2002/05/22-2

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平成十四年五月三十一日(金曜日)

河村(た)委員 まず、個人情報保護法について、ちょっと総理大臣の解釈というものがこれはどえりゃあ重要なものであるということで、一応確認しておきますが、この間の四月二十五日の本会議で、要するに義務規定の適用除外として報道などの四分野を挙げている。それには、週刊誌、テレビのワイドショー、ノンフィクション、小説、映画とかそういうものが入るかどうかということについて、総理が、御指摘の雑誌、写真週刊誌、ワイドショー等においても同様であるというふうに答弁されておりますが、これは間違いないですね。

竹中国務大臣 総理が本会議で……(河村(た)委員「一言でいいです」と呼ぶ)そのとおりでございます。

河村(た)委員 そうしますと、総理がかわった場合でも、これは当然そのとおりになりますよね。

竹中国務大臣 基本的に立法者の趣旨としてそういうことを総理は表明されたわけで、非常に大きな意味を持つということだと思います。(河村(た)委員「何だって」と呼ぶ)立法者の趣旨として申し上げておりますので、そのとおりだということでございます。

河村(た)委員 では、それを確認しておいて。
 それから、この法制度ができた一つの原因として、いわゆるEU指令というのがあります。九五年に出たEU指令、これが言っておるのが、EU指令二十五条は、第三国にヨーロッパのデータを移す場合は適正な水準の保護を保障していないといかぬということを言われて、それに基づいてこれは努力をしたということになっておるわけです。
 何かEUから言われたことありますか、これについて。

竹中国務大臣 九五年のEU指令の二十五条の話だと思いますけれども、加盟各国に対して法制化を求めるとともに、第三国の移転制限規定があるわけですけれども、日本に対して具体的に発動されたり議論された例はこれまでのところはないということであります。

河村(た)委員 何もないわけだ、これは。何も言ってきておらぬわけだ、九五年、もう七年間。それなら、これだけ問題になっておるのに、ほとんどこれは全ジャーナリズムが反対しておる。それから━━━でも本当の自由を愛する人は反対しておる。こういう状況下において何で無理やりやるんですか、こんなのを。これはどうなっておるんですか。慎重にやればいいじゃないの、何にもEUは言ってきていないのだから。

竹中国務大臣 基本的にこの立法の趣旨は、先ほども申し上げましたけれども、IT時代にふさわしい個人情報の保護、個人の人格権を守るということからこれは必要であるというのがIT政策上の大前提であります。
 その上で、EUのお話が出ましたけれども、これまでのところはそういった議論はないわけでありますけれども、将来的には、しかも近い将来にそういうことは十分に考えられるというふうに私は思っております。

河村(た)委員 では、近い将来に考えられるなら近い将来までこれは十分ちゃんと慎重審議して、それでいいと言ったらどうですか。

竹中国務大臣 近い将来というのはあすにもそういうことがあるかもしれませんから、これはやはりきっちりと準備しておかなければいけないという趣旨です。

河村(た)委員 何にも言ってきていないのだ、実はEUは、こういうのをつくったと。アメリカなんかはセーフ・ハーバーといって、ガイドラインを積み重ねていいと言っておる。通産省もこの間までそう言っておったわけだ。何でこんなころっと変わって、これはうそじゃないのかな。
 もっと慎重に、本当に、自民党の中の自由を愛する皆さんが賛成するような体制まで持っていってそれからで十分じゃないですか。あなたは間違っておるよ、何も言っていないんだから。何も言っていないんだ、EUは。言ったでしょう、あなたは。――あなたは関係ないよ。大臣、大臣。関係ないじゃないか。大臣ですよ。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、この法案の成立を急いでお願いしたいと思っている理由は一つではありません。基本的には、今この瞬間も私たちの個人情報ははんらんしているわけで、これはやはり一刻も早くとめなければいけない、そういう非常に強い懸念があるんだと思います。
 そのために法整備の準備を過去数年間進めてきたわけでありまして、対外的な関係においても、一種のグローバルスタンダードを満たすという意味でも、これはやはり法整備が急がれる状況にあるというふうに強く認識をしております。

