2002/06/26-2

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仙谷議員、防衛庁リストを「官尊民卑」と批判 (民主党ニュース)

 民主党の仙谷由人議員は26日の衆議院内閣委員会で、防衛庁リスト問題で質問に立ち、今の政府の姿勢は「官尊民卑」で、近代民主主義と相容れないと厳しく批判した。

 仙谷議員は「丸山真男さんの名著『現代政治の思想と行動』に『であることとすること』の章がある。往々にして日本人はその人をすることではなく、その属性で評価する。なかなかこれから抜け出せない。一般大衆を不逞の輩と見なす、危険な人と見る。防衛庁の文化として、当たり前のこととしてリストを作ったのか」と質した。片山総務相は「興味深い。同感するところもある。個人権利侵害になるのか、検討が必要。罰則を考えていないことはない。今後の検討課題」と答えた。

 さらに、仙谷議員は福田官房長官の「官・行政は悪いことをしないことになっている」との発言について、「近代民主主義国家はルール・オブ・ロー、権力にペナルティをかけるのは難しいので、法で縛る。権力と法の関係が近代以前の考え方ではないか。アメリカ独立のジェファーソンは“法律は権力への猜疑の体系”とも言っている。山県有朋が『民は依らしむべし、知らしむベからず』と言った官尊民卑の時代から、今日では行政情報の公開はむしろ当然だということになっている」と政府の考えを根本にさかのぼって批判した。福田官房長官は「誠にごもっとも。ご高説ありがとうございます」と答えた。

 仙谷議員は、防衛庁が調査報告書を発表する前に与党の幹事長、総理・官邸のほかに、自民党の一部の議員にも説明に赴いていることを取り上げ、「誰のところに行ったのか」と質した。中谷防衛庁長官は「一方的に計画をつくり、会館を訪ねた。相手の対応にも差があり、名前は言えない」と答弁。仙谷議員は納得せず、防衛庁が訪ねた自民党議員の名前の公表について理事会で協議することになった。


平成十四年六月二十六日(水曜日)

仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 枝野議員の質問に引き続いて、私の方からも質問をさせていただきます。

 前回のこの内閣委員会が、枝野議員の質問、これに対する総務大臣の答えがもう一つよくわからないということで一たん中断した、そこからのことになるわけですが、その間に、個人情報の保護、行政機関の保有する個人情報をどう保護するか、大きく言えばこういう二つの法案といいましょうか、法体系が用意をされておるわけですが、そこにこの防衛庁のリスト問題というのが出てきた。果たして、新しい法律によって効率的、有効にこの種の違反行為が、現在、違反行為といっているわけですが、違反行為がコントロールされ得るのかというのがまさにあの時点でも論争のテーマであったわけでございます。

 片山大臣は、それは、今度の法律はいろいろな観点から幅広く網羅してあるからできるんだ、こういうふうにおっしゃっておったわけですが、今の枝野議員の質疑を聞いておりましても、こういう違法リストの作成や、あるいはこれを配付する、情報をばらまく行為、これは、行政機関内部でばらまくことと、それがひいては外へも出ていく可能性が大いにある、抽象的危険性があるということの防止について、やはり今の議論を聞いている限りではほとんど有効な手だては講じられていないと私は思います。

 まず一番目に、総務大臣にこの点だけお伺いしておくんですが、私の聞いた感想といいましょうか、聞いておりました範囲での考え方を申し上げますと、こういうことなんですよ。つまり、国家公務員法の、あれは百条でございましたか、秘密保護義務違反に対する罰則、こういうことになっておりますね。何かあたかも、こういう法律があるから、公務員が職務上知り得た個人情報をみずからどこかへ配付するとか他に知らしめた場合には、これに該当する余地があるんだというようなお答えを前回はなさっておったんですよ。

 ところが、今、防衛庁の結果を見てみると、これは、刑事罰の対象になるような国家公務員法の違反、百条違反にはならないんだとおっしゃっておるんですね。

 私は、法律的に考えまして、なるほど、そういう解釈はあるね、むしろそういうふうに限定的に刑罰法規は解釈していかなければならないのかもわからないね、これは憲法三十一条の要請でもありますね、こういうふうに思うんですよ。

 ところが、問題はここからなんですよ。だからこそ、保護法益の異なる守秘義務違反行為については、新たな構成要件と罰則がない限り、この種の行為が刑罰の対象たる行為から抜け落ちてしまって、漏れてしまって、この種の行為に対する抑制的効果をこの法律が持ち得ない、こういうことになっておると思うんです。

 つまり、簡単に言いますと、実は総務省のこの法案の説明文の中にもその種のくだりが出てくるんですよ。ちゃんと書いてある。つまり、どう書いてあるかというと、「国家公務員法の守秘義務規定によって公務上の必要から保護すべき個人情報の範囲と本法によって」この新法ですね、行政機関による個人情報保護法案ですか、「本法によって保護すべき個人情報の範囲とは異なるものがあることから、国家公務員法のほか、本法において個人情報の適正な取扱いに関する義務を課すこととしたとされている。」

