勧告をし、命令をし、懲役又は罰金に処するという、非常に悪質なものは民事だけでは処理できないから、そこに一つの救済措置を設けようということで別途の規定が二階建て構造としてあるわけでございますが、主務大臣に非常に大きな力点を置いての御質問が多いために、残念ながらそういった議論に余りにも集中しているわけですが、あくまでも、そういう悪質な事案については直ちに相互に連絡を取りながら、直ちに主務大臣を決め、またあるいは二つの大臣が関与するとしても、実際の対策に入ると、こういうことでございます。
○森ゆうこ君 主務大臣制に対する誤解に基づいて、私たちが何か意地悪で質問しているように何か聞こえるんですけれども、そうじゃないんですよ。(「分かってるじゃない」と呼ぶ者あり)違うんですよ。この法案は主務大臣の裁量の余地が拡大されているんです。それは、その理由は私も初日に申し上げたと思いますが、基本原則が削除されたからなんです。大臣もきっとそうお思いになっていると思うんですよ。
 それで、主務大臣の裁量の余地が広くなったように私は危惧しております。その基本原則の代わりに設けられた「基本理念」が、「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。」と、こう規定されているだけなんですね。
 このことが、次の質問に移りたいんですけれども、決して消費者のためにはプラスばかりではないと私は思うんです。なぜかと申しますと、行政はこれまで産業界に対して、国民に対する、国民の立場に立った権限行使をしてきたとは限らないからです。この法案が仮に成立しますと、主務大臣の裁量の余地が広くなる、そしてこのことによって個人情報を自分の財産としか考えていない産業界の方がより保護されるのではないか、このような危惧を持つわけですが、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(細田博之君) この法律は、あくまでも私人から自らの個人情報を侵されたということで、自らの努力で個人情報取扱事業者に様々なことを要求し、もしもそれが不可能な場合には裁判所に問題を提起していただく法律である、まずこう申して間違いのない法律なのでございます。
 そこに、社会的に見て、どうしてもこれはもう立法的に許せない、それは、何か個人情報取扱事業者が恐れて、だれが自分の主務大臣であろうかときょろきょろと見るような議論もありましたけれども、そういうことじゃないんです。社会的にこれはもう見逃せないような大変な事態が生じているときに、だれがやるかといえば主務大臣であると。そうでなくて、個人が個人のレベルにおいて、それぞれが自分の権利が侵された、権利利益が侵されたという場合は最後まで基本的には訴訟で争ってほしいという、そういうふうな構造をしている法律であることを御認識いただきたいと思います。
○森ゆうこ君 それで、企業と業種ごとの取組の格差ということについてちょっと伺いたいと思うんですけれども、この法案が成立した場合には各民間企業においてそれぞれ個人情報保護に取り組むことになると思います。その際、各企業や業種ごとの個人情報の保護のレベル、具体的にはセキュリティーなどに差が出てくると思われますが、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 正に先生御指摘のとおりだと思うんですけれども、個人情報の取扱いと一言で申しましても、やっぱり業界、業態によってそれぞれ様々な問題があるというふうに考えております。
 正に、そういう様々な業種、業態において個人情報の適正な取扱いというのは確保される必要があるわけでございまして、そのためにはやっぱり各業界等を所管する各、それこそ正に主務大臣が言わば連携、役割を分担して連携しながら全体のレベルアップを図っていく必要があるという意味で、基本的に政府全体として総合的、一体的に推進していく必要があるというふうに考えております。そういう考え方から、基本法の第七条に基本方針というのが、これ何度も出てきておると思うんですけれども、こういう基本方針を策定することになっておりまして、その基本方針の中で全体として政府がどういうことについてそれぞれどういう役割分担をして推進していくかということになろうかと思います。
 具体的には、今御指摘のようなことについては、やっぱり各省庁がその所管する業界について業界の方々と相談しながら統一的なガイドラインを策定することを相談するとか、あるいはもちろん業界団体自体が自主的にやられてもいいわけでございますが、そういうむしろ試みを政府がソフトな形で支援するとか、あと別途、認定保護団体というのはこれは苦情処理で中心に整備することになっているんですが、この認定保護団体においても、言わば参加企業に対しては統一的な処理についての方針みたいなものを定めて普及するというようなことを考えておりまして、そういうようなもろもろの施策を総合的に講じて、御指摘のような趣旨が具体化されるように努力していかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
○森ゆうこ君 私の質問の趣旨はそういうことではなくて、度々申し上げておりますけれども、やはり自己責任ということが基本であるという考え方に立たなければならないと思っているんです。いろいろレベルの差は出てくると思います。もちろん最低限の必要な確保すべき政府としてのレベルというものはあると思うんですけれども、でも切りがないと思います、幾らやっても。そういう意味で、懇切丁寧に、もちろんできる範囲でやられるとは思いますけれども、この世界、片山総務大臣のお言葉をかりれば秒進分歩、やっと覚えました、でございますので、自己責任を基本とする、そのためにはやはり基本原則を一般法にきちんとうたうという必要があると考えます。この点についてどうかということ。
 最後にもう一つ、個人情報保護という初めての取組、そして試み、そして重要な法案であるということについて私も十分承知しております。IT技術の進化を踏まえて適宜見直す必要があると思います。附帯決議に三年ということが付けられております。附帯決議になんて言わないで、この際法案の中に適宜見直すと、情報技術の進化に伴って適宜見直していくということを明記してはいかがでしょうか。
 この点、二点伺って、私の質問を終わります。
○国務大臣(細田博之君) 私ども、確かに基本原則を削除いたしたわけでございますけれども、これは、かといって、第四章の義務規定はしっかりと書き込んでおりますので、別に主務大臣の裁量の余地が広がったとか、そういうことでもございませんし、また、この規定は非常に一般的な規定を盛り込んでおりまして、個人の情報の取扱いによって個人の権利が侵害されたと思われる類型と、それから次の何を対応すればいいかという類型等をしっかりと書き込んだものでありますので、まずこの基本形は変わらないと思っております。
 ただ、思いも掛けないような技術進歩があり得るわけですし、むしろ個人を言わば司法によって救済するのみではとても足りないような事案が多発するというようなケースが今後発生するかどうかということは見守る必要があると思います。
 むしろ、各関係法といいましても、むしろ関係業界ですね、医療にしても、あるいは電気通信にしましても、その他金融等にしましても、この法律というのは実際上非常に効果があると認識していただいております。それは、内部規律をきちっと対応できるようにするための初めての法整備でございますし、また、民間企業からいいますと、すべて、もちろん病院等も含むわけですが、社会における信用問題になっておるわけでございますから、そういった自己責任による対応がかなりできるわけでございます。
