2003年7月22日

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156 参議院・外交防衛委員会−(2)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=広中和歌子(民主)、齋藤勁(民主)、若林秀樹(民主)


平成十五年七月二十二日(火曜日)

○広中和歌子君 私の質問は、是非官房長官、実を言うと総理にいていただきたいぐらいなんですけれども、官房長官を含めた閣僚の皆様にお伺いしたいと思っておりましたが、今、記者会見だということでおいでになりませんので、少し順番を変えてお伺いいたします。
 ブッシュ大統領がかねてから言っている悪の枢軸発言の中に、イラクや北朝鮮とともにイランが含まれているわけでございます。そういう中で、日本がこれまでイランと非常に友好な関係を持ち、我が国のエネルギーをイランに依存する部分が非常に多かったわけでございますが、イランとの間に結んだアザデガン油田開発の最優先権についてアメリカから待ったが掛かっていると。そのことについて日本政府としてはどのようなお考えで対応しようとなさるのか。アメリカはイラクで一緒にやろうというようなことを言っているようでございますけれども、資源の確保にさえ、国防だけじゃないですよ、資源の確保にさえアメリカの言いなりになってしまう日本なんでしょうか。お答えいただきます。

○国務大臣(川口順子君) アザデガン油田についての御質問でございますけれども、今イランとの関係では二つの課題、大きな課題があります。一つはアザデガン油田ですが、もう一つはイランの持っている、国際社会全体が持っている、我が国も共有している核の疑惑でございます。それで、この二つについてそれぞれ解決が必要であると考えています。
 イランのまず核の疑惑についてですけれども、我が国は国際社会で唯一の被爆国でありまして、核の問題については非常にセンシティブであります。そして、こういった立場から、我が国としては、委員もおっしゃられたように、イランとはずっと友好的な関係を持っているわけでして、我が国としてイランに対して、追加議定書を締結をするということが重要である、そしてそれを実施をする、完全に履行するということが重要であるということを言っています。イランがそういったことを通じて国際社会が持っている懸念を払拭をするということが大事であるということをイランに言って、いろんなチャネルで言っていまして、ごく近々では天野軍科審を派遣をしてお話をしたところです。したがって、それはそれで解決をしていかなければいけない。
 それからもう一つのアザデガンの油田の話、これも御案内のように、我が国はエネルギー資源ほとんどございません。そういう意味で非常に重要な油田でして、特にこれは自主開発をする油田ですから、我が国の中東・アラブ地区への依存を下げるという意味で重要でございます。しかも自主開発であるということです。
 それで、このアザデガン油田の交渉につきましては、アメリカとの関係ではこれまでいろいろのやり取りはやってまいりましたけれども、これは相手があることでございますので、どういうやり取りを行ったかということについての、具体的に申し上げるということは控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、我が国としては、この二つが重要な課題でございます。したがって、それにしっかりと対応していきたい。そして、イランやアメリカや中東諸国を始めとする関係諸国ともこの二つの問題について主体的に協議を進めていきたいというふうに考えています。

○広中和歌子君 我が国は独立国であるはずでございます。そして、資源に関して、特にエネルギー資源に関しては非常に重大な関心を世界各国に対して持っているわけでございます中で、私は、アメリカが日本の資源なりなんなりの輸入先についてまで、あるいは開発先についてまでいろいろ指図をするということ、それは日本としては許せないことではないかと思うわけでございますけれども、重ねてお伺いします。

○国務大臣(川口順子君) イランについては、我が国は国際社会唯一の被爆国として、イランの核の開発の懸念については我が国としても大きな懸念を持っています。この意味では、これは我が国の問題として考えているということです。
 そして、そういった我が国の懸念も含めた国際社会の懸念をイランが払拭をするために、IAEAの追加議定書、これを締結をするということが重要だということをイランに伝え、そして単に締結するだけではなくてこれを完全に履行していくということが大事だということを伝えているわけです。それをやることが我が国としては非常に重要だというふうに考えているということです。
 核の疑惑の問題は、我が国としてはこれは無縁な問題ではなくて、我が国自身が懸念を持っている問題です。

○広中和歌子君 核を持っている国というのは一杯あるわけでございます。イラクに関しても、核を持っているという疑念のために、そしてついに攻撃を始めてしまったわけです。そして、多くの人たち、そして多くのインフラが破壊された。そういう状況の中で、私は世界の中での秩序なり正義なりというのが本当に今問われているんではないかと思うわけでございますけれども、日本の外交というのはそのようなことでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 我が国として、イランの問題、これは、イランはNPTに入っている国でありまして、そういった国が核の開発についての疑惑を持たれるということがあっては正に国際秩序に非常に大きな問題があり得るという国際社会全体が持っている懸念、これを我が国も共有をしている、我が国自身の懸念でもあります。
 したがって、イランがそういった懸念に対してきちんと対応することが重要であるわけです。この問題を、二つ課題があると申しましたけれども、この問題を抜きにしてイランと我が国の関係を議論することはできない。これに対してはイランにちゃんと対応してもらうということが重要だというのは我が国の主体的な考えであります。

○広中和歌子君 イラクに対する核疑惑というのは急に持ち上がったものなんでしょうか。(発言する者あり)イランでございます、失礼しました。イランに対する核疑惑というのは急に持ち上がったものなんでしょうか。この油田開発の交渉の前から分かっていたことではございませんか。

○政府参考人(安藤裕康君) お答え申し上げます。
 イランの大量破壊兵器開発については従来から疑念が呈されていたわけでございますが、今回の核疑惑の直接の引き金になったのは、昨年の夏にイランの反体制派の方々が記者会見を行いまして、イランの中で具体的に核施設が建設されているんではないか、そこで平和的利用以上のものが行われているんではないかという、そういう疑惑を提起したわけでございまして、その後、今年の二月になりまして、IAEAのエルバラダイ事務局長がイランを訪問する等してこの問題が浮上してきた、そういう経緯でございます。

○広中和歌子君 この問題につきまして、是非政府としては、我が国にとっても、そして世界の国々との関係においても公正な態度を是非取っていただきたいとお願いして、次の問題に移りたいと思います。
 連合国暫定統治機構、CPAができ、そして最近、七月の十三日でございますけれども、イラク人から成るイラク統治評議会ができました。
 イラク評議会のメンバーは二十五人ということでございますけれども、それでよろしいですね。

○政府参考人(安藤裕康君) イラク統治評議会の構成メンバーは二十五人でございます。

○広中和歌子君 そのメンバーはどのような構成から成っているんでしょうか。

○政府参考人(安藤裕康君) 宗派別の構成でございますけれども、アラブのシーア派が十三名、アラブのスンニ派が五名、クルドが五名、トルクメンが一名、アッシリアが一名、合計二十五名と、こういう構成になっております。

○広中和歌子君 すなわち宗派の人口構成に比例していると、そのように考えてよろしいんですか。

○政府参考人(安藤裕康君) ほぼこの人口構成比に該当して、その比例のままになっているというふうに了解しております。

○広中和歌子君 その中に、いわゆるディアスポラというんですか、亡命者はどのくらい入っていますか。

○政府参考人(安藤裕康君) 国外からの帰還者というのは正式にその数が発表されておりませんけれども、これまでに私どもの得た情報を総合いたしますと、二十五名全体の評議員の中から約十二名が国外からの帰還者ではないかというふうに考えております。

○広中和歌子君 アフガニスタンのカルザイさんでしたっけ、あの方も、亡命者というんでしょうか、海外からいらした方ですよね。そういうふうに、海外からいらした方が統治機構の中に大勢入っているということ、それは果たしてイラクの国民から信頼を十分に得られるんでしょうか。
 例えば、アフリカ、南アの場合でしたけれども、あの場合には、マンデラ首相、その方は、現地で苦労し現地で運動をし現地で牢屋に入り、そして最終的に解放されて、そして選ばれて大統領になったと。非常に国民から信頼が厚いわけでございますけれども、この統治評議会のメンバーのうち半分がディアスポラであった場合に、果たしてイラクの国民から信頼を得られるんでしょうか、お伺いします。

○政府参考人(安藤裕康君) その点についてはいろいろ御議論があることかと思いますけれども、サダム・フセインの体制が倒れて、それの後に新たなイラクの統治機構ができたわけでございますので、その前提に立ちますと、国外におりましてこれまでサダム・フセインを批判していた勢力がある程度の構成比を占めるということはやむを得ないことかと思います。
 ただ、国内にこれまでいた方々も半分以上の比率でこの新しい統治評議会を構成しているわけでございますから、そういう意味において、総合的な観点からこういう構成比になったというふうに私ども了解しております。

○広中和歌子君 その構成メンバーを選んだのはCPAですか、それともだれでしょうか、お伺いします。

○政府参考人(安藤裕康君) 基本的にはCPAがこの構成比を考えたというふうに了解しております。

○広中和歌子君 CPAは、イギリス、アメリカから主として成り立っている連合国暫定統治機構ですよね。

○政府参考人(安藤裕康君) そのとおりでございます。

○広中和歌子君 私は、何かそこで大変に、何というんでしょう、私の質問でお分かりいただいたと思いますけれども、非常に心配な面があるんではないかなと思います。
 それでは、我が国の支援要請というのはどこから来ておりますか。国連ですかCPAですか、それともこの統治評議会、どちらになりますか。

