2003年7月17日

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156 参議院・外交防衛委員会−(2)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=齋藤勁(民主)、榛葉賀津(民主)


平成十五年七月十七日(木曜日)

○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
 ただいまの議員の質問の中でも、ある意味ではリアルタイムの情報が、念頭に置きながらの質疑だったと思います。私も関連して幾つかたださしていただきたいと思いますが。
 最初に、北朝鮮の問題やるつもりじゃなかったんですけれども、今、舛添委員も北朝鮮で締めくくられましたので、複数の韓国のいわゆる報道によりますと、今朝、いわゆる非武装地帯で銃撃戦があったというふうに韓国の複数の報道から見ているわけですけれども、これはあれですか、両大臣、御存じのことなんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) その報道は承知をいたしております。韓国軍当局者が、死傷者はなかったというふうに述べているというふうに聞いています。
 今、事実関係について、韓国側に対して情報を収集をしているところです。
○齋藤勁君 それ、政府レベルでの、報道は報道で御存じだというふうに今述べられましたけれども、政府間レベルでそういう確認されているということですか。
○国務大臣(川口順子君) そういうことがあったということについては政府間レベルで確認をしております。
○齋藤勁君 大変様々な流れの中で、いわゆる分断後、これまでもいわゆる三十八度線またいだ中でのいろんな衝突事故があったわけですけれども、近年ないですね、近年、こういった。そして、私も報道を見る限り、死傷者とかけが人はないということでありますけれども、大変重要な問題ではないかと思いまして、是非情報入手を積極的にしていただいて、不測の事態が起きないようなこれは対応をしていただきたいというふうに思います。
 私もそれ以上情報はありませんので、その程度にとどめさしていただきます。
 ちょっと、理事会の方にお願いしたんで、私、資料配付をお願いしたんですが、もう持っていますか。これはまた後ほど、桜井新議員の地元の新潟県の加茂市長さんから皆さん方のお手元に届いている、先週届いている要請書でございますが、要望書ですけれども、これもお読みになっていると思いますし、政府もごらんになっているんではないかと思いますが、後ほどさしていただきたいと思います。
 官房長官が記者会見で、戻られるのは半ごろだということなんですが、どういうふうに組み立てようかなというふうに頭はありますけれども。
 防衛庁長官、石破防衛庁長官、自衛隊の隊員の方々の派遣を前提に訓練をされていると思うんですけれども、どういう内容、どういう訓練をされていますか、今。
○国務大臣(石破茂君) まだこれは法案が御審議をいただいておる最中でございます。私どもとして、イラクを想定して訓練をするということは、これは具体的なことは申し上げることはできませんが、政府といたしましては、この派遣の根拠となります法案について誠心誠意御説明をして、そしてまた法案の成立を期すということがまず肝要であると思っております。
 ただ、これは、実際に、武器使用権限でありますとかそういう条文の書き方は基本的にPKO法と軌を一にいたしております。テロ特措法もそうでございます。そういたしますと、そういうことに対する訓練というものは日々、海外派遣というものを行います自衛官は行っておるということでございます。
○齋藤勁君 一般的にお答えいただかない方がいいんじゃないですかね。これはもうずっと質疑の中で、今回、参議院に送付されてきてからも、どういうところへ派遣されるんだということで、戦闘状況か戦闘状況じゃないかというその法解釈は別に私もこれはまたやりますけれども、まず、気象、天候状況がどうとかということについて、酷暑であるということ、砂漠地帯であるということ等、話をずっと出ているわけなんで、これ、じゃ、日本国内でどういうような私はこれから訓練を考えてされていくのかということについて真剣に考えられているんじゃないんですか。
○国務大臣(石破茂君) もちろん、いろんなシミュレーションは行っております。ただ、私どもとしては、まずこの派遣の前提といいますか根拠となります法律を国会で今御審議をいただいておるところでございます。派遣を前提としていろんな訓練を実際に行っているということは、これは国会に対しても大変失礼なことであるというふうに私は思っております。
 しかしながら、他方、これ仮に国会でお認めをいただきましたときにどうなるかということについて、それから考えるなぞというような、そういうこともまた無責任であるというふうに思っております。
 委員御指摘のように、温度が四十度、五十度ということになります。実際に行った方にお話を聞きますと、例えで言えば、顔の前にヘアドライヤー四つ並べて温風をスイッチオンにしているような、そんな感じだというようなお話がございました。そして、砂漠といっても、例えば鳥取砂丘とは訳が違うわけでありまして、要するに、そこにある砂というのは本当にパウダー状のものであるということでございます。
 じゃ、そういうときに装備はどうなのだと、あるいは実際に隊員の疲労度はどうなのだというようなことは、それはいろんな検討を事前に予備的に行っておるということはございます。しかしながら、政府といたしましては、先ほど来申し上げているように、国会の御理解をいただくために誠心誠意という立場に変わりはございません。
○齋藤勁君 装備調達、隊員訓練、準備に三か月という、そういう報道はあったんです。ああ、こういう期間が必要なのかなというふうに一般的に思われるのかなと私も認識せざるを得ないような気がしますが、これはそういったような期間を想定されているんですか。
○国務大臣(石破茂君) これは、一つは注文してすぐ届くわけではないということがございます。仮に国会で法律をお認めをいただきましたとして、それでは、私どもの装備というのはこの日本に適したように基本的には整えられております。少なくとも砂漠地帯の陸地においてやるということを基本的に想定をいたしておりません。
 そうしますと、飛行機にいたしましても自動車にいたしましてもフィルターを付けということになります。あるいは、先ほどのチャフ、フレアのようなお話もございます。また、その財政的な手当てをどうするか、調達をどのように行うかということもございます。もちろん、早ければ早いにこしたことはございませんし、今、仮に法律をお認めいただいたとするならば、どうやって早くそれができるかということは議論はいたしておりますけれども、やはり物によっては三か月から四か月を要することがございます。これはこのイラクに特有のものではございません。PKOの場合におきましても、そういうような装備を調達いたしますのに数か月を要するということは間々あることでございます。
○齋藤勁君 これも今朝の報道なんですけれども、既に政府の方がいろいろ協議をされていますから、今日報道出たんだなという認識かも分かりませんけれども、先月末から今月二日まで、日本政府の実務者が訪米して、アメリカと自衛隊活動について調整をしてきたと。日本側は、これまで法案の説明の中でも、バグダッド国際空港で浄水・給水を構想を提示をしたと。バグダッド国際空港で浄水・給水を構想を提示をしたけれども、これは、ローレス国防副次官補がこれを肯定した上で、浄水・給水活動の詳細は、中央軍司令部とイラクの連合軍統合タスクフォース、CJTFの調整にゆだねる考えを示した。その結果、その結果、中央軍司令部はバグダッド国際空港よりバラドで水の需要が高いということで、先週後半に日本政府へ外交ルートで伝達をしたと。我が国はバグダッド国際空港で浄水とか給水という構想を示したけれども、これは政府が今国会で私たちに説明していることですけれども、その結果、先週後半に、いやそれよりバラドでやってほしいよと、こういう話でありますけれども、これはそういうことなんですか、まず。
○国務大臣(石破茂君) 今朝ほど来そのような報道があることは私も存じておるところでございます。
 日米間におきまして調整の過程で、イラクへの自衛隊の派遣の問題に関しまして、自衛隊が仮に本法案をお認めいただき活動を行うことになった場合におけるあり得べき活動場所を含めまして、幅広く意見交換を行っておるところでございます。今、委員からバラドという具体的な御指摘がございましたが、この内容につきましてはアメリカとの関係もございまして、現在いろんな意見交換を行っているというところでございます。
