2003/07/18

戻るホーム情報目次


156 衆院・予算委員会 

菅代表、責任ある政権公約のあり方示す (民主党ニュース)

 衆議院予算委員会において18日、経済問題等に関する集中審議が行われ、民主党の質疑のトップを切って、菅直人代表が質問。政権公約(マニフェスト)の意義、小泉政権の公約の検証、イラク攻撃支持の根拠などをめぐって首相を厳しく追及した。
 
 菅代表は、民主党マニフェストの骨格について、治安、教育、技術など諸分野にわたって「強い日本」をつくること、そのために税金の無駄使いを繰り返す「お化け」を退治すること、と説明。ピンハネ族議員・天下り官僚・談合業者という「お化け」による弊害の象徴として諫早干拓事業を取り上げ、「中止すると言えないのか」と首相に迫った。しかし首相は「地元の意向もあるので、農水相に任せている」などと相変わらずの判断回避を決め込んだ。
 
 また、小泉政権の公約のうち国債発行30兆円枠を取り上げ、国民との約束を守れなかった責任を追及。「守れなかったのは残念だが、それによって経済がうまくいった」などと珍答弁を繰り返す首相に対して、菅代表は「約束をしたのが間違いだったというのか。こんな無責任な内閣はない」と厳しく批判した。>>
 
 さらに、イラク攻撃開始時点でイラクに大量破壊兵器が存在すると判断した根拠を質したのに対し、首相は国連決議や過去のイラクの行動など、兵器が存在するという疑惑につながる事柄を挙げることしかできず、攻撃支持の決定が米国への追随でしかなかったことが浮き彫りになった。>>


平成十五年七月十八日(金曜日)

菅(直)委員 小泉総理初め、おはようございます。
 今、国民の皆さんが何を心配されているか。子供たちを巻き込んだ犯罪、治安の悪化、このことがまず一番ではないかと思います。また同時に、長い景気低迷の中での倒産、リストラ、さらには自殺、こういったことも大きな心配です。加えて、イラクの情勢が大変悪くなっている。そのイラク、戦地イラクに自衛隊を本当に送るのか、このことも、多くの皆さんが大変心配をされていることだと思います。きょうは、こういった問題を中心にして、総理としっかりと議論をさせていただきたい、このように思っております。

 私は、今の日本、大変残念ながら弱くなってしまった。今申し上げた治安の面でも、かつては、水と安全はただだとある作家が述べられましたが、今やいずれも大変な大きな課題に直面しております。もっと強い日本をつくるべきだ、つくれるはずだ、私はそう思っております。

 そういう強い日本、しっかりした日本をつくるにはどうするか。民主党としては、そのことを中心に据えて、次の衆議院選挙の前にマニフェスト、つまり、私たちが政権を担当することを国民の皆さんの手で選んでいただいた場合には、政権としてこういうことをやります、このことを明確に示して、そして選挙を戦いたい、このように考えております。

 そこで、マニフェストについて少し、国民の皆さんにもだんだん理解が浸透してきたと思いますが、私たちの考え方を申し上げてみたいと思います。

 マニフェストと従来のいわゆる選挙公約がどう違うのか。

 従来の選挙公約は、一般的に言えば、選挙の前に、どちらかといえば抽象的なスローガン、元気のいい日本をつくりましょうとか、景気回復をしましょうとかという抽象的なスローガンを、だれの責任とは言いませんけれども、党が決めて、そして選挙をやる。ですから、選挙をやったときには、国民はその抽象的なスローガンに対して支持をするかどうか、事実上、いわばその政党に対する白紙委任を求められて、そこで例えば自民党が勝ったとして、新政権がさらにつくられたとしても、その中身を具体化するためにはもう一度合意形成ということが必要で、そのために今日、幾ら小泉さんが公約をしたことであっても実は実行がされない、先送りがされるという、これが従来型の選挙公約であります。

 それに対して、マニフェストという考え方、政権公約という考え方は、逆に、選挙の前に、その政党と総理候補、首相候補でありますその党のリーダーが合意をして、一致をして、私たちが政権を担う場合にはこうしますということをあらかじめ方法、期限、財源などを明記して、それを国民に示す。ですから、国民はその中身を、政権を選択する判断として投票する。まさにそれによって政権がとれれば、公約ですから当然実行しますが、とれなければ残念ながら実行することはできません。そこで、新政権が発足しますと、既に合意しているわけですから、改めての合意形成手続は必要ありません。族議員や族官僚のいろいろな横車を入れることなく実行に移す、直ちに実行に移す、このことがこれまでの選挙公約と基本的に違うところであります。

 ここに二冊のマニフェストがあるのは、先日もお見せしたとおりであります。これは、一九九七年のイギリス労働党、当時の野党のマニフェストであります。これは、二〇〇一年、政権を持った中でのブレア労働党政権のマニフェストであります。

 きょう夕方にはブレア総理が日本に来られますが、私も十八年ぶりに政権交代を一九九七年にされたブレア首相から、できればそのときの経験を聞きたいし、総理も、政権を持った後のこの二〇〇一年のマニフェストについてぜひブレア首相と意見交換でもしていただいて、与党の立場のマニフェスト、野党の立場のマニフェスト、どう違うのか、このこともぜひ認識をしていただきたい。与党のマニフェストは、自分たちが政権をとったらこうします、あるいは自分が総理になったらこうします、あるいは総理になった後にこうするという約束をしたことについてみずからきちんとした検証をしています。自分が約束をしたことを検証した上で次のマニフェストを出しているんです。この中には、大したことないなんてことは書いてありません。しっかりと、自分が約束したことがどこまで行ったかを検証してあります。

 そういった意味で、総理にも、ぜひ次の衆議院選挙に当たっては与党と一致した、それが抵抗勢力であろうがなかろうが、自民党の議員集団、与党と一致した、そうしたまさに政権政策、マニフェストを出して、我が党を中心にした野党と正々堂々の戦いをしていただきたい。

 最近の総理の発言は、いや、総裁選の公約がそのまま総選挙の公約になるんだ、一説には踏み絵を自民党に踏ませるんだと言ったという話もありますが、最近は、腹話術ではないかもしれませんが、山崎幹事長が、いやいや、そんなことは総理は言っていない、党は党として決めるんだからと言って、大分腰が引けているようになっております。

 はっきりとこの場で総理にお聞きしたい。私たちが考えるような、私たちは野党ですから、政権が獲得できたときにはこうしますというそのマニフェスト、総理のお立場からいえば、選挙で勝ってさらに小泉政権が続くときにはこうしますということを与党と一致した形で出して選挙を戦うことを、国民の前でお約束していただけるでしょうか。

小泉内閣総理大臣 マニフェストという言葉は、日本語で訳せば、辞書によると、宣言とか声明というふうになっております。いわゆる公約ですね。私は、できるだけ英語の片仮名を使わないで、日本国民に対してはわかりやすい日本語を使おうと努めております。公約はしっかり国民に訴えなきゃいけないと思っておりますし、民主党も、マニフェストと言おうが政権公約と言おうが、しっかりとしたものを出されることは非常にいいことだと思います。

