2002/06/28-2

戻るホーム情報目次


平成十四年六月二十六日(水曜日)

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、先日のこの委員会で、総務省の情報公開請求の問題について質問いたしました。
 これは、ことしの四月から五月にかけて、徳島県の行政書士の石橋吉治さんと石川県の重森憲治さんが総務省に、オンライン一括法案作成過程を知るために関連する行政書士法改正案関係資料、すなわち立法過程を知ろうとして、情報公開法に基づいて開示請求をされたことについてです。
 ところが、五月十九日に突然、日本行政書士会連合会長から二人は、オンライン化法に係る協議に招集を受けて、その五月十九日の協議の場で、総務省への情報開示請求を取り下げるように指示を受けた。
 そもそも、情報公開という観点からすれば、情報公開請求した御本人はほかの人に漏らしていないわけですから、そうすると、請求者の情報を外部に漏らすということについては、これは情報公開請求を受けた側から漏らすということなしには考えられないという問題もありまして、請求者の情報を外部に漏らすことはもちろん許されないし、請求者に取り下げを求めることも間違いですし、団体を使って圧力をかける、こういうことをやっては大変なことになりますから、調査、報告を大臣に求めました。
 そこで、総務省が行政書士の石橋さん、重森さんの両氏が情報公開法に基づいて開示請求しているという事実を日行連会長に伝えないと、会長は両氏が開示請求しているという事実を知らなかったわけですから、まず、この問題について、大臣はこの事実を調査されたのか、総務省の調査結果はどうなっているか、このことを最初に伺いたいと思います。
片山国務大臣 六月二十六日の当委員会におきまして吉井委員から御指摘を受けまして、御指摘を受けましたように、直ちに私どもの方の所管の自治行政局長に命じまして厳重に調査をさせたところでありまして、せんだって自治行政局長から報告を受けております。
 その報告によれば、今お話しの行政書士法の一部改正に関する情報公開請求に関し、日本行政書士会連合会に請求者氏名等を情報提供した事実は一切ございませんし、また、同連合会を通じて請求を取り下げるように働きかけた事実も一切なかった、こういう報告を受けております。
吉井委員 まず、どういう調査体制でされたのかということを伺っておきたいんです。
 今おっしゃったように、自治行政局長を責任者として、これは、行政課長、課長補佐、係長、課員など、昨日も伺っておりますと、あらかじめ担当者四名を聴取したと。調査というのはそういうことだと伺っているんですが、大臣、そういう内容ですか、大臣のされた調査は。
片山国務大臣 行政書士法の所管は行政課なんですね。だから、そのラインの行政課長や行政課の課長補佐や係長その他、そういう者についてのヒアリングをやったわけですが、ヒアリングは、局長なり審議官なり、行政課のライン系列以外の者によってやった、ヒアリングをした、こう報告を受けておりますし、また、日本行政書士会連合会会長についても同様な方法で詳細にヒアリングをした、その結果だと聞いております。
吉井委員 行政課長さんというのは、情報開示請求者の情報を外部に漏らした可能性のある人物の一人ではないか、あるいは請求者に開示請求の取り下げを求めた人物の一人ではないかということについて、調査を受ける側の人なんですね。この自治行政局自体がそういう部署であったわけなんですよ。ですから、その調査を受ける側の局長さんが受ける側の人の調査を行ったということになると思うんですが、この点はどうなんですか、大臣。
片山国務大臣 そういう見方もできますが、局長や審議官は、この行政書士法あるいは委員が言われるようなことに関係した業務を直接やっておりませんし、それは、逆にその意味ではいろいろなことの事情がわかるわけでありますから、だから、そこで客観的にしっかりした公平な調査をするようにと私が指示いたしましたので、それに基づいてした結果を先ほど報告いたしたとおりであります。
吉井委員 調べられているはずの当の自治行政局久保行政課長が先日の朝日で、担当者や関係者から事情を聞いたが、開示請求の情報を第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はないと言っているんですね。
 つまり、調査を受けた、おまえさん、漏らしたことはないか、圧力かけたことないかと聞かれる当の本人が、自分が担当者、関係者から事情を聞いた、その結果、第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はなかったと言っているんですが、そういうことを言っている人を調べて、何か意味のあることが出てくるんですか。
片山国務大臣 委員がこの前、二十六日の委員会で言われたのは、何か課長補佐の名前を言われましたよね。だから、行政課長が責任者ですから、その責任者についてヒアリングをする、責任者がいろいろ事情を調べる、関係の職員に聞くということは当然あっていいわけでありまして、私はそれは一向に構わないと思っております。
吉井委員 これは、私、ある課長補佐ということを言いました。課長補佐を含めて、この行政課長を含めた、まさにこの自治行政局の中の問題なんです。ですから、そこの問題を、これは課長かもしれない、課長補佐かもしれない、その漏らした本人かもしれない人が、第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はなかったと言うことは、これはおかしいんじゃないですか。
