2003/10/01

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156 衆院・予算委員会 


平成十五年十月一日(水曜日)

藤井委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口君。

原口委員 民主党の原口一博です。

 数点にわたり、総理並びに閣僚にお尋ねをしたいと思います。
 まず、私たちは政権交代を目指しています。政権交代の意義は、やはり癒着をした今のしがらみの政治、税のむだ食い、これを政権交代によって変える。そのことによって、国民の皆さん、主権者の皆さん本位の政治をつくっていく、これが私たちの目標です。

 今、与党の中でも、一回でも自民党の外に出て、そして、もう一つの極をつくろうということで主張をして選挙に出た人がもう九十三名を超えています。九十三名を超えているんです。つまり、政権がある党からある党に移ること、このダイナミズムによって政治がよみがえる、このことを私たちは目指したいと思っています。

 総理は、今回の総選挙、いつあるかわかりません、しかし、この選挙において、従来のしがらみをもう絶って、そして、政策本位の政権を選べる選挙を私たちは目指していきたいと思いますので、受けて立っていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 選挙というのは、各政党がかくあるべしという政策を掲げて有権者に判断を請う大事な政党間の競い合いでありますので、今の御趣旨のとおり、各政党が有権者に向けて、いかに自分の政党はこうだという努力をして、そして、それぞれが、政権をとった場合にはどういう政策を掲げて戦うのかという戦いにすべきだと私は思っております。

原口委員 そこで、数点確認をしておきたい。

 マスコミに対して私たち政治の側が抑圧を加えてはならないというふうに思います。ある党では、千人のモニターを配して、そして、いろいろな自分たちの党に対するアゲンストのものがあれば、そこにスポンサーやさまざまな圧力を加える。こういう政治は民主政治の基本を壊すものだというふうに思います。まず、こういったことが絶対にないような風土にしていただきたい、これが一点。

 二点目は、やはり公約。総理は総裁選のときに、御自身の公約を党の公約にしてそれを問うんだ、これは私は正しいと思います。その公約の一致ということと私たちも一致させて、それでどっちがいいんだということを戦う、このことをお約束いただきたい。

 そのためにも、私たちは、できるだけたくさんの情報を国民の皆さんにお渡しする必要がある。先ほど石原さんと枝野さんの議論を聞いていて非常に楽しかったです。なぜか。その手順や財源や、そして具体的な道筋を闘っているからです。そこに一つの数字があり、一つの具体例がある。石原さんの考えと私たちの考えは違う。だけれども、そこに議論の材料があるわけです。まず、その材料を示しながら議論をしていく、その風土をつくらなければいけない。

 そして、三番目には、団体による締めつけあるいは抑圧選挙。石破さんが私の方をごらんになっていただいていますが、自民党から外に出てどれだけひどい抑圧、弾圧に遭ったかという人たちはたくさんその経験があると思います。補助金を使った、あるいは規制を使ったそういう抑圧選挙、これをやっていたんじゃ本当の政策は競えないんですね。ぜひ、私は、総理が今回信を問うということになれば、そういう選挙をなくす、私たちもそういったことはなくしたい、極力に頑張りたい。

 そして、もう一つ、地方における政治改革を進めるためには、分権改革と言っているけれども、やはり口ききやさまざまな官製談合を明らかにしなきゃいけないんです。口ききや官製談合といったものをすべてオープンにできるような指示をやる、このことがとても大事だと思うんです。幾ら地方にできることは地方にと言ってみても、そこでまた同じような癒着の構造があってしまえば、税のむだ食いは、私たちの目の前、国会の目の前からは消えても地方で起こってしまう。このことについて総理の決意をまず伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 口ききにつきましては、もう官製談合防止法等でかなり前進された部分があると思います。

 要は、この法律をよく守っていただかなきゃならない。今、議員の中で逮捕されたり不祥事を起こしている方は法律があっても守らないんですね。これはやはり立法府の議員が法律を守らないようじゃどうしようもない。まず、守っていただく、法を遵守していただく。

 それと、報道に対して自民党が規制を加えたりということは全く考えておりません。

 ただ、最近の報道は、目に余る虚偽報道が中には随分見られるんです。私も随分迷惑をこうむっています。ワンフレーズポリティックスなんて、私が言ったんじゃないんですよ。私のワンフレーズだけを何回も繰り返しているのはマスコミですよ。全部報道しないんです、繰り返し繰り返し。こういう点については極めて遺憾だと思っておりますが、何回も報道されれば、これがワンフレーズだ、これしか言っていないんだと見ている方は感じます。そういうのはうそだということを原口さんもよくわかっているでしょう。

 ましてや、藤井委員長、藤井委員長だって迷惑をこうむっている報道があったと思いますよ。あの自民党総裁選挙のときに、ここに座っていたのかな、それでやじっている姿をぱあっと出した。そうしたら、全然違うやじのところをあたかもそのときにやじっている報道をされて、実に迷惑をこうむったことがあるでしょう。それを報道した報道機関は謝った、間違いだというような話を聞いていますが、それがどうなったかわかりませんが。

 あるいは、毒まんじゅうの発言以来、あるテレビ局は、その人の前に、一般の人がまんじゅうじゃない、そのテレビ局の人がまんじゅうを並べて、こんなに批判されますよと自分で報道を誘導するような、これは非常に報道機関も反省してもらわなきゃ困る。

 そういう点については、やはり報道も、何とか政党を批判したい、特定の政党を批判したいという気持ちがあるのはわかりますけれども、やはり報道には公正を期していただきたいと思っております。

 また、これからいろいろな情報を提供して、国民が判断しやすいような論争をする。先ほど、枝野議員と石原議員の議論を私も聞いていまして、お互いいい議論だったなと思っております。道筋は違ったとしても、お互い、かくあるべしという議論を堂々と政策論争するという意味において、今後の一つのあり方を示しているんじゃないかなと思って興味深く聞いておりました。これからも、政策論争をしやすいような情報をそれぞれが国民に対して提供するべきだと思っております。