 ブレア首相が今晩来日されまして、あした私もブレア首相と会談します。マニフェストのことについても話してみたいなと思っておりますが、私は、九月の自民党総裁選に対して、こういうことを言っているんです。自民党の総裁として、公約について党と相談するのは当然だ、当たり前でしょうと。また、総裁選挙というのは党と相談する最もいい機会です、はっきりと政策論争するにもいい機会だと。だから、総裁選の総裁候補の公約は、その候補が当選すれば当然党の公約になります、当然でしょうと言っているんです。当然と思いませんか。腰砕けとか何でそんなの、全然そうじゃないですよ。これを腰砕けと表現するのは、節穴の諸君が判断するんであって、よく見ていないなと。菅さんだって、民主党だから、党首として公約について党と相談する、当然と思いませんか。

 そして、党首選で争う。当然意見が違う。その当選した党首、総裁、自民党の場合は、私がもし再選すれば、これは確実に党の公約になります。従ってもらうのは当然であります。

菅(直)委員 比較的はっきり言っていただいたので、国民の皆さんも聞いていただけたと思います。ただ、節穴という言葉は、私から総理にお返しをしたいと思うんです。なぜか。

 さきの参議院選挙で小泉総理は、今回も出されるそうでありますが、郵政事業の民営化を言われました。しかし、小泉総理が握手をした自民党の公認候補の中で、体を張っても民営化は阻止する、そういう候補者がいたことを覚えておられませんか。当選した後、選挙違反でやめられました。

 こういう事実があるから、私は、それが抵抗勢力であろうとなかろうと、与党・自民党と一体の一致した公約をきちんと選挙前に出せるんですか、ぜひ出してくださいねということを申し上げたわけでありまして、そうでないことをやられたから私が申し上げたんで、節穴という言葉はお返しをいたしておきます。

 そこで、私たちの、民主党の考えているマニフェストについて、少しお示しをしておきたいと思います。

 私は、先ほども申し上げたように、今、日本はいろいろな意味で弱くなってしまっている。それは、治安の問題、教育の問題あるいは科学技術の技術立国、こういった問題について、残念ながら弱くなってしまっている。それを強い日本につくっていきたい、強い日本をつくりたい、このことを一つの大きな柱にしたい、こういったことで今議論を進めてもらっております。

 もう一つは、この強い日本を妨げている最大の要素とも言えるのが、税金むだ遣いお化けというお化けがそこらじゅうに巣くっているということであります。

 例えば、諫早湾の干拓事業も川辺川のダム事業も、あるいは、片側二車線というようなスーパー林道と呼ばれるようなものがほとんど車の通らないところにもつくられている。膨大なむだ遣いがなぜ行われるか。このことについても、これから少し具体的に申し上げてみたいと思います。

 そこで、その前に総理に一つ、総理は眼鏡をかけられないから余り必要ないかもしれませんが……(小泉内閣総理大臣「眼鏡、かけるんだよ」と呼ぶ)そうですか。眼鏡ふきを一つプレゼントをしたいと思います。(発言する者あり)

藤井委員長 ちょっと待ってください。許可を得てください。

菅(直)委員 では、後ほどお届けします。もしあれでしたら、扇大臣には洗顔クロスをお届けしたいと思っています。これは、なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、この布一枚なんですけれども、これには物すごい、日本で開発されたナノテクノロジーが凝縮されているからなんです。

 この布の繊維は、太さが髪の毛の太さの四十分の一、二ミクロンです。通常のこういうワイシャツなど比較的細い糸でも、大体十五ミクロンから二十ミクロンあるんですね。この細い繊維を使った布であるために、例えば厚さが五ミクロン程度の油膜、ごみですね、油膜が眼鏡についていても、これでふくと、細いですから、油膜よりも細い糸でしゅっと取れるんですね。皮膚もしゅっと取れるというので、大変何か女性にはこれが人気があるそうですから、ぜひ扇さん、ますます美しくなっていただきたいので、お届けをさせていただきますけれども……(発言する者あり)失礼しました。遠山大臣にもお届けします。こういうものがあるんですよ。

 あるいは、先日、四国に行きました。四国のある地域では、水が足らないからもっとダムをつくろうなんという話があります。しかし、目の前に水があるんですね。どこの水か。瀬戸内海の水があるんです。今、日本では、逆浸透膜を使った海水淡水化事業というのが大変技術的に開発をされていて、中東地域にも輸出をされております。しかし、多少事情を聞くと、どうもダム工事を請け負おうとしている業界の方が政治的に強いものだから、淡水化事業という技術がありながらなかなかそれが進まないんだ、こんな話も聞いております。

 最近、羽田の飛行場を拡大するのに、メガフロート、浮遊体でやったらどうかという議論がある。これは関空のときからありましたが、これも埋め立て派かメガフロート派かで、どうも埋立工事派の方が強いんだそうでありまして、なかなかメガフロート派がそのことを、せっかくの技術がありながらやれない。

 後ほどの、この税金を食べてしまうお化けにもかかわるわけですが、そういった、せっかく日本が強い技術立国ができそうな問題がもしそのようなお化けによって妨げられているとしたら、私は、まさに大変残念なことだ、このように思っております。

 そこで、そのお化けの正体をちょっと皆さんにお見せをしたいと思います。(パネルを示す)これがお化けの正体ですね。「税金ムダづかい「お化け」の正体」。

 ピンはね族議員、ここにおられないので言うのは恐縮ですが、鈴木宗男議員を代表として、お仲間がたくさんおられるんじゃないでしょうか。ピンはね族議員お化けであります。

 そして天下りお化け。あの川辺川で天下りをし、諫早湾で天下りをし、きょうも議論になるでしょう、道路公団総裁はまさにこの天下りお化けの代表じゃないですか。

 それに加えて談合業者お化け。埼玉県知事がそれにかかわったかどうかはまだわかりませんが、自治体においても国においても、官製談合を含めて、十億の予算がついたら、競争すれば八億、七億になるところを、だれかが、神の声とかささやきとかいって、あんたのところが落としなさい、あとの人は十億以上を入札しなさい、九億九千九百九十九万で落札するなんということが、今なお日本じゅう、そこらじゅうで行われているじゃないですか。

 このピンはね族議員お化け、この天下り官僚お化け、この談合業者お化けを退治しない限り、私は、日本の再生はスタートできない、このように思っております。

 そして、それができるのは、このお化けを仲間としている自民党には残念ながらできないのでありまして、私たち民主党には、このお化けを退治するそれだけの意思と能力と、そしてこのお化けに絡まれていない、しがらみの極めて少ない政党としてその資格がある、このように思っております。

 総理、総理はこれができますか。

小泉内閣総理大臣 民主党にもぜひ頑張っていただきまして、そのような改革に進んでいただきたいと思いますし、自由民主党としても、民主党に負けないように私どもも頑張っていきたいと思っております。

菅(直)委員 例えば、一つだけ、せっかくの機会ですから、重ねてといいましょうか、お尋ねをしておきます。

 かつてこの場でも、その典型的な一つの例として、全国で減反減反で四割前後の水田が転作なり遊休農地として存在している中で、諫早湾の上に農地をつくる事業が今なお続いている。総理は、私がそのことを言ったら、いや、地元の皆さんの要請があるから。それは長崎県連の自民党から要請があったかもしれません。まさに先ほどのお化けを見てください。長崎県連の自民党幹事長は、公共事業に関連して逮捕されたんじゃなかったですか。まさに、これでいえばピンはね族議員お化け。族議員というよりも、これは一つの機関ですからね。自民党自体がピンはね族議員政党。その力によって、あの諫早湾干拓事業ですらとめることができない。農林水産省に聞けば、既に三十人から四十人、関係業界に天下りをしている。この天下り官僚お化け。

