2003/05/15

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第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第5号
平成十五年五月十五日(木曜日)   午前十時開会

○委員長(尾辻秀久君)
 個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚耕平君 民主党の大塚耕平でございます。
 両大臣は大分この問題では答弁に立たれておられてお疲れのようでございますが、今日もお付き合いいただきたいと思います。
 参議院の質疑での冒頭に自民党の世耕さんから大変御高説を賜ったわけでありますが、何分抽象的なテーマですので、どうしても具体例をもって話をしないとなかなかイメージがわかないという点がございまして、瑣末な話もいかがなものかと思いますが、余り抽象的な話ばっかりしていますと粗末な話になりますので、瑣末でもなく粗末でもない話をさしていただきたいと思っております。
 最初に、この間、世耕さんのお話を伺っていて大変興味深いなと思った点をちょっと確認さしてほしいんですけれども、たしか、組織内の職員の方で個人情報を盗み出して、それが言ってみれば紙の窃盗罪として逮捕されたという話があったんですけれども、これは内閣官房にお伺いした方がいいのかもしれませんが、もしその職員がコピー用紙を持ち込んでいたら、これは現行法では全く対処ができないということでございましょうか。
 ちょっと、通告していないんですが、頭の体操として聞かしていただきたいんですが。
○政府参考人(藤井昭夫君) ちょっと正確にはお答えできないかもしれませんけれども、私どもが把握している限りにおいては、やっぱりちょっと紙自体が元々、その方の場合はなかなか窃盗ということにはならないんじゃないかなというふうに考えております。
○大塚耕平君 恐らく、仮にその方が善意を持って持ち出した紙以上の紙を持ち込んだとしても、恐らく何らかの法的枠組みの中で何か処分をされたと思うんですけれども、ということは、恐らく今でもいろいろ個人情報を悪用した場合の様々な法的な枠組みというのは、何がしかいろんな法律の解釈によってやり得る面があって、今回のこの個人情報保護法というのは、それではカバーできない部分について、まず包括的に網を掛けるということではないかなと個人的に理解しているんですけれども。
 これも私どもの内藤委員が最初に御質問させていただいた点をちょっと確認させていただきたいんですが、今回のこの個人情報保護法並びにその他の法案の保護法益について、もう一度明確に御定義を大臣にしていただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) これにつきましてはこの法案の第一条に書いてございますけれども、IT化の推進を進めておりますし、事実上どんどんインターネット等を通じてのIT化が促進されております我が国のこの社会の環境の下において、個人情報の有用には配慮しつつ個人の権利利益を保護することを目的としておりまして、そのことが保護法益であると考えております。
○大塚耕平君 これは、通告はしておりませんが、非常に基本の問題ですので是非お考えを聞かせていただきたいんですが、保護法益は今お伺いしました。今回のこの個人情報保護の法体系、目指している法体系は、これは個人情報あるいは個人の権利利益の保護の、あるいは侵害の未然防止なのか、救済なのか、この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(細田博之君) この基本的な枠組みは非常に言わば規制的な部分は緩やかであり、かつ事後的でございまして、まずは未然防止をすると。特に主務大臣等において関係団体などに基本方針を示しながらガイドラインを作ってもらうというようなことで、これまで八年間の事例でいえば七十件ほどの案件がありました。大きな案件がありましたけれども、その中では言わば過失が大半である、あるいはソフトウエアの不備が大半であると。本当に悪質なものが少ないという面で見ると、この法律のまず目指すところは未然防止がかなりこの法律によってできるのではないかということが第一点でございます。
 したがいまして、そこには本人からの苦情があって、そして求めがあって、そして個人情報取扱事業者がそれぞれに対応できるような、そしてその中には利用目的の通知とか開示とか訂正、利用停止というような項目を置いておりますので、こういう点はまずは未然防止、しかしそれでどうしても足りない部分はやはり行政庁の方にまた申出をして、認定団体等によって処理がし切れないようなものについては更に報告徴収、勧告、命令という、非常に故意かつ広範、悪質のようなケースには対応でき得ないとやはり困る場合があると。
 他方、刑法上も、先ほどのお話ありましたけれども、はっきりとした財物ということでないものですから、しかも個人情報というのは企業にとっては一種の財産的価値はありながら、しかし個人にとってみれば言わば個人の情報は一種のプライバシーの権利であるという観点から、保護すべき法益であることははっきりしておりますから、そういったものに対応できるような強制措置も最終的には用意しておくと、こういう考え方でございます。
○大塚耕平君 強制措置も最終的には用意しているというお答えだったんですが、今の御答弁、拝聴していると、もちろん中にも断片的に入っておりましたが、もう一度確認させていただきたいんですが、未然防止が第一の目的だとすると、抑止力、今北朝鮮は一生懸命ああいうカードを切って抑止力を行使していますけれども、この個人情報保護法の個人の権利利益の侵害の未然防止のための抑止力は何でしょう。
○国務大臣(細田博之君) 抑止力は、まず本人が自分のことについての情報が取り扱われていることを知り、又はどこかに流れている、どこかを見たら自分の情報が出ておるというようなことから、それに対して二十四条、二十五条、二十六条、二十七条等の規定によって、利用目的を通知するべきこと、開示すること、それから訂正を求めること、それから利用停止、そういった規定を用意しておることが今後の問題に対する未然防止にもなっておると。しかし、過去に行ったことについても対応できるようになっておるわけでございますから、もちろん両面ございますけれども、これから長い将来のことを考えますと、こういった点に配慮すれば必ず多くの分野においては未然防止になると考えておるわけです。
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 それでは、本題に入らせていただきたいと思いますが、昨日、おとといの議論をお伺いしていましても、例えば昨日、最後に福島委員の方から、行政機関個人情報保護法の方は適正な取得の規制が入っていないという御議論がありましたけれども、今回の法の体系の中で、官の方に相対的に厳しいと思われる点、あるいは民の方に相対的に厳しいと思われる点について、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 私は官の方の担当ですから官の方を中心に申し上げますと、昨日も答弁させていただきましたけれども、民間については自主規律が基本なんですね、自分でやってもらうということが。しかし、それが基本なんですが必要最小限度の規律というものは加えると、こういうことでございますが、官の方はそういう意味では詳細かつ厳格な一応仕組みにしていると。元々電算についてはありましたしね。そういうことで、公開性、透明性の向上という観点を加えて詳細かつ厳格な制度としていると。
 具体的には、民間については五千件以上のデータベース化された情報が対象ですよね。ところが、行政機関については、行政機関が保有するすべての個人情報を対象にすると。それから二番目に、行政機関については、個人情報ファイルの保有に当たって総務大臣への事前通知を制度化してやる、事前チェック型。民間についてはこのような事前チェックの仕組みはありません。それから、行政機関については、個々の個人情報ファイルごとに厳格に管理する仕組みとしまして、個人情報ファイルの利用目的、記録項目、収集方法、提供先等詳細な事項を整理して公表すると。民間については、個々のファイルではなくてデータベース全体の包括的な利用目的を公表すれば足りると、こういうことにしております。それから、行政機関については、開示、不開示の基準、それから開示請求手続等についてかなり詳しい規定を置いておりますね。これらの請求に対する、また行政機関の決定について不服申立てがある場合には第三者的な審査会への諮問を制度化している。民間については、必要かつ最小限度の開示、不開示の基準でよろしいと。あるいは、手続も同じで、具体的なことは事業者が決めると。また、第三者的な審査会は民間の場合にはありませんで、事業者が自分で苦情処理、自律的な苦情処理で解決を図ると。
 大きい点でこういうことでございまして、こういうことからいいますと、行政機関の方が民間に比べて詳細かつ厳格な制度としておりますので、この制度を生かす運用ですよね、これからは、一人一人の。今度はすべての情報ですべての職員が関係しますから、そういう意味では、意識改革というのか、そこの精神を個々人にまで徹底するということが私は一番大きい課題ではなかろうか。仕組みはいいんですよ。あとは意識あるいは運用ですね、そういうふうに思っております。
○国務大臣(細田博之君) 個人情報保護法で官の問題を議論するときに、やや混同された議論も行われておりますが、それは、主務大臣というのがいるために、そして最終的に罰則があるためにこれ自体が非常に厳しい内容なのではないか、すべての経済活動等、私企業の活動等を規制するのではないかというようなお気持ちで質疑が何度も繰り返されているんですが、その真意は、先ほど大塚議員にお答えしましたように、まず民の間の調整が前提で、どうしても今の法体系上は救済し難いものは、やはり個人にとって大きな苦痛があり、しかも民の活動がそれは単なる経済行為というにしては著しい個人のプライバシーの権利等を侵害している実態があるときにそういう官が出てくるのであって、あとは、予防的な官の活動はやりましょうと。未然防止は、その基準、ガイドライン等を定めることについてはやりましょう、しかし原則は民対民の問題でありますねと。
 それは、例えば民間企業のそういうデータ事業者にとってみれば、それは多くは経済活動であって、自分が何らかの利益を得るための活動でありますから、それと一般個人という民間の方との間の調整をどう図っていくかという観点で考えられておるものでございますから、官の情報管理というのは、正に官の責任で自らやっておることでございますので、それなりの規律がなければいけない。これは自らを律する規定でございますので、おのずと、今、総務大臣がお答えしたように、官の規律は厳しくなっていることは論理的に必然であると思っております。
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 今、片山大臣がるる御丁寧に御説明くださいましたが、冒頭のところですね、基本的な考え方で、民の方はあくまで自主的、自律的な規制ないしは運用を尊重し、官の方には厳格に制度化するとおっしゃったわけですが、厳格に制度化するのであるならば、先ほど、昨日の福島議員の議論に戻りますけれども、適正な取得ということについて明記しても何ら問題はないわけでありまして、しかし、適正な取得というOECD八原則にも盛り込まれているこの非常に重要な部分を民には求め、官には求めずして、どうして官の方により厳格だと言えるのでしょうか。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
 行政機関が法令を遵守して適法かつ適正に個人情報の取得に当たるべきことは、まず日本国憲法におきましては七十三条、「法律を誠実に執行し、」ということと、あわせて、職員につきましても、国家公務員法の法令遵守義務、九十八条でございますが、職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、従わなければいけないと、このように規律されておりまして、既に法規範としてしっかりと存在していると。こういうものを法律に改めて規定する必要はないんではないかと、そのような形で今回の法律の体系になっております。
○大塚耕平君 せっかく副大臣お立ちいただいたので、副大臣にお聞きしますが、そうすると、民というのは法律を守らなくていいんですか。
○副大臣(若松謙維君) あくまでも、民も官も日本国憲法に基づきまして、あるいは法令はしっかり遵守しなければいけないと、そういうふうに認識しております。
○大塚耕平君 いや、おっしゃるとおりですね。官も民も法の下に平等なわけだから、どうして官と民で適正な取得のところで差を付ける必要があるんですか。
 もう一回、副大臣にお伺いします。
○副大臣(若松謙維君) 先ほど、日本国憲法、また国家公務員法、こういった既にある法律を御紹介させていただきましたが、私どもとしては、その既にある法規範、これで十分であるという認識をしておりまして、今言ったようなこの行政機関個人情報保護法にも適正な取得というのを設けるべきじゃないかと。
 実は、そういった御要請というのをすべての法律にもいわゆるその時々に入れていきますと、すべての法律が基本的な日本国憲法また国家公務員倫理法で求められるところを全部入れますと、すべての法律が物すごい膨大になるんですね。私はそれは、法規範上もかえって不必要なものも当然あるわけでありまして、やはり法律は非常に収れんされた効果的なもの、そういうようなバランスを考えて、今回の行政機関の個人情報保護法のような体系にした次第でございます。
○大塚耕平君 法規範というのは、いろいろそのための整備が膨大な作業になるからその整備をあきらめていいというものではないと思いますね。
 今、副大臣のおっしゃることにも一理ありますけれども、確かに、また片山大臣がさっきおっしゃったように、あとは運用だと、意識改革の問題だというのも一理ありますけれども、しかし法の下において法規範として明文化する方が合理的に正しいことについては、いかに作業が膨大になろうともきちっと整備をしていくのが国会の役割ではないかと思います。
 今日は、私は、財金部門からこちらの方に所属をさせていただいていますので、金融を中心に残りの時間使わせていただきますけれども、副大臣、せっかくお立ちいただいたので、たくさん御答弁いただきたいと思うんですけれども。
 金融の最も中心的な法律は銀行法でございますが、銀行法の一条には何て書いてあるか御存じでしょうか。御存じでなければ、六法全書を見てお答えいただいても結構ですが。
○副大臣(若松謙維君) 所管ではございませんが、銀行法第一条を読まさせていただきます。「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」。
 二項も言いますか。
○大塚耕平君 いや、結構です。ありがとうございます。
 その冒頭のところですね、「業務の公共性にかんがみ、」と。文言こそ違いますけれども、公益についてはちゃんとうたわれているわけですよ。ということは、公益についてうたわれているということは、先ほどのあるいは昨日までの、なぜ官の方に適正な取得が必要ないかという根拠に関しては、表現の微妙な違いはありますけれども、官の皆さんは公益のために仕事をしているから大丈夫なんだというような文脈で御答弁いただいていると思いますが、そうすると、金融については今後個別法は必要ないという御認識でいいですか。伊藤副大臣にお伺いしたいと思いますが。
○副大臣(伊藤達也君) 私ども、金融分野においても、これはもう業態を問わずに個人情報の取扱いが大変重要な論点になると、このように認識をいたしておりまして、この個別法の必要性についても追加的な処置が必要かどうか、実は金融審議会において議論を続けております。
 その中で、どういう論点が今あるかということでございますけれども、第一には、金融取引に係る個人情報の同一企業内での多目的利用及び同一グループ内での複数企業による共同利用に関するルールの問題、そして第二に、信用情報機関及び会員事業者による個人信用情報の共同利用システムに関するルールの問題等々が挙げられておりまして、今後も当委員会を始めとして国会のその議論、また先生方からの問題提起、意見というものを参考にしつつ、金融分野における個人情報の取扱いについて私どもとして検討してまいりたいというふうに考えております。
○大塚耕平君 伊藤さん、それ、いつごろまでに結論を出されますか、金融審議会でこれから議論して。
○副大臣(伊藤達也君) 期限についてちょっと今ここで明言ができないわけでありますけれども、私どもとしては、国会の審議を注視をいたしておりますので、この法律が成立をさせていただくと同時に金融審議会での議論を進めさせていただき、また私どもとしても検討をさせていただいて早急に結論を出していきたいというふうに考えております。
○大塚耕平君 伊藤副大臣には、我々、我々というのは私たちの世代の気持ちを共有していただけると思いますのでお願いを申し上げますけれども。
 例えば、金融審議会は第一回の金融審議会、平成十三年、十二年ですかね、から行われていて、平成十三年のこの個人情報保護に関する部会の関係者の意見陳述の中では、早く決めてくれということを何回も言っている人がいるんですよね。
 昨日も、今日実は全銀協の方に参考人としておいでいただこうと思っていましたら、まだ業界として十分な検討ができていないのでお答えすることがないので出席は差し控えたいというお話で、おいでにならなかったんですけれども。どうして検討が十分じゃないんですかと聞きましたら、いやそれはこれから金融審議会でいろいろ議論をされることなので、それを踏まえてやりたいと。確かにもっともな話なんですけれども、今、日本の金融界、金融界のみならず産業界は、そういう悠長なことを言っている場合じゃないんですね。
 これは衆議院の方の審議でも出ましたけれども、個人情報保護の個別法がこれから出てきたときに、今の金融界の信用情報等の取扱いと異なるような取扱いをしなければならない法体系や金融庁の指導が出てきたときには、これは金融機関や金融機関の関連産業企業にとっては膨大な作業やコストがこれから発生するわけです。
 だから、伊藤さん、非常にいつも冷静な答弁をされますので、これから審議会で検討して早急にとおっしゃいましたけれども、金融庁にいつまでにやらせるのか、そういうことをここで政治家が責任持って答弁するのが国会の私は議論じゃないかと思うんですが、金融庁にこの個別法についての検討をいつまでに結論を出させますか。
○副大臣(伊藤達也君) 私どもとしましても、やはりこの国会の審議は非常に重要だというふうに思っておりますので、そして今までも金融審議会の中で、六回を開催をさせていただいて、主要な論点の整理もしてきたところでございます。先生から御指摘をされている点についてもいろいろ議論をいたしておりますし、また今、現行の事務ガイドラインというものがあるわけでありますが、この中で、個人情報の取扱いについても相当程度手当てが講じられているところでございます。
 この個人情報保護法が成立をいたしますと関係の法令が整備されてまいりますので、それに併せて、改めて事務ガイドラインとこの法令の整合性というものを確認、精査した上で規定の整備について検討していくということにいたしております。また、現行の事務ガイドラインにおいては、この個人情報保護法が成立した際には当該法律の規則に各銀行が服することになる旨も確認的に規定されているところでございます。
○大塚耕平君 そういう御答弁は余り聞きたくないんですよ。
 今日、金融庁いらっしゃっていると思いますので、じゃ金融庁に聞きますけれども、例えば第一回の金融審議会の金融分科会特別部会、平成十三年四月十六日、これは全国銀行個人信用情報センターの個人情報保護法に関する公式の意見陳述として様々おっしゃっておられますけれども、自主ルールのみでは担保できない問題が一杯起きていて、後で書面はごらんに入れますけれども、早く基本法で担保されないのであれば個別法において御配慮をくださいますといって、平成十三年四月十六日に言っているわけであります。
 これは別に、それこそ瑣末な一部を探し出して申し上げているわけではなくて、こういうたぐいの表現はこのときの部会でも一杯出ているんですけれども、この二年間、金融庁はどういう検討をしてきましたか。
○政府参考人(五味廣文君) 申し訳ございません、制度の方を必ずしも担当しておりませんが。
 信用情報、御指摘のありましたような信用情報の取扱いを含めまして、この法律の審議状況を勘案して検討している。これまでも、今、副大臣から御説明がありましたように、金融審議会において種々この個人情報保護についての法制上の必要性等について議論が行われているということでございます。
○大塚耕平君 いつまでに結論を出しますか。日本の金融機関、その間に合併、再編これから起きますけれども、いろいろそのときに、システム面の対応をしなきゃいけないとか、いろんな合併後のルール決めなきゃいけないとか。一体、民間企業はいつまで待っていたら、この個別法について明確な御方針を見せていただけるんですか、金融庁にお伺いしますけれども。
○政府参考人(五味廣文君) 申し訳ございません、ちょっと不案内な分野なんですが。
 いずれにいたしましても、そうしたもちろん合併の場合の取扱いというのは監督上はルールを作ってございまして、それに基づいて、今、個人情報保護についての運用はしておりますけれども、できるだけ早く必要なものであれば作る必要がございますし、いずれにせよ、無用の混乱が起こらないように制度面、監督面での対応を図ってまいりたいと思っております。
○大塚耕平君 局長は行政のお立場ですから断言はできないのは分かりますので、だから伊藤さんに頑張ってほしいわけですよ。今年度内にやらせるとか、私の責任を持って金融庁にやらせるとか、そういう御発言がない国会審議で政治家の答弁というのは一体いかほどの意味を持つんですか。
 いや、これね、ちょっと待ってください。自民党の皆さんも本当に日本の経済とか産業のことをお考えいただいて、様々いろんないい御提案をしていただいていると思うんですけれども、一番大きな問題は、とにかく遅いんですよ、このいろんなルール作りが。
 これ、今の調子だと、またそれぞれの局長のポストがお替わりになって、伊藤さんには私、是非長くやっていただきたいと思っていますけれども、伊藤さんもそのうちお替わりになって、また大臣がお替わりになると、同じ質問をすると、私は着任したばかりでございますのでこれからしっかりと勉強させていただきますという御答弁が続くわけですよ。
 日本の銀行、つぶれちゃいますよ、みんな。いつまでにやるんですか。
○副大臣(伊藤達也君) 今、いろいろなおしかりも、あるいは政治家としてというお話もいただいて……
○大塚耕平君 激励です、激励。
○副大臣(伊藤達也君) 激励というお話でございますけれども、私もIT分野を政策課題として取り組んで、また、今の仕事をさせていただいて、特に金融機関というのは大量の個人情報を取り扱うわけでありますから、今お話があったように、銀行の再編等々、いろいろ大きな波が押し寄せていることも十分承知をいたしておりますし、国会での審議の状況について注視をいたしているところでございます。
 私自身も、現行の事務ガイドラインを見る限りにおいて、この中で相当程度のやっぱり手当てができておりますし、また、この法律ができて、先ほどお話をさせていただいたように、その関連の法令というものを精査して検討して、そして私どもとしても所要の手当てをするということを考えておりますので、そうした中でいろいろな対応をしていきたいというふうに思っております。
 そして、個別法が必要かどうか、これも並行して私どもも議論をいたしておりますので、十分にこの問題についても私どもとして考えて、そして対応をしていきたいというふうに思っております。
○大塚耕平君 こればかりやっているわけにいきませんけれども、非常に重要な問題なので、ちょっと確認しておきますと、衆議院の方では共産党の吉井委員ですか、平成十二年の、銀行の、オブザーバーとして審議会に御出席された方の御答弁を引用されて、その方は個別法は必要ないというふうに御答弁、その銀行の方ですね、しているけれども、そうなのかということを衆議院で質疑されました。平成十二年です。しかし、さっき申し上げましたように、平成十三年の銀行業界の信用情報部門の方は早く個別法をやってくれと言っている。それから、衆議院の議論の中で、若干脈絡が違う部分はあるんですが、竹中大臣も、我々の認識では、いわゆる矛盾している、何らか急いで調整を必要としているようなものは存在していないというふうに金融分野についておっしゃっている。片やその一方、細田大臣は、金融分野に関しては、金融的な分野としてはまだもっと深掘りしなきゃならないという御趣旨には賛成でございますという御答弁、これは我が党の中村委員に対して言っておられますが、一体、金融については個人情報保護法に関して個別法が必要なのか必要でないのか、そこだけはっきりしてください。期限までは、いつまで聞いても出てきませんから、必要なのか必要でないのか、必要でないとすれば、金融庁は第一回金融審議会以降三年間何を議論していたのかということについて御答弁いただきたいと思います。
○副大臣(伊藤達也君) 先生の問題提起というのは十分承知をいたしているんですが、私ども今の段階で、その必要か必要じゃないかということについての一定の結論が出ているわけではございません。これは先ほどから繰り返し御答弁をさせていただいているように、この法律ができて、そして関連の法令も整備をされ、それと今の法律、そして私どもの事務ガイドライン、それの整合性というものを十分検証をして、そして今後の対応というものをしっかり考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、金融審議会においても、先ほど主要な論点についてはお話をさせていただきましたように、審議会においても、先ほど一部御紹介がございましたが、これはいろいろな意見があるわけでありまして、その意見を受けて私ども行政としてしっかりとした判断をしていかなければいけないというふうに思っておりますので、そうした作業も並行して今行っているところでございます。
 また、この国会の審議を最後まで、もう大変重要ないろいろな御指摘をいただいておりますから、そうしたことも私どもとして十分参考にさせていただいて今後の検討をしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○大塚耕平君 とにかく早くやっていただきたいと思います。
 金融機関に関しては、今年の二月に、金融機関が本人確認、預金者、利用者の本人確認をする際に住基ネットのデータを利用していたということが問題になりまして、最初片山大臣は、いや、そんなことはあり得ないという御答弁をしておられたわけですが、途中から君子豹変されたといいますか、事実をお認めになられていろいろと開陳していただいたわけでありますが、その後、調査をするということになっておったはずですが、調査結果、つまり、実際に金融機関が住基ネットのデータを本人確認に利用していたかどうかということについて調査結果を御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 先生、住基ネットのデータと、こうおっしゃいましたけれども、本人確認書類の一つとして利用されましたのは住民票コードの通知票でございます。これは各市町村から、私どもにも来ましたが、各人に住民票コードを、あなたの住民票コードはこうですよという通知票を発出しておりますが、その通知票が利用されたということでございます。
 調査結果でございますが、これは本来なら金融庁の方からお答えがあるべきものでございますが、私ども聞いているところでは、全国銀行協会が調査をされまして、会員行において本人確認書類として全国で二百三十六件の利用が確認されたという報告を受けております。しかし、これらすべて、二百三十六件すべてについて銀行から御本人に告知を求めたというものではなくて、顧客自らが本人確認書類として自主的に提示したものというふうに聞いております。
○大塚耕平君 調査結果は、全銀協が会員行百八十八行に対して行った結果、七十九行、二百三十六件、一か月に約七十万件の本人確認があるうちの二百三十六件であったという御報告でありますが、金融界の体質は、私も元の村の一員でしたのでよく分かるんですが、全銀協さんがそういう方針を出すと、下位業態もみんな同じような業務指針を出していく非常に従順な業界なわけでございますが、下位業態については調査されましたか。下位業態においてこの本人確認についてどういう指針が提示されていて、実態はどうであったかということについて調査されましたでしょうか。
○副大臣(伊藤達也君) このQアンドAを出しましたのは全銀協だけなものですから、その全銀協に対する調査ということになっております。
○大塚耕平君 いろいろほかのお仕事もあるでしょうから、そうなかなか手広くできないのは分かりますが、しかし、こういう問題が起きたということは、やっぱりそこはきちっと悉皆調査をされるのが行政の仕事ではないかと思います。
 片山大臣は、去年の秋に、我が党の五十嵐委員が衆議院で、やみ金で住基ネットのデータが売買されているという話とか、あるいは今回のようなこういう本来の住基ネットの趣旨に合わない利用がされている可能性について聞かれて、事実を提示していただかないと調査のしようがない、具体的な例を提示してください、又聞きじゃ駄目ですよと、あの片山節を御披露しておられたんですが、現にこうやって事実が出てきたわけですよね。
 ということは、出てきたので、その事実だけを調査してそれで良しとするのか、もう少し住基ネットのデータの利用の仕方については幅広く調査する必要性があると思うのかないのか、その点についてちょっと御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 私はかつて、あれは衆議院だったと思いますけれども、予算委員会か何かで、全銀協からはその利用の事実はないという報告を聞いていると言っただけです。事実がありませんと私が断定できる立場にも何もないわけですから、全銀協からのそのときの、そのときですよ、その時点での報告によれば、そういう事実はないと言ったんですから、というふうに聞いていますと、こういうことを申し上げたんです。
 そこで、QアンドAですよね。QアンドAの中にあったんで、それは調べにゃいかぬということになって調べたら、全国で今、二百三十六件ですか、あったと。
 ただ、その告知を求めたんではなくて、本人が示した場合には、法律上はそれは違法じゃないんです。告知を求めれば違法ですよ。
 しかし、それだからそれでいいというわけではないんですから、それは我々も徹底せにゃいかぬと思いまして、あの問題が起こってから、各省庁所管の分野について、それぞれお願いしたり会議をやったり、状況の把握その他についてもやってほしいと、こうお願いしてるんです。うちが全部やるわけにはいきませんから、日本じゅうのいろんな業界を。それはそれぞれの所管の省庁にお願いして、今までのところ問題がないという報告を受けておりますが、何かあれば、またそれは、その分野からそのあれについては詳しく調べるということはあり得ると、こう思いますけれども、今そういう状況なんですよ。
 それで、昨日も御答弁したと思いますけれども、大きな問題は起こっていないんです、大きな問題は。基本的には四情報にコードでしょう、住民票コードと変更情報で。コードは、これは変更可能ですよね、御承知のように。
 だから、そういう意味では、ジュラルミンケースか何かで、予備のデータがジュラルミンケースごと盗まれて、三日ほどたったらまた置いてあったという、こういうことがありますけれども、中は暗号ですしね。
 そういう意味では、私は致命的な問題は起こっていないと思いますけれども、それで、それだからいいんだということにはなりません、二次稼働も始まりますしね。このセキュリティーについては万全を期していきたいと思いますし、各業界にも再度、所管の省庁を通じていろんな要請をしようとは思っております。
○大塚耕平君 大臣、昨日は、第三者機関の設置に関しては、その質疑があったときには、いやいやもうこの個人情報保護に関しては総務省が全部の取りまとめ部署としてやっているんだからという、こういう御答弁をしておられるわけですよね。
 これは別に与党の皆さんや行政の皆さんだけの責任にする気はありません。日本のこの現在の状況を生み出している構造的な原因の一つとして、さっき申し上げましたように遅いということがありますね、それは役所の皆さんのローテーションの問題もいろいろ影響していると思いますけれども。それからもう一つは、今、片山大臣が使われたロジックですね。ある時は、私たちが担当なんだから、新しい対処をしろと言われると、いやいやそれは必要ないとおっしゃりながら、しかし、じゃやってくださいと言うと、全部は私たちでできるわけがないという、この考え方のすり替えというのも日本を悪くしている大きな思考パターンの一つだと思いますが、いかがですか、それは。
○国務大臣(片山虎之助君) 昨日言いましたのは、行政機関や独立行政法人等の個人情報の保護の仕組み、これについてチェックするのは総務省ですよ。それは、事前通知をもらって、必要になったら調査をしたり報告を求めたり、それはやりますよ。
 私が今言っているのは全銀協やなんかの話で、日本じゅうの業界ですよ。これは私どもの方の元々、法律も私どもの所管ではないし、住基ネットの絡みでそういうあれがあるので、だから住基ネットの利用についても、もう釈迦に説法ですけれども、法律で決めた機関が法律で決めた目的しか使えないんですから、だから告知を求めちゃいかぬのですよ、本人確認も。
 そういうことで、それの徹底は、各業界については業界の所管の大臣がおるんですから、主務大臣が、それを通じてやりますと。行政機関の個人情報保護の仕組みややり方については、それは私どもの方が責任を持たにゃいかぬと、こういうことを言ったので、一つも論理はすり替えていない。私ぐらいそういう意味では素直なありのまま答弁をしておる者はいないと思っております。
