1997/02/03

戻るホーム目次


140 衆院・予算委員会

西村眞悟議員(新進党)の拉致事件についての質問部分


○西村(眞)委員
 次に、私は、これは質問ではなくて、このような日本人が今日本国政府の助けを待っているのだ、このことを総理の脳裏に刻んでいただきたい、そして今我が国政治がその問題に無関心なら、その方たちの命は本当に相手の自由のままだという問題について、お考えをただしたいと思っておるわけです。

 私がくどくど説明するまでもなく、これは北朝鮮による日本人拉致の問題。現実に北朝鮮秘密工作員として北朝鮮で日本人に訓練を受け、そして日本人の旅券を持って大韓航空機爆破事故に携わり、生還した金賢姫さんの「忘れられない女」という中を朗読しながら、この問題を御説明したい。言っておきますが、金賢姫さんが体力がなくてあのとき死亡していたら、日本人の旅券を持った親子のような二人が大韓航空機を爆破したのだということを反論する手だては、我が国になくなったわけです。読みますと、

 つい最近のこと、軍事境界線を偵察中だった米軍のヘリコプターが北朝鮮領域に不時着した事件がありました。このニュースを観ながら、事件を処理するアメリカの態度には、新鮮な衝撃を受けました。
 たった一人の将校を召還するためにアメリカの自尊心をかけ、国民すべてが力をそそぐのを見て、私はこのことを李恩恵問題と結び付けて考えずにはいられませんでした。
 本名・田口八重子としてその存在を明らかにされた彼女は、

明らかにされたのは、我が国警察当局の本当の努力があるのです。

日本側のあらゆる努力にもかかわらず、いまでも家族の元には戻っていません。私に対する日本人化教育が終わったのち、私を日本に派遣する問題が本格的に論議されはじめた一九八五年の夏、彼女は突然姿をくらましてしまったのです。
 辛光洙という北朝鮮の工作員が韓国に侵入し、当局に捕まった、

これは八五年のことでございますが、

ということを指導員の方から聞きました。辛光洙は、日本で中華料理店のコックとして働いていた原勅晁という日本人をあらかじめ北朝鮮に拉致しておいて、この人物に変身して日本で活動していたのです。辛光洙が韓国に侵入したところを逮捕されて、その一件が韓国で発覚したということでした。

この辛は、今韓国の刑務所におります。

 この原勅晁もまた、過ぎゆく時間のなかで日本国民の脳裏から消え去ってから、かなりの歳月が流れています。
 もし、田口八重子や原勅晁が一般大衆から愛される人気者や著名人だったら、日本人のみなさまはどうなさったでしょうか。
 一日一日を一生懸命生きていく平凡な人間を、一人一人大事に扱ってくれる社会こそ、真の自由な民主主義社会だと私は考えます。
 田口八重子の召還のために日本のみなさますべてが気持ちを一つにすれば、たとえ李恩恵の存在自体を否定している北朝鮮であっても、彼女を日本に送り返さざるをえないでしょう。

これは、日本人が拉致されて、北朝鮮が全くその存在を認めない、そして、彼女たちは確かにいるという証言でございます。

 象徴的な例、これは名前を出しても、韓国で身柄を拘束されて、その裁判の中で名前が出ましたから、今、原さんを拉致した辛という人は。原さんは八〇年六月、辛により拉致されました。私の選挙区の近くの京橋の中華料理屋のコックをしておりました。原さんが拉致されたのは八〇年六月です。八五年に辛が捕まった。その中の、向こうの、韓国の裁判にあらわれたのは、結局、自分が拉致したんだ、そして完全に原に成り済まして、その原のパスポートを持って日韓を往復して、そして韓国でスパイとして捕まったということでございます。

 李恩恵は、日本警察の努力によってその田口八重子という存在が明らかにされたところ、御承知のとおりでございます。

 このほかに、人数はわかりませんが、一九六三年、石川県で漁民三名が行方不明、これは船だけが空で帰ってきました。一九八七年、北にいるとの手紙があった。七四年、文世光事件。これは、日本人のパスポートを持った在日韓国人が朴大統領の奥さんを射殺した事件です。もし文世光が射殺されておれば、日本人がやったということしか残らなかったわけです。それから、七七年九月には三鷹市の久米さんが能登で拉致された。