 これが現行法の十二条であり、新法の七条です。構成要件は全く変わっていません。つまり、国家公務員法百条の特別法として、特別構成要件として、こういう現行法の十二条があり、新法の七条があるんだ。構成要件はあるんですよ。こういうことをやっちゃいかぬという構成要件はあるんです。ちゃんと要件事実は書かれている。問題は、これに対するペナルティーが用意されていない。国家公務員法はペナルティーが用意されているけれども、現行法にはペナルティー、罰則が用意されていないというのがこの法律の欠陥なんですよ。

 つまり、保護法益が違うんだから、違う構成要件をつくった方がいいんですよ、それは。重なる部分もあるかもわからぬけれども、全く重なることはないわけです、法律の概念として。だから、この種の行為についても、現行法ではできないという解釈をとられてそういう運用をされたのはやむを得ないとしましょう。しかし、少なくとも新法ではそこはちゃんとやらないと、これはやはり民間との権衡もとれないし、事ここに至っては、もう恥ずかしくてこの法案を審議してくれなんということは言えないんじゃないですか。どうですか、総務大臣。

片山国務大臣 先ほども枝野委員にもお答えしましたけれども、制度というのは、完全にそれで法令違反をなくすなんということはこれはなかなか至難のわざでございまして、やはり、先ほども言いましたが、担当する、運用する人がそういう意識を持ってしっかりやる、こういうことだろうと思っております。

 それで、今の法律と今回の法律を比べますと、これは御異論があるかもしれませんが、私は、かなり大幅に充実強化されて抑止効果も高まる、こう思っております。しかし、全くなくなるかと。それは冒頭言いましたように、そこまでの自信がございません。やはり、大いにこれから職員の皆さんの意識を啓発して、いろいろな手だてをとってこの新法が完全なものにできるように考えたい、こういうように思っております。

 そこで、今仙谷委員から御指摘のように、抑制的な効果で、我々は守秘義務違反その他の刑事罰がある、それにプラス懲戒処分によって担保できる、こういうことでございますけれども、それじゃ、今までの守秘義務の解釈、運用で十分賄えるかどうかという議論は確かに私はあると思いますね、こういう新法が出てくるわけですからね。そこの議論はありますけれども、我々は、そういう解釈で、守秘義務を中心にその他の刑事罰と懲戒処分の運用でやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 しかし、それでは完全にそれだけの効果があるのかどうか、この議論はあると思いますので、我々としても、この法案は法案として出しまして御審議をいただいておりますけれども、今後の課題として検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

仙谷委員 往生際が悪いといいましょうか、ここまで丁寧に僕は説明しているわけですよ。つまり、現在も十二条というのがあったわけですね。十二条はあったけれども、こういう事件が起こった。それで、実は発覚していないけれども、私はほかの官庁でも起こっている可能性はあると思うんです。

 というのは、これは我々の悪い属性があるんです、日本人の。これは、有名な丸山真男先生の「日本の思想」という本がありますね。これを読むと「「である」ことと「する」こと」とちゃんと書いてある。どうも、農耕民族だからなのか、あるいは明治以降の教育なのかわかりませんけれども、どこそこ家のお坊ちゃんと聞いたら安心する、ところが、それがわからないと不安でたまらないというふうな癖があるんですよ。つまり、その人が何をしているかということによって評価するよりも、その人が何であるか、属性によって評価しようとする。この癖は、私はもうつくづく思うんだけれども、容易に日本人から解けない。

 特に、権力を持った立場に立つと、明治以降の教育と制度との関係において、どうも、普通の人々が、昔の言葉で言うと一般大衆が何か請求をしてくると、これは不逞のやからではないかみたいな、何でそんなことを要求するんだみたいな。いや、まだありますよ、官尊民卑の意識というのは。物すごいありますよ。

 私は、ここが払拭されないと、例えば就職試験においても、この種の問題においても、どんな人が請求してきているんだろう、どんな人が就職しようとしているんだろう、お父さんはだれだったんですか、お父さんの仕事は何なんですかと、差別につながることを平気でやってしまう、そういう習性が我々にあるということをまず踏まえないと、この問題は私はなかなか解決しないんじゃないかと思うんですよ。

 だからこそ、こういうある種のオーバーランというか、はみ出て、熱心にやったのかもわからないですよ、防衛庁の人は。あるいは、こんなこと当たり前だと思ってやっているのかもわからない。私は、ほかの官庁でこういうことが起こり得ると言っているのはそういうことなんですよ。熱心過ぎてここまでやったのか、これは防衛庁の文化として当たり前だと思ってやったのか。ほかの省庁もあり得る。しかし、この種のことはもう我々はいけないんだ、ある目的に限ってその人の住所氏名を聞くのはいいけれども本籍地を聞くのはいけないとか、そういうことと同じことなんですよ、センシティブ情報というのは。

 だから、ここは特別の構成要件が、十二条、今度の法律が七条、全く同じ構成要件があるわけですから、あとは、これ違反の場合にはこういう罰金が、あるいはこういう禁錮刑がつくんだという罰則規定を設けないと、片山大臣のおっしゃる論理でいけば、それじゃ、国家公務員法違反だって、これは罰則なしでも、公務員の規律を重視して懲戒処分を重くすれば保てるんだというのと同じ論理になるんですよ、そんなことは。