○大塚耕平君 人生の先輩でありますので、素直に聞きますけれども、まあしかしもう一個、やはり今の大臣の答弁のプロセスで問題があるんです、日本の国会の。それは、私が聞いたのは、調査をする必要があると思うかないと思うかいかがですかと聞いたんです、最初。それに対して、いや、全部の分野の所管ではないから何とも言えませんなということから、こういうふうに時間を七分も無駄に使っているわけですよ。聞いたことに対してきちっとお答えいただけないというのも、日本の国会審議がなかなか内容のある議論ができない大きな理由の一つであります。
 だから、総務省は全体の枠組みの御担当で、個々の分野についての御対応は各役所の仕組みだ、そんなことは分かります。だから、全体の統括部門として調査の必要があると思われますか、ないと思われますか。もう一度御答弁ください。
○国務大臣(片山虎之助君) 行政機関の個人情報保護の関係は私の方ですよ。全部の方は細田さんの方ですから。今お尋ねは全部の方の話なんだけれども、住基ネット絡みだから私どもの方がお答えしているんです。
 私は、今のところ、各役所の住基ネットについての運用はお任せして十分だと思いますので、私どもの方から調査をお願いすることは考えておりません。
○大塚耕平君 また、やっぱりさすがうまいなと思いますね、おっしゃるとおりなんですけれども。住基ネットをいろんな分野の業界が使うかもしれないから、いろんな分野の業界を御担当になっている役所に対して、適正な使い方がされているかどうか、住基ネットの総括官庁として、所管大臣としてそういう必要性があると思うかどうか、あると思えば調査をしてくれと各役所に頼めばいいわけですから。たったこれだけのことを議論するために、もう十分も使っているわけであります。
 私は、例えば住基ネットのコードについても、さっき二百三十六件のお話がありましたけれども、これが本当に悪いと言えるのかどうか。つまり、さっきもお話しになりましたけれども、一応調査の結果としては銀行側が求めたわけではなくて御本人が提示したということになっているわけですから、御本人が提示する以上、別にこれは問題ないわけですよね、法律的には。そこをちょっと聞かせてください。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
 御本人が自主的に提示する以上、何ら問題はございません。
○大塚耕平君 とすれば、莫大なコストを掛けて作った住基ネットのデータを、例えば金融業界にかかわらず各産業分野が本人確認のためにもしこれが使っていい法体系になれば、これはこれで相当産業コストを低下させるわけですよ。
 そうすると、必要なのは、仮に金融機関の窓口で住基ネットのデータで本人確認をさせてくれというふうに顧客が言った場合に、そのコピーなりなんなりをどういうふうに管理するならば適法、しかしそれをコピーを取ってみんなの目に届くところにファイルしておくのは金融機関の善管注意義務に違反するとか、そういう個別法を早く、あるいはルールを決めてくれないと業界としては対応できませんというのが業界の今の悶々とした状況なわけですよね。
 だから、じゃそういうことを整備するためには各業態でどうなっているかという事実を知らなきゃいけない、まず。だから、我々野党も揚げ足取りみたいなことばっかり言っていてはいけないというのは、これは我々の中でもそういう議論はありますので、我々の世代としてそういうカルチャーは育てていきますけれども、今回の件に関して言えば、二百三十六件あったから駄目ですと言ってまた縮こまっちゃっているんじゃなくて、じゃ個別法として金融分野どうするんだという議論をいつまでに答え出すのかということをさっきから聞いているわけですよ。それをまた役所に任せちゃってこれから審議始めますと言っていたら、これはどんどん日本の産業は後れていきますよ。何のために住基ネットを作るのに膨大なコストを掛けているんですか。そういったことを申し上げているんです。正否の問題を申し上げているわけではないです、私は。
 何かこれについて、どなたでもいいですから、ちょっと御答弁いただけないですかね。
○国務大臣(片山虎之助君) 今の住基ネットは民間利用は一切考えていないんです。行政機関が取りあえずは本人確認省略のために使っているんですね。これもこの間法律を直していただきましたからかなり増えましたよね、二百六十幾つになって。それから、これから第二次稼働ということで広域利用が始まるんですね、住民票の。それからもう一つは、住基カードを本人が求めれば条例に基づいて市町村が発行できる。身分証明書の代わりになるし、これはいろんな空き領域を活用できますから大変便利になると私思いますしね。それから、これもこの前の国会で通していただきました公的個人認証制度、これがないといろんなことできませんから、Eコマースだって何だって、いろいろなことできない。これの関係の基礎データを提供することになるんです。公的な個人認証ですよ、そこは公的なというところあるんで。そういうことに使うことを考えておりまして、今の民間利用については考えておりません。
 もし民間利用もやらせるということなら、ひとつ国会で御議論いただいて国権の最高機関として意思決定していただければ、それはそれで一つの在り方だと、こう思いますけれども、我々は考えておりません。
○大塚耕平君 今、私の敬愛する宮本さんから、おれは反対だという声がありましたけれども、だから反対か賛成かはこれから議論すればいいんですけれども、そういうことを役所任せにしないで、役所の皆さんもかわいそうですよ、何でも役所にやれと言ったら。まあ、でもそれが仕事ですから本当はやってほしいんですけれどもね。なかなか役所が動けないんだったら、それを国会で議論してくださいよ、是非。それはお願いしておきます。
 随分変なところで時間取っちゃいましたけれども、全部質問し切れなかったら通告していた部分は質問できませんが、来ていただいた方にあらかじめおわび申し上げておきます。
 ちょっと法律そのものに戻りますけれども、個人情報保護法の二十三条の一項四号、これについて、つまり協力する必要がある場合であっても、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときには国などに協力しなくてもいいみたいなことが書いてあるわけですよね。これは衆議院でも実は刑事訴訟法百九十七条二項と貸金業法、貸金業規制法三十条二項との関係について質疑がありましたが、ちょっとここ確認させていただきたいんですが、これは当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断するのはだれでありましょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 法案の第二十三条というのは、個人情報取扱事業者が第三者に個人情報を提供する場合に、それが法律に違反する提供なのかどうか判断するための基準として設けているものでございます。
 したがいまして、御指摘の第一項第四号、当該事務の遂行、当該事務というのは国の機関等の当該事務ということになるわけでございますが、この当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかということについても、いろいろ行政機関等から説明なんかを求めた上で個人情報取扱事業者自らが判断されるべきというような作り方になってございます。
○大塚耕平君 しかし、それは個人情報取扱事業者にとっては大変大きな負担でありますし、昨今のこのやみ金の問題も考えますと、やはり情報提供した方が特に信用情報についていい場合もあろうかと思うんですが、これは今行政当局はああいう御答弁でしたけれども、細田大臣、大臣としてはそれでいいですか、ここは本当に。これは、この御答弁で固まっちゃうと、結構、個人情報取扱事業者にとって大変な負担なんですけれども、警察当局から例えば情報を求められたようなときに。
 これはいつも財金問題は、若林先生や林先生に聞いていただいていて生意気なことを申し上げているんですけれども、これだけ大勢の人が集まって何も決まらない委員会とか国会というのは本当に時間の無駄だと思いますので、大臣の御答弁一つで議事録として残って決まることが一杯あるんですよ。例えばさっきの個別法、いつまでにやらせるかとかですね、そういうことを一個一個ここで決めていくともっと日本の改革は早く進むと思いますが。
 ちょっと蛇足を申し上げましたけれども、この二十三条四項について、個人情報取扱事業者に本当に例えば警察から情報提供を求められたときに判断させますか、これ。
○国務大臣(細田博之君) やはり判断するのは個人情報取扱事業者であると思っております。また、その判断というのは、やはりその個別の企業、事業者の判断も尊重されるべきでございますし、また根拠法との関係も様々あると思っております。
○大塚耕平君 そうすると、現在、これは全国信用情報センター連合会の内規によれば、公的機関からの照会が裁判所の命令による場合は信用情報を提供するという内規があるんですけれども、この場合はどう判断すればよろしいですか。この内規のままで今後よろしいですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 第二十三条におきましては、第一項で、法令で定める場合とあと今御質問のありました協力をする場合と、この二通りに分けておるんですが、その考え方は、当該個人情報取扱事業者が行政機関に対して情報提供するということが法律上直接義務として定められているか、あるいは任意というものをかんでいると書くかというようなそういう違いで書き分けているということでございます。
 したがいまして、今の御指摘の件もちょっと正確には今資料を持っていないんでお答えできないんですが、あくまで任意、その照会に対してお答えするのが任意であるということであれば、それは個人情報取扱事業者がやっぱり本当にその情報提供をすることをしないと、失礼、本人の同意を得ないで個人情報取扱事業者がその当該行政機関に対して情報を提供するということをしないとその当該行政機関の事務の遂行に支障があるかどうかということはやっぱり一応説明なんかを求めた上で判断していただくという、そういう考え方になります。
○大塚耕平君 私、頭悪いんで何言っているのかさっぱり分からなかったんですけれども。
 いずれにしても、この今回の法律が成立すると、例えば信用情報センター連合会のこの内規も、じゃ裁判所は、国の機関若しくは地方公共団体、地方公共団体ではないですね、しかし国の機関かと言われればこれは入るのかどうかというのは問題になるんですが、これ国の機関というのは裁判所は入るんですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 裁判所は、当然国の機関でございますので入ります。
○大塚耕平君 そうすると、私がこの信用情報センターの人間であれば、裁判所からの命令であってもこの法の二十三条一項四号に基づいて自分で判断しなきゃいけないんですね。
 この裁判所の命令、これに聞いた方がいいのかどうなのか、私、そんな判断できませんけれども。
○政府参考人(藤井昭夫君) 個別の実態を知らずに申し上げているので恐縮なんですが、あくまで仮定の上でのという話なんですが、裁判所から命令が出されている場合はこれは義務がありますので、それはむしろ一号の「法令に基づく場合」ということで、要は、命令が発せられているかどうかということを確認した上で個人情報取扱事業者はその機関に提供されればいいということになります。
 それから、単なる照会のような場合ですね、照会のような場合であって、そこが照会に応ずることが具体的に法律上の義務として定めていないというような場合はこの四号が利いてきまして、その場合は一応、本当にこの情報提供がされないとその国の機関等の事務の遂行に、本人の同意というのが取れる場合はそれでやってもらっていいんですけれども、本人の同意を取らないまま、でなければその事務の遂行に支障があるかどうかということは、一応説明なんかをお聞きになった上で判断した上で出すか出さないかを決めていただくと、そういう作り方になっているということでございます。
○大塚耕平君 今私が持ってお読み申し上げている資料は、さっきの平成十三年の四月の部会の資料なんですね。そのときに業界がこういう内規を出して御議論しておられる。金融庁は、こういう資料はそのとき添付資料として付けているだけで、その後、中身をよく見て検討して、今回の法案に合っているかどうか、二年間何も議論していなかったのかという、大変殺伐たる気持ちになってまいりますが。
 今、正しく藤井さんが、個別の事情はよく承知しておらないで答弁しておりますがというふうにおっしゃったように、これからそういう意味では個別の事情を各分野きちっと詰めていただかなくてはいけないわけですね。
 また最初の話に戻りますけれども、特に私は、ほかの業界のことは分かりません、金融業界について申し上げますと、早くきちっと方針を出してもらわないと困るんですよ、業界の人も。別に私、業界の代表としてしゃべっているわけじゃないんですが、そのことが結果として、例えばこれから合併、統合等、様々な問題が起きたときの対処とか本当に困っちゃうんです、みんな。早くやってください。伊藤さん、よろしくお願いしますね。
 もう時間もなくなってきたので、ちょっと次の問題に移らしていただきますが、私も今、携帯電話を持っていますけれども、この携帯電話にメールが、いろんなメール来ますけれども、片山大臣、携帯電話でメールはお使いになりますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 余り使わないんです。私、携帯電話持っていますと落とすんですよね、忘れたり。もう二回なくしましてね。今は秘書官やSPさんが持っていますから、私は持たずに済ませています。
○大塚耕平君 担当大臣としてでもやっぱり持ってもらった方がいいですよ。どういうことが起きているかというのは持っていないと分からないんですよ。(「居場所が分かっちゃうよ」と呼ぶ者あり)いや、今、面白いやじが飛んできましたけれども、やじに反応しちゃいけないですね。
 インターネットを通じて、この携帯電話にいろんなメールが飛んできますけれども、去年、迷惑メール防止法と言われる、俗に言われる法律が制定されましたけれども、見ず知らずの人からメールが送られてきたときに、このメール欲しくない、もう送ってほしくないと思ったときには、この法律上はどういう対応ができることになっておりますでしょうか。
○政府参考人(有冨寛一郎君) 昨年の四月に成立をいたしました特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の中で、いわゆる迷惑メールにつきまして、今、委員御質問の、いわゆる送信を受けた方が欲しくないと、こういったときにどういう義務があるか、どういうことがあるかということでございますが、この法律におきましては、広告あるいは宣伝メールを送信する営利の事業者に対しまして送信拒否の意思表示をした者に対する送信、再送信は禁止をするという義務規定がございまして、したがって、もしそれに対しましてなお大量にまだ送り付けるとなりますと、これは電気通信事業者が電気通信役務の提供を拒否できるというような規定がございます。
○大塚耕平君 ということは、送信拒否の返信をできないようになっているDMメールはどうなるんですか。
 最近あるんですよ、大臣、そういうのが。送ってくるでしょう、いや、もうこんなメールを欲しくないというときに送信拒否しようとすると、返信ができないようになっているメールがあるんですが、これについてはどうすればいいんですか。
○政府参考人(有冨寛一郎君) この法律におきますと、具体的な事例に即しまして措置命令ができるというふうになっておりますので、その事案に即した対応をすべきであるというふうに思います。
○大塚耕平君 そうすると、送ってきている人の送信元アドレスは分かりますわね。その送信元アドレスを総務省に連絡したら何か対応してくれるんですか。アドレスは分かっているけれども、返信できないんです。
○国務大臣(片山虎之助君) 大きい声でゆっくり言ってください。
○政府参考人(有冨寛一郎君) 済みません。いつも口が早いと怒られています。申し訳ありません。
 この規定によりますと、データ通信協会等の指定法人がありまして、そこで指導をするとかあるいは把握をするとかということで、資料の収集もございますけれども、具体的な送信元が分かれば対応できるということになります。
○大塚耕平君 それから、最近は大臣、ショートメールとかいって、個人で作っているアドレスじゃなくて電話番号に送ってくるやつがあるんですよ。
 それで、これは大人はいいです、どんなメールをもらっても自分で判断できますから。でも、今、出会い系のメールの問題とかいろいろ別途議論されていますけれども、子供の携帯電話に受信拒否もできないような技術的な対応のされたメールがばんばん送られてくるわけですよ。そうすると、携帯電話の番号というのは、携帯電話の事業者が言ってみれば顧客の番号リストをざっと持っているわけですね。これは個人情報ですよね、これは細田大臣にお伺いしますけれども。
○国務大臣(細田博之君) 個人情報であると思います。
○大塚耕平君 そうすると、そういうメールを送り付けてくる人というのは、携帯電話の番号を何らかの形で取得しているわけであります。つまり、何らかの形というのは、番号を〇〇〇からずっと順番に一つずつ変えていってヒットするやつを順番に検索していくシステムで、これは電話番号じゃないアドレスの場合もそうですけれども、そういうシステムで入手しているわけですが、これは適正な取得ですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御質問の趣旨から推し量りますと、今御指摘の例というようなのは、データベース、個人情報データベースへの取得とかそういうケースじゃないようなふうに判断されるんですが、そういうことであれば、ちょっとこの法律の元々対象となるような行為ではないということになろうかと思います。
○大塚耕平君 今のケースで申し上げると、まず変なメールを送ってくる事業者が、まずその人たちは膨大な相手先に送っているわけですから、まずそのデータを取得する段階でそれが適正な取得であったかどうかという問題がありますが、いずれにしてもこれは個人情報取扱事業者になります。
 それから──ちょっと待ってください。元々、携帯電話網を運営しているドコモであれJフォンであれ、その皆さんも個人情報取扱事業者になりますね。両方とも個人情報取扱事業者です。この現象を、今回ここでお作りになるこの法的枠組みの中で、今後どういうふうに考えていけばいいですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 今のケースの場合で、いろいろメールのやりとりをする中で、メールの発信者の氏名あるいは場所、そういった情報を入手されていると。受け取った側が別途個人情報データベースを作るというような形で、一つのデータベースを作られ、そこに今またいろんな情報があって、その個人データベースに取り込むという段階になると、これはやっぱりこの法制の対象となる行為ということになると思います。
 問題は、ですから単に電子メールを受信しただけでいろいろなログが残るわけなんですけれども、そのログの状態だけであれば、ちょっとそれはこの法律の対象ということにはならないと思いますけれども、その中から改めて個人データベースとして構築するという段階では、やっぱりそのときはこの法律の定めるルールに従って取り扱っていただくということになるというふうに考えております。
○大塚耕平君 それは、さすが法匪の皆さんで、法解釈上はそうだというのはよく分かります、分かります。
 大臣にお願いしたいのは、だからその事業者も、そういう面白い商売をする事業者も、それから技術も日進月歩ですから、もう既に、去年、迷惑メール防止法を作って以降、それを、何といいますか、網をかいくぐるような現象がいろいろ起きていまして、これ、大人が相手の問題はいいですけれども、子供が相手で非常にいろいろまずいこともありますし、おまけに今回個人情報保護法というちょっとかする法案ができてきて、実態を調査して可及的速やかに、どういうふうに考えていけばいいのか、今後どういう方向で臨むのか、世耕さんともよく御相談していただいて御対応いただけるというふうに、ここでちょっとお約束していただけますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 本当に今の、あれですね、こういう関係は日進月歩じゃないですね、秒進分歩だと言っているので、いろんな法律の網をくぐる技術の開発ややり方が出てくるでしょうね。本当に世耕議員始め皆さんのお骨折りで議員立法で見事な法律を作っていただいたので、状況を調べて、ドコモその他関係のところとも十分相談をして、必要な対応をするということになればしっかり考えてまいります。
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 また方針が決まったら、調査結果が分かったら教えてください。よろしくお願いします。
 世耕さんが初日に……(発言する者あり)世耕さん好きなんですよ、私ね。大変面白い例をお出しいただいて、たしか東京新聞でしたかね、「こうなる二〇XX年」ということで、何でしたか、政界浄化を訴える保守系、金にきれいな、若手衆議院議員と書いてあるから世耕さんのことじゃないと思うんですけれども。この話と、あと労働組合からの名簿の件で御答弁をいただいたわけですが、これちょっと、これ全員にかかわる問題ですので、もう一回五十条と三十五条のところ、事実確認だけちょっとさせていただきたいんですけれども。
 藤井さんがいろいろ御答弁いただいたんですけれども、労働組合の皆さんが選挙の応援をしてくれるというので名簿を御提供くださるのも、それからあと、我々もそうですけれども、いろんな業界の皆さんとお付き合いがあって業界の名簿を御提供くださいますが、自民党の皆さんもそうだと思いますけれども、この間、労働組合のところでおっしゃったロジックというのは、業界から名簿をお預かりするというときも基本的には同じですね。同じか同じじゃないかだけ、ちょっとお答えください。
○政府参考人(藤井昭夫君) 同じであります。
○大塚耕平君 ということは、これは確認をしておきたいんですけれども、実はよく読むと、藤井さんがおっしゃったロジックも分かるんですよ。まず、個人情報取扱事業者に労働組合や、この間の例ですと同窓会ですけれども、これが該当するかどうかというところの判断と、そして今度は第二段階として、政治活動かどうかということで主務大臣が権限行使をしないという適用除外になるかどうか、二段階あるのは分かるんですよ。ところが、三十五条をよく読むと、三十五条の二項というのは、個人情報取扱事業者が第五十条に掲げる者に対して個人情報を提供する行為についてはその権限を行使しないとなっているんですね。第五十条というのは、個人情報取扱事業者について書かれているわけなんですね。
 ということは、三十五条二項というのは、個人情報取扱事業者が個人情報取扱事業者に対して情報を提供する場合を規定していると、まずそこだけ確認させてください。そういう理解でいいですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 三十五条の趣旨は、受け手が個人情報取扱事業者であるかどうかというのは明記はしておりません。むしろ、報道とかあるいは政治、報道とか表現の自由とか、適用除外を受ける者、失礼しました、個人情報、適用除外を受ける者自体は、いったん個人情報取扱事業者でありながら、五十条の一項の各号の要件に合致するというもので適用除外された者ということになるわけです。いったん観念的には個人情報取扱事業者ということでなるんですが、要件があるからこの法律の適用除外を受けた者ということになります。
 したがいまして、この提供先であるところは、やっぱり観念的にはいったんは個人情報取扱事業者であった者が五十条で適用除外されたものと、こういうことになります。
○大塚耕平君 もう少し具体的に確認しておきますけれども、つまりさっきのケースで申し上げると、労働組合とか業界団体とか、それから仮に会館なんかを建てている同窓会、それは事業者だとおっしゃっていましたけれども、そういう同窓会は三十五条二項に言う、まず主語である個人情報取扱事業者であって、そして情報の提供を受ける私たち政治家は第五十条に定める個人情報取扱事業者だと、こういう定義でよろしいですか。
○政府参考人(藤井昭夫君) おおむねそういう考え方で間違いないんですが、付け加えさせていただくならば、五十条で、本来であれば個人情報取扱事業者なんだけれども、第四章の規定の適用除外を受ける者と、こういうことになります。
○大塚耕平君 おおむねと付いちゃったんで分からないんですけれども、もう一回聞きますよ。
 これ、大変なんですよ。今回の答弁で議事録として残ったものを基にきちっと法に抵触しないように私も活動しますので、自分の問題として聞いているんですけれどもね。
 いいですか。私が、例えば選挙のときに、例えば業界団体から名簿をもらうときに、私は五十条に言う個人情報取扱事業者で、そして名簿をくださる業界団体は三十五条二項に言う個人情報取扱事業者、これでいいですね。
○政府参考人(藤井昭夫君) 説明がややこしくなったのは、法律の、三十五条の第二項の法律の条文上は、あくまで五十条第一項に掲げる者と、こうなっているんです。ですから、その第一項に掲げる者というようなのは、報道機関であったり、著述を業とする者であったり、あと政治団体、それから学術研究団体、こういった者に適用することということになります。
 ただ、ちょっと余計な御説明だったのかもしれませんけれども、その五十条の物の考え方というようなのは、ほっておけば、こういう報道機関であっても相当大規模な個人データファイル、情報データベースを持っていると。そういうことで、表現の自由等との関係で適用除外をする必要があるということで除外したものですから、ああいう説明になったということです。
○大塚耕平君 よく分かりました。つまり、私が聞いていたのとは事実は違うということをおっしゃっているわけです。
 三十五条の二項の「個人情報取扱事業者が」の「が」というのは、これはそこまでで主語を指しているわけではなくて、その事業者が五十条に該当する者である場合と言っておられるわけですから、それは非常によく分かります。そういうことですよね。
○政府参考人(藤井昭夫君) この二項の「主務大臣は、個人情報取扱事業者が」の「個人情報取扱事業者」というようなのは、情報を提供する者のことを言っているわけです。
○大塚耕平君 じゃ、さっき私が言ったとおりですね。
○政府参考人(藤井昭夫君) はい。
 それで、提供を受ける者、提供を受ける者は五十条の第一項の掲げる者と。今、繰り返しになりますけれども、報道機関等と、こういうことでございます。
 あと一点です。この対象にならないという場合は、これはもうこの法律の規律の対象から除かれるということでございますので、そこはちょっとお含みおきいただきたいと思います。
○大塚耕平君 そういうことであれば、分かります。五十条は、つまり提供する側にも受ける側にも両方に引っ掛かるということになってきますので、それは非常によく分かります。
 申し上げたいのは、元々この規定の対象になるということであるならば、世耕さんと決して仲が悪いわけじゃないんですけれども、世耕さんがあの新聞の例を出してここで御答弁いただいたことというのは、そもそも最初から対象外の話であるとすれば、そういう新聞の瑣末な情報をここに持ち込んで、それについて御答弁を求めていただくと大変困ったことになるわけですし、それから、私、一つ最後に申し上げたいのは、最初の法益の話、保護法益、大臣、その「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること」というふうになっていて、我々国会議員は、それは党派問わず、悪いことをしている人は別として、みんな国民の権利利益を守るために仕事をしているつもりなわけでありますから、そうすると、我々が、それを支援してくださる有権者の皆さんの個人情報の有用性に配慮しつつ、しかし我々自身は個人の権利利益を保護することを念頭に置いて仕事をしているということであれば、政治家に対する情報提供、その情報提供というのは名簿ですね、これについてはむしろ、この法律でがちがちに規定して官僚の皆さんがいろいろ解釈するとこうなるということを言えば言うほど、後でこの議事録を読んだ人たちは、一体あの政治家に名簿を渡して大丈夫かなとか、どんどん政治が縁遠いものになっていっちゃうわけですよね。
 だから最初から、政治に参加していただくことが日本を良くすることなわけでありますので、そうであるならば、政治家に名簿を渡す、ただしその名簿を政治家が適切に使うというのは当然でありますけれども、そういうことについては何ら問題がないといって、十把一からげにきちっと御答弁いただければいいわけでありますが、これは野党の皆さんに関係がありますがといって、労働組合の名簿の例だけを出してそれが議事録に残ると、それはそれで、やはりいい意味での政治の発展を妨げることになりますので、政治は、政治家に名簿を渡すことについては、基本的にこれは何ら問題がないと、ただし、その政治家が努力義務を、この個人情報保護法に言う努力義務は五十条にも係っていますので、それをやらなければならないことについてはそうだと……
○委員長(尾辻秀久君) 質疑者に申し上げます。
 時間参っておりますから、おまとめをください。
○大塚耕平君 そうだということについて、最後に御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 法律の趣旨は、むしろ政治活動の分野等についても、この法律が逆に言えば不当な公権力関与になる可能性があるという考え方から、何重にもむしろ不当な公権力が行使されないように配慮しているところでございまして、御趣旨のとおりだというふうに考えております。
○大塚耕平君 ありがとうございました。
○山下栄一君 私は、行政機関の個人情報保護法案について質問させていただきたいというふうに思います。今まで長い時間審議されておりますので、幾つか重複する部分もあるかも分かりませんけれども、お許し願いたいと思います。
 まず、第一条の「目的」のところでございますけれども、全部は読みませんけれども、「この法律は、」「行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と。現行法では目的の、現行法と同じ規定になっておるわけでございますけれども、この「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」という、ちょっとここが気になっておりまして、行政が適切な運営を図るのは当たり前のことだと思うんです。
 その次、「円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と。場合によれば、円滑な運営のために個人の権利利益を保護する事柄をおろそかにされることがあるのかというような読み方もできぬことないと思いますが、その点の確認をさせてください。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
 この第一条の「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、」、この「図りつつ、」の趣旨はいかがかというお尋ねですが、それに続きます個人の権利利益の保護、これがあくまでも第一義の目的であると、このように私どもは理解しております。よって、決して行政の都合を優先させるものではないということを断言いたします。政府案のこの個人の権利利益の保護を一方的に図るのではなくて、行政の適正かつ円滑な運営との適切な調和の下、図るべきだと、このような考え方に立っているところでございます。
○山下栄一君 次、二条ですけれども、今回、この個人情報保護、保護されるべき対象に紙文書情報、二条四項二号ですね、付け加えられたわけですけれども、これずっと確認しますと、総務大臣への事前通知、これは義務付けの適用外になっているわけですけれども、この紙文書情報について総務大臣への事前通知を義務付けないのはどうしてなのかということを確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 紙のファイルにつきましては、電子計算機処理に見られるようないわゆる大量高速処理、この特性が有していないと。そういうことで、個人の権利利益侵害のおそれも当然電子計算機処理の、処理に比べると、この個人情報、より少ないと。そのようなことから、紙のファイルについての事前通知を要しないこととした次第でございます。
 しかしながら、紙のファイルにつきましても、これ大臣も何度も答弁しておりますが、個人情報ファイル簿におきまして一定の事項の公表を自ら義務付けているところでございまして、これについてもやはり適正にしなければいけないと、そのように考えております。
○山下栄一君 次、四条でございます。
 四条は「利用目的の明示」というところなんですけれども、これは現行法にはない部分だというふうに思います。新たに利用目的の明示を義務付けるのはどうしてかということを確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 第四条第三号の「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」という意味でございますが、これは行政機関の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなくて、客観的に判断する必要があるもの、また事務事業の根拠となる規定、趣旨に照らしまして適正な遂行と言えるものでなければならないと、そういう趣旨でございます。
 さらに、この支障の程度でございますが、それは名目的なものでは足りず、実質的なものが要求されると。また、おそれの程度も、単なる確率的な可能性ではなくて法的保護に値する蓋然性が要求されるものであると考えております。
○山下栄一君 これは、四条のところのこういう規定を新たに設けたことが、結果的に国民にとってプラスにならないのではないかというふうに私は感じるんですね、これ。