 したがいまして、具体的なことにつきましてはここで申し上げることはお許しをいただきたいと存じますが、バラドであれ何であれ、私どもとして仮にこの法案がお認めをいただきましたときに、後ほど委員から御指摘があろうかと思いますが、我々はそこは非戦闘地域でなければいけないということがまず大前提でございます。非戦闘地域において行われなければいけないということでございまして、また現地の状況というものをよく勘案をし、そしてアメリカとも調整の上で具体的に検討するということになります。
 どこの地域ということであれ、それはもうとにかくこの法案の趣旨にかなったもの、そして国会におきまして私どもが委員の皆様方と議論をしておる際に明らかにしましたこととそごを来すものでないようにすること、それは私ども当然の責任だと思っております。
○齋藤勁君 今、大臣から答弁あったとおりだと思うんですね。その戦闘地域に該当するおそれが強いというところについては、今度の法律というのはこれは想定していないわけですから、また私も現地は分かりませんが、米側が打診したのはこのバラド近郊にある兵たん支援区域だと、米軍の武器弾薬や物資が集積をされていると、こういう地域であって、なお米軍は同時に自衛隊は自ら隊員を警備するよう求めているということで、これは政府難色という見出しが付いていますから、さらにはこの新聞社側で付けた見出しは、イラク最危険地帯というふうに書いてありますから、これは拒否というのに話がもう全くないのは当然ではないかと思うし、先ほどそれは前議員のお話のとおり、これはまたバグダッド国際空港でミサイルがC130、アメリカのC130を攻撃をしたと、これは幸いに当たらなかったと。これは組織的なゲリラ、ゲリラと、ゲリラのたしかこれはニュースだと、アビザイド司令官、これは組織的抵抗であるということで認めたということで、これ司令官発表していますよ。
 これは、私はこれからいろいろこの加茂市長の書いてあることを、これ別に法律がどうこうということは別にして、もはや日本の、今これは、私が今ここで審議をしていること自体が現状、もうイラクの現状から見て整合性取れていない、元々今回の法律は「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」と、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」と。先ほど抑止だとかいうことでいろいろ戦車を持っていく、何を持っていく、無反動を持っていく、それはそれで僕はそういう議論はあると、成り立つ議論としてあるんだと思うんですね。そもそもこの基本原則、その法律が対応措置の実施や武力による威嚇といったらこれは抑止だ威嚇だという言葉のやり取りがあるかも分かりませんが、そういうことじゃないんですよということになっているわけですよ。
 それから、また、「活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において」ということでずっとこれ書いてありますけれども、アメリカ自体がこれはもう組織的というような対応をして、今、米軍の占領軍というのは、米英軍戦っているわけでしょう。
 官房長官、今のこういうバグダッド国際空港とか、(「防衛庁長官」と呼ぶ者あり)ごめんなさい、ごめんなさい、防衛庁長官、石破さん、このバグダッド国際空港でしょう。これはもう湾岸戦争と同じですよ、死者の数が。湾岸戦争と同じ米軍の死者の数になり、これはアメリカ国内もこれから大変なことになるし、後ほどお話させていただくかも分かりませんが、時間の関係で、戦費も、当初の予想から見て米側の戦費もどんどんどんどんウナギ登りに増えていって、一年、二年、三年、四年になっていくと。これは大変な状況の中で、大規模な戦闘行為が終わった、これはずっと衆参、国会であれは武力行使、戦闘行為という、いろいろ議論ありますが、じゃ、今のイラク国内で行われているああいう殺傷行為ですね、殺傷行為はあれはあるいは戦闘行為なんですか、戦闘行為じゃないんですか。
○国務大臣(石破茂君) これは何度も議論があることでございますが、戦闘行為とは何かといえば、もうこれは何回も同じことを申し上げて恐縮です、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、物を破壊する行為、これが我が国における戦闘行為というものでございます。
 これ、何でそんな概念を作って同じことを何度も言うのだというおしかりをいただきますが、それは憲法第九条一項に定められた武力の行使というのは我が国は行ってはいけないということを制度的に確認する、あるいは担保をする、そういうためにこの戦闘行為というものを定義を付けて議論をしておるわけでございます。ですから、この法律に書いてありますのは、イラクを、はい、ここは非戦闘地域ですよ、はい、ここは戦闘地域ですよというふうに分けるということを申し上げているわけではなくて、非戦闘地域でやらなきゃいけないんですよということを申し上げているということを前提にして申し上げます。
 そこにおいて、今イラクで行われているようなことは、じゃ、この法律に言うがところの戦闘行為なのかということでございますが、私としては国際的な武力紛争の一環としてというように評価をされるような、そういうような戦闘行為がある場所も、それはあるかもしれない、しかしながら、再三答弁を申し上げておりますように、強盗のたぐい、長い間給料が払われない、職がない、食べるものもない、そのために略奪のたぐいを働く、そういうようなものは、起こっておる行為は一見同じに見えましても、それは国際的な武力紛争の一環としての武力の行使というふうには評価されないというふうに考えております。それは、個々具体的に議論をされることになる、私はそのように考えております。
 したがいまして、戦闘行為の場合もそれはあるかもしれない、しかし戦闘行為でない場合というものも当然私はあるというふうに思っております。
○齋藤勁君 長官、これもう私はやめた方がいいと思いますよ、この法律、法律そのもの、法案。法案を撤回して、現行法の中でイラク復興支援については国民も皆賛同しているし、我が党だってこういう復興支援の在り方がいいって、私も若林議員だって、皆さん方も代表行かれたかも分かりませんが、復興支援そのものについては私たちは否定していませんよ。別に、法律、法律、法律なんということを別に頭の中に入れていたって、何ができるんだろうかということについてやっていこうというときに、これは私が加茂市長の要望書を例に取るまでもなく、我が国の自衛隊は確かにPKOをやってきました。今度のイラクに関しては、これはもう私は大変な我が国の間違い、大間違い、百歩、千歩、一万歩譲って、皆さん方、野党の、与党の皆さん方は多数でこれ押し切るかも分からないけれども、この自衛隊派遣に関してはもう空自の方はヨルダンの方に行っていますけれども、陸自の方はこれは派遣をしないというぐらい明言した方がいいんじゃないですか。
 どういうふうにこれから、じゃ、イラクの治安状況を見ていくつもりなんですか。イラクの治安状況をどういうふうに見ていくつもりですか。
○国務大臣(石破茂君) これも何度もお答えをいたしておりますが、この法律案は枠組み法でございます。メニューを提示をいたしております。その中で、何が現地のニーズに合うものなのか、どこでやるべきなのか、そしてどのような装備を持っていくのか、どこでやるのか、そういうことを基本計画において定めることになりますけれども、あくまでこの法律は枠組み法なのでございます。ですから、委員が御指摘のように、陸上自衛隊を送らないことを明言したらどうですかというようなことはこの法律の予定しておるところではございません。
 いろいろなことができる、安全確保活動支援もできます、そしてまた人道支援もできます、そういうものをメニューとして提示をしながら、現地においていろんな調査を行い、当然憲法の枠組みの中で、そしてこの法律の枠組みの中で何を行うべきかということを決することになります。それは閣議決定を行ったり、あるいは総理の承認をいただいたり、実施の可否において国会の御承認をいただく、そういうような仕組みになっておるわけでございまして、今この時点において、これはやる、これはやらないということを申し上げることが適当だと私は思いません。実際に現地において調査をいたし、何が一番よろしいのかということを判断することになるのでございます。
○齋藤勁君 この間の質疑聞いても、我が国は独自の調査能力とか情報網ないんですよ。アメリカ軍から聞いて、アメリカから聞いて、それぞれそれでどうするかという判断をしている状況じゃないんですか。