片山国務大臣 委員は疑いを持って言っているわけで、たまたま日本行政書士会の連合会の会長が知っておったから、それは、知っておったのは自治行政局の行政課の関係者から聞いたに違いないという憶測なんですね。
 いやいや、今あなたが言われました二人の行政書士の方は、全国にこういう請求をしているとかファクスを送ったり、いろいろなことを自分でしゃべっているわけですから、そういうことで行政書士会の連合会長は事を了知した、こう言っておりますから、詳しいことは自治行政局長に聞いてくださいよ。
吉井委員 私も、大体おっしゃることは皆調べた上で物を言っていますからね。それで、ファクス云々の話もおっしゃるだろうということは全部織り込み済みの質問をやっているんです。
 それならば、ちゃんと報告書にして出されたらいいんですね、だれが、いつ、どういうときに、だれにファクスを送ったかとか、ファクスを送っているからわかるというお話であれば。そうするとそのアリバイが成り立つかどうかもすべてわかるわけですから。
 私は、疑ってとかそういうことを言っているんじゃないですよ。きちんと事実をまず究明しよう、それが大事なわけです。
 大体、日行連会長らには、本来、この開示請求の取り消しを求めるメリットなんてないんです。それは全国の行政書士の皆さんと同じ立場なんですよ。総務省は、行政一括法案を通すのに、二十年来の自動車業界からの強い要望と、それを受けた国土交通省の力などもあって、行政書士法十九条の改正をやりたかったわけですね。だけれども、行政書士会はみんな、その改正には何のメリットもなく、言ってみればデメリットだけがあるわけです。この点では、会長さんも、何のメリットもないことでは一致しているんです。一緒なんですよ。
 だから、十九条改正をやりたかったのは、行政書士会でなく、総務省や国土交通省、自動車業界の方になりますから、総務省が会長に頼まない限り、大体日行連の会長の側には開示請求の取り下げを求める行動に出る必然性というのは全くないのですよ。大臣は、その点はどういうふうに考えてはるんですか。
片山国務大臣 委員はメリットがないと言われましたけれども、これは、行政書士会の方と自動車業界の方が大変な対立を長く続けてきたんですよ。今度法律改正をすることについて、両方の対立がそのまま続いたんですよ。そこで、中でいろいろな話し合いが行われて、今までのいわばやり方をお互い認めよう、こういうことで話がついたわけであります。
 それをメリットと見るかデメリットと見るか。委員は、デメリット、メリットはない、こう言うわけですけれども、今の行政書士会側にとってもあるいは自動車の登録業界側にとっても、大変メリットがあるということで法案がまとまったわけですから。それは、委員としてのお考えを言われるのは結構でございまして、メリットがないから何のあれもしない、これはあなたの完全な憶測じゃないですか。
 詳しいことは自治行政局長から聞いてください。
芳山政府参考人 ただいまの行政書士会の御要請の点ですけれども、これは長年来の行政書士会の強い要望でございました。電子時代を迎えてオンライン化についてもぜひとも業務の形で導入したい、これは二年前からの要請でございますし、会全体の重点要望でございました。
 それで、電子自治体、電子政府の世の中になって、ぜひともこれを今回実現したいということが行政書士会の動きでございました。それは、士業界でいいますと、今回のオンライン法の改正に伴って、ほかの、税理士会も社会保険労務士会も含めた士業界全体がそういうオンライン化の法案に、今度導入しております。
 ただ、ちょっとほかの業界と違いますのは、先生から御指摘がありましたように、自動車関連業界との関係が長年来の懸案でございました。そういうところで、今回の改正について、どういう調整のもとでやっていくのかということを関係省庁ともまた関係業界同士とも御議論した上で、今回こういう形で六月七日に閣議決定して法案を出したわけでございます。そういう意味で申しますと、今回の改正は行政書士会としての御要望でございました。
 ただ、先生御案内の十九条の改正をするかどうか、これについては、一部御反対の御意見もいろいろあったやに聞いております。そういう中で、会長として会の中をどうまとめるかということを長く腐心されたということを、ヒアリングの間で聞いております。
吉井委員 その話はまた後でおいおい入っていきますが、私は、法案の性格についての見解とか、それをきょうやるつもりは全くないんです、法案審議じゃありませんから。
 それで、今大事なことは……(発言する者あり)いや、そっちの方の法案のことで、この行政書士法はこの委員会じゃないから。
 それで、今メリットの話については、これは実際のところ、一条、電子化する方の話ですね、その問題と別な話と両方ありますから。片方についての話はあなたがおっしゃったとおりで、私もよう知っているんです、その話は。それで、もう一つの違う方については、これはメリットはないんです、十九条改正の方については。その話は後でまた触れます。
 では、大臣のおっしゃった、ファクスその他で知られておったんだという話、私もいろいろ調べておりますから、伺っておきたいと思います。
 会長さんが、どの会員さん、だれから聞かれたのか、いつそのファクスを何時に受けられたのかとか、そういうのを全部調べた上で言っておられるんでしょうね。どうぞ答えてください。
芳山政府参考人 実は、今回の大臣の命を受けて事情聴取をいたしました。行政課の職員も、また会長さんについても来ていただいて、長時間ヒアリングをいたしました。その中で、先生御指摘がありましたように、どうして十九日に来ていただいてお話をしたのかということで、総務省の方から情報を提供したからわかったんじゃないのかというのが一つの大きな課題でございました。
