2003年12月15日

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158 衆議院イラク支援特別委員会−(2)

質問者=渡辺周(民主)、末松義規(民主)、赤嶺政賢(共産)、久間章生(自民)、中谷元(自民)、太田昭宏(公明)、前原誠司(民主)、岡田克也(民主)、穀田恵二(共産)、照屋寛徳(社民)、中川正春(民主)


平成十五年十二月十五日(月曜日)

渡辺(周)委員 民主党・無所属クラブの渡辺でございます。
 今回の基本計画についての質問を用意しておったんですが、先ほど来質問がありますように、昨日の夜になりまして大変大きな状況の変化が飛び込んでまいりました。そのことも触れながら質問をさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、今までの自民党の委員お二方、それから公明党の委員の質問に対しまして、繰り返し、これまでもそうですけれども、答弁されています中で、我が国が自衛隊を派遣するということは、これは兵力を派遣することではないんだということをおっしゃっております。もちろんでございまして、それは、自衛隊を派遣するということによっていわゆる力ずくで占領行政の加担をしたり、あるいは制圧をするということのためには出せないわけでございまして、あくまで国際貢献、そしてイラクの復興支援だというふうにおっしゃってきました。
 そこでお尋ねしたいんですが、しかし残念ながら、イラクの国民の中には、当然、アメリカ、イギリスを中心とする占領軍に対して日本の国が協力をしに来た、何よりも、自衛隊というのは、日本の国内では自衛隊でありますけれども、外国から見れば当然軍隊でございます、実態は。そんなものは今さら議論するまでもないわけであります。
 我々は、逆に言うと、自衛隊などという中途半端な言い方はやめるべきだというふうに私自身は思っております。しかし、我が国では自衛隊である、セルフディフェンスフォースでありますけれども、ただ、向こうの国からすれば、当然、ジャパニーズアーミーがやってきたと。それに対する当然反発も懸念をされているわけでございます。
 そこで、それであるならば、ぜひ私は、日本のこの法案、基本計画を取りまとめた日本政府として、閣僚がイラクに行って、イラクの国民に対して、我々は皆さんの国を、あくまでも人道的な復興支援のために来るのであるということを、イラクの国民に向かって何らかの声明を発表するべきだと。もっと言ってしまえば、私は、イラクに閣僚のどなたかが行かれて、日本国政府の立場を、まさに軍隊を派遣するのではない、皆様方の復興のために力を合わせてやっていくのだということであるならば、行って説明をするべきだと思いますけれども、そのような検討、覚悟はおありでしょうか。どうぞお一人ずつお答えいただきたいと思います。
福田国務大臣 我が国が自衛隊をイラクに派遣することについて国民もいろいろと御心配いただいている、こういうことでございますが、そういうイラクに我が国がなぜ自衛隊を派遣するのか。これはまさに人道復興支援ということに絞られているわけでございまして、武力を行使する、そのために行くわけではない。しかし、必要最小限度の自衛のための手段、これは装備していなければいけない、今の治安状況から考えたらそれは必要だ、こういう判断をしているわけでございまして、一般のPKOにおきましても自己防衛手段というのは持っているわけでございます。
 そういうことで、これから自衛隊派遣する、その際に中東諸国にそういう考え方を説明すべきでないか、それはごもっともなことでございまして、私どももその必要性は痛感をいたしております。
 そこでもって、実は、これは小泉総理の特使として中東各国に特使派遣ということを決めております。そして、もう中東各国に高村元外務大臣、また逢沢外務副大臣に行っていただくということで、逢沢副大臣は先週末に出発をしました。また、高村大臣も今週出発をされる。こういうようなことでもって各国に参りまして、そして各国の首脳に日本の、今これから何をしようとするのか、そして、そういう中東諸国にもイラクの安定のために協力をしてほしい、そしてまた、場合によっては一緒にその安定のための仕事をしていこう、こういう呼びかけをしていこう、こういうことを考えておるわけでございますので、この今の御懸念の点については、我々も、そういう必要性があればもちろんそういうことをしなければいけないと思いますけれども、大事な仕事として今そういうことを始めたところでございます。
石破国務大臣 そういう必要性があれば、私はそういうことは行うべきだと思っています。ただ、委員が、これはぜひとも議論をさせていただきたいと思っているのですが、日本として本当に人道支援に来たんだよということは一生懸命PRをしようと思っています。そしてまた、現地社会の、部族社会の構成もきちんと把握をして、どうすれば我々が人道支援に来たのかということをわかっていただけるような、先ほどまた西田委員の、遠藤委員でしたか、御質問に対してもそういうような、国民の中に入っていこうということも考えています。
 ただ、テロリストというのは、我々がどんなに努力をしようが何しようが、それはやはりねらってくるということはあるのだろうと思っています。我々がやらなきゃいけないのは、一般の善良な、日本軍が来たぞ、いやアメリカの占領軍の手助けに来たぞというような、そういうような反発を本当に多くの国民が持つのかといえば、私は決してそうだとは思っていないんです。そういう人たちにそのような気持ちを持たせないようにするということと、そして、どうであれこうであれ日本に対して襲撃を加えようとする確信犯的なテロリストに対する対策、これは別個にきちんと分けて考えないと妙なことになるだろうと思っています。一種、二律背反みたいなところもありまして、民衆の方々と一緒にやっていくということとソフトターゲット化ということをどのように考えていくか、そこのところは本当に冷静にきちんと考えたいと考えています。
川口国務大臣 先生のおっしゃる、イラクの人たちに、日本がどういう意図を持って自衛隊を送るか、あるいは復興支援をしているかということを直接に伝えるということは、私は大変に重要である、問題意識は全く共有をいたしております。
 それで、我が国として、外務省といたしましても、今までそのことを念頭に置いてかなりのことをやってきたつもりでございます。
 例えば、既にバグダッドの市民の方々からは、草の根無償をやった際に、非常に、日本は口先だけじゃなくて行動をしてくれているんだというようなこと、あるいは、肢体不自由児の施設に対して贈ったときに、涙を流して喜んでいただいたとか感謝状が来ているとか、そういうこともいろいろございますし、例えば、あさって、私は、バグダッドのシティーカウンシルの方が日本にいらっしゃいますので、お話をしてということをやりたいと思っています。また、イラクの暫定評議会の方々とも今まで何人かとお会いをいたしまして、日本の意図についてお話をさせていただいています。
 イラクと並んで、近隣の諸国のテレビやあるいは政府に対してそれを伝えていくことも重要であります。これについても、私は、エジプト、それからチュニジアとか、何人かの政府の方とはお話をさせていただいて、説明をしてきておりますし、また、ごく最近では、イスラムの国も含むASEANの国々との会合がございましたので、そこでもそういう話をしてきているということでございます。この努力は今後とも引き続きやっていかなければいけないと思っています。
 それで、イラクの国内に直接私が行ってその説明をするかどうかということについて、これはどこかの時点で、そういうことができるような時期になったときにやっていきたいというふうに私は思っております。
 今の段階で、これは大使館の人たちの力ということについては制約があります。日本の閣僚が行く場合には、日本の軍隊が警護をするという状況になっていませんので、頼んでやってもらわなければいけないという状況でもあります。
 イラクのテレビ、ここでは今「おしん」も放映をしていて、日本についての理解を深めるということもやっておりますし、その他、この時代ですので、直接行って国民に全部に話しかけるわけにもいかないわけでして、適切な方法をとりながら、委員がおっしゃっていらっしゃるような問題意識は全く共有をしていますので、適時適切に進めていきたいと思っております。
渡辺(周)委員 お三方から御答弁いただいたんですけれども、今外務大臣がおっしゃったのは、どこかの時点でとおっしゃいました。どこかの時点でというのは、それからまたという意味で非常にあいまいでございまして、それはもう余り時期が過ぎたら意味がないわけです。
 つまり、私が申し上げたいのは、自衛隊が派遣命令が下って行く前に、行って、これはイラク国民の皆さんに対して、さっき申し上げたように、制圧をしに行く、あるいは何らかの形で抑圧をしに行くんではない、先ほど来お話がありますように、イラク国民と一緒になって私たちは復興するんです、そしてまた浄水作業や給水事業を通して衛生面での安定やあるいは健康面での貢献に寄与したいんだということを例えばやりに行きますということを言えばいいわけでございます。
 長々皆さん方からいろいろいただきましたけれども、要は、閣僚の方々がイラクへ行くということはあり得ないということですか、今、現状では。
 それは、先ほど石破長官は、必要性があればとおっしゃっています。ということは、御本人としては、行って、イラク国民に、イラクの例えば国営放送などを通して、イラクのどこかのマスメディアに、危険だと言われない地域、例えば南東部に行って、今自衛隊が行こうとしている安全であるというエリアに行って、日本の例えば閣僚が行って、国民の皆さんに向かって説明をします、こういうことで日本の自衛隊がイラクへ来ます、ぜひ御理解いただきたいと言うことはできると思うんですけれども、その点についてもう一回、では防衛庁長官、必要性があればとおっしゃいました、その点については、しかるべき時期に、近いうちに行く覚悟はおありだということでよろしいですか。
石破国務大臣 それは、覚悟という意味であれば、それがなければ私はこんな仕事をやってはいけないことだと思っています。
 問題は、今外務大臣からもお話がありましたが、日本の閣僚が行く場合に、それではオランダに警護をお願いします、アメリカに警護をお願いしますと言うことができるのか。それは恐らくどの国もやっていないことです。その態勢が最低限、最小限できるということが必要なんだということです。それはそういうものなのです。
 それで、覚悟はあるのかということであれば、それは当然あります。
 そして、どうすればそれが一番有効に伝わるだろうかということ。そのことで私は必要があればと申し上げたのであって、これはいろいろなイラクの方からも御意見を聞いて、何が一番効果的な、日本のやろうとしていることを国民に伝えることなんだということを、現在、当庁といたしましても、関係省庁と御相談をしながらプロジェクトを考えておるところでございます。
渡辺(周)委員 それでは、直ちには行かない、それはいろいろな、オランダ軍や米軍に対して警護をお願いしなきゃならない、そういうことが非常に難しいからだと。しかし、覚悟はある。
 であるならば、私は、なぜこういうことを申し上げたかといいますと、これから自衛隊、大前提を申し上げますが、我々は反対でございます。それは、今までのこの委員会での、あるいは予算委員会やさまざまなところで討論をしてまいりました。これは何度も繰り返した議論でございます。これは、つまり武力行使を認めたものではない国連決議である、それから、やはり今度は大義なき攻撃であったということも含めて、我々は一貫して反対をしてきました。ですから、非戦闘地域を前提に活動を展開するこの法に基づく自衛隊派遣については、これは法的に無理である、こういうことを今まで一貫して言い続けてきました。