 そして、ここで私は質問主意書を、横田めぐみという一人の十三歳の少女が拉致されたむごい事件に関して質問主意書を提出しております。一月二十三日に提出しまして、本来ならその回答を待ってこの予算委員会で御質問するのが筋でございますけれども、政府の方から延期してくれと言われて、まだ回答を得ておりません。どうか、この前向きな回答をいただきたいわけでございます。ひとこれはもう一度、金賢姫さんの「忘れられない女」の中に紹介されております。私もそれに気づきました。この二百二十二ページ。

 そんなふうに話をする招待所のおばさん

招待所というのは収容所のことです。その

 おばさんの純朴な顔には、見るも哀れ、聞くも哀れだという同情の表情がうかがえた。 そして、拉致されてきた人の話は一つや二つではなかった。
 ある人は、連れてこられるときから強く反抗したために、北朝鮮に着いたときには満身傷だらけの姿であった。
 ある日本の男性は、とても心がきれいで大工仕事をよく手伝ってくれたという。
 またある日本人女性は、北朝鮮で外国人男性と結婚させられたという。
 ある日本人夫婦は、海辺でデートを楽しんでいたところを拉致され、
 また、

これが横田めぐみさんだと思う。

 また、拉致された人のなかには、まだ高等学校に通っていた少女もいたという。その女生徒は金持ちの娘だったのか、自分のものを洗濯することさえできなかったという。
 いまは名前も顔も思い出せない招待所のおばさんたちから、拉致された人たちの身の上話をあまりにもたくさん聞かされたが、いったい、党は何の目的で外国人を拉致してきたのかその理由はわからなかった。いずれにしても誘拐であれ拉致であれ、ともかく このように北朝鮮に連れてこられた外国人が、日本人をはじめとして相当数いるということはわかっていた。
 私の考えでは、一九七〇年代後半に対南工作に外国人を利用せよという金正日の指示に従って、外国人拉致が本格的に推進されたようである。
 そんな話を聞いても、当時の私は、人間的には彼らを哀れに思ったが、常に賢明な党 がよく考えたことであり、また党が偉大な祖国統一の課業を達成するためにおこなっていることだから、そんな犠牲は取るに足らないものだ、と考えていた。
 いまになって振り返ってみると、北朝鮮は罪のない無事の人たちを拉致して苦痛のなかで死へと向かわせる、許すことのできない馬賊の集団とも思える。

この高校生もいたというのが横田めぐみさんでございます。今三十三歳になっておられる。なぜわかったかと言えば、これが最近わかった。北朝鮮から亡命した工作員が、十三歳の女の子を拉致したらしい。その子は頭のいい子で、バドミントンのクラブの帰りしな、工作員が脱出しようとするのを目撃したので連れて帰った、朝鮮語をしゃべれるようになればお母さんに会わせてやると言われて、一生懸命勉強した、しかし、十八歳ごろになってそれがかなわぬこととわかり、病院にそのとき入院していた。その証言と、バドミントンの帰りに拉致されたという日本の新潟日報の記事が、見事に符合しているわけです。

 きょう、アエラ、また産経に実名が出ました。私も相当悩みましたけれども、そういうマスコミに出た以上、実名を申し上げ、実名を申し上げる以上は、どうかこの問題に、総理大臣、国家の、本当の民主主義国家の正統性の証明でございます、自国民を保護するということ、これに重大な関心を示して取り組んでいただきますようにお願い申し上げる次第でございます。御所見をお伺いしたいと思います。

○橋本内閣総理大臣 私は、今議員が引用されました以外にもあるいは北朝鮮による拉致の疑いの持たれている事件があるのかどうかを存じませんが、当然ながら、その疑いの持たれております事件に対しましては、捜査当局において所要の捜査が厳重に進められていると思っております。
 また、関係機関におきましても、関連情報の収集に努めておるところでございまして、今後ともこうした努力を続けてまいりたい、そのように申し上げます。

