2003年7月22日

戻るホームイラク目次


156 参議院・外交防衛委員会−(1)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=尾辻秀久(自民)


平成十五年七月二十二日(火曜日)

○委員長(松村龍二君)
 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○尾辻秀久君 まず、防衛庁長官にお尋ねをいたします。
 むざむざと、ここで私が言うむざむざとという意味は、しっかりした準備をしていけば決してそんなことにはならなかったのにという意味でありますが、むざむざとイラクで日本の若者を殺すことはありませんね。

○国務大臣(石破茂君) 委員は万感の思いを込めてむざむざとおっしゃったのだと思います。
 これは何度か答弁申し上げておりますけれども、法律上いかにきちんとしていても、あるいは部隊行動基準をきちんと定めても、あるいは身を守るための武器というものをきちんと定めても訓練を積まなければ対応というのはできないと思っております。
 したがいまして、私は、条文上きちんとしているからいいだろうとか、そのようなことを申し上げるつもりは一切ございません。本当にこれであれば、おっしゃいますように、危険を回避し、安全に、自衛官にとって安全に、国家からあるいは国際社会から要請されたことにきちんとこたえられる、そういう場合に出すということだと私は思っております。

○尾辻秀久君 防衛局長に尋ねます。
 例えばですが、CH47あるいはC130をイラクに持っていくとする、当然、特別装置が要りますね。どんな装置が要りますか。

○政府参考人(守屋武昌君) C130につきましては、これは固定翼の輸送機でございますけれども、イラクでオペレーションをやっているほかの国の輸送機を見ますと、ミサイル攻撃を受けたときのチャフのディスペンサー等、これを回避する装置を施しておりますので、私どもの航空機にもそのようなものを装備した航空機を派遣することが必要ではないかと考えておるところでございます。
 それから、CH47は、これは回転翼のヘリコプターでございます。諸外国の、これもCH47を持っていくかどうかということにつきましては、防衛庁として検討している段階でございますけれども、仮にこれを持っていこうとした場合は、イラクは砂漠の運用環境でございますので、フィルターとか特殊な装置を装備しないとこれは砂漠で使い物にならないという報告を受けております。

○尾辻秀久君 今お話しのとおりに、130、フレア、チャフ付けているのは三機しかないからその他を持っていくとしたらどうしても付けなきゃならない。
 今言ったような装備を準備するのにどのぐらいの時間が掛かりますか。

○政府参考人(守屋武昌君) C130については、先生、今御指摘のように三機は付いておりますので、C130をこの機数にとどめる限り、特別の準備はいたしません。
 そのほかに、イラクで陸上自衛隊の部隊が行動されることになりますが、車両、トラックですね、これも特別のフィルターというのは必要になりますので、やはり私ども装備の面からしますと、二ないし三か月の期間が必要と思われます。

○尾辻秀久君 二ないし三か月と言われたけれども、もしCH47を持っていくとすると一年は掛かるでしょう。私がここで言いたいのは、そんな細かな議論しようとは思っていないんです。要するに、ここで言いたいのは、慌てて行くことはないという、もうしっかりした準備をしていくべきである、もし間に合わなかったらそれにこしたことはないじゃないですか、そこまで言っておこうと思います。とにかくしっかりした準備をしていってほしいということをまず言っておきたかったわけであります。
 先日の新聞を見て腹が立ったんです。この記事なんですけれども、長官、ごらんになりましたか。産経の記事なんですよね、先週。何て書いてあるかというと、投票日前に死傷者が出れば悪影響が出るから、選挙が終わってから送ろうと。こんなばかな話はないですよ。逆に読んだら、選挙が終わったら死んでもいいということじゃないですか。
 あえて、もう本当にあえてですけれども、長官にお尋ねします。長官御自身の選挙の当落と部下の隊員の命とどっちを大事になさいますか。

