2003年12月15日

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158 衆議院イラク支援特別委員会−(4)

質問者=前原誠司(民主)


平成十五年十二月十五日(月曜日)

斉藤委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。
 まず冒頭に、先般イラク・ティクリートで亡くなられた奥大使、そしてまた井ノ上一等書記官、立派な外交官で、また外交官としての使命を果たされたその二人に心から敬意を表し、またお二人の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
 さて、総理が出ておられますので、総理中心にお答えをいただければと思います。
 まず、我が党の、今回のイラクへの派遣についてスタンスを述べさせていただきたいと思います。
 我々民主党は、現時点において、イラクに自衛隊を派遣することには反対であります。大きく二つの理由があります。
 一つは、この戦争そのものの大義が問われている。つまりは、国連決議も、一四四一、これは総理もあるいは川口外務大臣もお答えになっているように、これ自体が武力行使を認めた国連決議ではなかったということ。そして、多くの国際社会がさらなる査察の継続というものを求めていたにもかかわらず打ち切って、アメリカによる、あるいはイギリスによる攻撃が行われた。そして、その大義として最も言われていたのが大量破壊兵器、昨日フセインが、元大統領が拘束をされたということで、この大量破壊兵器の問題についても新たな展開が図られるかもしれません。しかし、大量破壊兵器があるあると言って、九カ月も見つかっていない。つまりは、あり場所もわかっていて、しっかりその証拠を握っていて、そして攻撃をしたならまだしも、攻撃してみて捜したらあるだろう、そんないいかげんな大量破壊兵器疑惑の中で攻撃が行われた。そして、その攻撃を行ったアメリカ、イギリスが占領統治を行っている。これに対して、多くの国民あるいは世界の人たちもこの戦争に対する正当性を疑っている。私どももそういう立場であります。
 二つ目には、この法律、イラク復興支援特別措置法という法律が想定をしているイラクの今の治安状況というものが、果たしてこの法律が想定をしたものに合致しているかどうか、この点が極めて私は疑わしいというふうに思っています。よく言われるように、戦闘地域、非戦闘地域の区別というものが果たしてできるのか、そういった問題と同時に、まさに戦争が続いているというふうにも考えられる。戦闘地域に初めて自衛隊を送る。あのテロ特措法による支援というのは、あれはインド洋でした。つまりは、アフガニスタンという現地に行っていない。初めて戦地に赴く法律になる、憲法上大丈夫か。そしてまた、法律に照らし合わせてその前提が整っているかどうか。我々は整っていないという判断をしています。
 その二点から、我々は、大きく言いまして、現時点において、基本計画に基づくイラクへの派遣については反対ということを申し上げているわけであります。その点について少し議論をさせていただきたい、詰めていきたいと思います。
 まず総理にお伺いしますが、大義なき戦争と言われる。私はこの間、基本計画を発表された後の総理の記者会見、ずっと聞かせてもらいました。すべて聞かせてもらいました。そのときに私が思ったのは、イラクの復興支援に国際社会が協力をすることの必要性、それからテロに屈せず、そして日本もその戦線に参加をするという必要性、そしてまた日米同盟関係が必要だという説明、この三つに何ら異存を挟むものではありません。
 しかし、先ほど申し上げたように、その奥にあるもの、つまりは大義なき戦争ではなかったのかと言われているものに対して、では、十分あの記者会見で総理は説明をされたかどうかといえば、私は十分ではなかったと思います。
 国連決議については、湾岸戦争のときの六七八、六八七を引っ張ってきて、また正当性があったという話をされるんでしょう。これはもう水かけ論になりますから、そこは結構でありますが、査察を継続すべきであったということと同時に、大量破壊兵器が未発見である、あるいはアメリカ、イギリスでも問題になっていて、イギリスではその当事者が自殺をされた。情報操作の疑い。
 こういったものについて、どう日本政府として説明をされるのか。総理の口から国民に対して説明責任を果たしていただきたい。

小泉内閣総理大臣 これは、イラク支援法が七月成立いたしましたけれども、その場でもよく議論した段階であります。結論からいうと、見解の相違なんです。
 私は、国連憲章にのっとって、大義名分があるということで支持したんです。そしてイラクに安定した民主政権をつくる。テロの温床にしてはいけない。私は、十分大義名分があったと思っております。

前原委員 ですから総理、見解の相違で片づいたらこういう議論は要らないんです。
 つまりは、今申し上げたように、国連決議の正当性については見解の相違でいいかもしれない、それは解釈の違いでいいかもしれない。私が申し上げているのは、大量破壊兵器がまだ見つかっていませんね。査察継続の必要性が国際社会の中でも言われた。あるいは情報操作についても、アメリカ、イギリスでも、非常にその点については問題ありということで非難されている。そのことについても日本の総理大臣として、支持を表明された総理大臣として、我々国民に説明責任を果たされるべきではないか、そのことを聞いているんです。

小泉内閣総理大臣 それは、イラクが過去大量破壊兵器を使用していたこと、国連の調査団が現に大量兵器を過去発見していること、そして国連であれほどの決議を与えていながら国連の調査団を妨害したこと、こういうことの時点で私は十分大義がある、説明責任を果たしていると思っております。

前原委員 そんなものは全然説明責任を果たしたとは言えないんですよ。つまりは、クルド人に対して化学兵器を使ったということ、それはだれもが知っていること、化学兵器を開発していたということもだれもが知っていること。しかし、九割の化学兵器が廃棄をされて、残る一割はどうなのかということでまさにせめぎ合いが行われていたわけです。
 今の総理の御答弁では、過去に持っていた、使った、そして発見された、だから化学兵器が大量破壊兵器違反だ、これはむちゃくちゃな飛躍、そして余りにもアバウト過ぎる、大ざっぱ過ぎる。つまりは、その一割のものをどう捜すのかということでせめぎ合いをしていたんじゃないんですか。IAEAにしたってUNMOVICにしたって、さらなる査察の継続を主張していたんではないですか。だから、その意味では説明責任は全然果たされていませんよ。総理が答えてください。

小泉内閣総理大臣 それでは、なぜフセインが拒否したのか。フセインがいいとは恐らく前原さんも言っていないと思うんですけれども、あのときフセインが受け入れれば戦争は起こっていないんですよ。なぜ受け入れなかったのか。それが私はおかしい、その方がおかしいと思っています。