 しかしながら、基本計画が定められて、そしていずれ派遣命令が出れば、今いろいろ言われているように、もう既に準備が整って、先遣隊が、航空自衛隊が行く、そしてまた北海道の旭川第二師団が行くということになった場合、もし行くというときに、彼らの役割を全うしていただくためには、やはり、少しでも危害が及ぶことを、私たちは日本の政府として、行くからには、送り出す側は、その点をイラクの国民に、私はやはり余計な、今まで言われているような、日本国内での議論では通用するかもしれませんけれども、向こうの国に対してやはり理解をしてもらわなければいけない。
 だとするならば、私は、日本の政策決定者がその国へ行って、国民に、我が国の部隊はこういうことで来たのであって、あなた方に銃口を向けるために来たのではないということを説明することが、派遣される自衛官の危機の度合いを下げることにも当然なると思うわけであります。ですから、そういうことを申し上げました。
 ですから、その点については、覚悟はもちろんおありだとは思います。それならば、ぜひ私たちは、行く方向で、派遣をしていただきたいというふうに思うんです。それがやはり、非常に厳しい、恐らく今地球上に存在する中で最も危険な地域に行く自衛隊の方々に対して、私は最大限政府ができることであろうというふうに思うんです。ですから申し上げました。
 さて、そこで、もう時間が、長い答弁をいただきましたのでちょっと予定の時間を過ぎましたけれども、次の質問の中で、一つ。
 昨日の大きなニュースで、フセイン元大統領が拘束をされた。先ほど来繰り返されておりますけれども、フセイン元大統領が拘束されたことによって、捕まったあの現状を見ますと、変装をして、二メートルぐらいの穴蔵の中に潜んでいた。しかも、おつきが、どうも二人がそばにおったけれども、本人は、何かライフル銃を一丁抱えて息を潜めていた。また、あの風体から見ると、私は、かなり長い間潜伏をしていたのではないのかな。そうすると、外部の、いわゆるフセイン残党と言われるイラク国民に対して何らかの意思の疎通があったかどうかというのは非常に考えにくいことである。だとするならば、イラクの今起きている、いわゆるフセイン派、フセインの残党勢力によるゲリラ、テロ活動は、フセインが生存しているかどうかは別にしても、勝手に行われてきたことであろうと考えるのが妥当だと思います。
 だとするならば、フセインが、言葉は悪いですけれども、生け捕りにされた、これは生きて捕獲されたことによって、捕らえられたことによって、これから、先ほどお話もありましたように、法廷の中でいずれの時期かに引き継がれて、つまり、フセイン政権下で、独裁政権がやってきたあらゆる非人道的な圧制に対しての評価、あるいは裁きが行われるわけです。
 ですから、私は、歴史を一つ解明する上においても、生きて捕らえられたということは評価すべきだというふうに思います。これがもし亡くなっていたんであれば、あらゆる歴史的な事実がやみからやみに葬り去られてしまうというふうに思うわけでございまして、ただ、だからといって、いろいろ指摘されているように、フセイン元大統領が拘束されたからといって、これでフセイン残党の抵抗活動がなくなるかといったら逆でありまして、あってもなくても恐らく同じような危機は続くんだろうと思います。その点に対しての認識を一つ、どうとらえているかということ。
 そして、フセイン政権が、フセインが捕らえられたことによって、フセイン元大統領というのは、現状で、どういうある意味では今後国内の展開が行われるか、日本政府は今後の展開についてどう見ているか、その点についてお答えをいただきたいと思います。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 フセイン大統領が捕らえられて今後の国内の展開がどうなるかという御質問の趣旨がきちんと私、把握できているかどうかよくわかりませんけれども、イラクの国内において、我々が期待をしていることは、これによってフセイン政権が再びできるということははっきりなくなったということの認識がなされ、そして、そのことが、国内においてさまざまなグループがあるわけですけれども、そのグループが一致団結をしてイラクの復興をやっていこうというところに、直ちにということではありませんが、つながっていくという重要な契機になるというふうにしていかなければいけないというふうに考えます。また、そのようになることを期待をしているということであります。
 おっしゃったように、フセインがどれぐらいテロを組織的に行わせていたかということについては、これは、今後尋問があって事実関係がはっきりしないと、今の段階ではよくわからないということであるかと思います。さまざまな勢力がイラクの国内に入ってテロ行動をやっているわけですから、その人たちが、直接に指示を受けた、あるいは受けなかったにせよ、フセインがいるということを何らかの支えにしてやっていたという可能性もあるわけでございますから、今後しばらく時間が、直ちに物事が解決をする、いい方向に向かうということではないにしても、このことが今後の治安の安定化につながっていくということを期待をいたしていますし、そのようにしなければ国際社会としていけない、これがそのための最近の時点における最大の契機になるということであるかと思います。これを生かさなければいけないというふうに考えております。
渡辺(周)委員 きのう、拘束されてから、血液鑑定、DNA鑑定で本人だと確認された。これからいろいろ尋問が行われて、どのような経緯で今日まで潜んでいたのか、あるいは、現在ゲリラ活動を行っている親フセイン派とどのような意思疎通ができていたということも、これはいずれ明らかにされる、刻々と出てくるでしょうけれども、この状況下において、やはり自衛隊が派遣をされた場合に何が起きるか。その中で、例えば日本の外務省の情報収集、情報管理。
 先般、日本の大使館員お二人の方が、奥大使、そして井ノ上一等書記官があのような形で不幸にも絶命、命を落とされました。その問題をちょっと繰り返しますと、例えばああした活動をしているときに、日本の大使館なりあるいは諸外国との連絡の中で、ああいう危険は未然に防げなかったのだろうか。なぜ危機回避ができなかったのだろうか。現地において、一体どういうふうなことを、機能がなされているのだろうか。
 つまり、これから、基本計画にもありますけれども、バグダッドにある、例えば日本の大使館と、そして派遣されるであろう自衛隊の方々が、これは当然連携を密にしてやっていかなきゃいけない。自衛隊の方々にしてみると、行っても、初めて行くようなところ、初めて行くところ、全く現地の状況もわからなければ現地の地理もよくわからない。そして、その中で活動せよと。
 しかし、今、残念ながら、日本の大使館にいらっしゃる方が七名ですか、たしかそういうふうに聞いておりますけれども、その方々の能力で、いかにしてこの日本の自衛隊の活動を支援することができるか、あるいは情報提供という、危機管理上の情報提供ということにおいても非常に心もとないと思うわけですけれども、まず、このお二方が亡くなったことについて、一体、日本の外務省は現状でどこまで事実関係をつかんでいるのか。
 つまり、だれの手によってこのようなことになったか、なぜ事件発覚まで時間がこれだけかかったのか。そして、ひょっとしたら、大使館を出てから事件に遭うまでの間、何者かにつけられていたんじゃないか、だとするならば、日本大使館の中での情報管理は一体どうなっているのか。こういうことは何か検証されて、今は、事件発生から現状までに、危機管理上のそうした反省は何か生まれているんでしょうか。その点についてはどうなんですか。
川口国務大臣 事実関係につきましては、既にいろいろ御案内でいらっしゃるというふうに思います。事件の後、一時期若干違う情報が流れたということはございましたけれども、それは、それぞれ初動の態勢での聞き込みの際に異なった情報があったということでありまして、これについては直ちに訂正をされたということであります。
 我が国として、今後二度とこういうことがあってはいけないということで、安全の確保についてはさらに十分にいろいろな配慮をいたしております。今後も引き続きそういう状況を、また、必要に応じ、さらに必要が高まるということでありましたらば、それを行っていきたいというふうに思います。
 情報につきましては、イラクの治安の情報、あるいはイラクのまさに支援のためにどのようなニーズがあるかという情報、いろいろな必要な情報がございますけれども、そういったことについて、我が国のイラクにある大使館は、直接に、あるいは他の大使館等々と、CPAも含みますが、連携をしながら情報をとってきております。
 また、我が国のような、みずからの武装した日本の警備が大使館にはいないという状況を踏まえまして、どうやったらば一番身の安全が確保できるかということについても、さまざまな工夫を凝らしてやってきているわけでございます。
 今後、自衛隊の派遣ということがありました場合に、おっしゃったように、基本計画では、日本の大使館が、自衛隊の部隊あるいはイラク復興支援職員と必要な情報の交換を含めて連絡を密接に行って、一致協力をしてイラクの復興支援に取り組むというふうにされているわけでございまして、我が国として、在外公館においては、可能ないろいろな強化、あるいは本省からの支援を行いまして、そういった必要に応じていくという考えでおります。
渡辺(周)委員 いや、私まず最初に聞いたのは、このお二人の外交官が殺害された背景、その点について、あるいはなぜこの方々がねらわれたのかということについて、日本の外務省は今どこまで把握していますかということです。それをお答えいただけますか。
川口国務大臣 今調査を続行中でございまして、今行っていてわかったことについては、これは外にお出しをすることにしておりますので、新聞等で報道されているとおりでございます。だれが犯人であったか、それから、もし必要でしたら新聞等に報道されていることを繰り返しますけれども、どのようなことで、状況下で殺害をされたかといったようなことについては、確たる情報といいますか、これがそうであるという答えというものはまだない状況でございます。
渡辺(周)委員 以前、党にも外務省の方が来られて、この事件のことを報告に来られました。まさにおっしゃったように、そのように聞いています、そのように聞いています、あるいは、新聞に出ていることがすべてですみたいな話だったわけですね。我が党の人間が質問すれば、一番悲しい思いをしているのは我々です、同僚だった我々ですと。そんなことはもちろんわかっています。
 だからこそ、なぜ日本の外務省が、その無念を晴らすためであるならば、もっとそれを調べないのか。一体、もう事件があってからこれだけの日数がたっているわけです。いまだに調査中、調査中と言って、全然出てこない。つまり、背景に何があって、なぜ日本の外務省の人間がねらわれたか。もっと言えば、これは言いたくないことですけれども、外務省の中に、何らかの形でひょっとしたら中から情報が漏れていたかもしれない。この方々がティクリートに向かう途中、どのルートを通っていくということが漏れていたのかもしれない。ひょっとしたら何らかの内通者がいたかもしれない、周辺には。これはどこで情報が漏れたか。