原口委員 ワンフレーズポリティックスとこの予算委員会でお話しになったのは、マスコミじゃないんです。御党のこの間立たれた政調会長がおっしゃったんですね。だから、マスコミだけで批判が十分貫徹するかというと、そうではないと思います。

 そこで、先ほどの質問に関連して、きょうは、山口総務副大臣、副大臣になられて本当におめでとうございます。信念の方ということで、そして、副大臣になられた後、地元のテレビに御出演なさって、そして、自分は郵政民営化反対だ、辞表を胸にも反対をする、これは一つの識見だと思います。こういうお話をされたのを拝見しましたが、これは事実でございましょうか。

山口副大臣 ただいまお話をいただきましたように、このたび総務副大臣を拝命させていただきました山口でございます。もう早速お騒がせをして大変恐縮いたしておるんですが、先ほど、私も午前中の御質問、お伺いをしておりまして、すぐに実は事実関係をもっと明確にしておこうと。というのも、テレビ局というのはちょいちょい間をカットして編集するものですから、ちゃんと調べました。

 確かに、お話のように、実は私ももともと持論がございまして、これはもう原口委員もよく御存じと思うんですが、若干持論を申し上げて、しかし、私は小泉内閣の一員でありますので、総理のお考えに沿って、そして同時に、麻生総務大臣がおっしゃったように、総理のお考えも、あるいは利用者、国民の皆さん方の御納得も、そして働いておる皆さん方が意欲を持ってさらに働けるようなことも考えながら、みんなが何とか了解できるような道を模索いたしたいと。東京で就任直後、記者会見をしたときも同じことを実は申し上げまして、ナローパス、竹中大臣がよくおっしゃっておられましたので使わせていただきました、かもわかりませんが、それに向けて全力で頑張りますということを実は申し上げました。しかし、最後の方で、確かにこれは難しいかもわかりません、そのときは辞表を胸にですねと言って笑わせていただきました。

 これが正確なところでございます。

原口委員 あらかたの話はやはり反対なんですよ。今長々とおっしゃったけれども、反対なんです。

 それで、ここに、委員長、集配郵便局、これは私が六年前に政府にお願いをして、そして、実際に今収支どうなんだというところを郵政三事業ごとにまとめていただきました。これを見ますと、皆さんの県もありますよ、ほとんどの過疎地が収支マイナス。郵便事業、簡易保険事業それから郵貯事業。例えば札幌市、政令指定都市でも黒字のところなんか一局しかないんです。山形でもそれぐらいです。あとは全部赤字なんです。

 ですから、小泉内閣になって私は何回も言ってきた。今また時代が変わったから、金融の状況も変わったから、この基礎的なデータを出してくださいと言ったんです。だけれども出さないじゃないですか。どうして出さないんですか、総理。

麻生国務大臣 私もその話は初めて伺いましたが、多分、局単位ぐらいのところでは間違いなく出せます。ただ、二万四千全部に出せと言われるとなかなか難しいかなと思いますけれども、局単位では出せると思います。

原口委員 では、出してください。

 これは、隣にいる自見さんのときに出してくれて、その後はずっと、出してくれ、出してくれと言いながら、出てこないんです。出てこないということは、改革の議論をデータなしに、単なる当てずっぽうでやらなきゃいけないという話なんです。そのことを申し上げたんです。出しますね。これは五千の集配局だけで出してみてください。そして、それがどうなるのか、民営化になったら、先ほどの状況ではほとんど、札幌市は一個になりますね、赤字であれば。赤字を全部つぶすということになれば。それが見えるから出してくださいと言っているんです。

 同じように、先ほどの枝野さんの質問の中で、年金についてありました。私たちも年金について、竹中さんがいろいろなところで批判をされているかもわからぬけれども、基礎的なデータが欲しいんです。この一年間で三・五兆円も年金基金を失わせた、この責任はだれもとらない。一体どれぐらい年金基金を毀損しているのか、そしてどの世代にどういう負担があるのか、これがわからなければ年金設計できないんです、竹中さん。だから、私たちはまずそこを見させてくれと言っているんです。

 選挙前に開示していただけませんか、総理。

坂口国務大臣 持っております出し得る資料は全部出してごらんに入れます。

原口委員 そこで、先ほど坂口大臣は、来年の年金改革に向けて、二・七兆円、基礎財源のところ、これはもう増税でやるしかない、そうお話しになりました。
 谷垣大臣、どういう増税ですか。

谷垣国務大臣 まだ、増税でやるかどうか、その辺はこれから厚生労働大臣とがっぷり四つに組んで議論をしなきゃいけないと思っております。

原口委員 それは先ほどの大臣の答弁と違いますね。先ほど大臣は、税でやるしかない、増税だとおっしゃったんですよ。テレビの前でおっしゃったんですよ。

谷垣国務大臣 まず、財源の議論、あれは平成十二年の法の附則に書いてあるとおりでございますが、私どもとしては、その前に、負担と給付のバランス、あるいは税をどこに入れていくか、こういう議論を煮詰めながら、さらに財源論もやらなきゃならない、そういうことを今議論しておりますので、それをどこに求めるのかというのは、坂口大臣はああいうことをお考えになって、積極的にお考えですが、私どもはまだそういう判断を固めたわけではありません。

原口委員 全くの閣内不一致じゃないですか。もう二分の一決めると決めているんですよ。決めていて、増税しないとほかにありますか。(発言する者あり)頭悪いって、何言っているんだ。
 どうぞ。

谷垣国務大臣 閣内不一致だとは私は思わないんですね。まだ、これからどこに財源を求めるかというのはいろいろ議論していかなきゃいけませんから、それがすぐに増税だという結論に直ちに結びつくわけではないんだろうと思います。