○国務大臣(石破茂君) それは部下の命の方が大事に決まっています。そして、それと同時に問われているのは、命も大事です、日本国政府の姿勢も大事です。いい加減なままという言葉をかぎ括弧付きで使うといたしますと、派遣をして仮に事故が起こったとします。そうしますと、私は自衛官の政治に対する信頼というのは大きく損なわれると思っています。一番恐ろしいのは、文民統制という観点において、実際に身命を賭して任務に就く自衛官が命令する政治に対して不信を抱くことが私は一番文民統制という観点から恐ろしいことだと思います。したがいまして、それは当然自分の選挙の当落よりも隊員の命、そして文民統制の方がはるかに、比較にならないほど重要だと私は思います。

○尾辻秀久君 あえてとはいえ、失礼な質問をしたことはお許しいただきたいと思います。しかし、この記事読んだら、つい聞きたくなったのであります。ここで申し上げたいことは、今度のことでいろんなことを考えなきゃいけませんけれども、私に言わせていただくならば、隊員の安全確保、もうこれをすべてに優先してほしい、そのことをまた改めて申し上げておきたいと思います。
 そこで、外務大臣に、これはもう質問じゃありません、申し上げておきたいと思います。みんな命懸けで行くんです。国益のために行くんです。だから、何が国益なのか、これはしっかりと説明してください、このために行くんだということ。そして、行く人たちが胸を張って行けるように是非してやってほしい、このことだけを外務大臣に、もう質問じゃありません、お願いをしておきたいと思います。
 そこで、今度はイラクの今の状況についてお聞きしたいのでありますけれども、質問の形にするともう長くなると思いますから、私がこう思いますということを申し上げるので、イエスかノーかで答えていただきたいと思います。
 戦争が終わっているのか終わっていないのかということであります。これは国際法上の解釈とそれから実態と両方あると思うんですが、まず国際法上でいうと、講和条約が結ばれているわけでもない、平和条約が結ばれているわけでもない、もっと平たく言えば、フセインが参った、降参と言ったわけでもないわけでありますから、これはまだ終わっていないと解釈すべきだろうというふうに思います。
 じゃ、実態どうなんだということになると、先日の米中央軍のアビゼイド新司令官がこれまた間違いなく戦争だと言っておるわけでありますから、国際法上も実態も戦争中の場所と、こういうふうに私は思うのですが、長官、どういうふうに認識されますか。

○国務大臣(石破茂君) 私は、基本的には委員のおっしゃるとおりだと思います。
 我々がすべての戦争について知悉しているわけではございませんが、例えば日本国が九月三日に東京湾ミズーリ号上において文書を調印した、ああいう形もあります。ナチス・ドイツのように、ヒトラーは死んじゃったと、しかしながら、その後に総統として立った人間を連合国が認めなかったというような形もあります。
 今回の場合には、委員御指摘のように、調印されたわけでもない、フセインが参ったと言っているわけではない。その二点考えますと、今までの例から申し上げて、国際法的に戦争が終結したと言える状況だとは考えておりません。

○尾辻秀久君 言いたいことは、戦場に行くんだということを忘れちゃいかぬ、そういうふうに言いたいわけであります。
 そこで、非戦闘地域だとかという言葉が出てきます。揚げ足取るつもりは決してないんですけれども、先日、武器使用の例として、こんなペーパーを持ってきていただきました。それを見ていましたら、イラク人道復興支援特措法案第十七条及び自衛隊法第九条により可能な武器使用の例として、今度のことですが、武装集団が武器を持って包囲してきたらと、こういうケースが書いてあるんですね。それはいいんだけれども、ついつい、非武装地帯に行くのに武装集団に包囲されることがあるんですかと聞いてみたくなるんですが、そんな揚げ足取りみたいな質問をするつもりはありません。
 ただ、確認しておきたいんですが、非武装地帯イコール安全な場所と、こういうことではないですよねということだけを確認しておきたいんです。