前原委員 総理、一国の総理は、事実認識をしっかり踏まえて話をされた方がいいと思うんですね。
 一四四一という国連決議を踏まえて、フセインは一たん査察を受け入れたんです。受け入れたけれどもサボタージュをし、せめぎ合いをしていたんです。
 つまりは、今までも過去、大統領宮殿の査察を受け入れる受け入れないでせめぎ合いがあった。それは当然そうでしょう。自分たちも一番捜してほしくない、あるいは見せたくないところ、それは化学兵器の問題でないかもしれない。しかし、それをまさに国際社会のせめぎ合いの中で、またいろいろな支援と引きかえの中で、あるいは圧力との関係の中でそれをどんどん攻め込んでいって、そしてさっき申し上げたように、IAEAとUNMOVICは、もうちょっとやらせてくれ、そう言っていたにもかかわらず、それで戦争に踏み込んだのは正当性があるというのは、物すごく論理の飛躍であり、フセインがすべてを拒否していたというのは、それは事実に反しますよ。総理が答えてください。

小泉内閣総理大臣 これはもう七月でもさんざん議論した、同じ問題ですよ。もう何回も質問され、何回も答弁しています。即時、無条件、無制限にフセインは受け入れなきゃいけなかったんですよ。それをすれば戦争は起こっていないんですよ。

川口国務大臣 これはまさに総理がおっしゃっていらっしゃるようなことであるということに尽きてしまうんですけれども、大義、WMDがあったかどうかということについて言えば、これは実際に、総理がおっしゃっているように、あった、それを一四四一によってフセインが見せなければいけなかった、それをやらなかったわけですね。そのときに、一四四一は幾つかのことを全会一致で決定をしています。
 まず、六八七等の関連決議、これは停戦決議ですけれども、それに、関連決議に重大な違反を犯し続けているということを決定しています、全会一致で。それから、その最後の機会を与えるということも、これも決定をしています。そして、イラクが完全なる協力を行わないことはさらなる重大な違反であるということも決定をしています。それから、継続的な義務違反の結果深刻な結果に直面するという警告をやっている。それで、これについてどういうような状況で武力行使をするかどうかということを判断するのは、それぞれのメンバーの判断であるわけです。
 したがって、アメリカはそれに基づいて判断をし、武力行使を行ったということでありまして、全く問題はない、正当性はあるということでございます。

前原委員 いや、それは、語るに落ちるというのはそういうことで、アメリカがそう思ったということを最後におっしゃっている、実際問題。つまりは、即時というのはだれが決めるかというと、アメリカの決めたことについて、日本もそうですねとしり馬に乗っているだけじゃないですか。ほかの国々は、即時といっても、もう少しの査察の継続が必要だというふうに言ったわけでしょう。ということは、まさに、情報はすべてアメリカから丸のみ、受け売り、そしてアメリカの言うがままの決定を下したということだけじゃないですか。
 それが、何も問題がなかったんだというふうに居直るということは、私は、主権国家として、後で質問しますけれども、自国の情報収集能力がこれだけ欠けていて、他国に頼りっ放しで、そして、他国から得た情報で、そして自国の判断を立派にやったんだと言える内閣総理大臣、私はちょっと見識を疑いますね。つまりは、どういう情報に基づいていたのか、そして、国際社会がどういうその解釈でしていたのか。違うわけですよ。まさにアメリカ寄りの解釈で行ったということ。まあこれも見解の相違と言われれば見解の相違かもしれません。

 先に行きましょう、もっと聞きたいことがありますから。
 私は、アメリカと同盟関係というのは必要だという認識を持っていますが、ちょっと切り口を変えて、総理、二つのことを聞きたいと思います。同盟関係を続けていくに当たって、二つのことを聞きたいと思います。
 一つは、以前にも総理にお答えをいただいたことです、同じ御答弁で結構ですが、ブッシュ・ドクトリン、つまりは、先制行動に対するブッシュ・ドクトリンについて、私が総理に以前伺いました。戦後の国際社会で、国連加盟国が他国を攻撃していいのは、二つの例外しかない。自衛権の行使と、国連決議があったとき、この二つだと。つまりは、今回は、見解の相違かもしれないけれども、一応、六七八、六八七という国連決議があって、何とか体裁を整えられたけれども、今後はわからないですよ、先制攻撃。
 つまりは、もう一度お答えをいただきたいんですが、この二つの例外以外は認められない、いかに同盟国であるアメリカが攻撃を行ったとしても、それは、二つの例外以外の先制攻撃は認めないという日本の立場は変わりないのかどうなのか、その点について簡単にお答えください。総理に聞いています。

小泉内閣総理大臣 私は、米国の先制攻撃論、こういうことに対してどう思うかということについては、前回の国会でもたしか答弁しているはずでありますが、日本としては、米国は国連憲章を初めとする国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えておるし、また、我が国が国際法上違法な武力行使を支持しないということは当然であるということを前回にも答弁しているはずであります。この答弁に今も変わりありません。

前原委員 これは大事なところですので、今後の日本の外交を決めていく上では、私は、この答弁というのは極めて必要な答弁だ、重要な答弁だと思いますので、確認をさせていただきました。
 もう一つ。アメリカが小型核というものを、今までは研究段階でしたけれども、実際問題、予算もつけて、これから開発に踏み切ろうとしていますね。この間、日本は国連に対して大量破壊兵器の全廃に対する決議を出して、そして、その提案国になりました。アメリカはその決議に反対をした。
 この小型核の研究から、実戦に使うことを前提としての開発、これに踏み切ったことに対して総理はどう思われるか。

斉藤委員長 川口外務大臣。

前原委員 総理に聞きたい。総理に聞いているんです。

斉藤委員長 川口外務大臣、まず。

前原委員 いや、まずじゃない。総理に聞いているんです。

川口国務大臣 まず、事実関係について申し上げたいと……(前原委員「いや、いいですよ、総理に聞いているんだから」と呼ぶ)