原口委員 私が増税だと言っているんじゃないんですよ。厚生大臣が増税ですとおっしゃった。はっきりおっしゃった。これは識見なんですよ。一つの考え方です。それを財務大臣は認めない。だから、国民はどっちを向いて年金が――では財源どこに求めるのか。財務大臣はどこにお求めになろうと思っていますか。

谷垣国務大臣 まだ結論が出ていないんです。ことしの年末の予算編成に向けて議論を煮詰めていこう、こういうことで、確かに坂口大臣のお考えも一つの御識見だろうと思いますが、私としては、まだ、それでそうだと言うだけの準備はできておりません。

原口委員 何でこんな話をしているかというと、総理、長期金利がこの半年間で何回か上昇しているんです。一遍に一・六六とか、一%近く上がっている。

 これは、日銀総裁、お見えいただいていますから、長期金利の上昇が経済に与える影響。特に地域の金融機関は、株を余り持っていません、二%ぐらいじゃなかったかと思います、それに対して国債は随分持っている、平均で一〇パーぐらいだったと思います。直撃するんです、地域の金融機関を。

 さっき中小企業の話がありましたけれども、地域の金融機関は随分傷んでいる。このごろの倒産を見てみると、五千万の資本金のところが五十億ぐらいの負債、つまり資本金の百倍ぐらいの負債でどんどん今地域で倒れているんですね。その中で長期金利の上昇というリスクが地域経済に対してどれほどのリスクを与えるのか、このことについて、日銀総裁、お伺いしたいと思います。

福井参考人 お答え申し上げます。

 確かに、過去一カ月強の期間をとりますと、長期金利の水準が、異常ともいえる非常に低い水準から、ある幅を持って水準訂正が進んだということは事実でございます。

 しかしこれは、金融政策の今後長きにわたる基本方針というものを改めて市場によく理解をしていただきまして、今のところ金利の上昇の動きには歯どめがかかっている、むしろ市場は落ちついているという状況でございます。これまでのところは、株価の上昇に伴って長期金利が上がった、おおむね市場参加者のあるいは国民の皆さんの日本経済の先行きに対する見方の変化に合わせた金利変動の範囲内、おおむねそういう感じになっていると思います。

 そして、個々の金融機関に対する影響という点で、今おっしゃいました地域の金融機関、これは金融機関ごとにかなり差はございます。差はございますが、現在比較的落ちつきの雰囲気を伴っている長期金利のこの水準を前提にして考えますと、個別の金融機関を見ましても、特に強いダメージを与えているところは今のところはない、今後ともここはもう十分注意して見ていきたい、こういうふうに思っております。

原口委員 日銀総裁の見方としては少し甘いのかな、地域を回ってみるとそう言わざるを得ない。だから、財源の問題、歳入の構造改革というのももう待ったなしなんです。だから申し上げているんです。二・七兆円というその税のところがそんな軽いお金じゃないから申し上げている。これを再度強調しておきます。

 それで、銀行貸し出しが、日銀総裁、この五年間で、特に中小企業、全体で百十兆、中小企業が百兆円減っています。これはまさに、九九年に公的資金を入れるときに、貸しはがし、貸し渋りを防ぐために入れるんだと言っていて、全くそれが効いていない、むしろ逆だったという証拠じゃないでしょうか。

 この銀行貸し出しの減少についてどのようにお考えなのか、これはどこに原因があるのか、総裁にお伺いしたいと思います。

福井参考人 ただいま原口議員から正しく御指摘がありましたとおり、大体、振り返ってみますと、一九九六年をピークにいたしまして、その後、銀行貸し出しの残高は一貫して減少し続けております。

 私どもは、この動きを分析いたしまして、やはり資金の需要面と供給面両方に明確な理由が認められるというふうに考えています。

 資金の需要面では、やはり長期にわたって経済が低迷をいたしまして、その中で、企業の行動としては、できるだけ債務を圧縮する、新規の投資を行う場合にもできる限りキャッシュフローの範囲内で、つまり借金を積み増さないで実行してきている。これが一つの大きな理由になっていると思います。

 もう一つは、供給面でございますけれども、これは金融機関が不良債権問題の処理に大変難渋をきわめている。その過程で、新しいリスクをとる能力がやはり低下している。これが非常に大きな理由でございます。

 しかし、もう一つつけ加えれば、経済が新しい局面にだんだん入ってきまして、企業がビジネスに挑戦するときに、昔に比べますとより高いリスクをとりながら仕事をするようになってきている。金融機関としては、新規の貸し出しをしたいという場合に、全く同じ企業であっても、全く同じ昔どおりの金利の設定の仕方では、この高いリスクを考えた場合に資金が出しにくい。したがって、従来の取引慣行を徐々に変えながら、なるべくリスクに見合った金利を設定しながら貸したい。ここのところが、まだ慣行の修正というのはそう急激に進みませんで、結果としてなかなか貸し出しが出にくいというふうな理由になっていると思います。

 したがいまして、将来に向かいまして今から、今後に向かいましては、第一に、金融機関の信用仲介機能の向上ということ、これはもう第一にさらに進めなきゃいけない。二番目には、貸し出しを伸ばすに当たって、リスクに見合った適正な利ざやというものが確保されるような取引慣行の修正、これは時間がかかりますが、やはり徐々に進めていかなきゃいけない。それから三番目には、貸し出しを市場で流動化するといったようなクレジット市場の広い展開を図っていく。その三つの合わせわざで新しい日本の金融の姿というものができていくというふうに思っています。