○政府参考人(安藤裕康君) 我々がこれから行おうとする支援は、あくまでも国連決議一四八三に基づいて行われるものでございます。

○広中和歌子君 それでは、一四八三のことでございますけれども、それによりますと、要するに、大島次長ですけれども、この方は、大島賢三国連事務次長は、イランやアフガンなどの危険度の高い地域での人道支援を行う国連組織と軍との協力関係について述べている。そういう中で、軍を派遣するのは最後の手段であるということ、そして、国連調査官を通じ支援を要請する際に、原則として武器を携行せずと、そのようなことを述べているわけでございますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 国連の大島次長の発言、報道で出ていたと承知をいたしております。ただ、私の理解をするところでは、大島次長は安保理決議の一四八三が非軍事的な決議であるというふうに言った記憶はないと考えていると、そういうことだと思います。
 我が国の考え方は、これは安保理決議一四八三の主文一及び二において、イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援やイラクの復興支援を行うこと及びイラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請をしたということであります。
 それで、それでは、その要請に基づいて、具体的に各国がどのような支援を行っていくかということについては、これはそれぞれの国が主体的に判断をするということであります。我が国としては、これはその現地の情勢を考えたときに、自衛隊の持っているその能力、経験あるいは自己完結性、そういうことに着目をして活用をするということが必要だというふうに考えているということです。

○広中和歌子君 何ですか、人道支援に関しまして幾つかのガイドラインがあるわけですけれども、人道支援というのは人道支援団体において行われなければならないということが四番目にはっきり書いてあるわけです。
 我が国がイラクに対して行うのは、明らかに人道支援でございますね。

○政府参考人(西田恒夫君) 今般、御審議いただいております法案において想定しております中に、人道支援というものもございます。

○広中和歌子君 我が国が行う自衛隊を含む今回の法案ですけれども、人道支援ということでございますよね。

○政府参考人(西田恒夫君) 人道、それから復旧・復興、それにいわゆる安全のための、治安のための活動をする外国軍隊を支援するという行動も入っております。

○広中和歌子君 これによりますと、そういう人道支援活動をする際にどうしても必要とある場合には特別な要請がなければならないということになっているんですけれども、まだ現地に行っていないのにどうしてそういう状況が分かるんでしょうか。

○政府参考人(西田恒夫君) 必ずしもよく質問の御趣旨、理解しなかったかもしれませんが、御指摘の大島次長のガイドラインというものは、一般的にそれぞれの行動を行うときに個別のガイドラインを作るための言わばそのガイドラインということでございますので、あくまでも一般的でありますし、かつ、当然のことながら法律的な拘束力はないということです。
 それから、ここで想定されております事態というのは、ここにも書いてございますけれども、国連の要請の下、国連の下で要する行動をするというような言わば軍隊というものが想定をされているということでございます。

○広中和歌子君 私どもの人道支援というものが国連の要請に基づいているんであれば、できるだけそれに近づいた形での支援が必要なのではないかと思いますが、官房長官もお見えになりましたし、時間的な制約がございますので、この問題は打切りにさせていただきます。
 それでは、官房長官、是非中心にお答えいただきたいと思います。
 今年の三月に原口国連大使が国連で演説をなさったときに、既に今度のアメリカの一連のイラクに対するプレッシャーに対して強い支持を表明していらっしゃいますけれども、今回のアメリカ等のイラク攻撃への支持というのはいつの時点で、いつの時点でどういうプロセスで、だれがかかわってお決めになったか、お伺いします。

○国務大臣(福田康夫君) 日にちでいえば三月二十日に、米国等がイラクに対する武力行使を開始したというその日ですね、その武力行使開始を受けまして内閣総理大臣談話を発表しまして、我が国は、我が国自身の国益を踏まえ、かつ国際社会の責任ある一員として、我が国の同盟国である米国を始めとする国々によるこのたびのイラクに対する武力攻撃を支持するということをこの談話の中で明らかにいたしております。その談話は閣議決定をしておりますので、これはそういう意味では閣僚、すべての閣僚がこの支持というものをいたしておるわけでございます。

○広中和歌子君 閣議がどのような形で行われたか分かりませんけれども、閣僚がすべて参加なさってこの重大な問題についてそれぞれ意見をおっしゃったんでしょうか、お伺いします。

○国務大臣(福田康夫君) それ私も閣議の模様をちょっとよく覚えておりません。ですから、お答えはできないんでありますが、いずれにしても、閣僚すべてがこの談話に対して賛成をしたということは、内容的にこの武力攻撃を支持すると、こういう意味になるわけであります。

○広中和歌子君 私はよその国のことは分かりませんけれども、少なくとも映画なんかで見ますと、例えばアメリカなんかでも大統領を中心としていろいろディスカッションが行われる中で意思決定、重大な意思決定がされるんじゃないかと思いますけれども、日本の場合は、総理が勝手に決められたわけじゃないですよね、どういう形で決められたんですか。

○国務大臣(福田康夫君) ですから、再三申しますように閣議において決定をいたしたわけであります。

○広中和歌子君 でも、閣議というのは、こんなこと言うと失礼ですけれども、だれかがペーパーを読んでそしてそれをサインすると、そういうことですよね。ディスカッションじゃないですよね。中身を聞いているんです。

○国務大臣(福田康夫君) 閣議もいろいろなケースがございますから、今回このことについてどういう討議があったかということは、これは私も正直申しまして、今御質問がありましてお答えすることはできない。閣議の内容は通常公表しないことになっていたと思っております。

○広中和歌子君 秘密であるなら仕方がないんですけれども、そのベースになった、決定したベース、いわゆる意思決定のベースには、支持をする以上当然実際的なお手伝いをしなければならないと、そういうことも考えなきゃいけませんよね、リーダーとして、一国のリーダーとして。そのときに、アメリカに対して今度の戦争でどのくらいのコストが掛かるのか、そしてまた復興支援というのはどのくらいの規模であるのか、そしてまた日本はどのくらいの負担をしたらいいのか、そのような、何て言うのでしょうか、問い合わせを、あるいはディスカッションというんですかね、相談をした上での意思決定であったんですか。

○国務大臣(福田康夫君) この総理大臣談話には、確かに武力行使を支持するということについても記載されておりますけれども、それと同時に、戦争が一刻も早く終了するということ、そしてまた、その後国際社会がイラクの復旧・復興のための支援を行っていく、これが重要であると、そして我が国にとってもイラク及びその周辺地域の平和と安定の回復が重要であると、こういう認識に立って積極的な対応を行っていくと、こういうことは述べております。
 ただ、その時点においてじゃその武力行使がどのぐらいの期間掛かるのかとか、どの程度の損害が生ずるのか、どういう結果が生ずるのか、そういう状況を見て復興については考えていかなければいけない。復興についても、今御審議をいただいておりますこの法案が通らないと復興支援というのはできないわけでありますけれども、そういうような対応につきましては、実施の内容が具体的に固まった段階において、いろいろとその費用的なことも考えていくということが必要なんだろうと思います。
 ですから、そういうことを含めまして、早くこの法案を成立して、復興に対する具体的な対応措置の中身を決めていきたいと、このように考えているところでございます。

○広中和歌子君 人間関係でもそうですけれども、支持するとかという非常に重大な発言をするときには、それなりの支援をするということですよね、後から。ましてや、一つの国が、しかも同盟国であるアメリカが戦争に突入する、攻撃をすると、そういうことに対して支持をするということは、非常に大きな、日本側にとっても重大な決意がなければならないと。それだけの予算あるいは復興の規模ですね、そういうことの覚悟があってのことじゃないんですか。

○国務大臣(福田康夫君) それは、我が国としても、国際社会の中において一定の負担をするということは、これは当然、特にイラクについて非常に重要視というか、その平和と安定に対して重大に考えている我が国にとっては、それは負担をするということについての、これは当然の理解だと思いますよ。
 しかし、武力行使を開始するに当たって、じゃ幾ら掛かりますといったようなことを、そういうことを話をする段階ではないだろうというように思いますので、これはあくまでもその段階に従って対応措置、またその経費というものを見積もっていくということになろうかと思います。

○広中和歌子君 それでは、現在、コストがどのくらい掛かっているかということなんですけれども、報道によりますと、一週間に十億ドル近くアメリカ軍は、アメリカが戦争が終わって駐留している駐留コストだけで十億ドル、兵士はいまだに十五万人いるそうでございます。
 じゃ、そのことについて、非常に驚いていらっしゃるわけですか。それに対して適正な支援というのはどういうものだと考えられていらっしゃいますか。

○政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。
 今、広中委員がおっしゃいましたのは、報道によりまして、米国の国防総省の会計の担当官がそのような発言をしているということが報じられていたというふうに承知をいたしております。
 より権威のあるというか、そういう数字といたしましては、ラムズフェルド国防長官が、これは上院の軍事委員会におきまして、イラク関連の経費ということで一か月に約三十九億ドルという発言をしております。ただ、イラク関連の経費ということで発言をしておられまして、その細目と申しますか、詳細については発言もしておられない、我々も承知していないということだと思います。
 我々の支援ということは、これは我々が主体的に決めるということだろうと思います。