 ただ、過去に流出したり、既にどこかに存在しておる非常に問題の情報については、また個別の業界対策の法律を作ったらそれで対応ができるかといえばそうではなくて、一般個人情報処理事業者が既にそれぞれの業界から外になって取引を開始してしまう、こういう問題がございますので、それにどう対応するかというのはまた基本原則に戻りかねないんですね。この法律によってもっと厳しくやるべきだし、むしろ主務大臣が責任を持って、連携を取りながら、しっかりとどう対応するかという議論に立ち戻っていく可能性があると思いますが、いずれにしても、これはやはり法案を、二年以上遅れてしまいましたけれども、我々の基本的な原則、趣旨がそのようなことでございますので、一日も早く体制を整備していきたいと思っております。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 除外事由、民間の方の情報の五十条の適用除外の報道などについて質問をしてきました。出版社がなぜ除外されていないかという質問に対して、人名録を出している出版社があるということでした。しかし、新聞社、多くの新聞社も人名録を出しております。新聞社と出版社でいずれも人名録を出しているのですから、新聞社を除外するというのであれば出版社も除外すべきではないですか。
○国務大臣(細田博之君) 御指摘、事実でございます。
 それは我が地元の大変な、六千百名入っているんだそうでございますが、地元の新聞社が「島根県人名鑑」というのをもう出して……
○福島瑞穂君 短くて結構です。
○国務大臣(細田博之君) はい。ということでございます。
 ただ、この事業自体は、中身を見ますと、全く報道と関係なく、もう最初から最後まで人名録でございますので、この事業は本来の報道の事業から離れて、これはこの会社が出版業をしたと、値段も高いわけで、まあ調べてませんが。そういうふうに、やはり出版であるというふうに認識しておりますので、よろしくお願いします。
○福島瑞穂君 いや、ちょっと説明が分からないんですね。
 つまり、条文上、適用除外では、放送機関、新聞社がそもそも除外になっていますから、人名録を作ろうが作るまいが新聞社の事業になるのではないんですか。
○国務大臣(細田博之君) 報道機関の報道に用する目的では全くないことがはっきりしておるこういう出版物について、しかも個人情報そのものを販売しているものについては一般原則が適用されるわけでございます。
 それは出版においても同じでございまして、ただ新聞社や雑誌社等が出すような雑誌とか新聞その他のニュースレターとか、そういうものはもうごく一部でも報道の部分があればすべてこれは報道あるいは著述等とみなすわけでございます。
○福島瑞穂君 納得がいきませんし、矛盾しています。
 新聞社も出版社もいずれも人名録という形での出版を行うことがある。これは報道の目的に照らさないからこの法律が言う除外には当たらないというのが今、答えでした。だとしたら、出版と新聞社は同じじゃないですか。でも、この五十条の適用除外は、新聞社は除外になっているけれども出版社は除外になっていない。では、ここに、放送機関、新聞社、通信社、出版社その他の報道機関、報道の用に供する目的と書くべきではないですか。
○国務大臣(細田博之君) そういう規定も不可能ではないかなと思っておりますが、最近、出版社が、そういう出版物がもう余りにも多いんです。そういうCD―ROMを売り出したり、専門の個人情報の出版物も多いということで、やはり差があるなと。本来の新聞社の場合と出版社の場合は少し違うということが我々の考え方でございます。
○福島瑞穂君 全く納得いきません。
 この委員会で何度も確認をしてきたのは、一律だと、要するに一律的に解釈ができると、出版社を入れても人名録とかそういう明らかに違う場合を除外しているので一律にできるというのが答えでした。
 だったら、なぜ書かないのか。今日の答弁でも、それは量的な問題だけにしかすぎないじゃないですか。新聞社もたくさん様々な人名録を出しています。量的な差であれば、条文とすれば書くべきですよ。
○国務大臣(細田博之君) そのために「著述」と書いておるわけでございます。
○福島瑞穂君 ますます分からない答弁です。
 そうではなくて、新聞社と雑誌社が、出版社が同じじゃないですか、この委員会で確認して。要するに、人名録とか、明らかに違うものはアプリオリに、無前提的に除外するという答えなわけですよね。だとしたら、それはなぜ書かないのか。
 つまり、報道に対する制限ということで何度も確認をしてきました。それは一律に、明らかに人名録だけ除外するとおっしゃったわけです。出版社も入れればいいじゃないですか。出版社も新聞社と同じように解釈する、条文の作りとしてはそうですよ。
○政府参考人(藤井昭夫君) 恐縮ですが、改めて五十条のその適用除外の仕組みについて御説明させていただきたいと思います。
 報道についての除外の仕方でございますが、これは条文ごらんいただいたらお分かりいただけると思いますけれども、まず主体が上にありまして、それで二段目に目的の行為があります。ですから、報道機関が除外対象の主体になるんですが、丸々報道機関のやることが除外されるかというと、そうではなくて、そのうちの報道目的の行為、報道目的の行為のみが個人情報の取扱いの適用除外になると、第四章の適用除外になるという形になってございます。ただし、その目的も一部でも含まれていればそれは報道目的ですよというふうに、非常に多く作っているわけです。
 それで、まず二点あります。
 報道機関とはそもそも何かと申しますと、新聞社、通信社それから放送局入れていますが、これは例示でございます。これに限るものではなくて、出版社であったって、報道を業としておられる部分、それについてはその限りにおいて報道機関だという、これはるる何度も御説明申し上げておるところでございます。
 したがいまして、出版社でも、例えば報道雑誌、報道が含まれているような週刊誌、こういったものを出版されておられる場合は、これは報道機関なんでございます。それが報道目的の雑誌を現実に出版されておられるということになると、それはもう適用除外されるということでございます。
 それともう一つは、今回、著述というものが適用除外にしておりますが、この著述についても構成は同じにしてございまして、著述を業とする者、これがまず対象となる主体になります。その方の全体が、活動が適用除外になるかというと、あくまでそのうちのやっぱり著述目的の行為、これが適用除外になるということになります。
 そこで、大臣から御説明申し上げていたところは、出版社は総合メディアと言われて、あらゆるジャンルのメディア活動をやっておられるんですが、そのほとんどは報道か、一般的には著述、これは別にジャンルを問いませんので該当するということになると思いますが、ぎりぎり最後に残るものは、単にデータを羅列して販売するような紳士録とか、あと住宅地図、ああいったものについては、これはどう見てもやっぱり報道の要素が一部でも含まれているとか、あるいは著述の要素が一部でも含まれているとは考えられないんで、こういったものは出版社のやっている出版活動の中でぎりぎり除かれる部分でしょうと。それ以外は、逆に既にこの報道か著述かでもうほとんど除かれるんですというような御説明をこれまでしてきたところでございます。
○福島瑞穂君 もしそうであれば、条文上なぜ明記をしないのかというのが私の素朴な質問です。
 今、るる、るる、るると説明をされましたけれども、結局、新聞社と出版社において人名録のような明らかにデータになるものだけ除外をするということであれば、出版社と入れることに何の問題があるんですか。「その他の報道機関」の中に出版社が入れるんであれば、出版社というふうに入れればいいじゃないですか。
○国務大臣(細田博之君) やはり報道機関というのは一つのグループ、概念で、非常に大事でございますので、報道機関と書いた瞬間に、やっぱり東洋経済新報社とかダイヤモンド社とか光文社とかはもう、週刊誌を出しておったりいろいろな雑誌を出しているところはもう「報道」で読めてしまうんですよ。ただし、その中で、報道の用に供する目的でない、正に個人情報を扱うものが出ておりますので、それが除外される。