原口委員 言葉で言うのは簡単なんですね。だけれども、BIS規制では、個人の貸し出しもそれから中小企業貸し出しもリスクウエート一〇〇ですよ。リスクウエート一〇〇であるものを貸し出せといってもそれは無理な話で、だから、この予算委員会でも何回も何回も御提言申し上げていますけれども、やはり中小企業の基準、これをつくらなきゃいけない。貸し出し、リスクのウエートは大手よりも小さいわけですから、それを同じ一〇〇でやっていること自体が間違い。だから、バーゼルで今議論をしていますけれども、その中でしっかり主張をしていかなきゃいけない。

 それからもう一つは、さっき総理は菅さんの質問に対して、リカバーできるというか、もう一回やり直せると。大体、欧米を見ていると、一回二回失敗しても三回目で頑張った人が一番伸びている。我が国はその人たちが、やはり個人保証が多かったり、そして身ぐるみはがれたりしてつぶれていっている。日本の活力を今つぶしているんです。

 だから、第三者が再建のシナリオをつくって、例えばその処理を無税償却するとかいろいろなやり方があるはずで、私は、この間の政府がやってきたことが、やはり中小企業を中心にやられてきたとはとても思えない。

 竹中さんに伺いますが、りそなに二兆円の公的資金を入れた。私は、このりそなの二兆円の公的資金、これは、あの預金保険法の百二条の一号というものですね、システミックリスクがある、そのときに注入をする、おそれがあるというときに注入をするということで入れたけれども、本当にそうだったんだろうかと。今、新しい経営陣によって資産査定をもう一回やっている。この間、ある新聞には、一兆円の引き当て不足、こんなこともありました。

 この間の状況について大臣がどのように認識をされているのか。中小企業は追いまくられていて、そして大きな企業、本当は資産査定をきっちりやって、そしてどっちかということがわかっていたはずですけれども、ここで一兆円の引き当て不足が仮に出た、まだ出ていませんよ、まだ出ていないけれども、十月の中旬には出るというふうに言われている。そのときに、五千億ちょっとの資本金のところに二兆円入れた、この理由がつかなくなると思うんですが、竹中大臣、明確な御説明をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 りそなに関連して、原口委員の御指摘は二点なのかと思います。

 一つは、五月十七日の時点での金融危機対応会議での私たちの意思決定を一体どのように位置づけているのかということ、二番目は、今りそなの新しい経営陣のもとで行われている資産査定、それとどう絡むのか、そういうことだろうと思います。

 第一の方は、これはもう委員もよく御指摘のように、預金保険法百二条というのは、これはまさに緊急の事態に対応して、経済または地域に著しい信用秩序の問題が生じかねないような場合に、これを発動する。ただし、これはいわゆる過少資本の場合、つまり、別の言い方をすると、資本は四%ないし八%より少ないけれども債務超過ではない場合は、これは資本を注入しなさい、しかし、債務超過の場合は、これは別の破綻処理のやり方がありますよ、それを決めているわけです。

 これは緊急措置でありますから、私たちとしては、その時点で利用可能な最も正確な財務諸表に基づいて判断せざるを得ない。これは、言うまでもなく、十五年三月期にりそなが行った決算、それを監査法人がきちっと監査をしている。その決算に当たっては、金融庁も特別検査を行って、また、専担常駐の検査を我々が行って、それがすべて資産査定に反映されている。その時点の、五月十七日の私たちの意思決定として、これが唯一利用可能な正確な決算である、これに基づいて債務超過ではないということを確認して、それで資本注入を決定しているわけでございます。

 これについては、参考人招致等々でいろいろ御議論をこの国会でもいただきました。別の監査法人の方は、途中まで監査をしていたけれども、自分たちは監査する立場にないんだということを明確におっしゃって、その正式に監査を行った法人は、債務超過ではないということを明確におっしゃっている。

 それを受けて今資産査定を行っておりますから、その資産査定の結果はどうか、これは、経営陣において、思う存分しっかりと経営改革の中で資産の評価をやっていただいて、それを決算等々に反映していただければ私はよいのではないかと思います。

 仮定の質問で、原口委員は、そのときに非常に大きなマイナスが出た場合、どうするんだ、これについては、まだ何もわかりません、まだ何も、決定したということは、りそなは報告しておりません。

 一つだけ、念のために、一般論として申し上げておきますが、この資産の査定というのは、経営の方針によって変わります。これは、非常にわかりやすい例で言いますと、一つの子会社を存続させるのか、存続させないのか。つまり、ゴーイングコンサーン、継続企業の価値で見る場合と清算価値で見る場合と、これは違ってくる。これは古今東西、世界じゅうどこでもそういうものでありますから、その経営方針がいろいろな形で反映されているということは、これはあり得るでしょう。私たちはそれをとめるつもりはございません。

 しかし、いずれにしても、十五年三月期においては、これは確立された唯一利用可能な財務諸表において、我々は債務超過ではないということを確認しているわけでございます。

原口委員 なかなか納得できないですね。

 ごらんになっている国民の皆さんにわかりやすくお話をすると、債務超過、つまり、もう赤字で立ち直らなくなれば、その株主も責任を問われるんです。今回はそうではなくて一号ですから、株主は、むしろ逆に、公的資金を注入して、株は上がって、ああよかったねというふうになっている。

 だけれども、今お話しになったように、りそなの資産査定の監査法人についても随分議論がありました。朝日監査法人はここから抜けていっているんです。そして、りそな銀行を債務超過と認定しなかった新日本監査法人については、金融庁が圧力を加えたという疑惑もこの国会で議論がされたんです。

 それで、ことしの五月十七日の時点より皆さんは景気がよくなっていると言っているわけでしょう。景気はよくなっていると言っているわけです。景気がよくなって株も上がっているわけです。それは自分の構造改革の成果だと総理も鼻高々でおっしゃっているわけです。だとすれば、今お話しになった経営陣によるゴーイングコンサーンどうのこうの、できるだけ日本語で言っていただきたいんですけれども、経営陣の方針が変わったからといって、そんなに大幅な資産査定が変わるなんということがあるわけないんです。ありますか。