 総理は、大いに民主党もやってください、私もやりますと言うのであれば、いろいろ大きなことを言われるのは結構ですが、まず農林水産大臣に命じて、これを中止しろ、なぜそれが言えないんですか。私は、二年前から多分この場でも三、四回はこのことを指摘したでしょう。常に、地元の要請がある、何とかの要請がある。この要請がまさにピンはね自民党そのものを象徴しているんじゃないですか。

 うなずいておられますが、うなずいているんだったら、わかりました、やりましょう、この場でそう言ってください。

小泉内閣総理大臣 その事業につきまして不正な行為があってはならないというのは、当然のことであります。

 また、諫早湾事業について言えば、民主党も、この諫早湾事業が必要だと言って選挙に出た候補を応援したんじゃないですか。それでは、なぜその諫早湾事業はやめさせようという候補を応援しなかったんですか。

 私は、地元の意見というものをもよく聞くことが大事だ。やはり私は、地元の実情は地元の方が一番よく知っていると思います。そういう中で、諫早湾事業が争点になったときの選挙であります。それだけ問題にするんだったら、民主党はそうでない候補を応援すればいいのに、諫早湾事業が必要だということで地元の民主党議員まで応援している。これ、よく調べればわかりますよ。民主党が応援しているんですよ。それで、国会では違うことを言う。私は、それはちょっとおかしいんじゃないかと。

 では、地方の民主党と国会の民主党は違うんですか。民主党も、やはり民主党と名乗っている限りは、地方の実情をよく聞くというのが、政党だったら普通のことだと思うんです。よく調べてください。たしか知事選挙で、民主党は、諫早湾事業の廃止を訴えた候補じゃなくて、諫早湾事業を必要だと訴えた候補を応援したと思いますよ。よく調べていただきたいと思います。

菅(直)委員 今総理は何に答えたんですか、結局のところ。まさにはぐらかしの典型じゃないですか。

 私は、農林水産大臣を任命した総理大臣に、農林水産省予算の直轄事業としてやられているこの事業をやめたらどうですかと言ったんです。一言も答えていない。農林水産大臣に命じてやめさせたらどうですかと言ったんです。一言も答えていない。

 民主党は、さきの衆議院選挙の公約で、民主党が政権をとったときには、川辺川ダム、諫早干拓事業は即座に中止するということを公約いたしました。国会で政権をとった場合にはこうするということをきちんと公約しました。

 総理、もう一回答えてください。あなたは総理大臣なんですから、知事選の応援がどうこうこうこうという話の前に、農水大臣を任命したのはあなたじゃないんですか。その農水大臣が実行しているのがこの事業ですよ。自分の話を全部向こうに置いて、相手の党だけ攻撃するのであれば、どうか一年先にこの場所を交代して、どうぞやってください、そのときはちゃんと受けて立ちますから。そちらに座っていながら国民に対して逃げを打つというのは、だますというのは許せませんから、もう一度答えてください。

小泉内閣総理大臣 相手を攻撃しているのは、しょっちゅう、菅さんじゃないですか。私はいつも攻撃されているんですよ。はっきり質問に答えているんです。

 それは、私は農林水産大臣に対して、地元の実情もよく聞いて、必要かどうかよく判断して考えなさい。そして、農林水産大臣は、地元の意向をよく聞いて、どれが必要か、どういう改善が必要か、それで判断されているんです。

 だから、では、菅さんが廃止しろと言ったら、地元の民主党議員に言って、あなたたち、反対している候補を出して、あるいは反対している候補を応援するのが私は筋だと思うんですよ。賛成している候補をどうして応援するんですか、民主党は。それこそ、私は、矛盾しているんじゃないですか。そう思いますよね。

菅(直)委員 何度も申し上げますけれども、この事業をやっているのは県じゃありません。いいですか、この事業をやっているのは農水省の直轄事業です。唯一残った農水省の国営埋立事業です。干拓事業です。また逃げているじゃないですか。ちゃんと答えてください。

 今の答えはこういうことですね。私が申し上げたのは、減反で農地が余っているときに、農地造成のために二千五百億円も使ったようなこの事業を進めることはやめたらどうですかということを申し上げたけれども、そして、それを進めている地元は、先ほど申し上げたように、地元の県連がそういう業者からお金をたくさん受け取って、逮捕された人も出ている、農林省は天下り先もある、そういうことに影響されないためには、総理の決断でやられたらどうですかとお尋ねしたんですが、総理のお答えは、私の決断ではとてもできません、全部地元の関係者に判断を任せ、農林水産省に判断を任せているので、自分はそのことはとても聖域で手が出ません。それならそう答えてください、どうぞ。

小泉内閣総理大臣 都合のいいように解釈されるのは勝手ですけれども、諫早湾というのは地元が水害に非常に悩んでいたんです、水害対策をどうしようかと。干拓事業だけじゃないんです。そういう点がよくわかっているのは地元の方々でしょう。

 だから、直轄事業とはいえ、地元の意向を無視してやることはないんですよ。地元の意向もよく尊重して、防災対策、水害対策、そして必要な干拓事業はどうあるべきか、よく地元の実情も考えながら、農林水産大臣にやってくださいと。私が一々地方へ行ってどれが必要かと言うことよりも、担当大臣がいるんですから、そういう方の判断を尊重します。これは総理大臣として、私は一つのあるべき姿だと思っております。

 今はっきり答弁していますように、単なる干拓事業だけじゃないんです。地元の人たちが水害に、どうやってこれを、水害に過去悩んできた。水害を防止する、もう台風なり来るとおちおちして眠れない、何とか防災対策をしっかりやってくれという声もあったというふうに私は聞いております。そういう点をよく判断してやってくださいと。

 私は全然はぐらかしていませんよ、答弁。

菅(直)委員 総理は、地元の事情はよくわからないと一方で言いながら、いろいろと水害のことを言われています。どちらかちゃんとはっきりしてくださいよ。

 この二千五百億の事業については、大変注目をされておりますし、私自身も含めて、国会で何度となく議論をいたしました。扇大臣とも議論をいたしました。私も現地を何度も見てきました。川辺川ダムも見てきました。そういう総合的なところを含めて、私は総理に申し上げたんですけれども、今も同じように、結局は自分は判断できない、農林水産省や地元に判断を任せている、こういう結論でいいんですね、総理、総理。

小泉内閣総理大臣 よく水害対策と干拓事業とを総合的に考えて判断しなさい、そして、いろいろ相談して、知恵を出してやっていく、私の判断なんですよ。

 たしか、ノリがとれないとかいう状況がありましたね。ですから、そういう水害、干拓事業の影響がどうなんだろうかということを専門家の方々によく任せて、この干拓事業がノリの不作に影響があるんじゃないかといって時間をかけて議論したら、何か翌年は豊作だったという、諫早湾の。なかなか自然条件というのは難しいなと。

 早急に判断する問題と、時間をかけて判断しなきゃならない問題もあります。地元の意向というもの、国費の事業、これはやはり総合的に判断する問題ではないかな。よく聞いて、ああ、それは尊重すべきだといって決めているんです。