 それで、その点についてお聞きしまして、会長さんの言でございますけれども、今回の改正に当たっていろいろ反対の御意見もある、そういう根強い反対の運動もある、その一環で、行政書士法の一部改正に対する情報開示請求書の写しを全国の理事、単位会長、有志さんあてにファクスないしメールで送信をされておるということから、会長は、その送信を受けた複数の行政書士から情報を得ておる、これは十九日の前でございますけれども、受けておると。
 具体的にどこどこというのも聞いておりますけれども、固有のお名前は省略させていただきますが、具体的にお聞きをした上で、これは全体として、会長としては、今度の改正に当たって行政書士全体の取りまとめに支障を生ずるんじゃないか、また関連する他業界の反応を危惧されるということもありまして、ぜひとも今回の改正について御趣旨を御理解いただきたいということで会議のセットをされたというぐあいに聞いております。
吉井委員 実はそこが、ずっと日がたってからファクスを見たという話になるのか、あるいは、先に総務省からだれが開示請求しているかは聞いておったんだけれども、それにかかわるファクスについてはその後で知ったのかとか、そこのところは非常に大事なところなんです。
 それを調査しておられると思うのです。だから、それをどうぞ言ってください。
芳山政府参考人 先ほど大臣が申しましたように、総務省から一切情報提供しておりません。
 それで、そのメールの発信でございますけれども、直前の五月十三日に、五月十二日付の開示請求書の写しを合わせたセット版を全国の理事さん、単位会長さんあてにファクスなりメールを送信しているということを、会長さんとしては入手をされたということが一点と、さらに、それ以前にも、四月の二十九日付の開示請求書の写しが全国にファクスで送信されておるという情報を単位会長さんから得ているということを聞いております。
吉井委員 その十三日の話ですが、それを受けて、ファクスの発信日は今おっしゃったものとして、いつ会長さんはそれを入手されたんですか。
芳山政府参考人 それは、お聞きしますと、五月十五日以前であります。
吉井委員 だから、五月十五日以前のいつ、どなたから聞かれたかということを伺っているんです。
芳山政府参考人 具体的に名前を承知しておりますけれども、具体的な名前は省略させていただきます。日にちは、十五日以前ということでその情報を入手したということを聞いております。
 なおかつ、それ以外にも、これらのファクスなり写しを見た会員から問い合わせが多くあったそうでございまして、これについて、全国行政書士会連合会の専務理事さんなり幹事長にもメールが送られたということが事実でございます。
吉井委員 これは五月十五日以前とおっしゃるんですが、十五日の以前というのは時間がいろいろあるわけですから、だからそれはいつなんですかということを、非常に単純なことを聞いているんです。何日付の写しがついていたとかどうとかいう話も、それはそれで、おっしゃっていることは百も承知の上で聞いていますから。問題は、会長さんがそのファクスと言っているのをいつ手に入れられたのか、お聞きになったのかということを聞いているんです。
芳山政府参考人 私が聞いておるのは、先ほど来申し上げておりますように、ある会の会長さんから、少なくとも五月十五日以前、我々も何日というのを知りたかったんですが、会長さんの御記憶は、何日というのはちょっと特定できないけれども十五日以前と。ただ、十三日に十二日付のファクスが送付されたということですから、その間だろうということでございます。
吉井委員 これは、いつ会長さんが実際に知ったのか、それは十五日の朝なのか、十四日の夜なのか、十四日の午後なのかとか、そこはあなたの方で結局特定できていないんです。私が調べたところでは、実は、それよりも以前に会長の方から話が出ておりますから、これはほかのルートからは入らないんです。これは、総務省の方から話が出ない限り、会長さんの耳に入ったということには、時系列を追っていきますと、それは成り立たないんです。それが、幾つかの資料その他含めて聞いている内容です。
 同じ朝日新聞の紙上で、久保課長は、担当者や関係者から聞いたがとした後で、この問題で開示請求者からの事実確認や抗議などもないと言っているわけですが、これは本当なんですか。これは調べはりましたか。
芳山政府参考人 抗議等の事実はないということを課長は言いました。これは、先ほど大臣が御報告しましたように、先生から御質問があって、直ちに所管課長として職員にそういう事実はあるのかということを確かめた次第でございまして、そういう事実は一切ないと。なおかつ、私が所管の課長でございますので、今回命じられましたので、課長を含めてラインのすべての人にお聞きをしました。
 それで、抗議等ではございませんけれども、実は、五月の二十何日ですか、ある行政書士の方から御質問があったわけでございまして、抗議とは課長は理解をしておりませんけれども、一部行政書士の皆さんから開示請求にかかわる御質問があったということは聞いております。ただ、抗議とは受け取っておりません。
吉井委員 重森さんですね、五月二十四日に片山大臣と久保行政課長あてで、「行政書士法改正案について」という文書をファクスで届けていらっしゃるんですが、この文書の中で、「行政書士連合会を通じ、小職の情報開示請求に圧力をかけた事実を公表するとともに」と記載しているんですね。だから、久保課長に事実確認を求め、抗議の意思はきちんと示している文書が二十四日に届けられていたんじゃないんですか。しかも重森氏は、その問題に、行政課の職員から、この件でオンライン化法案のメモはないとすぐ電話をもらっているということですから、局長の方は、事実調査の中でこういうことをきちっと確認しておられるのかどうか。
