2004年2月5日〜9日

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参議院イラク支援特別委員会 (民主党ニュース)


2004年02月05日
【参イラク特】斎藤議員、自衛隊の劣化ウラン弾対策質す  会議録

 民主党の斎藤勁議員は5日、参議院イラク支援特別委員会で質問に立ち、世界で最初の被爆国としてなすべきイラクへの復興・人道支援に関して「イラクの子どもたちが、湾岸戦争以来使われた劣化ウラン弾に苦しんでいる。放射能治療の技術伝授や、小児ガン病棟の建設などが果たすべき援助ではないか」と質した。小泉首相は「自衛隊には医療目的部隊もある」とだけ答え、斎藤議員の提案に直接答えなかった。 
  
 また、自衛隊員の健康に関しても、劣化ウラン弾の被害を調査している全米湾岸戦争リソース・センター(NGWRC)の調査結果をもとに、斎藤議員は「こういうことは派遣の前に調査すべきだ」としたうえで、「自衛隊の持っている放射能測定機は劣化ウラン弾が出すα線を測定できるのか、健康調査はするのか」と質した。石破防衛庁長官は「測定機は2種類あるが、α線は測定できない。健康診断はすべての面で行う」と答えた。


2004年02月05日
【参イラク特】若林議員、外交官殺害事件への政府対応を批判 会議録

 民主党の若林秀樹議員は、5日の参議院イラク支援特別委員会で、昨年12月のイラクにおける日本人外交官殺害事件について質問。2カ月経っても事件の真相を何らつかんでいない政府のていたらくを厳しく批判した。 
  
 若林議員は、2人の外交官が銃撃された際の銃弾の鑑定結果がようやく2週間前に発表されたこと、銃撃された際に乗っていた車両がいまだにイラクから日本に移送されていないことなどを追及し、「本気で真相を究明する気があるのか」と政府の姿勢を強く非難。また、銃撃を受けた車の写真を示し、正面から撃たれた弾痕があることから、警告射撃を受けた後に銃撃されたのではないかとの推論も提示し、事件の事実調査を進める独立調査委員会の設置を提案した。 
  
 しかし小泉首相は、「真相究明に鋭意努力する」などと繰り返すのみで、積極的に取り組む意志はまったくうかがえなかった。


2004年02月06日  
【参イラク特】榛葉議員、自衛隊支援活動の効果を質す会議録

 民主党の榛葉賀津也議員は6日、参議院イラク支援特別委員会で質問に立ち、日本の支援対象案件、水支援の実態、日本外交の本来のあり方等を質した。 
  
 榛葉議員は冒頭、イラク独特の文化・慣習への配慮の必要性を指摘した上で、自衛隊への過剰な期待に添えなかったときに大きな反発を生む危険性があることにも言及。さらに自衛隊が行う支援活動の内容を質した。支援の対象について川口外相は「保健、水、医療、電力、教育の支援を行う。産業基盤については、わが国産業の能力を勘案して考えていく」などと答弁。榛葉議員は「新しいイラクの受け皿ができなければ行えない」として、政府計画の不充分さを問題視した。 
  
 また、「一日70トンの水支援を行うのに12万円」との石破防衛庁長官の答弁を受けて榛葉議員は、「自衛隊活動の年間コストは300数十億円、NGOが行えば数千万円から1億円で10万人分の水を供給できる」との試算を示し、費用対効果の問題点も指摘。その上で、多岐に渡って支援活動を行っているNGOを重視すべきだとし、人道復興支援にあたっては軍隊・軍隊に近い組織の関与を外していくこそが本来の姿と訴えた。


2004年02月06日  
【参イラク特】森議員、派遣隊員の劣化ウラン弾対策など追及 

 6日の参議院イラク支援特別委員会で民主党・新緑風会の森ゆうこ議員が質問に立ち、劣化ウラン弾対策、国会審議のあり方、復興支援活動の展望などについて石破防衛庁長官、川口外相に質した。(会議録
  