菅(直)委員 先ほどの節穴という言葉を総理にもお返しをしておきましょう。外受け堤防があれば防災を防げます。内側の干拓事業は少なくとも要りません。私、この問題でこれ以上細かいことは申し上げませんが、総理は、結局は自分が判断をしないということを今言われました。そのことが、この事業についての判断は農水省や地元に任せているということを言われましたので、それでは節穴ではないですかということを申し上げておきます。

 そこで、先日の参議院の質疑の中で我が党の櫻井議員が、高速道路を民営化するという総理の主張に対して、民営化するということは、料金をずっと取り続けることですね、永久に有料化ということですねと。現在の公団は、法律では、償還後無料化ということになっております。私たちは、今、高速道路の全面的な無料化を検討しております。選挙までにはしっかりした対案を、マニフェストとして案を出そうと思っています。

 そこで、櫻井充参議院議員の質問をもう一度総理にさせてもらいます。総理の言う民営化というのは、永久に料金を取り続ける、こういう意味を持っていると思いますが、イエスですか、ノーですか。はっきり答えてください。

小泉内閣総理大臣 まず、永久に料金を取り続けると決定しているものではありません。

 これはこれからいろいろ議論になると思いますが、有料道路制度は、財源対策として建設資金を借入金で賄って、完成後、利用者からの料金収入で返済して、債務返済後は無料開放するものであります。このため、道路公団改革に当たっての閣議決定においては、現行料金を前提とする償還期間は五十年を上限として、コスト引き下げ効果などを反映させ、その短縮を目指すとしたところであります。

 債務償還後の料金制度のあり方については、この閣議決定の趣旨も踏まえつつ、今後十分議論していきたいと考えておりまして、御指摘のように、現時点で永久に料金を取り続けると決定しているものではありません。

 いずれにせよ、いかに四十兆円の債務を確実に返済していくかが当面、重要課題であります。

菅(直)委員 民営化というのは、例えばJRの場合民営化ですが、できれば配当もしたい。そうすると、料金を取らないとすると、収入はあと何があるんですか。それは多少は直営の、何かサービスエリアの売り上げとかその敷金とかあるかもしれませんが。

 約二兆円が今料金で入っていますよね。そうすると、民営化したときに事実上その会社は収入がゼロになりますが。民営化というのは、普通はあれじゃないですか、収入があって配当する。ですから、当然、民営化が続く限り、民営化をやめたら別ですよ、民営化が続く限り有料が続くというのは、普通に考えて、当たり前じゃないですか。なぜ、そんな当たり前のことを、違うことを言われるんですか。もう一回ちゃんとイエスかノーか言ってください。

小泉内閣総理大臣 いや、ちゃんとはっきり言っていますよ、永久に取り続けるとは決定していないと。だから、通行料金のあり方については、新会社が徴収する通行料金については、能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものとし、新会社の経営者が自主的に決定することを基本とする。

 この前たしか参議院の櫻井議員が言ったことは、民主党の案は、無料にして、あと、高速道路を使わない人の自動車に税金をかけるというんでしょう、たしか提案は。これだったら、また逆に不公平になるんじゃないですか。

菅(直)委員 いいですか、私たちが今検討しているのは、通行料金という形で無料化すると何が可能になるか。一つは、当然ながら経営形態は、公団が必要ありませんから、もちろん道路局は必要かもしれませんよ、高速道路局は。しかし公団は必要ありませんから、天下り先はなくなります。

 現在、出入り口が日本は十三キロ平均だと聞いておりますが、アメリカのフリーウエーなどは大体三キロ平均。つまりは料金所が要らないわけですから、すっと入ってすっと出る、そういう意味では大幅な増設が可能になります。

 償還は、現在、公団は料金と国からの補助金でやっている。民営化の現在出ている案は、料金をベースにしていますが一部の債務は税金で処理する、こうなっています。私たちは、一般財源などを使って、償還はいわゆる通行料金とは別な形で償還する。そのことの方が国民経済的にも地域の活性化のためにもプラスになる、こう思っているからです。そういった意味で、次の総選挙までにしっかりとした数字と目標値を立てて出しますから。

 総理は今、民営化したらその後の経営者が料金は決めるということを言われましたね。うなずいておられますね。それはそうでしょう、民営化ですから。しかし、その民営化した社長が、料金ゼロにしたら、自分の給料をどこから出すんですか。つまりは、民営化ということは有料化の固定化だということを申し上げているにもかかわらず、社長に任せるから私は知らない、そんなことはあり得ません。

 そこで、このことも先ほどの言葉をお返ししておきます。小泉総理はよほど節穴ですね。民営化の結果も見通せない、そういう節穴の総理だということを、あえて、総理の言葉ですから、申し上げておきます。

 そこで次に、小泉総理がこれまでいろいろと公約をされてまいりました。マニフェストという言葉は使われませんでしたけれども、総理になる前、総理になってから、いろいろと公約されてきました。ぜひ、その公約がどこまで実行されたかということを踏まえて次の政権公約、マニフェストをつくっていただきたい、こう考えておりまして、少し私の方で検証をいたしてみました。

 骨太方針というのが三度にわたって出されております。

 二〇〇一年、新規国債について三十兆以下に抑える。そしてプライマリーバランス、つまりは財政の健全化の一つの重要な指数、これを二〇一〇年初頭までに黒字化する、こう言われましたね。そして、実際には三十兆を超えた予算を補正で組まれました。まずこれで公約はほごにされました。

 二〇〇二年、三十兆円からの乖離を小さくする、ちょっと表現が変わりました。そして、同じようにプライマリーバランスを二〇一〇年初頭に黒字化する、これは残っております。

 今回出された方針では、「国債発行額についても極力抑制する。」、とうとう数字がなくなりました。そして、プライマリーバランスは黒字化するとあったのが、「黒字化することを目指す。」と、少しトーンが下がっております。

 そこで本当に、これを見ておりますと、これが税収と新規国債の、総理に就任されてからの数字であります。確かに当初予算は三十兆でしたが、その後どんどん国債発行高がふえて、現在、たしか三十六兆ですよね。税収は五十兆余りあったのが、今や四十兆。次に、補正で国債を出されて、税収も若干下がりぎみですから、そこまで来ると、税収と国債が逆転することになります。

 そこで、プライマリーバランスの表を見てみましょう。これがプライマリーバランスからの外れの数字であります。総理が就任されたときは、プライマリーバランスからの外れが二十一兆五千億でありました。そして、それをずっと二〇一〇年までにはゼロに持っていくというのがこの公約ですよね。この骨太方針の第一の公約ですよね。

 しかし、現実は、だんだんこの差額が小さくなるどころか、補正を組んだ途端に二十一兆から二十六兆五千億になり、今回の予算でも二十六兆九千億まで差額が広がっている。さらに広がる可能性が高い。なぜか。税収が下がっているからです。つまりは、今、七合目から十合目まで登るのに十年余りかかるから、十年ほど待ってくれればこのゼロまで行くんだ、頂上まで行くんだと言われているのが、七合目でスタートしたのが今や六合目、五合目まで下がってきている。

 そこで、二つのことをお聞きします。

 総理が本会議で国民に約束されたことですから、間違っても、民主党がどうのこうのといういつもの得意の答弁ではなくて、国民に対して答えてください。

 あなたは、最初の骨太方針で約束した国債三十兆、破りましたね、約束を。私たちは、むだな税金を、使い方を変えて、もっと経済効果のある、もっと雇用効果のあるものに変えていけば、三十兆の枠の中でやれるのならやることが大いに望ましい、当然そう考えるじゃないですか。ですから、私たちは三十兆に対しては反対しませんでした。やれるならやってください、そう言いました。しかし結果的に、総理は国民に約束した財政再建のメルクマールである三十兆をまず破りましたね。どうですか。