河村(た)委員 とにかく何も言ってきていないということははっきりしました、これは。何にも言ってきていない、EUは。急がれる、そういう必要があるといったって、そんなのは別に何も今国会で無理にやらぬでも、こんな状況なら十分ゆっくりやってもいい。やらないかぬじゃないです。だから、本心はそこじゃないんじゃないの、本心は。もっと理由があると言っておったでしょう。やはり八月五日に国民に番号がつけられる。この日に日本国民は囚人になる。このためにやろうとしているんじゃないのかな、これは。どうですか。

竹中国務大臣 河村委員の持論は私なりによく存じ上げているつもりでございますけれども、立法の趣旨そのものはそういうふうに、これは総務大臣の方から後でお話があるかもしれませんが、むしろ国家がコントロールすることではなくて、むしろこれは逆に住民の、各自治体がネットワークをつくる、その中でさまざまな利用目的を制限する、そういうことを防止するために、これは住基ネットの方でありますから私が申し上げることではありませんけれども、この住基に関連するさまざまな法整備が今総務省を中心に行われていて、それと、実は個人情報の保護という観点から、先ほどから申し上げましたように、包括的な法整備を行うことが時代の要請として求められているという中で今の議論をお願いしているわけです。

河村(た)委員 では、もう一回竹中さんにちょっと伺いますけれども、国民に番号をつけて管理を強めることは間違いない、これは。いろいろなデータが入ることは間違いない。私は自由主義経済論者だと竹中さんを思っていますし、どちらかというとケインズ流よりシュンペーター流であると自分も言っておられたじゃないですか。そういう人間にとって、こんな番号をつけるのを、これは共通番号ですよ。私は運転免許証とか基礎年金番号とかそれぞれ別の番号をつけることは反対しておりません。それは現にありますよ。だけれども、国民共通番号、あなたは何番です、一生不変の、全国民に番号をつけるということは、あなたの目指しておる経済像と違うじゃないですか。堂々と言ったらどうですか。

 そうやって国民を全部管理してきちっと措置していこうというのは、どっちかというとケインズ流の考え方じゃないですか。自由主義経済論者というのは、国家の仕事をなるべく少なくしていって、いろいろな人がいろいろなところでビジネスを起こす、そういうのをどんどんサポートしていこうというのが新しい考え方じゃないですか。現に世界でも全く違っていますからね、言っておくけれども。自民党の方、何を考えておられるのか知らぬけれども。

 私は自民党の人にお願いしたいよ。自民党はやはり自由を守ってきた、非常に重要な活動をされたのですよ、戦後。自民党がこんな役人にだまされてしまって、総務省に、本当に情けない。自民党の中の本当の自由主義経済を愛する人たちが、これはだめだと言って立ち上がらなければいかぬ。こんなことをやったら、本当に二十一世紀の日本はだめになるぞ。竹中さん、あなたはそのリーダーじゃなかったのか。私はそれを考えて、本当に期待しているんだよ、民間から来たから。自民党は自由を守らなければいかぬ、自由を。どうですか、竹中さん。(発言する者あり)

大畠委員長 議場では静かにお願いいたします。

竹中国務大臣 竹中さん、あなたは自由主義経済論者だろうというふうに河村委員からきょうは言われるだろうなというふうに思っておりました。
 ちなみに、ケインズも国が国民を管理しろということはもちろん言っておられないわけでありまして、国民に付した番号をもとに国があらゆる情報を一元的に管理、収集するという国民総背番号制と今議論されていることは全く異なるものであるというふうに私は思います。これは国家による個人情報の一元管理を行うものではない。住基台帳ネットワークシステムというのは、この間これは総務大臣からも……(河村(た)委員「これは読むんじゃなくて、自分の意見でしゃべらないと」と呼ぶ)いやいや、事実を確認しながらしゃべっておりますが、これは自治体の共同システムであって、国が一元的にそもそも管理するシステムではありません。それと、情報の範囲を制限して、利用目的を制限するということでありますから、むしろさまざまな個人情報を一元的に管理、収集することを認めないというシステムを我々は想定しているわけであります。
 自由が重要なことは言うまでもない。個人の人格を守るということもその意味で大変重要であるというふうに思っているわけであります。

河村(た)委員 全く情けないわ、やはり政府に入るとこれほど周りに包囲されるのかと思って。竹中さん、本心では泣いておると思うよ。自分の考えておることと違う、実際。

 人間に番号をつけて、何がそれを統一的に管理するのじゃないんですか。冗談じゃないですよ。それじゃやめなさいよ、そんな番号。必要ないじゃないですか。まず、そんなことを何のためにやるんですか。運転免許証番号に基礎年金番号、別々にしておけばいいじゃないですか。自治体も何の不都合があるんですか、今。とんでもない話なんだ。