 前日の斎藤勁議員からの要請に基づき、自衛隊がイラク現地で携帯している劣化ウラン弾対策のための放射能測定器について石破防衛庁長官から実物で説明を受けた森議員は、「劣化ウラン弾が破裂した場合、その粉塵が死の灰となって5年、10年後の健康被害が心配される。計測時点では遅いのではないか。米軍が使用したことについて批判的立場をとるへきだ」と迫った。 
  
 また森議員は「最も危険な任務で海外に派遣される自衛隊員は国民的合意の下で送り出されるべき」であるにもかかわらず、政府・与党がイラク特措法から今回の派遣承認に至るまで強行採決など横暴なやり方を繰り返していることを批判。「国民の疑問に応えられるよう、参院では十分審議すべきだ」と要求した。 
  
 サマワ情勢などで政府内の情報管理が徹底されていないにもかかわらず、マスコミの取材活動を制約していることについては、「矛盾している。イラクの現場でなく、霞ヶ関の現場(外務省、防衛庁)が混乱しているのではないか。自ら襟を正して情報管理を徹底すべきだ」と指摘した。 
  
 さらに森議員は、「米国追随の『派遣ありき』で拙速に進めないで、民間も含めてより効率的な復興支援策を積極的に講ずるべきだ」「どの時点で任務完了とするのか出口をきちんと示すべきだ。日本としての主体性を持った支援のビジョンが欠けているのではないか」と質した。


2004年02月06日  
【参イラク特】池口議員、非戦闘地域決定への国会関与求める会議録

 参議院イラク支援特別委員会の6日の質疑で、民主党・新緑風会の池口修次議員が質問に立ち、非戦闘地域の認定、イラク在留邦人の保護などについて政府の見解を質した。 

 池口議員はまず、イラク特措法における「非戦闘地域」の概念を地理的に規定する手続きについて確認。石破防衛庁長官、福田官房長官は、内閣が基本計画で地域を定め、防衛庁長官が実施要項で派遣地を決定する、などとした。これに対して池口議員は、「立法府が関与しないでいいのか」と指摘し、憲法に抵触しないように派遣地域を決定する担保として、立法府の関与を法律上も規定するべきとの考えを示した。 

 また池口議員は、自衛隊派遣に伴って増加しているイラク在留邦人の保護の体制について質問。石破長官は、「マスコミ関係者や復興支援にあたるNGO職員は、自衛隊員の管理下に入る」という考えを示した。


2004年02月06日  
【参イラク特】岩本議員、派遣隊員の万一の際の処遇質す会議録

 民主党の岩本司議員は参議院のイラク支援特別委員会で6日、自衛隊員に万が一のことがあった場合の対処、隊員の福利厚生などについて質した。 
  
 岩本議員は各国の対応を質した後、「事故死なのか、戦死なのか、その処遇を議論すべき」と提起した。これに対し石破防衛庁長官は「間違っても戦死との概念は使わない」と戦死ではないと答えた。また福利厚生について同長官は「教養、家族との連絡、体力練成、またメンタル面のケアを行う」と答えた。 
  
 岩本議員はさらに、派遣隊員が1月24日に現地警察を訪問した際にトランシーバを携帯していなかったことを取り上げ、事情を質した。石破長官は「連絡が取れるようにしておくのは当然。その時どうであったかは、確認する」と答えた。


2004年02月09日 
【参イラク特】参考人質疑で米英占領統治の欠陥示す

 参議院イラク支援特別委員会で9日、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所地域研究センター参事の酒井啓子氏ら4人の参考人が意見陳述し、これに対し民主党・新緑風会から神本美恵子議員が質問に立った。
 
 酒井氏は、過去の日本企業のイラクでの活躍や米英主導の占領統治への不満から派遣自衛隊に対してイラン人の過剰な期待が高まっており、これに応えられないと失望感から短期的には派遣自衛隊への反発・排斥が起こり、長期的には日本全体が悪いイメージで見られてしまうと指摘。(1)サマワでなくバスラなど他の重要な産業集積地域を中心に目に見える支援活動を行う、(2)雇用創出のためにイラク人の手による復興活動を後ろから推し進める、(3)イラク国民の方を見た政治的手法に徹する、など日本全体で包括的な取り組みを展開すべきだと主張した。
 