 そういうこともわからなくて、これだけ大きなオペレーションを、これから自衛隊が行く。日本の大使館の中でまさについさっきまでいた方が亡くなったという事件について、全然日本の大使館がその検証もされていない、全くわからない。にもかかわらず、現地に大体行ったかどうか。日本人ジャーナリストは三人も行っている。ところが大使館の人間は行っていない。だれが行ったんだと言ったら、大使館を警備しているイラクの警備会社が行きましたと。このイラクの警備会社という人たちが一体何者であるかも全然我々はわからないわけですね。そこにすべて任せてしまって、それで遺体も車もCPA、米軍の管轄下の中に置かれている。結局、見せられたのは自動小銃であのような無残な形になった四輪の写真だけですね。専門家が一生懸命いろいろテレビ等で分析していましたけれども、なぜ日本は主体的にこの問題についてかかわっていないのだろうか。つまり、お二方が亡くなった、大変使命感に燃えたお二方が、若きお二人がこのような形で絶命したにもかかわらず、日本政府の手で何とかしようという姿勢が全然見られないわけです。そのことに対して情報が全然、何か落ち度があったんじゃないのかと。
 つまり、そのことについてやはり謙虚に反省をして、もうこれ以上言うと時間がなくなりますけれども、その情報管理もできないところで、言うなればバグダッドの日本大使館が司令塔ですね、コントロールタワー、そこに、その情報をもとに日本の自衛隊が大変な規模で行くわけですよ。それが、自分たちの内部の危機管理体制ができているかどうかも我々もわからない、そこに果たして行かしていいものだろうか、そのように考えるのは当然であります。
 ですから、今回のことについて、先ほど、お知りになりたいことがあったら新聞をお持ちしますと言うけれども、そんなものは我々も持っているわけでございます。一体どこまで日本の大使館は現状を把握しているのか。言えないことがあるんなら言えないと言っても結構なんです。これは実はこういうこともあるけれどもここでは言えません、アメリカとの関係の中でこういうこと、それならそれで納得しますから。一体どうなっているんですか。
川口国務大臣 あの不幸な、残念な事件が起こりました後で、即刻現場に行ってその調査をしたいと言ったのは上村臨時代理大使であります。我々はそれをとめたわけです。それはなぜかといいますと、大使館員があの時点であそこに行くということは二次災害のおそれが十分にあった、そしてそれはCPAにおいても同じような意見でありました。その状況は、あそこの地帯であればいまだに続いているということであります。我々としては、二次災害を起こすということは避けなければいけないということは強く思っているということであります。大使館の人たちは引き続き、とにかく無理をしてでも行きたいというふうにまだ思っているということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
 それから、みずから行かなかったということでありますけれども、大使館としては、自分にかわって、むしろ調査という意味では専門的な知識を持っている人たちを派遣いたしました。だれを派遣したかということについても、これは、その行った人たちの安全の問題がございますので、ここで今申し上げることはできませんけれども、そういった調査の専門家であります。そういった専門家の意見とそれからCPAの、あるいは米軍の調査等々を我々は調査の材料とし、日本の警察当局とも御相談をしながら今調査をしているということであります。
 プレスの方が行かれたということでありますけれども、プレスの方がプレスというサインをつけて行く場合と、大使館が行く場合と大きく異なっている。ですから、我々としては、これは内容についてわかったことは、はっきりわかったことは外に出していくということが重要であると思っていまして、その時点では国会が開かれていなかったので、結果的には我々が明確に言えることについては新聞に出させていただきましたし、それから、そこで出していないということは、だれが犯人であるか、いつそれが起こったか、どういうやり方で殺されたかというようなことについては、今引き続き調査をしておりまして、何もはっきり完全なことが言えないということであります。
渡辺(周)委員 それならば、この事実関係についてはまだ調査中であると。だから、それも調査中、調査中と言って、全くどういう状況下において、つまり、日本人をターゲットとしたようなことがもしあるのであれば、何にも結論がまだ出ていないのであれば、自衛隊は行くべきじゃない。日本をねらった、もしこれが何らかのテロ攻撃だということになれば、これは、どう考えたって、行ってターゲットになるようなことを今すべきではないということなんです。
 つまり、外務省の職員が二人もう既に現実問題として犠牲になっているにもかかわらず、その背景も何も全然わからない、調査中、調査中と。片っ方では、自衛隊はもう近く行くんだというようなことになれば、もしこれが日本人をターゲットにした、日本をターゲットにしたテロであるならば、これはもう絶対に行かせることができないわけです。もう死にに行くのがわかっている、あるいは攻撃を受けるのがわかっている、非常に危険な目に遭うのがわかっていて行かせるという決断はできないわけでございます。つまり、判断するその材料すら今ないじゃないかということなんですね。ここなんです。
 これは、外務省で例えば調査委員会でもつくってこの点についてはやっているんですか。それを最後に確認します。
川口国務大臣 外務省におきましては、その事件についての通報がございました直後から、緊急対策本部を私を本部長として設置をいたしまして、そういった事実関係の解明等々について引き続き取り組んでいるところでございます。
渡辺(周)委員 とにかく自国の国民がもう既に二人現実に被害に遭っているわけです。そのことの原因究明も結局結論も出せなくて、片っ方では、南東部に行く自衛官は安全である、戦闘地域ではないというふうなことには、非常に整合性に欠けるわけでございます。その点についてはここで申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 ちょっと時間がなくなりましたので、幾つかに絞って質問をいたします。
 実際、自衛隊が派遣をされるこの場所、今、劣化ウラン弾による被害というものが、先般ある独立の調査機関から、カナダだったでしょうか、出ました。この点について、劣化ウラン弾が使用されたという認識は、防衛庁長官はおありかどうか。そしてまた、このような汚染された土壌の上で活動するということについては、当然健康被害が懸念されるわけでありますけれども、その点についてはどのようなことを考えているのか、それが一つ。
 それから、続けて防衛庁長官にお尋ねをしますけれども、いわゆる市民と何らかの意図を持ったいわゆるテロリスト、ゲリラ、この人たちとの区別が非常につかない中で、当然隊員たちにしてみると最悪の事態を想定するわけです。日本の自衛官が何らかの形で襲撃を受けた場合もそうでありますけれども、もし日本の自衛官が相手国の国民に対して殺傷した場合、この場合はどう想定していらっしゃるか、その場合はどういうことが今後考えられるのか、その点についても当然考えていらっしゃると思いますけれども、その点についてお尋ねをしたい。
 それからもう一つお尋ねをすれば、そのぎりぎりの極限状態の緊張下の中で、もうこれはアメリカの例を見るまでもなく、行った人間がかなり、これはベトナム戦争以来ずっとそうです、いわゆる外的なあるいは精神、心因的ないろいろ傷を負っている方々の結果が幾つも報告されているわけでございます。その点、もし日本の自衛官がこれで行くとなった場合に、そのメンタルケアはどうされるのか。その点について、これは通告の中にはないかもしれませんけれども、一生懸命探されてもないかもしれません、このメンタルケアをどう考えていらっしゃるか、現地で。その点について、ちょっと三点お尋ねします。
石破国務大臣 後ろの方からお答えをいたします。
 確かに、おっしゃるように、相当極限の精神状態ということになると思っています。そうなった場合に、メンタルヘルスケアというものをどういう形で行うか。それは、私どもの医官は、先生よく御案内のとおりでございますが、総合臨床医ということでありまして、すべてのことができるようになっております。しかし、そういうような精神的なケアというものができるようにというのは、今回のことに始まるわけではなくて、テロ特の場合にもそういうことを考えてまいりました。あるいは、そういうようなことのカウンセリングが行える、そういうような能力を持った隊員も派遣をいたしまして、そういうメンタルな意味でのサポートというものをきちんとしたい、このことも、庁内で今検討をいたし、実効性を持たせたいと思っております。
 その次に、誤って群衆といいますか、イラクの方が負傷したらどうなるのだということでございますが、これは、結局のところは国外犯の規定をどのように考えるかということだと思っております。
 原則的に過失犯は国外犯となっていないのは御案内のとおりでございます。そういたしますと、過剰防衛でありますとか誤想防衛の場合をどのように考えるかということになりまして、その場合に違法性阻却事由としての正当防衛、緊急避難というものをどのように考えるかということになります。
 ただ、私といたしましては、行動基準に従って行動した隊員というものの責任というものは、基本的にこれは問うてはならないのだろうと思っていますが、誤想の度合いあるいは過剰の度合い、それがどのような判断をすべきかというのは、これは、従来の国内法あるいは判決との関係で考えていかねばならない。そういう場合にどういうことになるか、これも場合分けをいたしまして、いずれにいたしましても、隊員の安全ということを第一に考えてまいりたい。
 しかし、相手方に本当に誤想あるいは過剰の防衛行為によって危害が生ずることがないように、それはやはりROEというものを、どんなに頭で教えましても、体で会得する、そして、瞬間にどういう判断ができるか、これは実際に試してみるということができませんものですから、本当に事例を重ね重ね、瞬時の判断ができるような能力を向上させる、これ以外になかろうと思っておるところでございます。
 冒頭の劣化ウラン弾のお話、お答えが逆になって恐縮ですが、劣化ウラン弾についてはどうするかということでございますが、劣化ウラン弾について、実際に被害があったかどうか。
 例えば、IAEAのウエブサイトを見てみますと、ここに、劣化ウラン弾の被曝とがんその他の重大な健康上あるいは環境上の影響の増大について、信頼できる科学的証拠に基づいて証明された関連はないという記述がIAEAのウエブサイトにございます。あるいは、WHOのファクトシートを見てみますと、劣化ウラン弾による環境への影響は着弾地点の数十メートル四方に限定される、こういうふうに記述がございます。
 今回のイラクに派遣されておりますアメリカ中央軍でございますが、アメリカ中央軍がどのように言っておるかと申しますと、劣化ウラン弾が何かに当たったとき、もし危険があるとすればその残滓からであり、それが実際の効果を生むためには直接接近し摂取されなければならない、直接接近をしてそれをとるということでなければならない、このように書かれております。
 私ども、劣化ウラン弾を有しておりませんので、実際にこれまた試してみるというお話には相なりません。しかし、このIAEA、WHO、そういうような国際機関においてそのような記述がなされておるということを考えてみましたときに、それでもなお残存する危険というのがあるとするならどのようなものなのか、それを検知するために何を持っていくかというようなことは、当然考えていかねばならないことだと思っております。
 私が申し上げたいのは、IAEAあるいはWHOにおいて、そういう国際機関において、そのような危険があるとは言われていないということが事実であるということ。そして、中央軍の見解によれば、それを直接摂取した場合には影響がある。では、どのような場合にそういうことが起こり得るのかということまできちんと考えていく必要があるだろうと思っております。
渡辺(周)委員 今の劣化ウラン弾の問題については、これは、防衛庁長官として今現状をどう判断しているのか。つまり、これを、米軍が今回の戦争で使用したその残ったものが当然のことながら存在する危険性を排除できないというふうに考えているのかどうか。そのために、当然のことながら、自衛隊の行動については細心の注意、あるいは行動範囲においても影響を与えるわけでありますけれども、その点について、IAEAや何とかというのはわかります、防衛庁長官はどう認識していらっしゃいますか。その対策はどうしますか。