○広中和歌子君 小泉・ブッシュ会談というのが戦後行われましたよね。そのときに総理は、具体的に何をしてくれと言われなかったと。つまり、日本次第だというようなことでございますけれども、何らかの了解があったのか、これは総理に聞かなければ分からないと言われちゃうかもしれませんけれども。例えば、ブーツ・オン・ザ・グラウンドのような発言がアメリカ政府の中から出ていますけれども、自衛隊の派遣など、暗黙で日本側としては受け止めていたのかと、そのことについてお伺いいたします。

○政府参考人(海老原紳君) クロフォードで行われました日米首脳会談におきまして、ブッシュ大統領の方からは、日本が相応の協力をしてほしいという、言わば期待は表明されましたけれども、自衛隊の派遣というようなことについて具体的な要請は行われておりません。

○広中和歌子君 そうすると、この前の湾岸戦争ではお金であった、今度はブーツ・オン・ザ・グラウンド、つまり軍服を着た人だと、そのように日本側で考えていらっしゃるんですか。

○国務大臣(福田康夫君) これは、今、局長から答弁したとおりでありますけれども、要するに米国からは具体的に支援の中身を、これを聞かれているわけじゃありません。どうしても支援してくれと、そういうふうな話ではなくて、あくまでも我が国の必要性という観点からこの問題に取り組もうということであります。あくまでも自主的な、我が国としての自主的な判断であるということであります。それは、やっぱり中東地域の安定、イラクの安定、中東地域の安定、そして、例えば石油供給の安定とか、また国際社会の平和と安定という、そういうことを中心に考えた結果でございます。

○広中和歌子君 ある時点でブッシュ大統領は戦争が終わったと、勝利に終わったとおっしゃいましたけれども、その後、五月一日でしたか、スティル・アット・ウオーというような形で、戦争はまだ継続中であるというような発言をなさるなど、イラクにおける情勢というのは大変厳しいものがあります。そして、アメリカ軍やイギリス軍へのゲリラ、戦争とは申しません、ゲリラ戦が続いているわけでございます。
 軍服を着てイラクで活動すれば、仮にそれが人道支援であっても、そうしたテロの攻撃にさらされる可能性はどこの国を問わず、国を問わずあるんではないでしょうか。防衛庁長官、お願いします。

○国務大臣(石破茂君) それは、いずれにいたしましても、私どもが活動いたしますのは本法案に定められた非戦闘地域であり、そしてまた防衛庁長官が持っております安全配慮義務にかなう地域でなければいけないということでございます。
 どういうようないでたちといいますか、そういう形で活動をするかということは、どういう形が一番現地のニーズに合っているのか、あるいはどういう形であれば安全に行動できるのか、そういうことは子細に検討をいたします。
 しかしながら、重要なことは、本法案に書かれてございます戦闘が行われていない地域で活動するということ、そういう憲法上の要請を満たすことと、安全配慮義務というものを満たすものでなければいけない、そういうことだと考えております。

○広中和歌子君 日本が派遣する自衛隊はどういう服装で行くんですか。軍服を着て行くんですか、迷彩服を着て行くんですか、それとも平服ですか。

○副長官(赤城徳彦君) 自衛隊の服装でございますけれども、これまで海外派遣の際にどういう服を着用していたかということをちなみに申し上げますと、陸上自衛隊は、防暑服の迷彩、または防暑服のOD色という緑に茶が掛かった服の二種類がございます。航空自衛隊は、航空服、整備服、迷彩服、防暑服の四種類がございます。
 こういうものを今持っているわけでございますけれども、どういう服装で活動するかということについては、実際にどういう任務をするのか、また、その業務を実施する際の治安状況とか気象の状況、そういうものを総合的に勘案しましてふさわしい服装を選定するということを考えております。

○広中和歌子君 いずれにしても、軍隊であるということが明らかになるような服装で出掛けるわけですね。イエスかノーで結構です。

○副長官(赤城徳彦君) 復興支援が分かるような、あるいは見た目に安全なというところがどういうところかよく分かりませんけれども、どういう服装というのが、御指摘がよく分かりませんが、いずれにしても、自衛隊が着る服だということには変わりはございません。

○広中和歌子君 つまり、私が申し上げるのは、NGOの人や国連の職員の人たち、あるいは国連の下に支援活動をしている人たちとは違う服装、明らかに軍と分かる服装でなさるわけですよね。
 しかしながら、防衛庁長官は度々ここの委員会でもおっしゃいますように、彼らは戦争が行われている、あるいは危険なところには行かさないというふうにおっしゃいますけれども、そして事が起こったらばそこから撤退するというような、そして指示を待つというような言い方をなさいますけれども、いやしくも軍隊の服装をしている日本の兵隊さんたちが、ほかの国の人たちが、ほかの国の軍隊が命を張ってやっているときにそのようなことでは、むしろ恥をかくのではないか、恥をかきに行くようなものじゃないですか。

○副長官(赤城徳彦君) 一般のNGOの方でありましたらいろんな服装があると思います。ただ、これは自衛隊でございますし、部隊として行動します。この法律の十七条によって自己防衛のための武器も持っていくとか、一定の指揮系統の中で統制の取れた形で行動する、またその任務もございます。そういう任務を行うにふさわしい服装というのはおのずとあろうかと思います。

○広中和歌子君 私は服装にこだわっているんじゃないんです。少なくとも軍隊として行く以上、まあ自衛隊でもいいです、自衛隊として行く以上、私どもは安全なところじゃなくちゃ嫌よというのは恥をかきに行くようなもんじゃないかと言っているんです。防衛庁長官、お願いします。

○国務大臣(石破茂君) 私どもが申し上げておりますのは、憲法からして戦闘行為は我々はできないということでございます。恥をかくとかかかないとかいろんなお話がございますが、憲法によって決まっております、外国において武力の行使は行わない、これは憲法上の要請でございます。
 そしてまた、私どもは安全なところ安全なところというふうに申しておりますけれども、それは民間人にとって安全なところと申し上げているわけではありません。厳しい訓練を積み、そして権限を与えられ武器を持っていく、そういう自衛官にとって安全な地域というふうに申し上げておるわけでございます。
 そして、仮に攻撃を受けたような場合に、じゃ何もしないで逃げていくのかねということになれば、十七条の要件を満たします限り武器の使用というものはできます。これが他国と一緒になって武力行使をしたというような評価をされるような、そういう行為は行ってはならない、これは憲法上の要請でございまして、恥をかくかかないの問題ではございません。

○広中和歌子君 それでは、参加する自衛隊ですね、その自衛隊の方たちはどういう形で選ばれるんですか。志願兵なんですか、それとも上からの命令でございますか。

○副長官(赤城徳彦君) この派遣される隊員の選定でございますけれども、派遣先で能力が十分発揮されなければいけませんので、その任務遂行に必要な知識とか経験がちゃんとあるかとか、あるいは健康状態がどうかとか、そういうことを踏まえて選定することになります。さらに、事前に現地の情勢とか任務内容について説明をするということにしております。その際、その隊員の家族の事情とか個人的な状況がどうかとか、そういうことも勘案して、総合的に勘案した上で判断し選定すると、こういうふうに考えております。

○広中和歌子君 最終的には自衛隊の個人個人が行くということに同意をすると、そういうことになるわけですね。

○副長官(赤城徳彦君) 今申し上げましたような様々な状況、家族の状況とか個人的状況を勘案しますが、あくまでこれは命として下令されて行うということになります。

○広中和歌子君 命令されて行くわけですね。
 そして、今ここで問われているのは、自衛隊の人たちが、それは一人でも、一人も死んでは困ると、それは日本国民の気持ちでございますけれども、しかしながら、こういうところに行くんですから死と隣り合わせです。ほかの国の兵隊さんがそうなんですから我が国だって例外じゃないだろうと思います。そういうときに、死と背中合わせのところに行くという、つまり、国際社会のために、人道支援のために、その理由が何であれ死ぬ覚悟があるかということが自衛隊の人に問われていると、そのように防衛庁長官は理解していらっしゃいますよね。

○国務大臣(石破茂君) それは、有事法制の際にも阿部委員からの御質問がございまして、自衛官の服務の宣誓ということを申し上げました。
 それは、事に臨んでは身の危険を顧みずという宣誓、私は宣誓というのは重いものだと思っております。そしてまた、自衛官がその「心がまえ」に基づきまして、同類の文書というものを規定をしておりますけれども、そこには死生の間に身を置くものである、生きる死ぬですが、の間に身を置くものだ、我々の職場はそういうところだと、大意そのような記述がございます。
 それは私は、宣誓というのはそういう重いものでありますが、さはさりながら、じゃどこへ行ってもいいのかというようなことにはなりません。先ほど来、尾辻委員の御質問にもお答えをいたしましたように、私どもは、どこで活動するのかということ、そしてまた不測の事態が起こらないように配慮をするのは当然のことでございまして、宣誓を行っているからといってどこへ行ってもいいとかそういう問題ではございません。