 朝日の方では、久保課長は、担当者、関係者から聞いたが、この問題で開示請求者から事実確認や抗議なんかないと言っているんですが、現実にはそうじゃないことが出ているんですね。だから、きちんきちんと一つ一つ調査しなきゃいけないんですが、これは局長の方は聞かれたんですか。
芳山政府参考人 ただいまの件ですけれども、行政書士法の一部改正に関する開示請求者の一部の皆さんから文書を受け取ったのは、先生が御指摘のとおり事実でございます。
 ただ、その中に、表現として、行政書士法改正案の説明をしなければ、行政書士会連合会を通じ、情報開示請求権に圧力をかけた事実を公表するというような内容を含んだ内容でありましたため、我々としては圧力をかけた事実はないということでございますので、一切これについては対応しなかったということを聞いております。
 この文書については、先ほどお話ししましたけれども、行政課長としては抗議と受け取ってはいないということで聞いております。
吉井委員 調査を受けている立場の人が、記者の人から質問されると、それに答えて事実に反することを言っているわけです。だから、結局、自治行政局の中で、その課長さん、補佐さん、その人たちが実はこの問題については漏らしたのではないかという問題や、あるいは圧力をかけるように、あるいは団体を通じてとか、まさにそのことが情報公開のあり方として問題になっているときなんです。
 言ってみれば、被疑者が被疑者の取り調べをやるというふうな調査ではやはりだめなので、防衛庁リストの問題でも、途中からにしても、言ってみれば被疑者の立場にある局を外して人事局長が調査に当たったわけですが、総務省としても、少なくとも、開示請求者を外部の者に漏らしたのではないか、あるいは団体を使って圧力をかけさせたのではないか、そのことが疑われるあるいは問われるという、大臣は疑惑の目で何でも見てくれるなというお考えかもしれないけれども、事実を究明するということはそういうことなんですよ。そのときに、どうなのかと疑われている局に任せて調査ができるというものじゃないですから、やはり調査体制からしてきちんとしたことをやって調べるべきだと思いますよ。大臣、どうですか。
片山国務大臣 委員は、あなたの大変親しい二人の書士の方の言うことだけ聞いていろいろなことを言われている。しかも、全部疑い、憶測ですよ。あなたがそれだけ言われるならしっかり調べて証明してくださいよ。私の方はきっちり調べてそういう事実はないということを申し上げているんです。
吉井委員 私の方は私の方でちゃんと調べているんですから、ですから、その調べた、いつファクスをだれからという、さっき聞いたってちゃんと答えられないじゃないですか。それをちゃんと出せばいいんですよ。大体、人の手のうちを調べる方ばっかり考えて、言ってみればアリバイ、すり合わせになるようなことになっちゃいけないわけですから、だから提起した問題についてきちんと答えればいいんですよ。
 オンライン一括法の中で、税理士法、さっきも言ってはりましたが、社会保険労務士法、海事代理士法など改正とともに行政書士法の改正も検討されたわけですね。行政書士法改正案だけ別な業界団体の利益に絡んで他の士業法とは異なるものとなっているとして、これはアンフェアじゃないかという声が寄せられているわけですよ。
 全国の行政書士会総会や理事会などのいろいろな決議等も私も、大阪の方が来られました、いただきまして、電磁的記録などを書類とみなす改正部分については賛成だと、さっきおっしゃったとおりですよ。賛成しておられるのですよ。しかし、守秘義務を負わせない者に手続を代行させたり、国会の関与しない総務省令にゆだねる改正部分には反対するという決議が各地でなされているじゃありませんか。
 鳥取県の定時総会では、「オンライン化手続も可能となるための法整備は不可欠のものと理解するが」として、個人情報の流出に対しての取り締まり法規、個人情報保護法等が先行すべきものであることを強く訴えるとともに、行政書士法第十九条に定めのある――その前に、全国各地の行政書士会総会や理事会の決定なども読ませていただきましたが、電磁的記録などを書類とみなす改正部分には賛成だ、守秘義務を負わせない者に手続を代行させたり、国会の関与しない総務省令にゆだねる改正部分には反対だという決議が次々となされておって、それで鳥取の総会の方は、今言った行政書士法十九条に定めのある部分についてはほかのところと同じ趣旨の決議が行われていると。
 もちろんきょうはこの法案の議論をしているんじゃないんですが、問題は、この作成過程でとってきた総務省の態度が今問われていると思うんです。五月十四日に総務省行政課で課長補佐、事務官が日行連専務らに会って見解をお述べになった日行連の記録がありますね。それは皆さんの方も既にごらんになっていらっしゃるものですが、そこには、「オンライン化法案について新たな要望は可能か」という日行連の質問に対して、「新たな要望とは何か、国会議員から法案について呼び出しがかかり、その都度出向き、相手の疑問をすべて論破している、その数は百を超える」「新たな要望を受けることはできない、執行部として、寄せられた疑問、質問をすべて論破されたい」と課長補佐が言っているわけですね。つまり、日行連の方たちに対して総務省の方は、この行政書士法改正案については、もう国会議員百人全部我々は論破してしまったんだ、それぐらいやっているんだから、あなたたちは論破しなさいということを言っておられるじゃありませんか。