石破国務大臣 あるいは、サマワにおきます放射能汚染の事実関係は、私どもよりも外務省にお尋ねをいただいた方がより適切なお答えが得られるのかもしれません。
 アメリカ軍として劣化ウラン弾を保有しているということは、このイラク戦争の期間も申しておったと私は記憶をいたしております。しかし、保有をしておるということは申しましたが、実際にそれを使用したというふうにアメリカの方が認めたということを、私としては確認しておりません。それが事実として申し上げられることでございます。
渡辺(周)委員 だとすれば、これは確認をするべきじゃないですか。それは、ここで、いや、確かに使いました、このぐらい、どのぐらい使いましたと、それは公にできない部分も、米軍のも。しかし、もしここまで日本が日米同盟を基軸にやるというんであれば、自衛隊のその外敵テロ、外敵ゲリラから身を守るということ以上に、この果たして行くところが大丈夫なのかどうか。
 つまり、放射能汚染をされて被曝をするような可能性があるところで、もう既に一部そういうことが報じられているわけですね。そこで、自衛官は行かされる。果たして自分は将来大丈夫なんだろうか。将来、そういうことで自分の健康はどうかなるんではないだろうか。当然、そういうことも考えられるわけでございます。その点については、米軍に今確認していないと言いますけれども、派遣する前に確認すべきじゃないですか。どうですか、長官。
石破国務大臣 私どもは劣化ウラン弾を持っていないということと、では、そういうような放射能による障害についての知見がないのかということは別個の議論だと思っています。
 私どもとして、そういうような放射能の影響について、それは、広島、長崎のあの悲惨な例から、いろいろな知見を私どもは得ておるということがございます。他方、劣化ウラン弾を使っていない、少なくとも使ったと言っていないということが一つある。そして、知見を持っているということがある。さらに言えば、いろいろな国際機関によって、直接摂取をした場合には影響があるということが言われている。だとした場合に、私どもとして、どのような装備を持っていき、先ほどどなたかの御質問で、bあるいはcに対する装備を持っているのかという御質問があって運用局長からお答えをいたしましたが、隊員が安んじて行動ができるようにするというのは、それは政府の責務だと思っています。したがって、直接摂取していないから大丈夫なんだ、することは想定されないから大丈夫なんだというようなことを私は申し上げるつもりはございません。どうすれば隊員が直接摂取をするようなことがないような形がとれるかどうか。
 委員お尋ねの、使ったか使わないか米軍に確認してみろということがどれぐらいの実効性を持つものかということも含めまして、隊員にそのような不安が生じないような策は、劣化ウラン弾につきましても懸念が生じないような対策はとってまいりたいと思います。
渡辺(周)委員 確認ですが、それはアメリカに対して確認。昨日のテレビの報道番組の中で、そういう事実があった、そして、実際、何かジャーナリストが計測器を持ってそれをはかっていたわけですね。ですから、その点についてちょっと御確認いただいて、やはりそれについては、アメリカに対してその確認については全力を尽くしてその情報を共有していただきたいというふうに思うんです。ちょっともう数分しかありませんから、その点についてはぜひともやっていただきたい。
 それから、先ほどの、もし民間人に対して何か危害を加えてしまったらどうなるのか、その交戦規定というのはまだ明らかになっていません。これもまた今後議論すべきところではありますけれども、ただ、現地に行って、その極限の状態の中で、例えば水を、市民が受け取りに来るのか、あるいはどこかへ行って供給するのか、その辺についてもちょっとわかりませんけれども、その群衆の中に、一般市民であるかそうでないかということがわからないんですね。それに対して、当然、相手がもし、何かの奇声を上げた、あるいは何かの威嚇をした、そういう連中もいるでしょう。そういうことを考えますと、これは、例えば、かつて、このイラク戦争が終わった、終結直後、米軍に対して、要はイラクの若者が車の中からばり雑言を浴びせる、それだけで彼らはひれ伏せられて銃を突きつけられるわけですよ。つまり、それぐらい神経も過敏になっている。
 つまり、もしそういう似たようなことが起きた場合に、果たして日本の自衛隊が、これまでそうした訓練をしたこともない、まだ実際の経験もない、つまり治安維持を今まで行ったことがない自衛官が、この国へ行って、全く文化も言葉も違う国民に対して、どのような形で一般市民といわゆるテロリスト、ゲリラを見分けるのかということについては、非常にこれは不可能に近いことだと思います。
 その中で、もし何か起きた場合はどうするかということは、当然検討はされているんですね。それは、起こり得る蓋然性の高い話だと思いますよ。
石破国務大臣 検討しております。それは、あらゆる場合を想定いたしております。
 ただ、ROEのお話と、あるいは相手がだれであれ、正当防衛、緊急避難はなし得るということは、これはきちんと峻別して議論をしていかねばいけないことだというのは、先生御案内のとおりでございます。
 そのあたりを整理いたしまして、私どもとして、いずれにいたしましても、相手がテロなのか群衆なのか、それとも全くそういうようなこともなく単にキャッと奇声を発しただけなのか、いろいろな場合分けをしながら、まず何をすべきなんだということ、初動の対応、瞬時の対応、そのことについてすべての場合分けを行っております。
 おまえたちは、というか自衛隊はそういうことをやったことがないじゃないかと言われます。ないことを私はある意味とても幸せなことだったと思っていますが、だからといって、じゃ、ずっとそういうことに備えなくていいのかといえば、そうではないでしょう。
 ですから、そういうことがこれからもないことを祈りますが、しかし、それに対する瞬時の対応ができる訓練というのは、ありとあらゆる場合を想定してやっておるということでございます。
渡辺(周)委員 では、最後の質問をして終わりにしますが、例えばこのオペレーション、活動を休止し、あるいは撤退する場合、この場合は、どのような状況が起きた場合には撤退せざるを得ないのか。
 例えば襲撃を受ける、テロを受ける、戦闘、いろいろなカテゴリーがあるわけです、危害を受ける場合。しかし、現場で活動している人間にとってみると脅威の度合いというのは同じなんですね、その実態がどこであるか、規模はどうであれ。その場合にどの時点で活動を休止するのか。
 そして、その先では、例えば休止して、例えば支援活動ができなくなったという場合は、どの時点で判断するか。つまり、客観的な基準はあるのでしょう、襲撃という場面、テロという場面。つまり、元防衛庁長官の久間さんは、日常的に爆弾が落とされ、弾丸が飛ぶところだ、それが戦闘地域だ、単発的なテロがあっても、それは戦闘地域とは言えないというような言い方も、ある新聞のインタビューの中で言っております。つまり、戦闘とテロと襲撃、どういうふうにカテゴリー分けをするのか。
 これは、長官はどのように判断して、例えば休止をすべき段階では、この時点になったら活動を休止するということはお考えでしょうか。その点についての御見解をいただいて、終わりたいと思います。
石破国務大臣 結局、戦闘地域と判断されるようになれば、それはだめだということでしょう。そして、非戦闘地域という判断が継続したとしても、自衛隊に与えられた権限、装備、能力をもってして、その危険を避け得ないということになれば、これもだめだということなのでございましょう。その両方なんだろうと思っています。
 私は、ですから、いつも申し上げますが、戦闘地域がすべて危険なわけではない。戦闘地域で危険な地域、戦闘地域で安全な地域、非戦闘地域で安全な地域、非戦闘地域で危険な地域、四つあるわけですね。
 いずれにしても、戦闘地域になってしまう、あるいは危なくなってしまう、そういうことになりますと、これはまず危険を回避するために避難をし、そして指示を待つということになりますが、やはり私は、撤退ということを考えたときに、それは法律の要件を満たさなくなった場合ということなんだろうと思うのであります。
 では、どこまで行けば満たさないのということを、ここで、例えばこういう状況になれば満たしませんということを、類型的といいますか、画一的といいますか、定型的といいますか、そういうふうに申し上げることは極めて難しかろうと思っています。
 しかし、それが、私どもがるる申し上げております、何をもって戦闘行為と判断をするか、それに該当するような場合、あるいは、危険というものは、装備、権限、能力と申しましたが、それを超える場合、それはある程度明確な判断が、あるいは、何というんでしょう、抑制的なといいますか、判断、それを顧みず行けという意味ではなくて、それをある程度は、そういうことにならないようにという抑制的な、そういう意味で言葉を使っておりますが、そういうような判断をなすことになるのかなという気が個人的にはいたしておるところでございます。
 いずれにしても、憲法に触れるようなことはしてはならない、そしてまた、自衛官の安全はきちんと確保する、それが私の考えでございます。
斉藤委員長 時間が参りました。
渡辺(周)委員 では、同僚の議員に譲りますが、とにかく、我々が懸念するのは、戦闘状態ではない、襲撃は受けたけれどもこれは戦闘状態ではないんだ、だからオペレーションを続行するんだというようなことでずるずるずるずるいってしまうのが一番悪い。ですから、そこについては今後議論を深めることにしまして、同僚の議員に譲りたいと思います。
斉藤委員長 次に、末松義規君。
末松委員 民主党の末松義規でございます。
 きょうは、官房長官がちょっと記者会見で今出られているということでございますので、官房長官に対しては副官房長官にお願いをしたいと思います。
 まず冒頭、私の外務省時代の同僚でもございました奥大使、それから井ノ上書記官に対して、哀悼の意を表させていただきます。
 その上で、先ほど外務大臣が、現地のティクリートですか、あそこで、今、渡辺議員の質問に対して、調査をするという中で、まだ大使館員が一人も行っていない、ただ、大使館員としては、現地に調査をしに行きたいんだという意向は持っていたというお話がございました。
 あの事件から二週間以上たっているわけですけれども、思うに、アメリカから、今度の事件の調査にはフルサポートをするよと、国務長官からもそういうお話が外務大臣にあったと思いますが、それであるならば、アメリカにフルサポートしてもらって現地に調査に行くということ、これが筋だと思うんですが、いかがですか。
川口国務大臣 これは犯罪の捜査でございますので、我が国としては、しかるべき我が国内のそういったところを担当するところとも御相談をしながら、ただいま進めております。
 それで、これは、そこの現場に行きたいという気持ちは大使館の人たちはもちろん持っているわけでございますけれども、そこで何を調べる、どういうことを見るかといったようなことについて、これは十分なその専門的な知識を持った人が行かなければいけないということでございまして、今、イラクの大使館にはそういう人たちは直接には今の時点ではいないということでございます。
 それで、車も今バグダッドに戻ってきておりますし、その写真もあるということで、一体どういう武器が使われたとか、いろいろなことがまだあるわけでございますけれども、そういうことにつきましては、十分に御相談をしながら今進めている、そういうことでございます。