 それから、企業によって、分かりませんけれども、例えば何とか大学出版会とか、何とか文芸評論社とか、全く報道と関係ない文芸その他を、フィクションとか翻訳とか、そういうものを一生懸命出しておられる、専ら出しておられるところは二号の「著述」で読むと。
 そういうふうな、報道と著述に分けて、ただ、報道の中にそういう部門があると。それから、出版でも「報道機関」で読めるものは一号、それからそうでないものは二号と。報道というものをしっかりと表に出すためにそうなったということでございます。
○福島瑞穂君 いや、説明を聞けば聞くほどちょっとよく分からなくて、ずっとこの委員会で確認してきたことは、報道に主眼があるというよりも、そうかもしれませんが、報道を広く解して、そして人名録などのものを作っているのを除外するとずっと答弁を繰り返しています。
 だとすれば、出版社でもそういうものを出しているのは一部なわけですから、新聞と雑誌は総合メディアという関係では量的な差にしかすぎないわけですから、なぜ条文上書かないのかということについては分かりません。
 それは、是非、条文上はきちっと入れていただく方が解釈としては間違いがないというふうに考えております。
○政府参考人(藤井昭夫君) 実は、その出版社という言葉を条文に入れるかどうかというのは、もう政策判断の問題ではなくて立法技術上の問題だと考えております。
 具体的に申しましたらどういうことかと申しますと、五十条の第一号に書いているのはあくまで例示なんでございます。例示でございまして、要は、報道機関にふさわしいような例示を書くことによってより条文の内容を分かりやすくするという趣旨のものでございます。
 そこで、新聞社とか通信局とか、それから放送局というのは、これは従来報道機関というふうにとらえられていて、もちろん中には報道以外もやっておられる方もいらっしゃいますが、全然問題はないんですが、問題は、出版社という言葉を報道機関の例示として入れるということがどうかと、立法技術的にふさわしいかどうか、その程度の話だろうと思っておりますが、そこは先ほど総合情報メディアだと申し上げましたことがまたかかわってくるわけでございますが、出版社というのは現実には文学書、それから娯楽書、それから専門書、それからいろいろなジャンルのそれこそ雑誌、文庫本とか、そういうようなのを出版しておられます。
 確かに報道をやっておられる出版社もいらっしゃることは間違いないんですが、だけれども、報道機関の例示として出版社を書くということについてはやっぱり普通の国民の方はすぐれて違和感が感じるんじゃないかというようなことで、特段、これも従来から国会等でも御説明しておるところなんですけれども、報道機関には報道をやっている出版社が含まれるんだということを御答弁申し上げているところでもございますし、また今回、衆議院の方での附帯決議でももっと明確にしろというような御指摘もいただいているわけで、それは機会あるごとに報道機関には出版社が含まれるんだということを明確にしていかなければいけないというふうに考えておりますが、いずれにしても、その例示として挙げるのに適切かどうかというたぐいの問題だというふうに御理解いただきたいと思います。
○福島瑞穂君 そこまでおっしゃるなら、むしろ書いた方がすっきりすると思いますが、それで次の質問に移ります。
 例えば、労働組合やNGOが国や地方自治体の、特に国の幹部の天下り先を調査をしようとする、そのデータベースに関してはこの個人情報保護法案はどのようにかかわるのでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 御指摘のような事例につきましては、公表に当たりまして役職名や省庁名により発表されるなど、個人情報に配慮した形で実施されていると理解しておりますので、いずれにしても本法制で問題になるとは考えておりません。
 なお、一般論で申せば、御指摘の労働組合が一定数、五千人分以上の個人情報をデータベース化し事業に用いている場合は個人情報取扱事業者に該当するということになりますけれども、そのようなところはまずないのではないかと考えております。
○福島瑞穂君 行政情報の、済みません、民間の方で、具体的に例えばこれは、実は主務官庁が具体的にどういうことに関与するのかという具体的なことのイメージがわかないので、ちょっと教えてください。
 妊娠している間、ベビー用品のダイレクトメールが送られてきた、これは一体どこから来たのか、なぜ私の妊娠が分かったのかというときに、これをどこか苦情処理の方に言った。どういう調査があるんでしょうか。その業者を呼び付ける、調査をする、そういうことになるのでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 委員の御質問は、まず行政機関の苦情窓口について触れられましたが、基本的にはむしろダイレクトメールを出版、発行、発刊した事業者に対して、今回、開示請求権とか本人関与の仕組みができましたので、まずそこに請求していただくと。それで、自分のデータがそのダイレクトメール業者のデータベースに入っているのかどうかというのを見付けていただくというようなアプローチの仕方があろうと思います。
 それで、どうも話を聞いてみたら、自分のデータがどうも違法な形でダイレクトメール業者が取得したらしいということになると、その事業者に対して法律上は利用停止を求めることもできますし、あと、それで事業者の窓口、苦情処理窓口なんかで相談いただいて、事業者がなかなか応じないというような場合は、それこそ最寄りの行政苦情窓口、そこに言っていただくということも可能かと思っております。
 あともう一つ考えておりますのは、なかなか、事業者の苦情処理窓口に直接話を持っていっても、大臣の御説明のとおり、優良企業の場合は結構それで十分対応してくれると思いますけれども、そうでない場合は、これはやっぱり行政苦情窓口に行っていただくなり、あるいはもう一つ期待しておるのは、なかなか事業者自らの処理であれば信頼できないというような消費者側の思いもありますので、事業者側もできれば認定保護団体というのを作ることにしているんですけれども、そういう言わば民間でありますけれども第三者的な苦情処理機関に相談いただくというような形で対応していただくということになろうかと思います。
○福島瑞穂君 公選はがきがやってきた、しかしその候補者を私は知らない、一体どこから来たのか、推薦人の名前もない、NGOの名簿なのか集会のときの名簿なのか、こういうのはどういう問題になるんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 発出者が全く分からないような場合ですか、それとも……
○福島瑞穂君 候補者は分かるけれども、どうして……
○国務大臣(細田博之君) だれがどのように出したかは分からないわけですね。
 これは、まず選管等にやっぱりおかしいんじゃないかということは言っていただくと同時に、候補者の方に照会をしていただくと。というのは、その通知からは直接は候補者の事務所しか分からないわけでございますので、そこから始めていただきたいと思います。
○福島瑞穂君 もちろん個人情報ということは重要なわけですが、でも、そうすると公選はがきが来たときに、この候補者、私は直接知らないわとなると、そうするとみんなその事務所に問い合わせると。どこから私の名簿は来たのか、なぜ私を知っているのかということになりますね。その候補者の事務所あるいは候補者がそのことに答えない、あるいは答えられない、分からない、答えたくない場合はどうなるんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のケースでも、まず、そのダイレクトメールを発行されたところの連絡先というようなのは通例書いてあると思いますので……