小泉内閣総理大臣 これは、税収が五十兆円程度あるときに、国債三十兆円以内に発行を抑制しながら予算を組むべきだとはっきり申し上げました。ただし、経済は生き物である、経済状況を見きわめながら大胆かつ柔軟に対応するということも同時に言っているんです。

 そのときに民主党は、三年間三十兆円枠に縛れという法案を出しました。これも、民主党は公約ですよね。私は、その民主党の提案に対して、法律で縛ることはしない、経済は柔軟に対応しなきゃならない場合もあるから、よく考える必要があるということでやったんです。

 それは国民の判断です。税収が落ち込んできた、三十兆円を守る方がいいのかどうか、現実の経済状況を見て。あるいは、状況を見きわめながら、当初の目標とは一致しなかったけれども、これに対して柔軟に対応する方がいいのか、これは国民が判断します。

 確かに、私の言った三十兆円枠ということについては、これは実現しませんでした。(菅(直)委員「実現じゃない、守らなかったんだ」と呼ぶ)守れなかったということは残念であります。しかし同時に、守った方がいいのか、守らなかった方がいいのかというのは、これはまた別の判断です。(菅(直)委員「いや、守らなかったんじゃなくて」と呼ぶ)

藤井委員長 やりとりは委員長の指名によってやってください。

小泉内閣総理大臣 そこが政治経済で大事なんです。何でも言ったことを徹底的にやって経済がどうなるか、それをよく責任者として判断しなきゃなりません。

 それで、民主党は果たして、それでは三十兆円を法律で縛れと、三年間。そこで、それだったらばどういう予算を組むのかという具体案は出していない。

 そういう点で、私は確かに公約、三十兆円枠を守れと言ったことはできませんでしたけれども、実際、守らなかったことによって現実の経済にうまく対応できたと思っていますよ。これについては、私は、よく国民が判断されるものと思います。

菅(直)委員 初めて、自分の公約を守らなかったということを自分の口で言われました。

 この二〇〇一年六月二十一日というのは、総理がまだ九〇%ぐらい支持率があったときですよ。そして、これは本会議でも、所信表明で述べられたことですよ。その最初の、ある意味では十数年かかっての財政再建に向けての最初の骨太の方針が、最初の公約がまず破られたんですね。本人が、破られたと自分で認められました。(発言する者あり)何かいろいろやじが飛んでいますが、とめてください。

 そこで、申し上げます。これを破った結果、プライマリーバランス、二〇一〇年初頭までに黒字化するということは、その後の経済の状況、これは総理の内閣での状況がどんどん悪くなって、税収が先ほど申し上げたようにどんどん落ち込んできて、プライマリーバランスからの格差がどんどん拡大している中で、常識的に考えて、二〇一〇年初頭にプライマリーバランスを黒字化するというこの公約は破綻している。私はそう思いますし、多くの専門家もそう見ています。この約束は守れない、こう思いますが、総理は、残念ながらそうです、守れませんと言われますか。いや、やれるんですと言われますか。どちらですか。

小泉内閣総理大臣 私は、やれると思いますし、やれるように努力しなきゃいかぬと思っております。

 これは、今私の行財政改革、徹底的にむだを省こうと行政改革、財政改革に努めておりますので、これは効果が必ず、時間がたてば出てくると思っております。そのときの状況というもの、経済情勢、いろいろありますから、そのときの政権が考えることでありますけれども、私は、今のような厳しい状況にもかかわらず、いろいろな財政の構造あるいは行政の構造、経済の構造、この改革を進めることによって、その目標に向かって実現するように努力するのが小泉内閣の務めだと思っております。

菅(直)委員 今総理は、いろいろやるから、かなり下がってはきているけれども、最終的には守れると思うという趣旨のことを言われました。しかし、一方で、もちろん自分の任期中消費税は上げません、先ほども言われました。税収はどんどん下がっています。国債発行額はどんどん上がっています。場合によっては、ことしじゅうの補正予算が組まれるとすれば、もっと上がるかもしれません。少なくともプライマリーバランスからいえば、改善する方向性が小泉総理の政策の中に全く見当たりません。いい悪いを言っているんじゃないですよ。これは約束ですからね、総理が国民にした。プライマリーバランスというのは、税収が伸び、国債発行が減ればよくなります。税収が下がり、国債発行額が上がればもちろんもっと悪くなります。

 なぜできるという根拠があるんですか。それこそマニフェストとは似ても似つかない、そうなってほしいなという期待的な目標であって、骨太方針という政府の約束としては完全に破綻しているじゃないですか。今の答弁で、この破綻をしているということと違うことの根拠は一つとしてありません。それでも、自分の公約は、三十兆は守れなかったけれども、プライマリーバランスの回復は、黒字化は二〇一〇年代初頭でやれると今でも言われるんですね。もし言われるとしたら、ぜひ二〇一〇年まで総理大臣を続けてもらいたいですが、そのときは日本は沈没しているでしょう。いかがですか。まだ守れると言うんですか。

小泉内閣総理大臣 守れるように努力することが大事ですし、それは民主党も、三十兆円を法律で出したということも公約ですよ、民主党の。そうした場合、全然具体論出していない。三十兆円今守って、それでは全体の税収が今落ちたときにどう対応するかという案を全然出していないじゃないですか。この景気の状況を見て、民主党が言っているように法律で三十兆円枠を縛って、税収が落ちたときに民主党はどう対応するのか。それは同じですよ、今の政府と。その場合、増税するのか、どこを切るのか。(発言する者あり)それはみんな怒っているけれども、本当のことを言っているんですよ。批判することばかりで、自分たちの対案は出さないで、あなた対案出してない、出してないと批判するのは余りにも身勝手じゃないですか。

 私は、民主党が三十兆円枠で、法律で縛れというのも公約です、国民に向かって、国会で出したんですから。そうしたら、対案を出せば、それは政府案の方がはるかにすぐれたものだということを国民もわかりますよ。

菅(直)委員 先ほど申し上げたんです、先ほど申し上げたのは、二〇〇一年のブレア政権のもとのマニフェスト、政権公約は、自分が約束をしたことが、ブレアさんは政権をとったんですから、政権をとった中でどこまでやれたか、やれないかということを自己検証しているんですよ。

 総理が野党の立場だったら今の答弁で結構ですよ。私はやろうと思ったんだけれども、与党が、政府がだめだったから三十兆枠におさまらなかったと言われるのは大いに結構ですよ、野党なら。あなた、総理大臣じゃないんですか。あなたが約束したんじゃないですか、国民に。あなたが国民に約束したことができない理由を何で野党の民主党にするんですか。自分の約束が守れないことを何で人のせいにするんですか。そういうことをするから子供たちも、約束を守らなくたって大したことはないということになっているんじゃないですか。

 政権ですよ、政権として骨太方針というのは閣議決定されたんじゃないですか。閣議決定されたものとして三十兆を決め、閣議決定されたものとして二〇一〇年代の黒字化を約束したけれども、結局はいずれもできません、そうだとすれば、これからどんなマニフェストを出してみても、総理のマニフェストというのは、一年たったら、二年たったら、あれは当時の見通しが違っていたからこうなったので、変えるのは仕方なかったんです、そういう話になりますが、この二つはできなかったということですね。約束が守れなかったということですね。