○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりでございます。
 これは、本当に何度も分かりにくいというおしかりをちょうだいをいたしますが、戦闘が行われていない地域、言い換えれば非戦闘地域で活動するというふうに法案に書いてございますのは、日本国は海外において武力行使をしてはいけないという九条の趣旨を制度的に確保するために、担保するためにという言い方をすることもございますが、これはあえて書いておるわけでございまして、非戦闘地域イコール治安のいい地域というふうに概念的に全くぴったり重なるものだということは私は考えておりません。
 したがいまして、非戦闘地域で行動するということは憲法上、当然の要請でございます。その上で、比較的安全な場所、つまり自衛官の知見、訓練によって得た能力、装備、権限、それをもって任務が果たし得る地域ということを申し上げておるわけでございまして、委員がおっしゃるとおりのことでございます。

○尾辻秀久君 そこで、改めてですが、防衛局長に、国際法上の正規軍の要件を教えてください。

○政府参考人(守屋武昌君) 国際法上の正規軍といいますのは、通常言われております陸軍、海軍、空軍ということで、国家が認めた軍隊のことだと理解いたしております。

○尾辻秀久君 急に言いましたので、私の方から申し上げますが、通常言われているのは、指揮官がいること、それから制服を着ていること、武器を持っていること、国際法を守ることと、こういうことになります。
 そうなると、日本の自衛隊は正規軍ですか、違いますか。

○政府参考人(守屋武昌君) 国際法上、日本の自衛隊は軍隊というふうに位置付けられていると理解しております。

○尾辻秀久君 ですから、さっきから私が申し上げておるのは、戦争状態というか、戦争のところに自衛隊という正規軍が行くんだと、このことをごまかしちゃいかぬと思うんですね。何か変に理屈のつじつま合わせのために、聞いていると、ごまかしているようなところがある。そのごまかすことによってどうなるかというと、行く隊員が危険になるんですよ。私、それ心配するから盛んにこんなことを言っているんです。
 要するに、さっきから言っているように、隊員の安全確保が最優先されるべきことだと思うし、彼らを危険な目に遭わせたくない、そう思っているから、やっぱり一番基本のところは、戦争のところに正規軍が出掛けていくんだという、この一番肝心なところのことをごまかしちゃいけない、こういうふうに思うわけであります。これ、ごまかさないでしっかり正面からとらえて、そしてそれなりの準備をして行ってほしいと、このことを繰り返し今日は言っておるつもりであります。
 何かお答えになりますか、どうぞ。

○国務大臣(石破茂君) 委員はすべて御理解の上で御質問をいただいておりまして、大変有り難いことだと思っています。御指摘のことは私も、本当に極端な表現かもしれませんが、朝から晩まで考えておることでございます。
 ただ一点、戦場に行くんだという御指摘でございました。この戦場というのを戦闘行為が行われている地域というふうに、こう言い方を換えますと、これは法案の趣旨とは異なってまいります。戦争が全体としては終結をしていない、しかし憲法上の要請というのはどうしても我々は守らねばならないことでございます。
 したがいまして、戦闘行為が行われていない場所という地域でなければいけない、これはやはり確保しなければいけないことだと思っております。余計なことかもしれませんが、そこの点は私ども、はっきりと申し上げておかねばならない。しかし、一般人にとってはもちろん危険な地域である。そしてまた、先ほど申し上げましたように、自衛官たちにとっても、じゃ、それで完全に安全なのかといえば、それは不測の事態というものは決して排除されるものではない。しかし、それが本当に限りなくそういうことがないように努めるのが我々の責務だというふうに考えておるところでございます。

○尾辻秀久君 今おっしゃった戦場ではないよというお話ですが、戦争の場所というのは戦場と言ってもいいのじゃないかなと個人的に私は思います。そんなことを今日やり取りしようとは思いません。ただ、そういう言葉のごまかしみたいなことで、行く隊員を危険な目に遭わさないでほしいと、このことだけを申し上げたいわけであります。
 そこで、そういうことでちょっと最近気になっているんですが、盛んに拉致、拉致と言いますよね。これ、正規の軍人が捕まって拉致なんですかね。何か、軍人捕まえて身の代金要求してきますか。やっぱり正規の軍人捕まれば捕虜だと私は思うんですが、大体答えは分かるんですよ、それ聞けば。なぜ捕虜じゃないんですかと言えば、こういう説明になるだろうなというのは、紛争当事者じゃありませんからとかなんとかとどうせお答えになるんだろうけれども、しかし、やっぱり私は捕虜だと思うんですが、何か、どうですか。