○広中和歌子君 時間が迫っていますのでちょっと短くお答えいただきたいんですけれども、自衛隊へのいわゆる危険特別手当というのは三万円ですよね、というふうに決まると聞いていますけれども、文民の方あるいはNGOの方が被害に遭った場合、そういう方たちに対しては同じような特別手当が支払われるのか、お伺いいたします。

○国務大臣(石破茂君) 防衛庁・自衛隊に三万円ということを決めたという事実はございません。

○広中和歌子君 その自衛隊に決まる額は、それが二万円であれ三万円であれ、文民にも当てはまるのか、そしてNGOの人たちが被害に遭った場合はどうなのか。
 NGOの人たちは、今ではなくて、戦争が終わったその前後からNGOの、日本を含むNGOの人たち、日本人を含むNGOの人たちあるいは国際機関の人たち、現地で一生懸命働いています。そういう人たちに対する、そして、しかも日本国籍を持っている人に対する危険手当みたいなもの、何というんでしたか、賞じゅつ金ですか、それは与えられるのか、お伺いいたします。

○国務大臣(福田康夫君) この法律に基づきまして、法案に基づいて対応措置を行う、そういうものに従事する者に対して、これは今、自衛隊員のことについてお答えしましたけれども、復興支援職員、民間の方ですね、民間、それから役所の方ですけれども、これも当然支給の対象になります。
 また、これはどういうような対応をしたらいいかということがございますので、このことについては、どういう在り方がいいのかということについて検討いたしておりますけれども、できる限りの対応をしたいというように考えております。

○広中和歌子君 ジャパン・プラットフォームとかJVCとか、ああいうところで働いている人たちに対しては考えていないということですか。

○国務大臣(福田康夫君) この法案で用意いたしておりますのは、あくまでもイラクの復興支援職員、この法案に基づく復興支援職員について対応を考えているということでございます。

○広中和歌子君 もう既に現地で非常に貢献をしているこういう人たちにむしろ支援する方が、我が国がですよ、効率的であり効果的であると、そのような思いをするわけでございますけれども、御意見ございましたらお伺いいたします。

○国務大臣(川口順子君) 現地で働いている、活動しているNGOの人たちに支援をしていくことは重要なことだと思っています。草の根無償等、あるいはNGOの支援のための制度を持っておりますけれども、例えばその中で、NGOのための支援の中で、保険料等についても最大限の保険が掛けられるように支援はしております。

○広中和歌子君 こうして既に実績のあるNGOや民間団体があるわけでございますので、自衛隊がむしろいわゆる出向という形で、出向という形で、こうした例えば国際救援隊みたいなものを日本が作りまして、そういうところに平服で参加すると、そういうことがむしろよろしいんじゃないか。
 昨日、おとといの災害を見ましても、日本の国内において自衛隊が実質的に、救援活動というんでしょうか、その実績というものは私ども非常に高く評価しているわけでございます。その人たちがむしろ同じような形で現地で、現地って、イラクで活動していただく場合、何も軍服を着ていく必要はないのではないか、出向という形で救援隊みたいなものに参加なさった方がよろしいんじゃないかと。そういうことをお伺いいたします。

○国務大臣(石破茂君) 委員の御趣旨が必ずしも正確には理解できなくて恐縮なのですが、私どもは、その必要性があるかどうか、ちょっと今判断しかねるところで、むしろその必要性に乏しいと思っています。
 もう一つは、これは自衛隊でなければできない、それは、自己完結的ということを申し上げましたが、自衛隊でなければできないことです。同時に、武器を持っていきます。そしてまた権限も与えます。そういう場合に出向という形が正しいのか、あるいは、私たちは軍隊じゃありませんよということを殊更に強調することが果たして合理的なのかどうなのか、そういうふうな判断をしなければなりませんので、私どもは現在そのようなことを必然性があるものとして考えておるわけではございません。

○広中和歌子君 終わります。

○齋藤勁君 バグダッドで二十日に国連の車列に銃撃ということで二人の死傷者が出るという事件がございました。このことについて、官房長官、外務大臣、防衛庁長官、どなたでも結構なんですけれども、具体的な内容についてお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(川口順子君) 二十日ですけれども、イラクのムハンマディーヤで移動中のIOM、国際移住機構という組織ですが、の車両が別の車両に乗っていただれかに銃撃をされまして、そして、近くをたまたまバスが通行していて、そのときにそのバスに衝突をしたという事件がありました。そこで、イラク人の運転手一人が死亡をして、職員一名が負傷をしました。
 これは報道もされていますけれども、フセイン政権が崩壊後、国際機関の職員がそういった形で犠牲になるというのは初めてのことでした。

○齋藤勁君 今答弁いただきましたように、国際機関が襲撃されたのは初めてだということで、これは現地はあれですかね、国連旗とか国連の何かそういった標記、記載をしているとか、何かそういった形状は調査されていますか。

○国務大臣(川口順子君) はっきりしたことを、そのときの情報は持っておりませんけれども、国際機関でございますので、国連なりなんなりの印は付けていたという推測をする方が、してよろしいかと思います。

○齋藤勁君 推測ではなくてきちんと調査していただければと思いますね。すべきだと思いますよ、時間もたっていますから。これ二十日ですよね、二十日、今日二十二日ですから。
 どなたか分かる方、大臣が分からなければ、無理なのかな。分からないの。──はい、分からない。委員長、いいです。
 大変危険な状況だということだという認識を一つにしたいということ。
 それから、通告をしていないんですけれども、このことを別に私は今回の自衛隊派遣と結び付けるつもりございませんが、大変痛ましい報道として、これは既に防衛庁がこれ発表していることですから、少し詳細についてお尋ねしたいと思うんですが、見出し的には、自衛官自殺最悪のペース、年間百人突破のおそれ、防衛庁と、こういうことで、今年四月から六月、三か月間で二十七人になった。年間の自殺者数が過去最悪だった昨年同期十四人の約二倍のペースになっている。
 もう少しこの比較、何も十年間別に列挙してということを御説明しろと言うつもりはありませんが、自殺者が増えているということについて、自衛隊内部で、で、結論的には自殺防止策を七月中にも防衛庁はスタートをしたいということで対策本部を設置をしたということまでは承知をしています。ですから、自殺者数の数、内容の点について、こういうふうに増えてきたんですということを教えていただきたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) 過去十年間、過去十年間を一応御説明させてください。
 平成八年度まではおおむね一年間に四十名から五十名前後でございました。九年度以降におきまして六十名から七十名に上がりまして、十四年度は七十八名、今年はこのままのペースでいきますと三けたに乗りかねないという不安、懸念を持っております。
 原因につきましては、病苦、借財、職務、家庭、その他不明と、こういうふうになっておりますが、過去三年で最も多いのはその他不明、二番目は借財ということでございます。
 で、その他不明で本当にいいのかということでございます。これはきちんと、その他不明なんというので片付けるんじゃなくて、あるいは、借財というふうになっていますけれども、その前に何かできなかったのか、考えられる最大のことをやったのかと。もちろん、じゃ事細かに聞くことが人権にどのように侵害に当たるのか当たらないのかという議論はありますが、死なれてしまって人権侵害も何もあったものではございません。そこのところはきちんと考えながらもう一度、今までも実はこういう対策本部を作ったことはあるのです。しかし、それが功を奏さなかった、あるいはその効き目がなくなってきているということを考えますと、これは小島政務官をヘッドといたします対策本部を立ち上げまして、もう一度なぜこれが防げないかということをきちんと考えてみたい、そのように思っております。

○齋藤勁君 今回の法案とは直接私は結び付けるというつもりではありませんが、たまたま一日、二日、この間アメリカ軍のイラクに常駐されている軍人が、報道機関に対して公然と上官あるいはラムズフェルド国防長官を呼んでこいとか、映像に向かって早く帰りたいと言うのは、だれもが早く帰りたいというふうに言うと思うんですが、この指揮者に対して公然と批判をするというのは、取材も大変だと思うんです、これは。これは必ず上官が多分いると思うんですよ。そういうところで、私は、この泥沼化とかあるいはゲリラ戦という今の状況の中で、何も今の日本の自衛隊と共通するという、させるつもりも、無理なこじつけをするつもりもありませんが、極めて士気という問題をベースに考えてみた場合、大変な私は何か気になる点でございます。
 自衛隊の自殺者のことは別にいたしまして、この今の米軍人のイラクにおきます士気、これは防衛庁長官どういうふうに、映像を多分ごらんになったんじゃないかと思う、繰り返し繰り返し放映していましたので、どういうふうに思いますか。

○国務大臣(石破茂君) 私もその映像は何度も見ました。大統領あるいは国防長官に対する批判というものを、このことは、これは正確な言葉かどうか知りませんが、アメリカでは軍律違反だと、絶対に許さないということになっておると承知をいたしております。
 その上で申し上げるとしますならば、アメリカのことはさておきまして、一般論として、先ほど尾辻委員にもお答えをいたしましたが、やはり赴く人たちがそれを命じた政治に対して不信を抱くということは、私は決してあっていいことだとは思っておりません。もちろん、そういうのが全くないなんという組織があるとも思いません。しかし、それが極力少なくなるようにというような政治の責任は、シビリアンコントロールの観点から最も重要なものであるというふうに考えております。