小泉内閣総理大臣 はっきり答弁しているでしょう。確かに三十兆円枠は守れなかったけれども、それじゃ、守った場合と守らなかった場合とどっちがいいのか。五十兆円の税収の前提のもとに三十兆円だ。税収が四十二兆円に減ってきた。(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 そういうときに対しては、経済は生き物だから大胆かつ柔軟に対応する。それは、民主党が三十兆円枠を三年間法律で縛るということに対して、私は拒否したんです。それを答弁したのに、答弁が気に食わないからだめだと言って、ここで抗議するのもおかしい。勝手に私のことを批判するのは自由、私が批判したらけしからぬ、こういうのがよほどおかしいんですよ。自民党のやじはおかしいと言いながら、平気でやじを飛ばしている、これもおかしい。もっと冷静に対応してください。(発言する者あり)

藤井委員長 ちょっと冷静に。
 総理、総理、総理、質問者に答えてください、質問者に。

小泉内閣総理大臣 だから、私は、国民が冷静に対応してくれると思います。(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に、御静粛に。

小泉内閣総理大臣 本当に今の経済状況を見て、三十兆円枠に国債発行枠を縛って、ほかの税収が足らない分をどうするのか。こういう点について、やはり国民の経済全体を考えて、政府は、三十兆円枠を守ることができなかったけれども、柔軟に対応して、民主党の三十兆円枠を法律で縛れというよりもやはりよかったなと思ってくれる国民の方が多いと思います。

藤井委員長 委員長から申し上げます。
 活発な議論は結構ですが、お互い冷静に、そして、質問者もそして答弁者も冷静に、その趣旨にのっとって質疑応答をお願いいたしたいと思います。

菅(直)委員 どうも総理は、政権公約ということを今なお理解をされていないようです。

 私が二年前に民主党政権を率いてもし政権の座についていて、そして法律を出して、そしてそれができなかったときは今のことを言っていただいて結構です。

 しかし、現実に、税収が減ったのも含めて、総理は政権の座にいて、そして約束を国民にして、できなかったら、それはできなかったけれども、こっちの方がよかったんだ。それなら、見通しを間違ったんですから、約束をしたことが間違っていたと言われるのが自然であって、約束をしたのはよかったけれども、変えたのは間違っていないと言うのは論理矛盾です。約束をされたことがまずかったんですか。もう民主党のことは結構ですから、国民の約束を聞いているんですから。もう一度それだけお答えください。

小泉内閣総理大臣 私の三十兆円枠というのは、税収が五十兆円程度あるという前提です。

 しかし、はっきり言っているのは、経済は生き物だから、そのときには経済状況を見て、大胆かつ柔軟に対応するということもはっきり約束しているんです。これでどちらがいいか判断するのは国民です。私は、だからこそ、民主党の三十兆円を法律で縛るということに対して拒否したんです。いかに、経済は生き物で、現実に柔軟に対応することが必要かということを、私は、多くの国民は理解されていると思います。

菅(直)委員 とにかく、総理の言葉は、自分の調子の悪いところは国民が判断する。しかし、三十六兆に国債の発行をふやしたのは国民じゃありません、小泉政権なんですからね。そういうふうに、自分が変えたところは国民が判断する、責任だ。自分が約束したことを変えるのは、それは経済の状況だ。税収が下がったのは、別に天気が悪かったからとか地震が起きたからじゃなくて、小泉内閣における経済政策の結果、税収が下がっているわけですけれども、それも全部国民のせい。こんな無責任な内閣はありませんが、そのことを申し上げて、もう一点。

 三位一体改革の中で、塩川さん、あなたは、二十兆円の補助金の中で、社会保障約十一兆円は一応今回は手をつけない、公共事業約五兆円は今回は手をつけない、それ以外の義務教育費など約四兆円について、これを削減対象にする、こういうふうに答弁されていますよね、塩川さんは。

 そして、総理にお聞きします。なぜ、この三位一体改革の削減対象の中に、約五兆円の公共事業が入っていないんですか。その理由をお聞かせください、総理。

小泉内閣総理大臣 これは公共事業というのは、国の事業もたくさんあります。全体として、おおむね四兆円程度を三年間で削減しよう、その際に、補助金、交付税、税源の問題を解決していこうということでありますので、今後、公共事業の中でも地方に裁量権を与える分野が出てくると思います。

 これは大筋を示したのであって、当然、数字を示すのは予算編成の十二月の段階です。まず大枠を決めるということが大事でありまして、この大枠に沿って今後の折衝が始まっていくと思います。

菅(直)委員 もう一度質問しますよ。なぜ、この中に、公共事業そのものの補助金五兆円はこの削減対象に入れなかったのか。ちょっと待ってください。これは総理ですからね。今、総理の言い方は、四兆円について説明されましたが、公共事業費を削減対象に入れなかったことについては一言も返事していないでしょう、委員長。ちゃんと答えさせてください。総理、ちゃんと総理の責任で答えてください、これは。もう財務大臣の答えはわかっています。

藤井委員長 それでは、まず総理大臣から答弁、次に財務大臣から答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 これは、財務大臣と総務大臣と各省庁、折衝はこれから始まるんですよ、今後予算編成に向かって。だから、そういう点はよく考えながら、その折衝の段階で判断すればいい。

 公共事業もある程度含まれますね。しかし、どの程度になるかというのはこれからの折衝です。地方がやる単独事業もあります。国として公共事業の枠もあります。そういう点がありますから、今後、財務大臣、総務大臣等関係大臣との折衝を見ながら、この大枠に沿って判断すればいいというふうに私は考えています。
 詳しいことは財務大臣がよく御存じですから。

塩川国務大臣 菅さん、公共事業を除いたということは、これは将来においてやるということでもあります。とりあえず、地方分権推進会議が言ってきた十一項目のことについて、これを先行してやろうというのが三カ年計画をやるということでございますので、何も公共事業をほったらかす、そういう意味じゃございません。

 それでは、なぜ公共事業をこの際に除いたかといいますと、公共事業のほとんどは道路が入っておるんです。道路につきましては特定財源が入っておりますから、そういう問題との整理を兼ねた上で公共事業の整理をこれから進めたいということでございますので、誤解を解いていただきたいと思います。

菅(直)委員 先ほどのお化けの正体を国民の皆さんに見ていただきたいんですが、このお化けが税金のむだ遣いをするときに最も使われるのが公共事業であることは、もう皆さんもよく御存じであります。

 結局、今回、地方分権化だ、三位一体だ、思い切って国が補助金を出すのを、地方に権限、財源を含めて移す、それが四兆円だと。我が党は、さきの十五年予算で、補助金をやめるかわりに十五兆円を一括交付金で出すということを言いましたが、四兆円をやるんだ、こう言われましたが、結局、利権の種、税金むだ遣いの最も多い公共事業については相変わらず中央官庁が握って、そして相変わらず、補助金をつけるぞ、つけないぞでやっていく。私はいろいろな知事とお会いしておりますけれども、そういうやり方がまさにむだ遣いを最も大きくしている、こういうふうに各知事が言われております。