 それから、これは衆議院のいろんな我が党とのやり取りあったかも分かりませんが、今、これから自衛隊の部隊はどういう部隊を送るか、どういう装備だとか、いろんなことを検討されているということだと思いますけれども、そういったことに関して国会で審議をするなんということはないんですよ。最初からこの法案、いや、これは法案出したら民主党がそういった点については修正をしてくるだろうと、のりしろの部分だったんだよなんていうのが本音なのかも分からないけれども。そういうことに関して、最初からそういうのは当たり前のことじゃないですか、どういうような装備をしてどういうふうに計画を出そうかということについてこの立法府の国会の中で議論をするなんということについては。先ほど、そういう法律だけれども、いろんな内容についてはこれから議会に出しますねと言ったら、法律はそうだけれどもそうじゃないというのを言われましたが、法律そのものがそうじゃなきゃおかしいんですよ、基本的には。基本的にはですよ。
 それから、イラク、これは別に今日はお説教で質疑しているわけじゃないんで、私はやめてほしいということを首尾一貫して言うつもりでございますけれども、イラク駐留の長期化の見通し、私は、これは我が党の中でもいろいろな様々な議論がありますけれども、今のこの状況になってくると、イラクの駐留の米英軍の占領軍の長期化というのは十分見通しが立つ状況じゃないんだろうかというふうに思いますけれども、こういう見通しについては、じゃ我が国政府、防衛庁長官、どういうふうに思いますか。
○国務大臣(石破茂君) これはあるいは外務大臣からお答えになるのが適当かもしれませんが、御指名でございますのでお答えをいたします。
 私の個人的な考えかもしれません。先ほど舛添委員から日本の占領のお話がございました。日本においてもそれぐらいの時間が掛かったということですが、要はイラク人によるイラク人のための政府というものがどの時点できちんとできるかということに懸かっているのだろうと思います。どの国だって長い間故国を離れて占領したいはずはございません。それは、イラク人によるイラク人のためのイラク人の政府というものができれば速やかに引きたいということをアメリカも言っておるわけでございまして、私どもはいたずらに長期化をするとは思っておりません。どうやってそのような政府がきちんとできるか、そしてまた、委員は先ほど来、自衛隊が行く必要はないんだというふうな御指摘ですが、しかし今の戦争が終わった後の、電気はない、水道はない、下水もない、医療も十分できない、そういうような中でどうやって秩序を回復するためにだれが何ができるのか。世界じゅうが国連の要請にこたえて支援をしている、それはすべて軍隊をメーンにするものである、もちろんNGOもございますけれども、そういう中において我が国はどうするのか。自己完結的なものはそれは自衛隊であるということだと思います。
 私はそれがいたずらに長期化をするということは考えておりません。それはイラクの政府がどのように確立をされるか、自衛隊が、あるいは軍のような自己完結的な組織が行かなくても済む状況というものがいつできるかということに懸かっておると思っています。
○齋藤勁君 米英側というのは、これは直接兵員、兵隊出しまして戦闘行為をやっていますから、これは当然私は真剣で、どの国も真剣だと思いますが、これはずっと私もこの委員会で議論をしているんですが、非常に、何というんですか、現実的じゃない議論が政府とやっていて感じるのがしょっちゅうなんですね。現実的な議論ではないということで。先ほどたまたまリアルタイムでいろんな情報の話していますけれども、もっと現実的な議論をすべきだというふうに思いますよ。
 たまたま、私は全文読みませんけれども、加茂市長の、これ前の自衛隊の、防衛庁、ごめんなさい、防衛庁の教育訓練局長ですよ、この方は、小池さんという方は。「イラク特措法案を廃案とすることを求める要望書」、参議院議員各位、衆参、各大臣。これは全部が全部、一〇〇%私はこの方のいろんな見方について、ああと思いますが、大方僕は一致しますね、大方。「イラク全土は、常にロケット弾攻撃、自爆テロ、仕掛爆弾攻撃等の危険が存在する地域であり、戦闘行為が行われている地域であります。このことは、米国による戦闘終結宣言によって左右されるものではありません。」ということからずっと始まっていますよ。これは、あと、「「戦闘行為」を」ということで、特措法の、ずっと防衛庁長官が言われたのは詭弁だと、戦闘行為に当たらないなんというのは詭弁だというところから、イラクは全土において前線も後方もないんではないかということとか、憲法九条に対する一つの見解も出されております。
 多分、この方自身は教育訓練局長をずっと長く携わられて、今、この特措法が審議をされているということについて、自分はこの教育をする立場で、こういうようなことで自衛隊に携わってきた思いはないですよということを書き、長年の間、募集難の話もされていますよ。不況下の中での募集難は解消しておるけれども、今著しい、今度のイラクの派遣というのは戦場への派遣だと、犠牲者が出るのではないかと。こういう実は危惧をなされていますね。
 それから、ずっと衆参の、この議論をしています、今日もまた報道で出ています、今日の報道で、毎日このイラク関係出てきますけれども、賞じゅつ金とか、万が一のために自衛隊員のためにいろいろ対応されているでしょう。これも、万が一あったらいけないというのは、常に万が一があっちゃいけませんけれども、より危険度が高いからこそそういうことを対応するわけであって、むしろそれを排除する、除外する考え方に立つということがもう一つは為政者の立場としてあってもいいんではないかというふうに思います。
 そこで、先ほど防衛庁長官、部隊の、軍隊等の派遣についてお話ありましたけれども、至近な例の政府の私は態度として、インド政府が過日十四日、これは外務大臣、防衛庁長官、併せてお尋ねいたしますが、特に外務大臣になるんでしょうか、インド政府はイラク派兵拒否を決定、民生分野は協力ということで、これは明確な国連決議の下でなければ派兵できない、長期的な国益、これインドの、イラクやそして湾岸諸国、米国との関係を考慮した結果だということで拒否を、理由を説明をされています。インドは教育や医療など民生分野のイラク支援を積極的に実施をしようではないかという、こういった政府決定をしておりますけれども、これはインド政府も非常に内部のいろんな議論をされたと思いますけれども。
 外務大臣、これは、私はこのインド政府のこの対応というのは、非常に大いに我が国の政府の対応として、見習うなんというのは失礼な言い方かも分からないけれども、これは大いに傾聴といいましょうか、参考にすべきではないかというふうに思いますが、どういうふうな見解をお持ちですか。
○国務大臣(川口順子君) お答えを、その質問にお答えをする前に、先ほど委員から御質問のあった韓国のDMZのところでの銃撃戦についてですけれども、これは十七日の午前六時十分ごろに、中部前線、場所からいいますと、ソウルをほぼ真北にしたところのDMZでございますけれども、そこの中部前線の非武装地帯内で、北朝鮮側の哨所より、歩哨所ですね、韓国側の哨所に向け四発の銃撃があった。これに対して韓国側は十七発程度の応射をすると同時に警告放送を行ったが、その後、北朝鮮側からの反応はなかったということでございます。それで、先ほど申しましたように、負傷者は韓国側にはいませんでした。韓国軍では、北朝鮮側の意図的な挑発であるのかどうかを分析中であるということです。それで、非武装地帯内での銃撃戦は二〇〇一年の十一月の二十七日にあったそうで、それ以来のことであるということです。北朝鮮側の報道機関はこれについては何も触れていないと。そのようなことが分かっております。
 それから、今のお尋ねのインドの件ですけれども、これは十四日にインド政府が声明を出しまして、今、委員がおっしゃったような、そういうことを言っているということでございます。そして、その中で、明示的な国連のマンデートがあればイラクへのインド軍の展開を検討することができるということを言っているということであります。
 これについてどう思うかということでございますけれども、基本的に、主体的に各国の政府は判断をしてイラクの復興のためにどのようなことをするかということを決めているわけでございまして、我が国の考え方というのは今まで基本的に申し上げたことで尽きているかと思います。
○齋藤勁君 結論からいうと、インド政府はインド政府、日本政府は日本政府、これはどの国もそうだと思うんですね。
 先ほど長官が、どの国も今、イラク復興支援に対して、今の様々な国情、イラク国内の状況を見て、どうも今の法案が我が国の政府にとっての対応がベストであるという判断で閣議で今提案をしていますよということだから、いや、私は、こういうインド政府という対応というのを私は我が国の政府でもこういった対応を取るべきではないんだろうかという気持ちで私は言わせていただいたが、どうも見解が違うような状況ですね。ですから、いろいろ国にはあるんですよ。当たり前の話で、これは武力行使に対しても、カナダあるいはメキシコでも我が国と違いますよね。近隣の、アメリカ合衆国とすぐ近い、地続きのカナダでさえも、そして今なおヨーロッパ、EU諸国でもそうだと思いますよ。ドイツもそうだしフランスもそうだし。