○齋藤勁君 官房長官、世論調査なんですけれども、内閣支持率は、これはもう発足以来いろいろ浮き沈みというと嫌かも分かりませんが、高支持率の中でも支持率が落ちてまた高い支持率に行くということで、小泉内閣というのは大変、ある意味では歴代内閣からいって、一度沈むとすぐ沈みっ放しなのが歴代内閣だけれども、また上がっていくということで、こういうある意味では特異な評価を受けている内閣なんだなというふうに私も思いますけれども。
 ここ最近の世論調査ですね、今日の朝日新聞で、例えば六月にこの自衛隊派遣について賛成が、六月、二か月前、賛成が四六%、反対が四三%。今回の七月二十、二十一日の調査ですと、賛成が、これは反対ですね、ごめんなさい、逆の数字です、反対が五五、そして三三ということで上がってきている。これは朝刊ですから、朝刊というのは朝の新聞ですからごらんになったと思いますが、このことについての世論、動向、どういうふうに受け取られますか。

○国務大臣(福田康夫君) 世論調査でありますから、国民の一般的な認識を示しているんではなかろうかと思います。
 正直申しまして、イラクの復興について、これは反対する人は私はそんなに多くはないんだろうと、根本的にはそういうことだと思います。しかし、このところ、今、委員御指摘のように、反対が増えているというのは、やはりイラクの情勢が不安だという、そういったニュースもあり、またこの委員会における議論もそういう点に集中的に質問がなされると、こういったような状況がございます。事実そういうような状況もないわけではないんでありまして、それは私も認めないということはいたしません。実際に実績を見ますと、必ずしも好転しているというわけではないということであります。
 しかし、ですから、世論との関係においては、そういうことを受けて、今の時点において自衛隊が出ていくのは危ないんじゃないかという、そういう危惧、懸念、それを国民が持っておられるのだというように考えております。

○齋藤勁君 その危惧だと思うんですね。私は、前回の質問でもその点について再三指摘さしていただきまして、今日も時間をいただきまして、短時間ですけれどもやり取りさしていただいていますが、非常に危機意識を持っています、国内、国際的にも、これでいいんだろうかということについて。
 先ほどの冒頭の尾辻議員の御指摘は、私は前回の質問でもさしていただいたつもりです。私どもは野党ですから、野党として対案を衆議院で出さしていただきました。そのことで私は、国内、国際的にも十分日本の役割というのは果たせるのではないかというふうに今なお思っております。
 官房長官、この法案、今、私ども参議院で審議中ですけれども、撤回するという、そういう英断は、判断は小泉内閣はないんですか。

○国務大臣(福田康夫君) これは、復興するという、復興を支援するということについての基本的な考え方というのは、これは御党においても、民主党においてもお持ちであるのは、これは、そういうことでしょう。やり方の問題はあるかもしれぬけれども、賛成はしているわけですね。ですから、やはりそういう支援ができるように体制を整えておくということは必要なのではないでしょうか。
 民主党さんの言われるように、民間の方に行っていただくとかいうようなことであれば、これはもう極めて限定的な支援にしかならないということでございます。また、自衛隊の持ちます、何と言ったっけ、自己完結性とか、そういったような機能も持っていないというようなことも考えますと、今、だからこそ逆に言えば自衛隊に出ていって活動してほしいというように考えて自然ではなかろうかと。
 ただ、再三というか、もう何十度も繰り返しておりますけれども、よしんば自衛隊が出たとしましても、これは安全な地域における活動ということでなければできないのでありますので、その点は、この法案が通りますれば、大規模な調査団を派遣して、十分精査して、そして活動の中身そして規模それから時期、そういうことを決定していかなければいけない、そういうことでございますので、是非この法案は御理解の上にお通しいただきたいというように思っておるところでございます。

○齋藤勁君 法案では国会承認ではございません。国会承認、事前承認ではないですね、この法案では。これは、今撤回しろとも撤回、再度私は前回どおり指摘しましたけれども、そういう意思はないということですが、ここも積極的にシビリアンコントロールという、これ防衛庁長官のお話で、私は、後ほどまたシビリアンコントロールの点で別な角度からお話しさしていただくつもりですけれども。
 この国会の責務というのを、調査をして、そして、いつどういうふうにして派遣をするかということでお決めになるんでしょうけれども、国会とのかかわりということについて、積極的に政府の方から立法府、議会の方に求めてくるという姿勢というのがあった方がいいんじゃないか、あるべきではないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(福田康夫君) この法案におきまして、これも再三お答えしておりますとおり、基本的な枠組みというものは明確になっております。今一番危惧されていることについて、特に安全性の問題とか武力行使との関係とかいったようなことについてはこの法律の中でしっかりと定義されておりますので、その枠組みがはっきりすれば、その中で行う行動については、これはそういう前提の中での行動だということにおいて御理解いただけるのではないかというように考えております。

○齋藤勁君 いや、今回のずっとやり取りを聞いていても、先ほど冒頭、私は、国連車列についての銃撃戦があり、そういう現地の状況というのが、我が国が主体的に調査能力がないままずっと推移をしてきて、今回の法案のやり取りを聞いていても、現状と全くかみ合わないまま国会の議論というのは進んでいるんですよ、国会の議論というのは。
 これは、自衛隊員の生命ももちろん大切です。私は、第一義的に生命というのは考えなくてはいけない。政治というのは、国民の生命、財産ですから、守るということについて、これはまた私たちは政府として国内外の、私たちは国際的な役割という中で私たち自身の方向というのを決めていくわけですから、立法府としての私はむしろ責任が果たせない今の法案だと思いますよ、これは。立法府としての責任が果たせない法案だと思います。
 言葉を拝借させていただきますが、尾辻議員は、慌てて行くことがないではないかと、こういう質問の中で、このことについては、与党と政府ですからあえて政府に答弁求めておりませんでしたけれども、慌てて行くことがないではないかということで、これは答弁は、もう一度、再度、私も同じ気持ちなんですけれども、調査をしますとかいうことだからそういうことなんですよということかも分からないけれども、明確に答弁していただけますか、これ。

○国務大臣(福田康夫君) 先ほど私から答弁申し上げましたけれども、調査を行い、そしてその時期も含めて結論を出していくということになります。
 今、慌てて行くのではないかという御指摘ございましたけれども、決して慌てて行かなければいけないということではありません。しかし、それは思いはできるだけ早く復興支援に乗り出したいという思いはあったとしても、しかしこの法律の枠組みというものを崩すわけにいかないという大前提がございますから、ですからその大前提をこなした上で時期をどうするかと、こういう問題になるわけであります。

○齋藤勁君 立法府としてのかかわり方についてはどう思いますか。立法府としての、先ほど私が言いました国会としての、これから基本計画出てくる、そして今いろいろ調査をしていくということについて、事前に国会で議論をしていくということについてこの法案ではいわゆる事前承認になっていないわけですけれども、このことについて政府としていかがですか。

○国務大臣(福田康夫君) これは、この法案の第六条にございますとおり、自衛隊の部隊等が実施する対応措置については、対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議すると、そしてこの措置の実施について国会の承認を求めなければならないと、こういうことになっております。これは、この承認がなされないというようなときには、速やかに当該対応措置を終了させなければならないという、こういうことになっておりますので、これでもって国会の関与というのは十分にあるというように考えております。

○齋藤勁君 全くそのことについては見解を異にするというふうに思います。一度法案を出したらそのまま何とか、何でもかんでも通すんだという私は姿勢にしか見えません。大変残念でございます。
 大変今日は短時間です。外務大臣、端的にお伺いしたいと思いますが、WMD、大量破壊兵器、発見される、発見されると思っていますか。

○国務大臣(川口順子君) 前にも御説明をいたしましたけれども、いろいろな項目について、イラクは、前に使ったという、イラク自ら持っているということも含めて申告をしているわけですね。それが今まではっきりどうなったか分かっていない部分があるということであります。ですから、今千三百人ぐらいの人を投じて調査をしているわけでございまして、私としては、大量破壊兵器そのものか、あるいはそれが隠匿をされた証拠か、あるいはそれが査察団に対して言わないで廃棄をした証拠か、何らかのそのものがいずれ見付かることになるであろうというふうには思っております。
 いずれにしても、今の調査の状況については注視をしていきたいと考えています。

○齋藤勁君 見付かるだろうと思っていると、見付かるだろうと思っているということですか。

○国務大臣(川口順子君) 政府の今まで見解として申し上げてきましたことは、見付からないと、今申し上げた大量破壊兵器そのもの、あるいはそれを隠匿をした証拠、あるいは黙って査察団に言わないで廃棄をした証拠、何らかのものが見付からないということは想定し難いというふうに考えています。