 要するに、行政機関は、直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に対しその利用目的を明示しなくちゃならないと。これは当然といえば当然のことなんでしょうけれども、例外を作っている、「次に掲げる場合を除き」と。それが今ちょっと触れていただいた、特に私、気になるのはこの三号なんですけれども。要するに、行政の仕事上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるときは明示しなくていいと。支障を及ぼすか及ぼさぬかというのは、そんなのは行政の皆さんの判断ですから、拡大解釈がどんどんされる可能性があるというか、そういう心配があるんですね。
 だから、こういうのを初めから書いていない方がかえって慎重にされるんではないかと。書くことによって、例外規定を書くことによって、結局、なし崩しに本人に明示しなくてよい例が広がっていくという心配があるような規定ではないかと懸念するんですけれども、ちょっと重ねてで申し訳ありませんが、心配ございませんか。
○副大臣(若松謙維君) 委員の御懸念も一理あろうかと思いますが、やはりこの「利用目的を本人に明示することにより」と。当然、例えば犯罪の内偵捜査の際に捜査対象者に利用目的を明示する必要は、これは当然捜査上必要ないと。
 こういった私どもは常識的な場合を想定しておりまして、そういった行政の目的を達成するためにやはりこの条文は必要ではないかと、そういうことを考えてこの三号を規定した次第でございますので、是非御理解を賜りたいと思います。
○山下栄一君 懸念は最後にまとめて総務大臣にお聞きしたいと思いますけれども。
 次、八条、済みません。「利用及び提供の制限」のところでございますが、「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き」、これもこういう規定になっているんですけれども、「法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」と。
 これももっともらしい規定なんですけれども、現行ではこれは九条一項に書いてあるんですけれども、ちょっと細かいんですけれども、現行法では法律の規定に基づく場合を除きと、そういうことになってくるわけですけれども、今度は法令に基づくと。この法令というのは、法律よりも広がるわけですけれども、この法令というのはどういう部分まで入っていくのか。政令、省令、ちょっと詳しく分かりませんけれども、その下の方の、例えば大臣告示、その他局長通知とか、どこまで広がるんでしょうか、これ、済みません。
○政府参考人(松田隆利君) 法令は、法律のほか、さらに政令とか省令というものがあるわけでございますが、今回、この法律の規定に基づきを法令の規定に基づきというふうに変更いたしておりますけれども、これはそもそも、この個人情報は利用目的を厳しく限定をしていくという考え方に立ちまして、実はこの目的外利用の前段階であります保有の段階から、現行法におきましては、法律の規定に基づく所掌事務に必要なためということになっておるわけでございますが、それを更に、法律が言う大枠の規定ではなくて、それを更に細分化しました政令、省令、そういう段階の範囲で更に限定して保有をするというふうに、利用目的を更に限定をして保有するようにしているわけでございます。
 それとの関係におきまして、目的外に利用する場合におきましても、法令の規定に基づきということで、法律のレベルだけじゃなくて、更に政令、省令の段階の細分化された利用目的に限定をしていくという趣旨で「法令」という用語に統一しているところでございます。
○山下栄一君 より明快に限定の中身が分かるように制限していくという趣旨であるならばそれで結構でございますけれども、同じこの利用目的外の利用・提供、これちょっと心配なことがございまして確認させていただきます。
 目的変更の場合は国民への公開規定があるんですけれども、利用目的以外の利用・提供をする場合、八条ですけれども、国民にそういう場合は知らされるのでしょうか。確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 目的外利用の際に事前通知の対象になっているかというお尋ねですね。それはなっておりません。それでよろしいですか。
○山下栄一君 目的変更の場合は、十条一項三号、十一条一項に基づいて、各行政機関、公表されると。ところが、目的外利用の場合には公開しなくてよいと。ということは、国民にとって非常に都合の悪い、場合によっては被害に遭う、そういう場合にこの三十六条一項一号の利用停止請求制度が機能しなくなってしまう、国民は知らされていないわけですから、こういう心配があるわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。
 同じように、目的変更の場合と同じように目的外利用についても国民に知らせる必要あるのではないかというふうに懸念されるわけです、思うんですけれども、どうでしょうか。利用のことを聞かせてください。
○副大臣(若松謙維君) まず、三条の利用目的の変更、これはいわゆるそういったデータが、変更後の利用目的が恒常的なものであると、こういうことを想定しております。一方、八条の目的外利用・提供につきましては、これは今申し上げましたように、利用目的を変更せず一時的に認めているものと、こういうことで、基本的には三条の厳格運用を私どもは期待しております。そして、三条の利用目的の変更は、今申し上げましたように恒常的であるために、当初定めた利用目的と同等ということで事前通知を義務とした次第でございます。
 一方、八条の目的外利用・提供につきましては、原則禁止が解除をされる例外にふさわしい場合に限定されるということでありまして、かつ適切、必要なタイミングで行うことが必要になるために事前通知は義務付けていないと。
 こういう、極めて私どもが例外的なものとして、とはいいながらも、一年以内というもう議論もございましたが、先ほど申し上げました、やはり三条の、恒常的なもの、行政の業務を遂行するのに必要なものと、これについての事前通知という制度を導入した次第でございます。
 そして、個人情報ファイルの目的外利用・提供の状況につきましては、これは現行法におきましても、施行状況調査におきまして調査の上、公表しておりまして、新法におきましても引き続き行っているわけでありまして、結果的には公表されると、このような制度になっていることを御理解いただきたいと思います。
○山下栄一君 ちょっと今度、具体的な事案で今回の改正法の実効性を確認させていただきたいというふうに思いますけれども、昨年の五月に新聞報道によって発覚しました防衛庁の情報公開請求者リスト問題でございます。この情報公開請求者リストを保有し提供をしていたというふうなことが分かったわけですけれども、これはもちろん自衛隊法違反もあるわけですけれども、現行法の法令違反に基づいて懲戒処分がされております。現行法のどの部分に基づいて懲戒処分されたのかということをお答え願いたいと思います。
○政府参考人(宇田川新一君) 昨年の五月にありました防衛庁リスト事案でございます。これにつきましては、法的な問題、三つございました。
 一つは、海幕の情報公開室に勤務しておりました三等海佐の関係でございます。これは、個人情報ファイルに記録される情報は、当該個人情報ファイルの保有目的の達成に必要な限度を超えてはならないという旨を定めました行政機関電算処理個人情報保護法第四条第二項に反するものでありました。
 それからまた、彼の場合ですと、ファイル保有目的の達成に必要な限度を超えた内容も含む違法なリストを内局、各幕情報公開室などに配付しておりましたので、これは、個人情報の電算処理等を行う行政機関の職員は、その業務において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならないとする同法第十二条の規定に違反するものでありました。
 それからさらに、空幕の情報公開室の三佐とその後任者が、開示請求書に記載された請求内容のほかに、受付番号と氏名をリスト化しまして印刷したものを東京地方調査隊に配付しておりました。これは、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならないとする同法第十二条の規定に反するものであります。
 このほか、施設庁施設部所属の情報公開担当の専門官が、開示請求書に記載された氏名等の個人情報を含む資料を、一時期、情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能な施設庁内LANの施設部掲示板に掲示しておりましたが、これは目的外の利用につながりまして、同法第九条第一項に違反するものでございました。
○山下栄一君 ちょっと今の説明よく分からへんのやけど。
 現行法第四条第二項、現行法第四条第二項ね、それから第十二条、それ以外にもう一つ九条一項。九条一項というのはありましたかね。利用及び提供の制限のところですね。それ、間違いないですか。
○政府参考人(宇田川新一君) 委員御指摘のように、施設庁の施設部所属の情報公開担当者が施設庁施設部内のLANに掲載した事案ございました。これは九条一項に違反するものでございました。
○山下栄一君 分かりました。
 現行法ではそうなんです。改正法では条文が変わると思うんですけれども、ちょっとどの条文になるか、確認できますね、これは総務省の方で。特に現行法どこか変えたということないでしょうね。現行法では四条と十二条と九条に違反だと。改正ではどの条文に違反になるんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 まず、現行法の第四条第二項の、利用目的に必要な範囲を超えた個人情報の保有ということにつきましては、新しい行政機関法におきましては第三条で個人情報の保有の制限を規定いたしておりまして、「法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」というところに相当たるわけでございます。
 それから、現行法で第十二条で、個人情報の内容をみだりに他人に知らせること等を禁止しておりますが、これにつきましては、七条におきまして、新しい法律の方では七条におきまして同じように、「その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。」ということになっております。
 それから、現行法第九条の目的以外の利用・提供の禁止でございますが、これは新しい行政機関法におきましては第八条で、「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」というところに該当するわけでございます。
○山下栄一君 防衛庁の方、もう一遍確認しますけれども、現行法、この個人情報関連の法律は分かりましたけれども、大臣の補佐等にかかわる処分、事務次官以下ございますね。それと、実行行為、先ほどおっしゃった方も含めまして、職務上の注意義務違反というのがありますね、によって処分されている。それから上司の人、該当者の三等海佐ですか、その上司の人、上司の人に対して指揮監督義務違反。これはそれぞれ法律の根拠をちょっと教えてください。
○政府参考人(宇田川新一君) 昨年の防衛庁リスト事案につきましての処分は二つ根拠ありまして、一つは自衛隊法に基づきます懲戒処分でありまして、減給、戒告がこれに当たります。それとまた、防衛庁内におきます訓令がございまして、訓戒とか注意はこの訓令に基づくものでございます。
○山下栄一君 自衛隊法違反ということですね。
 次、罰則。この事案で罰則は適用されるのかと。五十条、五十三、特に五十五条でしょうか、五十三、五十四条、五十五条が罰則規定になっておりますけれども、去年の五月に起こった事案について、この罰則適用可能性というか、今回の改正では罰則対象になるのかということをお願いします。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 憲法の不遡及の原則によりまして、過去の事案について新しい刑罰法規が適用されるということはないわけでございます。
 したがいまして、仮に今後、防衛庁の事案のようなものが発生した場合に一般的にどうかということになるわけでありますが、これも刑罰の適用は司法当局及び裁判所が認定することになるわけでございますので、その認定いかんによるということに相なるわけでございます。
 なおかつ、一例として申し上げますと、例えば海幕三佐の例で申し上げますと、海幕三佐は、個人情報ファイルに記録される情報は当該ファイルの保有目的の達成に必要な限度を超えてはならない旨を定めた現行法第四条第二項に違反をしたり、あるいは業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならない旨を定めた現行法第十二条に違反したということであったわけですが、仮に、五十三条、この政府案、新しい政府案の五十三条におきまして、五十三条で、行政機関の職員等が正当な理由がないのに個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理に係る個人情報ファイルを提供することを処罰しているものでございますが。ここで、アトピーで例えば不合格などの事項が個人の秘密に属するとか、あるいは、その海幕三佐が正当な理由がないというふうに認定されるとか、そういう事実認定がなされれば、本条の規定により処罰される可能性がないわけではないと考えております。
 そういうことでございますので、あくまでこれは一般論でお答え申し上げさせていただきます。
○山下栄一君 一般論で答えたか知らぬけれども、そういうことなんですけれどもね。同じような事案がこの改正法の下で起きた場合に、五十三条、五十五条は適用される可能性があるのかと。ただ、例えば総務省が知った、新聞情報で出たと、それで懲戒の対象になるのかも分からぬけれどもこれは告発できるのかと、刑事告発、というようなことは考えておいてもらわぬと困るんですけれども、余り考えていませんか。
○副大臣(若松謙維君) 委員の問題意識でございますけれども、そもそも行政機関が御存じのように法令を遵守するということは、もう先ほど申し上げましたように、日本国憲法、さらには国家公務員法、こういったところに法令遵守義務が課されているということでありまして、その違反に際しての懲戒処分という制度があるわけであります。さらに、職務を行うことにより犯罪があると、こういうふうに認められる場合は上司は告発しなければいけないと、いわゆる上司の告発義務が課されているところでありますね。
 ですから、今回の防衛庁リスト事案まで現行法に関連しての懲戒処分の例がなかったというのは、行政機関がそれなりに厳正に現行法の規律を履行してきた結果であるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、この懲戒処分、極めて私たち行政を預かるものとして厳格にやはり適用しなければいけないと。そのためのやっぱり公務員の日々の行動というものをしっかりと見ていかなければ、そういう義務があると更に自覚しなければいけないと認識しております。
○山下栄一君 大臣にちょっと確認をさせてくださいね。
 現行法は昭和六十三年から施行されているんですね。ということは、十五年目を迎えているんでしょうか。その間、罰則はなかったわけですね、懲戒対象になるようなこと、何件あったのかということを。今ちょっと副大臣答えられましたので。要するに、この防衛庁以外は一件もなかったということですね。もう一回確認をさせてください。
○国務大臣(片山虎之助君) 詳しくは局長に答えてもらった方がいいと思いますが、私の記憶ではないと思います。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 現行法違反を理由として懲戒処分が行われた例はないものと承知をしております。
○山下栄一君 したがって、もう唯一の例が新聞報道によって分かったという懲戒、それ以外は懲戒はもうやったことがないと。要するに、基本的にはもう全部個人情報についてはすべての省庁で厳格にきちっとこの法律の下でやっていたということなはずなわけですけれども、これ唯一の事例が、これはもう新聞報道もされて詳しい状況も分かっている、そして今年の一月に処分もされた。じゃこれは、この実効性ということで罰則規定が入ったと。じゃ、この罰則に同じようなことが起こった場合に適用されるのかと。
 例えば五十三条、正当な理由がないのに、先ほど局長おっしゃいました、提供したときは懲役と。五十五条の職権を濫用してというふうなこと。特に今改正法の七条ですね。従事者の義務違反、七条違反。「みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。」と、こんなことが適用されるようなことになった場合は、罰則、適用されるのか適用されないのか。少なくとも改正法第七条違反で懲戒処分されているわけですよ。旧十二条ですか、改正法の第七条。先ほど確認させていただきました。
 罰則規定を設けている、何のために設けたのかという、唯一の事例はじゃそれに当てはまるのかと。それも分かりませんじゃ、これはちょっと何のために罰則、ほとんどそういう罰則なんて適用されるようなことはないと。少なくとも、新聞報道をされるような事案については各省庁はやるべきものやと思いますけれども、罰則適用されるかどうかは。それやらない場合は総務大臣が、総務省がやらないかぬような具合になるわけですから。だから、去年の事案については改正法では罰則適用可能なのかということぐらいの明快な見解は示せる状況に持ってきておかないと、何のためにこれ罰則規定を設けたのか、これも形だけかと、こうなってしまうと思うんですね。
 一般論じゃなくて、具体的な例として、同じような、同じ事例が去年の五月じゃなくて改正法施行されてから起こった場合は適用されるのかというぐらいの見解は明確にしておかないと駄目なんじゃないかと。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 昨年の防衛庁の事案を含めまして様々な御議論がございまして、それまでは行政機関におきましては公務員法の守秘義務違反による罰則、あるいは刑法の職権濫用罪等による罰則等がございましたが、なお一層このIT時代における個人情報処理についての行政の信頼性を確保すべしという与党三党の御方針、修正方針もございまして、今回新たに三点の罰則を付け加え、再提案させていただいたわけでございます。
 罰則につきましては、ちょっと時間の関係もございますので一々には御説明申し上げませんが、そういう経緯で罰則が追加され、そして今御審議願っているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この罰則の構成要件に該当するような事案が仮に今後生じた場合にはその罰則の適用があるということを申し上げました次第でございまして、それは司法当局及び裁判所による事実認定いかんにかかっているということでございます。
 以上でございます。
○山下栄一君 大臣、こういう場合、この新聞報道で国民の関心が高まり、そしてまた行政不信につながるようなことになってしまうと思うんです、私、中途半端なことをやれば。それで罰則が入ったと。じゃ、同じ事案がこの法律成立後に起きた場合は、捜査当局なんやと思いますが、告発するのかと、行政機関として。しない場合は、当該、例えば防衛庁なら防衛庁しない場合は、総務省がやらないかぬようになるわけですから、どうなんですかね、これ。
○国務大臣(片山虎之助君) 犯罪行為を知ったら、これは告発の義務があるんですよね。だから、それは告発してもらわないけませんが。
 今、山下委員、防衛庁のリスト問題についてのあるいはお尋ねかと思いますけれども、これは最終的には事実認定の問題になるんですね。五十三条は、正当な理由がなくて個人の秘密に属する個人情報ファイルを、これを提供した場合は罰則規定ですよね。だから、防衛庁の場合に、あれが個人の秘密に関する、例えば、何かの病気があって自衛隊の試験に落ちたなんというのが中にありましたよね。これは個人の秘密に属するということになる。それから、正当な理由があの場合にはないということになるんでしょうけれども、それが故意でやると、こういうことの事実認定ができれば、五十三条の私は適用の問題が出てくるんだろうと、こういうふうに思いますが、最終的には司法の事実認定、判断の問題になると。
 ただ、罰則を適用するという、罰則があるということが大変な抑止力になるんですね。最後は罰則があると、こういうことで、今の守秘義務や、刑法上には職権濫用や公文書毀棄罪がありますけれども、それ以外のパターンを三種類、今回の法律に書いたわけでございまして、これによって、罰則まであるよと、懲戒処分はもちろんあると、こういうことが大変な担保になるんではなかろうかという判断です。
 元々、我々は、特に罰則がなくても現行法制でやれるということを申し上げたんですが、その方が信頼性が更に増すと、こういう御意見ございましたんで、それじゃ、それに素直に従おうということで、与党修正要綱に従って今回新しい法案ではそれを入れさせていただいたわけでございます。
○山下栄一君 別にこれは、防衛庁に限らず、似たようなことが行われる可能性としてはあるわけですから。目的外利用、目的外利用違反もありましたし、特に、第七条の従事者義務違反ということで懲戒処分をされていると。この第七条違反の場合なんかはもうこれ、私は明快に告発対象になるというふうに私は思うんですけれども。
 いずれにしても、もっと、何といいますか、危機意識を持っていただいて、同じようなことが起きて、新聞の一面にでかでかと取り上げられたと。それ実際、去年五月に起こっているわけですから、その場合は告発対象になるのかどうかの厳密な検討ぐらいはやられているんでしょうけれども、今お聞きしている答弁ではなかなか分かりにくいなというのが私の印象でございます。
 最後ですけれども、結局これ、いろいろ配慮されて、国民の気持ちにかなうように現行法を改正して全面改定する法案が出てきたんですけれども、実際、最終的なこの実効性担保は各省庁に任せられているわけですね。こうしてはならない、何とかしてはならないと一杯書いてあります。書いてあるけれども、それがきちっと守られているのかと。厳しい内部告発がない限り一切発覚しないというようなことの可能性もあるというように私は思うんですけれども。
 それで、各省庁任せにはしないという部分が四十九条、五十条、五十一条やと思うんですね。これはもう私の、この法文読む限りでは、非常に調整権限の範囲内だと。できる規定にもなっているし、先ほどちょっとおっしゃったけれども、調査を独自に総務省ができるということじゃないですよね、これは。
 総務省設置法の行政評価に基づくものは調査報告権限があるわけですけれども、この四十九条、五十条、五十一条程度でこの制度管理がきちっとできるのかなと。総務大臣の権限、もう少し強化するような方向で考えた方がいいのではないかというようなことを率直に感じるんですけれども、四十九条、五十条、五十一条を積極的に運用、発動するでも構いませんけれども。
 いずれにしても、総務大臣のリーダーシップがないと、この行政機関個人情報保護法案は、今までも十四年間ですか、ほとんど懲戒規定はなしに、懲戒処分はなかったに等しいわけですから、もう全くこの正当な保護がなされていたということになってしまうわけで、そういう意味じゃ、総務大臣の、この法案所管省庁の最高責任者として、この実効性の担保の問題、チェック機能、総務大臣の役割について、最後、確認させてください。
○国務大臣(片山虎之助君) この四十九条、五十条、五十一条はかなり強いんですよ、規定としては。
 四十九条は、報告を求める、これは調査ができるんです、調査して報告出せという。それをまた私どもの方が公表するようになっているんですね、概要を。それから、資料の提出、説明の要求というのも、かなり権限として、事実上できるんですからね。それを規定で権限と置いている以上、私はかなり強いと思いますし、意見を五十一条で言えますから、これはもう言った以上、明らかに公表しますよね、メディアその他に。
 そういう意味では、使い方によっては私は大変強い権限だと、こう思いますが、ただ、今の内閣は各大臣が責任を持つ仕組みですよね。だから、各大臣がその是正、違反みたいなことがあったら是正すると、こういう仕組みなので、それは、それがちゃんとやるかやらぬかの担保は大変難しいんですけれども、それを全部総務省がやることになると総務大臣じゃなくて総理大臣になっちゃいますからね。そこはなかなか難しいんですが、各大臣の責任でやってもらうと。
 しかし、それがやや怪しいなと思ったら、それはこの四十九条、五十条、五十一条を使いまして、それは十分私どもの方でチェックしてまいりたいと、こう思っておりまして、また、国会で大いに言っていただくのが一番チェックになるんですよ。ひとつ今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
○山下栄一君 もちろん議会の行政監視機能は極めて重要ですので、それは議員としての役割だと思うので。
 今ちょっとおっしゃった、四十九条の報告を求める場合は、場合によっては調査もすることもあるという理解でよろしいですね、それ。
○国務大臣(片山虎之助君) 報告を求める中に、これこれを調査して報告してくれということは、私、当然含まれると思っております。
○山下栄一君 ちょっと早いですけれども、終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから個人情報の保護に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の以上五案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。今日もよろしくお願いいたします。
 まず、片山総務大臣にお聞きしたいと思います。
 裁判管轄の特例につきましては、地方在住者が請求者の所在地の裁判所で訴訟に関して訴訟管轄の特例を設けないという答弁でございまして、そのことについては現場サイドにどんどん権限を下ろしていくんだというお話もありましたけれども、訴訟管轄の特例を設けないということで、その考え方に変更はないでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) これはもう何度も当委員会でもお答えさせていただいておりますように、行政事件訴訟というものは被告の、行政庁の所在地の裁判所と、こうなっておりますから、情報公開法が、あれは議員修正で直ったわけで、今回も、衆議院の方では附帯決議で、裁判管轄全体を見直すときに考えてほしい、又は運用上やってくれと、こういうことになっておりますので、私どもも衆議院でもそういう答弁させていただきましたし、運用上、できるだけ地方機関の長に権限を委任して、だから地方機関の長がいるところで訴訟が起こせるように運用上やってまいりたい、こういうふうに思っておりますし、この行政事件訴訟の管轄をどうするかは大きな司法制度改革の中で議論していただきたいと、行政事件訴訟というのは一杯あるんですからね、そういうふうに考えております。
○森ゆうこ君 せっかく今回、法案、修正して再度提出されたものですから、そのときにこれだけ議論になるものを修正すべきだったと思うんですけれども、なぜしなかったのか。
 特に、情報公開法の関係で法律の整合性ということをよくおっしゃるわけですけれども、そういうことを考えますと、この個人情報保護法案に関しても、きちんと修正した新たな法案を出す時点で訴訟管轄の特例を設けておけば何の問題もなかったのではないかと思いますけれども、その点についてだけ。
○国務大臣(片山虎之助君) 情報公開法がもう例外中の例外なんですよ。普通はその被告の、被告である行政庁のある裁判所なんで、情報公開法だけが特例なんで、こっちの方がもう圧倒的多数なんですよ、情報公開法だけが違うんで。
 ただ、議論はなるほどありましたが、情報公開と違うのは、今回の個人情報保護における開示だとか利用停止だとか訂正というのは、やっぱり件数から見て、何度も同じことを言いますけれども、教育や医療が七割から八割なんですね。そういう意味からいうと、委任もできるんで、運用上カバーできるではないかと。
 それから、これだけ今、司法制度改革が全般に森委員御承知のように大きな議論になっている中で、その司法制度改革の一環として裁判管轄の問題も検討したらどうだろうか、ここだけこれが先走ってやるのはどうかなと、こういう意見もありまして、本来の原則に従って今回は裁判管轄はそういうふうにしていこうと、こういうことにいたしたわけでございますけれども、いずれにせよ大きな議論の中で管轄の問題は私はやっていったらどうかなと、こういうふうに思っております。
○森ゆうこ君 満足はできないんですけれども、次の問題がありますので移らせていただきます。
 罰則規定について、午前中にも様々な御議論がございました。総務大臣はこれまで国家公務員法上の守秘義務や懲戒制度があるから罰則は不要だというふうに答弁してこられたわけです。しかし、本法案では新たに罰則が設けられました。その真意について伺いたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 私は、前の法律、出し直す前の法律では、現行ある罰則と懲戒処分で十分対応できるということを何度も申し上げました。
 ただしかし、それじゃ不十分ではないかと、こういう御指摘が確かに国会でもございましたし、言わば世論というんでしょうかね、マスメディアその他にもそういう意見がございました。そこで、与党三党が御相談して罰則を少し追加したらどうかと、こういうことでございましたので、その内容を我々も中に入って一緒に検討をしまして、三条を結局追加いたしたわけでありますけれども、それならその方が国民のIT時代におけるこの個人情報保護の仕組みについての信頼性が増すんならそれはやむを得ないかなと。
 そういうことで、罰則というのは犯罪であるということがまず必要なんで、それを罰するわけですから、刑事処分で。構成要件をどういうふうにしっかり作るか、構成要件に見合って権利利益の具体の侵害がこの程度あるんでそれに対してはこういう刑罰が適当ではないかと。これ刑罰を作るというのは、大変、立案当局だけじゃないんですね、やっぱり法制局の意見も十分聞き、法務省のそういう専門のところとも調整した結果でございまして、その結果、五十三、五十四、五十四の条におけるような具体的な構成要件に該当した場合について、それぞれに掛けられるような罰則を適用していくと、こういうことになったわけであります。
○森ゆうこ君 この問題に関してはもう何度も議論が行われてきております。その政府案の第五十五条では、職権を濫用して個人情報を収集しても職務の用であると言えば処罰されないわけですね。私はこれでは緩過ぎるのではないかと思うんです。
 そして、官僚性善説、それから官僚の無謬性、無謬性なんという言葉は多分この中でしか使われない言葉だと思いますけれども、それぞれの官僚の皆さんが自分の職務に熱心な余りいろいろな間違いを犯すこともあると。目的は正しいものであっても、そこで一生懸命仕事をして、組織として仕事をしたときに、個人としての罪というよりも、組織的に結果として個人情報を、国民の個人情報を保護するという観点において組織として違法行為がなされる場合もあるのではないかと私は考えますが、この場合についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 政府案の五十五条の関係でございますが、本人が職務の用に供するんだということを主張いたしましても、裁判所の事実認定次第でその職務の用以外の用に供する目的だと、こう事実認定されればこの五十五条が適用になるわけでございまして、本人が言えばそうなるというわけではないわけでございます。
 職務の用以外の用に供する目的を要件といたしましたのは、職権濫用して個人の秘密にかかわる事項を収集するわけでありますが、そういう行為のうち、やはり当罰性と申しまして、刑罰に値する害悪を伴う行為、そういうものにやはり限定する必要があると、人権上もそういう限定をする必要があるということで職務の用以外の用に供する目的ということにいたしたわけでございます。
○森ゆうこ君 ここで細田大臣に伺いたいんですけれども、この罰則がこれでいいのかどうか、組織としての違法行為ということについて様々な議論があるわけですけれども。
 これは多分、細田大臣のセンシティブ情報の一つだと思うんですけれども、細田大臣の御趣味は何かパソコンですか、パソコンマニア、ネットマニアという、これはちょっと誤った情報でしょうか、適正に取得したと思っておりますけれども。
 そういうネット、コンピューターに詳しい細田大臣から見まして、もちろんこの担当大臣ですから伺いたいんですけれども、今までの議論は、今あるこのネット社会の現状、それこそ日進月歩じゃなくて、片山大臣が秒進分歩とおっしゃいました。よくコンピューターの社会でドッグイヤーだという話も出ますけれども、それどころじゃない。そういう中で、例えば情報がいったん、いったん外に漏れたときにはそれがあっという間に広がってしまう、取り返しの付かないことになる。こういう状況があるわけですね。
 元々はこの法案が策定された背景にはそのようなネット社会への対応ということがあったと思うんですが、今までの御議論をお聞きになられて、こういうことで十分このネット社会への対応、特にこの住基ネットが本格稼働するわけです、八月から。これで大丈夫だと思われますでしょうか。細田大臣に伺います。
○国務大臣(細田博之君) こういう情報の管理については、これも日進月歩でございます。しかし、まだ日本においては、e―Japan基本戦略を決めて教育等もやり、あるいは光ファイバー敷設などのインターネット環境、高速ネットワークの環境を整備して日が浅いわけでございますので、ハード、ソフトともにやや立ち後れておる感は否めないわけでございまして、そういった中で、よく例示されております最近数年間の不祥事というものもそこから出てきておるわけでございます。官の世界もようやくこの二年ほどで非常に整備を、環境整備をされ、あらゆる法令を変えて、許認可やら手続やら、そういうものをコンピューター化しようと、あるいはインターネットによる許認可申請手続等をできるようにしようということでやっと環境整備をしたところでございますので、まだまだいろんなことが起こり得る環境であると思っております。