 それから、米軍はどうもこれから長期化、長期化すると占拠が大変だということでNATOに支援を申入れをするという、そういった声明を出していますけれども、NATOがどういうふうな今あれですか、アメリカに対して対応しようというふうに受け止められているか分かりますか。
○国務大臣(川口順子君) NATOにつきましては、今NATOの中で議論をしているところと承知をしていますし、今の時点ではまだ決めていないということですけれども、一般的な雰囲気としましては、ヨーロッパ、いろいろな今までの経緯がございますので、NATOとしてはどちらかといえば消極的な雰囲気の方が多いというように聞いております。
○齋藤勁君 今、大臣が言われたことだと思うんですね。
 私も、これはNATOのロバートソン事務総長が、これ十六日ですよ、昨日ですね、そういう見解を出していますよ。イラクへの更なる関与を検討する段階じゃないんだということで、NATOの役割を強化を求める、アメリカ議会からですね、これはアメリカ議会から言われても消極的な姿勢を示したということで、様々なんですよ、様々な各国それぞれの対応があるわけですね。非常にこれ、我が国は我が国の独自の対応をすればいいわけで、その点ではさっきの舛添さんと私も、我が国は我が国の対応をすればいいわけで、そういう主体的な情報収集と、次は政府と議会と議論をして決めていくわけで。
 これは、私は別に、これ公の場ですから、そう思いませんよ。でも、報道に書いてあるとそうなのかなと思うときがあるんだけれども、日本はアメリカのポチじゃないかと。ポチじゃないかって。ポチ、ポチと、隣家の番犬じゃないけれども、ポチと言うと、ああいうふうにしっぽを振ってそばに来るということで、これは私が言ったわけでもありませんし、報道で書いてあるだけで、こんなことを言われるのはもう甚だ心外だし、本当に怒り心頭に思います。
 官房長官戻られまして、約三十分間の質疑を聞いていない上でまた御参加いただくわけですが、共通して三人の方にお伺いしたいのは、たまたまこうやって私、要望書出していただいた小池加茂市長さんのを読まれて、これは御感想を三人の方々にお尋ねするのも失礼かなと思いますけれども、どなたか代表して、この要望書、各大臣にというふうに出ていますから、ここで公式的にお答えいただくと私も伝えやすいんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(福田康夫君) この要望書ございました。要望と申しますか、意見書とかいろいろございます。個々のこういう御意見、御要望についての見解、これは差し控えさせていただきたいと思います。
 政府として、イラクの復興に対して我が国にふさわしい貢献を行うためにこの法案を早急に成立させることが不可欠であると、こういうふうに考えておるわけでございまして、この法案の趣旨、目的、また自衛隊等の派遣の必要性等について国民の理解が広く得られるように、引き続き国会審議等、こういう委員会等の場を通じて積極的に説明をしてまいりたいというように考えております。
○齋藤勁君 立場がそう言わせるのか、今ここへ来て、まさかここが廃案としますというから廃案にしますなんて大臣は言えないかも分からないし、それにしても、国民の生命とか、我が国の国民の生命、財産のみならず、人の命とか、様々な行動に関し、これ真剣に、この方の人生、ずっと携わってきた中で真剣に言われていることについて、これ多分、議事録を、元防衛庁教育訓練局長であり、三期目当選された小池さんですよね。私まだお目に掛かって、私がもうこちらへ来たときは訓練局長、もうやられてなかったんではないかなという、そんな経歴の方じゃないかと思いますが、大変私は残念がるんじゃないかというふうに思いますね。
 インドの政府についての対応につきましても、それはインド政府はインド政府、他山の石として、私はこの今の法案について、とりわけ自衛隊を目の敵に私はしているつもりはありません、私は。隊員の方の命とか、PKOで御苦労されているものはあるわけですから、そういったことを逆に思えば思うほど、私はむしろ、法案を出したけれども、ちゅうちょしたり、ためらいがあったっていいじゃないですか、逡巡したって、人間なんですから。これから灼熱の下に行くのに三か月も訓練して、装備は不安だと。もっと、装備が不安だったら、大きな装備にならなきゃならないんでしょう、不安を解消するためには。抑止だ、威嚇だ。威嚇となったら、この法律そのものがおかしくなるんですよ。「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということになるんですよ。これはもう真っ向からこの法律はもう修正しなきゃならないんです、これからいろいろ。
 それから、長官がさっきの話で、十七条を、十七条か、いろいろ脱線してあれですけれども、十七条についてはどう読み取るかですか。どう読み取るかって、十年、二十年前の法律ではなくて法案なんで、読み取るなんというやり取りされちゃ困っちゃうんですね、自信持って言ってもらわないと。読み取るなんて、どう読み取るかって、私たちが今これ議論しているんですよ。余り私ばっかりしゃべって、どうです、どういうふうに思いますか、それ。
○国務大臣(石破茂君) ちょっと幾つかお答えをさせていただきたいと思います。
 この加茂市長さんのことについて個々にコメントをすることは差し控えたいと存じますし、今は新潟の加茂市民によって選ばれた市長さんでございます。確かに、元当庁の教育訓練局長であったということはございますが、今は新潟市、加茂市民を代表される方でございますので、当庁におられたこと云々ということで申し上げることは、私は適当ではないと考えております。
 その上であえて申し上げれば、先ほど来委員も御指摘ですし、この加茂市長さんもおっしゃっておられますが、例えば非戦闘地域は詭弁だというふうにおっしゃいますが、私は、これは詭弁だと言われるのは私は極めて心外でございます。それは、非戦闘地域でなければ我々は活動してはいけないという憲法の要請を満たすためにこの概念を申し上げておるわけであって、非戦闘地域イコール安全な地域だ、そんな地域はないのだ、だから詭弁なのだと、こういうロジックだと思いますが、それはそれこそ詭弁なのではないかと私は思っています。
 非戦闘地域ということがすなわち一〇〇%危険でない地域を指すということではありませんということは何度も答弁を申し上げているとおりでございます。それは、非戦闘地域というのは法的な概念でございまして、それは憲法をきちんと担保するものでなければいけない、この法律はそういうものですよと、海外において武力の行使はしない、海外派兵はしない、従来から政府はそのように申し上げておりますし、そのことをきちんと条文において確認をしなければいけないということで設けておる規定でございます。したがいまして、これは安全である、そうではないという概念とぴったり重なるものではないというふうに申し上げておるのはそういう意味でございます。
 したがいまして、そういうような論理を使われまして詭弁だとおっしゃいますのは、私は、それは政府としてはその御批判にはなかなか賛同し得るといいますか、そのとおりでございますというふうに申し上げることはできないということでございます。
 その上で、おまえはどう思うかという御指摘でありますけれども、そういう地域においてほかにだれが活動できるんだということ。そして、日本にとって中東地域、石油の九七%を依存しておる中東地域、そこの安定ということは日本の国益にとってどうなのだろう。そして、治安も回復しました、秩序も回復しました、そのときに行けばいいということなのかどうなのか。今行く、今必要とされているものは何なのか、それに対応できる組織は日本の国の中で何があるのか、自衛隊が出る場合に、どうして憲法に違反しないように、憲法に反することがないように行動できるかということだと思っています。
 十七条をどう読むかと言ったのは法案を提出した者として不適当な言い方でございました。これは撤回をさせていただきたいと思います。
 この十七条に書かれている意味というもの、それはPKO法におきましても、あるいは周辺事態法におきましてもこういう書き方をしておりますが、ここに書かれておる趣旨で、これを超えるようなものを当然行使することはあってはならないということでございます。
 しかしながら、拡大解釈ということをすることもしてはいけませんが、縮小、極度に縮小解釈するということもあってはならないと思います。この十七条に書かれている文言で、つまり自己の身を守るために、あるいは管理の下にある者を守るためにということが書いてあるわけですが、何ならば持っていけるかということを条文の趣旨に決して反することがないように、かつ隊員の安全を確保することができるように装備を整え、そしてまたROEを定めということだと私は思っております。