 そのこと自体が、人によってどれを不良債権にするのか、そうじゃないのかというのが変わるという話じゃないですか。

 もう一つ。これは、りそなにお金を入れたんですね。りそなに入れた。そして、ある報道によると、近畿大阪銀行にりそなホールディングスが三千億円を出資するというふうに検討されているという報道がありました。これは事実かどうかわからない。そして、こういう公的資金を入れるときに、こういう横流しのようなことは絶対ないでしょうねということを私たちは国会で何回も議論してきました。そのときに竹中さんは、そういうことはありませんというふうに答弁を、我が党の五十嵐議員の質問に対してもなさっています。

 乱脈経営がうわさされる今の近畿大阪銀行、名指しをすることはやめますけれども、例えばそういうところに入れるとしたら、結局、金融の処理というのはやみの世界との戦いですよ、やみの世界がいっぱいくっついているところに、結局国民の税金を入れるという形になるんじゃありませんか。そういったことを金融庁は許しますか。

竹中国務大臣 まず、個別の銀行等々について、我々は何も報告も受けておりませんし、こういう場で議論すべき問題ではないというふうに思っております。

 その上で、持ち株会社があるような場合、それで過少資本なりそういった問題が、経営の問題が起きた場合にどうするか。一般論としては、これは新しいタイプの難しい問題であると思います。

 持ち株会社、銀行の持ち株会社が認められて今ふえておりますけれども、こういった問題に関して法律上どういう枠組みがあるのか。実は、持ち株会社に関して明確に書かれているのは、銀行法の中で、持ち株会社はその子銀行のことをしっかりと面倒を見なければいけません、責任がありますよということ、これが書かれておりますけれども、それ以外のことは書かれておりません。したがって、要はこの問題は、これは個別の問題として適宜適切に判断していくしかないということなのではないかと思います。

 これは恐らく、仮定の議論をしていくと切りがありませんから、いろいろなケースがあるんだと思います。持ち株会社の位置づけ、子銀行同士の関係、それぞれの金額の大きさ、深刻度。したがって、一般論で議論するというのもなかなか無理がありまして、これは一般論といえども努めて個別の問題であって、個別の金融行政の中で解決、今後もし問題が生じれば出ていく問題であるというふうに思っております。

原口委員 個別の銀行についてはなかなか言いにくい、テレビが入っているから。

 だけれども、持ち株会社を通して、Aという銀行に対して入れたいわゆる百二条の一号による資本が、それがまたBというところに入るというのを、これを無際限に許していていいんでしょうか。そうはおっしゃっていないのでしょう。

竹中国務大臣 流用とかそういうのは何を意味しているのかというのが、これは個別個別でいろいろな場合があるのだと思います。

 したがって、先ほど申し上げましたように、一般論といえどもこれは極めて個別の問題でありますので、個別の行政の問題として、我々としては法律にのっとって対応を、もし問題が生じた場合はしていくということになると思います。

原口委員 何を言っているか、よくわからないのですよ。

 だから、この公的資本の入れ方。これは百二条で、一号、二号、三号と決まっている。だけれども、別の銀行に対して入ったことになるじゃないですか。今、個別の議論、個別ごとにやるということであれば。

 だから、私は、法律を、ここで何らかの歯どめをしておかないと結局モラルハザードになるんじゃないですかと。公的資金をあらかじめ、本当は債務超過かもわからなかったけれども入れた、入れたところの株は上がる、株主責任は問われない、これではモラルハザードになるんじゃないでしょうかということを聞いているのです。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、それが流用とかそういう問題になるかどうかというのは、これは個別問題です。したがって、その個別問題を今ここで議論することはできません。

 ただ、原口さんおっしゃるように、モラルハザードが起きないようにしなきゃいけない、これはこれでもっともなことだと思います。モラルハザードが起きないように、これはまさにその銀行のガバナンスも、その経営改革をしっかりとやっていく。そういう中で、金融庁としては当然、公的資金を入れたところにはしっかりとした結果を出せるような厳しい指導をしていくということになります。

原口委員 これは時間が幾らあってもやりとり深まらないみたいですが、総理、総選挙の前にこういう財務諸表、この公的資金の入れ方がどうだったのかということはしっかりオープンにして、そして、私は一つの争点になると思いますよ。中小企業に対しては、先ほど日銀総裁がお話しになったように猛烈な資金の貸しの減がある、しかし、大きな、こういうメガバンクに対しては、まさに一兆円もの引き当て不足が、あるかどうか今わからないけれども、もしあった場合、こういう形で入れていいのかよくないのかというのは、国民がやはり判断をされる問題だと思います。

 総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 もう昨年から、もう金融危機がいつ起こる、何月起こる、何月起こるとさんざん言われましたけれども、金融危機は起こさせない。そういう危機の状況というものは、竹中担当大臣、混乱させないような対応をとっておりますので、私どもとしては、金融システム健全化に向けて、金融危機は起こさせないという観点から判断したいと思います。

原口委員 その金融危機対応会議をやったんですよ。そしてそのやり方について、このやり方でいいのかというのは、具体的に決算が出てきて、十月の半ばに出てきて、一兆円のもし引き当て不足があったとしたら、本当は皆さんは三号でやらなきゃいけなかったんじゃないかというのが私たちの、つまり債務超過であるということをそのときに粉飾していた疑いというのも非常に強いわけです。そのことを申し上げているのです。

 次に行きますが、朝銀について、もう一兆三千億を超えるお金が入っています。そこで、これまで中川さん、私たちの拉致議連の会長をされていましたが、RCCからいただいた資料を見ると、その回収の方はなかなか思うようにいっていない。こういう朝銀に対する公的資金の投入について、基本的なスタンス、お考えを伺いたい。