 そういった意味では、本当に行政においても、あるいは一般の民間企業、個人においてももっとこの点についてセンシティブに正になるべきでございます。そして、罰則というのは、何度か申し上げておりますように、最終的な担保としてあるわけでございますけれども、片方は個人の利益を、言わばプライバシーの権利の一態様である個人情報というものを大切にするという立場でありますし、もう一つは、今や情報は一種の財物になっており、企業の資産であり、行政の資産であり、あらゆる意味で大きな国家の資産でもあるわけでございますので、その財産をめぐる犯罪的行為についてはきちっと対応できるようにしなければならないという要請もあると思っております。
○森ゆうこ君 それで、片山総務大臣に戻らせていただきます。
 この住基ネットが八月から本格稼働するということになります。このただいま提案されております個人情報保護法案、私どもはこれで十分だと思っておりませんが、これが成立することになりますと、言わば政府は大手を振ってこの住基ネットを稼働できるわけですね。ところが、先日も同僚委員からお話がありましたけれども、このセキュリティーの問題、住基ネットのセキュリティーの問題ですね。総務省の調査では一割の自治体でセキュリティー対策が不十分であると。そのことについてはここでももう御答弁されていましたけれども、私、そんな程度の意識でいいのかなと、一割の自治体でセキュリティー対策が不十分であると、これは大変問題であると思うんですけれども、まず、どういった点に問題があったんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 詳しくはまた自治行政局長から答えてもらいますが、全体、全部の市町村に百三十九項目のセキュリティーのチェックポイントを示しまして、例えばセキュリティー関係の体制、あるいは規程をどうしているか、関連施設や設備の管理がどうなっているか、システムの管理がどうなっているか、外部委託をどうやっているか、帳票の管理、それで自己点検をやってもらったんですよ。そうすると、九割はもう百点だったんです。それにびっくりしてもらわなきゃいかぬのです。九割はちゃんとしていたと。一割が百点ではなかったと。
 だから、これはもう一度そこは見直して整備してもらうと、こういうことでございまして、いずれにせよ二次稼働が八月下旬を考えておりますから、今年の一、二月にこの自己点検をやりまして、それをまとめて、せんだっての住基ネットの調査委員会というのがあるんです、いろんな専門の先生方が構成されておる、そこに結果報告をして議論していただいて、更にセキュリティーを高める上にどうするかと、こういうことでございまして、九割は百点だったということにひとつ我々は大変満足いたしておりますが、残りの一割についてはまだ百点じゃありませんから、百点になってもらおうと思っております。詳しくは自治行政局長が話します。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。
 大臣、御答弁なされたとおりでございますが、具体的に若干補足して申し上げますと、住基ネットのセキュリティー対策というのは私ども万全を期してやってきたつもりでございまして、先生今御指摘になりました昨年の八月五日からの第一次稼働以来、大きなトラブルもおかげさまで発生しておりません。ただ、そのセキュリティー対策につきましては、念には念を入れる必要がございますし、そういう御要請もございますので、この一、二月、二月にチェックリストを配りまして、三千二百十五の市町村にお配りし自主点検していただいたものでございます。
 私ども、セキュリティー対策につきましては技術的基準というものを総務省告示で定めておりまして、今般のチェックリストは、その技術的基準では抽象的にしか書かれていない面につきましても具体的にチェックリストを作成しておりますので、一部の自治体、一割でございますが、についてはまだ十分でないという回答が得られたわけでございます。
 ちょっと例を申し上げますと、例えば電子計算機及び磁気ディスク等を専用の部屋に設置しているかという問いにつきましては、七割以上が設置しているというお答えですが、五%につきましては設置していないということで、やっぱり庁舎、都合によって急にそう言われてもというところもあろうかということでございます。
 私どもとしましては、必ずしもその専用の部屋、専用の部屋というのが望ましいんですが、そうでなければ、パーティションですか、何か囲いで囲んでいただくような措置ができないものかどうか、今後都道府県を通じて技術的指導をやっていきたいというふうに考えております。
○森ゆうこ君 今、詳しく御説明いただきましたけれども、この今回の調査は今説明がありましたようにチェックリストを総務省が配られて、自己評価なんですね。これで問題ないと言われれば問題ないということになるんでしょうけれども、私はこれで大丈夫なのかなと。この初めて、よく分からないという、始まったばかりですからとかいろいろ言われますが、さっきも申し上げました、事はネット社会ですからセキュリティーが完全でなくていったん漏れた情報というのはあっという間に広がるんですよね。止めようがないんです。しっかりとした、そういう視点でしっかりとしたセキュリティー監査を実施すべきではないでしょうか。両大臣御見解を。──いえいえ、大臣で。大臣。
 短くしてください。
○政府参考人(畠中誠二郎君) 現状でございますのでちょっと私の方から御説明いたします。
 自己点検を行ったわけでございますが、併せて一部の市町村、これは昨年度、数でいいますと百八市区町村でございますが、外部の監査法人に依頼しましてシステム運営監査を実施しております。それで、今回その一割について不十分という結果が出ましたので早速、火曜日ですね、今週の火曜日に都道府県の担当者を集めて会議を開きましてこの結果を説明し、不十分なところはどこであるかを説明するとともに、七月上旬を目途にフォローアップを実施したいということで、その実施状況について報告を求めました。第二次稼働までに住基ネットの適切な管理運営がなされるよう更に努力、徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(片山虎之助君) その市町村の自己点検、自己チェックもいいんですが、それだけじゃやっぱりもう一つというところがありますからね。私どもの方で地方自治情報センターというのが指定情報処理機関ですから、これと一緒になって自己点検の結果も分析しいろいろ検討しまして、それによって支障がある場合には都道府県と一緒に、都道府県に中心になってもらいますけれども、いろんな技術的な個別に指導をやってまいりたいと。そして、もう一遍その結果をセキュリティーの調査をやって、七月ごろに、それで八月の稼働に備えたいと、第二次稼働に備えたいと、こう思っておりますから、委員も御心配でしょうから、万全の上には万全を期してまいります。
○国務大臣(細田博之君) 民間企業にとりましてはこの情報の管理は正に信用にかかわる問題でございまして、このような情報漏れがもし起こるとすればノウハウが流出する、あるいは人事や経理や取引やあらゆる要素が流出する可能性がありますので、全面的に一〇〇%の管理をしなければならない、これは企業として当然の論理だと思っております。
○森ゆうこ君 それで、ちょっと質問が前後して申し訳ないんですが、細田大臣に昨日質問しようと思っていたものをさせていただきます。
 午前中も大塚委員から再度指摘がありました。例えば、情報窃盗ということや情報漏えいを罪として今直接罰するものがないわけですね。ですから、例えば先ほどのお話ですと、コピー用紙を自分で持ち込んだら窃盗罪になるのかならないのかという何か笑い話にもならないような話がありますし、大体本当のプロでしたらフロッピーとか、今いろんなものがあるわけですから、自分のものを持ち込んで瞬時に情報を取ろうと思えば当然そういうことをやるわけですよね。
 それで、漏えいしたときに権利利益の侵害が著しい個人情報については情報窃盗や情報漏えい罪を刑法で規定することも考えられるのではないかと思いますけれども、その件に関して細田大臣の答弁をお願いします。
○国務大臣(細田博之君) 直接の所管としては法務省でございますので余り権限を越えてはいけませんが、私もIT担当の国務大臣として申し上げますと、刑法にははっきりと窃盗罪にしても横領、業務上横領等におきましても、他人の財物を窃取したる者は窃盗の罪としとか、あるいは業務上の自己の占有する他人の物を横領した者はと書いてありまして、刑法創設当初に電気を盗んだ人がいて、電気は財物でないということからわざわざ法改正をしたと。これは法律、刑法を学び始めた者の初歩の判例として必ず出てくる罪刑法定主義の要件でございますが。
 しかし、我々一般常識からいえば、このような情報というのは基本的には財物、財産的価値があることははっきりしておりますので何らかの対応ができないものかなと思うわけでございますが、法務省等でも過去に刑事局長等が答弁した内容を見ますと、プライバシーにかかわるような情報、必ずしも財産というよりは、一つ一つの情報自体が財産としてあるいは財物を形成していると必ずしも言えないような情報があるがゆえに、必ずしも刑法上の処罰に、窃盗とか横領とかそういうものに当たるとは言い切れないし、立法論としても必ずしも適当でない面があるので、むしろ個人情報を保護するという観点からの立法を促進することが望ましいというような答えも得ておりまして、しかし、社会の実態はどんどん進んでおりますので、森議員のおっしゃるようなことも踏まえて、法制審議会その他でまたよく議論してもらいたいなと思っております。
○森ゆうこ君 ですから、日進月歩じゃなくて、全然さっきの言葉が覚えられないんですけれども、いろんな、秒進分歩、片山語録でしょうか。今の現時点でそういうものに対応できないということは分かっているわけですよね。しかも、コピー用紙を自分で持ち込んでいたらそれは罪にならないというような話が実際にあって、個人情報保護法案が成立すればそれらのことに対応できると一般の国民は考えると思うんですよ。
 ということは、今の細田大臣の答弁ですと、今回の法案が成立しても、例えば今までそういう個人情報や会社の情報等、そういうものが漏えいしたという場合に、直接的に罰することができない、相変わらずそれはそのままだということで理解してよろしいんですね。
○国務大臣(細田博之君) 刑事罰として、直接その人を捕まえて、犯人を捕まえて処罰することは今できないわけでございますけれども、大変な違法な状態といいますか、問題のある状態が発見されれば様々な自主的措置に加えまして、報告徴収、勧告、命令、そして最終的には懲役又は罰金という制度を創設いたしますので、この法律が成立いたしますと、やはり一定の効果は上げられると思っております。
○森ゆうこ君 先ほどの答弁の中で、構成要件の明確化等も必要なのでというふうなお話もありましたが、やはりこれまでの議論を聞いていますと、きちんとした、例えば金融なら金融の分野、医療なら医療の分野で個別法による対応というのがやはり必要ではないかと思います。午前中の議論を聞いていても、そのためにもやっぱり今ここで決めておくべきことは、基本法としてきちっと基本理念、そして基本原則が盛られた骨組みとしての法律がやっぱり必要なんだな、今回の法案では帯に短したすきに長しというのは、そのとおりだなというふうに感じました。
 そのことについて、改めて触れていただきながら、ちょっと総務大臣に質問したいんです、さっき飛ばしちゃった質問なんですけれども。
 先ほど午前中にも、最終的には意識改革だと、運用するその職員の意識改革が必要であるというお話がありましたが、私もそのように思います。個人情報を最も集積しているのは行政機関なんです。防衛庁のリスト作成問題や今回の自衛官募集の問題など、これは国民の信頼を損ねる、こういう事件なんですね。
 個人情報の適正な取扱いについて、公務員に対する教育研修をしっかりとやるべきではないかと思います。大臣もそのように意識改革が必要であると御答弁されておりましたが、具体的にそのような教育研修ということについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) これも既に御答弁させていただいておりますが、結局、法律の制度運用の信頼性はやっぱりそれに携わる一人一人の職員いかんに係っていると。そういう意味では、職員に対する教育研修を強化することは大変重要なことだと、こう思っております。
 これまでも、セミナーだとか研修会だとか、それから各省庁参加の連絡会議をやってまいりましたけれども、これからは、各省庁ごとに研修会をやってもらってそれにこの立案を担当した職員を派遣して詳しく説明するとか、あるいは部局ごとに責任者を決めていただいて、その責任者の人に教育研修を積極的にやってもらう、そういう責任を持ってもらうとか、また教育研修のガイドラインみたいなものを作ってそれに従って各省庁ごとにやってもらうとか、いろんなことを考えていきたいと思いますし、またインターネットその他を使いまして、できるだけ個人情報保護の仕組みについて広く理解を求めるような万般のことを考えたいと、こう思っておりますので、森委員、いいアイデアがあったら是非教えていただければ有り難いと、こう思っております。
○森ゆうこ君 それで、これは多分誤報だとは思うんですが、私の地元の、新潟ですけれども、地元の新聞に、総務大臣が、各省が目的外利用について相当な理由の有無を判断するためのガイドラインを作る必要があると述べたとの記事が掲載されていますけれども、どのようなガイドラインを作成するおつもりなのでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) この目的外利用や提供というのは千差万別あると思いますね。だから、なかなか難しいと思うんですが、私は、ガイドラインみたいなものがあれば、各省庁も助かるし、我々の方もいいことになるわけですから、各省庁といろいろ相談してみたいと。
 また、これからいろんな目的外利用や提供のケースが出てまいりますから、その症例をまとめて、そういうことでガイドライン的なものを作りたいと。作りたい、これは私の希望ですよ、作るということじゃない、作りたいと、こういうふうに思っております。その努力をいたしたいと思います。
○森ゆうこ君 時間ですので終わります。
 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、今日、冒頭に個人情報ファイルについてお聞きをいたします。
 この件については、後ほど共産党の宮本岳志さんも質問されると思いますが、非常に個人情報ファイルが作られていて、それのチェックがなされていないのではないかということについてお聞きをいたします。
 後ほど配付、提出されるでしょうが、私自身も同じ現物、現物というかコピーされたものを持っております。右翼標ぼう暴力団個人カードで、一人の人についての細かいものが全部入っております。内部情報につき令状請求、送致資料等に添付しないこととわざわざ判こが押されております。これは週刊プレイボーイで報道されたものですけれども、行政機関別個人情報ファイルは現時点で把握されているものは千九百七十九件、警察は十件という報告がされておりますが、このようなプレイボーイに報道された個人カードなどはこの中には入っておりません。報道によれば、これがサラ金業者に提供され、さらにやみ金融業者に流れているというものです。警察の作成した個人ファイルがやみで売買をされている。また、警察に対して、そのサラ金業者からお中元、お歳暮、細かいものが出ているというものも、資料として全部いただいております。
 このファイル、こういうものは本当に存在するのでしょうか。
○政府参考人(近石康宏君) 御指摘の週刊誌の報道の内容については承知しておりますけれども、御指摘のような事実関係については承知していないところであります。
 また、お尋ねの週刊誌に掲載された資料につきましては、個人のプライバシーの問題もあるので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 この資料は、はっきり警視庁刑事部捜査第四課として判こもきちっとあるものです。ですから、調べていただければ、部内に同じものがあるのかどうか即座に分かると思いますが、いかがですか。
○委員長(尾辻秀久君) 先ほど名前を間違えて指名いたしました。改めて申し上げます。警察庁近石暴力団対策部長。
○政府参考人(近石康宏君) 警察では、警察の責務を果たすために各種の情報を収集し、暴力団関係も同じでありますけれども、これら資料を保管しておるところでありますけれども、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○福島瑞穂君 ただ、この法案で問題になっているのは、各行政庁が持っている個人情報ファイルについてどのような規制ができるかということを議論をしております。各行政が持っている個人情報ファイルについてこの法案が無力であれば、百害あって一利なし、何の役にも立たないということになります。
 現にこういうファイルがあるのかどうか。あるとしたらどういう規制が可能なのか。その前提として、このような個人ファイルがあるのかどうか教えてください。これは偽物なのでしょうか。
○政府参考人(近石康宏君) 繰り返しになって恐縮でありますけれども、これは個人のプライバシーにわたる問題でありますので、これが、その点についての答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
 いずれ──よろしいですか。
○福島瑞穂君 個人のプライバシーということを私は聞いておるわけではありません。だれの個人ファイルがあるのかなどということを聞いているのではありません。警視庁刑事部捜査第四課がこのような個人ファイルを作っているのかどうかという点です。
○政府参考人(近石康宏君) 一般論といたしましては、警察では、犯罪捜査を始めあらゆる警察活動を通じまして暴力団や暴力団員等に関する情報を収集しており、その資料等も作成、管理しているところであります。
○福島瑞穂君 行政機関別公示対象個人情報ファイル数ということに、十というふうに書いてありますが、この中には、このリストの中に入っておりません。どういう個人情報ファイルを作っているか、いただいた資料には、家出人ファイル、風俗営業等管理ファイル、二輪車防犯登録ファイルという、こういうものになっていて、いただいた十件の中にこのような個人情報ファイルがあることが示されておりません。
 改めてお聞きします。このような個人情報ファイルはあるのかないのか、教えてください。
○政府参考人(近石康宏君) 今、申し上げたとおりでありまして、暴力団に関する個人カードといったものはございます。
○福島瑞穂君 後ほど宮本委員の方からもあると思いますが、これはかなり詳細なものです。体の特徴から、前科前歴から、家族歴から、細かい情報が一人の人について出ております。これらの情報がお金で売り買いされて外部に流出していると。おまけに、警察の中でお中元、お歳暮等様々なものをもらい、情報の提供の見返りに相手方はいろんなものをくれているということが具体的にあるわけですね。
 では、今の答弁で個人ファイル、個人カードがあるというふうにお答えになりました。それはなぜ行政機関別公示対象個人情報ファイルの中に入っていないんですか。
○政府参考人(近石康宏君) これにつきましては、犯罪捜査についてはこの十件の中に入れなくてもよいということになっております、入れないということになっておりますので、犯罪捜査に資するもの、犯罪捜査に入れると支障が出るというものは入れてないというところであります。
○福島瑞穂君 行政機関が個人情報ファイルについてどのようなものを持っているかということについては、本当に知る由もないわけですよね。
 とすると、非常に重要な個人情報を、ファイルを仮に行政機関が持っていたとしても、そのチェックが全然できない。おまけに、この事件が表しているのは、こんな情報がどんどん転々流通して第三者のところに出ているという、その事実です。ファイルがあることそのものも分からないし、チェックもできないと。
 では、ちょっと質問を変えます。
 これ、立法者としては、このようなファイルについてはどのような規制が可能だと考えられますか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 これまでも申し上げておりますように、この個人情報保護の一環としまして、個人情報ファイル、体系的に作成されました個人情報の集合物でございますが、こういうものについては、現行法もそうでございますが、現行法は電算処理に限られていますが、事前に総務大臣に通知をして、そして公表をするということになっております。
 ただし、例外がございまして、これは限られた例外になるわけでありますが、一つは、国の安全、外交上の秘密その他、国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル、それから、今警察庁の方からも話がございましたように、犯罪の捜査等、租税犯則事件も含まれますが、そういうもののために作成し、取得する個人情報ファイルということでございまして、これは高度の秘匿性を要しますので総務大臣の事前通知の対象にはいたしていない、公表の対象にいたしていないということでございます。残りの第六条第二項三号以下の個人情報ファイルは非常に軽微なものでありまして、個人の権利利益の侵害のおそれが少ないというものでございます。
 したがいまして、こういう一部のものはそういうことで事前通知、公表の対象になっておりませんが、大半のものは事前通知、公表の対象になっているわけでございまして、何も分からないということでは全くございません。
○福島瑞穂君 今の答弁ですと、もしこれが電子化されていますと、この警察ファイルの存在は法案成立後には届出が義務付けられないということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) この法案の成立後、届出が必要になるかどうかということでございますか。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
 行政機関、新しい法律におきましても、先ほど申し上げましたように、総務大臣の事前通知あるいは公表の対象外としまして、犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイルについては適用対象外になっておりますので、事前通知の対象外でございます。
○福島瑞穂君 再度確認させていただきましたが、つまり、行政内部で歴然とこういう個人ファイルがある。しかし、それについては届出が一切されないわけです。市民は自らの情報を開示させたりその誤りを訂正させたりすることは不可能なわけですね。届出もされていない。これは情報流出をしているわけですが、届出もされていない。ですから、内部で目的外使用などがあったとしても、それは一切分からないと。
 こういう問題については法の欠陥であると。行政情報についての個人情報保護として行政内部でひそやかに作られていて、対外的には出さないことになっている。これ、捜査資料にも添付するなとわざわざ書いてありますから。
 そうすると、どこからもチェックされずに膨大なる個人情報が滞積されていると。それについては全くのアンダーグラウンドでチェックができないということになりますが、これは重大なる法の欠陥だと考えますが、どうですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 先ほども御答弁申し上げましたように、正に国の安全ですとか外交上の秘密ですとか、あるいは犯罪の捜査ですとかということで高度の秘匿性を要する、そういうものでございますので、また、それが国益を維持したりあるいは犯罪の摘発を行ったりするために正に必要になるものでございますので、そういう必要性のあるものとして事前通知の対象外といたしているものでございます。
○福島瑞穂君 これは必ずしも犯罪に直結しないものもあるわけですし、詳細なる個人のデータです。これは、もし、これが情報流出に対してはどのような対策が取られるのでしょうか。現に警察がその情報を売っているということについてはどうなるのでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 一般論でございますけれども、当然、個人情報の的確な管理をしなければならないようにこの行政機関法案等においては決められていることでございます。したがいまして、そういう安全管理をする責務がそれぞれの行政機関にはあるわけでございまして、そういう、漏出とかそういうことがないように厳しくチェックをしなければいけないということになるわけでございます。
 また、これが新しい法案におきましては罰則も更に追加されておるところでございまして、罰則に該当するような行為の場合には処罰の対象になるということでございます。
○福島瑞穂君 勝手に個人的にそれを売ったりすればこの法律に基づいて処罰をされるわけですが、一貫してこの委員会の中で問題にしているのは、一般の人が知る由もない大量のファイルがやはり行政内部に存在し、そのチェックのしようもなく、知ることができないということについて、この法律は触ることができないということです。
 次に、この行政情報に関しては開示請求等が認められておりますが、情報公開法に基づき開示請求があり、不開示決定処分が情報公開審査会で争われている案件があります。行政機関法案第四十五条一項に該当すると思われる案件もたくさんあります。
 実際に不開示決定処分がなされているものには、例えば平成十四年度の件で法務大臣に対するもの、平成十四年度、法務大臣に対して、本人が府中刑務所において保護房に収容された記録の不開示決定に関する件。平成十四年度、法務大臣に対して、岡山刑務所に収監されている特定個人の病気や体調に関する文書の不開示決定に関する件。
 拘置所や刑務所の件が非常に多いんですが、特に問題なのは、本人が、自分自身が、例えば保護房に自分が入っていたときの記録の開示を求めたとき、これは視察表とか動静視察表とかあるわけですが、本人が自分の処遇がどうだったのか例えば争いたいとか思って開示請求をやっても、これは不開示になっているんですね。今、法務委員会の下ではかなり死亡帳が出てきたりしていますけれども、死亡帳の事案。身分帳に関しては、平成十三年度、法務大臣に対しての開示請求、在監者に係る身分帳の不開示決定というものがあります。ですから、今、国会が努力をして出てきた情報は少しあるんですが、本人が自らの、例えば保護房についての開示請求をやって不開示になっているんですね。
 私が申し上げたいことは、だれのプライバシーも侵害するわけでもなく、自分がどういう処遇を受けたかということについて開示請求をやっても不開示になってしまうというと、自分に利害があることで開示請求をやっても相当不開示に、その情報公開法の取扱いから言うと、なってしまうのではないかというふうに考えられます。
 そうすると、結局、行政が持っているその本人自身の情報の開示というのが非常に限定的になってしまうということについては、いかかがでしょうか。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
 情報公開法は、国民主権の観点から、政府の国民に対する説明責任ということで、何人に対しても行政文書の開示請求を認めているものでございます。したがいまして、行政情報公開法においては個人情報は非開示情報となっておりまして、何人もだれかの個人情報を開示請求するということはできないことになっております。
 したがいまして、正に今、行政機関個人情報保護法案ということで、本人個人の、本人による開示請求の制度を、さらには訂正、利用停止等の制度を設けさせていただこうということで御提案申し上げているところでございます。この法案が成立をいたしますれば、個人に関する情報は本人から、一定の非開示事項に該当しない限り、開示請求ができるということに相なるわけでございます。
○福島瑞穂君 私が先ほど申し上げたのの中では、不開示になったものは本人自身が請求をした、本人が、自分が保護房に入っているときの保護房収容された記録の開示を求めたら、それが不開示になっているんですね。だれか他人のプライバシーを侵害するとかという問題ではない、本人の開示請求を、情報公開に基づく公開、情報公開法は不開示にしているわけですね。
 ですから、今回、先ほども情報ファイルが何とかという議論の中でもありますが、今回、行政情報についての個人情報保護法案がありますけれども、開示請求をやって、いや捜査のために支障があるとか何のために支障があると、不開示になることが非常に多いのではないかという点についてはいかがですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答えを申し上げます。
 繰り返しになりますが、今の情報公開法は、先ほど申し上げましたように、何人に対して、何人も行政文書の開示を請求することができるということになっておりますので、個人の情報は正にプライバシーの観点から非開示情報、非開示になっておるわけでございます。したがいまして、情報公開法の下では、本人からの開示請求であっても開示されることにはならないわけでございます。
 したがいまして、本人からの自らの情報の開示請求の制度を設けようということで今、行政機関個人情報保護法案ということで御審議をお願いしていると。この法案の成立がなされますれば、その後におきましては、本人から自らの個人情報についての開示請求、訂正請求、利用停止請求等の請求ができることになる。一定の非開示事項が当然あるわけでございますが、それを除きまして開示請求が可能になるということでございます。
○福島瑞穂君 私は、情報公開法の趣旨にのっとっても、本人が自分の情報の開示ということがあればそれは認めるべきだと考えますが。
 では、次に、データマッチングについてお話、お聞きをいたします。
 先ほどの警察の個人カードに戻りますが、警察の個人カードがどのように個人情報を収集し作成をされたのか、その過程で不正取得はなかったのか、データマッチングは行っていないのかということについてはいかがですか。
○政府参考人(近石康宏君) 一般論といたしましては、警察では、犯罪捜査を始め、あらゆる警察活動を通じまして暴力団や暴力団員等に関する情報を収集しております。その収集及び資料の作成、管理につきましては、申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。いずれにいたしましても、名称はともかく、カード的なものが存在するということは事実であります。
 あと、情報収集は警察法二条に定める警察の責務を達成するために行っているのであり、その方法についても適法、妥当なものとなるよう、十分配意しているところであります。
 また、データマッチングということでありますけれども、警察の保有するデータにつきましては、法令の定めるところにより適切に管理しているところであります。
○福島瑞穂君 この個人カードを見る限り、いろんな情報をあっちこっちから引っ張ってきて一人の個人情報ファイルにしています。明らかにデータマッチングがされていると思います。このような問題について、全然メスがこの法案では入らないと。今日の答弁でも、漏えいに関してはあるかもしれないけれども、入らないというところが問題ではないでしょうか。
 ところで、防衛庁適齢者名簿問題との関係で問題になるのは、六号の、一年以内に消去することとなる記録情報のみを記録する個人情報ファイルです。DM発送用の電子化された名簿は一年以内に消去するため、事前通知の対象ともならないというふうにされました。しかし、毎年、あて先は異なるとしても同じ趣旨のファイルを作成し続けるわけで、一年以内であっても継続して作成されていることに変わりがありません。
 ですから、常に更新されている場合、あるいは一時的に必要に応じてマッチングされて保存はされないような場合、個人情報の利用は経常的に行われているものの、事前通知はされていません。このような経常的に作成されるものについては事前通知が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 事前通知の適用除外があるわけでございますが、先生今御指摘のように、経常的に作成されているものでありましたら一年以内に消去されるということにはならないわけでありますから、事前通知の対象になるわけでございます。個人情報ファイルがその時々の用にしか供されないということで一年以内に、言わば直ちに消去されてしまうものもあると思いますが、そういうものについては個人の権利利益の侵害のおそれが少ないというようなことで事前通知の対象外、対象から除外しているところでございます。
○福島瑞穂君 請求者リストは千件以下であるかどうかが問題になっています。千件以内というふうになっていれば対象にならないということで事前通知は必要ないわけですが、これは政府の答弁では、千件以下の個人情報ファイルの場合は個人の権利利益を侵害するおそれが少ないというふうな答弁だったと思いますが、千件以下であったとしても、例えば、先ほど実は申し上げました警視庁の個人情報ファイルだと千件以下であったとしても極めて詳細なわけですね。千件以下ということは妥当でしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 総務大臣によるこの法律の統一的な運用あるいは適正性の確保という観点からのチェックに資するためということで事前通知の制度を設けているわけでございますけれども、現行法の電算機個人情報保護法におきましても同じような制度を設けておりまして、現在、政令で千件以内ということに、千件以内の言わばそういう小規模のものについては事前通知の対象外にしているわけでありますが、この行政機関法に、新法案におきましても、そういう小規模のものにつきましては、先ほどの個人の権利利益の侵害のおそれが少ないということで対象外にいたしているところでございます。
 具体的な件数につきましては、今後、国会での御議論も参考にさせていただきながら政令で定めていくことになるわけでございますが、いずれにしましても、そういう観点での制度でございます。