○福島瑞穂君 ダイレクトメールじゃなくて公選はがきです。
○国務大臣(細田博之君) 選挙をしている者はよくそういう経験ありますけれども、事務所とか、公選はがきですから名簿管理等によりましてあて名を書きます。
 その場合に私どもがしておる対応は、私はあなたからこういうはがきをもらういわれはないということを言えば一種の訂正になるんですが、これは失礼いたしましたと、私どもの方で関係先にも、破って、以後通知が行かないようにいたしましょうということがこの本来の精神から見た対応であります。
○福島瑞穂君 削除してくれという、訂正してくれというのはいいんです。ただ、有権者が、あるいはさっきのダイレクトメールももらった人間が、入手経路を知りたい、選挙事務所に私の名前は一体どこから漏れたのかということをとことん追及をする、これはどういう問題になるんでしょうか。それは言わないといけないんですか、この法律では。どうなるんですか、調査が入るんですか。
○国務大臣(細田博之君) 基本的には、政治団体でございますから、これはこの個人情報保護の対象になるかどうかという問題だと思いますけれども、公選はがきの場合はちゃんと法律に基づいて出すわけですから、候補者が言わば政治団体で出すということでいいと思うんですが、ただ、あえて言えば、こういう場合にもしも苦情があったりした場合には、私の事務所でも、いや、実はあなた様はこういう方から御推薦をいただいておりましてということは事実上言っております。
 ただ、法律上、政治団体でございますから、そういうことを言う義務はないかと思いますけれども、その方が有権者に対しては親切だと思いますし、第一、そう嫌われちゃ困りますから、実はほかでもございませんと、こういう御紹介、だれだれさんの御近所の方の御紹介でお出しいたしましたが、もし御希望でしたら以後廃棄いたしますというふうに私の事務所は対応しております。
○福島瑞穂君 どうしてこういうことをお聞きしたかといいますと、政治団体というのをこの間定義をお聞きしたら、政治家で、これは候補者も入るとしても、もし政治活動の自由を保護するのであれば、例えばNGOと例えば政治家とどう違うのか、候補者になったらじゃ政治団体なのか、全く一人でもどうなるのか、この辺の区別が実は分からないというふうに思うんです。もし、法の趣旨が政治活動の自由を保障しようというのであれば、なぜ政治団体というのみに限るのかということのこの定義がよく分かりません。
○国務大臣(細田博之君) 公選法上の政治団体を引用しているわけですが、公選法の政治団体というのは非常に特別でございまして、一人の政治家、それをめぐる一つの言わばグループがあればそれを政治団体としておるわけでございますので、例えば福島議員を取り巻く一定の支持者の一群といいますか、皆様は政治団体になるわけでございますので、いや、公選法じゃない、政治資金規正法上の概念でございますけれども。したがって、この数の多寡は問いませんし、それが一人の政治家であっても政治団体になるわけでございます。
○福島瑞穂君 政治活動の自由にということの保障であれば、政治資金団体の政治家だけ、候補者だけではなくて、政治活動をやるという意味ではNGOその他も当てはまるようにすべきではないかという点についてはどうですか。
○国務大臣(細田博之君) 政治資金規正法には書いてありますが、それは最初に政治団体と書いてあって、後から政治資金規正の話がずっとつながってくるんであって、もしNPO法人が、あるいは法人格がなくてもいいんですが、これが政治活動しておれば政治団体になります。
○福島瑞穂君 例えば、今度は行政情報の方にお聞きします。自己の刑務所の保護房記録を出してくれといった場合、この法律に基づいてこれは出てきますか。
○政府参考人(松田隆利君) 自己の保護房の記録でございますか。
○福島瑞穂君 はい。
○政府参考人(松田隆利君) まず、開示請求等々の対象、そもそも適用除外になっているものを申し上げますと、四十五条で、いわゆる個人の前科等を示すもの、裁判、「刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行、更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報について」、これは開示、訂正、利用停止請求の対象外になっております。
 したがって、こういうものに該当しなければ、原則として開示請求等の対象になるということでございます。
○福島瑞穂君 では、自分の保護房記録を出してほしいというのは、四十五条の刑の執行に当たり、適用除外となるということでよろしいですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 その具体的な記録の詳細について私どもちょっと承知をいたしておりませんので、ちょっとお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○福島瑞穂君 これは、私、昨日かおととい、情報公開法にのっとって開示あるいは不開示が争いになったケースとしてお聞きをしているものなんですが、ただ、刑の執行に当たるかどうかについて、じゃ、今思って、解釈でこうなるんじゃないかということでも結構です。
 私は、四十五条の適用除外は削除すべきではないかと、要するに自分の情報なわけですから、請求できて当然じゃないかと思っているのですが、保護房の記録を出してほしい、これはどうですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 この新しい行政機関個人情報保護法案は、各行政機関の長が執行するということになりますので、個々の判断は各行政機関の長が行うことになりますので、先ほど申し上げましたように、個々の、個別の個人情報についての御指摘についてはちょっと差し控えさせていただきたいわけですが、今、二番目に御指摘になられましたこの第四十五条を削除すべきではないかと、本人からの請求であるのだからということでありますが、この規定を置いているゆえんは、先ほども申し上げましたように、個人の前科等を示すものでございまして、これを開示請求の対象といたしますと、例えば雇用される場合等において、本人に開示させることによって前科のチェックに利用されるというようなことで、本人の不利益になるおそれがあるということでこういう規定を置いているわけでございます。このような規定は、諸外国の個人情報保護法においてもそういう規定が置かれているところでございます。
○福島瑞穂君 今までもそういう説明をされているんですが、根本的におかしいというふうに思うんですね。
 例えば、自分で裁判を起こしたい、あるいはどうなっていたかというときに、自分の情報を知りたい、自分の処遇を知りたいというのは当然で、これが出てこなければいろんな立証ができないということもあるわけです。それだったら、いや、戸籍や住民票が雇用の場合に差別に取り扱われる可能性があるから戸籍や住民票を本人が取れるようにするのはおかしいというぐらいおかしいわけで、むしろ前科前歴を雇用の場合に出させることそのものを規制すべきであるというふうに思います。
 ところで、ちょっと時間がなくなってきてしまいましたけれども、昨日、私も、そして宮本委員も質問をしました警視庁における個人カードですが、これについて、これは警視庁となっていますからそもそもこの行政情報の範囲外になってしまうわけですが、もし警察庁に同じ情報があった場合、個人がこの情報、請求した場合に開示、これは開示されるんですか。
○政府参考人(松田隆利君) 今、先生お尋ねになられましたように、行政機関、個人情報保護法案は国の行政機関を対象にしていますので、地方の機関、地方自治体、地方公共団体等の個人情報は対象にならないわけであります。
 昨日のその資料がどのようなものであるか、私どもも内容を承知いたしておりませんのでお答えは差し控えさせていただきたいわけでありますが、この法案の四十五条に該当をしなければ開示等の請求はできるということでございます。