 だから、これはもうぜひここで改めて、日本の二十一世紀というのは、個人個人がお互いに能力や人格を自分で見て判断する、人に聞いたレッテル張りで判断しない、そういう世の中をつくっていくためにも、情報公開と、あるいは情報公開請求をした人を何かセンシティブで識別する、そういうことをやめよう、そういうおつもりで、高い志でひとつこの問題に取り組んでいただきたい。

 だから、速やかに一たんこの法案を撤回してやり直す。いかがですか。

片山国務大臣 いろいろ大変興味深い御説を拝聴させていただきまして、私もなるほどとかなり同感するところもございます。

 そこで、今の御提案でございますけれども、それを利用目的を超えてやる、提供する、こういうことが個々人の明白な権利侵害、権利利益の侵害になるのかどうかというところの検証ですね、罰則まで上げるについては。私より仙谷委員の方がずっとそれは専門家でございますけれども、その辺の検討が私は要るんではなかろうか。どうしても罰則が嫌だとか、全く、毛頭考えていないということはないんです。我々も、やはりいろいろな意味での抑止効果を体系としてどういうふうにやるかは検討せないかぬ、こう思っておりますけれども、そこまでなかなか、今のお説のようなところまでいけるのかな、こういう気が少ししておりますけれども、先ほども言いましたように、いずれにせよ、今後の検討課題として、十分に御説を参考にしながら検討させていただきます。

仙谷委員 大臣、もうこの問題はこれで終わりにしますけれども、結局こういうことなんですよ。現代社会において個人のプライバシーというのがどこまで保護されるべき法益なのか、どれほど重大なのかということに対する想像力の問題だと思いますね。反対の極は、例のジョージ・オーウェルの「一九八四年」というのは若いときにお読みになったことがあると思う。そういう超高度管理社会、絶えず権力から監視され、管理されているというふうに思わざるを得ない、あるいはそういう心理的な思いにとらわれるような社会をつくっていいのか、ここなんですよ。

 だから、どこのあたりでそのことを抑止していくのか、ストップしていくのか、事が起こったときにはどういうふうにして個人のプライバシーという保護法益を回復するのか、このバランス感覚なんだと私は思うんですよ。だから、全く、官のやることはさあ御自由に、懲戒処分で終わりました、民間は罰則がありますよ、こんなことは通りません。あるいは、民間のやることは主務大臣が監視、監督できるような仕組みをつくるけれども、官のやることはだれも監視、監督するのがいない、これも通用しない。こここそ問題だということを重ねて申し上げておきます。

 そこで、時間の関係がございますので、今度は官房長官にお伺いしなきゃいけないんです。

 官房長官、従前、特に五月二十八日の記者会見等々で、これはほかの委員会の審議でも触れられておる部分もありますけれども、要するに、「行政機関に罰則がないということですか。もう行政機関、そもそもそういうことをしないことになってるんですからね。ええ。」こういうふうに答えているということになっている。これは官房長官、現時点に至ってみると明らかに認識に誤りがあった、不明を恥ず、こういうふうに思いませんか。

福田国務大臣 私が、今の、これまた記者会見ですけれども、やりとりをいたしましたのは五月二十八日でございますけれども、このときは、たしか朝刊でもって、この防衛庁のリスト漏えい問題というか、リスト問題というものは報じられたと思うのであります。ですから、その直後のことで、内容のことについてはよく承知していないという状況のことでありました。

 私は、今おっしゃったように、行政機関というのはそんな悪いことをするものじゃないんだ、こういうふうに申しましたのは、私の願望も込めてそういうふうに言ったのでありまして、実際にはいろいろ問題があるわけですね。でありますので、したがいまして、そういうことがないようなというような、そういう気持ちを込めて言ったわけでございまして、そこで言ったことでそれがすべてということでないということを御理解いただきたいと思います。

仙谷委員 官房長官が、願望を込めて、こうおっしゃるのですが、そのレベルで我が日本国官房長官にはとどまっていていただきたくないのですよ。我々がある種敬意を払って、いや、本当ですよ、官房長官のバランス感覚のあるこれまでのいろいろな政治的な決断、判断というのを間接的に見ておりまして、ああ、この人はなかなか物事をわかっているし見識があるわい、こういうふうに私は見てきたのですよ。

 ところが、今度のこの発言はいけません。つまり、この話は、近代民主主義国家、フランスのフランス革命、アメリカの独立革命以来のルール・オブ・ロー、法の支配、権力と法というものについての考え方が逆さまになっているのですよ、これじゃ。つまり、行政機関は悪いことをしないというのは、国民はひょっとしたら悪いことをするかもわからぬから法律で決まりをつけて、法律を守らせて縛り上げていくんだ、これがその近代民主主義革命の前の時代の考え方だ。近代民主主義革命はそうじゃなくて、権力こそ間違う可能性があるんだ、国民は間違ったら刑事罰やいろいろなペナルティーがあるようにできるけれども、権力が間違ったときには、これに対する有効なペナルティーというのは非常にかけにくい、だから日常的に法律でちゃんと拘束していくんだ。法の支配というのは、法律によって権力の行動を、権力行使を支配する、コントロールするということじゃないですか。