 千件未満のものにおきましても、個人情報を利用目的に沿って厳格に管理し、目的外の利用・提供等を厳格に制限していく、そしてそれにつきまして本人が開示請求その他の本人関与によるチェックが可能になると、さらには第三者機関による行政機関の取扱いについての不服審査に関する審議も行われるということで、権利保護に徹底を期する、そういう制度にしているところでございます。
○福島瑞穂君 千件ということにとらわれなく、中身について、もう少し運用面で事前通知が必要かどうかを考えていただきたいと思います。
 行政機関個人情報保護法案八条の相当な理由、特別な理由、これは衆議院でも大変議論になっています。法案審議で、その相当な理由の中身は何か、その判断の公正さ客観性をどう担保するのか、目的外利用、外部提供した事実をどのように明らかにするのか、これについては、分かりませんので教えてください。
○政府参考人(松田隆利君) 相当な理由、あるいは内部で利用する、あるいは他の行政機関に提供する場合に、そういう目的外の利用・提供の場合に、当然、法令に基づく所掌事務のためということでありますし、個人の権利利益の侵害をしないという前提の下に、さらに相当な関連のあるものに限られるということで限定を加えているわけでございます。
 相当な関連というのは、何人もなるほどなという合理的に納得できるようなそういう範囲に限られる、そういう法律用語として我々は理解しているところでございます。
 それから、特別の理由は、行政機関外に、例えば公益法人その他に提供する場合でございまして、行政機関が取り扱うのと同じような公共上の利益があるという場合に特別の場合ということにいたしているわけでございまして、そういうものに限られるわけでございます。
 チェックできるかどうかということでございますが、再三御説明いたしておりますように、総務大臣による施行状況調査ということで目的外の利用・提供の状況等は把握することにいたしておりますし、かつ本人関与によるチェック等々が行われるということでございます。
○福島瑞穂君 目的外利用するときは届出を出させるということはいかがでしょうか。目的外利用がそんなに多くないということであれば、届出を出すということでチェックができると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 新しい行政機関法におきましては、これまでのコンピューター処理された個人情報にとどまらず、すべての個人情報に対象を拡大をいたしております。
 一定のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、総務大臣による施行状況調査ということでチェックをすることになっているわけでありますが、目的外利用を事前にチェックをするということは、いろんなケースがございまして、それが、先ほどの条件、法令の所掌事務のために必要だ、本人の権利利益を侵害しない、かつ相当な関連があるという範囲内での非常にケースとして多くある話でありまして、これを一々に事前にチェックをする、あるいは審査会等で審査をするということになりますと、国民に対する行政そのものが大幅に遅延をしてしまう、あるいは行政の言わば業務が非常に過大なものになるというようなことで、必ずしも適当でないと考えております。
○福島瑞穂君 ただし、総務大臣における施策のチェックということも一体どれだけやっぱり行われるのか。
 今日、警視庁が持っている個人情報ファイルのことについて質問をしましたけれども、防衛庁のリストにしても、情報公開請求した人のリストの問題にしても、それがどう使われようとなかなかチェックができないし、総務大臣自身のチェックということもどれだけ中に踏み込んでできるのかという疑問が思います。
 行政情報の目的外使用についてのチェックがこの法律に関しては極めて弱く、問題があるということを申し述べて、質問を終わります。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 一昨日の質問で時間切れになった問題を引き続きやりたいと思います。
 議論の前提ということで、二つの法案の対象となる個人情報の範囲についてこの前聞いたところ、電話の通話記録は匿名化の処理がされていない限り基本法案の対象だと細田大臣はお認めになりました。それから次に、行政機関法において基本法とほぼ同一の文言で定義されている個人情報には特定の車の車両ナンバーに結び付けられたデータの集合は含まれるのかと、こう聞きましたら、松田局長は車両の登録ナンバーというものがどういうものか御承知でないという答弁だったが、若松副大臣が、これが車の所有者等に容易に結び付けられるものだという御認識をお示しになりました。
 そもそも、基本法と行政機関法とで個人情報の定義の違いというのは、基本法にある「他の情報と容易に照合することができ、」という部分の「容易に」というこの三文字がないというのが違いなんですね。それだけ行政機関法の方が個人情報の定義を広げていると、こう政府は説明をされております。
 まず確認します。二つの法律を比べれば、行政機関法の方が個人情報の範囲を広くしている、これで間違いないですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 基本法案は民間の事業者を対象とし必要最小限の規律を定める観点から、個人情報は行政機関法案の個人情報と異なり、照合の容易性を要件としているものと承知いたしております。このため、行政機関法案の個人情報の方が照合の容易性を要件としない分だけ範囲が広いということになろうかと思います。
○宮本岳志君 そうであれば、電話の通話記録が個人情報に入るわけですから、行政機関が持っているデータである車両の登録ナンバーを含むものが対象にならないはずがないんですね。つまり、この前取り上げたNシステムというこのシステムの情報ファイルは行政機関法の対象に含まれるということは明らかです。
 そこで、前回せっかくお越しいただいて時間切れで御答弁願えなかった警察庁の刑事局長にお伺いをしたい。
 Nシステムの概要、設置目的、設置の根拠法について、かいつまんでお答えください。
○政府参考人(栗本英雄君) お答えをいたします。
 お尋ねの自動車ナンバー自動読み取りシステムにつきましては、自動車を使用した重要凶悪犯罪や重要犯罪に使用されるおそれのある自動車盗難事件が多数発生している状況にかんがみまして、自動車利用犯罪が発生した場合に、緊急配備による交通検問による渋滞などを引き起こすことなく、現場から逃走した容疑車両を速やかに捕捉し犯人を検挙すること、及び重要事件等に使用されるおそれの強い盗難車両を捕捉し犯人の検挙及び被害車両の回復を図ることを目的といたしまして、走行中の自動車のナンバーを自動的に読み取り、盗難車両等の手配車両のナンバーと照合するシステムでございます。
 本システムは、公道上を通行する車両につきまして、道路運送車両法において「見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない。」と規定されておりますナンバープレートを自動車の走行を妨げることなく読み取るものでございまして、警察法二条による犯罪の捜査を責務とする警察が捜査活動を遂行する上で活用をしているものでございます。
○宮本岳志君 衆議院の保坂議員がこれを取り上げて、車を運転している当事者が、あのときNシステムの監視のカメラの下を通ったと、それでそのことを証明したいといって開示してくれと言っても、これは警察庁は開示しないと。なぜならば、監視カメラの位置が明らかになることと犯罪捜査に支障があるということでありました。
 このシステムによるデータのファイルは、行政機関法の第十条二項の二号、「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル」、これに該当するかどうか、警察庁にお答えいただけますか。
○政府参考人(栗本英雄君) お尋ねのNシステムで読み取りました通過車両データにつきましては、都道府県警察が捜査に活用するために犯罪捜査目的で保有しているものでございまして、総務大臣に対する事前通知の対象にはならないものと認識しております。
○宮本岳志君 つまり、第十条、つまり法ができれば第十条二項の二号のこの要件に合致するということですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 厳密に申し上げますと、先ほど申し上げました通過車両データにつきましては都道府県警察が犯罪捜査目的で保有しているものでございまして、国の行政機関を対象とした行政機関個人保護法案の適用を受けないものと認識しております。
○宮本岳志君 このデータというのは、私は極めて重大な、国民にとってはやっぱり重大な関心になるデータだと思うんですね。それは公道上のナンバープレートを記録し続けていると、今、御答弁にあったとおりですよ。それで、私は、このNシステムによるデータファイルが第十条二項の二号に当たるかと前回も聞きました。総務省行政管理局長は、詳細を知らないから答弁できないと、こう答えたわけです。今回は警察が答えると、こういうことで今お答えになったわけですね。
 このシステムは、皆さん聞いていただきたいんですが、何か事件が起きたら検問の用に動き始めるというシステムではないんです。今話があったように、常時そこを通る車のナンバーはどんどんどんどん記録し続けると。つまり、ファイルに記録されるデータのうちの、それは中にはおっしゃるとおり犯罪にかかわる車もないとは言いません。そうでしょう。しかし、九九・九九%までは何の犯罪とも関係がない状況の下で自動車、自動的に収集が続けられていると。これが今、捜査目的だ、犯罪捜査目的だと、こういうことになりますと、私は非常に、こういうものを除外していくというのは非常に問題があるのではないかと。
 つまり、第十条二項二号ですね、捜査目的ならば除外というのについては、例えば総務省に聞いても、そういうものがどういうものであるか分からないから判断できないと答えるんですよ。つまり、これは、捜査機関自身がこれは捜査に使うんだと言えばこれはもう除外されると、こういう規定になっているということですか。いかがですか、総務省。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 現行法の電算機個人情報保護法も、新しいこの行政機関個人情報保護法案におきましても、行為の主体といいますか、行政機関の長がそれぞれこの法律を施行、執行していくということに相なるわけでございます。
 したがいまして、先ほどの事前通知の適用除外の対象として犯罪の捜査云々ということで、高度の秘匿性の高いものについては総務大臣への事前通知の対象外になるわけでありますが、それは第一次的には当該行政機関の長が判断をするということに相なります。
 ただし、いろいろ総務大臣にも調査をしたり意見を言ったりするそういう権限があるわけでございまして、法運用の統一性、適正性の観点から必要な権限と申しますか、行為は行うことになっております。
○国務大臣(片山虎之助君) 宮本委員、こういうことなんですよ、今警察が言っているのは。これ、Nシステムをやっているのは都道府県警察なんですよ。この法律は国の行政機関なんですよ。だから、この法律のストレートな対象にならないと言っているんですよ。法律の適用は正にそうですよ。
○宮本岳志君 じゃ、国のシステムでこういう、この法を、行政機関法を作ったとするでしょう、そしてこの行政機関法には十条二項二号というのが入っているわけですよ、これまでと同じように。その際、都道府県警だからといって、都道府県警が国の法律と違ったような運用をやるということはありますか、どうですか。
○国務大臣(片山虎之助君) それは、都道府県がどういう個人情報保護条例を作ってどういう対応をするかに懸かっているんですよ。国の行政機関があなたが言うようなNシステムをやるんなら、それは適用除外かどうかという議論はあるけれども、やっているのは都道府県警察なんだから、そういう答弁だからね。私は実際よく知りませんよ。都道府県警察がやっているんなら国の行政機関の個人情報保護法の対象にはならないと、こういうことであります。
○宮本岳志君 いや、大臣はよくお分かりになっておっしゃっているんだけれども、答弁はそうでしたよ、何もそうでないと言っていないけれども。それは、都道府県警察が勝手な判断でこれをやっているというのは、到底そんな話は国民だってだれも信じないと思うんですね。
 それで、ほとんど大半が犯罪と無関係な膨大な量のデータの蓄積が、将来犯罪捜査に役立つ可能性があるというだけで犯罪捜査目的とみなされ、国民の目の届かないところに置かれると。しかも、その判断は行政機関法を所管する総務省が行うというわけではなくて、正に主管のところがやる、警察自身が行うと。つまり、警察が捜査目的だと言えば、これはもうそれで除外されると。これでは、先ほど福島議員もいろいろそういう議論されましたが、警察は一体どんな形で国民のプライバシーを集積していても全く分からないということになるわけですね。
 私、別に捜査情報の中身を公表しろと、そんなこと言うつもりはないんですよ。少なくとも、警察内部でどのような種類の個人情報の集積が行われているのかということの国民への説明は必要だというふうに思うんですね。
 それで、少なくとも道路の特定の地点を通過した車両のデータをNシステムというやり方で警察がずっと持っていると、これは今日、今お認めになりました。それで、この情報、つまり車両、このナンバープレートの情報を車両登録のデータと照合すれば、これはもちろん犯罪者の特定にも役立つでしょうが、犯罪と何の関係のない個人ともこれは容易に結び付けることができるわけです。
 そこで、国土交通省自動車交通局長に来ていただいていると思いますが、自動車の登録データの日常的な警察への提供はどのような形で行っておりますか。
○政府参考人(丸山博君) 自動車の登録データの警察への提供についてお尋ねがございました。
 私どもが管理しております自動車登録ファイルには、これはあくまで本人の申請により車両を特定するための情報や車両の構造に関する情報等が記載されております。この情報につきましては、自動車に関する犯罪の捜査及び予防等の目的から、登録を受けた自動車に関する情報を毎日磁気テープの形で警察に提供しておるところでございます。
○宮本岳志君 毎日提供しているとおっしゃいましたね。毎日ですね、間違いないですね。
 そもそも車両の登録番号というのは、警察にとって正に簡単に個人に結び付くもの、だからこそNシステムというものが犯罪捜査に役立つんですね。このデータと結び付けたときに個人が特定されなければ、幾らその両データが来たって犯罪捜査に役立たないわけですから。こうなってくると、少なくともやろうと思えば、日々膨大な量の犯罪に関係のないナンバーについても個々の自動車の所有者を特定できる形で照合できるデータが、しかも日々最新のものが、お伺いするとCGMTという磁気媒体によって毎朝警察に届けられている、こういうことであります。
 行政機関法案で、総務大臣の事前通知を規定した第十条には、通知すべき項目の第六号にある「記録情報を当該行政機関以外の者に経常的に提供する場合には、その提供先」と、こういうふうにございます。国土交通省から答弁があった警察庁への情報提供というのは、電磁気的な媒体を使って毎日渡されているわけですが、このような提供方法は経常的な提供に当たるんじゃないですか、総務省。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 一般論として申し上げれば、毎日、データが提供されているということでありますと、経常的な提供に該当するものと考えております。
○宮本岳志君 実は、この規定は、今回の法案だけじゃなくて八八年法にもあるんですよね、大臣、総務大臣、あるんですよ。既にそれに従った通知が実施されているんです。それで、それを取り寄せてみたんです。ところが、この国土交通省から出していただいた個人情報ファイル簿の自動車登録ファイルという項目を見ると、財団法人自動車検査登録協力会、道路運送車両法に基づく請求者と、こう書いてあるだけで、警察へ提供するとはここには一言も書いていないんですね。これは国土交通省、おかしいんじゃないですか。
○政府参考人(丸山博君) データの中身自体は私どもが持っておりますデータを提供するわけでございますけれども、磁気ファイルという形で警察の利用しやすいような形に加工しておるのが検査登録協会であるというふうに理解しております。
○宮本岳志君 つまり、財団法人自動車検査登録協力会というのを通じて、ここで加工して渡しているのでここに警察が出てこないと、こういうことになっているんですね。これで公表しているというのは全くでたらめだと言わざるを得ません。
 これは一九七五年以来、ずっと日常的にデータを渡すことが続けられてきたと、これは担当者の方からも聞きました。それは局長や当時の運輸大臣が知らない間に勝手にやっているというものじゃないんです。あなた方はもうずっとこれを、それを決めてやってきたことは明瞭です。
 それで、抽出したデータのみを警察に渡していると。実はこの登録ファイルに載っているものは非常に多い項目があるんですが、そのうち抽出して渡しているという説明だったんでお伺いしますけれども、自動車登録ファイルには何項目のデータが記載されているか、そのうちどれとどれを警察に渡しているか、国土交通省お答えいただけますか。
○政府参考人(丸山博君) 先ほど申し上げましたとおり、自動車登録ファイルには、車両を特定するための情報でございますとか車両の構造に関する情報、二十数項目ございます。このうちどれを警察に提供しておるかということにつきましては、犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがございますので、私どもからお答えするのは差し控えさせていただきます。
○宮本岳志君 これまで審議で片山大臣は、今審議している法案によって目的外利用は厳しく禁じられる、恒常的な提供先については公表されるんだ、だから透明性が確保された制度になるんだと、こう説明を繰り返してこられました。しかし、これでは警察に渡っていること自体が公表制度によっては出てこないと。それから、質問によって明るみに出ても、具体的にどんな情報を提供しているかは答えないと。これではもう透明性どころではないと。結局、国民からは分からないところで個人情報を行政の都合のいいように使うことに歯止めが掛からないと私は言わざるを得ないと思いますが、総務大臣、そうじゃないですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 基本的には公開でやるんですよ。ただ、もっと大きな法益といいますかね、そういうものがある場合にはそれは限定される、これはやむを得ないですよ。そういうことで今、例えば総務大臣に対する事前通知もこれこれのものは適用除外だと、こういうことになっているんですよね。しかし、適用除外で事前通知はなくても法律に従ってやってもらうと。目的外利用は限定的に、利用目的は明確にしてその範囲でと、こういうことでございまして、それをもう全部オープンにしろ、それはなかなかそうはいかない。これこれはオープンにしなくてもよろしいということで、事前通知しなくてもいいということで国会で法律が認められているわけですから、その趣旨に従ってやっていると、こういうことであります。
○宮本岳志君 国土交通省ね、これはせめて公表の項目に警察庁と、こう示すという改善ぐらいはやりますか。
○政府参考人(丸山博君) そもそも、自動車の登録ファイルに登録されているデータの質につきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。
 登録ファイルに記録されております事項を証明した書面、すなわち登録事項等証明書というものは、道路運送車両法第二十二条に基づきまして、警察に限らず何人といえども国土交通大臣に請求することができると。だれでも見ることができる、元々そういう情報であるということでございます。
 したがいまして、何人も見ることのできる情報を提供することを私どもはやっているというふうに思っています。
○宮本岳志君 じゃ、何のためにこういうファイルを作っているんですか。じゃ、何でこういうものを作っているんですか。
○政府参考人(丸山博君) どういう形で提供しておるのかということを、参考までにこういうところには大口で提供しておりますということを分かるようにしておるということでございます。
 ただ、それ以外にも、何人であってもその情報は請求できるというものでございます。
○宮本岳志君 どういうところに提供しているかを分かるために出していると言うけれども、正に警察が入ってなかったら、この協力会を通じて行っていることが分からないんだから、そもそも答弁にも矛盾した話ですよ。だから、それが分かるように、公表しているというんだったら、当然、ここからその先に渡っている警察庁というのは公表すべきだと、そう思うんですね。是非、それは御検討いただきたいと思います。
 それで、この議論を進める上で、そもそもナンバープレートを犯罪捜査に使っていいのかということが議論になるわけですよね。
 私、実は今総務委員会をやらせていただいていますが、国会に出していただいて、最初は交通・情報通信ということで運輸の活動にも携わりました。
 まず、自動車登録制度の目的というのは道路運送車両法に規定をされております。道路運送車両法の第一条に規定されている趣旨ですね、改めて局長、述べていただけますか。
○政府参考人(丸山博君) 道路運送車両法第一条の目的規定につきますお尋ねがございました。
 道路運送車両法第一条はこのように規定をしております。この法律は、道路運送車両に関し、所有権について公証を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とすると規定されておるところでございます。
 ただいま御指摘ございましたとおり、道路運送車両法の目的の一つは、自動車の登録事項を記録することによりまして所有権を公証するということにございます。ただ、そのほかにも、自動車の登録、今申し上げました自動車の登録事項のほかにも、検査に関する事項も記録することによりまして、今申し上げましたとおり、自動車の安全性の確保でございますとか環境の保全なども目的としておるというところでございます。
○宮本岳志君 犯罪捜査というのは出てこないんですね。
 もちろん、実際に犯罪が起きてしまえば捜査に使うことができる重要な手掛かりは何でも使うでしょうし、ナンバープレートが犯人の特定や追跡の有力な手掛かりになるということは私も否定しませんよ。しかし、そのことと事前にナンバープレートが犯罪捜査に便利だからといって大量にデータ収集するということとは全く別なことなんですよね。それで、恒常的な警察への提供ということが前提だということになれば、自動車登録制度そのものの変質だと私は言わざるを得ないと思いますね。
 それで、だから総務大臣に通知されているこの通知ですね、この目的のところに、「自動車の登録事項を記録し、所有権及び抵当権を公証する。 自動車の登録事項及び検査に関する事項を記録し、自動車に関する実態を把握して自動車行政の施策策定に資する。」と、そうしか書かれていないんですね。犯罪捜査に便利だから提供するって書いていないんですよ。そうでしょう。違いますか。
○政府参考人(丸山博君) 法律に照らして、犯罪捜査に使うという、書いていないものを警察に渡しているのは問題ではないかというお尋ねだと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、登録事項その他の情報につきましては、これは所有権を公証するということから当然のことでございますけれども、何人といえども請求できる、言わば公開された情報でございます。したがいまして、何人も知ることができます登録ファイルの情報を私どもの提供を受けまして警察が犯罪捜査ですとか犯罪の予防の観点でお使いになることについては、問題はないというふうに私どもは考えております。
○宮本岳志君 もう駄目ですな。そんな程度のことだと言っているようなものですよ、公表するとか公開するとかと言ったって。だって、何らこの中に出てこないようなところへ提出されて、こうやって一つ一つ順々に詰めて話していったって、実はそれは何人も取れるんだからいいんだと。そんな話になるんだったら、国民にとって今度の個人情報保護法が、正にこれができれば行政機関にどんなふうに蓄積されて、どんなふうに使われているかが分かりやすくなると言ったって、しかも犯罪に関係ない九九・九九%の人のナンバープレートもどんどん蓄積されていると。それと、その役所に対してこういったデータが渡されていると。私は、この問題は極めて重大な問題だということを申し上げて、ちょっと時間がないですので、次のテーマに移りたいというふうに思っております。
 さて、もう一つ、前回の質問で刑事局長に伺って具体的な答弁をいただけなかった、そして先ほど福島先生がお触れになった問題をやりたいと。
 個人の犯歴まで明かされた極めてセンシティブな警察の内部文書のコピーが民間業者である武富士の幹部だった人物によってマスコミに渡っているということが明らかになりました。資料を配付していただけますか。私の方から最低限のプライバシー部分はもちろん消した上で現物を今日はお配りをしたいと思います。
   〔資料配付〕
○宮本岳志君 今日は、この中身に沿ってですけれども、まず、お配りした資料の一枚目には右翼標ぼう暴力団個人カードというものが、タイトルが付いておりまして、内部資料につき令状請求・送致資料等に添付しないことというスタンプが押してあります。つまり外部に出すなと。裁判官や検察にも知られてはならないということですね。でも、私はこれを見て、これは本物だと、警察内部から出たものであろうと判断せざるを得ないと思ったんですよ。本人の生年月日や住所、本籍地、所属している団体についてのデータ、家族関係のほか、本人の出生から今日までの生々しい記述もあります。実は、ここに付けたのはその一部です。これは全部付けてないですけれども、その一部ですね。私の手元にはもっと詳しいものがあります。
 下には作成した田園調布警察署の印章、作成者の印鑑が押してあり、用紙の下には警視庁刑事部捜査第四課という文字が印刷されております。こんなものを捏造しようと思ってもできるものではないんですね。
 もう一度警察庁に聞きます。こういう右翼標ぼう暴力団個人カードというものがある、存在するということはお認めになりますか。
○政府参考人(栗本英雄君) お答えをいたします。
 警察では、犯罪捜査を始めといたしまして、あらゆる警察活動を通じて暴力団や暴力団員などに関します各種情報を組織的に収集をいたしまして、これらを資料として管理をいたしまして、それらを暴力団対策に効果的に活用しているところでございます。
 しかし、警察におきます暴力団等に関する情報の収集、資料の作成状況等につきまして、その具体的な内容を公表することにつきましては、今後の犯罪捜査などへの支障が生ずるおそれがありますし、また報道等によりますと具体的な個人の名前もございましたが、そのようなものに関しますと個人のプライバシーの問題にもかかわる問題でございまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本岳志君 この二枚目の補充用紙というのを見ていただきたいんですね。犯歴用紙と書かれたものですけれども、これも消しております、お配りしたものは。これも同じように内部資料につきというスタンプがあるんです。これには、いつ、どこどこの署に逮捕されて、どこの裁判所でどういう判決を受けたと、子細にわたって書かれてあります。警察がこの文書を認めなくとも、この内容が真実であればこの人物の犯歴データが流出していることは客観的な事実だということになると思うんですね。そうなれば、この文書もやはり警察の内部から流出した疑いが非常に濃いと言わざるを得なくなります。
 とにかく、この文書が本当に内部から流出したのかどうかということを特定しなければ議論が進みませんので、そこで、これは警察に是非お願いしたいんですけれども、この委員会の後で、私は警察にこの黒塗りしていない生のものをお渡ししたいと思います。それで、その上で、この文書に書かれている中身が正確なものであったかどうか、あしたの夕刻までに私に報告できますか。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいま委員がどのような資料をお持ちしているかにつきましてはもちろん分かりませんが、先ほど御説明を申し上げましたように、暴力団対策上、各種警察活動を通じていろいろな資料を管理しているところは先ほど述べたとおりでございますが、その資料、内容をどのような形で私どもが管理しているかということについては、先ほど申し上げました、今後の犯罪捜査等に非常に支障を来しますので、個別の事案についてのお尋ねは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本岳志君 いやいや、それをどういう資料であるかを公開せよと私言っているんじゃなくて、ここに情報流出の疑いが極めて濃い文書がある、しかしこれは情報流出、個人情報の流出、正にそういう事実であるかどうかというのを確かめないと話が進まないわけでしょう。だから、それをこの場で、今ここで答えられないというんであれば、私、この後、この黒く塗ってない生の原本をあなたに渡すから、これは事実であったかどうか、正確なものであったかどうかをあしたの夕刻までに返事できるか、そう聞いているんです。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいま御指摘の、どのような資料かもちろん存じ上げていませんが、具体的な個人名等があるものでございますれば、そのようなものについて警察に資料があるのか否かということについてお答えすること自体がやはりプライバシー上極めて問題だと思います。
 それから、なお加えて御説明を申し上げさせていただきますが、現在、警視庁におきまして、お尋ねの、また一部報道もされておるようでございますが、消費者金融会社に対します内部資料の買取りを要求いたしました恐喝事件につきまして、四月二十二日に関係被疑者二名を逮捕し、現在、鋭意捜査中でございます。
 それからまた、今委員御指摘、また一部報道されております資料につきましても、その詳細についてはもちろん存じ上げておりませんが、その被害会社から持ち出された資料であるというような報道、また御指摘もあるわけでございます。
 そのようなことから、現在、警視庁におきまして、そのような資料との関連も視野に入れて、事案の全容解明に努めているところでございまして、そのようなことで御理解を賜りたいと存じます。
○宮本岳志君 待ってくださいよ。この資料がその金融会社から流出したと、そのことについて今捜査中だとおっしゃいましたよね。私はね、あれですよ、この資料を内部告発した方がどうかということを議論するつもりはないし、ただ、問題は、この資料がこうして出回っているという事態が今現にあるわけですよね。マスコミにまで載ったわけですよ。
 問題は、こういうこの、もしこれが事実としたら重大問題でしょう。犯歴データ、正にこのセンシティブ情報がこうして出回っているということをはっきりさせたいと、はっきりさせなければ、しかも、内部から流出したと言っているわけだから、それ自身を調査しなけりゃならないじゃないですか。とにかく、これ明らかにしなきゃ前に進みませんよ。いかがですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、既に警視庁におきましてお尋ねの関係会社に対します恐喝事件の捜査を行っているわけでございます。そのような恐喝事件に用いられました資料もその会社から部外に持ち出されたものと、こういうようなものとして現在捜査中でございます、その詳細について申し上げることはできませんが。
 そういう観点に立って、現在、その全容の解明に努めているということを申し上げているわけでございますから、御理解を賜りたいと思いますし、もちろんこの中で、一般論として申し上げまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、警察といたしましては、法と証拠に基づいて厳正に対処する所存でございます。
○宮本岳志君 納得できませんね。大体、この会社から持ち出されたものだというんだったら、こんなものがこの会社にあるのは大問題じゃないですか。何でこんな警察のデータファイルが金融会社にあるのかと。しかも、それは警察は自分で調査して自分でやるんだと言うけれども、私はそんなことでこの国会の場で、正に、ああ、そうですかと、そういうわけにいかないと思いますよ。大体ね、じゃ、これをこのまま押し問答してもあれなので、私は警察にこの問題を解明する力はないということを申し上げたいんです。
 同時にお付けした資料をごらんください。この事件で逃走中とされている今の武富士の元幹部が暴露したのは、この警察の内部資料だけじゃないんです。九二年七月から二〇〇〇年の冬まで繰り返し行われてきた武富士から警察幹部への付け届けの資料が十枚、ここに付けました。
 資料Aの一から十までがその付け届けの資料なんですね。一では相手に贈ったビール券と時計の数が書かれてあります。二、次のやつではビール券だけ。三から後は数字の記載のみになっていて、恐らくビール券の枚数だと思われます。もしこれ、事実だとすれば贈収賄の問題にもなるわけですね。最初にある先ほどの一はメモ書きのようなものだけれども、同じ年の冬の分、二では書式ができ始めて、四年後に当たる三からはワープロ書きに変わっている。一と同じFという幹部の印が押されておって、五というファイル、資料には武井会長の印鑑もございます。四にもあるかね、あ、四ですか、武井会長の判こもございます。これは言わずと知れた武富士の会長ですね。
 これは既に、これも週刊誌で報道されております。贈収賄事件として厳正に対処いたしますか。
○政府参考人(栗本英雄君) 具体的な行為がどのような犯罪になるかということにつきましては、具体的な事実関係に即しまして法と証拠に基づいて判断しなければいけないことでありますから、今のような御指摘のものが贈収賄になるか否かについては答弁を差し控えたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、この消費者金融会社から持ち出された資料の買取りを要求したという恐喝事件が現在捜査中でございますし、その中で今御指摘のような各種資料等も視野に入れてしっかりと警視庁において事案の全容を解明し、その上において具体的な刑事事件となるものがあれば厳正に対処していくというように申し上げているところでございます。