○福島瑞穂君 これは四十五条の規定に適用がありません。刑事事件やそれではありません。個人の様々なデータですから、ではこれは開示請求できるということですね。
 ところで、この問題について行政庁が持っている重要な個人情報が、これは捜査だけとも限りなく、捜査のためではなくて様々な情報が本当に入っています。わざわざ捜査のためにということに強調したのは、令状請求、送致資料等に添付しないこととわざわざ書いてあるぐらいなわけです。これについて、このような情報があり、かつ流出しているということが極めて大問題で、行政庁からの重要な個人情報が流出するということについてきちっとチェックできるのかできないのか、実態はどうなのかということについて決着を付けない限り、この個人情報保護法案、成立させるわけにはいかないというふうに考えます。
 これについて、立法者というか、総務省が担当なわけですけれども、このことについてきちっと調査、存在するのかしないのか、調査をきちっとしてくださるのかどうか、お願いいたします。
○国務大臣(片山虎之助君) 個人情報だとすれば、それが流出することがあってはならないんですね。この法律は、総務大臣への事前通知とかなんとかということは別にして、事前通知しようがしまいが、この法律に基づいて管理、処理しなきゃならないんですよ。
 だから、仮に委員が言われるカードが警察庁で、あれは警視庁だそうですからね、警察庁で、それで私もカードの中身知りません、私も、あれがいわゆる個人情報に該当するとすれば、それが犯罪捜査のためで総務大臣への事前通知が必要ないとしても、ないとしても、それは法令に基づいて目的内で必要最小限度にそれは管理し、処理されなければならないんで、それが流出するようなことがあってはならないですよ。この法律の精神からいってそれはもう完全に逸脱するわけでありますから、それはそれぞれの行政機関がちゃんと中を点検して、一切そういうことがないようにすべきであります。また、それは私どもの方でそういうことがあれば意見を言います。
○委員長(尾辻秀久君) 時間が参っておりますので、端的に願います。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 今、大臣が最後に意見を言うというふうにおっしゃいました。このことについて調査がきちっとするということが出ておりませんので、きちっと調査をしてくれるように私から強く申し上げます。この件は極めて重要なので……(発言する者あり)いや、これは個人情報保護法案を成立させる上で重要な事案ですので、きちっと集中審理をしてくださり、調査もしてくださるよう強く要求して、私の質問を終わります。
○小林温君 自民党の小林温でございます。
 月曜日に特別委員会が設置になりまして、かなり昔のことのように思えるぐらい長い時間を掛けて議論させていただいております。両大臣におかれましては、特に毎日お付き合いをいただいておりますことに改めて敬意を表したいと、こういうふうに思うわけでございます。
 それで、この個人情報保護法案、旧法が提出をされたのは二〇〇一年の通常国会でございまして、私がまだ議員になる前のことでございます。今までの議論を私もしっかりとたどらせていただいて、今日質問をさせていただきたいと、こういうふうに思います。
 一つに、メディア規制法案だということで、過去の国会においてこの法案の成立が今まで遅れてきたということもあるわけですが、その部分についてはかなりの部分収まったというふうに認識をしております。
 ただし、私、この法案の本来の意味を個人的に解釈をさせていただくと、高度情報化ネットワーク社会において、好むと好まざるとにかかわらず、それぞれの個人情報というものがネットワークを通じて交換、提供されていく、そのことによって果たして個人あるいは企業あるいは政府というものは、経済上、社会的な便益、利益、つまりベネフィットと、その乱用によるコスト、リスクというふうに言い換えてもいいと思うんですが、これを正当なルールが定められた中でどういうふうにとらえていくべきかと、こういうことがこの法案を議論させていただく意味だと、私はこうとらえさせていただいているわけでございます。
 しかし、残念なことに、メディア規制法ではないかという議論もありました。あるいは住基ネットの問題、それから各種の行政機関の情報の漏えいといった問題が議論の最中にタイムリーに出てしまった部分もあって、コストとかリスクというマイナスの面にのみスポットが当てられて今まで議論が進んできたという感が私はやっぱり否めないわけでございます。やっぱり情報化社会においては、この個人情報の流通というのは不可避的に起こるものではなくて、我々がリスクとそれからベネフィットのバランスを主体的にどう考えていくかという、こういう対応の仕方が必要なわけで、正に新しい、ある意味でいうと、メディア社会における我々の文化の在り方というものも実はこの法案を切り口にして考えていかなければいけない、こういうふうに私は思うわけでございます。
 そんな中で、一つ法案の中身について確認をさせていただきたいことがあるんですが、三十六条でございます。これは主務大臣の規定があるわけでございますが、この一項で「個人情報取扱事業者が行う個人情報の取扱いのうち雇用管理に関するものについては、厚生労働大臣及び当該個人情報取扱事業者が行う事業を所管する大臣」が主務大臣として認定されるというわけでございますが、これは私の読み方でいきますと、雇用管理というのは、例えば会社の従業員の方の人事情報であるとか、あるいはその会社に採用を希望されている方の採用情報であるとか、こういうものだというふうに私自身はとらえているんですが、こういう解釈でいいかということと、この情報についても本法案の規制対象になるのかどうかということについて、これは細田大臣でございますか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 本法案におきましては、第二条第一項の規定によりまして、「「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、」「特定の個人を識別することができるもの」と、広く定義されておるわけでございます。
 したがいまして、お尋ねのような従業員の人事関係の個人情報、採用予定者の個人情報などの人事情報も本法案の個人情報に該当いたします。ただし、本法案の対象として、こうした個人情報をデータベース化している、そしてそのデータベースを事業の用に供している、適用除外の政令で定められる一定数、例えば五千人を想定しておりますが、以上を用いているというその要件に合致している場合に個人情報取扱事業者に該当して、この法律の適用が種々行われるようなことになっておりまして、御指摘の事例がそれらを満たす場合には、第四章、義務規定の対象になるわけでございます。
○小林温君 でありますれば、その従業員五千人以上の企業がどのぐらいあるかということも一つありますが、採用ということを考えますと、例えば従業員が二十名、三十名でも人気のあるところは年に千名の志願者がいたりするわけで、五千を容易に超える企業の数というのはかなり実はあるんじゃないかと思うわけでございますが、そうなると、厚生労働省とその元々の所管の省庁、二つの主務官庁ができてくる企業が実はかなりあるんだろうと、こう思うわけで、このことについて私はどうこう言うつもりはございませんが、ただ、一つには、今まで年功序列、終身雇用型の企業文化のあった日本において、余り例えば人事情報がどこかに行くということはそれほど問題にならなかったのかもしれませんが、これから雇用の流動化等を考えたときに、この人事情報データベースというものが非常に大事になるであろうと。