 それから、経済産業大臣として、さまざまなこの拉致の被害、圧力と対話でやっていく上で、経済産業大臣としてやれることがたくさんあると思います。私たちは、何回もこの拉致の問題で政府に、同じ、党を超えてですけれども申し入れをしてきました。その中で、今現在、中川大臣として、この拉致問題に関し、北朝鮮のさまざまな、例えば麻薬の問題あるいは密輸の問題、いろいろな措置が考えられると思っていますが、どういうことをお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 議員御指摘のとおり、私は、今回就任するまで、原口さんと一緒に、拉致問題を解決する超党派の議員連盟で一緒にやらせていただいておりました。目的は、あくまでも北朝鮮に拉致された人々を一刻も早く全員、完全に解決をする、日本に取り戻すという目的でございます。そういう観点から、議連としてやれること、あるいはまた政府にお願いをすることを一緒にやってきたわけでございます。今回、こういう立場になりましたけれども、私のこの目的意識というものは、なった後でも全く変わっておりません。

 ただ、経済産業省を所管する立場といたしましてできることというのは、全体として、政府としては一つの決めたことがあるわけでございまして、別れ別れになっている五人の家族を一刻も早く取り戻すこと、それから、その場合には何の条件もつけないということ、さらには、死亡されたと向こうが言っております八人を初め、もう大勢の方々が拉致されておる可能性があるわけでございますから、一刻も早く安否を確認して、そして全員日本国民として日本に帰させることという政府の方針に基づき、昨年、小泉総理とブッシュ大統領との間で対話と圧力という合意があったわけでございまして、そういう意味で、対話と圧力というもので、この場合には拉致だけではなく、核、大量破壊兵器等々も含めまして、この問題の解決に向かっていく必要があると思います。

 そこで、経済産業省といたしましては、物の動きについて所管をしておりますので、御承知のとおり、昨年からキャッチオールという制度で、大量破壊兵器にかかわりがある可能性のあるものについてはすべてチェックをするという体制をとっておるわけでございます。

 このキャッチオールという制度をもっと柔軟にできないものかということで、今、私自身、省内で検討させているところでありますし、例えば万景峰のような船、これが象徴的でありますけれども、千四百隻延べで入ってきておるそうでありますから、北朝鮮から入ってきておる船につきましては、きちっとした形で、税関、取り締まり当局と連携をとりながら物の出入りのチェックをするということを考えて、現にやっておるところでございます。

 そういう意味で、引き続きまた先生方にもいろいろ御指導いただきながら、この問題の解決に政府も全力を挙げてやっていくということで、私の立場でやっていきたいと思います。

 なお、朝銀につきましては、直接私の担当ではございませんので、金融当局の方からお答えをさせていただきたいと思います。

原口委員 朝銀についても、私たちはこれまで明確なスタンスを示してきました。しかし、大臣になられて、やはり所掌以外のことは言いにくいということを非常に残念に思います。朝銀についてもさまざまな、朝銀を通して北朝鮮に対していろいろな、架空口座だとか借名口座だとか、そういったものを私たちもその中でやってきたわけですから、しっかりとそこをただす必要があるんじゃないかということを指摘しておきます。

 また、先日の国連総会において、我が国は、川口大臣、少しですけれども拉致の問題に触れられて、反論のときは川口大臣はもうお時間がなくて、反論は事務方の方がなさっていたようで非常に残念ですが、北朝鮮は、我が国が当初十日、十五日で帰すと約束したのを日本側が破ったというふうに主張している。これが北朝鮮の国連総会での発言でございました。

 本当にこんなことがあるんでしょうか。私たちは、これはないというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 これは委員のおっしゃるとおりでございまして、五人の被害者が帰国をいたしました折に、一、二週間程度の日程にする、そういうことを調整したという経緯はございます。

 ただ、約束かどうかということでいえば、再び必ず帰すという約束をしたわけではないということでございます。むしろ、そういうことでいえば、日朝間では、可能な限り早く子供を含む家族全員を日本に帰す、これを実現させるということになっていたということでございます。

原口委員 調整したのを、間違って北朝鮮は約束というふうに考えているんですね。
 調整、だれがやったんですか。

川口国務大臣 これは、日本政府全体として意思を統一した上で、窓口になった人間が行っております。

原口委員 私は、この拉致の問題でどういう調整が必要だったのかということ自体が非常に疑問であります。帰国を求める、原状回復を求める、それが私たちの基本的なスタンスであったわけで、それを、例えば今の大臣の言をかりると、十、十五日で帰すという調整も一つのオプションとしてその中でやったということなんですか。

川口国務大臣 そういうことで調整をした経緯というのは確かにございます。

原口委員 総裁選のときに、委員長がいわゆるツーボイスという言葉をおっしゃいました。

藤井委員長 ワンボイスです。

原口委員 ワンボイス。済みません。ツーボイシズですね。つまり、外交はやはり一つになっておかなきゃいけない。

 特に私たちは、北京で、中国あるいはロシア、韓国にもこの拉致の問題を六カ国協議の中で言ってくれと。タイミングを見てというような答弁もありました。先般北京で行われた六者会議の場でアメリカはこの拉致の問題に言及をしましたけれども、残念ながら、中国、ロシア、韓国は拉致の問題に言及しませんでした。

 日本政府として、私は、中国が、これまでのレフェリー役というよりも、むしろやはり人権とそして正義の立場に立ってこの拉致の問題に毅然として対応してくれることを非常に望んでいたわけですが、日本政府はこれらの国々にこの六カ国協議の中で拉致問題に言及するように働きかけた事実はありますか。

川口国務大臣 六カ国会合、これに先立ちまして、我が国は、米国以外にも中国やロシアや韓国に対しましていろいろなやりとりを行っておりますけれども、その中で、拉致問題の解決の重要性については繰り返し繰り返し述べております。そして、我が国として六者会合で拉致問題を提起する、各国においても理解と協力をしてほしいということを言っております。各国は、我が国の立場を理解して、それぞれの形で協力の意思を示したというふうに考えております。