○齋藤勁君 見付からないというのは想定しないということですか、はっきりちょっと言ってください。

○国務大臣(川口順子君) それらのものが見付からないということは想定し難いというふうに思っているということです。

○齋藤勁君 ということは発見されるということでしょう、発見されるということなんでしょう。

○国務大臣(川口順子君) そういったものが見付かるであろうというふうに考えているということです。

○齋藤勁君 今、イギリス議会やアメリカ議会、いろいろニジェールからのウランをめぐる問題で大変な状況になっていまして、過日帰られましたブレア首相も、イギリス議会とのこれはかなり大変な対応になると思いますし、アメリカの方も、議会、大変だと思います、真相について。
 いろんな角度あり、これは私は大量破壊兵器あったことは認めます、私は、イラクに。これ実際、査察がして、つい最近まで査察をしていたわけですから。それで、おおむね九〇%、九五%の、大体、あったものというより、大体それについては解決して、あと数%があるということについて、これはいろいろやり取りがあったわけですから、これは別になかったなんということを私は申し上げるつもりはありません。
 問題は、武力行使に至る対応の問題だったのかどうかということが、今回、実はブッシュ演説等から始まっていくわけですね。ブッシュ演説等、そんな国連をめぐる舞台があった。
 外務大臣、フランスですね、フランス。フランスは、これは様々な、その後、これはずっと検証していかなきゃならないと思いますが、フランスに対する、最後、今、もう武力行使をして、武力行使以降の復興とか、そういう事態でありますが、つい先日の話ですけれども、国連を舞台にして、フランスというのは最終的に拒否権は発動しない、フランスというのは何とかいわゆるNATOの枠組みの中で大体アメリカと賛同する、あるいはうなずくとか、そういう見方を日本の外務省というのはずっと見ていたんですか。
 フランス政府の、武力行使に対する、以前、国連の、アメリカが武力行使、武力行使と言いましたよね、アメリカがずっと。それで、いわゆる武力行使というのは、まだ十分な査察を継続すべきだというのが私はおおむねの、大方の国際世論だったというふうに思いますが、新たな国連決議も必要だという、こういう様々な各国がございました。
 いわゆるアメリカ・フランス、アメリカ・イギリスとかドイツとかいろいろありますが、フランスの今度のイラクをめぐる問題について私は誤算があったんではないかということで、今の時点ではないですよ、過去にさかのぼってお話しさせていただいているんですけれども、このことについて、長くお話しされると後の時間なくなるんですけれども、フランスとのかかわり方についての見方について外務省としてどういうふうにとらえているのかということについてお尋ねしたいというふうに思います。

○国務大臣(川口順子君) これは、そこに至る過程で、当然、外務省としてフランスとはコンタクトを緊密に取っていました。私自身も、ドミニク・ドビルパン外務大臣と電話でお話もしましたし、それから在京の大使ともお電話でお話をしています。
 それで、フランスとそれから英米の考え方の違いというのは、基本的に査察の有効性をめぐって意見が異なったということであるというふうに思います。フランスと英米と最終的に一致をした形にならなかったということについては残念だと思っています。

○齋藤勁君 私は、きちんとした事前通告をしておりませんから唐突だったかも分かりませんが、武力行使にこれやっぱり踏み切るということについて最後まで拒み続けてきたと思います。いろんな私はそれぞれの国々は利害があると思います。いろんな様々な考え方があったと思いますが、一つ私は、フランスというのは、もう一つ確かに、我々は、アメリカ国民、国内にいる人間としてもっと、九・一一のあの惨状についてもっとある意味では脳裏にたたき込まなきゃいけないというのはアメリカに対してあるかも分かりません。
 一方、フランスにとりますと、私は、過日、私の同僚の佐藤道夫議員もお話ししておりましたけれども、このいわゆる推定無罪原則、推定無罪原則というこういう、日本でも、人権宣言にあります、すべての人は有罪と宣告されるまでは無罪と拒否をされる。この推定無罪原則ということについて、とりわけ私は、フランス人というのは二百年前に人権宣言というのは発信をしたと。言ってみればこの共和国の価値規範として、これは現在の法体系の根本を支えるということで私は原点としてずっと持ち続けているんではないかというのを、私はなぜフランスというのはずっと拒み続けてきたんだろうということについて、いろんな国益の考え方あっても、そういうところにあると。
 武力行使に踏み切る踏み切らないということについては、大量破壊兵器の問題、可能性、いろんな、グレーゾーンであったかも分からない、しかし、踏み切るか踏み切らないかについては、徹底的な私は査察というのをすべきだったということについて、このフランスの人たちというのはそういうところに何か原点があったんではないかというふうに思いまして、実は紹介をさせて、改めて実は紹介をさせていただいているところであります。
 なぜ今そういうようなことをお話をさせていただくとすれば、このフランスのシラク大統領、ドイツのシュレーダーいますが、アメリカのブッシュ大統領、今、先ほど来いろいろありますが、これは文民、シビリアンの部分だと思うんですね、シビリアンの部分。これは、大統領の命令に従いましてアメリカの軍隊が行き、そして今、様々な人道支援、復興支援でいろいろ、他国のいろいろ支援を行くと思うんですが、我が国は今この法律をこの国会で審議をしている。小泉総理大臣が支持しますというところに、私は、いろんな様々な国々の分析の中に、フランスというのは最終的には拒否権なんか発動しない、フランスというのは最終的にアメリカに支持してくれるのではないかというそういう見通しがあったというのを、その後検証が様々な聞いている中であります。
 これも一つ、たまたまそういった中で、外務省というのは、この武力行使に踏み切る踏み切らないということについて、適切に官邸や指導者に対して、小泉総理、政府にきちんと物を言ってきたんだろうかということが一つ実は気になります。
 過日、私は予算委員会で、今度イラク新法が提案されるだろうというときに、外務省がどうしても自衛隊を出せ自衛隊を出せ、防衛庁の方は嫌だ嫌だと。いや、そうじゃなかったのかどうかは別に言っていただければあれなんですけれども。これは、そういう政府内の私は正しい情報と分析というのをきちんとされてきたんでしょうかと言えば、きたんですというふうにおっしゃるかも分かりませんけれども、非常に気になる点であります、これは。
 今回のイラク特別措置法が、是非私は、シビリアンと、シビリアンとずっとおっしゃるけれども、危険極まりないという言葉になりますと、むざむざという言葉を尾辻さんは言われましたけれども、むざむざに私はなっていくふうになります。
 ここで何としても踏みとどまってほしいということと、我が国はやっぱり武力行使を紛争の解決の手段としないと。武力行使を紛争の解決の手段としない、これが国是ですよね、ずっと。政府は、ずっと憲法の枠内、憲法の枠内と、そう力説をされていますけれども、それから今回の法案の提案もずっとそうです。
 いろいろイラクの国内の状況とか、私たち野党だとか、いろいろやり取りを聞くと、最初の提案の時点からどんどんどんどん後退をしてきているような、私は、答弁をしておりますから、いや、これはどうもこの法案というのは無理があったのではないかというふうに政府は思われているのではないかというふうに実は思っておりまして、法案そのものがもう武力行使を紛争の解決の手段としないという国是から逸脱している私は法案であって、したがって、いや、これ首かしげないでください、私そういうふうにしか見えませんよ、これ。
 この前、榛葉委員が委員長にもお話ししましたが、公聴会をイラクで、バグダッドでやられたらどうですかと、そういう提案をされました。今、この法案をアラビア語とか何か、あるいは英語でも、すべてイラクの国民の方々に説明をしたら、どういうふうに日本政府は考えているんだろうかということについて、幾ら官房長官や防衛庁長官が説明したって通用しませんよ。もう今訓練をして、すぐにでも制服を着た自衛隊が日の丸を付けて、治安にあるいは復興に来るんではないかというふうに受け取られますよ、これは。そう思いませんか。
 ちょっと長々と、余り時間が今日ないもんですから、一方的に話をしておりますけれども。

○国務大臣(石破茂君) そうは思いません。ただ、委員のおっしゃること、お気持ちとしては、私はそういうお気持ちを持っていらっしゃる方がたくさんおられるということを否定はいたしません。そのことについて、私どもはもっともっときちんと説明責任を果たしていかなければいけないと思っています。
 ただ、憲法に禁止されておる武力の行使ということは絶対にしないのです。それはいたしません。その点にはきちんとした歯止めを幾重にも掛けてございます。そして、自衛官の安全確保についても法文上あるいは部隊行動基準の上できちんといたしますし、そして訓練をきちんと積まなければ、それは文書の上で幾らきちんとしていたって、それはもう回避できるものではありません。そういうようなお気持ち、委員のお気持ちにきちんとこたえるのが我々政府の責任であると、私はそのように認識をしております。