○宮本岳志君 いや、これは、調査をするとも言わないというのはちょっと問題だと思いますよ。せめて調査をすると。それは、そうでなければ議論なんか進められません。調査、いかがですか。
○政府参考人(栗本英雄君) 私ども警察として個別の事案で捜査するとかあるいは調査するとかいうことについては、いろいろ個人のプライバシーなりあるいは犯罪の捜査上支障が生じることがございますので、そのような観点からの御質問には答弁を差し控えさせていただいておるところでございます。
 ただ、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、先生御指摘の資料も視野に入れて現在警視庁において捜査を恐喝事件の捜査として行っているわけでございますから、そのような捜査の中でいろいろな犯罪となるような事実が出てくれば法と証拠に基づいて厳正に対処するということを申し上げておるわけでございまして、御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
○宮本岳志君 そんな捜査の一環としてやるというんじゃ駄目なんですよ。
 この資料を見てくださいよ、この資料。付け届けを届ける理由として書かれているものをしっかり見てくださいよ。
 例えば、この中身を見てもらえば、「真正館巡回警備」というのがありますけれども、この真正館というのは武井会長の御自宅のようですけれども、そこを警備している警察官のところへビール券が届いていると。あるいは、総会屋情報の情報源、こういうものもビール券を届けた相手の後、名前の後に、警察官の後に付いているわけですね。
 それから、八という、終わりごろになります、八、見てくださいね。八の一番上の枠、警視庁、この二番目と三番目の部長職の方のところへは「依頼(犯歴等・電話番号等)」と、こうなっておりますね。ビール券がそれぞれ十枚渡されたと。正に、先ほど指摘したような資料に対する謝礼としてビール券が配られていると。
 同じく二つ目の枠、新宿署、ここの二つ目、三つ目の部長職の方にも、方も同じように「犯歴等・電話番号等」というのが出てきていますね。
 同じように、前ページ七の十一年夏の資料にも犯歴と電話番号、出てきておりますし、九や十にも出てきております。
 しかも、対象となっている組織の範囲も広範ですよ。九九年夏の分とした資料の三、これが一番多いと思いますが、これを見ていただいたら、上からざっと読んだだけでも、警察庁、警視庁、それから四課、三課、二課、一課、暴対、そして新宿署の警備課、刑事課、高井戸署、池袋署、渋谷署、上野署、京都府警の二課と四課と、全国的にもらっているじゃありませんか、これ事実としたら。
 これを、捜査もしない、報告もしない。駄目です、それは。とにかく調査すると、お答えください。
○政府参考人(栗本英雄君) 私は、先ほど、個別の事案について捜査するか否かについては控えさせていただきたいと申し上げたものでございます。もちろん、一般論として警察職員の非違事案に関するようなことが思料される場合には、所要の捜査、調査を行った上で、それぞれの事案の内容において適切に対処していくものと考えております。
○宮本岳志君 これだけ言っても調査しない、調査すると言わないというのは、私は国会に対して本当にひどい態度だとはっきり指摘をしておきます。引き続きこれ追及をさせていただきたい。
 この後は片山大臣にお伺いしますので、警察はもうお引き取りいただいて結構です。
 警察は捜査情報という極めてセンシティブな情報を蓄積をしております。一層厳正な情報の管理が必要なんです。にもかかわらず、捜査上の目的という言葉が付けば、一切実態が国民の目に明らかにならない。この点について国民が納得するような制度の整備が急務だと私は思うんですね。
 今日、この委員会に配られた調査室の資料を見ましても、例えば公務員による個人情報漏えい等の主な事例と、この資料に付けていただいていますけれども、七十一件中二十九件、四割はやっぱり警察なんですよね。非常に多いんですよ。多いんです。これが、とにかく捜査目的だと言えば全部除外されていると。これは余りにも私は問題だと。もっと国民が納得するような制度の整備が必要だと私は思うんですけれども、これは、大臣ね、総務大臣ね、もう少しそれ、きちっとした制度というか、工夫が要るとお感じになりませんか。
○国務大臣(片山虎之助君) 国会で通していただこうということで、今我々は非常に御理解を御審議に求めているわけでありますが、いやそれは犯罪の捜査ならこれは事前通知の対象にしないと、事前通知の対象にしないということは、公表の対象にしないと。しかし、それは厳正にこの法律の趣旨に基づいてやってもらうと。それは警察当局も私は認識していると、こういうふうに思いますので、いろんなことを今御指摘でございますけれども、さらに私どもの方として警察の方に物申し上げることがあれば今後考えてまいりたいと思います。
○宮本岳志君 それこそ、大臣、先ほどから総務大臣の権限あるんですよとおっしゃいましたし、それこそこの法律にも、総務大臣として数々の報告の徴収であるとか意見を述べるとかという条項もあるわけですよね。正に今聞いていただいて、こういうやり取りですよ。ここまで事実も示して、調べろと言っても、こういう話ですからね。
 私は、改めてこれは大臣にも申し上げておきたいし、それから当委員会としても、委員長、やっぱりこれ、徹底的にこの問題の調査を求めたいと思うんですが、ひとつ御協議をお願いしたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) 後ほど理事会で協議をいたします。
○宮本岳志君 一昨日の質問で、私、やぐら荘事件というものを取り上げました。これは、調べてみると、こういう事件なんですね。警察が日本共産党の支持者と思われる人物に思想調査を試みてトラブルになって、で、暴行を加えたという事件なんです。その件を警察自身が立件しないので、付審判の請求が行われた。その際に、証拠として警察が持っている思想調査のファイルを出しなさいと、これは付審判の手続に基づいて検事役の弁護士が求めたわけですね。それに対して、警察から、宮城県警からの回答は、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。御了承願います。」というものだったと。
 この回答はファイルが存在することを事実上認めたものなんですね。この前、警備局長にそれを聞いたら、そういう回答をしたのかと聞けば、そういう回答をいたしましたとお答えになりましたから、言わば、これはもうそういうファイルが存在するということは明らかだと思います。
 そもそも、この種のファイルについては、やっている当事者がこのファイルは公表して支障がないというふうに絶対言わないんですよ、こんなものは。だから、法案の第十一条の三項に、当該事務の適正な遂行に著しい支障があるというときには公表しなくていいと、こういう条文がある限り、それはもう必ず支障があると言って公表しないんです。結局、この十一条の三項という規定は、公表したくないものは公表しなくていいということになってしまうんですね。だから、こういうことを考えたときに、行政機関法の第一条、行政の適正な運営と、こういうことはまあ本当なのかと。
 つまり、行政が国民の個人情報をある程度自由に使える抜け道を用意する、こういう意味なのかと疑わざるを得ないと思うんですけれども、総務大臣、そういう点を本当にふさぐということはお考えになりませんか。
○国務大臣(片山虎之助君) 今回の法律は現行法よりはずっと進んでおりますし、それから前国会で議論、御審議いただいたものよりは罰則を加えていいものにしておりますから、あとは運用の問題ですよ、いろいろ。だから、運用については何度も言いますように、個人、行政機関個人情報保護法の精神を十分末端まで徹底しまして適切な、適正なそれこそ運用ができるように努力いたしたいと、こういうふうに思っております。捜査とか国の安全とか、こういうものについてはそれなりの制約、限定があるのはやむを得ないんですよ。そこはそれぞれの機関が厳重、厳格に私は運用していると思っております。
○宮本岳志君 先ほど指摘したNシステムのデータなどというのは、さっき繰り返し言うように、その写っている九九・九九%までは犯罪とは何の関係もない、本当に一般市民のデータが蓄積されているわけですから、大臣おっしゃるように、犯罪目的のものはやむを得ないというような仕切りだけでいかないものも、捜査機関が捜査目的だと言えば全部抜けてしまうということになっているから、これでは駄目だということを私は指摘しているわけで、今日私が指摘した警察のこういった数々の個人情報の収集、そしてまたずさん極まる扱いにメスをしっかりと入れることもできないと、また国民には知らされないと、大体行政機関法を所管する総務省にさえ知らされないと、判断できないと、これでは個人情報保護という名前を冠するに値しないということを厳しく指摘をして、引き続きこの法案を徹底的に審議するということを申し上げて、総理もお見えになりましたので、私の質問を終わります。
○委員長(尾辻秀久君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。
 主に、総理に対しまして、個人情報保護法案に関連して質問させていただきたいと思います。
 まず、総理にお尋ねしたいんですが、小泉総理はオペラですとか演劇など文化芸術に大変造詣が深くて、私なんか本当に少し学びたいなと思っているんですが、なかなかできなくて、ちょっとやりたいやりたいとは思っているんですが。そんな総理にまずお尋ねしたいことがあるんです。
 それは、言うまでもなく、本法案で文化芸術上の表現が適用除外になっていないと、それはなぜかと。もう既に質疑した同僚議員もおりますが、いらっしゃる藤井審議官、こういうふうに答えているんですが、要約して言いますと、そういったところは多くの個人データを保有していないだろうと、そしてまた、たとえ五千以上のデータを保有して取扱事業者となったとしても、三十五条の表現の自由で、主務大臣は権限を行使しないことになっているから大丈夫だというようなことをおっしゃっているんですが、こういう話を聞きますと、報道、芸術を適用除外にしたあの理屈はどこに行ってしまったんだろうと思わざるを得ないんですが。
 そこで総理に、文化芸術に大変造詣の深い総理にお尋ねしたいのは、今回この項目が適用除外になっていないことについて、まずどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 私は、文化芸術において非常に劣るところがありますけれども、お答え申し上げます。
 この法律そのものは、本人の求めに応じて個人情報取扱事業者に様々な開示、訂正、利用停止を設けるという、そういう基本がありまして、その後、本人からの苦情に基づいた苦情の処理あるいは認定団体による苦情の処理、それから主務大臣の報告、勧告、命令というふうに、言わば二階建て、三階建てになっておるわけでございますが、基本的に私どもが今対象としておるものにおきましては、文化芸術の分野でそういった事態が発生することが余りあるとは考えられませんし、そういったことが何か表現の自由とか思想、信条の自由、その他憲法上の自由に抵触するような場面は余り考えられないと。学問の点がいろいろあると思いますけれども、これは学問、学術研究等で除外をしておるので御理解をいただきたいと思います。
○内藤正光君 今日は実はそのことについてそんなに深く議論するつもりはございません。
 衆議院の方の委員会でもありましたが、何を適用除外にすべきだとか、あるいはまた取扱事業者の範囲は何なのかと、そういった議論ばかりが向こうでなされてきたわけなんですが、なぜそういった議論が出てきてしまったのか、あれだけたくさん出てきてしまったのかといえば、元をただせばこの法案が包括法という形式を取っているからなんだろうと思います。
 しかし、御案内のように、ヨーロッパは包括法、アメリカは個別法と。これはどちらがいい、どちらが悪いというような問題じゃなくて、基本的な考え方の問題であって、考え方が首尾一貫していれば私はそれでどちらでもいいと思うんです。
 総理は、たしか参議院の本会議の答弁で、特定の業種、業務等に固有の問題でないから包括法にしたんだというような答弁をされたかと思います。そうであるならば、監督者は、正に総理がおっしゃる特定の業種、業務に固有の問題でないわけですから、とらわれない第三者機関にすべきじゃないのか。私は、主務大臣というのは正に特定の業務にとらわれているというふうに思うんです。ですから、私は、総理が包括法を選択した正にその理由で主務大臣制というのは否定されるんじゃないかなと私は思います。
 総理は、そう言うと、いや、既存の省庁と業務が競合し合ってしまうだとか、あるいは行政改革の流れに反するとかおっしゃって反論するわけなんですが、その話は何度も聞きましたので、今日はそれ以外の、正に論理的整合性、包括法でありながら、なぜ主務大臣制を取ったのかと。私にしてみれば、ちょっとねじれているような気がするんです。
 包括法を取る限りは、やはり私は第三者機関、これがセットなんだと思いますが、その辺の論理的整合性についてお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、専門家の方々の意見を聞きましても、これは十二年十月に個人情報保護法制化専門委員会が取りまとめた大綱において、あらゆる分野を通じ、ITを活用して個人情報を大量に取り扱う民間事業者に対し包括的に必要最小限度の規律を設けるべきと、そういう意見、提案がされているわけですね。これを踏まえて本法案を立案したわけでありまして、私はこの本法案では、いろいろな事業がありますが、事業所管大臣を主務大臣としているということで妥当なものではないかと思っております。
 また、この包括案を整備することと、そして今後、主務大臣と民間事業者、取扱、いずれ医療とか金融とか、包括法ではなかなか難しい問題についてはまた別の観点から論議されてしかるべきものだと思いますが、そのことと、包括法があるから、よりセンシティブなものは矛盾するのではないかという議論にはならないんじゃないかと私は考えているんですが、その点についてはいろいろ議論があることは承知しております。
 私は、今回の問題につきましては包括法で妥当なものではないかと思っております。
○内藤正光君 総理がおっしゃったのは包括法にすべしという理由だと思うんです。なぜ、じゃ、監督機関が第三者機関でなければ、なければならないと私は言っているんですが、そうではなくて主務大臣制がいいんですよというところは何かまだお述べになっていらっしゃらないような気がするんですが。
○国務大臣(細田博之君) この問題は何回もお答えしておりますが、日本の行政の特質にもよると考えております。それは、今の消費者保護行政でも、中心に消費者、国民生活センターというところで多数の苦情処理、年間一万件弱の苦情処理も受け付けており、そして例えば各省、経済産業省にも消費者相談室があって年間一万数千件の苦情処理を受け付けている。そして、国民生活センターからも各省の関係のものはそれぞれ、これは農林水産省、これは厚生労働省、これは経済産業省というふうに割り振っておるような長い歴史もございますので、こういった非常に類似のケースも多いこの個人情報問題について、そのような仕組みは決してマイナスの効果を持たないのみならず、非常に有効に活用するではないかと思っておりまして、特に業種別に定め、なぜ業種を特定して縦割りにしなかったかといえば、最も大きな要素は、新しい産業ですから、いろんなデータベース産業、いろんな処理業、いろんな名簿業、次々に発生してまいりますので、既存の業種ということでは割り切れない。しかし、日本の今までの行政庁の在り方としまして、新規の産業が興った場合に、その所管がどこであるかということは広範に類推、あるいはこれまでの行政の実績に応じまして、例えばこれはサービス産業系であるとすれば経済産業省とか、小売・卸売業であれば経済産業省というふうに割り振ってきておりますので、大きな問題はないということでございます。
 それから、やはり第三者機関は、総理が度々本会議等で御答弁しておりますように、一つの新しい行政機関を独立して定めるということは、非常にそのための人員、コスト等が掛かりまして行政的な効率も非常に下がるのではないか、また一部に危惧されておりますように、かえって一律の規制が行われることがいいかどうか、マイナスの面もあるのではないかというふうにも思われるわけでございます。
○内藤正光君 もう第三者機関の話をすると、結局本当に考え方の違いというか、議論の行き違いというか、何か擦れ違いというか、起こってしまいますので、本当に時間があっという間にたってしまいます。
 しかし、正にいろいろな産業がこれから興ってくると。これがどこの省庁に当てはまるのかって分からないんです。そしてまた、二重行政になるとか言いますけれども、それこそ複数の省庁がこれどこの管轄だなんて議論している方がよっぽど私はこれ無駄が出てくるんだと思いますよ。
 ですから私は、もし主務大臣制がうまくいかないんであれば、しばらくたてば当然、初めての法案ですから、何年かたったらこれはそんな主務大臣制の是非も含めて見直ししていくという、そういう姿勢で臨むべきだと思うんですが、その辺の柔軟な対応はできますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この議論は平行線になると思うんですが、第三者機関作ったとしても、結局事業所管大臣と話し合うと思うんですね、どういう問題が起こっても。今でももう各所管、例えばSARSの問題でも、一役所じゃ対応できません、いろんな関係大臣と協議を重ねて協力しているんです。これ、第三者機関作る、じゃ、この問題はどの省が扱う、必ず第三者機関も相談するようになります。
 大きな組織を作ると同時に、じゃ、その所管大臣の対応はどうなるのかということの競合関係、こういうことがあるから、私は現実的に事業所管主務大臣の対応の方がいいのではないかと思っているわけでありまして、この点については、今後法が施行されて現実に具体的に問題が起こってきた場合に、じゃ果たして第三者機関がいいのか、今のでいいのかという問題も出てきますので、その辺は実際の実態を見て、今後見直した方がいいという意見が大勢になればそういうこともまた検討しなきゃいかぬでしょうが、今回は、初めての法案ですので、私は第三者機関というような膨大な組織を設けるよりも主務大臣が担当した方がいいのではないかと思っているんです。これは別にそんな争う問題でもないと思っております。
○内藤正光君 法の運用をしばらく見守って、もし問題があるんであれば柔軟に見直していくという総理の答弁を受け止めて、次に移りたいと思いますが。
 この法案は、包括法は、広く薄く網を掛けるということなんですが、この法案、この形式ですと、漏えいすると大変な社会的な影響を及ぼすような分野では、逆に保護が、規制、保護というか規制というか、不十分ではないかという指摘がございます。その一つが片山大臣の所管でもあります情報通信分野だと思いますが、総務大臣は大変前向きな答弁をされているんです。
 ちょっと簡単に御紹介をさせていただきますと、個別法、情報通信分野における個別法の取扱いについてかいつまんで申し上げさせていただきますと、少なくとも施行までにはどういう扱いをするのかの対応をしっかりしたい、ガイドラインの改定を含めて検討すると。そしてまた飛んで、個別法をいつ、どういう形のものを作るかも検討するというふうに、期限を定めて結論を出すという大変前向きな答弁をされている。
 施行までにというのは、具体的には公布から二年以内という、正に二年以内に個別法に関する結論を出すと大変前向きな答弁を衆参でなされているわけですが、私は個人的に大変高く評価をしています、その答弁に対して。
 それで、確認なんですが、改めてお伺いします。情報通信分野における個別法の対応について大臣のお考えをお尋ねします。
○国務大臣(片山虎之助君) 二月に研究会を作りまして、もういろんな研究をしてもらっておりまして、今ガイドラインがあるんですよ、御承知のように。このガイドラインの見直しもやってくれと、こう言っておりますが、いずれにせよ施行までというと二年ですね。その間に、個別法が要るのか要らないのか、要るとすれば個別法の内容はどうするのか、こういうことについての結論を出したいと思っております。
○内藤正光君 私は特に、繰り返しになりますが、期限を定めて、明らかにして結論を出すということ、そういうことを明言したことを私は評価しているんです。私は、期限を明らかにしない約束というのは私は何の意味もないものと思います。やると言っても、それが五年なのか十年後なのか、結局そんなのはやらないに等しいわけなんです。
 そこで、期限を明らかにせず、ただ例えば検討をするというような発言に対して総務大臣は政治家としてどういうふうに思われるでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) それは委員、物によりますよ。物によるし、人によるんですよ。私の情報通信の場合にはそういうことでもう検討を大分深めつつありますから、それから今は私が責任者ですから、そういうことでやっていく。はっきり目標を決めてやる方がやりいいんですよ。ただ、物によりますよ、物に。だから、よそのもののことは言いません。私のものの方のことを言っているわけです。
○内藤正光君 総理、総務大臣は自分の所管であるところの情報通信分野についての個別法、個別法にするかどうかは明言はしておりませんが、いずれにしても、それに関連する結論は二年以内に出すとおっしゃっているわけですね。
 そこで、衆議院の附帯決議の最後にも、五番目の方にも、ほかにもいろいろ分野が、そういう重要な分野があるわけですね、医療だとかあるいは金融・信用の。そういった分野でも個別法を早急に検討することというふうに明記されているわけでございます。ただ、残念なことに、ちょっとこれ期限が書かれておりません。
 私は、まさか総理、片山大臣があそこまで、二年以内にやるとおっしゃったわけですから、総理が期限も示さずに、私はそれが二年なのか三年なのか分かりませんが、期限を示さないまま、ただやるんですよということはまさかおっしゃらないとは思うんですが。
 そこで、この附帯決議の項目に対する結論をいつまでにやるのか、そういったところも含めて、その決意をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、附帯決議は尊重しなきゃいけないと思っていますが、期限をここで区切って私がいつまでにやるということまでは現段階では言えないと。しかし、できるだけ速やかに対応しなきゃいかぬと思っております。
○内藤正光君 ただ、私が言っているのは、二年以内に個別法を作れとか、個別法を出せとか、そういうことを申し上げているわけじゃないんです。期限を区切って、いついつまでに結論を出すと。例えば、それが、結果、個別法ではなくてガイドラインによる対応が望ましいというんであれば、それはそれでそれを尊重しなければいけないと思うんです。
 いずれにしても結論、その結論、期限がいつになるか分からない、これじゃやりにくいんじゃないんですか。どうですか。
○国務大臣(細田博之君) そもそも、各、医療、金融、情報通信、その他を含めまして、今のIT化の進展の中で、個人情報保護に関しては法律によるきちっとした対応がなければうまくいかないので、できるだけ早期に決めてほしいという要請は全部受けているんですね、ほかの議員の御質問にもありましたように。そして、その期待が大きいわけです。
 したがって、このたびこれでできますと、その枠組みに従って基本方針が定められたり、それから業界団体等を中心として、あるいは医師会であるかもしれませんし、金融関係の全銀協とか、ほかのいろんな機関であると思いますが、これで本当にうまく各企業が個人情報を守れるかという検討が行われると思うんです。
 そして、それのみで十分に対応できない部分とか、ただその社員を首にすれば足りるかと言えば、そうではなくて、何らかの規制が必要である部分というのが当然出てきますので、しかもそれが五千とのかかわりも出てくるかもしれないんです。情報通信分野というのは、案外、大体、情報の数でいうと相当大量でございますので、個人情報の場合も大きいと思うんですが、じゃ個人医院はどうするんだとかということも含めて、じゃお医者さんと今の看護師さんだけでいいのか、事務員さんとか外部委託はどうなのか、レセプトを電子化したらどうかと、もう本当にすそ野が広いわけですね。その中で、どれをやったらいいのかという議論は早急にしなきゃならないけれども、今、じゃ、そこをいつまでに何をやりましょうと到底言えません。
 したがって、これは、今後、指針、ガイドラインを示しながら、法が施行されるときには大体こうやらなければならないだろうということまでは固まってくると思うんでございますが、それを時期的に今明示できるかどうかという点について言えば、非常に多くの問題を検討しなければならない。そのことを各省ともお答えしておりますし、そのための組織も作っておりますので、積極的に対応することは事実だと思っております。
○内藤正光君 速やかにという言葉はいただいたんですが、例えば医療の分野だと、これから遺伝子が扱われるようになると大変な正に個人情報の集積体ですよね。そういったものを扱うようになるんです。金融の分野はもう改めて言うまでもない。もうこれ、もたもたしていたら間に合わなくなっちゃうんです。
 だから、私は、この重要法案、責任を持つのは正に内閣総理大臣です。これは内閣法で定められているんです。ですから、私は、総理の意思を私は明言すべきだと思うんです。とにかく何年目途に結論を出してくれと。じゃなきゃなかなか進みませんよ。これは、結果的にもしできなかったら、それはそのとき何かまた説明をすればいいわけであって、少なくとも二年を目途に結論を出すとか三年を目途に結論を出すと。まずリーダーである総理のそういった意思の下に行政機関は動いていくわけですから、この意思がまず示されないことには、結局、問題何でもかんでも先送りされちゃうんじゃないですか。違います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは早くできるところと時間の掛かるところ、両方あると思います。先ほど片山大臣も物によるとか人によるとか言いますけれどもね、すごい複雑なんです。そういうことも勘案しながら、できるだけ早くやりたいということを言っているわけでありまして、この議論の積み重ねというものをよく生かして、個人情報が保護されるような対応をしていきたいと思っております。
○内藤正光君 ちょっとくどいようでございますが、少なくとも片山大臣、総務大臣は、この情報通信分野の進展の早さ、正に秒進分歩、そういったものに合わせるために、もう二年以内を目途に結論を出すとおっしゃったわけです、大変前向きな。私も、多くの方が評価しているんだと思います。
 ところが、医療の分野、金融の分野、これは情報通信の分野に劣らず進展は早いんです。これは本当にちゃんとリーダーが、その責任者がちゃんと意思表示をしてくれないことには私は手後れになるんじゃないかなと思います。
 これ、この個人情報保護法の責任者であるのは正に総理大臣ですよね。私はできるだけ早くというその答弁はリーダーシップ性が余り感じられないんですが、もう一度お尋ねします。できるだけ早くというのをもうちょっと──いや、総理です、総理。できるだけ早くというのは分からないんです、私には。
 短くお願いします、短く。
○国務大臣(細田博之君) 委員御指摘のように、この法律によってはっきりと政府は必要な措置を検討する責務を負うことは明確になっておりますから、したがって個人情報の保護についてこれから分野別に検討して、どうしてもこれは保護が守られない分野がここにあるぞということになれば、当然措置を取るという前提の法律であると考えております。
 期限を付けることが意味があるというんじゃなくて、これから具体的に、これまで二年半も掛かっているわけですから、二年以上ですね、大分遅れてしまって、そのことはもう後悔先に立たずということはございますけれども、できるだけ早くこの個別の問題は検討しなきゃならないことははっきりしております。
○内藤正光君 最後に一回言わせていただきます。
 私はこれは、包括法というのは本当に帯に短したすきに長し、中途半端なんだと思います。本当に重要な分野では余りにも浅過ぎる、薄過ぎるんです。情報通信の分野、医療の分野、金融の分野、やはり二階建て部分に個別法をちゃんと作らなきゃいけない。そういった意味では、包括法だけで走ると、これは言ってみれば不十分なまま運用するということにもなりかねないんです。
 片山大臣のリーダーシップの下、情報通信の分野は完璧な状態で公布までには動くかもしれない。でも金融の問題、医療の問題、これ中途半端な状態でそのまま運用していっていいんだろうかと思います。本当にこれ重要な問題だというふうに認識していただきたいんだと思います。
 もう最後にします、これについては。総理の決意をお願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この個人情報法案そのものにも反対していた方がたくさんいるでしょう。そういう中で今回、まず基本法、包括法を出す、これようやく成立するようになったんですよ。与党案、野党案に対しても反対している人いるでしょう。いかに、非常に国民にとってこの個人情報というのは、余り片仮名好きじゃないんですけれども、センシティブかと。センシティブないろんな情報あるんです。
 それで、しかし、この基本法、包括法ができて、附帯決議にあるように、個別の問題についてはできるだけ速やかに、重要性というものをよく認識しておりますので、個人情報がしっかりと保護されるような対応をしていきたいと思っております。
○内藤正光君 総理の、個別法への対応についてはできるだけ速やかに対応していきたいと、その決意を受け止めて、ちょっとしばらく見守っていきたいと思っております。できるだけ速やかにお願いしたいと思います。
 次に、時間も大分この件で過ぎてしまいましたので、防衛庁のリスト問題、議論させていただきたいと思います。
 総理にお尋ねしたいと思います。
 昨年五月、改めて言うまでもございませんが、防衛庁によってリスト問題事件が起きたわけでございますが、この問題が情報保護法の出し直しの大きな契機になったわけでございますが、この不祥事の教訓をどのように御理解なされているんでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは正に人、そして法律の趣旨、これをどう正確に把握して運営するかと。私は、やはり法の趣旨にのっとって、運営する人がよく理解して運用しなきゃいかぬなと、そういう教訓を得たと思うんであります。
 目的外利用はしてはいかぬと、また目的外に提供してはいかぬというこの法律の趣旨を徹底させなきゃいかぬなと。いかなる制度も法も、適切な、人が運用するものですから、そういう点についてよく趣旨を徹底して、個人情報保護の重要性と目的を理解させるような周知徹底、これが必要だと思っております。
○内藤正光君 私も、特に行政機関法の方においてはそれは正に同感なんです。総理は衆議院の方でも同趣旨のことを述べられました。一層の職員教育が必要だとか、それに基づいた運営が必要だとかおっしゃった。私も常々そう思って、総務委員会でもその趣旨にのっとった議論をさしていただいているわけでございます。
 正に、この防衛庁のリスト問題の教訓は何かといえば、行政機関の個人情報の扱いに関して制度管理、これが余りにも甘い。制度管理という言葉を使わさしていただいたんですが、中身は研修が全然なされていないだとか、あるいはまた責任者がいないだとか、あるいはまた定期的な監査もなされていないだとか、そういったことが全くない中で守れと言う方がもしかしたら無理なのかもしれない、そんなふうに思います。
 そういったことを前国会でも総務委員会で指摘をさしていただいて、総務大臣は、このリスト問題の教訓を踏まえて、行政機関個人情報保護法の適正運用のために、行政機関の個人情報保護のために閣議決定を検討したい、そうまで答弁をされているわけでございます。
 そこで、そういったことも踏まえて総理にお尋ねしたいんですが、この法の実効性を高めるために、制度管理や運用管理の強化という観点で、総理自らが、職員教育の徹底など、あるいは定期的な監査を導入するとか、そういった趣旨を含んだ基本方針を総理自らが私はお示しになられるべきだと思うんですが、お考えをお尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この問題につきましては担当大臣に既にしっかりとした対応をするように指示をしておりますし、今後その方針にのっとって運用していこうということで、連携、各省取ってきて、いきたいと思っております。
○内藤正光君 そういった趣旨とは、すなわち職員の教育の徹底だとか、あるいは責任者を置くだとか明確にするだとか、あるいはまた監査をちゃんとしっかりやるだとか、そういったことでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、内藤議員が御指摘の点も踏まえまして、どのように厳格に適切に運用されるかと、人員の配置とか人材の起用とか教育訓練にどういう適性がふさわしいかというものを含めて、しっかりした対応を取る必要があると思っております。
○内藤正光君 そこで、直接の責任者である総務大臣にお尋ねしたいんですが、私は、制度管理の強化だとか運用管理の強化のためには、例えば各省官房にハイレベルな責任者を置くなどの対応が考えられるかと思いますが、総務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今までも何もやっていなかったわけじゃないんですよ。やっていたんですが徹底が足りなかったと、こういうことですね。
