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シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 のホームページから引用
政府税制調査会の答申におけるNPO税制

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、12月13日「平成13年度の税制改正に関する答申」を発表した。これは、政府の機関として、平成13年度税制改正に当たっての指針を示したもの。

 与党3党の税制改正大綱と対になる関係となるが、与党3党の税制改正大綱が、来年度からの税制の内容を決めているのに対し、政府のものは「指針」であり、来年度以降の検討課題などに触れている。

 答申におけるNPO関連部分は以下の通り。

4) NPO法人に係る税制

 NPO法人については、非営利活動の担い手の一つとして、21世紀に向けて活力のある経済社会を構築していく上で今後ますますその役割を果たしていくことが期待されています。NPO法人には財政基盤が脆弱な法人が多いこともあり、活動に必要な資金を外部から受け入れやすくすることがその活動の支援に資するものと考えられます。このため、NPO法人に対する寄附金について、特定公益増進法人と同様の優遇措置を求める意見があります。
 (注)特定公益増進法人とは、公共法人、公益法人等のうち、公益の増進に著しく寄与するものとして主務官庁から法令の基準に基づいて認定を受け、寄附金について特別の優遇措置を受けるものです。


 NPO法人制度は、公の関与からなるべく自由を確保するという枠組みとなっています。例えば、その設立について一定の要件を満たしている場合には、所轄庁はNPO法人として認証しなければならないこととされています。このため、これまで認証されたNPO法人の活動内容を見ると、高齢者への福祉サービスの無償提供を行うものから、会員相互の親睦を図るもの、趣味・娯楽の活動を行うものまで多岐にわたっています。

 寄附金の優遇措置は、公的サービスの財源となる租税を減免するものですから、予算面で補助金を交付することと同様の性質を有しています。このため、優遇措置の対象となる法人は相当の公益性を有する事業を営むものである必要があります。

 特定公益増進法人については、所轄庁が個々の認定を行うことにより公益性を担保する仕組みとなっていますが、NPO法人については、このような仕組みがないため、税制上の優遇措置を講じるに当たっては、寄附金の対象となり得る「公益性」について、恣意的ではない客観的な基準で判断することが必要となってきます。また、優遇措置の対象となる寄附金は公益目的に充てられる必要がありますが、特定公益増進法人については所轄庁が設立から運営に至るまで監督を行う制度であるのに対し、こうした指導監督の制度のないNPO法人についてはそのような担保をどのようにして図っていくかという問題があります。


 以上の観点から、公益性を担保するための具体的な基準は、まず、公益性のある事業が継続的に実施されていることを前提として、法人の運営組織や経理が適正でなければならないことが求められることは言うまでもありません。

 次に、国民一般の評価や監視を受ける体制の整備により、法人活動の適正性が保たれると考えられることから、活動内容や寄附金、役員等に関して十分な情報が幅広く公開されることが必要です。

 さらに、多種多様な法人の中で政策支援の対象にふさわしいものを客観的に判別するためには、例えば、広く一般から寄附金を受け入れているなど国民から幅広く支援されていることや、法人の活動が特定の者を対象とせず受益の範囲が広範にわたっていることなどが必要と考えられます。

 また、以上のような基準に基づいて優遇措置の対象となるNPO法人を認定する機関については、全国一律の基準で適用する必要があること、法人の活動実態のチェックが必要であること、諸外国の状況などを考慮すると、国税当局が有力な選択肢ではないかと考えます。


 NPO法人に対する税制上の措置として、寄附金に対する優遇措置に加え、公益法人等に対する軽減税率(22%)を適用してはどうかという意見があります。これについては、公益法人等に対する軽減税率は、そもそも累次の答申で指摘してきているように、基本税率との格差を縮小する方向で検討していくことが課題となっていることや、NPO法人の実態に照らし真に有効な措置になり得るかという点に十分留意する必要があります。


 公益法人等に対する既存の税制上の措置については、これまでも問題点が指摘されており、NPO法人に対する税制の優遇措置に関連して、今後、公益法人等を含めた非営利法人に関する税制全体について総合的に検討していくこととします。


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