斉藤委員長 私が指名しております。その後してもらいます。その後総理がします。今答えています。

川口国務大臣 まず、事実関係について申し上げたいと思いますけれども、前原委員がおっしゃっていらっしゃる、開発に移ったというのは事実ではないということでございます。開発に移ったというのは間違い。研究段階に入ることについて決定したということであります。事実関係でございますので、お答えをさせていただきました。

前原委員 ちょっと、委員長、外務大臣には聞いていないんですから。ちゃんと仕切ってくださいよ。総理に答えてくださいと言っているんです。

小泉内閣総理大臣 小型核兵器については、研究をしたいと。しかし、これは開発までにはアメリカはたしか議会の了承を得る必要があると思っています。その議会の了承をまだ得ていませんね。いろいろな議論があるのは、私は結構だと思っております。

前原委員 いろいろな議論があるのは結構だ、そんなのんきなことを言っていていいんですか。大量破壊兵器をなくしていこうという国連決議の提案国になっているんですよ。しかも、唯一の被爆国。その中で、いろいろな考え方があって結構なことじゃないですかと。私は、そんな軽々しく答弁されるような話じゃないと思いますよ。
 つまりは、やはりそれに対しては懸念を持っている、アメリカに対してはやはり核は使っちゃいけないものなんだということをしっかり言う、それが日本の総理としてのあるべき立場じゃないですか。

小泉内閣総理大臣 それについては、はっきり懸念を持っているということを表明しております。

前原委員 だれに表明しているんですか。ブッシュ大統領に会ったときに、直接それは言うんですか、言ったんですか。――いやいや、違うんだ。総理に聞いているんです。総理に聞いているんです。

斉藤委員長 川口外務大臣。

川口国務大臣 事実関係でございますので、私からお話をさせていただきたいと思います。

前原委員 ちょっと委員長、おかしいじゃないですか。
 私は総理に聞いているんです。だって、ブッシュ大統領とさしで会われているんだから。外務大臣は同席していないんだから。

川口国務大臣 これは事実関係でございますから、私からお話しさせていただきます。

前原委員 総理しかわからないことを聞いているのに、何で外務大臣が挙手するんですか。

斉藤委員長 これは外務大臣に答えてもらいます。まず答えてもらいます。

前原委員 委員長、おかしいじゃないですか。

斉藤委員長 おかしくない。その後……(発言する者あり)いや、外務大臣にまず答えていただいて、その後、総理に答えていただきます。

前原委員 違う。総理に答えてくれと私が言っているのに、なぜそれを――いや委員長、おかしいですよ、それは。委員長、おかしいです。

斉藤委員長 答弁、答弁中、答弁中。答弁中です。答弁を聞いてください。

川口国務大臣 まず、事実関係について申し上げる、そういう問い合わせでございますので、私からそのお話をさせていただきたいと思いますけれども、これについては外交チャネルで懸念をお伝えしているところでございます。

前原委員 いや、これ認めたらだめですよ。だってもう時間のむだだから。総理に聞いているんですから。ちょっともうとめてくださいよ。ちょっと、こんな委員会審議するんだったら、本当に審議に応じられませんよ、これ。
 委員長、おかしいですよ。委員長の進め方がおかしいと言っているんだ。

斉藤委員長 小泉総理大臣。
 いや、私は総理を指名しました。

前原委員 違う。ちょっと聞いてくださいよ。
 総理が、ブッシュ大統領とさしで会っているんですよ。そういうことも含めて、外務大臣がわからないものがあるじゃないですか。

斉藤委員長 委員会の整理権は私にございますので、御着席ください。私は総理大臣を今指名しました。どうぞおかけください。

前原委員 おかしいですよ、進め方が。
 では、総理、答えてください。

小泉内閣総理大臣 外交の問題ですから、日本には外務省もあるわけです。私は……(前原委員「違う。さっきから、話をしたかどうかということを言っているんです」と呼ぶ)今答弁しますよ。そういう問題は話し合ったことはありませんが、外務省を通じて、アメリカの国務省なりに日本の懸念を表明していると。そういうのは話題になっていません、今のところ。

前原委員 いや、私は、そういう意思を持っておられるのであれば、また、八月六日、八月九日、何度広島、長崎に行かれましたか。そのときの御自身の言葉というのはよく覚えておられるでしょう。そういうことを含めて考えれば、しっかりとそれだけの人間関係を築いておられるということの自負を持っておられるのだったら、御本人がおっしゃるべきじゃないですかということを申し上げて、総理に聞いているんですよ。
 だから、総理、ぜひそれは直にブッシュ大統領に言われるべき問題じゃないですか。その点、お答えください。

小泉内閣総理大臣 それは、アメリカも核実験停止には協力しているわけですから、どういう話題になるかというのは、その時々の話題で私は判断したいと。

前原委員 全く主体性のない外交を行っていると言われても私は仕方がないと思いますよ。(小泉内閣総理大臣「野党と総理とは違うよ」と呼ぶ)野党と総理といったって、我々が与党になったらそんな外交はしませんよ。(小泉内閣総理大臣「国益に反するでしょう、何もしないなら」と呼ぶ)国益に反しないことをしますよ、しっかりと。政権交代なくして、本当に外交も安全保障も全く変わりませんよ。

 法案の内容についてしっかりと聞いていきます。

 さて、次に、我々は先ほどお話をしたように、現時点においてイラクに自衛隊を派遣することは反対だということは申し上げましたが、しかし、先ほど申し上げたように、イラクの復興支援は必要だ、またテロに対しては毅然とした対応をとらなきゃいけない、したがって、日本がしっかりと人も出してイラク復興支援に貢献できるような前提を整えるべきだと。そのためには、大義が非常に疑われている、そしてその大義が疑われているアメリカ、イギリスが占領統治を行っている、それから、やはり国際社会、CPAから国連やあるいは多国籍軍でもいい、国連が事務的に絡み合えないのであれば、特に国連の安保理の常任理事国がしっかりと人も出して、そして治安やイラク人による政権移譲に対して責任を持てるような体制に移行すべきだというふうに思いますが、その点について、総理、どうお考えですか。