 だから、セミナー、各省ごとのセミナー、研修会だとか全部集まっての連絡会議だとか、そういうことはやっていきたいと思いますし、各省ごとに広く集めた研修会やっていただきまして、私どもの方を含めて専門家に行ってもらって講師をやってもらうとか、そういうことも考えたいと思いますし、各省ごとにできればガイドラインを作ってもらう。あるいは、今、内藤委員言われましたように、責任者を決めて、そういう趣旨徹底というのか教育研修というのか、そういうことも検討、幅広く検討いたしたいと思いますし、まあ閣議決定というのはちょっと大げさかもしれませんので、関係の閣僚の申合せだとか、関係閣僚ってみんな関係あるかもしれませんけれども、そういうことをいろいろと今検討しておりますが、いずれにせよ早く法律を通していただくということでありますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○内藤正光君 次に、人事院も来ていただいているかと思いますが、ちょっと懲戒処分制度についてお尋ねしたいと思います。
 今回、出し直しによって新たに罰則規定が盛り込まれたわけでございますが、しかし、この五十三条以下の罰則規定を適用するには、問題の行為が犯罪の構成要件に該当するか否かが当然のことながら決め手になるわけなんですが、しかしこの法案の規定では、私個人的には、本当にちゃんと規定され得るんだろうか、特に組織、言い方は悪いんですが、組織ぐるみの行動であった場合に本当にこれらの規定が該当し得るのかどうか、私は疑問を持っております、正直言って。そこで、大切になってくるのが適正な懲戒処分の在り方なんだろうと思います。
 防衛庁リスト問題では、当時の防衛庁長官は罰則がないから適切な重い処分ができないという発言をされておりますが、私はこれは大きな誤解に基づいた発言だというふうに思っております。
 そこで、人事院にお尋ねしますが、防衛庁リスト問題の反省に立って運用管理の強化という観点でもこれは必要だ、大変重要なことだと思いますが、個人情報保護法を意識して懲戒処分の指針の見直しを私は早急にすべきだとは思うんですが、そのお考え、あるいはまたもう既にしているんであるならばその旨、今の動向をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(平山英三君) 個人情報保護法違反に対する懲戒処分についてのお尋ねでございますが、個人情報を取り扱う職員は、行政機関の保有する個人情報保護法を遵守し、適切に公務遂行を行うことが求められるところであり、違反行為を行った職員に対しましては、服務統督権を有する各府省の任命権者が事実関係を十分に調査の上、厳正な懲戒処分を行うことが必要であるところでございます。
 人事院といたしましては、各府省による懲戒処分が厳正に行われますよう、懲戒処分の指針を作成して各府省に発出しているところでありますので、行政機関における個人情報保護の重要性を踏まえまして、懲戒処分の指針に個人情報の違法な取扱いに係る標準例を追加することを検討するなど、懲戒処分を一層厳正に行われるよう必要な対応を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
○内藤正光君 人事院の方では、この保護法の制定を踏まえた懲戒処分の在り方の見直しを行っていらっしゃるということで、行っていくということで、是非その方向で頑張っていただきたいと思います。
 そこで、ちょっと総理にお尋ねしたいんですが、総務大臣は、このリスト問題でのいろいろな前長官の発言に対してだとは思うんですが、懲戒処分と罰則とは全く別物だとおっしゃった。これは正しいんですね、これが本当は正しいと。しかし、その元長官の発言でも明らかなように、懲戒処分というこの制度の基本さえ正しく認識されていないというのが実情なんだと思います。
 それで、私は、この保護法の実効性を高めるためにも、この懲戒処分制度というものの省庁横断的なしっかりした基準、当然周知徹底はもちろんのこと、この基準統一が図れないことにはその実効性は高まらないんじゃないかなと思います。それこそ、省庁によって恣意的な運用がなされたりとか、そういうことでは果たして本当に実効性が高まるのかなという疑問を私は持っております。
 そこで、内閣総理大臣は、中央人事行政機関でもあられるわけです、こういったいろいろ人事に責任を持つ責任者でもあるわけです。そういった総理に、今おっしゃった、人事院の方がおっしゃったような、今から基準を作ると、保護法を踏まえての基準を作ると。それを基に各省も基準統一というんですか、徹底化を図るためにリーダーシップを振られる、旗振りをされるべきだとは思うんですが、決意をお尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が懲戒処分とか人事とか事細かに言うべき問題ではありませんが、今、人事院でも答弁ありましたように、厳格に対処しなきゃならぬということでもあります。
 また、片山総務大臣も、この問題については各省よく連携を密にしながら、恣意的にならないで厳格な運用をしていく必要があると。また、罰則と懲戒との関係、難しい問題もあります。いろいろそれぞれの意見というものもよく伺いながら、一つのしっかりした基準を持って対応すべきではないかと思っております。
○内藤正光君 時間があと三分ほどありますので、ちょっと最後は総務大臣に何点かお尋ねしたいと思いますが、今回、開示請求等の項目が盛り込まれたと。ところが、開示請求、十九条、二十条を見てみますと、まずは三十日以内に決定しなきゃいけないとあるんですが、それに続く第二項で、しかしちょっと困難だと三十日更に延長できる。しかし、さらに、続く二十条でもって、量が膨大だと更にプラスアルファ、これがまた期限がないわけですね。二か月でも三か月でもいい、延長できるという規定になっているわけですね。
 これは訂正請求だとか利用停止請求についても同様なんですが、これは正に情報公開法の規定に倣ったものだというふうに私は認識しております。一言、それでいいんですね。
○国務大臣(片山虎之助君) 情報公開法にそろえています。三十日まであって、プラス三十日更に延長と。
○内藤正光君 情報公開法と全く同じなんですが、その辺の延長の仕組みが。
 ところが、情報公開法の保護法益は何なのかといったら、正に公正で民主的な行政の推進ということで、極端なことを言ってしまえば、仮に公開が多少なりとも遅れても、個人の権利利益をダイレクトに害するものではないわけなんです。ところが、個人情報保護法については、正に保護法益は個人の権利利益なわけです。ですから、私はその点で、情報公開法の運用の在り方と保護法の運用の在り方、開示請求だとか、その請求のときに全く同じでいいんだろうかと私は疑問を持っています。
 私は、この第二項の、つまり延長の規定だとか、その次に更に続くプラスアルファ延ばしていいよというそういう規定は、本当にこの適用は極めて慎重的、限定的でなければならないかと思うんです。
 ところが、情報公開法だと、業務が多忙を理由に第二項の適用で三十日延長できちゃうんです。こんな業務の多忙を理由に延長して個人の権利利益を損ねていいものなんだろうか、私は大きな疑問を持っています。いかがでしょう。
○国務大臣(片山虎之助君) 今の情報公開法の審査会の運用を見ますと、三十日プラス三十日、それ以上というのは五%なんですよ。私はよく頑張っている方だと思いますよ。
 だから、今お話しのように、情報公開と個人情報保護は違うんだから、こちらの方が急ぐべきだと。まあどっちも急ぐべきでしょうね、どっちも急ぐべきだと思いますけれども、言われるような点もありますので、実際の運用に当たっては、審査会にそういうことで督励をしてできるだけ早く処理すると、こういうことなんですが、諮問が時間が掛かるんです、各省の。状況を調査したり、そういう点もありますので、各省庁にもそういうことをよく話して理解してもらわなきゃいかぬなと、こう思っております。
○内藤正光君 終わります。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
 今日は小泉総理が出席されておりますので、この法案について総理の基本的なお考えをただしたいというふうに思っております。
 この個人情報保護法案は、旧法案、これは一昨年の通常国会に上程されて以来二年にわたって審議をされておりましたけれども、メディア規制と報道の自由の侵害に対する国民的な怒り、これが非常に高まりまして、昨年十二月に一度審議未了、廃案というふうになったわけですね。
 本法案は、総理自ら修正を指示されたと、そして与党によって修正された上、再び今国会に提出をされました。総理は、さきの本会議で今回の修正の趣旨を問われて、各方面の不安、懸念が払拭されなかったことから、今回、その趣旨を一層明確にする修正を施し、再提出したと答弁をされました。つまり、前国会で廃案となった修正前の法案は、各方面が不安や懸念を持つようなものであったということはお認めになられるわけですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 旧法案も実は表現の自由、報道の自由、そして個人情報の保護、両立できると私は思っていたんです。ところが、そうではないという不安とか懸念が各方面から起こってきたと。この誤解を解くのに非常に苦労したわけであります。
 そういう中で、いろいろ議論の積み重ねもありましたので、その不安、懸念を払拭するためにはどういう点を修正すればいいのかということをよく考えながら再提出したわけでありまして、私は、報道の自由、表現の自由と個人の情報をいかに保護していくかというのは非常に大事なことでありますので、もし不安とか懸念があれば、少しでもそれを払拭する努力はしなきゃいかぬと思って再提出した次第でございます。
○宮本岳志君 旧法案も決して問題があったわけではないという、つまり欠点や問題点を真摯に認めて修正したということではなくて、実は前のも問題なかったんだと、しかし不安と懸念が、誤解があったのでというふうにおっしゃる。これは繰り返されてきた答弁なんですね、ほかの閣僚の方々も。私は、そこを、だからこそ今回のこの法案というものはやっぱり前回の法案と何ら変わらないと、修正案という名に値しないと。むしろ、我々は、だからこそそう指摘を申し上げているわけなんですね。
 総理、改めて総理に申し上げるまでもなく、報道の自由、表現の自由というのは日本国憲法二十一条で保障された侵すことのできない大切な基本的人権です。そもそも、報道の自由とか表現の自由の保障が憲法上の大原則になってきたのはなぜなのかといえば、これは太平洋戦争の教訓、その下での権力の報道への介入というのがやはり大きな時代背景としてあったということを思い起こさなければならないと思うんです。
 今日は、私、ここに終戦直後、一九四五年十月二十五日付けの読売新聞の社説というのを、多分お見えにならないでしょうけれども、お持ちをいたしました。読売新聞ですね。どう言っているかと。四五年十月二十五日付け、こう言っております。
 この戦争の前後を通じてこの新聞がたとえ弾圧の下にあったとはいえ、軍閥、財閥、官僚などの特権階級の手先となり、戦争への国民の駆り立て、戦争の拡大に果たした罪は限りなく大きい。しかも、度を超えて進んで彼らに阿付するの醜態さえ演じたのである。殊に真実を伝えざるのみならず、事実と全く反対の報道を憶面もなく散じて国民をだまし、国民の戦争についての認識を誤らせ、その目をくらませた罪に至っては正に万死に値すると、こう読売新聞には書いてあるんですね。
 これは、報道、表現の自由ということを考えたときに、極めて大切な歴史の教訓だと私は考えます。こういった歴史の教訓、報道への権力介入がいかに重大な事態を引き起こしたかということについて、総理の認識をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 報道の自由がいかに重要かということにつきましては、この法案、賛成、反対問わず、多くの議員が認識していることだと思っております。
 俗に、戦前の情報操作といいますか、自由な報道がなされなかった、一方的な報道がなされたということに対しまして、よく大本営発表とか、今でもその言葉は使われますが、今回のイラクの状況を見ても、イラクの情報大臣のあの報道ぶりを見ますと、思わずあきれるよりも笑っちゃうほどあの報道管理というものがでたらめだというのを多くの国民はあの報道を見ながら感じていたと思うんであります。自由な報道と一部の独裁者に管理された報道とはこうも違うのかというのはよく分かった。
 この報道におきましても、そういう、報道とは何かということについていろいろ論議がされておりますが、これを侵害してはならないという点について細心の注意を払ってきたと思います。
 そういうことで、今回新たに、そのような不安、懸念を払拭するために、報道の定義というものに対しましても、非常に難しいんですがあえて設けまして、この不安を、懸念を払拭する努力をしたということについても御理解をいただければいいなと思っているところでございます。
○宮本岳志君 私がかつての大戦の例を引いたのに対して、イラクの例を。
 私は、総理は誤解とおっしゃったけれども、正に国民の不安と懸念というのは、正に我が国の痛切な歴史の教訓に立った不安だし、そしてまた懸念だということもしっかり見る必要があると思うんですね。それで、半世紀余り前とはいえ、この国で現に行われたこと、それが正に権力の報道への介入だったと。だからこそ私たちは、この法案が本当にそういうおそれを一切排除しているのかということを本当に念には念を入れて議論をし、やはり問題はありというふうに申し上げているわけでして、何か取り越し苦労のような誤解をしているということではないわけなんですよ。
 それで今、総理の方から報道の定義ということが出されました。各方面から指摘されている不安と懸念の一つが、報道の定義を国が法律で決めるということがいかがなものかという、こういう不安が出されています。報道とはこれこれこういうものですよということを定義すると。
 これは総理、大変僕は難しい問題をはらんでいると思うけれども、いかがですか。
○国務大臣(細田博之君) 今、委員がおっしゃる我が国の過去の歴史に反省して、いかに報道の自由、表現の自由が大事、大切かということは、我々、特に戦中戦後を育った者は身にしみて思っているわけですし、戦争の悲惨さというものは、正に委員長は遺族でもいらっしゃって、そういう活動をずっと生涯のテーマでやっておられるわけですから、一定年齢以上の議員あるいは国民は皆そういう思いで取り組んでいるわけですよ。だから、私どももそういう問題を共有しているということをまず申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、前の案で非常にいろんな問題があった、問題提起があった、報道関係から。そこで我々は新しい案を考えて、また除外するために報道の定義を考えたんですが、他方、四党が、野党の四党も一生懸命お考えになって野党提案というものを出されたときに、まあ私は前の案よりは野党案の方が相当進んだなと、しかし政府案の方がはるかに進んでいるなとは思ったんですけれども、その野党提案を報道がむしろ極めて厳しい批判をされたんですね。だから、これは私は、法律自体は社会のかがみでございますから、やはり報道機関というものを大切にしながら、いやしくも表現の自由、報道の自由等が侵されていないなという確信があるまで近づけたいと。その中の極力、できる限りの表現での例外措置を講じたということでございますので、これ以上の言い方はないということと、すべての報道を除外しておるということは何遍も御答弁申し上げておりますので、そのことを申し上げます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、報道の自由というのは本当に難しい。というのは、別に報道の自由はみんな尊重するんですが、その定義が難しいということなんです。
 前回、旧法案におきましても、報道が恣意的に左右されるんじゃないかと、これの不安があったわけですね。そこで今回は報道の定義を追加したわけです。ところが、これも不安だという点からいえば、これ、切りがなくなっちゃうんです。非常に難しいところ、私も認めますよ。だからこういう表現にしたんですよ。報道とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、これに基づいて意見又は見解を述べることも含む、これをいうという。これについてもまだ不安という気持ちがあれば、それは切りがない。しかし、そこら辺はやっぱりお互い、国民、我々の議論の積み重ねで健全な常識というものもあると思うんですね。この報道の自由は十分尊重されなきゃならぬと。客観的事実を報道するという報道機関の責任もあると思います。また、国民が報道の自由をいかに大事にしているかという、戦前の教訓も踏まえながら慎重に対処する必要もあると思っております。
○宮本岳志君 今日は総理と中心に議論をさせていただきたいと思いますので。
 私は、やっぱり客観的事実というのは、これはなかなか争いのある問題だと思いますね。何が客観的事実であるのかと。ある意味では報道というのは客観的事実を争うものなわけですから。
 そういうものを書き込まれるということにも私は非常に不安を広げる要因になっていると思うし、しかも、そこで決定的なのが、それを主務大臣というのが、つまり報道に当たるかどうかと最後の判断というところを主務大臣がするのであって、それを第三者機関でなく主務大臣がやっぱりかかわってしまうというところに、何といっても報道とは何かが決まっていて、それを大臣がやっぱり最後のところでは判断するということになってくると非常に不安が拭えないということになるんだろうというふうに思っております。私どもは、だから第三者委員会をきちっと置くべきであるということを申し上げているわけですね。
 それで、総理は第三者委員会というのを聞かれて、本会議でも、先ほどもおっしゃいましたけれども、競合すると、こうお答えになりましたね。広辞苑で私、「競合」という言葉を引いてみました。広辞苑ではこうなっています。「きそいあうこと。せりあうこと。」であって、例示として引いているのが、「環境保護と開発とが競合する」、これが例文なんです。開発と環境保護が競合するという言葉を引いているんですね。
 つまり、主務大臣とこの第三者機関が競合するというのは、環境保護と開発のような関係になるというふうに私受け止めたんですけれども、これは総理、どういう意味ですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、今広辞苑で引かれた例は適切ではないと思っているんです。今私がよく外国の会議でも言っていることは、これから日本は環境保護と開発を両立させていくということを強く言っているんです。
 かつては、開発、経済発展を考えると環境保護を犠牲にしてきたと。この日本の経済成長の過程を反省して、今、日本は環境を保護しながら経済発展を考えると。それが非常に重要であって、かつては捨てられた物も再生資源に活用したり、企業におきましても、環境保護を大事にしない企業の商品は消費者に見捨てられると。
 これを両立させなきゃいかぬということで使っているのであって、この第三者機関と、この法案における第三者機関と主務大臣、事業、いろいろ個別の情報に関しましては分野が非常に多岐にわたっておりますので、一概に言えないものですから競合という言葉を使ったわけでありますが、調整という言葉の方が適切なんですかね。
 第三者機関があったとしても、じゃ、この情報はどこの担当省庁なのかというのは全部違ってくるわけですね。そうすると、第三者機関独立で扱うことはできない。より専門的な情報なり専門家を持っているのは担当省庁なんです。それとの調整は必ず必要なんです。そういう点が競合という言葉を使っちゃったんですけれども、確かに、今言った環境保護と経済発展が競合するという、どっちか立てればどっちか立たずという時代じゃなくなっているんですね。この環境保護と経済発展、両立させなきゃいかぬ。
 だから、これも報道の自由と個人情報の保護、これは両立させなきゃいけないんですよ。競合するものじゃない。報道の自由をやれば個人情報を侵害してもいいか、そうじゃないんです。これは個人情報を保護するということと報道の自由を両立させるための法案だということを是非とも御理解いただきたい。
○宮本岳志君 いや、私は表現の自由と個人情報保護の話をしているんじゃないですよ。主務大臣と第三者機関の話をしているんですね。
 それで、両立させたいと、両立すると総理がおっしゃるのは、つまり競合するものを両立させようという話なわけであって、正にこの二つのものが競合する、開発と環境保護は競合するからこそ両立させなきゃならないという話になるのであって、この間に一定の緊張関係があることはお認めになると思うんですね。
 つまり、なぜ、じゃ、そういうことを予想されるのかといえば、私はずばり、だから第三者機関でないと駄目なんですよ。大臣というのは事業を所管する大臣なわけでしょう。当然、こういう個人情報を規律するような委員会というものが独自にそのことをやった場合には一定の緊張関係が生まれてきます。この独立性を保障しなければ、例えば報道の範囲とは何ですかと、あるいは個人情報保護の、これは開示しなきゃならないか、していいのか、してはならないのかどうなのかという判断なども、やっぱり大臣じゃなくてこういう委員会がきちっとやらなければならないのだということを私たちは強く主張しているんですね。
 それで、独立機関ないわけじゃないんですよ。例えば公取なんというのは独立機関として置いているわけでしょう。今日は国家行政組織に関する担当大臣、片山大臣もいらっしゃいます。公取は正に業界への指導監督と距離を置いて取引のルールを規制する必要があると、そういう趣旨で置かれていますね、大臣。
○国務大臣(片山虎之助君) 国家行政組織は私の所管じゃないんですよ。国家公務員はそうですけれどもね。公取というのは準司法的な機関なんですよ。それであれは独立させているんですよ。権限持つあれですね、裁判所的な判断をする、専門的に。そのために独立させているわけでございまして、委員が言われる第三者機関とはちょっと違います。
○宮本岳志君 総理、先ほど総理がお見えになる前に、私、実は今週号の週刊誌が報じた問題について、警察に事実も示して、こういうことが事実あるのではないかというやり取りしたんですよ。しかし、なかなか、警察の場合は捜査機関だということでそういう中身をなかなか明かせないと。それは明かせる場合と明かせない場合があるというのも分かるんです。しかし、やっぱり出てこないんですね。
 だから、いろいろ、行政機関法というのも今回個人情報保護法を作るわけですけれども、それが、じゃ開示しないのが妥当なのか妥当でないのかというようなことについても、これはやっぱりあくまで主務大臣が判断するということになっていて、ただしかし、総理、総理が総理になられて以降も、役所がやっていることでやっぱり国民の批判にさらされて明らかになったものというのは様々な役所であったじゃないですか。自浄能力を発揮して何か役所の中から出てきたんじゃなくて、それは一杯あるわけですよね。いや、だからこそ、準司法組織だと大臣はおっしゃったけれども、私はそういう役割がやっぱり要るんだと。特に、報道にかかわる問題や個人情報保護という問題については、とにかく二つが一緒でいいんだという話にならないんだというふうに思うんですね。
 それで、とにかくそういう大きな体制を作る財政的な問題ということもおっしゃいました、行政の肥大化ということも。それから、時期を見るということも、例えば時期が尚早であるということも細田大臣も答弁されております。時期を選んで、そしてきちっと財政的にどうするかということがもし解決するのであれば、やはりこれはきちっと独立性を持たせたものがそういったことを規律するということに、私は方向としては望ましいと思うんですが、総理、そういう方向について総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 済みません。ちょっと私間違えました。国家行政組織は私どもの所管であります。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先ほども内藤議員との間で議論になったんですけれども、これは、附帯決議に「第三者機関の意義について交わされた論議等さまざまな国会における論議を踏まえ、全面施行後三年を目途として、本法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」という、こういう附帯決議が付いているんです。だから、この趣旨にのっとって、状況を見ながらまた議論していかなきゃならない問題だなと思っております。
○宮本岳志君 時間が参りましたので終わりますけれども、やはり私どもは、第三者機関でなければこの法が報道の自由を保障するというか、侵さないという保証はないという立場を申し上げて、私の質問を終わります。
○平野貞夫君 小泉総理、私、今日、胃の内視鏡の検査をして、まだちょっと麻酔が覚めていないものですから、鋭い質問ができないのをおわびしておきますので。
 この個人情報保護法案について、城山三郎さんは、治安維持法の再生として強く警鐘されて、小泉総理と面談されております。その際、小泉総理は慎重に取り扱うとおっしゃったと。その後、この法律の立法過程を見て、城山さんは裏切られた気持ちで一杯だと、そういうふうにある雑誌の緊急出版で述べておりますが、それについて小泉総理の御感想をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、城山三郎氏の著作、かなり読んでおりますし、いい本だなと、好きな作家でもあります。また、日ごろからの言動ぶりに対しましても尊敬の念を持っております。その城山三郎氏とお会いして、慎重に扱うということも言ったことも事実でございます。だからこそ、昨年、城山氏の意見も十分配慮しながら、慎重にこの法案を扱ってきたつもりであります。そして、廃案になったわけですね。城山氏始め多くの方々の不安や懸念を払拭するために、今国会でも慎重に御議論をいただいている。
 戦前のいわゆる報道管制、報道の自由がなかったということに対して強い不安を持っておられるのも、城山氏はよく言われておりました。我々、戦前のことについては知らないから、こういう報道に関する法案に対しては、もっと戦前の報道の自由がなかった時代の者の意見もよく聞くべきだということだと思いますが、そういう方々の意見も聞いて、この報道の自由を侵害しないように十分配慮したつもりでありまして、まあ裏切られたという表現を使っておられます、中身はどのような方で、どのような表現を使っているのか分かりませんが、私はむしろ城山氏等の不安、懸念を払拭するために細心の配慮をしたつもりでございます。
○平野貞夫君 私は城山さんに会ったことないんですけれども、城山さんの書いたものを整理しますと、これは廃案になって、新しく総理の指示で出したこの本案について城山さんはいろいろ話していますが、ポイントを言えば、一つは、出版社が適用除外対象に明記されていないことは、フリーの物書きが適用除外になっても発表する場がない、人をばかにした法案であると、こういうふうに言っています。
 それから二つ目に、健全なデモクラシーを理解しない政治家と官僚が、これは私が言えばこうなんですが、城山さんはそうは言っていませんが、記者クラブに属している新聞とテレビというメディアと、出版、雑誌を分断する作戦に出て、それが功を奏して再提出の法案になったと。ほとんどの新聞、テレビが新法案の危険性について強い反対をしていないことは、していないと、こう言っております。ここから先は私のコメントなんですが、それは日本のデモクラシーの発展に極めて問題であると、こういうふうに整理できると思います。
 それから三つ目は、民間事業者の監督や報道の定義を判断するのが政府側の主務大臣ということなんですが、本来、報道の対象となる権力者であり、監視、主務大臣というのは監視される側だと、報道から。その監視される者が監督するとは倒錯した論理であり、これらの第三者機関を設置すべきだと、こういう意見なんです。私はこれ、城山さんの意見はもっともだと思います。
 それで、私も四野党のこのプロジェクトのメンバーの一人として、熱心に野党の先生方もその対案を作ったんですが、衆議院での審議の仕方に非常に私は不満でございまして、もうちょっと徹底した、これ不満というのは野党四党に不満なんですよ、もうちょっと本質的な議論をすべきだったと。附帯決議ごときで参議院に送ってきて、私は非常に怒っておるんですが、ちょっと浮き気味でございますけれども。
 そこで、私、一番と三番についてはまた後日担当大臣と議論したいと思いますが、一番根っこの問題でありますやはり報道、メディア、この日本での在り方についてちょっと総理と討論してみたいと思います。
 申すまでもなく、健全なデモクラシーがあってこそ初めて政治も社会も健全だということは申すまでもないと思いますが、果たしてこの現在の日本のマスメディアに健全性があるのかどうか、私はいろんな意味で疑問視をしております。
 それで、理由の一つとしては、全国レベルの大新聞社は全国ネットのテレビを系列化しております。そして、地方新聞の多くも独自の、形の上ではそれは社長は分けているかもしれませんが、一体化したやり方をしております。果たしてこれでマスメディアが社会の木鐸として機能しているのかどうかということに疑問を持っております。
 それで、城山さんの指摘は、本法案が新聞とテレビと出版、雑誌を分断、区々にするところに問題があると、政府の解釈はいろいろされているようですがということを指摘していますが、私は、分断かつ差別というのは、昨今の政治に対してきちっとした主張や批判、あるいは政治家の腐敗を取り上げているのは新聞じゃないんですよ。新聞はやっぱり生ぬるいですよ。大新聞を批判することは選挙に出る人間にとっちゃいいことじゃないですけれども、インターネットを多分見てくれておると思いますからあえて言うんですが。
 そういう意味で、私はどっちかというと、質的に言うと、きちっとした真実を追求しているのは出版や雑誌だと思うんです。そのためには、新しく出された法案にもやっぱり相当問題があると私も思っております。
 そこで、大ざっぱな質問して恐縮ですが、そういったことを背景に、現在の日本の巨大メディア、果たして日本の健全なデモクラシーというのの育成、発展に役立っているかどうか、率直な総理の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、すべての大新聞なりあるいは主要なテレビの報道を見ているわけではございませんが、大ざっぱに言って、総論的に言って、やはり報道機関の言論の自由、報道の自由、あるいは政治を監視するという点について大きな役割を果たしていると思っております。時にはおかしいではないかという報道もありますが、まあ時にではないんだけれどもね。しかし、それは政治家の側から見れば批判されるのは仕方ないなと思っておりますが、全体的に私は日本におきまして報道機関というのは非常に民主主義の発展のためにも寄与しているのではないかと、全体的に私はそう思っております。
○平野貞夫君 一般論として、新聞が直接権力からコントロールはこれはまあ受けにくいし、またなかなかそこのところのガードはあると思うんですが、テレビというのは、やっぱり電波監理が政府は持っていますから、当然、その意味で影響、これ受けると思います。
 過去の椿問題についての評価はいろいろありましょうが、まああれなんかが典型的なものだと思うんですが、新聞社が資本的にもあるいは人的にもテレビと系列化していますね、今。これは、やっぱりテレビは収入が多いですから、いろんな意味でテレビに権力から圧力が掛かった影響が新聞に跳ね返ってくるということは私は間々感じます。総理の言う総体的に日本のメディアというのは及第点付けられるという部分もそれも理解しますんですが、肝心、肝心なときで、肝心なときに問題が私は感ずるんですが。
 アメリカのシアトル・タイムズのブレセンという社長の話に、今テロの、アメリカは今テロの危機ではなく、言論の多様性の危機にあるという、こういうことを言われていまして、アメリカでは逆にメディアの規制を外して集中しようという動きがあるらしいんですが、アメリカの場合には新聞社も株が市場にあるわけですから、市場のチェックというのを当然受けるということになるわけなんですが。そこで、多くの先進国でも新聞とテレビの相互、在り方といいますか、これはもうデモクラシーを壊さないためにいろんな工夫がされて制度化されているようなんです。
 日本でも、総務省令にラジオ、テレビ、新聞の三事業支配の禁止という規定がありまして、これはそういうものがあるということは私非常に立派だと思うんですが、しかし政令にそれを置くというその在り方自身は、これは考えてみなきゃ駄目だと思いまして、あしたでも片山大臣とここのところは議論をしてみたいと思うんですが、私は、この政令を法律に上げるとか、あるいは系列化の禁止といいますか制限というか、そういうことも含めたやっぱり法律の整備が必要じゃないかというふうに考えております。これは総理にはお尋ねしません、あした、片山大臣とやりますから。
 それからもう一点、これは総理の意見を率直に聞きたいと思うんですが、これは法律違反の問題じゃございませんが、三大新聞のうち二つが某宗教団体の機関誌の印刷を請け負っておるわけですね。そして相当な収入を得て経営に寄与しているわけなんですが、となると、この新聞社は、この宗教団体が積極的に支持している政党について健全な批判ができないという、こう見るのが自然だと思うんですよ。
 それから、もう一つの新聞社も、これ二対一ですから不買運動なんか起こされるようなことも過去もあって、どうしても批判、健全な批判はできない、評価も、まあ評価はやるでしょうけれども。
 こういう状況は、巨大メディアの中の状況は、我が国がいよいよ情報社会化を深化、深めていく中で、そのままでいいだろうか、ほっておいていいだろうか、私は国民的な議論が必要じゃないかと、こう思っておるんですが、その点について、最後の質問ですが、率直な御意見をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どの新聞が、その宗教団体の印刷物ですか、請け負っておるか定かでは、分かりませんが、私は、報道機関としての使命感とか、あるいは責任をよく認識して報道に当たってもらいたいと思っております。
 いろいろ新聞社も、あるいはメディア、放送機関にしても、企業からの広告、コマーシャル、これを大きな収入源にしているわけですから、これによって筆が鈍ったり、あるいは報道に恣意的な偏見なり、一方に偏ることがないように厳に注意をしていただきたいと私は思っております。