○齋藤勁君 長官が言われているのが詭弁なんですよ、実は。大部分が、これはアメリカ自身がイラク全土はまだ、大規模な戦闘状況は終わったけれども、組織的な戦闘状況、ゲリラ戦闘状況だということを司令官が言い、そしてなお一年、二年、三年、四年ぐらいになるかも分からないというそういう治安状況を言い、それで、湾岸戦争以上の死傷者が今出て、そして、例えば毎日新聞のインタビューに応じたゲリラ攻撃を、武装集団のうち最大級とされる組織の幹部、二十八歳、よく年齢を尋ねたなと思いますが、二十八歳、親フセイン意識からではなく、米軍の占領に対する抗議だと語り、日本の自衛隊がイラクに来てから米軍に協力すれば、占領軍とみなし攻撃対象にすると、こういうことで、これは、幹部はイラク最大の部族のドレイミ族が組織的に加わっていますよということで、実行委員会、実行メンバーは約百名で、志願者はどんどんどんどん増えているんだと、こういうことを例えば報道でこれは明らかになっているのを、これを今どうですかとは言いません。
 こういうことを見るわけでしょう、日々。見たり聞いたりしているわけですよ、日本国民、全国民も。そういう中で今そういうことを言われているということについては、どういうふうに言ったってもう詭弁なんですよ、それは。どういうふうに言われても、何を言われようが、それはもう。いや、そんなのだって、じゃ自衛隊の隊員が行くところだけ、そのときにだけスポットライトを浴びて、非戦闘区域になって、それは戦闘地域じゃないんですと、こういう説明になっているんです、今あなたの説明というのは。自衛隊の行くところはどこもいつも戦闘区域じゃないんだと、安全なんだと、そういうことなんですよ。
○国務大臣(石破茂君) いや、それは委員、誤解です。そのような、何といいますかね、天動説みたいなことを私は申し上げているわけではないのでありまして、自衛隊が活動するところはすべて非戦闘地域だなぞという天動説を申し上げているわけじゃないんです。
 自衛隊が活動する地域はすべからく非戦闘地域でなければいけないという憲法上の要請といいますか、憲法の趣旨を担保するために言っているのであって、日本国政府がもし不誠実な政府であって、憲法なんかどうでもいいんだと、なし崩し的にやるんだと、一部の方の御批判にあるように憲法をなし崩し的に解釈で変えてしまうと、そういうなのであれば、こんな条文を作るということはあるいはしなかったのかもしれません。やはり日本国政府としては、憲法九条の趣旨をきちんと守るんだということにおいて非戦闘地域でなければいけないんだということを書いているのであって、これは私は極めて憲法に誠実な姿勢だというふうに思っています。
 委員が思っておられますように、あるいは私の御説明の仕方が悪いのだろうと思いますけれども、自衛隊がやるところはどこだって非戦闘地域だよというようなことを我が政府として勝手に決めてやっていいということではなくて、何度もお答えをしておりますように、そこが本当に非戦闘地域でないとするならば、そこで自衛隊は活動してはいけないんだということだと私は思っています。そうあるべきものだと思います。それは安全とか安全じゃないとかいうことよりも前に、憲法上の国際的な武力紛争の一環としての武力の行使をしてはいけないということをきちんと守らなければいけないからでございます。
○齋藤勁君 長官は、延長になる前にこの復興支援の在り方ということでも、これは報道を見る限りですけれども、私はためらいがあってちゅうちょをされていたと思いますね。私は今その一つの解釈の仕方というのがあると思うんです。
 そういうことであるならば、現実的に、今これから訓練とか、私、一部は冒頭やりましたけれども、今の現状からこれからの将来、見通し、イラクの治安状況を見て、いや、これはどうも今の時宜に応じたこの法案ではなかったなと、やっぱり。なぜならば、大変だ大変だということについての装備、準備をしなきゃならないということになり、今幾ら憲法上のことを言われてもそうじゃない方向に行くわけですよ、実行としては。
 だれもが今イラク全土、すべて全土とは申しませんよ、すべて全土とは申しませんけれども、山の中とかそんなことは申しません。通常、人がいるとか生活をしている様々なところに関しては、これはもうほぼ大規模な戦闘状況じゃなくても、引き続き戦闘状況が、ゲリラ戦があり、死傷事件がありということをだれもが思っているわけです。ああ、これは法律を作って、これやっぱり長官、さっき私が申しましたように、法案を撤回するなんということは政府・与党の立場じゃないにしても、仮に多数で採決して通しても、これは憲法の要請するところの派遣ではないということで、当分の間、長期間中断をする、そのぐらい明言してもいいんじゃないですか、最も治安がいいときに。
 それで、私が再三言っているのは、インド政府の例を出すほどのことは別にないんですよ。我が国は我が国にできる復興支援を民生分野なり医療分野とか様々なことをアラブ世界と一緒になってやっていくということについて実行していけばいいわけで、何も治安が良くなったら何かをしましょうなんということじゃないわけですから。
 これは防衛庁長官にずっとやり取りを聞いていますけれども、官房長官、福田官房長官、提案をして審議している立場から、今からこの法案を撤回するなんということは今まで前代未聞でこれないと思うんですけれども、少なくとも今のこの私は状況を見て、イラクの状況を見て、むしろそのぐらいな気持ちを持ってこの法案に対する政府の、今の小泉政府の姿勢というのを示すべきだと思いますよ、国民に対して、あるいは世界に対しても。
○国務大臣(福田康夫君) 確かに、現在のイラクの治安情勢、これは私どもが期待したほど改善はされていないということはあります。しかしながら、先ほども外務大臣から報告いたしましたが、これは全土が全部悪いとかそういう話ではなくて、悪いところもあるけれども、しかし治安はかなり回復されて一般の市民生活も平常に戻っておると、こういう地域もあるんです。
 今回、防衛庁長官、今答弁していますけれども、戦闘地域、非戦闘地域というように分けた、分けるというそういう概念を導入したのも、それもやはりこういう地域的にいろいろな状況があるんだと、こういうことを踏まえて、我が国として今の段階で、今の段階と申しましてもこの法案が通ってからの話ですけれども、それからまた準備等時間が掛かりますから、まだ大分時間が掛かりますけれども、我が国としてできることはしていこう、そしてイラクの復興に協力をしていこうと、これはもう国際社会、みんなやっているわけであります。
 我が国だって、もう既にNGOも行っていますし、また政府職員もCPAに派遣するというようなこともしておるわけでございまして、それはそれなりに今現在でも、今現在でもそれぞれの能力を活用して、そして支援活動をしているんですよ。そういうことはできているわけですからね。ですから、そういうことを見て見ぬふりをして、我が国は危ないから何もしないということでよろしいのかどうかということはあろうかと思います。
 しかし、安全上の問題について、これは極めて大事なことですから、これは十分に配慮をしてまいらなきゃいけないというふうに考えております。
 したがいまして、防衛庁長官の答弁にありますように、非戦闘地域という憲法上の概念というものはまずありますけれども、しかしそれだけでなくて、安全な地域を選択していく、自衛隊が十分な活動できるような安全な地域、安全な地域でなければ自衛隊も行ったけれども活動できないと、こういうことになりますから、そうでない地域、安全に活動して、そしてそれが人道復興支援につながり、そしてまた平和と安定のための支援活動につながるということであれば、我々としてはやはり積極的に行動すべきときであるというように考えております。
 民主党でもそうでしょう。自衛隊の活動は反対されていらっしゃいますが、そうでない部分の活動というのはこれは、これは賛成していらっしゃるわけですからね。じゃ、そういう方々が活動できるんだったらば、自衛隊が行ってなぜできないのかという疑問も私どもからは生ずるわけでございます。
 そういうことを考えましても、やっぱりできることはやるべきであるということでないでしょうか。そういうために、自衛隊が危険にさらされるとかいうことのないように、これは十分にこれから調査をし、そして判断をしてまいりたいというように考えているところでございます。
○齋藤勁君 一致しているところはあるんですよ。ですから、国内的にも世論的にも一致しているところはあるんですから、一致したところで政府は私は対応すべきだということを言っているわけでですね。
 度々、防衛庁が、自衛官が公務中に死亡した場合の遺族に対する功労金の最高額とか、いろいろいわゆる給付関係についての、ここの委員会でもやり取りされていますが、死亡給付最高一億円にと、七千万から引き上げると。これは方針決定されたんですか。
○副長官(赤城徳彦君) イラク人道復興支援のこの法律において手当とかが定められているところがございますけれども、これは今後その法律をお認めいただいて具体的にそれを決定していくということになります。