 なぜかというと、権力の行為はそのぐらい危うい部分もある。つまり、トーマス・ジェファーソンが言ったように、憲法は、あるいは法律は、権力に対する猜疑の体系である。疑うという意味ですが、猜疑の体系である、こう言っている。この格言こそ近代民主主義あるいは近代法の原則なんですよ。ところが、官房長官がおっしゃったのは、いや、行政機関はそもそもそういうことになっているというのは、それは反対なんですよ。そもそもそういうことをする余地が、可能性があるから法律が要るのですよ。いかがですか。

福田国務大臣 大変御高説ありがとうございました。よくわかりました。
 いずれにしても、おっしゃる御指摘のことは、私、そのとおりであるということを認めます。でありますので、しかし、先ほど願望と申しましたか、期待と申しますか、そういうようなことを込めて申し上げたので、私の立場でもって、行政機関は悪いことをするものだ、こういうふうに言うわけにもいかないものですから、そういう立場であるということも御理解いただきたいと思います。

仙谷委員 立場はよくわかりましたけれども、今回の法案、私は願望なのか立場上なのかわかりませんが、これは世界に向けても発信されていますから、この種の事柄については、やはりそこの基本だけはちゃんと絶えず言っていただくということがないと、このグローバルスタンダードの中ではなかなか政治議論としても通用しないんじゃないかというおそれを持っているんですよ。

 ましてや日本は、さらにもう一点聞きたいのですが、どうしても山県有朋以来の知らしむべからず、よらしむべしというこの伝統が、色濃く官の世界にもあるし、我々の世界にも全くないとは言えない。我々というのは、普通の国民の方々の中にもあるんですよ、それは。だから、お上に任せておけば何とかしてくれるというのもその変形ですよね。

 ところが、権力は間違わないとか、これは権力の無謬性といいます、昔、どこかの前衛党が言っていましたけれども。それから、官尊民卑というのもある。それから、六〇年安保のとき、公安条例がその後できてくるわけですが、そのときに言われたのは、デモ隊暴徒論という、デモ隊はいつ暴徒に変化し内乱状況になるかもわからない、だから公安条例をつくらなきゃいかぬ、警職法で警察官が銃を使えるようにしなきゃいかぬという歴史があるわけですね。時代とともにデモの形態も変わってくるし、自己表現の仕方、政治に参加する自己表現の仕方が今変わってきているでしょう。昔とは全然違う状況になってきている。しかし、これはやはりある種の経済的な豊かさの問題とか時代の進歩とか、そういうことだろうと思っておりますが、そんな中で、大事なのは行政情報の公開という問題に行き着いたのですよ、世界からずっとおくれて。

 ところが、今度は、行政情報の公開請求をする人については、昔のデモ隊暴徒論を僕はすぐ思い出したのだけれども、これはひょっとしたら危険な人たちかもわからない、いざ事あるときには外国に情報を売ってどうのこうの、そういう頭で今度のリストを平然とつくってしまうということになったのではないかという気がしてしようがないのですよ。

 やはりここは、きのうも枝野議員から質問しましたように、情報をとろうとする、公開される情報を得ようとするのはタックスペイヤーとして当たり前なんだ、そのぐらいの意識がある人の方が税金をちゃんと払う。無視して逃げるか、あるいは無視して、知らぬ顔して税金を払わない、つまり、参加意識がないことでは困るんだというふうに国を、時代を変えていくということでこの情報公開という制度ができたわけですからね。これは、昔のよらしむべし、知らしむべからずから百八十度転換するんだ、ここが今度の個人情報保護の問題でも絶えず根底に置かなければいけない問題じゃないかと思うんですよ。官房長官、いかがですか。

福田国務大臣 まことにごもっともな御説でございます。

仙谷委員 これだけ賛意を表されると、もう法案は直ちに引っ込めて、もう一遍やり直すということにならざるを得ないんだろうと思うんですよ。何だったら、法案づくりに理念か目的か書くところとか細かいところのお手伝いに行ってもいいぐらいの気持ちになっておるのですが、それは半分冗談でございますけれども、本当に根本からこの法体系は考え直していただきたいと思います。

 そこで、ちょっと細かい話になるのですが、防衛庁、この六月十日から、調査結果の報告書あるいは概要、あるいは「調査報告」と称するものですか、こういうのを持って発表前に説明に回っていますよね。これは、昨日、私どもの方にいただいた紙によりますと、防衛庁長官に、だれが、どのように、いつ説明したのかというのは書かれていないんであります。それと、総理への説明には防衛庁長官が一緒に同席して説明をするというふうなことがあったんでしょうか、なかったんでしょうか。まず、六月十日、十一日、そのあたりのことをお伺いしますが、いかがですか。

中谷国務大臣 総理につきましては、発表の当日の十一日の朝、私が、本日発表しますと、その概要については口頭で説明をいたしまして、国民に対してわかりやすい形で発表をしてくれという御指示がございました。それから、与党の説明の模様につきましては、そのとき説明をいたしました人事教育局長から私の方にそれの模様について報告がございました。

仙谷委員 防衛庁長官には説明がいつあったのかという問いにお答えいただけませんが、それは後で一緒にお答えいただいても結構でございますので、お忘れをいただかないようにしていただきたいと思います。