○国務大臣(石破茂君) 委員が予想されたようなお答えをしようと思っておりました。
 それは、やはり連れ去られたということで申し上げてもよいのです、その拉致という言葉を使わなくても。それが捕虜の待遇を受ける、それはそうあるべきものでございますし、私どもからもそのように要求をしなければなりません。
 しかし、私が申し上げたいのは、そのように隊員が連れ去られた場合、身の代金を要求しようがすまいが、あるいはどのような待遇を、我々の意に反して、あるいは国際社会の要請に反してされようが、それを捜索に行くということはやはり部隊として当然のことだと思っております。連れ去られて、それを捜索にも行かない、何のアクションも起こさない、そのようなものでは組織は自己保存の機能が果たせないというふうに考えます。

○尾辻秀久君 余り細かな理屈を言うつもりもありません。ただ、申し上げると、一九七七年のジュネーブ諸条約の追加議定書、あれでは、正規軍、不正規軍問わずに軍隊と言っていますよね。となると、今ゲリラ戦だと言ったとしても、ですからそれを不正規軍だと言ったとしても、やっぱり国又は国に準ずる軍隊と私は理解するべきじゃないかと思うんですよ。その議論から先に言ってくると、やっぱりという答えになりそうなんですが、今日は細かな議論をするつもりはありません。
 次に、今、イラクがどういう支配体制下にあるかなということなんですね。
 これがまた難しいんですよね。いろいろ聞くと、私のところにも今、四枚紙が来ているんですよ。それぞれちょっと違うんですね。違うんですが、それは細かな違いであって、結局、結局、私が理解しているところでは、連合暫定施政当局、CPAと、それから連合司令部の二本立てで今イラクを治めている、こういうふうに理解しているんですが、それでいいですよね。どうですか、お答えになりますか。

○国務大臣(川口順子君) それに加えて、統治協議会というのが先般できまして、これはイラク人二十五名から成っているということであります。
 それぞれ、司令部はCPAとの間では支援をする関係になっています。それから評議会、これは権限的に、もし必要でしたら細かく説明しますが、幾つかの権限を与えられている。それで、CPAと密接に連携を取りながら、相談をしながら進めていくということになります。

○尾辻秀久君 細かく御説明なさるとそういうことになるんでしょうが、一言で言うと、やっぱり今、占領軍の軍政下にある、こういうふうに見るのが正しいと言ったら変な言い方かもしれませんが、一番実態に近い見方なんだろうと思うわけであります。
 そうしますと、占領軍の軍政下にあるところに自衛隊が行く、いろいろ理由は付けるんでしょうが、任務をするということであれば、とどのつまりは、給水であれ何であれ、占領軍の後方支援をすることだけは間違いない、こういうふうになると思うんですが、長官、どうですか。

○国務大臣(石破茂君) 委員おっしゃるとおり、そのような活動もこの法案には規定をされております。人道支援とともに、そのような活動も法案上、法文上規定をされておるところでございます。

○尾辻秀久君 そうなりますと、治安維持のためにイラク国内、四地域に分けていますね。それで、二地域を米軍が押さえている。あと、イギリスとポーランドがそれぞれ治めていて、これははっきり指揮下に入れていると言っていますよね。その地域は自分たちの指揮下に入れている、こういうことになっています。
 そうしますと、先日、説明求めたときに防衛局長は、私が、行った自衛隊、コマンド、指図下にもどこの部隊からも置かれませんねと言ったら、そのとおりだと、こういうふうにおっしゃったんですが、これはそのとおりですね。