 それから、志願者、例えばある企業に勤めたいということで面接をしたりしてでき上がったデータベースというものは、かなり個人のセンシティブな部分についても記載されたものが多いと思いますので、この辺の取扱いについて、今までの議論の中でどうしても企業と顧客という関係からこの法案が議論されがちでしたが、企業とその従業員という関係においても、是非、厚生労働省始め、この部分についての取扱い、積極的に行っていただきたいと、こういうふうにお願いを申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、住基ネットの件に少し触れさせていただきたいと、こう思います。
 住基ネットは、一九九九年に住基ネット法が成立して、その際に、ネットワーク上を個人情報が行き来する、個人情報の保護が必要だということで、二〇〇一年の個人情報保護法、旧法の提案につながったわけですが、この間に、先ほども述べさせていただいたようないろんな議論があったわけですね。そして、結果として、昨年の住基ネットの第一次稼働のときに、九九年のときには実は議論されなかったような、例えばネットワークのセキュリティーの問題でありますとか技術仕様の問題等が議論されるに、順番が実は逆になって、至ったわけでございます。
 元々、この住基ネットというものは、ネットワーク時代において行政サービスの質をどうやって向上させるかということで考察されたネットワークで、本来であれば、これはやっぱり官民の間でいかに情報の流通をしっかりとリードできるような、ネット社会の中でモデルとなるシステムとして構築できるかということが課題だったわけですが、実はそのプライバシーの問題が、先ほど来申し上げているように、余りにも意識されたがために、実は住基ネットというのは専用線でVPNを使った閉じられたネットワークになってしまったと。これは別に総務省が悪いとか片山大臣が悪いということじゃなくて、結局、議論がそういう形にしてしまったということなんだろうと思います。
 やはり、ただ、私も少し専門的な立場で言わせていただくと、セキュリティーを物理的に守るというのは、これはかなり難しいことでありまして、例えばデータを暗号化してインターネットで流通させても、ある情報についてはそれほど危険性は実はないわけでございますので、重要なことは、その情報の性格に応じてどの程度のセキュリティーを保障していくかということが妥当かということをランク付けしていくということであって、大変申し訳ないんですが、今お金のやり取りもインターネット上でできるという中で、今の四項目の個人情報を専用線でやり取りするということは、これは私、本当はもったいないことだというふうに思います。
 そういう意味ではもっと前向きに、この住基ネットでせっかく専用線をつないだLGWANもあるという中で、いかに効率的な情報の流通のさせ方ということができるかということを今後の課題として我々は是非考えていきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 それで、片山大臣若しくは総務省の方にお伺いをしたいんですが、今少し触れさせていただきましたが、個人情報保護法案と住基ネットにおける個人情報保護措置との関係、簡略にで結構でございますが、少しお聞かせいただきたい。
 それから、個人情報保護法案が未整備だということで、いわゆる住基ネットの接続を一部も含めて拒否していた団体が六団体、地方公共団体があったかと思いますが、この地方公共団体については、幾つかのところはこの法案が成立すれば前提条件ができるということになると思うんですが、この六団体についての参加の見通し、接続の見通し、どういうふうに今総務省でとらえられておられるか。あるいは、更に接続しないという場合にどういった対応をされるのかということについて少し御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 十一年に住基法の改正で住基ネットの仕組みを導入したわけですね。その際に、審議の国会の過程でセキュリティーやプライバシー保護が相当議論になりまして、その結果、個人情報保護法を作ろうと、こういうことになったわけですよ。議員修正で附則に入ったんですよ。そこで、十三年に出したんです。十三年のかなり早い時期に、二月か。ところが、なかなか御審議いただけなくて、御審議が始まったのは去年からですからね。それで、今回こういうことになったわけでありましてね。
 私はそのときから何度も言っているんですけれども、住基法というのは、住基法で完結していろんなことをやっているわけです、セキュリティーやプライバシー保護を含めて。だから、個人情報保護は要らないんだと。要らないんだけれども、とにかく世の中全部に個人情報保護の網をかぶせるということが必要なんで、それが心理的にも大変いいことなんで、だから個人情報保護法はそういう意味では要ると。
 それからまた、行政機関全般に対して電算処理の個人情報保護法だけあるけれども、これも広げないかぬと。更に住基法だと。こういうことで言ってきましたので、この法律が通れば、私はそういう意味では大変前進だと、こういうふうに思いますし、言われるとおりなんですよ。公開四情報に番号、住民票コードと変更情報だけですから、それをもう厳重に厳重にやりまくっているんですよ。しかし、それはそれで悪いことじゃ私はないと思うけれども、正に委員が言われるように、コストベネフィットからいうと何だということになるんです。だから、今後、第二次稼働でいろんなことに使っていきます。
 ただ、これは民と一緒にということは今のところ考えておりません、全く。官だけでいろんな用途を拡大して安全にやっていくと、こういうことは基本的に考えておりますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
 それで、今五団体なんですよ。横浜は、これは段階的加入ということですから、これはちょっと外した方がいいんで、あとは五団体ですが、これはそれぞれお考えがあるんですよ。いい考えとは必ずしも思えないところはあるんだけれども、お考えがあるんで、だからそれはそれで、住基法も去年の八月に始まったんですから、私はよく話し合えと、ずっと話し合ってきているんですよ。そのときの理由の一つが個人情報保護法制が未整備だと、こういうことですから、今回整備していただくと、それからいろんなことをそれに基づいてやるわけですから、そうなると、嫌だ嫌だという理由がなくなるんですよ。今、違法なんですよ、未加入ということは。だから、保護法制ができて違法状態を続ける、地方団体がもう違法状態を率先してやるようなことはこれは困るんで、違法状態は解消してもらおうと思っております。
○小林温君 ありがとうございます。
 今、大臣からお答えをいただきましたように、もったいないと私思います。一円の例えばお金を金庫に入れるのに百万円の金庫で囲ってしまうと、こういうことがあるわけで、正にセキュリティーのランクというのはその守るべきデータの重要性に応じて決めていくという姿勢を是非これからまた引き続き御検討いただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 続いて、今セキュリティーというお話も出ておりますので、そのセキュリティーについて少しお話を伺いたいと思うんですが、今日もセキュリティーという言葉がいろんなところで飛び交っております。
 例えば、今年の一月に、御存じのように、スラマーワームというコンピューターウイルスの一種が原因で世界各地でネットの障害が起きました。韓国はこれ非常に大規模な通信インフラの障害が起こったわけですが、その他いろんなセキュリティーに関する問題ということが世界各地で今散見されるわけでございます。
 一方で、やはりインターネットの普及は目覚ましく、そして家庭でも、今、日本ではe―Japan戦略で、常時接続でブロードバンド回線を利用している人がもう急増しているという、こういう状況もあるわけですが、ただ、先ほど来申し上げているように、そのセキュリティーに関しての漠然とした不安が個人にもあるいは社会にも蔓延しているわけでございます。ですから、私は、やはりそのセキュリティーというものの言葉の持つ意味について、いま一度しっかりと我々は切り分けをして認識をしていくべきだというふうに思うわけです。