小泉内閣総理大臣 必ずしも自衛隊の派遣に反対していないということですか。いや、私は、最初から自衛隊派遣反対と言っているのかと思ったけれども、そういうことですか。
 私は、今各国が復興支援に努力している、何とかイラクに安定した民主的政権をつくりたいというときに、では自衛隊派遣だめで、ほかの人的派遣ならいいと言っておるのが民主党の立場だと思うんですが。
 そうすると、民間の人も今手を引いているわけですね。国連もそれはなかなか必要な職員も出せないということを考えますと、今イラク人が必死になって自分たちの政権をつくろうとしている、そして各国が努力している。国連加盟国全部とは言いません、四十カ国近い国が早くイラクにイラク人の政権を打ち立てることができるように努力している。そのときに、日本としても私は協力すべしと。
 協力する場合、資金だけじゃない、物だけじゃない、人的貢献。民間人は自分の安全面に対して、なかなか確保できるような対策も打てないという際には、人的支援というのだったら、戦闘行為に参加するわけじゃない、武力行使をするわけじゃない、自衛隊だっていろいろな訓練もしているし、自衛隊だったら危険を回避する努力も装備もできるだろうということで、今回、人的支援で自衛隊を派遣するということであって、今は支援しちゃいけない、では、いつになったら支援しろと。みんなどこの国でも、はい、来て、後に自衛隊を派遣しろというのか。私は、その点は民主党の態度はなかなかはっきりしないなと。
 結局、テロ特措法も反対したでしょう。イラク支援法も反対したでしょう。今回も自衛隊、反対する。一体、どういう状況になったら支援しろというんですか。

前原委員 そこまで我々の立場を危惧していただくということは、我々も議席を伸ばして脅威を与えられるようになったのかなというふうに思いましたよ。
 耳をよくかっぽじって聞いていただきたいと思うんですが、まず質問に答えておられない。それから、では、民主党の立場をということであれば申し上げますよ。
 現時点において、我々はイラクに自衛隊を派遣することに反対である。しかし国際社会が、私は後で議論しますけれども、一五一一というものが実行せられるものだと思っていない。新たな国連決議などがあってしっかりと、特に国連常任理事国や、あるいは非常任理事国でもイスラムの国々なんかが本当に人を出して、そしてイラクの復興支援に国際的に協力しようと。そして、それを邪魔する者については、まさにテロに対する、攻撃に屈しないということで、犠牲もいとわずにそのときは人的貢献をすべきだというのが我々の立場であります。
 つまりは、新たな国際社会でのその枠組みというものをつくる努力をまずするということが必要であって、そのことが、今から話をしますが、モラトリアムではなくて近道なんだと。つまりは、そんなボタンのかけ違いをそのまま行って、そしてイラクの復興支援だと言ったって、占領軍に加担をしているとしか見られていないところはいっぱいあるわけです。それを言っているんですよ。それは見解の相違と言われるかもしらぬけれども、私は本質だと思う。
 ちょっと話をしますと、御存じかもしれませんけれども、イラクのこの十年、二十年の歴史というのは非常に複雑なんですね。イラン・イラク戦争のときは、御承知のとおり、アメリカはイラクを支援したんですよ。その前はイラン、シャー政権を応援していた。しかしホメイニ革命で、実際問題、今度はけしからぬと思ったイラクを応援した。そしてイラン・イラク戦争が終わった。湾岸戦争は、多分僕はフセインが読み間違えたんだと思う。アメリカは今まで支援してくれたんだから、クウェートを侵略したってアメリカは動かないだろうと思ったのが、国際社会が動いた。それから問題がまた複雑化してきた。
 そして、その湾岸戦争の後は、まさに経済制裁というものが行われて、フセインもしたたかですから、経済制裁が行われる中で、今度はオイル・フォー・フードという、つまりは人道支援はしなきゃいけないということで、オイル・フォー・フードの考え方が出てきた。その石油の割り当てというのをうまく、米英と仏独ロを分断するために、そのオイル・フォー・フードの割り当てというものをフセインはうまくその三カ国を中心に利用していった。つまりは、今米英と仏独ロの分断が始まったわけじゃなくて、長い複雑な歴史、冷戦の中で生き抜くイラクの知恵もあっただろうし、そしてまた、その中でいかに大国を引き裂いて自分たちのポジションをしっかりと保っていくかというフセインの知恵もあったわけですよ。
 だから、そんなに簡単じゃないことはわかっている。しかし、簡単じゃないことをこのまま行って、まさに私の言うように、ボタンのかけ違いのまま、このまま、つまりは突っ走って、後で、今質問しましょう、復興支援には参加をした者しか入れない、けしからぬ話じゃないですか、この話なんかは。まさに血を流した者だけが自分たちの利益を得る、このむき出しのグロテスクな米英の考え方、これがますますドイツやフランスやロシアの参加、国際社会の関与をできにくくしていっているのは自明のことじゃないですか。
 このことを今総理に、国際社会がしっかりと、そういう長い複雑な歴史を今まさに整えて中東の安定というものを達成するためには、フランスやロシア、ドイツも関与するような国際的な枠組みをつくることがむしろ中東の安定化にとっては我々は近道だと言っているわけですよ。だから、そのための外交努力を行うべきであると言った。モラトリアムなんかでは全然ない。焦って自衛隊を出して、そして、後で質問しますけれども、何かがあって、そして日本の安全保障政策が後退する、あるいは日本の世論というものがどうかする。リスクマネジメントが出ていない中で焦って出すことが、逆に私はモラトリアム、もっとひどい結果を招くと思う。そういうトータルの観点でいかにこの問題を考えるかということが必要じゃないかと言っているわけです。
 もう一度質問します。日本として、ロシア、フランス、ドイツをまさにこの復興の支援の俎上にのせるような外交的な努力を、まさに国連加盟、国連の拠出金二割を払っている、世界第二位を払っている日本として行うべきではないかということを聞いているのでありますが、総理、お答えください。

小泉内閣総理大臣 私は、国際協調体制を築いていくべきだ、国連の関与を強めていくべきだということは事あるごとにアメリカ側にも表明しておりますし、フランスにおいても、ドイツにおいても、国連においても、米英軍の駐留は認めております。撤退しろなんて一言も言っていません。むしろ国連も、今イラクの復興支援にどうかかわろうかと真剣に悩んでいる、そういう状況で、私は、日本としては、米英軍のみならず、国際社会、フランスもドイツも含めて、関与する形でこのイラク復興支援に当たるべきだという考えを持っておりますし、その努力を続けております。