 だから、私が竹中さんに期待しておくのは、僕は大臣になったことはないので……(発言する者あり)まあ、いいですよ、後で聞きますから。大臣になったことないですからあれですが、いかに民間の経済をやっておる人でも、こういう官僚機構の中に入ってしまうとやはり言わざるを得ないのか、そういう役所の作文を。これは限定的に、目的を限定しておるからと今言われましたけれども、背番号でないと。とんでもない話ですよ、そんなもの。それなら番号をつけるなよ、そんなこと、四情報だけだったら。住所、氏名、生年月日、性別だけだったら、要らないじゃないですか、そんなこと。もう既に納税者番号にも使いたいとかなんとか、変なことを言っておるじゃないですか、めちゃくちゃな、整理番号があるにもかかわらず。全く情けないというふうにまず思います。

 それから、住基ネットの各コンピューターがずっとありますわね。最後、これはどこかに集めて、完全分散管理じゃないようです。どこにあるんですか、コンピューターは。一億二千七百万国民の全データ、全データといっても、当初は六情報です。住所、氏名、生年月日、性別、番号、それから付随情報、この六情報と、うそを言っておりますが、この六情報を全部集中してどこかでコンピューターに入れていかなきゃいかぬわな、大臣。どこにあるんですか、これは。

片山国務大臣 河村委員、これは国が一元的に管理するシステムじゃないんですよ。地方団体が共同でやるんですよ。だから、都道府県が……(河村(た)委員「それなら、みんな嫌がっておるやつをやるのをやめなさいよ」と呼ぶ)いやいや、どこも嫌がっていませんよ。(河村(た)委員「何を言っているんだ、アンケートで出しているじゃないか」と呼ぶ)いやいや……

大畠委員長 質疑は委員長の了解を得ながらやってください。

片山国務大臣 すべての団体が合意して、共同でシステムをつくろうと。四情報ですよ、委員が言われるように。しかし、それは四情報だけで、しかもそれは住民票の出し入れを大変簡便にする、国民のための便宜を図るということと、もう一つは、これから申請、届け出をオンライン化するわけでしょう、電子政府、電子自治体で。そのときの情報確認を、本人確認を行政が求めたときにこたえる仕組みがなきゃいかぬ。そうでなきゃ、一々住民票の添付をして附帯書類を持っていくようなことになるわけですから。
 そういうことで、地方団体が共同でやろうということなんで、それをやってもらうような法的な根拠を与えたわけでありますが、それは東京にあります。それは東京にありまして、これは全都道府県から委任を受けて……。それは東京にありまして、これを公表することがセキュリティー上いいかどうかという議論もありますので、しかるべきときに、ちゃんとあります。

河村(た)委員 東京のどこですか。東京と言ったって広いじゃないですか。東京のどこにあるんですか。

片山国務大臣 これはちょっと我々も相談しなきゃいかぬのですけれども、都道府県、関係のところと。セキュリティーその他の面からなるべくこれを公表しない、こういうことなんです。二十三区内にあります。

河村(た)委員 あなた、国民一億二千七百万人に対して失礼だぞ、まず政府は。個人の全情報が集まるところがどこにあるか答えられない。何を言っているんだ、一体。とんでもない話だよ。こんなところに任せていいのかね、こんなばかな、こんな秘密主義の。
 それじゃ、これはだれが管理しているの、このコンピューター。

片山国務大臣 こういうことなんですよ。都道府県に法的な責任、権限があるんですよ。それを、いろいろな照会について一元的に回答する機関があった方がいいというので、指定機関をつくっているんですよ。地方自治情報センターなんですよ。その地方自治情報センターがそれをやっている、こういうことでございまして、委任した都道府県の了解を得ないとそれを言うことはいかがかな、こう思っているわけでありまして、セキュリティー上のいろいろな議論があるから、それを万全な、そういう意味での対応をとった後、公表するということはあると思っております。