末松委員 何か答弁が変わっていくんですよ。二次災害が起こるのがいけないから、だから大使館の関係者を行かせるべきでないというのが、あなたの先ほどの、ちょっと前の私の同僚議員に対する答弁だったんですよ。今あなたの方で、専門的知識がなければ調査ができないとおっしゃいましたよね。ならば、日本からその専門知識を持った方を呼ぶような努力はしているんですか、いないんですか。
川口国務大臣 私は矛盾したことを申し上げているわけではありませんで、あの夜、向こうの時間では夜でしたけれども、とにかくすぐにでも現場に行きたいということは大使館からあったということでございます。
 それについては、二次災害の危険があるということでとどめ、そして警備当局からも、あの日いろいろな事件があそこで起こっているわけでございまして、その後も引き続きそういう状況が続いているということで、二次災害を避けるべきであるということを我々は考えている。その人たちが引き続き、捜査のプロではなくても現場にとにかく行きたいという気持ちを持っているというのは当然のことでございまして、それについてはそういうことだということを先ほど申し上げたわけです。
 他方で、大使館として、調査、捜査ということについてはきちんとやらなければいけないという意味で、この道の専門家、これはイラク人ですけれども、言葉もできるイラク人の専門家を派遣して、そしていろいろな情報を取り集めたということでございます。
 そういった情報あるいは米軍から得た情報全部を、これはプロが行わなければいけない捜査でございますから、外務省の外交官、この道の素人がいろいろ、何か具体的に、犯罪について、これを聞けばこういうことがわかるというような知識を持っているわけでもないわけでして、そういったことは日本の捜査当局とも御相談をしながら今進めているということでございまして、何を今の時点でやることが捜査の進展のために役立つかということについては、これは御相談をしながら必要なことを外務省としてもやる、もちろんやるということでございますけれども、そのために今外務省の職員が行かなければ何かが解明されない、そういうことではないというふうに考えております。
末松委員 では、今あなたのおっしゃりたいのは、外務省の職員が現地に行く必要がない、それは専門家じゃないから。そこを最初に言っておけばよかったんですよ。
 つまり、二人が行ったんですよ、専門家として、イラク人、大使館の中で雇った人たちが行ったという話であるならば、あなたが今言ったように専門家が行ったならば、そして米軍との間の情報収集が行われているならば、そうしたら、二週間たっていて、それであれば、この事件、ある程度の概要がわかっていいはずじゃないですか。
 僕は、今、日本から何か専門家を連れていくような手配をとっているのかな、そう思って、それで調査をしている途中かと思ったら、もうその次の日ぐらいにはそういった方が行っているわけですから、そちらの概要が全くこの国会に報告されないというのはおかしいじゃないですか。
川口国務大臣 先ほど渡辺委員の御質問にお答えをして、わかっていることは既にお出しをしてありますということを申し上げたわけでして、それは、たまたま国会がそのときは開かれていなかったので、外務省の方針として、はっきりわかっていることは出していきますということでやらせていただいておりますので、今申し上げられるはっきりわかっていることというのは実は既に出ていることなので、それで、あえて繰り返しましょうかと申し上げましたら、要らないということでございましたので申し上げなかったというのが経緯でありますけれども。
 再度それについて申し上げますと、まず、十一月の二十九日の土曜日午前十時に出発をしたということであります。この目的は、国際機関、NGO復興支援会議への出席のためということです。
 それで、事件の発生現場、これはバグダッドとティクリートを結ぶ幹線道路で、ティクリートの南の約三十キロメートルの地点でございまして、いつ起こったかということについては、これは先ほども申しましたけれども、わかっていない。わかっていることは、最後に電話で上村臨時代理大使と奥参事官が連絡をとったのが午前十一時ごろよりも後の時点であったということですけれども、それ以降、いつそれが起こったかということについては特定をされていないということでございます。
 それから、どういう状況で殺されたかということについても、はっきりこれが答えであるということではありませんが、車両に残された弾痕が、これは新聞でも見ていただいたかと思いますけれども、車体の左側に集中をしているということですので、並走をする車から銃撃をされた可能性が高いということでございます。
 それで、襲撃者、これについては現時点では特定を、聞き込み等をいたしましたけれども、わかっていないということであります。
 それから、使用された武器、これについても今捜査中であって、現時点では特定をされていないということでございます。
 回収された車内に金品が残っていたということでして、今までの得られた各種の情報を総合的に勘案するとテロの可能性が高いというふうに考えておりますけれども、本当にそうかどうか、だれがやったかといったことについては特定をすることができない。
 それが今までわかったことでございます。
末松委員 事細かに言っていただきましたけれども、要は、日本人であることをねらって、そこでこの攻撃が行われたか否か、そこが一番重要なポイントなんですね。それが今度の自衛隊の派遣にもつながっていくということであります。
 最後に、渡辺議員から質問があったサマワの状況です。今、私も関連して、引き続き質問させていただきたいと思います。
 米軍の司令官が、防衛庁長官もよく御存じのように、今これは戦争状態であるというのを七月に司令官が言ったし、サンチェスさんの方も、インゲージメントがイラク・レベル、全土で行われている、ただ、九割近くはスンニの三角地帯だというようなことも言われているわけですが、こういった中で、やはり非常に危険である、さっき長官が言われたように、非戦闘地域だけれども危険であるという認識なのか、サマワは。あるいは、非戦闘地域で危険でない、そういう認識なのか。そこはどうお考えになりますか。
石破国務大臣 基本計画ではイラク南東部ということを記しておりまして、まだサマワという特定をいたしておるわけではございません。
 例えて言えば、サマワの今の現状をどう見るんだというお尋ねにお答えするとするならば、非戦闘地域であり、自衛隊が今後保有する、実際に赴くまでに保有する権限、能力、装備をもって危険が抑止され、危険が回避できる地域ということになります。
 非戦闘地域、これはもう委員よく御存じのとおりで、イラクは、ここは戦闘地域、非戦闘地域と分けるわけじゃなくて、自衛隊がやるところはすべからく非戦闘地域でなければいけないよ、これはもう一体化の議論、賛成か御反対かはともかくとして、そこから出てくる議論でございます。そういうことから考えれば、非戦闘地域である。
 そして、もちろん、今後も情報収集には万全を尽くしてまいりますし、いろいろな今起こっている事象も分析をいたしますが、その上で、装備、権限、能力をもってして危険が抑止され、回避し得る地域という判断をいたしておるところでございます。
末松委員 そうしたら、例えばサマワで浄水の施設をつくって、そしてそれに対していろいろな、防御能力を高めるために外堀をつくるとか、そういったことが行われるということは新聞報道でやられていますけれども、その地域にテロリストがというか、あるいはゲリラが乗り込んできて、そこでミサイル攻撃をしたとか、そういうふうな事件が起こった場合、このときは、この基本計画の中でも、法律に基づいて、非戦闘地域、つまり戦闘行為が行われていない、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域において実施されるということであれば、そういったゲリラ側とか、あるいはレジスタンス、あるいはテロ等、その認識の違いはあるにせよ、そこでミサイル攻撃とかあるいはロケット砲攻撃とか行われた、陣地に向かって、あるいはやっている地域に向かって行われた、あるいは事件が起こった場合には、それは戦闘地域という位置づけになるんですか。
石破国務大臣 必ずしもなるわけではございません。戦闘行為というのは、本当にこれを言うとおしかりを受けるほど何回も同じことを言いましたから恐縮ですが、国または国に準ずる組織ということですから、必ずしもそれが本当のテロリストであった場合にはそういう評価にはならないということでございます。
 ただ、そういうようなことが起こった場合、委員御指摘になりましたように、どちらにしても起こっている危険は一緒だよねという評価はあるのですね。そうしますと、戦闘地域であってはならない、非戦闘地域でなければならないということと、危険が回避できるだけの措置はとらねばならないというその後者の方がきいてくるのだというふうに思っています。非戦闘地域でなくなったという判断よりも、能力、権限、装備をもってして安全を確保することが難しくなったという判断によって、そこから一時、活動を休止するなり退避するなりという判断は当然あり得るものと考えております。
末松委員 さっき外務大臣が、テロリストであるかあるいは何であるか特定はできない、外交官が射殺されたときですね。こういったことはなかなか特定はされないんだろうと思うんですね。
 事件が起こった、あるいは撃ち合いが起こった、あるいは先ほど防衛庁長官言われたように、移動中に自衛隊員がそこで危険な目に遭った、あるいはねらわれて銃撃を受けた、そういったときに、国に準ずる者の攻撃かどうか、これがわからない。当然わからないわけですよ、そう簡単には。そういった場合に、そこでしばらくずっと活動を、それがわかるまで活動を続けるということですか。
石破国務大臣 これは、たしか前の国会でも委員と議論したような覚えがあるのですが、もしもしあなたは国または国に準ずる者ですかと聞いて、そうでございますなどということは絶対ないわけで、それはわからない、正直言って。
 ですから、ただ、決められておりますのは、我々が活動する地域は非戦闘地域でなきゃだめですよ、そして、それは活動を行う期間においてそのようなことが予測される地域であってもいけませんよ、こういうことになっているわけですよね。そうしますと、どちらかわからない場合、そして、能力をもってして回避できない場合というのは、やはり抑制的に動くことになるのではないかという判断だと私は思います。
 ですから、そうじゃない可能性があるのだ、だからそのままそこでやっていくということは、私は、法の趣旨からしてストレートに要求されていることではない、むしろ抑制的に事は考えるべきなのではないかと思っています。
末松委員 まさしくそこが防衛庁長官の職務であろうと思います。極めて判断が難しいところなんですね。ただし、自衛隊の隊員の安全をしっかりと守らなきゃいけない、一番そこの判断に立ってやるべきことですから、そういった場合には、やはり抑制的に考えて、活動休止あるいは撤退をするという位置づけにならざるを得ない、と私は思うんですね。
 そういったときに、そうしたら、日本の場合、イラク南東部という話の中でサマワという地域でそういう事件が起こった場合には、そこの防衛庁長官の判断をもって撤退という話になるならば、それはまた、今度はこの南東部の中でほかに安全であるような地域を選んで、またこの基本計画に定められた活動を行うという形になるんですか。それとも、一たんは日本に帰ってくるなり、撤退をして再準備を行うか、あるいは計画を変えるのか、その判断をすることになるんですか。
石破国務大臣 それは、基本計画に定められたのは、実施区域の範囲という、ややといいますか、広い範囲を指定しているわけですね。そうしますと、今度実施要項において定めます実施の区域というのは、相当に特定された地域になるわけです。