前原委員 政治家というのは、そういう考え方を持っていて、ではどう行動するのかと。特に、総理は日本国の、まさに国連へ拠出をしている第二番目の大国の総理ですよ。
 ある新聞社のインタビューに前の国務次官補のジョセフ・ナイさん、この方が答えているのはまさに、これは我々と根本の立場は違いますよ、つまりはジョセフ・ナイ氏は、日本が基本計画をまとめて、そしてアメリカに協力することは、それはよかったという前提で言っているんです。それは率直に認めた上で、彼はどう言っているか。巨額の費用も出す、そして実際問題自衛隊も出す、それだけの貢献をする日本が、そういった協力というものをてこにしてアメリカの単独主義行動を、いかに国際社会が協力してそれが構築できるようにするか。そういうために、それをてこにしっかりとアメリカに対して物を言うべきではないか。そして、アメリカも実は国務省と国防総省の中での路線対立がある。そういったものをしっかりと日本も踏まえた上で、人も出す、そして資金も出す、それをてこにして、アメリカにも働きかける、あるいはフランスやドイツにも働きかける、ロシアにも働きかける、そういった努力をすべきではないかということをおっしゃっている。我々は本当にそういう思いを持っています。
 今、総理からは、方向性としてはそういう思いを持っているとおっしゃいましたけれども、ではどういうアクションを起こすのか、どういう行動を一国の総理として行われるのか、そのことについての決意をお伺いしたい。

小泉内閣総理大臣 方向性も一致しておりますが、実際の努力も今まで私はしてまいりました。ブッシュ大統領に対しても、シラク大統領に対しても、シュレーダー首相に対しても、同じであります。これからもその努力は続けていかなくてはなりません。

前原委員 ぜひ積極的に努力はしていただきたいと思います。
 また、先ほど少し触れましたけれども、このたびウォルフォビッツ国防副長官が、アメリカに協力しない国は復興支援事業から外す、こういう物言いをして物議を醸し出しております。おもしろいのは、ネオコンの代表者と言われているウォルフォビッツのその発言に対して、ネオコンの論理的な形成者であると言われている人たちが、愚かだ、こういう発言をしているんですね。ウィリアム・クリストル、ロバート・ケーガン両氏、この両氏はネオコンのいわゆる論理的な支柱というふうに言われていますけれども、その人たちでさえ、何というばかげたことをやっているんだ、発表しているんだと、こういう言い方をしていますが、この協力した者しか復興事業にかかわらせないというアメリカ、特にこのウォルフォビッツ国防副長官の発言に対して、総理はどういうふうに思われますか。

小泉内閣総理大臣 私は、アメリカ一流の外交的駆け引きもあるんだと思います。これからイラクの債権問題も絡んでおります。結果を見守らなきゃどういう結論になるかわかりませんが、今国際協調体制をとろうと努力している最中でありますので、見通しについてははっきり申し上げる段階にありませんが、私は、国際協調体制をつくるためにも、今回のほかの国を排除するということについては感心しておりません。

前原委員 総理が指摘をされたように、外交的なカードに使おうとしている部分もあると思います。十五日からですから、日本でいえばきょうからですか、ベーカー元国務長官がヨーロッパを訪問されて、まさに先ほど話をしたドイツ、ロシア、フランスなどの債権放棄について話し合うと。その前に発表したというのは、まさに総理が指摘をされた部分もあると思いますけれども、ぜひ今答弁をされたように、感心しないということは日本の立場として、私、ちょっとある表を見て驚いたんですけれども、日本の五十億ドルというのは相当な額なんですよね、割合なんですね。
 つまりは、一番お金を出しているのは、今総額で決まっているのは五百五十億ドル、それで、その中でアメリカが出そうと議会が承認したのが百八十六億ドル。その中で、二番目に出すのが、当然これは日本、五十億ドル。一方の攻撃の主体であるイギリスなんて本当に微々たるものですね、EU全体で八億ドルぐらい。そのぐらい大きなお金を出そうとしているわけです。
 これについては、それは立場によって意見の相違があるかもしれませんが、私は、やはり、それぐらいのお金も出す、そして、今おっしゃったように感心しないということであれば、しっかりと発言をする、物を言っていく。
 特に、私は、こういう民主主義国家においては、トップだけが外交の機微をわかっていて外交を進められるような状況ではないと思うんですね。国民の理解、世論の後押しがないと外交というのはなかなかできない。長いスパンで考えたときに、本当に同盟関係が必要ということを思うのであれば、アメリカに対しても言うべきことを言っていかなければ、常にアメリカに対しては弱腰だと見たら、国民が同盟関係に対する疑問を呈する。そういう意味からも、感心しないとおっしゃった総理のその言葉をぜひしっかりとアメリカにも発言をし続けていただきたいというふうに思います。
 さて、次の論点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、総理、イラクにおいて戦争というのは終わっているんでしょうか。アメリカが攻撃をした、アメリカ、イギリスによる攻撃が行われた。アメリカは戦争終結宣言をしましたけれども、本当に戦争は終わっているんでしょうか、どう思われますか。

小泉内閣総理大臣 私は、イラクにおいては、主要な戦闘は終結したけれども、完全に戦闘状況は終わっているというふうには見ておりません。危険な地域もあるでしょう。テロの攻撃もあるということを見れば、完全に終結したとは言えないと思っております。

前原委員 ということは、非戦闘地域、戦闘地域という概念というのは、これは法律の求める要件ではなくて、今の総理だと、実際問題、戦闘地域もある、イラクの中には。そういう判断でいいですね。

小泉内閣総理大臣 実際において、私は、非戦闘地域は存在すると思っております。

前原委員 いや、私が伺っているのは、戦闘地域があると。

小泉内閣総理大臣 非戦闘地域があるということは、戦闘地域もあるということであります。

前原委員 それでは伺いますけれども、二人の外交官が亡くなられたティクリートあるいはバグダッド、そしてそれを一つの三角形の一辺にするスンニトライアングルと言われる地点、これはまさに、いろいろな事件、テロあるいは反撃、そういったものの九三%が集中していると言われている地域ですね。あるいは、日本が今度出すサマワ、これは南部の方でありますが。ティクリートは戦闘地域ですか、バグダッドは戦闘地域ですか、あるいはサマワは戦闘地域ですか。総理がお答えください。

