2004年4月12日

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イラクでの日本人拘束事件に関して(談話) 

民主党代表  菅 直人

4月8日、イラクで発生した日本人拘束事件は、既に4日以上が経過しているにもかかわらず、いまだ解決に至っていない。犯人グループに対して、改めて激しい憤りを禁じえない。長期にわたって拘束されている3名の安全が一刻も早く確認され、ご家族の願いが現実のものとなることを切望している。犯人グループは3名を即時解放すべきである。 

今回の事件によって、邦人保護をはじめ、政府のテロ対策が全く不十分であることが明らかになっている。また、この間、報道等を通じて断片的な情報が流れてくるのみで、事態解決に向けた政府の具体的な動きはもちろんのこと、政府独自の情報把握についてすら、十分になしえていないことがうかがえる。 

自衛隊を派遣した政府・与党には、こうしたリスクを十分に予測し、それに備える責務がある。にもかかわらず、これを怠り、その防止策および万一の際の善後策をしっかりと用意していなかった責任は重大である。 

特にこの間、小泉総理は、家族からのたびたびの面会要請を拒否し、また、家族および国民に対する説明責任を一切果たしていない。こうした危機的な状況のときこそ、自ら対応と説明の先頭に立つことが、総理としての責任であり、この責任から逃げていると見られかねない対応は、はなはだ遺憾である。 

政府は、こうした責任をふまえ、一刻も早い人質救出のため、さらに全力で取り組むべきである。また、家族からの面会要求に応じるとともに、家族および国民に対して、人質救出の障害とならない範囲で最大限の説明責任を果たすべきである。 

民主党は、アメリカ・イギリスなどによる大義なきイラク戦争に反対し、また、イラクの実態に合わないイラク特別措置法による自衛隊のイラク派遣にも反対してきた。卑劣な脅しに屈する形で撤退を唱えるべきではないが、一方で、イラクにおける戦闘の本格化などの状況を踏まえ、自衛隊派遣の是非について、改めて徹底的な審議を行うべき時期にきていると考える。 

いずれにしても、政府のイラクへの自衛隊派遣決定と、不十分な邦人保護対策が、今回の事件を招いたのであり、小泉政権の責任が極めて重大であることを、改めて表明する。 

以 上


2004年4月12日

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