 そうすると、では、この地域でだめになった、しかし実施要項の中でほかにもあって、まだ決めていませんから、何とも仮定のお話で恐縮ですが、例えばA、B、C、D、E、F、G、そういうような地域を書いたとします、範囲よりもさらに絞り込んで。その中のAとBがそういうような状況になりました、そこでは活動を休止する、退避をする。では、そうするとCとDならどうなのだということであれば、実施要項の範囲内でそういうことを行う余地は当然あり得ることだと思っています。そういう場合にすべて日本へ帰ってきて判断を待つということにはならないと私は思います。
末松委員 それであれば、当然その地域にとどまってしばらく判断を待つということもあり得るということですね。今うなずいていらっしゃいますから、そうだろうと思いますが。
 では、もうちょっと聞きますけれども、例えば、サダム・フセインの残党が、日本をアメリカと同等に敵視をして、あるいはアルカーイダですか、そういった国際テロリストと結びついているという情報がございます。
 確かに、イラクの国民感情を見たら、私は非常に怖いと思うのは、例えば、スペインの情報機関の関係者七名、バグダッドの南で亡くなりましたけれども、そのときに、あれをねらって撃ち殺した人間は、あれは組織的な犯行だと思いますけれども、あの後、百人ぐらいの群衆が来て、それは自然発生的に、その地域の住民だろうと思いますけれども、そこでそのスペイン人の死体に対して足で踏みつけていた、そういったことが報道されております。そこは自然発生的にやはり起こったことですから、これはイラク人の、みんなとは申しませんけれども、非常にそういった反米あるいは反西欧感情ですか、そこから発している行為だと思うんですね。私は、あれを聞いたときに非常にショックだったんですけれども。
 だから、これは結局、ゲリラあるいはサダム・フセインの残党の人たち、あるいはスンニ派のサダム・フセインに近かった人が、ごくごく一部ではなくて、スンニ派のあの地域、トライアングルと言われるあの地域にやはり数百万ぐらい、サダム・フセイン政権あるいはバース党政権に同情心を持ったような、そういった人々も数百万の単位でイラクにいるという事実は、私はこれは重いと思うんですね。
 そういったときに、民族感情あるいは宗教感情ですね、つまり、米軍がイラクを解放しに来たと幾ら言っても、これはイスラム教をキリスト教徒がじゅうりんをしに来たととらえる方もかなりおられるし、またそういうことを言っている人もおるわけですよ。
 そういうことからして、例えばアルカーイダとか、東京をテロの、この事件に巻き込ませてやるんだというような、ああいった宣言が行われたり、あるいは世界の日本人のコミュニティーが襲われたりするということは、自衛隊の派遣をもって、日本人に対する脅威として大きくこれから出てくる可能性があるわけです。
 そういったときに、例えば不幸にも、これは起こっちゃいけないと思うし、口にするのは、軽々には言ってはいけませんけれども、もし可能性としてそういう事件が起こったとしても、今のこの法律でいけば、自衛隊の派遣をやめさせるというような法律の立て方にはなっていないし、そういう判断では防衛庁長官はやらないということになりますか。
石破国務大臣 そういうことがあったとして、やめるということにはなりません。
 まず、脅迫があった。自衛隊を出したならば、日本あるいは日本人の海外コミュニティーに対して攻撃を加えるぞという、どこから出たかよくわからない情報がある、あるいは宣言がある。だから自衛隊を出すのはやめるという判断は、私はあり得ないと思っています。あってはならないことだと思っています。
 それでは、実際にそういうことが起こったらどうなるのだ。これはもう本当に委員おっしゃるように、考えるべきではないし、考えたくもないことだけれども、考えなきゃどうにも議論は進みませんから、思考停止はろくなことじゃないと私は思っていますので申し上げますと、そういうことが仮に万々が一起こったといたしましょう。だとすれば、それがイラクにおける自衛隊の活動、すなわち人道支援であり安全確保支援でありということを休止することになるのだろうかといえば、私はそれを直接そういう事由にはならないと思っています。
 どういうふうに全体的な判断をするかですが、私は、やはりテロに屈しないということを軽々に使うことは委員のお嫌いになることだということはよく存じておりますけれども、おどかしを受けたからやめるんだということにはならない。全部の国がそんなことを言い始めたら、これは一体イラクはどうなっちゃうんだということなんだろうと思います。だから国連がやればいいのだという御議論なのかもしれません、一部にある御議論は。しかし国連は、安全が、治安が確保されない限り出ないのだということも他方あるのだと思います。
 では一体どうすればいいのだということを考えてみたときに、私どもとしては、自衛隊の安全というのを最大限確保しながら非戦闘地域において活動する、そのことの意味は私は大きいものと思いますし、法律の要件を満たしている限りはこれをやめるということには論理的にならない、私はそう考えます。
末松委員 そうすると、今テロに屈してはならないんだという位置づけがなされましたけれども、この発言、六十年前か七十年前、第二次大戦で中国に日本が進軍していくときに、これで居留民の保護、これを、安全を守るために多少危険があってもやるしかないんだという言い方に私は聞こえるんですが。
 官房副長官にお尋ねしたいんですが、テロに屈してはならないということであれば、そうすると、先ほど石破長官が言われたように、海外で日本人のコミュニティーが、あってはならないことですが、そういったテロ事件が起きた、そこで何名か何十名か犠牲者が出た。そこで、何らかの組織が、これは自衛隊の派遣ということをきちんと宣言で言って、だからそういった事件を起こしたんだといった場合であっても、これはテロに屈してはならないんだということで自衛隊の派遣を進める、こういう理解でいいですね。
細田内閣官房副長官 テロに屈してはならないということは犠牲者がどれだけ出ても既定方針どおりやるのかというような御趣旨の御質問でございますが、イラク人道復興支援特措法に基づきまして自衛隊を派遣する場合には、現地の治安情勢をよく見きわめて、かつ、必要な装備、部隊運用について十分検討をして、安全の確保に最大限の配慮をもって臨むことになるわけでございまして、活動中に万一戦闘行為が発生した場合に、防衛庁長官が実施区域を変更したり、現場の判断でその場所からの避難等の措置を行うこととしているわけでございますので、そういったことを、現場の状況を十分に判断しながら、防衛庁長官がお答えいたしましたように対応していくということだと思っております。
末松委員 ちょっと私の質問を聞いてから言ってくださいよ。ちゃんと聞いてくださいよ。イラクにおけるテロとかそういった事件は、それは今防衛庁長官が答えたわけですよ。私は、ほかの地域、日本国、例えば東京で地下鉄でテロがあったとか、あるいは南米で日本大使館が襲われたとか、そういったいろいろなことが起こって、そして、そういった犯行声明が自衛隊の派遣というものに言及してやられた場合であっても、そのときでもテロに屈してはいけないということで、それが内閣の判断だよねということを、それを聞いているわけですよ。あなたが言ったことは答弁をそのまま読んでいるだけじゃないですか。
細田内閣官房副長官 国内でテロ等が発生した場合……(末松委員「海外でも」と呼ぶ)あるいは海外で日本人を対象とするテロが行われた場合、どうかということですが、これは、やはり日本の諸行為に対してどういう因果関係があるのかということもはっきりするかどうかわかりませんし……(末松委員「言った場合と言っているじゃないですか」と呼ぶ)言った場合と申しましても、これはどういう因果関係があり、どういう主体でそういうことが起こっているのかは、十分判断しなければならないと思います。しかし、やはり政府としては総合的には判断していかなきゃならない、こう思っております。
末松委員 今、防衛庁長官が、確かに、その法律に基づいて言えばということであれば、その防衛庁長官の答弁はそれなりの答弁なんですね。だから私は、本音を言わせてもらえば、私の個人の本音ですよ。イラクのサダム・フセインを倒す、これは、アメリカが、国連の合意、完全な合意を得ずとも単独でも踏み切ってやったということ、先制攻撃をやったということ。大量破壊兵器、まだ出てきていませんけれども、それについても、それも、証拠も示せずに単独で攻撃をしていった。この強引さに対して、非常に私自身、違和感を覚えるんです。
 日本政府も、そこまで本当に突っ込んでやっていくということに対して、私たちの憲法でも、国際紛争を解決する手段として武力行使をしないというのがこの国の基本でありますから、そこを、アメリカであればそれがやれて、アメリカの憲法だからそれはやれるということで、日本がそのまま従っていくということに、私は本来考えにくい話であります。
 もし日本が本当にイラクのサダム・フセインを武力でつぶしていくんだということであれば、テロのこの行為に屈してはならない、それは非常に説得力を持つんですけれども、私は、これも何回も議論されたことですけれども、アメリカとのつき合い、あるいはアメリカとの日米同盟、これの関係で、イラク戦争に対する小泉総理の支持発言があったり、それから自衛隊を派遣したりするということが本音だというふうに私は見ていますから。
 そういった中で、犠牲者が、例えば数人か数十人か、そういうふうに大変な数にもし上るようなことがあった場合には、これはバランスをきちんと見ながら、本当に今細田副長官が言われたように、やはり総合的に判断していくというのが、それが正しいんじゃないかと私は思うんです、これは政府の立場に立った場合ですよ、私たち民主党はそれに反対していますけれども。防衛庁長官は、そのときは当然、総理の判断、内閣としての判断を尊重するということ、当たり前のことですけれども、そういうお考えになりますよねというのを確認しておきたいと思います。
石破国務大臣 総理の御判断がそういう判断であるとするならば、それに従うことは当然のことであります。
 ただ、先生、本当に時間をまたいただくことがあれば議論させていただきたいのですが、一つは、それによって、総合的な判断と副長官がお答えになったとおりのことなのですが、そうすると、あちらで海外コミュニティーにテロ、こちらに海外コミュニティーにテロということをやればみんな引くのだということになりますとこれは一体何が起こるんだろうかということは、我々、考えなきゃいけないことだと思っております。
 したがって、我々として、そんなことがあったらやめますというようなことは間違っても申し上げるわけにはいかない。やはりそれは法律の要件を満たさなくなったときにというのが基本線であって、そのようなテロの攻撃があった場合には、我々は、もちろん総合的な判断として総理の御判断があればそれに従うのは当然のことでございますが、私は、それに屈しちゃうと本当にテロリストの思うままという世の中が来てしまうのだろう、そうならないためにどうするのだということをあわせて提示しなければいけないことなのだと思っています。
 もう一つは、おつき合いというお話をなさいました。おつき合いというお話をなさいました。これは、日本が冒険をしようとかそういうことを申し上げているわけではなくて、世界三十七カ国が国連の要請に従って軍隊を出しているということをどのように考えるべきなのかということでございます。それをもって冒険と称されれば、それも一つの見方なのでありましょう。
 しかし、これは委員よく御案内のことですが、おつき合いなんぞというつもりで自衛隊を出すという考えは、私どもには毛頭ございません。それは、日本国の国益というものをどのように考えるか。安全保障に置かれた状況、日本は、ロシアともドイツともフランスとも中国とも当然違うわけでございます。日本国の国益ということを考えて、先ほど来委員が御指摘いただいているように、自衛官の命がかかっている話です、そのときに、おつき合いというようなことで私どもは考えているつもりはございません。