○平野貞夫君 多分、健全にそういうところは常識の範囲でやられていると思いますが、ただ、一九八〇年代ごろから、我が国の政治家も国民も合わせて、価値観がやはり経済、お金中心、お金第一の価値観になっていまして、メディアもそうなんですよ。大体、メディアというのはお金もうけのためにあっちゃ本当はならぬわけですから、明治の改革も大正のデモクラシーも、そういうメディアの人たちの言わば一つの精神で日本というのは良くなったということを踏まえて、問題の提起として申し上げて、終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、裁判管轄についてお聞きをいたします。
 情報開示請求権が不開示となったり開示不十分だった場合に、これを不服とする提訴は処分を行った行政庁のある地域の裁判所しか行えません。中央官庁は霞が関に集中していますから、東京地方裁判所になる、ほとんど東京地方裁判所になるケースが多いだろうと。
 情報公開法の審議の際に、裁判管轄が狭過ぎるとして、最終的に八か所の高等裁判所の所在地の裁判所に提訴ができるようになりました。つまり、情報公開法だと八か所できる。しかし、今回の個人情報保護法案だと基本的に東京地方裁判所しかできない。そうしますと、九州とか北海道、沖縄、四国、いろんなところで訴えたい、自分の情報開示請求権やった人間が東京に来なくちゃいけないという問題があります。
 総理、この裁判管轄を広げる、国民のための司法、国民のための行政ということでいえば、この裁判管轄は広げるべきではないか、この点について是非お願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 御指摘の点については、個人情報保護の問題というよりもまず裁判管轄の原則の見直しに係る問題であって、訴訟制度全般にかかわる専門的な場での私は検討を進めることが適当ではないかと思っております。
 担当大臣に答弁させます。
○国務大臣(片山虎之助君) さっきから何度も答えていますけれども、情報公開は委任しますから、地方の機関の長に委任しますから、地方でできるようにできるだけします。
○福島瑞穂君 でも、それは委任をしなくちゃ駄目なんですよね。つまり、情報公開法は法律上八か所でできると。あれも裁判管轄が問題になった、もちろんなったわけですけれども、あれはやはり処分庁が、例えば東京であったとしても高裁管轄の場所でできるように広げました。ですから、今回も、あのときよりも裁判管轄を広げるべきだと。司法制度改革の議論は高まっていますので、なぜこの法案でそれを書かないのか。是非もう少し、情報公開法並みにやっていただきたい。総理、いかがでしょうか。──いや、いいです、片山さんはまたあした聞きますので、総理、お願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) これは、情報公開法が大特例なんですよ。原則なんです、こっちの方が、こっちの方が。
 ただ、運用上は今委任しまして、教育と医療が八割ですから、七割、八割、九割ですから、だから、学校や病院にできるだけ権限を下ろすようにして、余り地方の方が迷惑を掛からないようにしたいと思いますし、大きな司法制度改革の中で議論して、行政事件訴訟の在り方を議論してもらえれば大変有り難いと思います。
○福島瑞穂君 いや、私は是非総理に決断をしていただきたいというか、是非やはりこの点について前向きに答弁をしていただきたいと思います。
 情報公開法では数年前に拡大をしてそういうふうに条文化したと。司法制度改革の議論の中でも、裁判管轄は広げるべきだという議論が御存じのとおり強く出ています。
 そうだとすると、個人情報保護法案、これはやはり時代に合っていないと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ただいま片山大臣の答弁のとおりです。
○福島瑞穂君 いや、非常に残念です。
 委任というのは、委任してくれなければ委任が起きないわけですから、裁判管轄を当事者が争うことはできないわけですよね。だって、委任しなければ東京に来なくちゃいけない。そうしますと、飛行機代から始まって、弁護士の負担、それから当事者の負担、もう裁判起こすだけで実費が物すごく掛かってしまうという問題があります。
 この点については、せめて情報公開法並みにというか、時代の流れとしてはそうすべきだと。委任というのは、委任してくれなければやっぱり東京に来なくちゃいけないわけですから、この点については、一番見えやすいところの改革というか、すべきところであるというふうに考えております。
 総理、ここまで迫っても駄目でしょうか。いかがでしょうか。──じゃ、片山さん、あしたまた聞きます。大変済みません。貴重な時間なんで、ごめんなさい。
 次に、報道についてお聞きをいたします。
 質問主意書とそれから報道の定義で、昨日、答弁がずれたということがあります。
 質問主意書の回答では、例えば、総理、質問主意書は総理大臣が判この責任ですから、「政治家のスキャンダルを追う、自称フリーライターを、これは報道でないと憤る政治家本人が、当該フリーライターが情報取扱事業者なのか、あるいは個人情報保護法案五十条の適用除外の対象か否か、調査を政府あるいは当該政治家が指名する主務大臣に依頼することは可能か。」という長妻議員の質問に対して、答弁書は、「主務大臣は、その報道機関の個人情報の取扱いの目的に報道の用に供する目的が含まれているか否かを判断することになる。」としています。
 つまり、問題なのは、主務大臣自身が呼んで、本当に報道に当たるかどうか、報道の目的に当たるかどうかというようにこの答弁書は明確に読めるわけです。昨日、細田さんがこの重さを考えてくれということで言ってくだすったのは、そもそもこれは除外をされるとこれは言っていただいたんですが、質問主意書の方が総理大臣ということで、まあ上位と言うと変ですけれども、ですから、この報道について、この範囲についていかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 実に質問主意書というのはよく出てきますよ。
 それで、細田大臣の答弁、矛盾すると思っていないんですが、フリーライターなど報道を業として行う個人を含め、報道機関の報道活動については個人情報取扱事業者の義務の適用が除外され、主務大臣は存在せず、細田大臣は昨日この旨を答弁したと伺っております。
 ただし、報道機関であっても、例えばテレホンショッピング等の報道目的を全く含まない活動を行う場合には個人情報取扱事業者の義務が適用される。仮に報道かどうか紛らわしいとの苦情が持ち込まれた場合には、主務大臣は報道目的を一部でも含むか否かという容易な判断が求められることとなり、報道目的を一部でも含めば義務の適用が除外されることとなる。
 御指摘の答弁書はこの旨を説明したものであって、細田大臣の答弁と御指摘の答弁書に矛盾があるものとは私は考えておりません。
○福島瑞穂君 昨日、細田大臣は、極めて限定された役員報、役員四季報みたいな限定された場合のみということでおっしゃったわけで、私がどうしてこう言うかといいますと、やはりいずれ報道の定義に合わせてそれが報道か否かということを主務大臣が判断することはあり得ると思うんですね。
 じゃ、今日また確認をいたします。
 昨日と今日の答弁の結果、報道ということは、というか、主務大臣が担当者を呼んで報道に当たるかどうかを判断する場合というのはどういう場合に限られるのでしょうか。非常に限定されるのでしょうか。それだけ今日、済みません、確認させてください。
○国務大臣(細田博之君) 時間の関係があるでしょうから短く申し上げますが、昨日申し上げたのは、出版とか雑誌その他の問題に関連して申し上げたので、出版がなぜ一〇〇%除外にならないかというと、これ新しく持ってきましたけれども、一冊一万二千五百円で住宅地図があるし、それから会社の役員四季報は四万名の人事データもある。こういうのは正に個人情報保護法で言う個人情報で、しかもCD―ROMにして売っておりますから、それでしかも出版で本屋さんで売っておりますから、そういった場合がありますので、それは除外されるけれども、一般の著述とか報道に関連するものは、雑誌でも、一部でもそれに当たるものはすべて除外されるし、個人の活動であってもそうであるということを申し上げたので、念のために。
○福島瑞穂君 今日、対政府質疑でもお聞きをしたんですが、個人情報ファイルの問題、先ほど宮本委員の方からもありました。今日、配付資料があったわけですが、右翼標ぼう暴力団個人カード、警視庁刑事部捜査第四課で個人のものが非常に詳細にデータベース、情報が集められている。これは、内部情報につき令状請求・送致資料等に添付しないことと、わざわざ判こが押されています。つまり、行政情報の中でだれも知る由がない個人情報がファイル化されていて、ファイルのリストにもこういうのは出てきていないんですね。
 総理、情報公開請求した人間がリスト化されているという問題や、様々ないろんなリストが行政の中にあって、それは何か偶然外に出てきたり内部告発で出てくる、あるいは売られるというような問題もあるわけですけれども、これはこの法律によると、だれも知る由もない、あるいは事前通知もないわけですから、出てこないわけですね。こういう個人カード、非常に詳細な、写真も付いている、あるいは体の特徴、前科前歴、全部入っているような個人カードが作られていると、こういうことについて、いかがお思いでしょうか。──いや、済みません、総理にお願いします。いや、総理にお願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) それは、警察は警察の必要で個人情報ファイルを作るということはありますよ。ただ、事前通知の対象にはしておりませんが、もう既に答弁したように、それも行政機関個人情報保護法に基づいて管理し処理してもらうんです。それは警察の方に私どもは徹底いたしたいと、こういうふうに思っております。
○福島瑞穂君 済みません、私は総理に感想を聞いたのであって、いかがですか、こういう個人カードが作られているということについてどう思われますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、必要な情報は各役所が作らなきゃいかぬ。それと、これを保護するということとは両立できると思いますよ。こういう情報、人に知られたくない情報をやっぱり集めなきゃならない場合もあります。しかし、これはやっぱり保護しなきゃならない。捜査のことなんか言えないでしょう。公開すればいいというものじゃない。個人の情報はやっぱり保護しなきゃならない。しかし、捜査の場合に必要な情報は集めなきゃならない。これはもう私は当然のことであって、これを全部そういうものを集めてはいかぬということにはならない。しかし、しっかりと保護しなきゃならない。これはうまく両立させていかなきゃいかぬと私は思っております。
○福島瑞穂君 民間が個人情報を持っている場合にはかなり厳しく管理をされて、行政が持っていてその様々な情報を集積させて集めることについてこの法律はチェックができないんですよ。なぜかといいますと、事前通知もありませんし、それから一般の人は自分の情報を開示請求やったとしても出てこない情報でもありますし、そもそも国民はこのようなファイルがあることそのものも知らされていないわけです。
 行政が必要があれば集めればいいのだということであれば、それは行政性善説、行政が情報を集中化させて、そのことが人権侵害が起き得るということについてこの法律は無力であると、そこにメスを入れない点が最大の欠陥であると。だからこそ第三者機関というものの存在が出てくるということを申し上げ、肝心なところにメスが一切入らない欠陥法案ではないかということを申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
 五案について引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○入澤肇君 本日のしんがりを引き受けまして、御質問させていただきます。
 できるだけ衆議院の議論、今までの議論と重複しないように質問したいと思いますけれども、今日も幾人かの委員から、どうも今度の個人情報保護法はメディア規制という批判が免れないんじゃないかというふうな御質問がございました。私も聞いていまして、政府側の説明にもう一工夫あっていいんじゃないかなというような感想を持ったわけであります。
 実は、この修正案を作るときに、私も与党三党の議論の現場におりましたので、そのときに考えたことを今日体系的にちょっと並べてみますので、それについて当局の御認識をお伺いしたいと思います。
 相当な議論をやりました。第一点は、修正前の旧法の第二章、基本原則のうち、第五条の「適正な取得」、これは「個人情報は、適法かつ適正な方法で取得されなければならない。」、こういう規定でございます。それから第八条の「透明性の確保」、「個人情報の取扱いに当たっては、本人が適切に関与し得るよう配慮されなければならない。」。この二つの規定は表現の自由を妨げるんじゃないかと。また、そのおそれが出てくるんじゃないかというふうな心配がメディア側から出てきたわけであります。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
 今回の個人情報保護法は、正に学問の自由とか信仰の自由とかあるいは表現の自由という基本的人権と個人情報保護との調整をどうするかという基本的な問題をはらんでいまして、こういうふうな疑いが出るということが一つ大きな問題であるということで、与党三党の議論の中では、これは削除しようと、まず。
 しかし、OECDで八つの原則がありまして、それを日本版では五つの原則にしたわけですね。これは衆議院で堀部参考人が、八つを五つにするという、これは正に日本的な工夫だというふうなことは言われていましたけれども、二つを削ってあと三つだけ残すと、これはおかしいということで、全体として基本原則というその章を削除したわけであります。その代わりに、それに代わるべきものとして基本的な理念、基本理念というのを置いたわけですね。これが一点。
 それからもう一つは、この基本原則の規定が裁判上の訴えの利益の根拠規定と解釈されるんじゃないかというふうなことも心配されましたので、本来そういうことはないというふうに当局側は有権的な解釈で示していたんですけれども、解釈であいまいなことを、あいまいな印象を与えるのはよくないということで、思い切って基本原則ということが削除されたわけであります。
 第二番目は、これも解釈によってあいまいさを残すということを極力防ごうという視点から、特に報道機関、今も議論がありましたけれども、報道ということについてきちんとした定義を置いたらどうかということで、定義を置くようにしたわけであります。
 これは、その後この委員会を聞いていまして、さらにまだ客観的な事実とかなんかについても、何が客観的だとかいって、いろんなあいまいだというような質問が出ているんですけれども、この点は、いずれ各省統一で私はガイドライン的なものが出てくるんじゃないかというふうに今期待しているわけでございます。
 それから第三点目は、行政当局の介入によりまして表現の自由が侵されるのを防ぐと、そういう意味で、報道等につきましては主務大臣の権限を行使しないという規定を改めて入れたわけです。
 それから、最も中心的な中身である第四章の個人情報取扱事業者の義務等の規定、これにつきましては、以上の観点から報道機関等には適用しないという、これは元々そういうふうに書いてあったんですけれども、どうも書き方があいまいだということで、旧法の五十五条を第五十条のように明確に改めたと。その代わりに、私は主張したんですけれども、個人情報保護のための包括法として位置付けるのであれば、報道機関等を全く除くというのはおかしいと、そういうことで、第五十条の第二項、これはもう少し強く書いたらどうかということを主張したんですが、その議論は通らなくて、努めなきゃならないというふうな規定になったわけです。
 要するに、この五十条の二項というのは、ある意味では本邦初演というか、私どもの持っている我が国の法律体系の中では、罰則なき義務的訓示規定ということで極めて珍しい規定なわけですね。しかし、これは自治規範として非常にこれから大きな意味を持ってくると私は思っております。これを旧法のままそのまま存続させておこうじゃないかということになったわけであります。
 それからもう一つ、行政機関の関係の法律について言いますれば、本来、私は国家公務員法を改正して、国家公務員法の罰則の体系を直すべきじゃないかということを強く主張したんですけれども、最近の立法例見ますと、マネーロンダリングの防止の法律につきましても、国家公務員法のその罰則の体系よりも更にきつい体系を科すようにしたし、今回の行政庁の職員の罰則については、防衛庁の事件等もありまして、この法律で個別に強化するという、そういうふうな方針を政府が取られるということで一応納得したわけであります。
 このように、私はかなりの工夫をして、報道の自由、表現の自由、学問の自由、信仰の自由等、憲法の自由を守るんだと、憲法で規定された、保障された基本的人権を守るんだという姿勢を政府はきちんと示している。にもかかわらず、今日もいろんな意見が出るということは、今私が申し上げましたような修正の過程における体系的な説明が政府側から十分なされていないんじゃないかというふうな感じがいたしますので、それについての認識なり感想なりをまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 前の個人情報保護法案作成以来、ずっとかかわってこられました入澤議員のもつれた糸を解くがごとき、本当に明快な今お話がありまして、また御質問があったわけでございますが、誠にそのとおりだと思います。
 私ども政府としても、与党ともよく協議をしながら、表現の自由、報道の自由、その他の自由を守りながらどこまで、今本当に迷惑しているのは個人情報を乱用されて困っている人たちでございますから、また不祥事が多発しておりますから、それに対処するためにどういうふうにしていったらいいかという知恵を出してまいったわけでございますけれども、やはり法案、法律自体が社会のかがみと申しますか、余りそう言うと申し訳ないのでございますが、そういうことで非常に極めて強い御批判いただいたと。
 それから、野党案も一生懸命考えていただいたんです。我々には最初はもう個別業種法案にしろといって随分言われましたけれども、よく考えてみるとすき間の業種が一杯出てきますし、やっぱりそれではいけないなというんで野党もあれを、法案を変えてこられた。
 それから、報道についても一生懸命考えられたけれども、これまたそれでもいかぬということで報道機関から逆に強い批判を受けて、何だという身内からの大分批判も出たようにも聞いておるわけでございますけれども。
 したがって、この問題は非常に難しいのと同時に、我々国会議員はいつも報道にもさらされていますし、いろんな世論の批判にもさらされているし、我々の情報は、財産情報といい、個別の情報といい、もうみんな公表されておりますから、一番はっきりと身をもって体験していますから、我々の考えておることは実は非常に常識的かつ中庸を得た内容になっておると自負しておりますし、入澤議員のおっしゃることもそのとおりだと思いますが、やはりこの法律を一刻も早く通過させて、適正な行政的な対応をすることが喫緊の課題でもございますし、基本原則の削除等によって対応したということでございますので、またさらに今後、入澤議員の思いについても必ずやまた中庸の世論が起こってきて、もう一度全面的に考えると。例えば第三者委員会の問題についても、あるいは今後確立していくかもしれない個人情報コントロール権の問題とか、こういうまだ星雲状態にあるようなものも含めて自ら発展していくべき法案であると考えております。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
○入澤肇君 次に、衆議院の特別委員会において作られました附帯決議の中身について幾つか御質問したい。
 実は最初に、衆議院の附帯決議の第五項で、医療とか金融とか、「高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野について、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報を保護するための個別法を早急に検討すること。」、これは今日も議論があったところですね。内藤さんも指摘していました。これにつきまして、もう少し踏み込んで書いてもらいたいというような医師会等の要望があるんです。
 どういうことかといいますと、小渕首相の肝いりでミレニアム計画が提唱されまして、テーラーメードの個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト、これがこれから五年計画で発足すると。この計画を進めていくためには民間の協力が是非とも必要だと。例えば、五年間という長い期間に及んで家系も含めた病歴の情報等も提供してもらわなくちゃいけない。だから、国民の理解を得なければこの実験プロジェクトはできないわけですね。それを、学術研究は今度適用除外になっていますけれども、これをやっていきますと、実は産業界も参入、経済活性化プロジェクトの一環としてこのミレニアム計画というのは出ているわけでございますので、参入が進むんじゃないか。それから、官産学の共同研究で民間の研究所も入ってくるんじゃないかとか、いろんなことが今検討されているわけであります。
 そこで、単に学術研究を除外するとかいうことだけじゃなくて、このような民間も入ってくる、しかも産業化が予定されるような問題につきまして、もう少し掘り下げた検討をしてもらいたいというふうな要望があったんですが、これに対して、まず厚生省としてどのように受け止めているかということについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生御指摘のプロジェクト、また学術研究分野における個人情報の取扱いにつきまして私どもの考えを申し述べさせていただきますと、学問の自由に密接にかかわることであります。
 この法案の第五十条第一項三号というところにおきまして、大学その他学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者が学術研究の用に供する目的で取り扱う場合は適用除外されている、そういうふうに承知をいたしておりますが、御指摘のその共同研究などの場合につきましては、この規定に基づきまして個別具体的に判断されることになるというふうに考えておりますが、仮に適用除外となる場合におきましても、個人情報の適切な取扱いを確保するために必要な措置を事業者が自発的に講じることとなるというふうに承知をいたしております。
 これは同条第三項でございますが、いずれにいたしましても厚生労働省といたしましては、医学研究における個人情報保護の重要性については十分認識をいたしておりまして、研究が適正に実施されるために指針の策定、ガイドラインの策定などを行って研究者に遵守を求めているところでありまして、今後とも、これらの措置を適正に運用、周知するなどによりまして、個人情報が適切に保護されるように真剣に取り組んでいきたいと考えております。
○入澤肇君 是非、この法律で適用除外になっているといっても、その境界的な部分、あるいはこれから発展させなくちゃいかぬ部分につきまして、国民が協力しようとしてもなかなか協力できないというふうなことが起こらないように、適切なガイドラインを作るように努めていただきたいというふうに思います。
 もう一点は、先ほども議論がありましたけれども、衆議院の特別委員会の附帯決議第四項でございまして、出版社が報道の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合には、「個人情報取扱事業者に係る義務規定の適用除外となることを明確にすること。」と、ここにあります。このような附帯決議が付されるに至った背景とか議論ですね、これについてちょっと。
 こういうことを言うんであれば、初めから、先ほど報道について、あるいは報道機関について定義をしましたから、そこで定義しちゃえばよかった。しかし、そうなさらなかったのも事実でございますので、今後の対応につきましてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 出版という問題については、一般的には表現の自由を体現するために、フィクション、ノンフィクション、雑誌その他を、書籍を出していく企業活動でございますので、基本的に完全に自由であるべきものでございます。その点はもう全く問題がないわけでございます。
 ただ、城山さんの御批判が当たらないと考えておりますのは、このIT時代で、先ほどちょっと申し上げました、例示を挙げて申し上げましたけれども、正に個人情報のファイルそのものが、某雑誌社による、出版社による会社役員四季報、四万名分とか、あるいは某社の住宅地図、東京都世田谷区とか島根県松江市とか、政治家は皆これを何冊も買って毎日利用しておる方も多い、しかも一冊一万五千円とかそういう値段で売られている、しかもCD―ROMも次々出ておりますしね。
 こういう実態から見ますと、どうしてもやっぱり出版、それも出版に当たるというのは仕方がない、定義上は出版でしょう、つまり、そういうできた製品に値段を付けて売っているわけでございますから。しかし、それは正に個人情報を販売する業そのものでございますので、どうしてもそれを全面的に除外することは不可能であるということを申し上げてきました。
 そういった委員会におけるやり取りの結果として四号が、四項が出てきておると承知しておりますが、これが一般的な著作あるいはフリーライターのいろいろな活動を制限するとか、あるいは雑誌自体を制限するとか、そういう意図によらないことは明確でございますので、委員会でもはっきりと申し上げているわけでございます。
○入澤肇君 是非、これから正に具体的に主務大臣が取り扱う場合のガイドラインを、今までの委員会での御答弁を基にして、明快に示していただいて、誤解のないようにしていただきたいというふうに思います。
 それから、今まで議論されなかった点について幾つか御質問したいのですけれども、まず行政機関法の関係なんですけれども、例えば防衛庁の情報収集の在り方が問題になったと。行政機関はともすると勝手に個人情報を集めようとする傾向がある。それに歯止めを掛けるには、法律に基づかない限り個人情報を集めてはならないというふうに明記する必要があるんじゃないかなんという指摘がありますが、これについてはどうお考えですか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 本法案におきましては、行政機関が個人情報を保有するに当たりましては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限るということを明確に規定しているところでございまして、およそ法律に基づかないで勝手に個人情報を集めるというようなことにはなっておらないわけでございます。
 また、行政機関として当然法令を遵守いたしまして、適法かつ適正に個人情報の取得に当たるべきことは、再三御答弁申し上げておりますように、この本法案に書かれておりませんが、憲法の下で当然要請されるところでございますし、また公務員法の法令遵守義務等によって規律されているということでございまして、いずれにしましても、このような法の趣旨を踏まえ、適正かつ厳正な運用に努めてまいりたいと考えております。
○入澤肇君 いずれにしましても、今日も、昨日も議論がありましたけれども、憲法とかあるいは行政組織法だとか国家公務員法とか、そういうのはみんなあらかじめ読んだものとして議論しているわけですよね。体系上はこれは前提として議論しているわけですね。ですから、こういういろんな質問、疑問が出てきたときに、明確に、やっぱりこれはこうなんだ、法律的な根拠はこうなんだということを積極的に説明しておくことが私は必要じゃないかと思います。
 もう一つ、非常に重要な問題なんですけれども、今度の国の行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が成立した場合に、地方公共団体ではこれに基づいてどのような対応を取るのか、特に条例でどのようなことを規定するのか、これについてお伺いします。
○政府参考人(大野慎一君) 実は、自治体が条例による個人情報保護を考えていないというのが三分の一ほどまずございますので、これはやっぱり条例できちんと規定してもらう必要がございますから、この条例を作っていただく、そういう効果が一つございますが、その上で既に条例を作って個人情報保護対策をしている団体の問題ですが、実はコンピューター処理による電子情報のみを対象にしているというところも多いわけでございますので、紙情報も含めて条例の対象にしていただくといったことが必要でございます。
 それからさらに、例えばこの法案にはあるわけでございますけれども、自己情報の利用停止の請求権、こういった規定がない、条例上ない団体も約半分ございます。こういった団体につきましては、この法案が成立した場合に必要な見直しをしていただくことが必要でございますので、大臣の指示もございまして、そういった対応をしてまいりたいと、このように考えております。
○入澤肇君 それでは、あれですか、ミニマムスタンダードといいますかね、それぞれの地方自治体によって事情が異なるかもしれませんけれども、今回の法律が成立した場合には、最低限これぐらいのことは規定すべきであるというふうに指導をするというふうな通達を出す考えでありますか。
○政府参考人(大野慎一君) この法案の成立を受けまして、私どもといたしましても必要な措置を自治体の方にお願いをすることになるわけでございますので、留意点も含めまして対処をしてまいりたいと考えております。
○入澤肇君 それから、本当はたくさん聞くことがあるんですけれども、五時までに終える必要がありますので、もう一問だけ申しますと、第七条ですね。基本法の第三章の個人情報に関する施策等についてはほとんどまだ質問されていないわけです。「政府は、個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、個人情報の保護に関する基本方針を定めなければならない。」と。この基本方針はどんなことを考えているんでしょうか。
○政府参考人(藤井昭夫君) 御指摘のとおり、第七条で基本方針を策定することになっておるわけですが、まず第一号でございますが、ここにおきまして、例えば基本的な政策目標をまず明確にして、それで重点的な取組分野を設定して、あるいはそういった基本方針の作成、見直しに当たる背景、事情、考え方、そういったものを記述するということが考えられるのではないかと思っております。
 それから、第二号がございますが、これにつきましては、本法に基づく制度全般の統一的な運用を図るための措置等ということになるわけですが、各行政機関がそれぞれの所管する分野について役割に応じて講ずべきような施策、それから政府部内における調整体制と申しますか、そういうようなのが一番重要でございますので、そういった調整の中核を担う機関が講ずべき施策。
 それから、三号でございますが、ここでは関係条例の整備とか個人情報の保護に関する施策の推進のための体制整備とか、あるいは区域内の住民、事業者等に対する広報、啓発、情報提供、こういったものを考えているところでございます。
 それから、第四号につきましては、これは独立行政法人とか特殊法人等における個人情報の保護の分野になるわけですが、それぞれこういった法人が講ずべき具体的な取組についての基本的な考え方。と申しましても、例えば、まずやっぱり内部規定等を整備していただく必要があるわけでございますし、またそれぞれの法人の中で個人情報の保護に関する活動のための体制整備と、こういったものも講じていただく必要があろうかと思っております。
 それから、第五号につきましては、認定個人情報保護団体について記述しておるわけですが、これがやはり単に苦情処理に当たるだけではなしに、やっぱりそういった保護団体がよって立つような業界等あるいは参加企業に対しての積極的に個人情報保護指針みたいなものを作っていただいて、いこうということなんですが、そういったことについての方向性みたいなものを記述するということが考えられると思っております。
 また、第六号につきましては、これ、この当委員会でも非常に苦情処理、これの一体的な整備というのが一つの大きな課題であるというような御指摘をいただいていたところでございますが、正にそういった苦情処理、これは非常に複層的な体制を考えておりますものですから、全体として一体的に対応できるようにするためのネットワークの在り方とか、あるいは最終的には司法的手段による解決が望ましい場合もあると思うんですが、そういった場合、うまくそちらの方に移動していくための基準になるような類型化みたいな話、そういったもの。
 第七号は、これはむしろこういった基本方針についてはよくあるんですが、全体的な施策の推進に資するための各種の情報収集、調査研究、そういったものを考えております。
 いずれにしても、この基本方針というようなものは、単にこの法律、規制で個人情報保護をするということだけではなく、各省それから地方公共団体、それから事業者団体、もろもろの当事者がいらっしゃるわけですが、そういったところがいろいろ自分たちとしてもむしろ積極的に推進できるような方策、そういったものを講じていく、総合的に講じていくということのためにこういう方針を作るわけでございますので、正にこの法律が制定されたら直ちに、やっぱりいかにしたら総合的に個人情報が確保されるかというようなことで政府部内で検討を進めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○入澤肇君 どうもありがとうございました。
 終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二分散会


2003/05/15

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