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事務次官会見記録 (平成13年7月30日(月) 17:00〜 於会見室)

北方四島周辺水域における韓国漁船の操業問題に関する日韓協議

(事務次官)北方四島周辺水域における韓国漁船の操業問題について、29日、30日に日韓両政府の間でさらに協議を重ねたが、双方の立場の隔たりは依然大きく、最終的な合意に達することはできなかった次第である。他方、協議を通じて韓国側からは、1つは「わが国漁船の北方四島周辺水域での操業は、純粋な商業的、漁業的な問題であり、領土問題とは何ら関係がないこと」、2番目に「ロシアとの合意は日露間の領土問題に関する一方の立場を害するものではないこと」、3番目に「韓国とロシアとの協議の際、日本側の立場を考慮して領土問題には影響を与えるものではないことをロシア側に韓国側から表明していること」、以上3点を明らかにしており、その旨を田中外務大臣宛書簡で正式に確認することで了解は得られているということである。
 そういうことで時間が経っているが、今のところ操業の開始は確認されていないし、結局どうなるかというのはわからないが、仮にこういうやりとりをやっているにも拘わらず操業が開始されれば、わが国としてはロシア及び韓国に対して当然のことながら抗議をするということになろうかと思う。今のところそこには至っていないし、最後までいろいろな協議をやりたいとは思っている。

(問)一部報道によると日本側が譲歩したということであるが、そういう事実はあるか。

(事務次官)協議・交渉の過程で詳細にいろいろなことをやったが、基本的には折り合わなかった。その過程でのいろいろな具体的な提案の内容については、申し上げるのは差し控えたいと思う。要は、前も申したと思うが、基本的には、日本の法的立場を害さない、代替漁場は提供しない、日本漁民に新たな負担を強いることはしないという3つのセットの中でいろいろなことを探ったということである。

(問)日本側は三陸沖でのサンマ漁船の操業許可を与えない方針ということであるが、日韓関係に与える影響についてどうお考えか。

(事務次官)三陸沖と言うよりも、今は北方領土周辺水域でどういうことが起こるかという話が最初に来る。(漁船は)北から段々下りてくるわけであるから。今の段階では(北方領土周辺水域に)入ったということは確認されていないが、話し合いがつかない状況の下で仮に入った場合には、新たな事態になるであろうということである。その中で三陸沖をどうするかというのは、その次の話だと思う。

(問)今後(総理の)靖国神社参拝問題等、日韓の懸案が多くあるが、抗議をするということは日韓関係にどういう影響を与えるか。

(事務次官)靖国神社問題とサンマ漁問題というのはあまり直接関係がある話ではなくて、これはこの案件としてどう対応すべきかということだと思う。ただ、背景としてなかなか難しい雰囲気があるではないかというご指摘であるとすれば、そこはもちろんそういうことを念頭に置きながらいろいろな個々の案件に当たるということだと思う。どんな案件にせよ、要は日韓の間にある友好関係の大局に影響を及ぼしてはいけないという大前提に立って、全力を挙げるということである。

 

在外選挙

(事務次官)今回は実は2回目の在外選挙であり、昨年は総選挙があった。今回の在外公館投票の実施等の業務全部を無事終えた。在外選挙の投票総数は22,054であり、昨年の総選挙の際の17,000より約5,000票増えている。因みに、登録者数に対する投票率は、7月11日現在の登録者数74,458人に対し、これに対する投票率が約30%で、この比率も昨年より少し上昇した。在外選挙に関する広報、登録促進に一定の成果があったのではないかと考えているが、その間在留邦人からは「いろいろな手続きの簡素化をやってくれないか」という要望はすでに出ている。これで衆参それぞれ在外選挙を実施したところなので、いろいろな海外有権者の方の意見等を踏まえて、制度・運用の見直しを総務省とともにやりたいと考えている。

 

デンバー総領事の公金流用事件

(問)デンバー総領事事件について、刑事告訴、告発についての作業の進捗状況を伺いたい。

(事務次官)捜査当局とも連絡は取っているし、鋭意いろいろな観点から検討しているが、今のところ結論を得るには至っていない。ただ、なるべく速やかに決めたいとは思っている。今の段階では、まだ「こういうふうにやります」という決定には至っていない。

(問)基本的には(告訴を)前向きに検討されているのか。

(事務次官)こういう話は前向きにと言うか、いろいろそれなりの手続きになるので、きちんと詰めるべき点を詰めなければならないと思っている。

(問)捜査当局との調整というのもあると思うが、起訴できるかどうか、立件できるかどうかという問題は捜査当局の関心だと思うので、外務省は外務省としての立場というのがあるのではないか。そこは必ずしも捜査当局とは立場が一致するものではないと理解しているが、如何か。

(事務次官)告訴をする側と、それを受ける側というのは、全部ぴったり一致しなくてはならないかどうかというのはおっしゃる通りかと思うが、それにしてもこういう話は刑事手続きの話なので、きちんと詰めてやらないといけない。その点で、いろいろ整理しなければならないと思うし、そこは懲戒免職の手続きとは少し違うのだと思う。懲戒免職が揃えば自動的に(告訴する)という話ではないのだろうと思う。これはいろいろ詰めているところである。

(問)水谷前総領事は(デンバーに赴任する)直前にブラジルで勤務していたが、ブラジルの時のことはお調べにならないのか。

(事務次官)それなりにいろいろなことは調べたが、何も出てきていない。

 

機密費流用事件

(問)明日午前10時から東京地裁で松尾元室長の公判の期日が入っているが、どんな点に注目されているか。

(事務次官)最初の冒頭陳述の全容に、私どもも大変注目をしている次第である。それがどういうふうになるか見てみたいと思う。今の時点であれこれ申し上げることではない。

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