 仮に委員がそのようなことをお考えになるということがあれば、どうぞ足らざる点を御指摘いただきたいと思っております。
末松委員 私、日米同盟という私の言葉でそういった言葉になったわけでありますが、別にそんなに軽く考えているわけじゃないんですよ。
 では、あなたの言葉によれば、結局もしテロに屈するという話になったら、ではイラクはどうなるんだ、それはいい教訓を生まない、だから最後までやっていくんだ、つまり自衛隊をずっとイラクに派遣をしていくんだという話でございました。ここ自体、本当に私はそこで、総合的な判断じゃなくて、防衛庁長官の論理でいけば、そこはやめられない、派遣をずっとせざるを得ない、し続けるということなんですよね。これがどうも私は、私ども民主党の立場からいけば、非常な危険を生んでいくんじゃないかと思うわけですよ。
 例えば、私ども民主党は、イラクに派遣された自衛官、これはやはり危険だということはみんな承知しているわけですよ。それはもう当然、あなたが防衛庁を預かっているんだから、まさしくそうだと思う。でも、それを少しでも危険を回避したい、それがために民主党は、国連というものを頭にかぶせて、そしてアメリカの、あるいは米英の統治ということであれば当然イラク人の反発も受けるし宗教的な感情も害していくから、だから、それがもっと国連という形になれば中立性が増すから、それであれば派遣される日本人も危険度が少なくなる、あるいは、イラクの国民政府ができて自治をやっていけばより反発が少なくなる。
 それでも、アメリカ軍がずっと駐留をしていくという話になったら、当然またそれに反発する勢力から、いろいろなテロを含めたゲリラ戦とかの事件が起きてくるわけですよ。それをアメリカ軍が逆に、こんなに治安が悪いから、では自分たちがイラクにずっと残らなきゃいけないじゃないかという議論をするんであれば、それも私はおかしいと思うわけです。
 ですから、申し上げたいのは、テロに屈してはならない、そこだけにこだわっていくと、日本人の犠牲、自衛隊の方は武装しているからいいですよ。むしろ武装していない、あるいは世界の日本人のコミュニティー、これに対しては非常にもっと、日本人のいろいろな世界に散らばっている、あるいは東京も含めて国内、そういった人に対してテロの危険があるということ、これはおどしだけじゃないということをもっと認識してもらいたいと思います。
 その関連でもう一つ聞きますけれども、イラク南東部に派遣される人に自衛隊じゃない人、いますよね。民間人、専門家。これが十名前後いるという話を聞いたんですけれども、これらの人々に対しては、どう安全対策をとっているんですか。
福田国務大臣 イラク南東部ですか。私は今そういう話は聞いていないんですけれども、いずれにしても、文民が行くということになれば、安全ということは大事なことです。自衛隊は自衛隊のできる範囲の、自己防衛とか、そういうことができますけれども、文民にはできません。ですから、その安全対策というものは十分考えなければいけないと思います。
末松委員 そうしたら、学校の補修とか病院の補修とか、あるいは水の管理とか、そういったことについて民間人は一切行かないということなんですか。だれもいないんですか。何か、何名か、あるいは専門家が行くという話を私は聞いていたんですけれども、そこはないんですね。それを確認させていただきたいと思うんです。
福田国務大臣 そういう活動について、それは将来的にあり得るというようには思っております。しかし、今の段階において、まだ自衛隊も行っていない、そういう状況において派遣をしていくということは考えておりません、今の段階で。
末松委員 では、ちょっとそれはないということですね。もう一回確認します。いいですか。今度一月とか二月に行かれるときにはそれはないということでいいんですね。ちょっと確認だけしてください。
福田国務大臣 今後の状況ということもあります。急速に事態が変わって治安がよくなっちゃったということがあれば、それは派遣することはできますけれども、現状において、今派遣するという具体的な考えはございません。
末松委員 確かに、今度サダム・フセインが捕まって、そこは私も非常にうれしい思いがして、これでそういった真相がわかって、まあやっていけばいいと思いますけれども、ただ、非常に危険なのは、やはり宗教的な原理主義者とかイラクのサダム・フセインの残党の人なんかは、サダム・フセインの管理下に入ってああいった事件を起こしていただけではないというような情報もありますから、今後さらに、さまざまな事件が起こる危険性があると思うので、その意味で、万全を期していく、邦人を含めた安全対策、そこは万全を期していくということでいいですね。
福田国務大臣 はい、おっしゃるとおりでございます。
末松委員 一つ聞きたいんですけれども、米軍がいる中で、イラクに自治政府ができるという話がありますけれども、これはどうなんですか。中立的な自治政府ができるというようなことを、ちょっと私はどうも考えにくいんですけれども、米軍に対してあるいは米国に対して、日本政府は、もっと国連の関与を増大させて米軍の存在をもう少し少なくしろというような、そういった働きかけを行っていることはございますか。全くありませんか。
川口国務大臣 国連への働きかけは、武力行使が行われる前から、国連の関与を持った形でということが重要であるということは、もう再三再四働きかけております。
 ごく最近の時点では、私は、アナン事務総長と話をしまして、国連の関与の重要性についてお話をさせていただきましたし、近々中山先生が特使として行かれるということもそういうことでございます。
 そういう働きかけを行って、国際社会全体として協調して行っていくということはイラクの復興には非常に重要であるということは言をまたないわけですが、国連の関与というときに、国連が本来、そもそも何をすべきであるかということと、それから現実の問題として今何ができるかという両方の側面を現実的に考えていかなければいけないというふうに考えております。
 国連が今後、考え方としてどのように関与をしていくかということについては、この間、事務総長が報告書の中でおっしゃっていらっしゃいますし、私がお電話で話をしたときも私にお伝えになられました。
 それで、そういった考え方に基づいて、今まさに国連のイラクへの、一時期、デメロさんが殺された後落ちていた活動のレベルが上がっていきつつある、その端緒にあるわけでして、我が国としては引き続きそういった国連の活動を慫慂しながら、我が国としてもできる協力をしていきたい、そういう考えでおります。
末松委員 時間がなくなりましたので最後の質問ですけれども、今、イラクの復興ビジネスで、アメリカ大統領が、これはもうアメリカ優先である、そこで血を流していない国、あるいはアメリカと共同歩調をとっていない国の企業は、これは排除されるべきだというように言ったとの報道がございますけれども、日本政府はそれに対してどういうふうな立場ですか。
川口国務大臣 これにつきましては、委員がおっしゃったようなことを、アメリカがウォルフォビッツ国防副長官名の文書において発表したということがございます。それで、さらにこれに関してホワイトハウスからは、この措置というのは、米国の納税者が支払っている百八十六億ドルのイラク復興事業分に限定をされるものであって、対象外とされる国については下請の形で受注は可能であるということの説明をしているというふうに聞いております。
 いずれにしても、これが国際ルールとの関係で、例えばWTOとかそういったルールとの関係で、何か問題があることになるのかどうかということは、具体的なその事実の関係についてもう少し情報がわからないと、これがそういうことの観点から問題になることなのかどうか、政府調達であるとしたらば政府調達として、これはかなりルールは限定的でございますので、それに反することになるのかどうか、いろいろなことがわからない状況であって、まず、中身についてどういうことなのかということの究明、これが大事であるというふうに考えています。
末松委員 この辺、何かアメリカがますます自分の独占的な利益というような感じで、占領行政をさらに拡大していくというようなことがまたテロを呼んで、大変なことにならないか。この辺を、もし何かまたいろいろな事件が起こった場合に、日本人が関与していた場合には、当然、政府の政治責任、これが問われることになることを改めて指摘をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
斉藤委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 きょうは、基本計画の内容について、一つ一つ私の疑問を聞いていきたいというぐあいに思います。
 それで、最初に、基本計画の中では飛行場名が挙げられております。クウェート国内の飛行場はもとより、バスラの飛行場、バグダッドの飛行場、バラド、それからモスルの飛行場などでありますが、こういう地域というのは非戦闘地域ということで設定をするのでしょうか。
石破国務大臣 基本的にそのような考え方に基づいておるわけでございますが、実施要項の中で実施区域を限定いたしますときに、自衛隊は非戦闘地域でなければ活動してはいけない、そこできちんと担保をすることに相なります。
赤嶺委員 想定をしているということであるわけですね。
 それで、あと一点、基本計画の中で、自衛隊の情報収集だとかあるいは連絡調整を行う者、これがあります。バグダッドの連合軍司令部施設やイラクの国境周辺国あるいは湾岸諸国あるいは南東部あるいは空港間、これらの連絡調整を行うということになっているわけですが、連絡調整を行う者は、バグダッドのこの連合軍司令部施設から例えばアンマンへ、例えば南東部へ、サマワへ、あるいは飛行場の間を移動するということになるわけですけれども、そうすると、その間の道路、これも非戦闘地域というぐあいに設定するのでしょうか。
石破国務大臣 自衛隊が活動いたします区域は非戦闘地域に限るということでございます。
赤嶺委員 では、この区域で自衛隊が活動をするということは基本計画で明確なんですが、非戦闘地域として想定しているということですね。
石破国務大臣 何度も同じことをお答えして恐縮ですが、イラクを、ここは非戦闘地域、ここは戦闘地域として二分するというのはこの法律の考え方ではございません。自衛隊が活動する地域というのは非戦闘地域でなければいけない、そして、それは実施要項の中で実施区域というものをきちんと定めることによってさらに明確に規定されるということでございます。
赤嶺委員 そうなると、連絡調整を行う者の活動というのは、バグダッド空港の近くの連合軍司令部施設から例えばCPAに、例えば日本大使館に、こういう活動の区域になっていくわけですよね。そうなってくると、当然、バグダッドの市内も非戦闘地域というような設定をするのかどうか、いかがですか。
石破国務大臣 現在、実施要項の策定中でございまして、今、この地域はどうだ、この地域はどうだということについて、正確なお答えはいたしかねます。
赤嶺委員 ですから、実施要項の中に入れる、そういう範囲としてこれらの場所が出ているわけですけれども、非戦闘地域に指定するということは、当然想定しているからこういう場所が出ているということになるわけですね。
    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕
石破国務大臣 それは、全く可能性としてないものを基本計画に書くような合理性は認められないということです。