小泉内閣総理大臣 現時点で、どこが戦闘地域とかいうことを限定することは難しいと思います。

前原委員 だったら、何をもって戦闘地域があると判断されたんですか。総理がお答えください。

石破国務大臣 結果としてそういうことは起こり得ることでございますが、この法律において求められていることは、イラクを戦闘地域、非戦闘地域というふうに二分をすることではなく、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域でなければいけないということが求められておるわけでございます。
 現象として、国または国に準ずる云々という現象がイラクの中で起こっている、それは否定し得ないことで、総理がお答えになったとおりでございますが、この法律において求められていることは、自衛隊が活動するところは非戦闘地域ということは委員御案内のとおりでございます。

前原委員 総理は明確に戦闘地域があるとおっしゃったんです。戦闘地域があるし、非戦闘地域があるとおっしゃった。
 私どもが問題としたいのは、これは送られる自衛隊員のためでもありますが、法律の要件で線引きをする概念で話をしたいと思っているんじゃないんです。実際問題、イラクの現状に合わせて線引きをしなきゃいけないと思っております。そのときに、この地域はどうですかということについて答えられないというのは、戦闘地域がある、非戦闘地域があると、実際においておかしいじゃないですか、それが言えないというのは。

石破国務大臣 それは午前の質疑でもお答えをしたことでございますが、私どもは、非戦闘地域でなければ活動してはいけないということがまずございます。しかし、それが国、国に準ずる組織であろうがなかろうが、自衛隊が持ってまいります装備あるいは与えられた権限、持っておる練度等々からして、これはとても危険を抑止もしくは回避することができないということになれば、その地域において活動するということは抑制的でなければいけない。
 それは、相手の主体が何であるとしても起こっておることは同じ。そして、能力、装備、権限、それで回避できないとすれば、そこでは活動できない。これは何ら矛盾をするものではございません。そこは委員おわかりいただけると思います。(前原委員「わかりません」と呼ぶ)わかりませんか。

前原委員 法律の概念で線引きをしなければいけない、つまりは、法律の要件というのは非戦闘地域しか自衛隊は出せない、そういうおっしゃり方はわかります。しかし、現実に送られる隊員からしてみれば、そんな法律の概念で、非戦闘地域と戦闘地域を分けて、その非戦闘地域というものしか送れないということではなくて、実際にイラクに送られるわけですよ、自衛隊員は。そうしたら、送られるところが戦闘地域か戦闘地域でないのかということを確定するのは、決めるのは当たり前じゃないですか。だから私は聞いているわけです。ティクリートはどうですか、バグダッドはどうですか、サマワはどうですかと聞いているわけです。

石破国務大臣 それは、現段階におきまして、基本計画を閣議決定したという段階でございます。それは実施する区域の範囲を定めただけのものでございまして、現在、実施要項というものを策定中なわけでございます。そこにおきまして、活動する区域の範囲というのは、それは非戦闘地域ということになるということでございます。
 それは、委員おっしゃいますように、この条文において、現に戦闘が行われていないところ、そしてまた活動の期間を通じて戦闘が行われることを予測されない地域で活動するということになっておるわけでございますが、同時に、この法律の組み立て方からいたしまして、自衛隊の権限、能力、装備をもって危険が抑止、回避できなければ、それはやはりその地域において活動はできない。二つの意味があるということは御案内のとおりでございます。これは決して矛盾するものでも何でもございませんし、派遣される隊員にさらなる負担をかけるというようなことは排しておるものだと私は思います。

前原委員 ですから、ティクリートはいいですよ。ティクリートは外しますが、実際問題、航空自衛隊を送ることになれば、クウェートあるいはアンマンから実際、バグダッド空港に対しての空輸というのはあり得るわけでしょう。そしてまた、サマワに送るということが言われていますよね。ということになれば、我々からすれば、あるいは自衛隊員一人一人でもいいけれども、単純な質問として、バグダッドは戦闘地域ですか、サマワは戦闘地域ですかと聞くのは何の問題があるんですか。そのことを率直にお聞かせいただきたい。それだけですよ。

石破国務大臣 現在、それでは、バグダッドは戦闘地域かと言われて、そうではありませんともそうですともお答えすることは適当ではないと思っています。
 私が申し上げておりますのは、二つあるんですね。一つは、国または国に準ずる組織であるかどうか。それは主体の問題です。起こっていることは同じであっても、それが国または国に準ずる組織である場合とそうじゃない場合と違います。それが一つ。もう一つは、その攻撃自体が……(発言する者あり)ごまかしていません。よく聞いてください。これは、法律というのはそういうもの。定義をきちんとしないで議論しても意味がありません。一つは主体が何であるかということと、もう一つは、その攻撃自体が行われるのか行われないのか、この二つで判断をしなければいけないと思っています。
 その場合に、バグダッドにおいてそのような攻撃が行われるのか行われないのか。行われないということは、抑止が行われているということを逆に言えば意味すると思いますが、どういう場合にその攻撃の抑止が行われているか、そういうことからして判断をすべきものと考えています。