 大事なことは、各国の協力を得ながら拉致問題を解決していくということであるわけです。私、この間、ニューヨークでも中国の外務大臣に拉致の問題についての協力ということを求めましたけれども、こういった形で今までもやってきましたし、これからもやっていこうと思っております。

 その上で、各国の協力のあり方につきましては、それは各国と北朝鮮の関係というのはさまざまな形があるわけでございますから、そういった形に応じて、各国が最適と考える方法でやっていくというふうに考えています。それぞれの国の立場がありますので具体的に申し上げるということができないんですけれども、例えば、国によっては、北朝鮮に対して表立った形で要求をするというよりも、静かな形で直接に働きかけている、そういう国もあるわけでございまして、それは、その国がその方が効果的であるというふうに判断をした、そういうことであると思います。

 いずれにいたしましても、拉致問題の解決というのは大変に重要なことだと思っておりますので、引き続き、関係国への働きかけや、また国際社会全体への理解と協力を働きかけるということをやっていきたいと考えております。

原口委員 外交ですから言葉が非常にわかりにくいし、静かな働きかけが何を意味するのかわからない。ただ、現実としては、拉致の問題を他の三カ国は出さなかった。

 私は、この六者協議の中で、包括的な核の問題、ミサイルの問題、拉致の問題、これが解決される、これはとても大事だというふうに思っていまして、六者協議に参加するに当たって、北朝鮮は、翌日のバイの会談で、もう次はどうするかわからないというようなことも言っていますが、この北朝鮮を含めた北東アジアの安全保障の枠組みということを構築する意味で、六者会談、六者協議の場というのはとても大事だというふうに思います。

 それで、アメリカはケリーさんを中心にいわゆる行程表を持って臨んだというふうに私たちは聞いていますが、日本政府はどのような取り組みをしたんでしょうか。

川口国務大臣 我が国は、この六者会合の中で相当に積極的な役割を果たしたというふうに私は考えております。

 具体的にどういうことかということをお話しさせていただきますと、我が国としては、まず、米韓両国との緊密な連携のもとに、北朝鮮の核の問題について、完全かつ不可逆的確証ができる、検証可能な形でやるということを求めてまいりましたし、それから、北朝鮮の安全保障上の懸念、北朝鮮は安全保障上の懸念を持っておりますので、これへの対応について、北朝鮮が核の廃棄、これをしかるべく行うということを前提に、六者会合のプロセスにおいて議論を深めていくということが、この安全の懸念への対応について議論を深めていくということが可能であるということと、それから、北朝鮮が核の廃棄に向けて具体的に措置をとるということであれば、北朝鮮に対するエネルギー支援につきまして適切な時期に議論を深めていくことが可能だといったことを伝えています。

 これがロードマップというふうに言えるかどうかということは別といたしまして、我が国の基本的な考え方というのは、北朝鮮に対して、核の廃棄、このための、これをやればどのようなことが出口にあるかということを見せる、その道筋を示すということはずっと我が国として考えてきて、これについてはアメリカ、韓国とも緊密に連携をとり、議論をしてきた、そのイニシアチブを果たしてきた、そういうことでございます。

原口委員 私は、もっと明快に、そしてしっかりと国民にわかるような言葉で、また次の委員会でやりますが、北朝鮮に対してやはり日本としてどういう圧力を加えていくのか、これも明快にしていただかなければいけない、そのことを申し上げて、道路公団の問題に入ります。

 先ほど石原大臣は、道路公団というのは伏魔殿だというふうにお話しになりました。道路公団だけではなくて、その子会社について、大体、道路公団というのは法律で子会社をつくってはいけないことになっている。だけれども、関連会社、さまざまな会社があって、そこは大きな黒字で、そして道路公団自体が赤字、こういう構造をどのように変えていこうとされているのか、基本的な御認識を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員御指摘されました点は、民営化推進委員会の議論の中でも最大の焦点になりまして、ことしの三月に「道路関係四公団民営化に関し直ちに取り組む事項について」という形で、入札・契約方式、発注単価の見直し、そしてまた道路公団本体から社長さんに天下っている、こういうものを見直しするように文書で示して回答を得たところでございます。

 その回答についての詳細は御存じだと思いますので省略しますが、平成十三年度と比較いたしまして、四公団合計で、OB社長は二十六人、二七%減、OB役員は二百三十六人、五〇%減。私は、これ全然満足しておりませんので、時間を見て各公団総裁をお呼びして、さらなるこの問題についての改善を求めるつもりでおります。

原口委員 前の、これは道路公団の子会社、道路施設協会、これでさまざまな事件があって、検察が家宅捜索をし、そしてその後、これは二つに名前を変えて分かれています。ハロースクエアというのと、それからJ―SaPa、片仮名語ばかりなのでなかなか覚えにくいですね。そして、この財務諸表を見てみると、これが財務諸表と言えるものなんだろうかという財務諸表なんです。百億の退職引当金が足りなかったとか、何回も説明に来ていただきましたけれども、説明のたびに変わるんですよ、その説明の内容が。だから、先ほど竹中さんの金融のところで議論をしているのとはもう全然違う世界の数字の世界を議論しなきゃいけない。

 この状況を、私は早く財務諸表をきっちり提示させて、そして……(発言する者あり)ないの。今やじでありましたけれども、減価償却さえない。だから、バランスシート、どこからどこまでがバランスシートなのかもわからない。この状況を早急に改善して国民に示さなければ、実際に財務諸表あったかないか、今藤井総裁にもお見えいただいていますけれども、藤井総裁を更迭云々という話もありますが、大臣は藤井総裁のどこを御指摘になって、まだお会いになってはいませんね、どういう問題だというふうに思っていらっしゃるのか。財務諸表をどのように変えようとしているのか。