河村(た)委員 これは本当に公表してもらわなきゃいかぬ。とんでもない話だ。そんな重要なセキュリティーの問題があるんだったら、何で何とかセンターというところにやらせるの、そんなもの。いいかげんにしておいてもらわないといかぬよ、そんなの。それならそれで、あなたが自分で出ていって、直轄でやったらどうですか、そんな秘密なら。そうでしょう。何とかセンターという外郭団体に任せておいて、セキュリティー上、大事だからどこにあるか言えません、そんなの全然話にならぬぞ、これは。執行、やめなさいよ、こんなばかな秘密主義の。官尊民卑も甚だしい、これは。

片山国務大臣 今言いましたように、都道府県の委任を受けた委任機関なんですよ、地方自治情報センターは。もともと地方自治情報センターというのは、都道府県や市町村のいろいろなことについての情報処理の委任を受けてやるシステムを開発したり、いろいろなことをやる機関なんですよ。だから、そこが委任を受けているんで、委任者の意向を聞かないと私は言えないと言っているだけの話なんで、国会軽視でも何でもありませんよ。

河村(た)委員 KSKシステムというのがありますわね。御存じかな。国税総合管理システム。これはデータを国税庁が持っていますよ。これは今は朝霞にあります。前は、横浜へ行って、私、見に行きました、何をやっているんだといって。国税の、要するに全部のデータですよ、税のデータ。それでもちゃんと言っているんですよ、当然、国民、納税者に対して。失礼だということですよ、それは。納税者に対して、あなたたちのデータがどこにあるかということを言うというのは国の義務ですよ、そんなの。それを、何ですか、今めちゃくちゃな話をしておって。そんなこと、県がどうのこうのよりも、率先して自分のところから、ここにあってこうですよ、それが務めであって、何を言っておるんですか、一体。

片山国務大臣 データ保護やプライバシー保護は徹底して管理されなければいけませんね、一般論として。
 そこで、今言っているように、法的な権限は、国税とは違うんですよ。国税は国ですよ。今回のシステムは地方団体の共同システムなんですよ。地方団体が中心なんですよ。だから、その委任者であるそこと相談しないと、公表することは私の一存ではいかない、こう言っているので、どこがおかしいですか。

河村(た)委員 そんな、総合的に集めるようなところが言えぬようだったら県にいろいろなことを頼んだりとかそんなことを言う資格もないですよ、そんなもの。

 あなたは、そんな、県がどうのこうのよりも、一億二千七百万人の全データを全部入っているコンピューターを預かる責任者なんだよ。集めるなよ、そんなことだったら。じゃ、何でばらばらにさせなかったんだよ、そんなら。自己矛盾も甚だしいじゃないか。まことに申しわけない、すぐにでも公開すると言ったらどうだ。それができなかったらやめてくれよ、こんな話は。本当に国民に失礼だよ。そう思わないですか。

 これは本当に国民がみんな怒るよ。自分のデータがどこに集中されているか、場所もわからない。それで、その管理が、何だよ、外郭団体だよ。

 それからもう一つ言う。大臣、福田さん、有事法制とか言っておるんだったら、例えばこういうところに、もし電源がアウトになったらバックアップとっておるかどうか。これから海外にぼんととられるかわかりませんよ、全情報が。そんなことを隠しておいてやることがいいというのは官尊民卑も甚だしいんだよ、これは。それはきちっとみんなに知らせて、こういうところできちっと、国民の皆さん、やります、それこそがいわゆる有事法制の原点じゃないですか、そんなもの、危機管理の。これはちょっと大臣、どう思いますか。――いや、福田さんに頼む。同じ答弁ばかりだと参っちゃうから。

片山国務大臣 同じ答弁じゃありませんよ。
 いや、今何度も言いますように、都道府県が責任を持っているんですよ、都道府県内のネットワークについて。それを全国的につないで、例えば住所が変わったときにどこでもその住所変更の手続ができるような簡便さなんですよ。そこで、地方自治情報センターという指定情報処理機関がやるのは、行政から確認が来たときにあちこちにばらばらやるのは手間が大変だから、都道府県の委任を受けて、情報確認の回答だけを一元的にやるんですよ。しかも四情報ですよ。全情報を一元的に国が管理するなんというシステムはやりませんよ。根本的にそこにあなたの誤解がある。

河村(た)委員 何を言っているんだよ。そんな、住民票をとるだけならそんなことやるなよ。何の必要もない、そんなのは。電話とファクスで十分だよ。冗談じゃないですよ。どんどん業務も拡大してもうやっているじゃないか。冗談じゃない。