前原委員 先ほど一番初めに総理は、主要な戦闘は終わったけれども、まだ戦闘状況にある地域はある、したがって、非戦闘地域もあれば戦闘地域もある、こうお答えになって、それについては石破防衛庁長官も同意をされているわけです。つまりは、そこがまさに出発点で議論をしなきゃいけない。
 そして実際問題、先ほど申し上げたように、スンニトライアングルと言われるところに、これは政府からの説明で伺いましたけれども、九三%のいわゆるそういうテロというか、そういうゲリラの襲撃というものがあるわけですよね。ということになれば、そしてまた、イラク、バグダッドでも相当人数が今もまだ、米兵も含めて、残念なことながら亡くなられ続けているわけですよ、実際問題。
 ちょっと古い資料ですけれども、十二月八日、つまり一週間ほど前でありますけれども、アメリカ自身の戦闘終結宣言が行われて以降、米兵で亡くなられた方は百九十二名、しかし敵対行動以外で亡くなられた方は百十四名おられて、全部でいうと三百六名なんですね。事故とか、あるいは自殺という方もおられるみたいですね、自殺されている方がおられる。
 そういうことを含めると、また、さっき申し上げたように、そういう襲撃とかが行われているのは、バグダッドも含めたスンニトライアングルです。もう一遍言いますよ。バグダッドも含めた、バグダッドも全然治安上安全な状況ではない、なかなか守れないような状況にあるということは、これは長官も御存じだと思います。
 しかし、そのバグダッドに航空自衛隊を送るということになれば、バグダッドが戦闘地域か非戦闘地域かということを明らかにしなければ出せないわけじゃないですか。今、先ほどおっしゃったのは、要は実施要項を出す、そして最後に出すときに、バグダッドは戦闘地域か戦闘地域でないかということを明確に国民の前に示す、その理由もちゃんと明らかにするということですか。今言えないということをおっしゃいましたよね、先ほど防衛庁長官は。

石破国務大臣 現在作成中でございますので、それがバグダッドということになるのか、あるいはバグダッドの特定の地域を指したものになるのか、あるいは特定の施設を指したものになるのか、そのことは今決まっておりません。いろいろな議論がございます。
 いずれにしても、その地域というものを、これは基本計画ではなくて実施要項でございますから、その地域をすべて明らかにして、これがなぜそのような指定をするに至ったのかということをすべてつまびらかにすることが必ずしも適当だとは思いません。それは逃げておるわけではございませんで、その地域ということを明定し、そしてなぜその判断をするに至ったかということを表に出すことによって、それを判断するに至った経過における外国との関係、つまりいろいろな情報を交換し、その判断をするに至るわけですね。そしてまた、それを明らかにすることによって、手のうちという言い方をしますのは委員に対して失礼な言い方なのかもしれませんが、それを明らかにすることになる。しかし、いずれにしても、我々が行動を行うところが非戦闘地域でなければいけない、それは相手の主体、あるいは攻撃の有無、この両方から判断をされるということなのだと私は思っています。
 そういうことで、私の理解が足りなければお許しをいただきたいのですが、委員がそこに意味といいますか、非戦闘地域でなければいけない、それは隊員の安全を確保するということなのか、憲法に抵触してはいけないということなのか、どこに着目してそういう御議論をしておられるのか、御教示いただければまたいろいろなお答えの仕方があろうかと思います。

前原委員 いや、簡単なんです、防衛庁長官。
 要は、この法律には、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施されている活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域にしか出せないと法律が書いてあるんですから。だから、そのことをちゃんと説明責任は要りますよと。失礼かもしれませんけれども、結果的に逃げておられることになりますよ、国民に対して。
 だって、この法律に基づいて、まさに今焦点になっているのは、イラクのどの地域が戦闘地域で非戦闘地域なのかということの区別がなかなかつかないといったところで我々議論をしているわけです。法律に基づいて送られるんですか。法律に基づくかどうかというところで、まさにバグダッドの空港に航空自衛隊を送るとすれば、バグダッドが戦闘地域か戦闘地域でないかをしっかりと説明することは、これは防衛庁長官の説明じゃありませんか。
 先ほど、施設とかおっしゃいましたね。では、そのことについて私もつけ加えます。後で質問しようと思ったので。この間、バグダッド空港でC17が被弾しましたね。つまりは、陸は危ない、空は大丈夫だろう、こういうふうに初めは言われていたけれども、実は空も危ないんじゃないかというふうに言われているわけです。だから、そのことも含めて、さっき防衛庁長官がおっしゃったことをなぞらえて言うのであれば、隊員の命も考えて私は質問しているわけです。
 空も危ないかもしれない。つまりは、今、らせん状におりてくる、らせん状にまた上がっていって、できるだけロケット砲など、あるいは地対空ミサイルなどの当たらないような状況の中で訓練をしているという話を聞いていますけれども、実際問題、バグダッド空港の周りですらそういう状況ですね。ということは、もし国民に対して、この法律に基づいてしっかりと説明責任を果たして、バグダッド空港にも行けるんだという説明をするには、まさにバグダッド、あるいはバグダッド空港、あるいはその近くも含めて、どこが非戦闘地域なのかということをやはり明らかにしなきゃいけないと思うんですよ。そうしないと、私は、法律にのっとって自衛隊を出すということにならない。
 ここは大事なポイントなんですよ。ここのポイントが、まさに自衛隊をどこに出すか出さないかの大きなポイントですから、そのことについてはちゃんと説明されなきゃいけないでしょう。

石破国務大臣 繰り返してのお答えで恐縮でございますが、実施要項に示すことになります実施の区域、それをすべてお示しするということは、先ほど申し上げました理由によりまして、必ずしも適当ではないと考えておるところでございます。
 なぜそのような情報を得るに至ったのか、そのことは委員も御経験が深いからよく御案内かと思いますが、なぜそういう判断をするに至ったのかということを決める間にいろいろな情報の交換がございます。それを明らかにすることは、これから先の情報の入手、交換、隊員の安全を確保するものにならないと私は思っています。
 もう一点は、C17の御指摘がございました。同じ考えは、私自身、委員と共有するものでございます。スパイラルでおりてくれば大丈夫だということを言った場合に、それでは、あのカーゴ機、あるいは今回のC17、これを攻撃した兵器が何であり、その射程距離がどれくらいであり、射高がどれぐらいであって、どのようにすれば本当にあのような攻撃ということから守ることができるのかということはきちんと明らかにする必要があると私は思っています。その点は、いいや、わからないからそのままというようなことにはなりません。この点については、私も強い問題意識を有して、確認作業を今最大の努力を傾けて行っておるところでございます。

前原委員 個別の場所をしっかり示すことによって、それが隊員の安全の確保につながらなくなる可能性があるという理屈は一面わかるんです。わかるんですけれども、それは、一番初めに総理に対して私が質問をした政府としての説明責任、では、戦闘地域と非戦闘地域に分けて、非戦闘地域には出しますというふうなことを言うわけですね。そうすると、送られる地域が本当に非戦闘地域かどうかということは説明責任を果たす義務があるじゃないですか。そのことが、まさに隊員や国民への説明責任じゃないんですか。それを隠してしまえば、どこに送ったっていい、この法律がまさに前提として成り立たないということになりませんか。それはやはり隠していること、逃げていることになりますよ。
 そのことが明らかにならないと、私は、それを実施要項でも明らかにしないということになれば、それは大変大きな問題になると思いますよ。