赤嶺委員 今、いろいろ聞いてきて、四つの飛行場あるいは連絡調整に当たる者の活動の区域、これは、南東部、サマワの非戦闘地域であるかどうかという議論の前に、かなり広範囲なものが基本計画に書かれているなというようなことを認識することができました。
 それで、今まで、非戦闘地域については御承知のような定義を行ってきたわけです。現に戦闘が行われておらず、これからも活動のすべての期間を通じて戦闘が行われないと認められる地域ということになっているわけですけれども、我々の認識からして、バグダッド飛行場だとかバグダッドだとかあるいはモスルだとか、いろいろな事件がこれまで起こっているわけですね。
 四つの飛行場についても、例えばモスルの飛行場については、挙げられるだけで私たちは三件、それからバラドの飛行場についても三件、バグダッドの飛行場については、ミサイル攻撃を受けた、あるいはミサイルに被弾したというのが四回、数えられるだけで起こっております。あるいはバスラについてもいろいろ事件が起こっているわけですけれども、基本計画の中では想定している。そうすると、そういう地域というのはいわばどういう状況になったときに、あるいはどういう条件があるときに非戦闘地域になることを想定しているんですか。
石破国務大臣 それは、まさしく今委員が条文をお引きになったとおりでございまして、現に戦闘が行われておらず、また、活動する期間を通じて戦闘が行われることが予測されないということが明らかといいますか、そういうふうに認められるようになった場合にそうなるということでございます。
赤嶺委員 そういう場合というのは、これ、一番国民が知りたいところですよ。バグダッド飛行場ではミサイル攻撃が何度も繰り返されている、被弾もしている。そういう中にあって、何でこれが非戦闘地域といういわば想定がされるのか。一体どんな状況になればというところが一番具体的に知りたいところですよ、国民が。基本計画に書かれているわけですから。ですから、もっと具体的に。それは引き続き戦闘が行われない地域になったときなんて、こういうのは何にもわからないですよ。一体どういう状況になったときに非戦闘地域に設定することを想定しているんですか。
石破国務大臣 ですから、先ほど条文をそのまま、先生がおっしゃったとおりに申し上げたわけでございます。戦闘行為とは何かということを、もうここであえて繰り返しませんが、国または国に準ずる組織による云々かんぬんということがございます。
 そしてまた、国または国に準ずる組織による国際紛争を解決する手段としての組織的、計画的な武力の行使というふうに申し上げるとするならば、二つ要件があるわけですよね、三つと言ってもいいか。国または国に準ずる組織、そしてまた、組織的、計画的な武力の行使、こう二つあるわけでございます。
 そういたしますと、国または国に準ずる組織であるかどうかはわからない。もしもし、あなたは国または国に準ずる組織ですかということを聞くわけにもいかない。だとするならば、それが攻撃があるのかどうなのかという点に着目をした場合に、今委員御指摘のように、確かにロケット弾あるいはミサイル弾、そういうものによる飛行機への、航空機への攻撃というのはある。しかし、それが相当に頻度が落ちてきた、あるいは、いろいろな対策を講ずることによって攻撃というものが極端に減ったということになるとするならば、それも非戦闘地域というふうに考える要素となり得る。私は、論理的にはそういうことだと思っています。
赤嶺委員 今は、基本計画をつくり、そして実施要項をつくり、地域を指定して自衛隊を派遣する、こういう段階になってきているわけですね。
 そうすると、国民はみんな、常識的に考えて、バグダッドで起こっているミサイル攻撃、航空機への攻撃、被爆、これについて、当然日本政府は独自の調査もやっているだろう、アメリカの情報も得ているだろう、イラクからも情報を得ているかもしれない。そういうものを総合的に勘案してこれこれこういう、今はこういう事件が起こっているけれども、将来については非戦闘地域になり得ることが想定できる根拠がここにあるんだということを僕ははっきり示すべき時期だと思うんですよね。
 これを一向に知らせないで、一向に国民には理解させないで事を進めようとしている。こういうことについて本当に納得のいかないものを持っています。
 それで、サマワあるいは南東部ということなんですけれども、十一月のイラク専門調査チームの報告を読みますと、調査概要を読みますと、こう書かれています。イラク南東部、連合軍に好意的で比較的安定した地域もあるが、襲撃等の可能性は存在していると。南東部でも襲撃等の可能性は存在をしている、このように書かれているわけです。政府の調査概要を読んでみても、結局、この戦闘行為が行われることがないと認められる地域からはほど遠いんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
石破国務大臣 恐縮ですが、専門調査団の報告書と政府調査団の報告書と違うわけでございまして、委員が後段におっしゃいました政府調査団の報告書からは、そういうような地域からはほど遠いというふうな御指摘ですが、それはどの箇所を指しておっしゃっておられるのか、御教示をいただければと存じます。
 専門調査団の報告では、襲撃の可能性は否定できないというニュアンスのことを書いておろうかと思います。それは、国または国に準ずる者であるのか、あるいは泥棒という意味での野盗のたぐいであるのか、あるいはそれ以外の者であるのか。いずれにしても、そのような者の襲撃の可能性は否定できない、それは事実を事実として書いたものと認識をいたしております。
赤嶺委員 そうすると、襲撃の可能性はあるけれども、否定できないけれども、そこが必ずしも、戦闘地域になるというような政府が考えている概念、これがそろっているわけではない、こういうことですね。皆さんが言う国または国に準ずる者であるかどうかわからない、ただ、襲撃の可能性は否定できないということは認められるわけですね。これは専門調査団の報告の中にも書いております。
 それで、さらに、この専門調査チームの調査概要でこのように言っていますね。「フセイン政権残党は南東部に浸透しようとしているとの見方もある。」、こういう書き方をしております。こういうところでも非戦闘地域になるんですか。
石破国務大臣 それは、相手が何者であるかということはわからない、少なくとも、南東部において、国または国に準ずる組織による組織的、計画的な武力の行使、すなわち、我々が言うがところの戦闘行為というふうな評価が行われるような、そのようなことが確認できたとは報告書は書いていないわけです。
 そこはすりかえないでいただきたいのですけれども、襲撃の可能性はあるというふうには書きました。しかし、それが、委員が後段におっしゃいましたような、国または国に準ずる組織による組織的、計画的な武力の行使の可能性があると書いたわけではございません。
 そして、では、今起こっておる事象はどうなのだということを考えてみましたときに、フセインの残党といいましても、フセインの取り巻きで非常にいい暮らしをしていた、それが、本当にイラク人によるイラク人のための政府が樹立をされた場合に自分たちも裁判にかかってしまうのは嫌なので、それで、あちらでアメリカ十人、こちらでイギリス五人というふうにやってしまって、米国あるいはイギリスの勢力を追い払おうというふうに思ってやったとするならば、それは、フセインの残党であったとしても、国または国に準ずる組織という評価にはならないものと考えております。
 それが、前の国会のときにお家再興というような言葉を使いましたが、それはイラクの主権政府を新たに打ち立てる、すなわち、今国際社会の多くが望んでおりますように、国連が言っておりますように、今の占領というものを早く終わって、イラク人によるイラク人の政府を早くつくろう、これは国連の決議でもあり、国際社会の意思でもあるわけです。それに反対して、そのようなものとは違う主権政府を打ち立てようということであるならば、それはフセインの残党であり、国または国に準ずる者になる可能性がある。そのことは否定をいたしません。しかし、今起こっている事象がそのような評価になるのかといえば、私はそうではないだろうと思っているわけでございます。
赤嶺委員 前、防衛庁長官はフセインの残党という中で、お家再興というような話も出ておりますけれども、今現在、フセイン政権の復活を目指した者だけがフセイン残党として国または国に準ずる者になるのであって、例えばフセインの残存勢力が米英の占領支配に反発をして攻撃している、これらについては、国または国に準ずる者には入らないんだ、防衛庁長官の仕分けによると入らないんだということでいいんですか。
石破国務大臣 それは学術分類事典ではございませんから、これがどうこうというふうにきちんと申し上げることを私が責めとしているわけではございませんが、繰り返しになって恐縮ですが、今起こっていることの中で、イラクのサダム・フセイン政権のもとで栄耀栄華をきわめ、民衆を圧迫し、そういうような人たちが、本当に民主的な政府が打ち立てられたときには戦争犯罪人あるいは民衆に対する犯罪人として裁かれるぐらいであるならば、あちらでテロを働き、こちらでテロを働きということであったとすると、それは、フセインの残党であれ何であれ、国家主権を取り戻すという意味においての評価は、私は明らかに異なるのだろうと思っています。
 それは、おなかがすいたということで日々の糧を得るためにという議論も前の国会でいたしましたが、日々の糧を得るためにということと、それは本質的には相違があるものだと私は思いません。
赤嶺委員 私は、おなかがすいたものとは言っていないんですよ。フセイン政権の復興というんじゃなくて、いわゆる米英の占領支配に反発した人たちが、それにフセイン残党として抵抗している。これは国または国に準ずる者には入らないかどうかを聞いたんです。
 そこで、もう一つ一緒に聞きますけれども、オランダ国防省は、最近、ムサンナ県でのテロリストなどの潜伏状況を議会に報告しているわけですね。これは、旧フセイン政権時代の共和国防衛隊員やその同調者などが最大一万人規模で潜んでいる、最大一万人規模で潜む可能性を示しているということで、オランダの国防省はオランダの議会に報告しているんですが、その報告について政府は情報を得ておられたのか、そして、情報を得ているのであれば、それについての政府の考え方も示してください。
川口国務大臣 政府の考え方については、後で官房長官なり防衛庁長官からお話があると思いますが、オランダ政府が議会に報告をしたものということについては、情報の把握はいたしております。(赤嶺委員「いたして何ですか。最後、語尾が聞こえなかった」と呼ぶ)把握をいたしておりますと申しました。
 それで、その内容によりますと、これは連合軍及び復興プロセスに従事している組織に対する攻撃の推計約九五%がイラク中央部及び北部で発生をしている。残りの五%についても、バスラ県及びマイサン県での事案が多く、ディカール県及びムサンナ県では、それに比べて少ない。さらに、南東部の事件発生件数全体の七五%がバスラ州で発生し、残りの二五%は主にイラン国境のマイサン県での発生となっているということが報告の概要でございます。
斉藤委員長 時間が参っております。
赤嶺委員 もう時間が来ていますので、まとめますけれども、今の質問を通して私が感じたのは、非常にイラクの国土の範囲が広く非戦闘地域として想定されようとしている。それから、国または国に準ずる者という規定においても非常に弾力性を持ってきたなというような感じがいたしました。これでは、皆さんが言う憲法九条、これさえも担保できないということを申し上げて、私の質問を終わります。
斉藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩


2003/12/15

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