 では、伺っておきますが、論破したとする百人の国会議員の名前を聞かせてくださいよ。
芳山政府参考人 二点、今御質疑がありました点を申し上げます。
 後ろの点で、ビラの中に百名を超える国会の議員さんを論破したということを書いてあります。それで、こういうのが事実なのかということを確かめました。これについて担当者が日行連に対して申し上げたことは、行政書士から苦情や陳情が国会議員の先生方にも非常に多く届いておるということでございまして、行政課としても、今回の法律改正案について説明を求められれば直ちに参って、先生、また秘書の皆さんに御説明、御報告をしているということでございまして、ぜひとも日行連の方も、中でいろいろ御意見がありますけれども、中でそういう形の説明を十分してほしいという趣旨を申し上げたわけでございまして、先生言われるように、百名を論破した、毛頭そういうことを言っているわけじゃございません。
 そして、前の点でございますけれども、行政書士会が中で、単位会で反対決議があったりいろいろした中で、今回どうして他士業と違って十九条の独占のところが一部排除されたのかということは、確かにいろいろ御議論がございます。これは、オンライン化に伴って、書類の作成プラスオンラインという形で一条の二の改正のみをすれば一番いいわけでございますけれども、これについては、先ほど来申しておりますように、関係省庁との法案の成案を得ることができない、ないしは業界との調整がつかないということでもしも法案ができないならば、行政書士法案のみが法律が出せない、他士業はすべてオンラインになるということもございまして、会の中でいろいろ御議論がある中で会としておまとめになるということでございます。
 事実を申しますと、会の方の会長さんにお聞きしますと、四月に役員会の中で大筋の了解を今回の改正について得たということでございまして、六月の札幌総会でもってこの改正についての反対動議が出たようでございますけれども、圧倒的多数によって今回の改正案を支持されたということでございまして、行政書士会全体としては、今回の六月七日に閣議決定された案について、総会としては賛成であるということを我々としては伺っております。
吉井委員 まず、ビラのことで言っているんじゃないんです。これは行政書士会の方の資料がちゃんとあって申し上げているんですが、そこで、やりとりを皆、ちゃんとメモって出していらっしゃるんですね。その中で、オンライン化法案について新たな要望は可能かと聞いたら、その要望というのは何や、国会議員から法案について呼び出しがかかり、そのたびに出向いて、もう国会議員の疑問は全部論破してきたんだ、百人を超えるんだということなんですが、百人もの国会議員も論破した法案なんだから新たな要望を出してもだめだとあきらめさせるために百人の国会議員と言っているわけですから、論破されたとしている国会議員は行政書士の皆さんをあきらめさせる道具に使われたということにもなりかねないわけで、これは議員本人としても非常に不名誉なことですよ。
 ですから、少なくとも私は論破されていないんですが、氏名をやはり明らかにする、百人の名前を明らかにしてどのように論破したのか説明していただきたいと思うんです。
芳山政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、百名の皆様を論破してということは一切ございません。今度の改正について、一部、こういう改正はいかがなものかということで、議員会館の方にファクスやメールやまた要請書という形で突然参ったら、議員の皆様の秘書の方から、ぜひともどういう改正か教えてほしい、また、手続、閣議決定に至らない過程の議論でございましたので、質問があれば参って、延べの数でございますけれども、そういうかなりの数で御説明をしてまいりました。今回の改正はこういう経緯のもとで改正案を今まとめ中であるということでぜひとも御理解をということでございまして、そういうことを御了解賜りたいと思います。
吉井委員 この文書は理事長会議で配付された文書なんですよね。この文書を回収せよということも総務省は日行連に言ってこられたわけですが、情報公開担当の総務省で開示請求者のリストを第三者に漏らしたのではないかという問題があり、団体を通じて開示請求取り下げをさせるという圧力をかけたという問題もあり、その団体幹部には、国会議員の百人も論破されたんだから、もう総務省がつくった法案に屈服して成立に協力せよと言っているのと同じ意味合いになってくるんです。これで行政機関の個人情報保護法案を扱えるのかという問題があると思うんですよ。
 オンライン化法の一環として行政書士法改正案をつくっているんですが、こういう強権的、陰湿なやり方をやって、しかも住基ネットも強行スタートさせるということになってくると、これは本当に大変なことですから、私はやはりこの百人の名前、一体どの国会議員に会われて論破されたのか、きちんとそれは説明される必要がありますよ。
芳山政府参考人 百名云々というのは、先ほど来申し上げておりますように、延べの形で、陳情書が参ったところについて、言われたら直ちに参って説明をしておるというようなことでございまして、固有の名前について整理しているわけではございません。
 それともう一つ、先生言われた意味で行政書士会連合会に総務省の方、行政局の方で圧力をかけ、お願いして、法案についてのまとめをしてくれということをしたことは一切ございません。そういうことの事実は先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。