○西村(眞)委員 外務大臣、今御発言、何かございましたら、積極的な御所見をお願いします。

○池田国務大臣 ただいま総理から御答弁があったとおりでございますが、外務省といたしましても、このような北朝鮮による拉致の疑いが持たれておる事件につきましては、まず、捜査当局において所要の捜査が進められると思いますが、外務省としてもその情報の収集に努めてまいりたいと存じます。

 李恩恵の件につきましては、委員も御高承のとおりでございまして、平成三年に、これは失踪中の日本人女性である可能性が高いと警察当局が判断いたしましたので、それを踏まえて、我が国といたしまして、日朝国交正常化交渉の場で持ち出して、北朝鮮に対していろいろ調査方そして情報提供方を求めてきたところでございますが、それが向こうの入れるところとならなくて、結局、このことが原因となって正常化交渉そのものがとんざした状態になっているというのは御承知のとおりでございます。

 また、委員御指摘の報道に関する件でございますが、これにつきましても、私ども、今後その内容を踏まえて適切に対処してまいりたいと思います。

○西村(眞)委員 国交がないので外交ルートがないということはよくわかりますが、しかし、北朝鮮とパイプがなかったのかといえば、あったのです。米の支援の交渉をされたではありませんか。日本人を拉致する国家になぜ米支援なのか、私はこのように思っておりました。人質をとっておる相手に対して、その人質のことを触れずに要求をのむということは、相手の立場がどんどん強くなるということでございます。

 しかも、昨年、御承知のとおり、この米支援を推進されたのは現自民党加藤幹事長でございます。相手方は全容淳書記でございます。全容淳書記は対南工作担当書記でございます。先ほど金賢姫の発言を、本を御紹介しましたように、日本人を拉致して対南工作に用いるという、その対南工作担当書記が全容淳。この人物を相手に加藤幹事長は米の支援を交渉して、相手から、全容淳書記から貢ぎ物だと国内で言われた、北朝鮮国内で。そして、加藤幹事長の自分の私財で買った米ではなくて、国民の税金で買った何十億の米であったわけです。

 また、この交渉で、加藤事務所吉田なる人物は北のエージェントである、この奇怪な構造の中で交渉が行われておりました。(発言する者あり)責任を持って申し上げるから、横で発言するということはお控えいただきたい。

 それで、拉致された方ではなくて、日本人妻千八百名を含め日本人七千名が北朝鮮におって、所在がわかっていないわけです。私が申し上げるのではなくて、北朝鮮、韓国……(発言する者あり)ちょっと、静かにしなさいよ。私が発言しているんだ。委員長、注意してください。発言に気をつけろとは何事か。何事なんだ。(発言する者あり)委員長、注意してください。これは大臣の事件ではない。

○深谷委員長 お静かにお願いします。並びに、委員も静かにどうぞ語ってください。

○西村(眞)委員 これは、韓国、北朝鮮問題について専門的に研究をされている「現代コリア」の主宰者の佐藤勝巳さんが書いた文章でございますが、しかし、我が国民が北朝鮮の国家権力によって拉致されていると推定される事件は、この件を初めとして、李恩恵などわかっているだけでも二十件近くある。日本国籍所有者は七千人いるが、今私が申し上げたとおり、北朝鮮はどこに行っているかわからないようにしている。このような野蛮な北朝鮮に対し、我が国の政府は一体何をしてきたのだろう。かつて、日朝交渉の場で李恩恵の消息を確認しようとし、交渉が決裂したことがあった。しかし、一昨年は上記の主権侵害、人権侵害に一言も触れず、北朝鮮に事実上米五十万トンをただで上げた。これは事実でございます。こんなばかな国がどこに存在するのだろうか。信じがたいことだが、自民党加藤幹事長らは、このような国にまた米支援を検討しているという。自国民の人権を犠牲にし、北朝鮮を助ける政治家を普通「売国奴」という。こういうことを言っておるわけです。