 名前を変えたら、名前を変えてこうやってやっていくと、実際に責任を持つべき人、責任を問われるべき人たちが時効の向こう側に逃げていくんですよ、赤字を垂れ流しにした人、あるいは場合によっては官製談合をしていたような人たちが。

 このことについて、大臣はどのように財務諸表を整えて、そして国民の皆さんに、皆さんは民営化とおっしゃっているけれども、お示しになろうとしているのか、藤井総裁についてどのようにお考えなのか、二点お伺いします。

石原国務大臣 まず、お答えしやすい方から答えさせていただきたいと思います。

 公益法人の方なんですけれども、これは何で公益法人なのか、非常に私も疑問に持ちまして、早速調べてみました。

 そうしますと、道路公団が発足してできたとき、こういう部分まで目が届かなくて、露店が商売したり、居座っちゃって仕事をしたり売買をしたりするようなことがあったんだそうです。それは同じく国鉄でも、キヨスクができるまで、まだ駅によっては既得権でずっと業者が入っているそうでございますけれども、こういうものを排除するためにということで公益法人で管理するということになったそうでございますが、本体よりも内部留保があったり引当金が不足していたりといったような、民間企業では考えられないような状態があるということは、委員御指摘のとおりだと思います。

 そして、やはり重要なことは、資産評価というものが十分にされていませんから、自分たちの資産に対してどれだけの仕事をしてどれだけのことをやっているということが、実はこれまで、正直言っておざなりになってきたんだと私は思います。もちろん、議論が間に合うようになりまして、こういうものをホームページで、公会計基準に、公益法人会計基準にのっとってすぐ示すようにというような形にはなっておりますけれども、なった結果、また一般常識からはかけ離れていることも目につくようになったんだと思っております。これが第一点でございます。

 JHの本体の方の財務諸表でございますが、ことしの六月に発表されました財務諸表は資産が負債を五兆八千億上回っている、これは報道されているとおりでございます。ただ、これについての信憑性の問題をめぐる議論が私は非常になされていると思います。

 私が率直に申しまして一番疑問に持ったのは、JHだけが取得原価、簿価がないわけですね。そのデータを持っている義務は五年間なんだそうですけれども、一個も出てこない。百個、二百個、三百か四百カ所ぐらいあって一個、二個、ほかのものがないですよという説明ならば私もなるほどなと思うんですが、一切そういうものを、あるなら出していただきたいということを民営化委員会が言いましても、出していただけなかった。資産評価をしていたのかという議論が道路民営化委員会の中であったんですが、後で総裁に聞いていただきたいんですけれども、していなかったと言いながら、幻と言われるようなものが、あるのかないのか私はわかりませんけれども、そういうものが出てきた。

 すなわち、首都高、阪高、JHによって再調達価格の算定方法が違うし、ではなぜ違うのか、本当に資料がないのかということに対して十分な説明がなされておりません。ですから、民営化の際には、国土交通省として国民の皆様方が納得していただける貸借対照表をつくらなければならないと考えております。

原口委員 もうぼろぼろですよね。しかし、ここに小泉総理の秘書官である飯島秘書官の御関係の方が就職なさっているかどうかという質問を、去年の内閣委員会で我が党の津川議員とそれから五十嵐議員がしています。私、きのう確認しました。そこでの答弁は、そういう方はいらっしゃいませんでしたという答弁でした。

 別にそこに就職しているからといって、どういうことでもない。だけれども、私がきのう関係の方にお話をしたら、いや、ちゃんといらっしゃいましたよということなんです。

 安倍官房副長官がこれは虚偽の答弁をしているんじゃないですか。道路公団総裁もそのときお答えになっていますが、総理と総裁に最後にお尋ねをしますが、当該の十四年の質問に対して虚偽の答弁があったのではないか。この方はいらっしゃったんじゃないのか。いらっしゃったとしたら大変大きな問題だというふうに思います。結局、きれいなことを言いながらも、実態はそういうものと癒着をしているというふうに思われたくないために、それを隠したのではないか。どうでしょうか、総理。

小泉内閣総理大臣 隠したりとかそういう問題じゃなくて、私と関係ないでしょう、個人の、ここで名前を出して。秘書官だって個人的な人間ですよ。お子さんのことまでなぜ私が知らなきゃならないんですか。

原口委員 国会で虚偽の答弁があったんじゃないかということだから、別に国会で答弁してなきゃいいですよ、個人のことをとやかく言う気はない。
 総裁、いらっしゃるでしょう。

藤井参考人 十四年の四月十二日に五十嵐先生から内閣委員会で御質問があった際も、私は、「道路公団には絶対おりません。」と、これは私が調べて確認できました。しかし、関連会社におられたかどうか。まずそういう当時の人もおりませんし、それから、こういう個人の個々のことについて道路公団として把握できる立場にないので、「公団としては承知しておりません。」というのが答弁でございました。同じような趣旨で津川先生にも、二十四日、「公団として承知しておりません。」こういう御答弁を申し上げました。

 きょう先生から御指摘受けましたけれども、この考え方は同じでございまして、やはり基本的には把握できる立場にはございません。特に、子会社、関連会社というふうな意味合いで御質問がございますが、出資関係の子会社、関連会社であればあるいは多少何か聞いてみるということもあり得ようかと思いますが、出資関係がない、行コストで、政府がまとめた行政コスト計算書に基づく定義の子会社、関連会社でございます。そこで、私どもは、公団としては承知していないということを御報告させていただきたいと思います。

 なお、一点だけ申し上げますと、そういうことでございますので、子会社、関連会社を含めた関連法人については、今、徹底的にどうすべきかということを、政府の御方針が決まる間においても私ども自力でまず考えて対応しようと準備をいたしている最中でございます。

原口委員 終わります。


2003/10/01

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