石破国務大臣 委員は決して比較考量という意味でおっしゃっておられるのではないと思います。私は、それを明らかにすることが隊員の安全確保につながらないのでということを申し上げているのであって、それは決して説明責任と比較考量で論ずるべきものだとは思っておりません。

前原委員 では、簡単に防衛庁長官に聞きます。実施要項の中に地名は入らないんですか。

石破国務大臣 現在、策定中でございます。

前原委員 入るか入らないかを聞いているんです。そこのポイントは大事なんですよ。よくわかっておられるでしょう。入るか入らないか、イエスかノーかで結構です。

石破国務大臣 地名というのにどこまで限定をしておっしゃっておられるのか。すなわち、テロ特のときは、行いました活動が洋上でございましたので、東経とか北緯とか、そういうふうな使い方をしたという経緯があったのかもしれません。私も、当時の責任者ではございませんので、つまびらかには存じませんが。ただ、今回は陸上ということを考えましたときに、今、委員が地名とおっしゃいますのは、どこまでを指しておっしゃっておられるのか、お教えいただければと存じます。

前原委員 いや、私が質問しているんです。つまりは、どういう書き方か含めて、地名は入るのか入らないのかと。それを決めるのは政府なんです。私に聞かれても困りますよ。入るか入らないかを聞いているんですよ。

石破国務大臣 基本計画で書いておりますのは、イラク南東部ということを書いております。これも地名といえば地名なのですね。
 それで、実施要項になりましたときにどこまで書くのか。例えば、何々県あるいは何々市、あるいは、日本のように何丁目ということはないでしょう、しかし、何とか地区というような形になるのか。そこにおいて、実施要項の中で定められる実施区域というものがどのような意味を持つのか。すなわち、ある幅を持たせて、つまり、ニーズは可変的なものですから、例えばある地域に水のニーズがあった、それがほかの地域に移るかもしれないということも含めまして、どこまでの範囲で書くのかということを現在検討しておるということでございます。
 そういう意味で申し上げれば、地名という形で、区域を区切った形の定め方になるということは当然あり得ることでございます。

前原委員 それを初めから御答弁いただければもう少し話が進んだと思うんですよ。つまりは、我々が、本当に戦闘地域、非戦闘地域でないのかということについて、やはり説明責任を果たしてもらわなきゃいけない。
 それと同時に、これは総理にお答えいただきたいんですが、きのう、フセイン元大統領が拘束をされて、どういう状況になるのかわかりません。しかし、フセインの残党とともに一番怖いのは、アルカイダなどのテロ組織がイラクに結集をしてきていて、そして、八月ぐらいから、いわゆるソフトターゲット論というのが出てきた。つまりは、アメリカのみならず、アメリカに協力をする、それは国連であろうが民間人であろうが、すべてを攻撃の対象にするということを言って、そしてまた、ブラフかどうかわからないけれども、日本の自衛隊がイラクに足を踏み入れたときには東京がテロの標的になる、そういう話がありました。それは万全を期してもらわなきゃいけないということはありますけれども。
 そういうことを考えると、例えば、今安全だと言われているサマワでも、仮に安全だ、非戦闘地域であると言われても、そういうソフトターゲットをねらうというテロ組織がいる以上は、必ずつけねらわれることになりますね。そのことが、まさに、先ほど総理がおっしゃった、主要な戦闘は行われていないけれども、そういったつけねらうという形での戦闘が行われる可能性というのはあるわけです。
 そうなる可能性がある中で、本当に自衛隊をそういう危険を冒して出す決意をされているのかどうか、もう一度答弁いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクの南東部においても、可能性を言われれば、私は、ないとは言えないと思っています。だからこそ、安全面には十分配慮しなきゃいかぬ。自衛隊を派遣する際には、いろいろ情報を調べて、安全面に十分配慮する。今、比較的安全な地域においても、場合によっては、可能性はどうかと聞かれれば、全く可能性はないとは言い切れないということはやはり認めざるを得ないと思うのであります。そういうことを前提にして、安全面については十分配慮していく、これが私は必要だと思っています。

前原委員 時間が参りましたので最後にいたしますが、私は、実は、今の安全面の確保と、先ほど情報のことを申し上げました、これは極めて私は重要だと思うのは、今回亡くなられた二人の方の遺志を継ぐという言葉が、私からすれば、少し軽々しく言われ過ぎているのではないかという気がしてならないんですね。私は、この二人の方々の殉職というものをむだにしないためには、やはり同じ間違いをしちゃいけない、そういう思いを持っているんです。

 つまりは、特に奥大使についてはCPAの中で本当に主要な役割を果たしておられて、そして、ロシアなんかは大使館からまさにイラク人を外すぐらい、どこから情報が漏れているのかわからないということを、本当にぴりぴりし始めているわけですね。つまりは、CPAに出入りしているイラク人もいっぱいいるわけです。その中で、例えば黒のランドクルーザーで移動していたのはこれは奥大使であるということが、もうCPAの中では明らかになっていたわけですね。そういった意味で、私は、外務省の危機管理に対する甘さというものがあったんだろうと思います。

 私は、本来ならば、お二人に敬意を表し、またお二人の遺志を継ぐということであれば、その安全確保に誤りがあった、あるいは非常に遺漏があったということをしっかりと認めた上で、今後どうしていくのか、情報管理、情報収集、そして危機管理、送った自衛隊員が本当にそういう目に遭わないための準備というものをやはりやらないと、私は、広い意味で、お二人の遺志を継ぐことにならないと思います。

 今、総理がおっしゃったことを、言葉だけではなくてしっかりと、我々はイラクに今自衛隊を派遣することについては反対ですよ、反対ですけれども、もし政府の意思としてやるということであれば、それは、少なくとも今の言葉というものの重みを総理自身がきっちりととらまえて、そして遺漏なきよう努力していただきたい、そのことを私は最後に申し上げまして、質問を終わります。


2003/12/15

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