 そこで、私がお伺いしたいのは、概要を説明したというふうに今防衛庁長官はおっしゃいました。概要に例のくだり、証拠隠しと見られてもやむを得ないというくだりが入っておったんですか。それが後々消えていくわけでありますが、このくだりは総理大臣にはちゃんと説明されたというか、あるいは朗読でもしてそのことは総理大臣の耳に入っておったんでしょうか。

中谷国務大臣 総理には、今回の結果で法律に違反する点があった点とこれの評価を、ごく短時間でございましたが話をいたしました。総理につきましては、この発表、また一連の処理につきましては防衛庁長官にすべて一任をするという認識でお話しをいただいたわけでありまして、私の認識といたしましては、この件についての全責任は私をもって発表等をしなければならないということで、そういう細部につきましては総理とはお話をいたしておりません。

仙谷委員 概要、報告書、施設庁分、個人情報の四つの資料を添えて調査結果の主要なポイントを説明したというふうに私どもの方には聞かされておりますが、この四十ページの報告書、こういうのをつくっているんですよ、これも公表しようと思っているんですというふうに総理と話をしたんですか、しなかったんですか。

中谷国務大臣 総理も大変お忙しいわけでございまして、私と話した時間も三、四分ぐらいだったと思います。この報告書について提出をするとかいう話は、その中、短時間なもので、いたしておりません。

仙谷委員 ということは、長官が一任を受けた、こういうふうに理解したわけですね。

中谷国務大臣 そのとおりでございます。

仙谷委員 そうすると、長官及び防衛庁サイドとしては、これは、文書を、どれを配るかということを別にして、つまり、記者会見の席上で、とりあえずよくわかりやすいのをまず配ります、それから、詳しく書いたのはここにございますからどうぞ持っていってくださいと。普通のやり方はそうですよね、このごろのやり方は。そういうふうにされようと思っていたんですか。

中谷国務大臣 この発表のあり方につきましては最後まで考えていたわけでございますが、この発表のある前の週には記者会見もございまして、その席上で「調査報告書」というものをつくっているということを明らかにしておりましたし、当日の記者会見の計画におきましても、あらかじめ、人事教育局長からブリーフィングを行う際には、この報告書を念頭に、記者団と記者会見の模様については調整をいたしておりました。

仙谷委員 今度は、与党幹事長と国対委員長に説明に行くわけですね。これはいわゆる根回しというやつですか、じゃないんですか、何かよくわかりませんが。

 つまり、そのラインの中で調査をし、調査結果が報告書としてまとめられ、これを防衛庁の責任者としてあなたがどこかで発表する。もちろん、内閣総理大臣官房と総理大臣には報告というのが必要だと思いますが、党というのは、これは法案の事前承認でも何でもないわけですよね。だから、まあ説明しておいた方が後々後くされがないだろう、いろいろぐちゃぐちゃ文句を言うやつが少ないだろう、こんなことで行くんだろうというふうに推察はするのでありますが、あなたが指示したんですか、それとも、これはもう自主的に防衛庁の方々が、やはりあそこへは行かなきゃいかぬな、こういうことなんでしょうか。

 それからもう一つは、まず一部の国会議員に、与党の幹事長や国対委員長に説明する前に説明に行っていますわね。これは、一部の国会議員ってだれですか。何人ぐらいですか、あるいはどなたですか。

中谷国務大臣 私の認識につきましては、与党の方には一応説明をいたしましてその意見を聞いてくればいいという認識でございまして、しかるべき、担当した人事教育局長が与党の会に出席をいたしまして説明して、その発言を聞いて私のところに報告がございましたので、私がその時点で決めたことでございます。資料等の作成、配付等につきましては事務方が計画をいたしたわけでありますが、私のその当時の発表のスタイルを決める判断といたしましては、単純に、与党の議員が意見を言ったこと、これについて判断をしたわけでございます。

仙谷委員 一部の国会議員ってどなたですか。

中谷国務大臣 私につきまして、いろいろと通常のやり方で与党議員また国防関係に関心のある方に対しましては説明を行っておりまして、その一連の計画に従って資料を配付したものでございます。

仙谷委員 もう一度聞きましょう。一部の国会議員ってどなたですか。

中谷国務大臣 国防政策とか安全保障政策に非常に関心のあった議員でございますが、だれかということでありますけれども、これを持っていって相手方がいた場合もありますし、アポイントがなかなかとれなかった場合もございます。相手方の議員もさまざまな対応や状況があったわけでございまして、断定的に「調査報告書」について配付または説明を受けたとして個別に議員名を申し上げるということは困難でございます。

仙谷委員 いや、これを申し上げるのは困難でございますと言って、これを言っていただかないと、本件のこの発表をめぐるぐちゃぐちゃの話が解明されないじゃないですか。まさかあなた、防衛庁が外務省みたいになっていいというふうに思っていないでしょう。宗男現象じゃないですか、これは。

 内閣のラインのほかに、与党があるのはいいですよ。しかるべき役職の人のところに参考までに説明に行くのも、この事案ではあり得るのかもわからない。しかし、それと全く関係のない実力者のところへ御意向を伺いに行ったり説明しないと物事が運ばない、そんな政治でどうするんですか。それが今の外務省のていたらくでしょうが。