吉井委員 私は、やはり執行部の方たちが行かれたときに、執行部として、寄せられた疑問、質問、すべて論破されたい、国会議員百人を論破したんだということを言ってきておられるわけですから、法案を通すためには行政課が強い態度で臨んでこられたことはもうはっきりしているわけですよ。だから、会長に、この法案のメリット、デメリットということを言えば、別に内部にそんな矛盾があるわけじゃなくて、これはみんな、私はこの法案そのものについては別にあれこれ言っているんじゃないんですが、しかし、この行政書士会の方からすると十九条の問題についてはデメリットありということで、これは多くの方が一致しているところなんですよ。
 ですから、そういうときに、会長に開示請求を取り下げさせよ、これはそういう立場で臨んでこられたということが、情報公開の問題でまさに問われているのは、法案の作成過程のさまざまな問題について全部明らかにしようじゃないかというところから始まっているわけですから、明らかにされちゃ困るということがないならば、百人の議員、どの議員を論破されたのか、どういう論破をされたのか、きちんと説明されたらいいわけですが、今説明はできないという状態ですよ。
 そこで大臣、改めて私求めておきたいと思うんですが、やはり、さっき言いましたこのファクスをいつ、それは確かに言っておられるように、日行連側が先にそのファクス等を通じて知ったのか、しかし、時系列的に追っていけばそれは知ることができなかった。そういうふうになってきた場合は、それは情報公開にかかわったところから漏らしたという可能性が出てくるわけですから、これは少なくとも疑問を呈せられている人たちが調査をしたって余り意味がないわけです。
 ですから、調査した日時その他、だれがだれに、いつ、本当に開示請求者のお名前を漏らしたのか漏らしていないのか、あるいは圧力をかけるということになったのかなっていないのか、それはきちんと調べたものを、調査報告をまとめて公表をされたい。これは大臣の方で徹底してやっていただきたいと思いますが、大臣に伺っておきたいと思います。
片山国務大臣 何度も申し上げておりますように、私の方は、しっかりとした調査をやった結果、情報の提供もないし圧力もかけていないと言っているんですよ。あなたの方がある、あると憶測でお言いになっている。それは、あると言われる方がしっかり証明してくださいよ。ないものをないという証明は難しいんですよ。あるならあるといった証明の方がずっと易しい。ぜひお願いしますよ。
 それから、百人の国会議員の論破云々ということで、課長か何かが言ったと言いますが、できるわけがないでしょう。一人だって大変なんだから、国会議員の皆さんに御了解いただくのは。百人も言うたら、課長の強がりですよ。そんなものをここで本気で取り上げて、百人の名前を出せなんというのも私はいかがかと思いますよ。
吉井委員 百人を論破したということでもって、あなたたちが何を言ったってだめなんですよ、まさにそういう形での圧力をかけているわけですから。そして、私が言ったように、ない、ないとこれは簡単に言える話じゃなくて、皆さんの方が出しておったらこれは大問題なんですよ。情報公開担当の省においてその開示請求者の氏名を漏らしたとなったらそれ自体大問題なんですよ。開示請求を引き下げろということを言ったらこれは大問題なんですよ。だから、ありませんとしか普通は言いようがないんですよ。あると言ってしまったら大変なことなんだから。
 だから、それならば、さっき言ったように、ファクスをいつの何時に受け取ったとか、どっちが早かったのか。この会員の間で流れているというお話が会長の耳に入ったのが早かったのか、それとも、会長がそれよりも早くに石橋さんらにこの問題について話をした方が早かったのか。そこのところがまさに今核心になるところですから、それは私の方に提供せよと私はさっきから言っているんですから、きちんと調査をして明らかにする、これをやってもらわなきゃならぬということを申し上げまして、次に、大分時間が参りましたから、行政機関の個人情報保護法案に照らしての幾つかの問題について伺いたいと思うんです。
 まず福田官房長官に伺いますが、憲法で保障された基本的人権である思想、信条の自由、法のもとの平等など、その保護について、これは小泉内閣として擁護する立場にきちんと立たれるのは当然だと思うんですが、まずこの点について伺っておきたいと思います。
福田国務大臣 内閣として、憲法に書いてあることを遵守するということであります。
吉井委員 それで、今まさに、センシティブ情報の問題についてどういう取り組みをするかが問われてくるわけです。
 資源エネルギー庁に最初に伺っておきますが、原発給付金の受け取りを拒否した人のリストには、思想、信条にかかわる情報も記載されていました。こういう思想、信条にかかわる情報は、国の交付金、道県の補助金交付による電力会社から住民への給付金を受け取らない人の給付金の返還の際には、そういう個人の、なぜあなたは受け取らないのかとか、あなたはどういう考えの持ち主なのかとか、そういうことはまず全く聞く必要がない、調べる必要がないと思うんですが、これはどういうふうに考えているんですか。
迎政府参考人 お答えを申し上げます。
 報道にございました原子力立地給付金というものは、原子力発電所等が立地をしております地域における実質的な電力料金の割引というものを目的といたしまして、立地地域の電力需要家に対しまして、国から道県への交付を行いまして、これを原資といたしまして給付金を交付するものであります。