 そのことをこれから、これもマニフェストできっちりと私たちは案を出しますから、総理の方も、公共事業はこれからやるんだというんだったら、大いに出してください。少なくとも現時点では、多少のことは含まれるかもしれませんがと総理が言われたように、少なくとも削減対象、移譲対象に全体としてはなっていないわけですから、そのことをきちっと申し上げておきます。

 そこで、残された時間で、イラクのことについて少し議論をさせていただきます。

 総理、この図を見ていただきたいと思いますが、十六日、バグダッド国際空港で、着陸態勢にあったC130に対して地対空ミサイルが撃たれた。幸いにして当たらなかったので被害が出ませんでした。また十四日には、バグダッドの真ん中とも言えるところで、ロケット弾の待ち伏せ攻撃を米軍車両が受けて、死者が出ております。また、CPA、暫定行政機構のすぐそばでも、十四日に爆弾の事件が起きております。そして、アメリカの担当者は、今や組織的ゲリラ戦がイラクにおいて行われていると明言をされました。

 戦闘行為が行われている区域と非戦闘区域ということにイラク支援法では分けてありますけれども、この状態のバグダッドというのは戦闘区域と言えるんじゃないんですか、戦闘行為が行われていると言えるんじゃないですか。それとも、総理から見ると、いや、戦闘行為は行われていないと言われるんですか。どちらですか。

小泉内閣総理大臣 私がはっきりと、現地に行っているわけではありませんし、情報については限られております。今戦闘地域か非戦闘地域とかいうことは断定できませんが、そんなに安全な地域ではないと思っております。}

 今後こういう状況についてはよく見きわめまして、自衛隊を派遣する場合は非戦闘地域に限って派遣しなければならないな、そう思っておりますし、今の御質問につきましては、戦闘地域、非戦闘地域ということについて今私から言う状況にないと思っております。

菅(直)委員 総理の言うことは、自分には情報がないから。これだけの情報がありながら、テレビでもごらんになったと思いますが、これだけの情報があって、そして現実に、アビザイド司令官の記者会見もあって、先日は官房長官もそれについて答弁されていた。それだけの情報がありながら、いや、そういう情報がないから判断ができないと。

 しかし、あなたは、戦争が始まるときには判断されたじゃないですか。大量破壊兵器がイラクにある、だから、それが拡散するのを防ぐためには米軍の攻撃を支持すると判断されたじゃないですか。そのときも情報があったんですか。

 どういう根拠でその時点でイラクに大量破壊兵器があると、あなたは自分のメルマガで明言されておりますけれども、では、そのときはなぜそれが明言できたんですか。

小泉内閣総理大臣 まあ質問があっちこっちよく飛びますけれども、私は情報がないとは言っていませんよ。今戦闘地域か非戦闘地域か、それを聞かれて、はっきり判断する状況にはないと。いろいろ情報はある、しかし、まだ法案は通っていないんですから。非戦闘地域か戦闘地域か、自衛隊を派遣する場合には、非戦闘地域しか派遣しないんですから。そういう、今判断する状況にないということを言っているんです。まだ法案は通っていない。

 そして、イラクを米英軍が攻撃したときには、国連等の決議、正当性がある。疑惑があると、査察団、安保理決議、みんなそう認めているじゃないですか。それに正当性があると思ったから支持したんです。

菅(直)委員 これが総理の詭弁の構造なんですね。私は構造改革を一つしようと思っているんですね。

 総理は今も、国連決議とかいろいろ疑惑とか言われました。確かに当時、大量破壊兵器があるんではないかという疑惑はありました。しかし、それを確認するために査察をやっていて、我が党は査察の継続を主張したのに、総理は、疑惑じゃないんですよ、ここに書いてあります、イラクに大量破壊兵器がある、あると言われたじゃないですか。言ってないんですか。まず、そのことを聞きましょう。この時点であなたのメルマガに、ここにあるんですから、大量破壊兵器は存在すると言っているじゃないですか。言っていないと言うんですか。

小泉内閣総理大臣 これは、イラクがかつて実際に大量破壊兵器を使用していた、または引き続き多くの大量破壊兵器に関する疑惑がある、これは私が言っているんじゃないですよ。査察団が言っているんですよ、国連安保理が言っているんですよ。査察への非協力を初めイラクが関連安保理決議の重大な違反を犯してきた、これも査察団が言っているし、国連安保理で言っているんですよ。こういう安保理決議や国連査察団による累次の報告を通じて明らかにされたとおりだ。

 だから、大量破壊兵器がないと断定できるんですか、今でも。疑惑がある、それで過去に使っていたと査察団がはっきり言って、査察団を追い返している。こういう状況を見て、疑惑がないないという前提で質問される方が、よほど私はおかしいと思いますね。

菅(直)委員 ちょっと抗議を申し上げます。

 私は、疑惑はないなんて一言も言っていませんよ。疑惑だと言っているのであって、あなたが存在すると言っているから、「問題は、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に私たちがどう対峙するかです。」と書いてあるじゃないですか。疑惑はあるなんて、私は疑惑を否定してなんという答弁はまず訂正してもらいたいですよ。

 疑惑があるからこそ査察継続を主張していて、しかし、存在が、あなたははっきりとあると言っている、それを根拠に支持した。この時点で、三月二十日の時点で大量破壊兵器があると断定されたその根拠を国民にきちんと説明してください。

小泉内閣総理大臣 よく私の答弁を聞いていただきたいんですよね。
 査察団の報告や国連安保理の決議やら、そしてイラクは過去に大量破壊兵器を使用した、そして依然として疑惑があるということから、私は、あるということを言いました。そして、その正当性の根拠に、今言ったような国連の安保理の一四四一決議、査察団の報告と安保理決議の状況を踏まえて、私は、この攻撃には正当性があるなと言って支持したわけであります。これはもうはっきり、再三再四答弁しておりますよ。

 大量破壊兵器があるというのは、もう国連安保理決議の疑惑ということでも、疑惑があるということを認めているし、過去に使っておるということがあって、あると思って発言したわけであります。(菅(直)委員「疑惑じゃないですか。なぜあなたが断定したんだ」と呼ぶ)疑惑がある。当然将来私は見つかると思いますし……(発言する者あり)

藤井委員長 ちょっと冷静に、冷静に、冷静に。

小泉内閣総理大臣 フセイン大統領がいまだに見つかっていないからフセイン大統領がイラクにいないとは言えない。これも決して詭弁でも何でもない。いい答えだと思っていますよ。

 だから、こういう過去のたび重なる、イラクがかつて大量破壊兵器を使用していた、そして化学兵器を自国民にも使っていたということを見れば、私は、大量破壊兵器があると今でも思っております。(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に。
 菅委員に申し上げます。どうも質問と答弁がすれ違っている傾向がありますので、もう一度、菅委員、質問してください、今のことについて。そしてまた総理大臣、答弁してください。(菅(直)委員「必ず答弁はさせてくださいよ」と呼ぶ)もちろん答弁はしますから。まず指名します。菅君。

菅(直)委員 ですから、何度も言いますが、当時疑惑があるなしを言っているんじゃありません。私たちも疑惑を持っておりました。しかし、あなたは、小泉総理は、この時点でイラクに大量破壊兵器があると断言された。その断言された根拠は何ですかと聞いているんです。いいですか。国連決議とかなんとかには疑惑は書いてあるけれども、あるとは書いていませんよ。

 総理は、あると断定した上でアメリカの武力攻撃を支持し、この戦争の正当性を言われたんですよ。今や、イギリスにおいてもアメリカにおいても、果たしてそれが正しい情報であったのかということで相当議論になっています。