 では、このことを言っておると次が行けませんので、次に変わります。

 次は、これは前の民主党の委員からも質問がありましたけれども、このいわゆる個人情報保護法が施行の前提であるということを言いまして、福田さんもそのことについて答弁されておりますけれども、その姿勢ですね。小渕さん、亡くなられましたので、その姿勢は、内閣の一つの継続性として、官房長官、これは引き続き堅持されておられますね。

福田国務大臣 先ほども、総理がかわったらば変わるかどうか、こういうことでございましたけれども、そういうことではないと答弁ございました。
 平成十一年の改正住民基本台帳法案の国会審議の過程において、十分な個人情報保護措置が講じられているものの、なおプライバシー保護に対する漠然とした不安、懸念が強まっているということを踏まえまして、議員修正によりまして、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」こういう規定が追加されました。この所要の措置は、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることなどを示すものとの自治大臣答弁もなされております。住民基本台帳ネットワークシステムの実施に当たりまして、「民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提である」という小渕総理の答弁がなされました。
 そして、こうした国会審議を踏まえまして、政府として昨年三月に国会に提出をしたところでございまして、そういう経過でございます。

河村(た)委員 では、その前提であるといって小渕さんがおっしゃられたこと、この内閣の姿勢は引き続き守られますね。

福田国務大臣 それは、その考え方を踏まえた上で、今この法案の早期成立をお願いをしておるところでございます。

河村(た)委員 そうすれば、本当にこれがもし成立しなかった場合、当然その内閣の意思を引き継ぐんだから、この施行はできませんね。

福田国務大臣 この平成十一年の改正住民基本台帳法案の国会審議において、「民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提である」という総理答弁がなされたことは今申し上げたとおりでございますけれども、したがいまして、この住民基本台帳ネットワークシステムの実施に際し、個人情報保護法が成立しているということは望まれるところでございまして、したがって、繰り返しますが、法案の早期成立を図りたいと考えておるところでございます。

河村(た)委員 望まれるじゃなくて、それは内閣として当然引き継ぐんだから、これは一体性がありますから、そういう前提であるから、望まれるんじゃなくて、施行できないということでいいですね。

福田国務大臣 この住民基本台帳システムの実施につきましては、これは公布の日から三年以内に施行するということ、それからまた、各地方公共団体がもう本年八月の施行に向けまして綿密なる着実な準備をしているところでございます。そういうことを考えますと、この住基システム、これは実施する必要があると考えております。なお、あわせて個人情報保護法案も早期の成立を図りたい、こう考えております。

河村(た)委員 はっきりしてもらわないと、やはり官房長官として内閣の意思をはっきりさせるかなめのお仕事だと思うんですよね。だから、それは施行されるかどうか、希望を言っておるのは希望ですけれども、少なくとも国会を通すときに、皆さん、あのときの国会議員というのは全員、小渕さん、あのときはわざわざ出てきてもらいました。三党合意まであります、これはわざわざ。各新聞も見ていますと、新聞記事はいいですが、前提であるとはっきり書いてありますよ。そういう前提のもとでこの法案を通したんですよ、私は大反対しましたけれども。だから、当然のことながら、その前提ですから、これは施行はできませんね。個人情報保護法が通らなければ施行は、前提だと書いてあるから、できませんね。

片山国務大臣 今官房長官が御答弁しましたように、住基法は三年以内に施行すると法律に書いているんですよ。だから、これは施行しないと法律違反になるんです。そこで、我々としては、この国会でぜひこの個人情報保護関係の法制の成立をお願いしているわけであります。

河村(た)委員 法律があると言いましたけれども、その法律制定の前提として内閣総理大臣がきちっと解釈を示したわけだ。そういうことなんだ、これは。これは当然、その法律というのはそれに従って、では、先ほど言ったジャーナリズムの問題でもそうですよ、報道機関でも。フリージャーナリストは入るかどうか。入りますというて総理大臣が答えているんでしょう。だから竹中さん、言ったじゃないですか、そういうふうにやりますといって。あのときもそうなんです。その法案が通るときには、個人情報保護法成立が前提であると言っているんだから。