 例えば、イラク人道復興支援等手当については政令で定めるということになっておりますので、今後、勤務環境とか対応措置の特質を考慮して政府部内で検討すると、こういうことになります。
 また、万が一のことがあってはならないわけでございますけれども、この対応措置に従事する隊員が、一身の危険を顧みることなく職務を遂行し、そのために亡くなった場合などにおいては、この功労の程度に応じて賞じゅつ金を授与するということについては検討を行っておりますが、具体的にその額について方針を固めたということでは、事実はございません。
○齋藤勁君 法九条に「配慮事項」というのがありまして、内閣総理大臣及び防衛庁長官は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、イラク復興支援職員及び自衛隊員の部隊等の安全の確保に配慮しなきゃならないと、こういう第九条がございます。
 これはかつてPKO法とか私はなかった条文ではないかなというふうに思いますが、これは明確に政府として対応措置の実施に当たってすべて全責任を負いますよという、こういう九条ですね、これ、この条文は。そういう意味で書かれているわけですか。
○国務大臣(石破茂君) これは確かにPKO法あるいはその他の法律に書いてあるものではございません。この条文に新しく出てきたものでございます。
 ただ、PKOにおきましても、あるいはテロ特措法にいたしましても、安全に配慮しなければならないのは当然のことでございます。そのことを確認的にこのイラク特措法において書かせていただいたと、こういう趣旨でございます。
○齋藤勁君 最後の、ちょっともう一回。申し訳ございません。
○国務大臣(石破茂君) これは、部隊等の安全の確保に配慮しなければならないという規定は、これは政府としての、これは書き方は内閣総理大臣、防衛庁長官が主語になっておりますけれども、内閣総理大臣、そして防衛庁長官の当然の責務というものを確認的に書かせていただいた規定と理解をしております。
○齋藤勁君 私は、この九条という、加えたということとか、今検討されています政令でということでしょうけれども、今、副長官から答えられましたけれども、いわゆる給付等についての議論、これは、やっぱりPKO派遣と違って、これはもう、長官でいえば、戦場じゃない、戦場に極めて近い地域だということになるかも分からないけれども、これは相対的にはこれ私はもう戦場だろうと思います、総合的には。要は、それほどまでして、それほどまでして今検討をいろいろ苦労されているということなんですよ。
 それから、情報とおっしゃるけれども、先ほどのいろいろやり取りも、今これ、やり取りと言っていますが、主体的に、じゃ我が国が現地の調査とか何かというのは、すべてやっぱり米軍、米英軍でなく、米軍の情報とか調査とかいうのを頼りにするわけでしょう。これは指揮の問題、また指揮系統に入ってきますけれども、我が国が主体的にということできるんですか、調査とかして判断ということについて。
○国務大臣(石破茂君) できる部分が必ずあると私は思っています。
 それは指揮命令系統に入るものではないということは、もう累次お答えをしているとおりでございます。そのことは、今、齋藤委員が御指摘のことは、実は庁内でも相当の議論をいたしておることでございます。
 しかしながら、私どもとして、本当に自衛隊と米軍は違うわけですから、装備も違えば、私ども、パワープロジェクションということを考えて作っておる組織ではございません。組織も違えば装備も違えば、いろんなことが違うわけです。
 そこで、本当に我々がアメリカから何を言われようがここでできるのかということ、そしてまた憲法に反しない、もうこれはまたおしかりを受けるかもしれませんが、非戦闘地域なのかということは、これは主体的に判断をしなくてはならないものなのです。できるできないの問題ではなくて、主体的に判断をしなければ、それは我が国の行動にならないのです。主体的に判断をするものです。
 もちろん、米軍の情報あるいは米軍のいろいろな知見、そういうものを受けなければ判断できないということもありますが、あくまでその判断は主体的に行うものでございます。
○齋藤勁君 法制局、お見えでございまして、お待たせしましたけれども、何か別にこれを議論を原点に返ってというつもりはないんですけれども、いわゆる米英の占領、決議一四八三によって正当化されたということを政府は取られていると思うんですが、いずれにしても占領にこれは変わりないわけですね、今の状況というのは。我が国自身が交戦権を行使をすることはなくても、そもそもこれに参加するということは交戦権が、行使をすることがなくても、占領行政に参加をする、協力をする、武力の行使との一体化なんかと同様に、交戦権の行使、交戦権の行使と一体化するという評価、こういうことになりませんか。
○政府特別補佐人(秋山收君) この交戦権の議論、過去に何回かお答えしてございますけれども、憲法九条二項において否認されております交戦権とは、いわゆる占領行政を含む、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称を意味するものであります。したがいまして、過去においてはもちろん、将来においても武力の行使に当たる行為を行うことがなく、国際法上のいわゆる交戦国に該当しない国が交戦権の行使としての占領行政を行うということは法論理上はあり得ないことでございます。したがいまして、こういう法論理からいいましても、我が国が今回の法案によって行う支援活動は、我が国が交戦国として交戦権の一内容である占領行政を行うものではございません。
 また、今回の法案について申し上げますと、現在、米英がイラクにおいて暫定的な施政を行っているのでございますが、これは、安保理決議一四八三が、米英の統合された司令部、いわゆる当局の下にある占領国としての権限、責任及び義務を認識するとともに、当局に対して領土の実効的な施政を通じたイラク国民に対する福祉の増進に関する権限などを付与しているところでございまして、我が国は今回の法案によりまして、このような当局と協力しながら安保理決議一四八三に基づきまして法案に定める対応措置を実施し、イラクの復興に貢献することになりますが、これはあくまでも同決議に基づきまして国際社会の取組に我が国として主体的、積極的に寄与するために武力の行使に当たることのない活動をするものであって、我が国が米英軍の指揮下に入るものでもございません。
 したがって、我が国が今回の法案によって行う支援活動は、我が国が交戦国として交戦権の一内容である占領行政を行うというものではない。また、当局がイラクにおいて行っている統治的行為と一体化するようなものでもございませんし、当局との関係において実質上その統治的行為の一部を分担したりするというような性格のものではなく、御指摘のような心配は当たらないものと考えております。
○齋藤勁君 いや、心配しているからずっと言っているんですよ。心配しているから。別に法律がどうこうとか、法律違反だけじゃなくて、現実に人の命が奪われたり奪ったりするわけでしょう、戦闘状況というのは。そんな言葉のやり取りじゃない、実際、生の状況だからそういうふうに言っている。毎日毎日殺されたり殺し合ったりしているわけだから。そういうことに私たちは加わらない方がいいんじゃないですかと。私たちが別に逃げるとか──それから、官房長官が言っているのは、私たちはイラク復興支援は本当に積極的にすべきだと。我が国のできる限りのことをということでやっていますから、これはもう私たちは見解は一致しています。
 それで、今のはやっぱり、それはもう法制局長官、それは通用しない話で、先ほどの、あるゲリラが日本も米英軍と同じようにしますよと言っている。これはあれでしょう、石破防衛庁長官、我が国はこれ別に国連旗じゃないでしょう、日の丸でしょう。日の丸で参加していくわけでしょう、自衛隊の人たちは。
○国務大臣(石破茂君) 国連旗ではございません。
○齋藤勁君 そうですね。
 自らは武力行使は行っていないと。直接武力の行使は行っていないけれども、他国の武力行使に、補給とか様々な物資の輸送に協力する、これは武力の行使とみなされる、あるいは一緒に一体だということに評価されるということじゃないんですか。こういう一体化ということについて、憲法の九条というのは許されるんですか。法制局でいいですよ。
○政府特別補佐人(秋山收君) この法案で定めております我が国の支援活動、これは、まず我が国の活動は医療、輸送、保管など、それ自体は武力の行使には該当いたしませんし、それから、実施する地域が法案の二条で定めておりますいわゆる非戦闘地域、我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつこれが実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる外国の領域、公海及びその上空で行うと。それから、実施地域がこのような法律の要件を満たさないようなものとなった場合には区域の変更あるいは活動の中断などの措置を取るという、この範囲内で行うものでございますので、我が国が憲法九条で禁じております武力の行使をするという法的評価を受けることはないものと考えております。