 総理は一方的に断定された。断定された以上は説明責任があります。国民にわかるように、この時点、三月二十日の時点で大量破壊兵器がイラクにあるということを断定されたその根拠をきちっと説明してください。

小泉内閣総理大臣 よく聞いていただいていればわかったと思います。根拠は何かと言っているから、今までも答弁したでしょう。

 かつてイラクは大量破壊兵器を使用していた。そして、査察団が入って、あるという疑惑があると。査察団が入っているにもかかわらず、妨害して追い返した。国連安保理決議が、大量破壊兵器は持っている疑惑があるということで、イラクがみずから証明しなさいという決議まで通した。そういう数々の決議を判断して、これはあるなという正当な理由があるから私は支持したわけであります。

 今、根拠は、国連安保理の決議であり、過去のイラクの行動であり、だから、私はあると思って……(発言する者あり)思った。あると思う、あると。だから、あなたはないと思っている。私はあると思う、今でもあると思う。今でもあると思っている。これは水かけ論ですよ。フセイン大統領も、私は、生死はわからないけれども、イラクに存在していたと思う、見つかっていないけれども。大量破壊兵器も、見つかっていないけれども、あると思っている。

 だから、そこは見解の相違です。ないと思っている、あると思っている、これは見解の相違で、私は、菅さんはないと思っているのかもしれないけれども、それは時間がたてば明らかになると思います。

藤井委員長 菅君。(菅(直)委員「答弁になっていない」と呼ぶ)いや、答弁はしています。答弁しています、答弁しています。(小泉内閣総理大臣「速記録を調べてくれよ。速記録よく、根拠を言っているよ」と呼ぶ)御静粛に、総理、御静粛に。静粛に。(発言する者あり)いやいや、根拠は言っているわけだから……(発言する者あり)いや、存在するとも言っているわけです。存在するというのは言っているわけですから。
 菅君、質問を続けてください。菅君。(発言する者あり)委員長は判断して、答えていると思います。

菅(直)委員 委員長も、この責任とってもらいますよ。

 存在があると言ったのに、その根拠はと言ったら疑惑があると言っているだけじゃないですか。どうやって存在があるんですか。もう一回答えてください。(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 根拠を問えと言うから、再三再四答えています。
 根拠は、かつてイラクは大量破壊兵器を使用していた、そして査察団も、十分な疑惑があると。国連安保理決議も、これは疑惑があるし、イラクがないということを証明しなさい、最後の機会を与えろという国連決議がなされたんです。そういうのが疑惑のあるという根拠だと。あるという根拠だ。私は今でもあると思っている。そして、菅さんはないと思っているかもしれないけれども、何回も言うようですけれども、詭弁でも何でもない。フセイン大統領が生死の判明がわからないから、イラクにフセイン大統領はいなかったとは言えない。

藤井委員長 総理、結構ですから。総理、結構ですから。

小泉内閣総理大臣 だから、いずれ、私は、フセイン大統領も生死の判明がわかるだろうし、イラクに存在したことがわかるであろう、イラクも大量破壊兵器を保有していたということがわかるだろうということを言っているんです。それを、ないんだと断定することなんか私はできないと思いますよ。ないんだったらば、フセイン大統領は、国連の安保理決議に従って、査察団を受け入れて、ありませんと疑惑を証明すれば、戦争は起こらなかったんですから。私は、再三再四、はっきりとその根拠を答弁しております。(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。御静粛に願います。
 まず、菅君にもう一度申し上げます。再び質問してください。そして、総理も、簡便にお答えいただきたいと思います。そうしませんと、やりとりの、ただ、納得するかしないかというような問題は、これはいろいろ意見がありますけれども、とにかく、もう一度質問をして、そして総理からまたお答えをいただきたい。
 それから、私から菅委員に注意をいたします。勝手に席を立つということは、質問を放棄するというふうにもみなすこともありますので、そういったことはなさらないように。
 それでは、いま一度質問を続行いたします。菅君。(菅(直)委員「あんな答弁で聞く気ないからね」と呼ぶ)

 質問してもらわないと。いま一度質問してください。質問しないと時間が進むだけですよ。(発言する者あり)いや、私が整理権で指名したんですから。それを気に入らないというのなら、いたし方ありません。まず、私が指名している。議事整理権は、指名権は私にありますから。(菅(直)委員「いや、もうやらない、同じだから」と呼ぶ)
 それでは、もう時間が経過しておりますので、次の岡田君に質問が移りますよ。よろしいですね。(菅(直)委員「答弁をちゃんとしてください」と呼ぶ)
 ですから、菅委員に申し上げます。この議事整理権は、私、委員長にございます。先ほど私が申し上げて、もう一度質問をして、そしてそれに対して……(発言する者あり)御静粛にしてください。その上で、総理から答弁するということで申し上げて、指名したわけです。それを質問しないというのなら、これはいたし方ありません。
 菅君。

菅(直)委員 三月二十日にイラクに大量破壊兵器があると明言したことをメルマガに書かれている、その明言された、大量破壊兵器があるという明言に対して、どういう根拠でそれを明言されたのか、それが私の質問で、今まで答えられたのは、疑惑については言われましたけれども、存在しているということについて、根拠は一つとして答えていません。

藤井委員長 小泉内閣総理大臣、簡便にお答えいただきます。

小泉内閣総理大臣 私は、きちんと答弁しているんですよ。答弁が気に食わないからといって勝手に席を立つというのは、これはいかがなものかと。

藤井委員長 いや、そういうことはおっしゃらないでください、総理。質問に答えて、質問に答えてください。

小泉内閣総理大臣 私は、質問に誠実に答えております。
 まず、なぜ大量破壊兵器があるという……(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に。

小泉内閣総理大臣 根拠があるのかということですが、今まで、イラクが大量破壊兵器を使用していたことがある。査察団も……(発言する者あり)

藤井委員長 御静粛に。今、答弁中ですから。

小泉内閣総理大臣 あると思うから、査察をしていた。ところが、その査察団を追い返してしまった。査察を妨害する。そして、一四四一、昨年十一月の国連安保理の決議におきましても、大量破壊兵器は持っているかいないか、イラクが証明する責任がある、最後の機会を与えるという安保理の決議がなされた。こういう状況が、あると認めた根拠であります。もう何回も答弁しているじゃないですか。

藤井委員長 総理、もう結構です、そこで。

小泉内閣総理大臣 それは、気に食わないか気に食うか、それは別問題でありますよ。全部。

藤井委員長 総理、総理、もう結構ですから。総理、もう結構ですから。

小泉内閣総理大臣 自分の質問に気に食わない答弁をしたら勝手にもう席を立つというのは、これはいかがなものかと私は思うんです。

藤井委員長 総理に申し上げます。この議事整理権は私にございます。ですから、今、私は総理に簡便に御答弁いただきたいといったようなこと、それに加えて、つけ加えることはできるだけ御遠慮いただきたい。
 冷静な議論をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

菅(直)委員 とにかく、一言も答えていないということに対して抗議を申し上げ、それから、委員長も、ちゃんと質問と答えがかみ合うように、私は特別なことを言っているつもりはありません。総理が言ったことについて、あなたは、根拠を言ってくれと言っても、一向に答えません。このことに対して抗議を申し上げて、私は質問を終わります。


2003/07/18

戻る目次ホーム