○齋藤勁君 先ほどのフランスの例は、引用した例がちょっと時間がないんでちゃんと、何か自分の頭の中で発言をしたなということで大変今、申し訳なく思っておりますが。
 ずっと私は、今回のイラクの武力行使を踏み切るアメリカの対応、そして国連をめぐる様々な各国とのやり取りをめぐりまして、それぞれそれぞれ国の考え方あっても、私はフランスというのは、別に特別フランス、フランスと言うつもりはありませんが、とりわけ我が国自体もこの人権宣言にベースにした私たちは法体系を持ちながらずっと来ているというふうに思いながら、大量破壊兵器の問題を含めて実は指摘をさせていただきました。そして、シビリアンコントロールの部分もそうです。
 一点だけ、あと若林さんの後もずっと時間なくなっちゃって申し訳ないんですけれども、一つだけ聞いて終わりにします、これ。
 クウェート等と地位協定という話がございます、報道出ました。これ、前回やり取りしようと思ったんです。これは、クウェートほかも予定をしているんですか。具体的にどの程度進んでいるんですか。これ、一、二聞いて終わりにします。

○政府参考人(西田恒夫君) 地位協定等につきまして、法案が成立した暁には、かつ具体的な任務が決まりまして自衛隊を派遣する場合には自衛隊の法的な地位というものを確保する必要があるというふうに考えておりますが、現在の時点で具体的に国名を特定しましてその国と話し始めているということはございません。

○齋藤勁君 ちょっと、具体的にどこどこの国から要請があって、もう進んでいて、いつ結ぶとかそういうこと、具体の事実を教えてください。

○政府参考人(西田恒夫君) ただいまお答えいたしましたように、具体的に特定の国から地位協定を結びたいと、あるいはそのような枠組みを作りたいという話はまだ来ておりません。

○齋藤勁君 そうすると、西田さん、一切、様々報道が出ているのはガセネタ、全くの、誤報。

○政府参考人(西田恒夫君) 種々の報道が出ているのは御指摘のとおりよく承知をしております。
 それで、私たちが事務レベルで、一般的にあり得るものとしてどういうような国があるかということでいろいろな頭の体操をしているということは事実でございますが、ただいま御質問のように、当該の国から具体的に要請があり、それに基づいて話をしているところはございません。

○齋藤勁君 委員長、時間なくなってこれで終わりますけれども、きちんとやってくださいよ、外交なんですから。これは、きちんと情報はできれば出してくださいよ。別に地位協定そのものが何か、戦争でも何でもないでしょう、別に。
 終わります。

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。
 参議院で審議始まりまして大分たちますけれども、与党側からも桜井委員から様々な法案に関する指摘があり、今日また尾辻委員から例えば言葉のごまかしがあるという表現をされていましたけれども、問題点の指摘とか気持ちというのは私はほとんど変わりないんじゃないかなという感じはしています。
 ただ、私はやはり立法府として責任が持てるかどうかということにいえば、私は今回の法案はやはりいろいろ無理があるんではないかということでございます。恐らくそれは与党の方からも、皆さん方も気持ちはかなりあるんではないかと。そこの立場の違いというのはもちろんあるのは分かっておりますけれども、改めてその点を指摘し、私はやはり勇気ある撤退もいいんではないか、仕切り直しして改めてやはり自衛隊の派遣の在り方を議論することも必要ではないかなという感じはしております。
 まず、援助の理念ということについてお伺いしたいんです。
 川口大臣にお伺いしたいと思いますけれども、私もイラクへ行きまして、六月はベトナムとカンボジアの田舎に行ってきました。本当にやはり貧困です。水もない、電気もない、トイレはない。イラクはまだあるんです。もっともっと貧しい国はあるんですけれども、なぜ今イラクへ行って人道復興援助をしなきゃいけないかということについて、これは正解がある質問ではありませんので、率直に自由にお答えいただければと思います。

○国務大臣(川口順子君) イラク、カンボジア、ベトナムというふうにおっしゃられました。我が国が決まった援助のための財源をもってどの国にどれぐらい援助をするかというのはいつも物すごく難しい問題です。例えばカンボジア、ベトナムということの重要性からいえば、ASEANの中のCLMVの二国ですから、格差是正という意味からはこれらの二国に支援をすることは非常に大事であるということです。
 同時に、イラクについても非常に重要でございまして、これは申すまでもなく、中東の平和と安定ということとイラクの復興というのは密接に結び付いている。イラクの復興なくしては中東の平和と安定はないわけです。中東の平和と安定の我が国に対する重要度というのは、石油の依存度ということを考えてももうこれは非常に明快だと思います。
 それからもう一つ、人道的に非常に苦しんでいる人たちに対して我が国として支援の手を差し伸べるということも、これも多くの日本人が納得をしていただいていることであると思います。我が国としては、イラクをやってほかの国にやらないということではなくて、我が国の全体の国益なり物の考え方を踏まえて必要なところに必要な支援をしていく、それが具体的に幾らかということについては常に悩みながら決定をしているということです。

○若林秀樹君 本当に世界には、もう水はない、電気はないで当たり前で、もっともっとやっぱり貧しい国はあるんです、これは現実的に。しかし、なぜ今、私なりに理解すると、やはりイラクというのは、ある程度近代化が進みますとその時点でもう生活力がなくなっちゃうんですね。今、前提に、水がない、電気がない生活ができなくなっている。そうなると、やっぱり社会的な混乱を及ぼして大変な状況になるというのが私は一つの理由としてあるんではないかなというふうに思っています。それに対してやっぱり復興援助をするということは、それはそれなりに意味があるんではないかなというふうに思っているところでございます。
 本法案、繰り返しまたかと言われるかもしれませんけれども、やはり私は、今回の法案の組立て方というのはイラクの実態を、目を覆って無理やり組み立てているなという感じは私は今でもしているところです。それが先ほどいみじくも言葉のごまかしといったお話にありましたように、私は今でもそう思っているところでございます。
 例えば、戦闘地域、非戦闘地域という言葉に対しても、言い方が少しずつ微妙に変わってこられているんではないかという私は印象です。その上で改めてお伺いしますけれども、非戦闘地域、戦闘地域というのは地理的な概念ではない、色分けできるものじゃないというふうにおっしゃっていましたけれども、一応それ、そういう確認をさせていただきたいんですが。

○国務大臣(石破茂君) 憲法上の要請を制度的に担保するための概念でございます。

○若林秀樹君 ですから、地理的な概念ではないということでよろしいですね。それはもう先ほど来ずっと答弁されていますから、一応そういう理解で。

○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりです。
 ですから、これを非戦闘地域、これは違うというふうに明確に色分けをするという性質のものでは全くありません。

○若林秀樹君 ただ、現実的には、非戦闘地域において要件を満たしてそこで実施区域を決めるということですから、正にこれは物理的、地理的な概念なんです、これは。ですから、そこはやっぱり矛盾しているんじゃないですか。

○国務大臣(石破茂君) 矛盾してない、してない。

○若林秀樹君 いや、私はしていると思いますよ。

○国務大臣(石破茂君) それはおっしゃるとおりでございまして、実際に指定する、実施区域というのは明確に指定するわけです、ここからここまでという、指定するわけですよ。だから、実施する区域の範囲とは違う概念なのですね。それを指定しますから、それは地理的概念です。しかし、その地域は非戦闘地域でなければならないというのが憲法上の要請であり、それを条文上担保をしているということなのです。
 結果として地理的な概念になります。しかしながら、それはそういう地域でなければならないということを申し上げているわけであって、ここは本当に説明が難しいところなのですが、しかし、イラクをここが戦闘地域、非戦闘地域と分けるものではないという一点は御理解をいただけると思います。そして、非戦闘地域で行わなければいけないということも御理解をいただけると思います。そして、実際に実施区域を定めます行為は地理的な概念を設定するものでございますが、それは非戦闘地域という要件を満足したところでなければいけないという説明になるわけでございまして、そこのところに公的な概念と地理的な概念が一致を見るわけでございます、結果として。