○政府参考人(守屋武昌君) イラクに派遣されることになります自衛隊の部隊は、我が国の指揮権に基づいて独自に行動するものでございます。
 ただ、この活動を行います場合に、現地でいろんな活動を行っておる米軍との調整が必要でございますので、調整は行った上で自らの指揮系統に基づいて判断するということでお答えいたしたところでございます。
○尾辻秀久君 ですから、細かなやり取りをすると、結局、防衛局長が言うのは、オペレーショナルコントロールなんだと、こう言いたいんだろうと思うんですよね。だけれども、実際派遣される部隊が現地で活動するときに、コマンドとオペレーショナルコントロールと実態が違いますかね。防衛局長、どう思いますか。

○政府参考人(守屋武昌君) これは、我が国が国際平和協力法を作りましてカンボジアに出したときも最初にこの問題に突き当たりまして、指揮権の問題というのは大変大きかったわけでございますが、先ほど言いましたように、全体的な仕事のやり方は調整して行いますけれども、その決められた枠内だけで自衛隊が自らの指揮権に基づいて行うと。これはテロ対策において行っておるペルシャ湾での、インド洋での海上自衛隊の活動も同じ要領でやっているところでございます。

○尾辻秀久君 それ言われますと、インド洋の給油のときに両方がどの方向、両方がというのは給油する側と給油される側両方並行して走るときに、どの方向に速度幾らで走れと、こういうときに、じゃこれはオペレーショナルコントロールなのというとコマンドだと私は思うんですね。
 まあ今日はもう細かなことは三十分の時間の中だからやり取りするつもりはないので、そこまででおいておいて、要するに、現場で行った人たちが困らないようなちゃんと理論の整理だけはしておいてくださいよと、その集団的自衛権の枠組みの中で無理やりやろうとして、無理やりという言葉がいいのかどうか分からぬけれども、とにかくやろうとして、変に現地でやりづらくなるようなことだけはしないでくださいということだけを言っておきたいんです。
 次に、任務について尋ねておきます。
 もう端的に聞きます。何かぶれているような気がするので聞くんです。
 人道復興支援活動と安全確保支援活動、どっちに重点を置きますか。

○国務大臣(石破茂君) 現時点でまだ決定をいたしておりません。実際に現地を見て、いかなるニーズがあるか、我々にとって何が可能かということを勘案して決めることになります。

○尾辻秀久君 ルワンダを思い出すんですよね、NGOの車両が襲われて、そのメンバーを自衛隊が助けに行った、その後ですったもんだの議論になりましたよね。あんなことだけはもうやめておいてください。そして、もうあえて言わせていただくと、一緒に行っている同胞の人たちを、日本人を救えない自衛隊なら、もう極端に言ったら行かぬ方がいいでしょうとでも言いたいぐらいの思いがしますということだけを言っておきます。
 それから、だんだん時間がなくなってきているので、携行する武器とその使用基準、このことを聞いておきたいと思います。質問の形にするとまた時間を食いそうですから、もう意見だけ述べておきます。
 携行する武器については、今正にルワンダの話をしましたけれども、あのときみたいに機関銃一丁にするの二丁にするのみたいなもう議論はもうやめてくださいということを言っておきます。どうぞ、各国部隊の装備ももう既にはっきりしているわけでありますし、行く人たちの意見十分にくみ上げて、そして装備をしていってくださいということだけを言っておきます。
 それから、武器使用の話になるといつも議論になるのが任務遂行のための武器使用ということですよね。これだけはちょっと質問をしておきたいんですが、先日説明を求めましたら、先日説明求めたら、この本法案においては、自衛隊は主体的に活動を行うものであり、任務遂行のための武器使用までは規定していないと、こういう説明なんですね。じゃ、何で主体的に活動を行えば任務遂行のための武器使用まで規定しないのかということになるんですが、この説明は長官も御存じないですか。ちょっとそこの説明は理解し難いので、あえて聞いているんです。