 例えば、どういうことがセキュリティーと言ったときに、皆さんの頭に思い浮かぶか分かりませんが、今回テーマになっている個人情報の漏えい、それから例えばサイバーテロというようなものまで実は脅威としてとらえられて、それに対するセキュリティーをどうするかと。かなり混在した形で今考えられているわけでございますが、やっぱりITの推進とか危機管理ということを考えると、このセキュリティーの体制を国家としてどう取っていくかということは、国全体のやはり課題としてこれ統一的に扱う必要があるんだろうと思います。
 アメリカにおいては国土安全保障省、ホームランドセキュリティーという新しい省が九・一一テロを受けて実は創設をされ、危機管理あるいは情報セキュリティーについての統括的な役割を実は今担っているわけでございます。
 こういう部分も含めて、まず私の質問は、先ほど来申し上げておりますように、政府としてのリーダーシップ、情報セキュリティーの確保について政府としての現状認識と今後の取組についてお話をいただければと思います。
○国務大臣(細田博之君) ただいまセキュリティーにつきましての大変すばらしい御意見をいただいたわけでございます。
 昨日、IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会、出井会長を中心に十六人の委員の方にお願いしてできましたIT基本戦略Uの案を総理官邸のIT戦略本部の会合で総理も御出席になって協議をいたしまして、総務大臣も私も出ておるわけで、私は司会役でございますけれども、その中で様々な、IT基本戦略Uというものを打ち出したわけでございます。
 Tは、言わば環境整備、教育をし法整備をすると、そういう体制でございますが、Uは本当に二十四時間、三百六十五日、国民にとってすばらしい成果のあるような効果を打ち出すべきであるということが基本でございますけれども、詳細は避けますけれども、その中で情報セキュリティー政策の一層の充実を図るということで、この体制を整備しようと。二〇〇五年までに様々なウイルスとか不正アクセスとか攻撃とか、そういう被害を最小限にするための技術的ガイドラインの策定、専門的な監査の実施等を行うための体制を確立しようとか、あるいは実現のための方策として必要な法制度の検討を行うと、こういうことが載っております。
 実は、それだけではなくて、私のところで実はセキュリティーというのは今後どういうふうにしたらいいかということについて、京都大学の長尾先生とか東大坂村先生、また東大におられて総務省におられた月尾先生、あるいは辻井先生、土居先生ほか何人もの専門家と協議をしてまいりました。
 そこでは、国家が関与すべき問題と、その他の問題を分ける必要があるという強い御意見があり、セキュリティーも深さで分け、浅い部分には民間で任せ、IT戦略本部は深い部分を十分研究して政策に反映すべきであるというようなこともございますし、もちろんオープンソフトの問題も提起されており、また、セキュリティーの中心課題といたしまして、物的及び情報を含むセキュリティー全体の中心的組織を内閣官房に作る必要があるのではないか。独立専門機関で米国のFIPSのような基準を作る必要がある。本件は政府が主導権を取るべきである。情報セキュリティーについては情報センター、支援センター、研究センターを設置し、これらを連携させる。暗号理論とコンピューターサイエンスの両方が重要である。ただ、センターを作る場合、二十四時間戦う人が不足しておる。IT利用企業の意識も低い。侵入できたといっても事の重大さが理解できない。啓発を継続する必要がある等々。
 本当に今真剣にこの検討が行われておりまして、現在、情報セキュリティー対策推進体制では情報セキュリティーの専門の担当の推進室がございますが、非常に手薄でございますので、防衛問題を含めて、この体制を来年度飛躍的に充実させ、もちろん民間部分、行政の部分、防衛の部分等に分かれていかなきゃなりませんし、またソフトウエアの開発等も取り組んでいかなきゃなりませんが、抜本的に今見直しておりますので、やや長くなりましたが、委員の御指摘のとおりでございますので、是非また御理解も賜り、お知恵も賜りたいと思います。
○小林温君 今、昨日のIT戦略本部の議論についてもお触れをいただきましたが、私も資料をいただきました。
 こういう一文があるんです。情報セキュリティーの重要性を各個人が認識し、役割を担うという情報セキュリティー文化を定着させると。これは正に、先ほど来申し上げているように、個人がやはり自分に関するデータあるいは他人のデータに触るときにも、その自分の立場、役割をどう認識できるかということに懸かってくるという意味で、正にこの情報セキュリティー文化をこれから根付かせていただく上でIT戦略本部並びに細田大臣に負うところは大きいと思いますので、是非これからまたよろしくお願いしたいと思います。
 今、情報セキュリティー対策推進室のお話にも触れていただきましたが、五名とか九名でやっているということでございます。
 先ほど申し上げたアメリカのホームランドセキュリティーは、実は千人以上の体制でこういった部分のアメリカのナショナルポリシーを今作っているわけでございまして、この辺の体制の強化については是非もう早急に、これはまた片山総務大臣にもお願いしながら、内閣の重要課題として進めていただきたいと、こういうように思います。
 そこで、国全体で、例えば国の中のセキュリティーということを考えた場合に、政府の部分もあります、それから先ほど来話題になっている地方公共団体もあります、民間もあります。これは私の私見でございますが、情報セキュリティーということを考えたときには、これはやっぱり地方分権という考え方はもしかするとなじまないんじゃないかという気がするわけでございます。
 先ほど同僚議員からの議論にもありましたが、例えば国が、ある一定の指針を基に地方公共団体が例えばITの調達を行う、ここの部分にも実は大変な問題もあるわけでございますが、そのシステムの問題は、これから三位一体の地方の財政の問題、改革が進んでいけば、これは地方自治体が自分が損するだけでございますので構わないと思うんですが、少なくともセキュリティーの問題については、どこかに脆弱な部分があると、そこから侵入されるということがあって、これが官民問わず国全体のある意味では脅威になり得るわけでございます。
 ですから、ネットワーク自体、あるいは端末情報は、これはもう地方分権でどんどんどんどん住民の方に近いところに置いていただいて結構なんですが、セキュリティーのレベルを確保するためのセキュリティーポリシーというものは、これはやっぱり国が正に危機管理の感覚を持っていただいてしっかりと体制を作り、そのポリシーを進めていっていただくということが必要だろうというふうに思います。この点について、細田大臣の御見解をいただければと思います。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃるとおりでございまして、セキュリティーのレベルというのは、低いところがあればそこから穴が空いて水が漏れてしまうわけでございますし、これから地方公共団体と国がそれぞれ別々に情報を処理しても何の得もないわけでございます。
 国家の効率性ということから見ると、そういう問題があるわけでございますので、もちろんそこで個人の権利を守る、情報を守る、そういうことは必要でございますけれども、いかに効率的な政府を、地方公共団体の連携を実現するかということも大変大事でございますので、私はIT担当国務大臣でございますので、その点は是非配慮をし、かつ地方公共団体にも声を掛けていきたいと思いますが、この問題になりますと行政を管理するというお立場と地方自治を担当しておられるというお立場で大変総務大臣に、あるいは総務省に大きな役割がありますので、是非連携してやっていきたいと思っております。