 神本議員は「イラク人に不評であり、治安悪化も招いている米英主導の占領政策の決定的な誤りとは何か。その轍を踏まないように日本として何ができるか」と質した。酒井氏は「占領政策の最大の過ちはイラク人を復興政策の中から排除したことであり、復興計画の策定過程の中にイラク人を取り入れるべきだ。日本としてはこれまでの英米とはどう違うかを打ち出す必要があり、政府全体として取り組む必要がある。戦後の日本が学んできた民主主義の教訓を積極的に提案すべきだ」と説いた。


2004年02月09日  
【参イラク特】自衛隊派遣承認を可決 

 自衛隊派遣の承認に関して審議を行っている参議院イラク支援特別委員会で9日、締めくくり総括質疑に続いて、討論・採決が行われ、自民、公明両党の賛成多数で承認が可決された。 

 締めくくり総括質疑では、民主党・新緑風会から平野達男、佐藤道夫、若林秀樹の各議員が質問に立った。 

 平野議員は、政府が米英軍のイラク攻撃を支持した根拠として国連安保理決議(678、687、1441)を挙げていることを取り上げ、「今後、イラクに大量破壊兵器がなかったことが判明してもその主張は変わらないか」と質した。小泉首相は、「仮にイラクが大量破壊兵器を廃棄していたとしても、どうやってしたかを自分で証明しなければならなかった」などと答弁。平野議員は「“ある、ある”と言って、ないことを証明しなければ武力攻撃していいという先例をつくることになる」と、首相の見解の問題性を厳しく指摘した。 

 また平野議員は、イラクのムサンナ県を非戦闘地域と判断した理由がはっきり説明されていないとして、政府の公式見解を文書として委員会に提出することを求めたが、石破防衛庁長官は「国会答弁以上のことは言えない」などとして拒否した。 

 佐藤議員は、拘束されて以降のフセイン元大統領に対して適正な法手続がとられているかが疑問だとして、罪名・犯罪事実の告知、弁護人の選任などが行われたのかを質した。しかし小泉首相は「(米国から)聞いていない」などと無責任な答弁に終始した。 

 若林議員は、派遣自衛隊の撤退の基準を文書化することを要求したが、石破長官は「手伝わなくてもイラクの人々が自分たちでできるようになったら速やかに撤退するべき」などと抽象的な答えるだけで、文書化については取り合わなかった。 

 討論では、ツルネン・マルテイ議員が発言。ツルネン議員は「(政府・与党の)非民主主義的で卑劣なやり方での派遣に憤りを覚える」とし、イラク国民による政権樹立に向けて国連主導の環境整備を進めるよう主張するとともに、承認に反対を訴えた。


2004年02月09日  
【参院本会議】補正予算案、イラク派遣承認が成立 

 参議院本会議が9日夕、予算委員会に引き続いて開かれ、平成15年度補正予算案と自衛隊派遣承認案件の審議・採決がなされた。与党の賛成多数でいずれも成立、承認された。 
  
 民主党・新緑風会からは高橋千秋議員が、予算委員会での反対討論に続いて、本会議でも予算案の反対討論に立った。高橋議員はイラクへの自衛隊派遣について「イラク支援特措法の考え方に反し、また、憲法の大原則を破るもの」と断じた。また、小泉改革に関しては「ごまかしの改革でわが国を崩壊へと導く政治を認めるわけにはいかない」とし、一刻も早い退陣こそ日本の復興につながる」と退陣を求めた。 
  
 イラクへの自衛隊派遣承認案件には、民主党・新緑風会から辻泰弘議員が反対討論に立ち、アメリカの行動を「国際紛争を正義と国際法に従い、平和的手段によって解決することを目的とした国連憲章の精神に真っ向から反する」とし、小泉内閣を「理想なき、主体性なき対米追従外交」と指弾した。また、「派遣される自衛隊員にとっても、自らの行動の正当性について確信が、誇りが持てない」と正当性なき派遣を批判した。


2004年2月5日〜9日

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