 それで、総理にお伺いしたい。
 加藤幹事長に関しては、共和の件について、これは浮上すれば沈み、また浮いてくるという妙な事件。九二年に加藤幹事長はこの件で、共和の副社長からやみ献金をもらったのではないだろうか、これを国会の場で否定されました。九六年三月、その献金を受け取った、授受のときに立ち会ったという後援会長が受領を認めたため、また浮上しました。もちろん加藤幹事長は否定された。しかし、その現場におったという後援会長が言っておるわけですから、それだけでは済まなかった。九六年九月二十五日、政治倫理審査会の審査でも、開かれましたけれども明らかにはならなかった。しかし、その直後、朝日新聞が、副社長の息子に、大手ゼネコンを紹介するから獄中の父に加藤幹事長の疑惑解明の手紙を書いてくれよというふうに頼んできたのだということをまたすっぱ抜いたわけです。

 そこで、総理、この加藤幹事長、米の問題であって、私は、一北朝鮮・韓国研究家がこのように断定的に雑誌で述べられているということを今御紹介しました。本国会、我々衆議院、参議院において加藤幹事長のこの疑惑について再三審議等々がなされていたことは事実でございます。そして総理は、与党第一党の幹事長として加藤幹事長を再任されたわけでございましょう。総理は、加藤幹事長に疑惑がないから再任されたのですか。それとも、疑惑があるかないかわからぬけれども、あってもいいと思って再任されたのですか。二つに一つ、どちらなんですか。

○橋本内閣総理大臣 私は、先ほどから議員が党を代表するお立場で御質問になり、しかも弁護士という非常に重い仕事を持っておられることを議員という立場とあわせて繰り返しお述べになった上で、個人の名前をいろいろお出しになりましたことに大変な重みを感じております。

 そして同時に、もう一つ議員の御意見、拝聴していてよくわからないんですけれども、北朝鮮に対する、また北朝鮮による拉致の疑いの持たれている事件、これは当然ながら我が国の捜査当局として捜査を行い、関連情報を集めるという努力がされているものでありますし、そして、その一つのケースでありますまさに李恩恵のケースで北朝鮮との国交正常化の話し合いというのは決裂をした状態にあることは、よく議員は御承知であります。

 また、昨年、昨年というお話でありましたが、北朝鮮に対する米の支援というのは私の記憶では一昨年のことであったと思いますが、その一昨年に行われました米支援というものは、まさに国際的にも緊急、人道という観点から特殊、例外的な措置が求められ、行ったものではなかったでしょうか。

 それが、我が党の幹事長に対するいかにも、意味ありげな御発言と言うのは失礼かもしれません、意味を持たせておられたのかもしれないんですから、その御発言と結びつけられて拉致という問題が語られることは、私は大変不本意な話であります。拉致事件に対して捜査当局が捜査をするのは当然でありますし、関連情報を集めるのも当然の努力であります。

 そして、一昨年、まさに国際的に、北朝鮮の危機的状況に対して米の支援を行えというのは、まさに緊急、人道的な課題として我々の前に提起され、あくまで特殊、例外的な措置として実行したものではなかったでございましょうか。私はそう記憶をいたしております。

○西村(眞)委員 時間が来ましたから、私は、この質問において、国家の基準はどこにあるのか、国益を守るための政治家の基準もどこにあるのかという問題意識を持って質問させていただいたわけです。その象徴として総理大臣のこの握手について私は違和感を感じているということを申し上げた。また、靖国神社、八月十五日に総理大臣が参拝するか参拝しないかはどこで……

○深谷委員長 西村君に申し上げます。
 割り当て時間を経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

○西村(眞)委員 わかりました。
 どこで決まるのかということ。そして、官僚の処分、百万円の者は懲戒免職で、その上司で数千万の収賄を得た者は……(発言する者あり)数千万の……(発言する者あり)わかりました。私は、歴史観……

○深谷委員長 西村君に申し上げます。
 既に割り当て時間は経過しております。しかも本日はテレビ中継であります。各党の約束事をお守りください。

○西村(眞)委員 わかりました。失礼いたしました。

○深谷委員長 これにて西岡君、野田君、西村君の質疑は終了いたしました


1997/02/03

戻るホーム目次