 あなた、とんでもない話だよ。総理大臣の意思というのはどうなるんだよ、私たち何遍も聞いて。単なる希望なのか、これは。それなら、質問できないよ、こんなの。一切あなたたちの答弁は希望なのかね。今の法案のいろいろな解釈の前提になることを皆さん言っているんじゃないですか。それを信用するから私は聞いているんじゃないですか。何なんだよ、あなた、そんなの。総理大臣が言ったこと、どう思っているんだよ。何回も言っているんだよ、これは。官房長官に聞いています。私は内閣の意思を聞きたいんだ。

福田国務大臣 私は、再三申し上げていますとおりでございますけれども、早期に成立というのは、この国会でもって成立させていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございまして、小渕総理が、この住基ネットワークシステム、これが成立をするときに、三年ということも申し上げましたけれども、プライバシーの保護に対する漠然とした不安、懸念を払拭するための環境整備が必要、こういうことはございました。それにこたえて今回、個人情報システムのこの法案を提出いたしまして、情報保護、こういうことを図りたい。そして、そのことによって、急速に情報化社会が進展しております。したがいまして、プライバシー保護に対する漠然とした不安、懸念を払拭するための環境整備を図る、こういうことであります。

河村(た)委員 こんなの全く質問できないよ、こんなことだったら。総理大臣のきちっとした答弁について、答弁というか前提だと。約束について次の内閣に引き継いでいって、そこがそのとおりであるときちっとした有権解釈を示せない、こんなふうだったら質問しようがないじゃないですか。ええかげんにしておいてくれよ、本当に。

大畠委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 それでは、河村委員からの御質疑で、この個人情報保護法という法律案が通らない場合に、住民基本台帳法の施行というものが期日が迫っておるのですが、そのことについては実施をするのか実施できないのか、このことについて御質問がございました。これについて、改めて答弁をお願いいたします。福田内閣官房長官。

福田国務大臣 住基ネットワークシステム、これはもう法律で決まっていることでしょう。八月五日に施行ということになっておるので、これは法律ですから、これはそのとおり施行する、これはもう当然のことであります。

 私は、今まで、その当然のことを前提として、あと個人情報保護法案について早期に、すなわちこの国会で御審議いただいて成立させていただきたい、こういうことを申し上げているんで、何の不思議もないと思うのですけれども。

 それでは、小渕総理のその発言の趣旨との関係で申し上げれば、この個人情報保護について、その個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であると認識しておる、こういうことでございまして、これは小渕総理の政治姿勢を示したもの、こういうように考えております。

 一方、住基システムの方は、これは法律でございますから、これはもう日にちも決まっている法律でございますから、それはそのとおりやるというのは当然のことだというように考えます。

大畠委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 それでは、先ほど、政府の方からも答弁がございましたが、河村委員に対する答弁を、もう一度よくわかるように……(発言する者あり)
 福田内閣官房長官。

福田国務大臣 お答えします。
 改正住民基本台帳法は、それ自体は、同法の附則第一条第一項の規定によりまして、「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」、平成十四年八月五日から施行することとされておりまして、法律上、個人情報保護法の成立が住民基本台帳ネットワークシステム施行の条件とはされておりません。

 また、改正住民基本台帳法附則第一条第二項において、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」というように規定しておりますけれども、これを踏まえまして、政府としては平成十三年三月に個人情報保護法案を国会に提出することになりました。そういうことでございます。所要の措置を講じております。(発言する者あり)

大畠委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 河村委員からの質疑の答弁内容については、議事録を起こして理事会で精査をさせていただきます。そして、その後のことについては理事会で決めさせていただきます。
 そのようなことで、河村君の質疑時間が既に終了しておりますので、河村君の質疑の答弁については理事会で討議をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 河村君、ありますか。

河村(た)委員 とにかく、総理大臣の発言は極めて重い、これは当たり前のことです。
 私たちも、こうやっていろいろ聞いておるときは、やはり皆さんが今の法律についてどういう解釈を示される、それは当然有効だから聞いておるのです。もし無効だったら全く委員会というのは意味をなさない、国会が成り立たない。それを申し上げて、終わります。

大畠委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 なお、河村委員の発言中、理事から、不適切な発言があったとの指摘もございましたので、このことにつきましては、速記録を調査の上、後刻理事会において協議いたしたいと考えております。
 次に、工藤堅太郎君の番でございますが、先ほどのお話がございまして、このことが明確になるまで質問は後回しにさせていただきたいと考えております。
 そこで、工藤君の次に準備されております漆原良夫君の質疑に入ります。漆原良夫君。


2002/05/22-2

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