 僕は、竹中さんも苦労しているのもそれなんだけれども、とにかく、内閣そして政府というラインを無視したところのわけのわからない実力者が多過ぎるんですよ、今の政治は。わけわからぬ人、多いじゃないですか。宗男さん、わけわかりましたか。これが多分、片山大臣にしてもあるいは官房長官にしても、この声をどう整理するのか、エネルギーの七割も割かれているような感じがするじゃないですか、新聞を見ているだけでも。こんなことでまともな政治ができるはずないじゃないですか。

 それは別の人の役目だと私は思うんだ。党の役職者か、あるいは大臣、それぞれの役所の政務官や副大臣か、そういう人の役目だと思うんですよ、どうですか。これはお答えいただかないと前へ進みませんよ。防衛庁までが今の外務省みたいなことになってもらっては困るから聞いているんじゃないですか。

中谷国務大臣 この報告の仕方につきましては、すべて私が決めたことでありまして、責任を負うわけでありますが、なぜそのように決めたのかということにつきましては、与党の意見の中に、証拠隠しに係る記述がありまして、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、当該の記述は情緒的で回りくどいので法理に照らしてどうなのかという観点で、証拠隠しを行ったと言われてもというくだりで、結論は不適切でございます、それを端的に不適切であると直したわけでありまして、私が判断した要素といたしましては、法理的によく整理をされて簡潔明瞭に、文書としてはそれを公式文書とし、また説明につきましては、報告書に沿って丁寧に、中身も十分なほど説明をし、それによってまた報告書の提出が求められた場合におきましては報告書を提出すればいいというふうに判断をしたわけでございます。

仙谷委員 全然お答えにならないのはどういうことですか。私はまだそこまで聞いていないんですよ。それは次に聞こうと思っていたんです。先回りされても困るんです。

 だれなんだと。鈴木宗男さんと外務省の関係みたいなことが防衛庁と防衛庁長官以外のところで行われては困るでしょう。あなたが困ったって私は少々辛抱するんだけれども、国民の安全にとって差しさわりが出てきたりすると困るじゃないですか。あるいは、国民の自衛隊に対する、防衛庁に対する信頼感の欠如につながる。

 責任とれない人がいろいろ口を挟んで、現にあなたの今の話を聞くと、国民に対するメッセージが、説明が変わっているじゃないですか。責任とれない人の言うことを聞いて変わるんだったら、本当は長官が責任とれないじゃない、お気の毒に。だから私は申し上げているんですよ。そのことが防衛庁の一つ一つ失点につながっていくようなことになっては、泣くにも泣き切れないじゃないですか、長官。だから、むしろ、すべてこういうことはオープンにした方がいいんですよ、政と官の関係は、あるいは政府と与党の関係も。堂々として言えることであれば、何でそんなにはばかるのか、私はわからない。どうですか、もう一遍言ってください。

 委員長、こんなことで私は審議とめるつもりは全くないので、もし、委員長の方から促して、できないときには善処してください。

大畠委員長 今の仙谷委員の要求の問題ですが、昨日の理事懇談会でもその話が出まして、作成経緯のペーパーの中に一部の国会議員へというくだりがございまして、ここのところは具体的にどのような人に説明をしたのかということを、理事懇談会の席上でも、防衛庁の方に詳細を明らかにするようにという要請を私はしたところであります。

 中谷防衛庁長官、いろいろあると思いますが、ここら辺、やはりそういう経緯というものを明らかにしていただくことが必要だと考えておりますが、改めて中谷防衛庁長官の御答弁をお願いします。

中谷国務大臣 配付等の事実につきまして、時程的にはお話をいたしました。
 どこに配ったのかという点につきましては、一方的に防衛庁が計画をいたしまして持っていったわけでございまして、それによって、いきなり持ってこられた国会議員の人にとっても、対応がそれぞれ違っております。このことを公表することによりまして先方にも非常に不快また御迷惑をおかけするわけでございまして、配付をしたことは事実としてお話をいたしますが、個別名につきましては、防衛庁が持っていったという点で御了承いただきたいと思います。

 それから、この判断の私の真意でございますが、あらかじめ「調査報告書」を提出するという計画でやっておりました。与党とのお話の中で、法理的にきちんと報告をしたらいいということを聞きまして、なるほど、そのとおりであると。証拠隠しの記述につきましては、結論は不適切でございまして、それに対して、情緒的で回りくどいのはいかがなものかということを聞きまして、私なりになるほどと思って判断したわけでございますが、この報告書につきましては、もう記者の皆さんもあるということは十分知っておりまして、反発また混乱も予想をいたしておりまして、私としては、この報告書が今までの全力をかけた調査でございますので、世に出る方がいいと絶えず思っておりまして、求めに応じて出したわけでございます。

 しかしながら、国会を初め関係者の皆様方に混乱を招いたという点につきましては、心から遺憾に思っておりまして、このことに対する御批判は甘んじて受けなければならないと思っておりますが、私の心の中には、この報告書につきましては、世の中に出て、それに基づいて議論がされ、しかるべき解明が行われなければならないという気持ちは持っていたわけでございます。