○齋藤勁君 評価を受けるんですよ。自分たちがそう思っているだけで、あなたが言っているだけの話であって、法制局というのはそんな余りべったりべったり、政府がこうだと思ったからこうだというような法解釈しちゃ駄目ですよ、そんなの、きちんとした。法律家が隣にいらっしゃるから、私が言うと、何かおまえ違うじゃないかと後で言われるかも分かりませんが、法律家は法律家の専門家としてここへ来られているんだから、きちんと言ってくださいよ。
 アフガンの、いろいろありました、テロ特措法の、これから延長問題、今議論になっていますが、これは一つの公海上でしたよね、公海上。これもオイルの輸送でいろいろ、イラクに使っているんではないか、使っていないんだ、これまた議論がありますけれども、今度は陸上ですよ、陸上。そして武力行使、もうだれもがみんな今イラクの状況分かっているのに、武力行使と一体じゃないとかなんとかということの議論をここで、机上でやっていること自体が私はもうばかげている議論ですよ。全くばかげた議論です。
 武装グループが自衛隊を攻撃をしてきました。このときに、じゃ、長官の言葉で言うと、国際性、組織性、計画性、継続性、これがあるのか否か判断というのは本当に可能なんですか。国際性、組織性、計画性、外見上判断できないじゃないですか。一回目はともかくとして、二回目はどうするんだ、判断できない。情報収集能力というのは限定されていますよ。アメリカとかイギリス軍だって撃たれるんですから、情報収集限られているんじゃないですか。
 じゃ、もっと言えば、アメリカとイギリス軍が情報収集あるというならば、今まで起きている様々なゲリラでも何でも、そんなの全部把握できて未然に防げることができるんじゃないですか。米英軍の被害者というのはもっと少なくて済んだんじゃないんですかということですよ。既にそういう組織は掃討しているんじゃないんですかと。大規模な戦闘は終わった、こんな二か月にも三か月にもわたってどんどんどんどん殺されるという状況は、どういう情報収集状況なのかということですよ。戦闘行為の判断は、幾ら長官、言葉でいろいろやったって、実際はそんなの無理な話なんですよ。ここでやっている話ですよ。
 法制局は、今私が言った後段の方は長官にお答えいただくようになるのかも分かりませんが、最初、法律の立場、法の立場をきちんと判断する立場として言ってほしいというふうに言いましたけれども、今私が幾ら言ったって、そういう、そこに書いてあることは変わらないんでしょう。変わるんなら変えてくださいよ。大変なことなんですよ、今、これから本当に。
○政府特別補佐人(秋山收君) 論理の問題としては、正に英米軍などの実力行使の相手方が国に準ずる組織でないと、あるいは国に準ずる組織であるかどうかということが、戦闘行為、この法律に書いてあります戦闘行為に該当するかどうかの基準になるわけでございますが、とっさの場合にそのようなことは分からないのではないかということをこの間、小泉委員からも御質問いただきました。
 その点につきましては、そのようなとっさの判断の見極めが付かない場合には、やはり法案八条五項の考え方に沿って、その見極めが付くまでの間は取りあえずその活動を一時休止するなどして、活動の継続を差し控えて状況を判断するということがあるべき姿なのではないかと申し上げた次第でございます。
○国務大臣(石破茂君) 今、法制局長官から政府の見解を述べていただきましたが、要は、今もありましたように、八条の第五項というものをどう見るかということです。それは、もしもし、あなたは組織性を持っていますか、計画性を持っていますかなんということは聞けるわけはないのでありまして、そのようなことはいたしません。
 八条にはどのように書いてあるかというと、「当該活動を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該活動の実施を一時休止し又は避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定」、すなわち防衛庁長官が実施区域を変更するというものでございますが、あるいは中断するというものですが、この「措置を待つものとする。」というふうに書いてあるわけです。
 これは、近傍において行われるに至った場合、あるいは付近の状況に照らして国際的な武力の行使というようなことが行われることが予測される場合には、それは一時休止し避難しなさいというふうに書いてあるわけでございまして、それで近傍じゃなくて実際にぶつかっちゃったという場合にはどうなるかと申すと、この趣旨をそのまま体現をすることになります。それは極めて抑制的に行われるものであって、これはその場で判断できるかといえば、それはできないことが多い、それはそうだと思います。その場合には、いずれにせよ正当防衛、緊急避難で、武器の使用はできますが、しかし一時的に引くということになるわけでございます。それはその場できちんきちんとすべての確認を現場の司令官ができるか、指揮官ができるかといえば、そういうことではございません。それは、外形で見てそういうようなことの危険性が、蓋然性が高いということが多い場合には、それはやはり引くことになるというのはこの条文の趣旨でございます。
○委員長(松村龍二君) 時間が参りましたので、おまとめいただきたいと思います。
○齋藤勁君 八条の近傍付近とかいっても、どのぐらいの距離があるのかどうか、尺度についてあるんですよ、議論が。
 それから、これ私、質問というより意見で終わりますけれども、そもそもこのイラクの武力行使そのものは、これは正当性がない、大義がない。それはその後の大量破壊兵器の今の査察状況を見て、査察じゃない、捜索状況を見ても分かるとおりです。
 前回の委員会で、実は外務大臣と官房長官の質疑で、私の同僚議員が質問した際に、実は官房長官の私は議事録を見ていたら、これから査察、これから大量破壊兵器を実は捜査をするんだみたいなどうも表現の答弁をされていましたけれども、そんなことはなくて、現状ではもはや千三百人とか大量に出したと、大量。その後、もうだんだんなくなる、もう捜査するところがなくなっていくぐらいな状況だということが一つ。
 それから、ブッシュさんにしてもブレアさんにしても今大変ですよ、今この大量破壊兵器の有無の問題についてということが一つ。
 それから、自衛隊の隊員の今の問題、長官がいろいろいろいろ説明されても、多分このことをリアルタイムに隊員の方々は聞いていないかも分からない。これから長官はどうも、いわゆる何というんでしょうか、セミナーじゃなくて、行かれますよね、閣僚の方々がタウンミーティング、タウンミーティングでどうも北海道へ行かれたり、これからも行かれるんじゃないかと思って、多分そのときにはこういう北海道の自衛隊の部隊を対象に私は説明をするのかなと、そのときにはですね、一緒に。タウンミーティングはタウンミーティングで、自衛隊は隊員。先ほどの訓練の話じゃない、灼熱の下に行く。多分、陸上自衛隊の大部分というのは北海道にいる方が結構いるんではないかと。もう日ごろ全体、状況が違いますよ、認識が。長官の気持ちというのは、私は現状の国民の気持ち、隊員の気持ちといって入っていかない、すとんと入っていかないですよ。だからこそ、危険なところだというからああいう賞じゅつ金とか何かということをしながら、今度の法律の中で今までなかった九条なんということについても明確にしていく。
 今からでも遅くないんですよ、官房長官、この法律は私は撤回をすべきだと思うし、撤回をするなんてことは言えない、言えなくてもこれはまだ遅くないですよ。遅くないから、我が国の政府は、これから十分議論していただいて、本当に後世に誤りのないようなことをしてほしい。このことを申し上げて、終わります。
○委員長(松村龍二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。

○委員長(松村龍二君) 休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉でございます。
 前半の齋藤委員に続きまして、関係大臣に質問をしたいというふうに思います。
 まず冒頭、資料の方を配付させていただいたんですけれども、先ほど齋藤委員からインドのお話がございました。この昭和二十九年、一九四九年十月二日の新聞に、インドゾウのインディラがインドからネール首相によって贈られ、吉田首相がその贈呈式に立ち会って、戦後の非常に暗い日本に、子供たちにとりわけ希望と夢と笑顔を与えたという記事でございます。他界した私の父が当時十歳、母が七歳だったわけですけれども、以前この話を私は両親から聞いたことがありました。たまたま先日、ある方からも同じ話を聞きまして、改めてこの新聞を取り出してみました。