○小林温君 先ほど同僚議員の質問で自治事務だからという話もあったわけでございますが、私は、先ほど申し上げましたように、セキュリティーに関しては、地方分権じゃなくて、是非これは中央集権型でしっかりと確保していただきたいと、こうお願いを申し上げるところでございます。
 今の部分とも絡むんですが、片山大臣に、先ほどもお話に出ておりました総務省が実施した住基ネットのセキュリティーチェックの調査が行われたと。で、これ報道によりますと、三点満点で二・四八点、これ百点満点に直すと八十三点ぐらいだと思いますが、私、これ百点じゃないといけないという議論は、また最初の話に戻りますが、全く何も生まないと思うんです。仮に八十二点だとしたら、それをいかに百点に近づけていくかという努力をそのプロセスを追ってできるかということと、仮に何かが起きたときに、その被害を最小限に抑えるためにどういった対応がしっかりマニュアルとして整備されているかということが正にセキュリティー対策においては肝要な必要なことだろうというふうに思います。
 そこで、大臣に、この先日行った住基ネットのセキュリティーチェックの結果についてどのように御評価をされているか。これを受けて、今後第二次稼働、これも繰り返しになりますが、間近でございますので、どういうふうに対応されているか、意気込みについてもお聞かせをいただければというふうに思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、セキュリティーは地方分権より中央集権になじむと、こういう話ですね。まあセキュリティーを低くしようなんてだれも思わないでしょうね。セキュリティーは上の方がいいに決まっている。人間の健康と同じですよ。健康にしようと、嫌だ嫌だ、中にはおるのかな、大体私はいないと思うんで、ただ、そこでやり方なんですよ、小林委員。私は、知識的集権、権力的分権という議論があるんですよ。だから、正にセキュリティーなんかは知識的には集権をして、しかしそれでやるときは各地方に納得をさせて、それでやらせるんですよね、そこの権限で。そんなもの権限かどうかという議論ありますけれども。だから、大変重要なお話いただきましたんで、今後セキュリティーのレベルを上げるについて、いろいろよく検討をさせていただきたいと、こういうふうに思います。
 それから、私は、このチェックの自己点検を更に再チェックするんですけれども、九割もいい点取ったと私は思っているんですよ。どんな試験でも九割が満点というのはいませんよ。だから、今正に小林委員が言われたように、その十分でない一割とか何割をどうやって引き上げるか、これをもう中心に検討していきたいと思います。詳細なあれを取っていますから、個別に指導していきたいと、こういうふうに思っております。
○小林温君 是非よろしくお願いします。
 この個人情報保護法案の成立後、是非私は総務大臣にお願いしたいのは、例えば地方の公共団体のデータベースを管理する職員の方のレベルアップを図っていただくと。そのためには、これもまた自治事務だということもあるんですが、しっかり財政的な部分での措置についてもお考えをいただいて、ここ手厚くしていただくということが、やはり国でセキュリティーポリシーを使って、それをしっかりと地方公共団体で実現していくということにつながるというふうに思いますので、あらゆる手だてを是非御検討いただきたいと、財政的な部分についてもお願いをしたいと、こういうふうに思います。
 次に、また情報セキュリティーの話でございますが、五月十四日の報道で、経済産業省で情報セキュリティー総合戦略を策定するという、こういう検討を開始したというふうに報道されておりましたが、このスタートの時点での問題意識について、これは経産省の方から御説明いただければというふうに思います。
○政府参考人(松井英生君) お答えいたします。
 現在、政府、自治体、企業、個人が各々の立場でITをその活動において不可欠な道具として利用するようになり、IT経済社会の浸透が急速に進んできております。一方で、情報漏えいやシステムへの不正侵入など、情報セキュリティーの脅威は増加し、各々の主体が漠然とした不安やリスクを認識していると、こういう状況にあると認識しております。
 こうした中で、各々の主体がIT経済社会において最大限の活力を発揮できる、信頼できる情報経済基盤の確立が必要であるとの観点から、これまでの情報セキュリティー政策を総括し、今後政府としてどのような指針を示し、施策を遂行すべきかという全体戦略を示すことが必要であると考えております。
 すなわち、ITが経済社会にとって必須なものとなった現在、ITのセキュリティー確保なくしては経済社会の健全な発展はあり得ないとの認識の下、政府、自治体、企業、個人に情報セキュリティー文化を定着させ、それぞれが果たすべき責任を明確にして、具体的施策を実施すべく、サイバーテロなどの危機管理的側面や情報の安全保障的側面も含め、情報セキュリティーに関するグランドデザインを国際的視野をも踏まえて構築することが必要であると考えております。
 このような問題意識に基づいて、情報セキュリティー総合戦略の策定を進めている次第でございます。
○小林温君 是非、この総合戦略実現に向けてしっかりと進めていただきたいと思います。
 それで、先ほど政府全体のセキュリティー対策、それから地方自治体のセキュリティー対策には御見解を両大臣からいただきましたが、例えば、今後、個人情報の取扱事業者となる例えば民間企業を例に取った場合、このセキュリティー対策というものも大変重要になってくるというふうに思うわけでございますし、また、ここにも仮に脆弱な部分があるとすれば、今後、国全体のセキュリティー戦略にも大きな影響を与えるというふうに思うわけでございます。
 この点について、経済産業省さんとして、セキュリティー監査というようなこともこの議論の中でも何名かの委員の方から質問も出ておりますが、その辺の点も踏まえながら、企業に対する情報セキュリティー確保策ということについて御見解をお願いしたいと思います。
○政府参考人(松井英生君) 企業の情報セキュリティー対策を推進するためには、企業が情報セキュリティー対策を計画し、実行し、評価し、その評価結果に基づいた対応を行うというサイクル、すなわち情報セキュリティーマネジメントを確立することが重要でございます。
 このような観点から、昨年四月より、財団法人日本情報処理開発協会に委託し、情報セキュリティーマネジメントに関する第三者認証制度であるISMS適合性評価制度を運用しております。現在まで約百四十の事業者がこの認証を取得しております。
 また、本年四月に情報セキュリティー監査制度の運用を開始いたしました。これは、独立かつ専門的知識を有する専門家が企業等の情報セキュリティー対策を客観的に評価することを通じて、情報セキュリティー対策を継続的に改善するための制度であります。
 当省といたしましては、今後とも、これらの制度等を通じて企業の情報セキュリティー対策を積極的に支援していく所存でございます。
○小林温君 いずれにいたしましても、正にこれは新しい文化を今後我々高度情報化ネットワーク社会において作っていくかという非常に大きな試み、あるいは取組であると思います。我々政治家の役割もしっかりと認識しながら、これからまた取り組んでいかなければいけないと思います。
 大臣お二方始め委員の皆さんお疲れだと思いますので、時間を残して、これで質問を終了させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会


2003/05/16

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