仙谷委員 私も枝野議員と同じように、個人的には、中谷長官については敬意を払っておるつもりでございますし、好意を持ちながら接しているつもりなんですよ。しかし、事は、今、日本の政治の過程で起こっていることは、あなたがそうやっていわば検事に対する完全黙秘のような態度をおとりになろうとも、日本の政治がよくなる、あるいは本当の意味での政治主導になるというふうに思えないものだから、私は先ほどから執拗に言っているんですよ。

 これは委員長、一部の国会議員、この名前を明らかにさせる、そのために最大の努力を払っていただきたいと思うのですが、ちょっと協議してください。

大畠委員長 それでは、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 速記を起こしてください。
 ただいまの仙谷委員からの御要求、この防衛庁の発表用資料の作成経緯の中にあります、六月十一日の一時半ごろ、一部の国会議員へ概要または報告書等を説明を開始したということの一部の議員の詳細を明らかにしてほしいという要求については、理事会の中で諮りまして、与党の方からも努力するという話がございましたので、理事会の中でさらにその実態を明らかにできるように努力します。

仙谷委員 官房長官に要望だけしておきますけれども、本当にやはりここは、私、何となく、今大問題になっている政と官というんですか、政治権力としての内閣、政治、それと行政がありますが、それと、議院内閣制ですから、与党、野党というのがありますけれども、この関係を整理しませんと、今税制でも何でもかんでも、見ていますと、何というか、政府、内閣が責任を持った政策を決定をすることに、余りにも何か与党の、我々が現実的な力だと称する人の踏ん張りが強くて、幾ら小泉さんが改革改革と百遍唱えても一万遍唱えても、これはもう身動きがとれないような状況になっている。あらゆる問題で政治的な目で見ますとそういうふうに思うものですから申し上げているんですよ。

 だから、これはぜひ官房長官の方からも、これは何でもない、こんなもの明らかにして早く内閣は内閣のラインの中でやっていくんだという体制をおとりいただくためにも、明らかにさせるようにひとつ勧告してください。

 そこで、話題を変えます。
 防衛庁長官、もう一つ聞きますが、先ほど枝野さんから六月二十三日のゴルフの件がいろいろ言われて、防衛局長が出てこられていましたね。これは何らかの格好で、大臣、知っていますか、御存じになりましたか。

中谷国務大臣 私は、当日ゴルフをしたということは全く知りませんでしたが、それでよろしいですか。(仙谷委員「いやいや、がと言ったんだから続けてください」と呼ぶ)

 この点に対する所感を言わせていただきますが、これは日曜日で、休日でございます。役所も業務をいたしておりませんでした。基本的に、休日をどう過ごすかということは個人の自由に属することでありまして、その過ごし方云々につきましては個人の生活の範疇に属する事柄でございますので、この点につきましては自由であるというふうに思っております。

仙谷委員 枝野議員がここで質問するまで御存じなかったんですか。

中谷国務大臣 昨日の朝の記者会見の後、その事実を記者から聞きました。

仙谷委員 瓜田にくつを直さずという話もあるんですが、これはどういうことなんだ、調査をしようとかさせなければいかぬというふうに考えたりはしなかったですか。

中谷国務大臣 そのことにつきましては、一応私なりに事実を調べまして、聞きました。その結果、休日で行ったゴルフでもあるし、また、費用も自分でも出しておりますし、また、公用車も使わずに私有車で行っているわけでありまして、私としては、特に問題がない、また、相手方も、国防関係、また安全保障上非常に関心のある国会議員であるというようなところで、こういう方々と交流をするというのは問題がないというふうに認識をいたしました。

仙谷委員 そこでさっきの話と重なってくるんですよ、あなた、問題ないと言うけれども。

 ごく一般的に私的なおつき合いをされるのは、キャリアの方であろうと、それと政治家がつき合うのを、僕も一般的に悪いとは言いません。しかし、ある特定の時期に徒党を組んで防衛庁のキャリアの集団が、あなたのおっしゃる国防族というふうに世間では言われている議員の方々とゴルフをする。ゴルフをしてもいいですよ。してもいいけれども、時間をともにする。少なくともあらぬ疑いはかけられるというか、揣摩憶測をかけられるということはありますね、普通の感覚からいえば。あれあれ、今ごろこんなところでという話になるんじゃないですか。

 先ほど、一部の国会議員への説明というのをあなたがどうしても黙秘しておっしゃらない。守屋防衛局長も、さっき、ゴルフに同行した久間さんと額賀さんと浜田さんと東さん、これについても本人からは言おうとしない。防衛庁の中で守屋防衛局長、地引審議官、横山審議官、柴尾厚生課長、冨永防衛施設庁労務部長、戸田技術研究本部副本部長、河村運用課長、こんな、あなた、キャリアの肩書を持った人が集団で、ある一カ所のゴルフ場に行って、どのぐらいのことをしたのか知りませんけれども、一つのデレゲーションをやったということになってくると、これは意味が違ってくるんじゃないですか。量は、ある量を超えると質に転化するんじゃないですか。私はそう思うんですよ。