○若林秀樹君 私は、はっきり言ってこの議論を国民の方が聞いてもやっぱり分からない議論ではないかなというふうに思っております。やはり、非戦闘地域、いわゆる戦闘行為が行われていない地域を区画、ある程度決めてやるわけですから、これは正しく地理的な概念です。
 もうこれ以上言っても議論は深まらないと思いますけれども、本来、私ここで質問やめてもいいぐらいの私、気持ちはあるんですけれども、続けたいというふうに思いますが、いずれにせよ、やっぱり自己矛盾の法理論じゃないかなという感じはしているわけです。例えば、自転車しか走っていないところに車の法律を作って規制をする、法律上問題ないだろうという、それぐらい私はやはり違いがあるんではないかなという感じはしているわけでございますから、法の存在の根拠そのものがやっぱり問われているんではないか。
 私は、やはり今の実態を見たときに、どういうことがあるべき姿なんだということを前提で私は今回の法律は進んでいないんですよね。
 ですから、例えば今回の、官房長官にお伺いしたいんですけれども、様々な議論で恒久法の必要性とかあるいは武器の使用基準、緩和した方がいいんじゃないかという議論が出ていますよね。むしろ議員の方が先に意識は進んでいたんじゃないですか。政府は、法を軽くしようと思って通そうと思ったのかもしれませんけれども、その辺、どんなふうに御感想をお持ちでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 議員の方が進んでおられるというお話ございました。
 それは、私もこの議論を始めまして、そして実はびっくりしたところもあるんです。と申しますのは、国際平和協力について積極的に我が国として取り組んでいこうという、そういう考え方を多くの議員の方々がお持ちであると、これはもう衆参問わずでございます。そういうことで、私、そのことについてそういうことが遅れているとか進んでいるとかいう話ではないんだろうというように思っております。
 政府としても、恒久法の整備につきましては、例の国際平和協力懇談会報告書がございまして、これを下敷きにしていろいろと考えていこうというように思っておりますけれども、この懇談会自身が、昨年の総理が五月にシドニーでスピーチをした、その中に触れておりまして、総理が東ティモールに行きましてPKOの活動、我が国の七百人出動して今東ティモールで活躍しておりますけれども、その姿を見て、シドニーで国際平和協力の重要性というものを再認識してスピーチの中に取り込んだ。そして、その後、直ちに明石さんに懇談会をまとめていただくというような形でお願いをしたということでございまして、今年の初めの総理の施政方針にもこのことは触れております。
 ですから、進んでいるといえば小泉総理が一番進んでいたかもしれぬというぐらいな感じでございますけれども、そういうことはともかくとして、私はこのことは大変大事なことであり、そしてまた我が国の今後の対外活動というか、国際的な対外活動において一つの指針を持つべきだというように思っていますので、是非このことについて今後も引き続き有意義な御議論をお願いしたいというように思っております。
 それから、武器使用の緩和なんという話もございまして、これも割合積極的なお話ございました。
 しかし、これは、今回はこの法案で治安維持というような活動を行うというわけではございません。その活動する地域を隊員の安全を第一に考えながら適切に設定していくということなどに加えまして、携行するその武器の種類、そして部隊の運用、これにつきましても現地の情勢とか実施する業務の内容等を踏まえて対応するということでございまして、この法案の武器使用権限で十分対応できるものであるというように考えておるところでございます。

○若林秀樹君 報道等によると、早速もう恒久法の話が、枠組みができ上がったような話もありますけれども、今回のいろんな議論に後押しされて慌ててまたやり出したんではないかなという感じもしないわけではありませんけれども、私はやはり、皆さんそれぞれ立場ある、責任ある議員ですから、それなりのことを考えながらやっぱり議論をしていれば当然こういう考えが出るというのは私は当然のことではないかなと。私はやっぱりむしろ進んでいたんではないかという意識を持っているところであります。
 その上で、ちょっと時間がありませんので角度を変えてお伺いしたいんですけれども、今回の自衛隊は安保理決議にのっとって派遣をされるという部分もあるかなという感じはしますけれども、安保理決議の一四八三の部分にもその治安の安定、加盟国に求めるというような話があったかというふうに思います。その上で、仮に自衛隊が派遣されるとしたら、UNのキャップをかぶって、あるいはUNのマークを付けてC130を飛ばすということは今回の安保理決議からの流れからいえば可能なのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) これは、お答えは可能ではないということです。国連の統括の下に行われる活動ではないわけですね、これは。ですから、その国連の、UNの入った例えばヘルメットを付けると、そういうようなことは適当ではない、不適当であるというふうに考えます。

○若林秀樹君 安保理決議にのっとっても国連の管轄下において動いている活動ではないということで、それはできないという理解でありますか。はい、分かりました、そういうことで理解します。
 本法案が成立しないと、現行法による文民の復興支援で支障を来すことって何かありますでしょうか。官房長官、もしよろしければお伺いしたいと思います。

○国務大臣(福田康夫君) 現行法で文民の復興支援ということで、それは可能であります。
 しかし、これは現在、この今お願いしている法律が通りませんと、例えば外務省の設置法のような現行法で対応するということでございまして、そうしますと幅広い復興支援を行うということは困難ではなかろうかと思います。
 それは、設置法では員数の問題とか、それから適切なる人材がいるかどうかということもございまして、困難ではなかろうかというように思っております。もしこの法案が通れば、内閣府本府が広く国民の中から官民問わず人材を集めて、そしてイラクに派遣すると、こういうことになるわけでございまして、この制度が必要であるということになります。

○若林秀樹君 今、唯一挙げられたのは、幅広い人材を集められるという話がありましたけれども、それは現行法の支援の枠組みの中でもいろんな幅広い人材はこれは集められるわけですし、何がその集められないかというのはちょっと分からないんですが、もう一回ちょっと御答弁願えますでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 各省の設置法でいきますと、やはり員数の限界がありますよね、まず。その中でもって異動するわけですから、今の仕事に影響するということもありましょうし、また、専門家というのが役所にいるのかどうかということもあります。もちろん、いれば行っていただくということになりますけれども、そうでない専門家もたくさんいるんだろう、そういう場合には民間からお願いをするということもあろうかと思います。
 要するに、員数の問題と、それから人材、要するに規模、広がりが現行の法律ではなかなか難しいのではないかという判断をいたしております。

○若林秀樹君 これまた員数の問題といいますけれども、今でも現実には様々なところに派遣をしているわけですし、専門家もJICAだけじゃなくていろんなところから求めてやっていますから、私はそれは説得ある話ではないというふうに思います。
 時間がありませんので、先の質問に入りたいと思いますけれども、アメリカからの支援ニーズということで、具体的な行動の要請がなかったというようなお話もありましたけれども、今回、当初は空港付近での浄水活動があったということで、これは与党の派遣団のニーズからもそういう御報告があったというふうに伺っていますけれども、今回、バラドにおける要請があったということに対しまして、具体的なその中身について差し支えなければお教えいただきたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) バラドで給水支援をという話がアメリカからあったという報道、これは私も読んでおります。自衛隊の活動地域あるいは活動内容等について米国から具体的な要請、これは受けてはおりません。

○若林秀樹君 そうですか。それであったら、何で官房長官はあの時点でそういう要請はないと否定されなかったのか。そこの地域は危険だからまずいというようなお話もされたように報道では伺っているんですけれども。

○国務大臣(福田康夫君) 私は、それはそういう具体的な話があるということは聞いておりませんでしたし、それは情報交換でいろいろあるでしょう、常時やっているわけですから。地名が出て、あそこはどうか、ここはどうかといった話がある、そのうちの一つだと思いますよ。ですから、私はそういうように記者会見でも言ったと思って、記憶いたしております。
 ただ同時に、別の情報で、あの地域では危険性があるというのは聞いておりましたから、それは危険が伴う地域であればなかなか難しいだろうなという話をしただけの話でございます。

○若林秀樹君 じゃ、要請はなかったというところで、これから自衛隊としてはどこで活用するかということはこれからの調査の中でやっぱりやっていくということですから、お伺いしたかったのは、別に米軍のためだけじゃなくて民間人に対する水の供給というのもありますから、様々な視点での調査も必要ではないかなという感じはしたところであります。
 戦闘地域云々という話がありましたけれども、最近聞かれるのは組織的なゲリラ戦に入りつつあるというお話もありまして、ラムズフェルド長官もこれは組織的な行動であるということを認めざるを得ないということがありましたが、ゲリラ戦というのは石破長官がおっしゃる四項目の評価ですよね、組織性、継続性、計画性、国際性に当たるんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) ゲリラ戦とは何だろうかということでございますが、これは要するに勝手な定義を作って議論しても仕方がありませんので、一応ここは米国国防総省の定義で申します。つまり、アビザイドがそう言っているわけですから。どういうことになるかと言いますと、主に現地勢力によって敵支配地若しくは紛争地域において不正規に実施される軍事的、準軍事的作戦。直訳調ですけれども、そんな感じになります。
 これをどう考えるんだということですが、主に現地勢力によってということになると、これは国際性という点から見てどうなんだろうねということになるだろうと思います。不正規にというのをどう考えるか、あるいは軍事的、しかしながら軍事的、準軍事的作戦なんだからこれは組織性、計画性なんじゃないのってなことになってきます。
 そうしますと、委員が御指摘のように、国際性、計画性、組織性、継続性、この四つのうちの一つでも欠けたら駄目なのかとか、そんな議論をしても仕方がないわけでありまして、この四つのうちのたとえ二つでも満たす場合があっても、二つしか満たさない場合であっても、これは国又は国に準ずるものによる組織的、計画的なという評価ができないというものではないと私は思っています。
 これはもう言葉の遊びというふうにおしかりをいただくことを十分覚悟の上で申し上げますが、それはやはりそのときそのときにきちんと判断をすべきもの、我が国が武力紛争の、国際的な武力紛争の解決の手段として武力を行使したというような評価を受けないということが重要であるというふうに思っております。言葉の遊びをするつもりは全くございません。ただ、そういうものを考えたときに、このゲリラの定義というものは、それを満たす場合が排除されないというふうに私は思います。

○若林秀樹君 いずれにせよ、ゲリラ戦であればそういうことは排除できないということですから、ゲリラというのはどこでそういう場所が、ゲリラが、活動があるかどうか分からないわけですから、ある意味じゃ、またさらに最初の議論に戻りますけれども、戦闘地域、非戦闘地域を分けるということ自体がもう難しいのかなというふうに思います。
 これはまた元の議論に入りますので、これ以上しませんけれども、時間が参りましたので、ここで終わらさせていただきたいと思います。
 以上です。


2003/07/22

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