 本給付金の交付事業といいますのは……(吉井委員「いやいや、そんなのはわかった上で聞いているんだからね。受け取らない人の返還の際に、辞退」と呼ぶ)それで、この給付金の給付というのを個々の電気の需要家の方々に給付をする際に、大変少数ではございますけれども、その給付金の受領の辞退をされる方がおられるというふうなことでございます。
 実際に、この給付というのは確実に行わなければならないというふうなことで補助金の執行とか行われているわけでございますので、それが、辞退というふうなことがございまして給付ができなかったというふうな場合は、はっきりと、きちんとその事態を把握して、それについては補助金を減額するとかいうふうなことが必要になってくるわけでございます。その過程で、では、きちんと給付について御説明を申し上げて、それで御本人がはっきりとその給付を辞退されたというふうな事実を、この事業を執行しております道県ですとか電源地域振興センターにその報告が行っていたというふうなことでございます。
 辞退をする理由について、中でいろいろ辞退をされる方がおっしゃるわけでございます。ですから、例えばその中に、自分はその原子力に反対であるのでこの給付金は辞退をいたしますというふうなことをおっしゃった場合がありますと、そういうことで御辞退があったというふうなことの報告が行っているというふうなことでございまして、特に、その方について何か思想、信条を調査してそれの情報を流布させたとか、そういうふうなことではなくて、御本人がおっしゃったことを報告に書いておったというふうなことでございます。
吉井委員 原子力立地給付金受領辞退申出書に受領辞退の理由を書く欄は本来要らないんでしょう。大体、不正が介在しないように、辞退された方にはお金が出ていない、それはどこか別な人が別なところに流用することはないということを会計上きちんと検査するとか、その体制をとっておけばいいものであって、受領辞退の理由は何だ、私は原発が嫌いだからとか何だとか、その人の信条にかかわるものは一切書いてもらう必要ないわけですよ。要りませんというだけでいいんですよ。何でそのことをきちんとできないんですか。
迎政府参考人 ただいま申し上げましたように、今まで行ってきたというふうなことは、辞退ということを確認したという情報を伝達するものであるというふうなことでやってきたわけでございまして、それ自体が直ちに不適当であったというふうには判断しておりません。
 しかしながら、個人情報の保護について万全を期するということが重要であるということについては御指摘をまつまでもないわけでございまして、今後、受領を辞退する事実を確認するに当たって、その目的の達成に必要最小限の情報収集ないしその報告というふうなことで、交付金の交付先である道県あるいは電源地域振興センターを指導してまいろうというふうに考えておるところでございます。
吉井委員 振興センターその他が、要りませんと辞退された方のお金を着服するとか不正に流用するとか、不正がはびこっちゃならないのは当たり前なんですよ。だから、そのためにきちんと会計検査をするなりなんなり別なシステムをつくっておけば、要らないという人は、要らない人のお名前がわかればそこへ出さないわけですから、それだけのことなんですよ。受領辞退の理由ということを書かせる中で、受領辞退についていろいろな考え方を書いてもらうとか何だとかいうことを一切必要としないんですよ。そうじゃないですか。
 では、これからもこれを書かせるということですか。
迎政府参考人 まさに執行の適正ということでやってきたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、最小限の報告事項というふうなものがどういうことになるのかということについては事実を把握した上で検討したい、こういうことでございます。
吉井委員 内閣官房機密費の話をしているんじゃないんですよ。領収書が要らなくてどう使われているかわからないような話じゃなくて、この場合は、決まったお金があって、受領を辞退された方についてはそのお名前だけわかれば、その人へ払っていないんだから、それだけのことできっちりするわけですよ。だから、その人についていろいろなことを問うような、受領辞退の理由だとかそういうものは一切必要としない。そのことが何ではっきり言えないんですか。おかしいじゃないですか。
迎政府参考人 これは、辞退をされる方にもいろいろおられまして、辞退の申出書というのをはっきり書いていただける方もあるわけですけれども、そういうものも書きたくないというふうにおっしゃるような方もあるわけでございます。そういう場合に、末端の給付事務を担当する者がいろいろお話しに上がる。それで、お話しに上がった記録というふうなものをつくっておる。後々の紛争を避けるために意思をきちっと確認するためのやりとり等を行って、そういったものが報告をされていたというふうなことでございますので、もちろん後々の紛争を避けるというふうなことも必要であるわけですけれども、それをどこまで、補助金の交付の適正化という点で、道県といったところまでその報告を求めるかという点については、今後いろいろ検討をしたいということでございます。
吉井委員 今の発言は大変なことだと思うよ。受領を辞退される方について峻別する必要はないんです。後々の紛争を避けるために、そこに生かすためということですが、では目的外ですね。何でこの理由を書いて、その人が後々の紛争ということで、例えば次の原発立地について巻町のような投票なりなんなりをお考えになっているのかどうか知りませんが、そういうことは一切必要ないんですよ。