○国務大臣(石破茂君) 私もこう、私の理解が十分ではないのかもしれませんが、今、委員がおっしゃったようなことの論理で私は理解をいたしておりません。それは、論理として少し飛躍、若しくは無理があるのではないかという気がいたします。恐らくその心は、主体的、つまり自分たちが判断をしてやるのだからというようなことなのかもしれませんが、それはやっぱり論理的にちょっとおかしいのだと思うのですね。
 私どもが申し上げておりますのは、任務遂行、いわゆるBタイプということまで認める、認めなければいけない。すなわち、自分の身にも急迫不正の侵害あるいは緊急避難の要件が該当しない、あるいは自衛隊法九十五条も該当しない、にもかかわらず、任務遂行という部分は一体どこなんだという議論だと思います。

○尾辻秀久君 このときに併せて説明していることは、この任務遂行のための武器使用に係る論点は、自衛官の安全確保の問題ではなく、いいですか、自衛官の安全確保の問題ではなく、他国の軍隊と異なることに起因する現地での活動の支障をどう解消すべきかということであると、こういうふうに説明してくれているんですが、これもひどいと思うんですよ。まさしく、一番この問題は自衛官の安全確保の問題なんですよ。
 もう長官にこんなことを言ったら釈迦に説法になるけれども、行く指揮官はどんな覚悟をして行くかというと、検問所を突破する車がいる、すると、それに対しては、任務遂行のためには撃てないんだから、検問所を突破する車は撃てないですよ、じゃ、この車止めるのは、自分が前に立ちはだかって、自分に向かって走ってくるから我が身がもうひかれて死にそうになりました、危険です、それでやっと発砲できると。
 だから、もう車の前に立ちはだかって、死ぬ覚悟で行くよりしゃあないなと思って行く指揮官は行っているわけですよね。それなのにこの言い方ないだろうと思うので、あえて一言言っておきます。
 時間がないんで、最後に、もう最後の一問にします。
 今度の手当、いっつも言ってきたんだけれども、PKO手当は休みの日は出さないんですよね。オフの日には出さないんですよ。そんなばかな話ないだろうと言い続けてきたんだけれども、いまだにそうしている。今度もそうしますか。

○国務大臣(石破茂君) どういう形が一番いいか。確かに、一般の感覚からすれば、お休みの日といったって、ふだんの国内における勤務のお休みの日とは違うだろうということであります。その辺りをどう勘案するか。いろいろな規定等々の兼ね合いもございますが、実情に即したような形で、まさしく委員が強調されますように、現場に赴く自衛官の気持ちにこたえるような形というものは十分に配慮をして決めなければいけない。決まりがこうだからというだけで事務的に決めるべき筋合いのものだとは考えておりません。

○尾辻秀久君 さっきから申し上げているように、戦争状態、少なくとも戦争状態のところに行くわけですよね。極めて危険なところへ行くわけですよね。それに、今日は、はい、あんたは休みの日ですと決めておいて、その危険なことに対する手当は今日は出しませんというのはもう幾ら何でも理屈に合わないと思うんですが、今までのやり方見ていると今度もそうするんだろうなとつい思うので、もうそんなばかなことだけは今度はやめてくださいということをもう強く言っておきます。
 最後に、もういろいろ言ってきた私の今日言いたかった趣旨というのは長官本当によく御理解いただいたと思います。お答えで御理解いただいたと思います。ですから、最後に言っておきたいんですが、今後、基本計画決めますね。これ、国会承認じゃありませんよね。国会承認じゃないということは、逆に言うと政府が全責任持って出しますということなんです。だから、この責任の重さというのはもう是非いやが応にも知った上でやっていただきたいなと改めて申し上げるし、もう今から調査団出すでしょう。そして、手に負えないと思ったら、もう手に負えないと思ったら本当にやめてください。もうメンツも何にも要らないから、もう途中からでもやっぱり行くのはやめたといって言う勇気を持ってほしいということを最後に申し上げて、今日の質問を終わります。


2003/07/22

戻るホームイラク目次