 先ほどの、一部の国会議員への説明をしたということの一部の国会議員ってだれだ。まさに世の中的に言うと、国防族と言われている人だろうと、こんなものは、邪推の域を出ないかもわかりませんけれども、すぐ、容易に想像つくじゃないですか。

 あなたの業務にとっても、この種の強力な、防衛族か国防族か知りませんけれども議員がおって、常時何とか協議会をつくって、キャリアの方々がそっちの方と親しげに話していて、あなたは雲の上に浮いていて、そういう有力議員の意向で物事が決まっていくみたいな話になったらどうなるんですか、日本の政治。そのことを心配するから言っているんですよ。

 この種のことはオープンにした方がいいんですよ。オープンにして国民の判断を仰ぐ、あるいはメディアの判断を仰ぐ、そのことによって政治は多分少しずつだけれどもまともになっていくと私は思うんですけれども。

 今僕が申し上げたような集団の、日曜日であろうとも、防衛庁挙げてのような集団じゃないですか、これは。防衛庁の行事みたいな話じゃないですか。個人が散歩がてらゴルフ場へ行くのと話が違いますよ。自分の入っているクラブへ個人がキャディーバッグ提げて行くのと話が違いますよ、こういうやり方は。そう思いませんか、どうですか。

中谷国務大臣 このゴルフにつきましては、日曜日、それぞれ個人で参加しておりまして、公務で行ったものではございません。公務で行っていない以上、プライベートな問題において、この国会の場でそのことについてお話をするということはその個人の自由を侵すものでありまして、いかがなものかというふうに思います。

 それから、配付につきましての件でございますが、これは、議員会館のそれぞれの事務所に在室をして説明を聞かれた議員、また、時間がなかったり不在だったりして説明を受けていただけなかった議員、さらに、この報告書を一べつされただけの議員、また、議員が不在で秘書の方に預けた例もございます。

 このように、相手方の議員にもさまざまな事情や対応がありましたので、一覧でこれこれの議員ですというふうに申し上げますと、私は知っていないとか、私は見なかったとか聞いていないとかいうようなことで、議員側にも大変な御迷惑と混乱もかけるわけでございまして、この配付につきましては防衛庁が一方的にやったわけでございます。このような条件で、いろいろと議員側の受けとめ、たまたま説明を受けたあるいは受けないということもございますので、個別に議員の名前を申し上げることは、一律でないという点で困難でございます。

仙谷委員 今のは全然、あなた、拒否する理由にならぬじゃないですか。ここにちゃんと説明と書いてあるじゃないですか。説明した相手がいないとかいるとか、そんなばかなことおっしゃらないでくださいよ。

 これは、委員長、この一部国会議員、先ほどの話と、本当に私は、何というんですか、むしろ同情をしつつ、日本の政治を正しくするために、与党であろうとも、有力議員が政策決定の事前にくちばしを挟んでゆがめられていくというふうなことがあればゆゆしいことだというふうに思いますので、ここはひとつ、ちゃんと解明をするようにしてください。

 それで、松下副大臣、これは農林政務次官時代のことをちょっと詳しく一問一答でお伺いしようと思って準備してきたんですけれども、時間がなくなりましたので簡単にお伺いしますが、やまりんから五十万受領したことを当初は認めていなかったけれども、認めたんですね。そうですよね。やまりんから、認めたんですよね。これは何で最初否定しながら認めることになったんですか。まず、そこから。

松下副大臣 新聞記事ではそういう記事がありますけれども、事務所の方のいろいろな資料とか何か確認できない段階で、政治資金の中にそれがない、記載がないということを、そういうふうにして受け取っていないというふうに解釈されたんだ、こう思っております。

仙谷委員 五十万受領について、これは何か、銀行口座に入金した、あるいは今度は返したとおっしゃっているんだけれども、返したと。帳簿にもつけた、こうおっしゃるんだけれども、そういうものがもしおありになるんだったら、ぜひこの委員会にもコピーをお出しいただきたい。

 それから、一言だけ申し上げておきますけれども、政務次官になって、お祝いという名目でも、これはわいろになるという判例が存在するんですよ。五十万でも立派なわいろですからね。今どういうふうに考えられているんですか。見ず知らずの人からお祝いとして五十万、政務次官になったばかりのところへ持ってきたという、それでぱっと受け取ったというのはいかがですか。

大畠委員長 予定の時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

松下副大臣 私、当選して九年間ですけれども、政治活動の中心を農林水産業に置いて、そしていろいろな活動をしてまいりました。その中で、松下の政治の姿勢といいますか、行動に対して共感を持っている人たちもたくさんふえてきて、そして応援してやろうという人たちもたくさん出てきたことも事実であります。

 そういう中で、そういう人たちからの政治献金をいただきながら政治活動をしていくということが大変大事だ、こう思っておりますし、政治資金は、これは議員の政治活動のやはり一般的な活動を支えていく資金だということで、これは政治資金管理団体が責任を持ってやっているわけですけれども、私の場合もお祝いとしていただきましたが、これは政治資金管理団体の中にきちっと入金しまして、そして政治資金の、議員の活動のやはりもとになるものとしてやっているということでございますので、その点は私自身はきちっと整理しているというふうに考えております。

仙谷委員 終わります。


2002/06/26-2

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