 次に、引き続いて伺っておきますけれども、センシティブ情報を資源エネルギー庁の外郭団体の電源地域振興センターが電力会社から受け取って自治体に提供していた問題について、どんな調査をされてどう対処していくのか、これはもう一言で結構ですから言ってください。
迎政府参考人 ただいま申し上げました、後の紛争を避けると申し上げたのは、要するに、受け取る意思があったのに自分が給付されなかったというふうな、そういう紛争という意味でございまして、何か目的外というふうな……。それで、今申し上げましたように、辞退申出書というのをはっきり書いていただければ問題ないわけですけれども、そうでない場合に、いろいろなやりとりがあった記録等が出てくるというふうなことでございます。
 どういう調査をするのかということでございますけれども、これは都道府県への報告事項の中身ですとか、あるいは各電力会社から電源地域振興センターに上がってまいります報告の内容等についても若干の多い少ないみたいなものがありますので、その辺をきちっと把握をした上で、確認の上で、最小限のものは何かというふうな観点で検討をしたいというふうなことでございます。
吉井委員 もうそんな話は全然だめね。
 これは、原発給付金の受け取り拒否をした人のリストに思想、信条にかかわる情報も記載されていたということで、それが自治体に提供されていたという問題ですが、先ほど福田官房長官は、内閣として、もちろん基本的人権である思想、信条の自由などを擁護する立場で臨むということをおっしゃったわけですが、こういうふうな個人情報の収集や記載や、あるいは自治体への提供という問題については、これは憲法上やはりゆゆしい問題として、必要でないものはそもそも理由を書く必要はないようにするとか、これは憲法上の問題としても内閣としてもきちんと考えていかなきゃいけない問題じゃないですか。憲法違反とまで言えるかどうかは別として、憲法上、こういうことはあいまいにしちゃならぬということはやはり考えなきゃいけないんじゃないんですか。
福田国務大臣 今お話を伺っておりました。
 業務上どうしても必要だということについてその情報をとるということについて、すべて個人にかかわることはだめということになるのかどうかということもあろうかと思います。
 本件につきまして経済産業省で、今お話をしているように、調査を行いました。これまでのところは直ちに問題ということではないようでありますけれども、個人的な情報の取り扱いという観点から、必要最小限の情報にとどめるというような、万全を期していたのかどうか、さらに調査し、必要があれば検討していきたいというような報告を経済産業省から聞いておるところでございます。
吉井委員 これは非常に具体的な話なんです。原発立地給付金受領辞退申出書の中では、辞退される方が書けばしまいなんです。その人は、何で私は要りませんとか、物の考え方について一切書く必要はないのに、それを書く欄がもともとあるわけですよ。その書く欄はもともと必要ないじゃないか。それは、個人のセンシティブ情報を集める意図がなければ、要するに、不正を排除するためであったら別な手段があるわけですから、そういうことをやる必要ないじゃないかということを言っているんですよ。
 では、竹中大臣に伺っておきたいと思うんです。
 こういうものを今回の個人情報保護法案では、どういう扱い、今回のようなこういうものはやめなさいということになるのか、法律上は禁じていない、構いませんよということになるのか、どういう扱いにされるんですか。
竹中国務大臣 民間の企業について、民間部門等々について、このような情報の収集がどのような扱いを個人情報保護法の中で受けるのかという御質問だというふうに思いますけれども、個人情報保護法では、これが個人情報の取扱事業者である場合には、利用目的をできる限り特定する。それは、思想、信条にかかわるものであろうとなかろうと、利用目的をできる限り特定する必要がある、必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない、そういう位置づけになるわけであります。
 かつ、その利用目的については、個人情報を収集する際には、当然のことながら、本人に通知して、または公表しなければならないし、収集した情報を第三者に提供する場合は、原則として本人の同意を必要とするということになりますから、そういう形での取り扱いを受けるということになるわけであります。
吉井委員 時間が来てしまいましたから、この種のものはまた次の機会にしたいと思います。
 ただ、いずれにしても、今回の問題にあらわれているように、必要でないものを収集する、そういう欄があれば、それは最初から排除をする、また目的外に使われることのないようにするとかいうことをきちんと最初から答弁でも明確にできるぐらいでないと、とてもじゃないが心もとない話だということを言わざるを得ません。
 そして、情報公開について、こういう公開について、そもそも役所の方が全部、関係団体と非常に密接な影響力を行使して、圧力と言われても仕方のない力を行使して、口裏合わせをさせるとかアリバイづくりをやっていると言われても仕方のないようなところへいってしまったら、これは本当に、情報公開という法律があっても開示請求者が抑制されてしまう。情報公開というものがなされなくなるし、まして、開示請求を撤回しろ、直接にしろ間接にしろ、そういう形になるということはとんでもないことだということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。


2002/06/28-2

戻るホーム情報目次