 インドが今回イラク派兵に反対をし明確な態度を国際社会に示したというのは、私はインドの品格であり国としての哲学だろうというふうに思います。先ほど大臣たちが御答弁されたように、確かにインドはインド、日本は日本だろうというふうに思います。しかし、日本が一九五一年、サンフランシスコ講和条約を結んだとき、インドはこれに反対をいたしました。米軍が将来日本から撤退することを約束しない限り、インドはこのサンフランシスコ講和条約に賛成することはできないという立場から反対をし、翌年の五二年、一九五二年に単独のインド・日本の講和条約をネール首相が結びました。言うまでもなく、このインドの日印条約によって、後のアジア・アフリカ会議に日本が国際デビューするきっかけとなった。非常にインドが日本に対して、あの東京裁判のパル判事もそうですけれども、国としての品性をしっかりとアジアの中の位置付けという観点からも示したと。
 私は、日本の取るべき態度は、こういった日本の歴史とそして自分が今いる立場をしっかり認識をして、品格のある、品性のある政治を内外に示していくことなんだろうというふうに思います。これは私の所感ですので、また是非皆さん、新聞記事に目を通していただきたいというふうに思います。インドの問題は齋藤委員がお触れになりましたので、私はこれ以上お話をいたしません。
 先日、日本・エジプト合同調査団がイラクにおいて事故に遭遇をし、現地のイラク人を傷付けたという報道がございました。外務省が出されたマスコミ用のプレスリリースを私は拝読をいたしました。ナジャフからバスラに向かうところで二十名ほどのイラク人が言い争いになっている様子だった、そのうち十名のイラク人が調査団の走行車両に飛び出し車列を阻止しようとしたと、これが暴行、略奪に巻き込まれる可能性が高いと判断して逃げようとしたが、現地のイラク人と接触をし、そのままその車両は、この調査団の車両は走行を継続してその場から立ち去ったと。
 英軍の警察、そして現地のイラク警察を通じて更に詳細な調査を行うということですが、その後の調査はどのようになりましたか、大臣。
○政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。
 御指摘の事故は、そのプレス用の、今お話のあった記事のとおりでございますが、その場を離れた後、バスラで運転手及び同乗した者が残りまして、現地を管轄する英軍の軍警察、それからバスラ警察署長、さらにはバスラ中央裁判所の裁判官の調査に対応してきております。事故の翌々日、十五日でございますが、これについて再度裁判官の聴取がございまして、その結果として、事故の被害者が確認されないということで本件は立件されないということの判断で終わっております。
○榛葉賀津也君 岡本行夫さん始めJICAのメンバーや様々なメンバーがこのミッションに加わっているということですけれども、防衛庁長官、ちょっと通告していないんですけれども、この事件は多分長官も御存じだろうというふうに思います。断片的な情報ですけれども、この話を聞いて、この二十名若しくは近寄ってきた十名は国又は国に準ずる者でしょうか、それとも野盗、盗賊のたぐいでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) これは、私も報道に接しておるだけでございますから、断定することは適切を欠くものと思います。
 ただ、見た範囲で申しますと、国際的な武力紛争の一環としての武力行使ということがそこの場において行われる、あるいは彼らがその主体たり得る者ではないのではないかという印象は持っています。ただ、子細に現状を掌握しておるわけではございませんので、断定的なことを申し上げることは差し控えます。
○榛葉賀津也君 この議論はまた後ほどさせていただきたいというふうに思います。
 川口大臣、イラクにとりまして七月という月は大変特別な月でございまして、一九五八年のあのカーセムの自由将校軍のクーデターが起こったのは実は七月でございます。そして、一九六八年のあのバース党のクーデターも実は七月に起こりました。これは実は決して偶然の一致ではないと私は思っています。本日の新聞で、親米市長のハディーサ市の市長が、運転中、武装集団に銃撃をされ殺されました。また、ヘラルド・トリビューンの記事ですけれども、九歳の少女がイラク人によってレイプをされたという記事、これはただ一個人の九歳の少女がレイプをされたということだけではなくて、このような犯罪が今イラクで非常に多くなっている。そして今、市長が殺され、レイプや強盗が続発しているのも七月なんですね。
 これ、なぜ七月にこのような問題が多いかと。簡単なんですね、暑いんですよ、めちゃくちゃ暑いんです。気温が四十五度から五十度。イラクというのは非常に暑い国ですから、もう五十年ぐらい前からエアコンが普及されていたというふうに言われています。しかし、現在の電力不足、水不足、様々な問題で暑さを耐え切れないと。言葉が適切ではないかもしれませんが、この七月をイラク人が狂う月というふうに言うそうです。正に地獄の月なんですね。
 この中で、今イラクの民は、夜も寝れない、昼間は何もできない、暑さでもううだるような、頭の中がもう麻痺する寸前なんですね。その中で、真夜中に、アメリカ軍のことやイラクの将来や自分の将来や、そして今度来る日本のことも、様々なことを悶々とした面持ちで、気持ちで考えている、それがイラクの、今の現場のイラク人のメンタリティーだということを、これからイラクに軍隊を派遣しよう、自衛隊を派遣しようという我々はしっかりと認識をしなければならないと思うんです。
 私、委員長に提案したいと思うんですけれども、会期末まであと十日あります。是非、地方公聴会を開いていただきたい。この地方公聴会はバグダッドでやっていただきたいと思っています。そして、この法案を英語とアラビア語に訳して、イラクの代表者、そしてアメリカ軍の代表者、そして現地にいる日本の代表者を呼んで、我々、イラクの五十度の中で地方公聴会やりましょうよ。そして、アラビア語で読んだイラク人がどう思うか、英語で読んだ米軍兵がどう思うか、そして現場で働いているNGOや日本の法人が何を思うか。私は、十日ありますから、これ、きっちりできると思っています。
 加えて、この委員会が終わった後ですね、私は、現地にこの参議院で是非視察をした方が、私、いいんだろうというふうに思います。
 この二つを、委員長、提案したいと思いますけれども。
○委員長(松村龍二君) 大変ダイナミックな御提案でございまして、後ほど理事会において協議いたします。
○榛葉賀津也君 引き続き防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、そもそもこのゲームが、ゲームと言ったらちょっとあれですけれども、この議論の一番は、午前中も議論があったように戦闘地域、非戦闘地域でした。ただ、この法案の審議の最初の方は、イラクの地図をしっかり区分けをして、この地域が戦闘地域ですよ、この地域が非戦闘地域ですよというふうに区分けをするような答弁がありましたが、審議が続くに従って、だんだん先ほどの議論のように、いや、憲法九条を担保するために、自衛隊が行くところは必ず、必ず非戦闘地域なんですよと、それでなければ法の担保が取れませんよという議論に変わってきた。
 私は、カードで言ったらジョーカーがだんだん変わってきている。このジョーカーが、今や相手が、野盗、盗賊か、若しくは国又は国に準ずる者かという議論にだんだんシフトしてきているというのが実はポイントなんだろうというふうに思うんです。すなわち、自衛隊が行くところは非戦闘地域である、しかし、実際は非戦闘地域ではない場合、もし攻撃をされてもそれが国又は国に準ずる者でなければ武力の行使をできるということですよね。
 そこで、長官にお伺いしたい、確認をしたいんですけれども、攻撃を仕掛けてくる相手全員が野盗や盗賊というたぐいだったらば、これは戦闘行為になる心配がないということですね。
○国務大臣(石破茂君) これは本当に前提をいろいろ正確にこの場合、この場合といたしませんとかえって誤解を招きますので、断定的なことを申し上げられない。というのは、別に逃げで申し上げているわけではございません。ただ、活字に残しますと、あのときああ言ったじゃないか、こう言ったじゃないかということになりますので、そういう意味で、断定的なことは申し上げられないということを最初にお断りいたします。
 仮にそれが、全員給料が遅配である、あるいは委員御指摘のように物すごく暑い、非常にこう精神的に不安定になって、食べ物、日々の糧を得るために集まって攻撃を仕掛けたとするならば、それは、国際的な武力紛争というものに発展する、それ自体もそうですし、その後発展をするという可能性は乏しいものと考えます。
○榛葉賀津也君 昨今、イラクで行われている米軍への攻撃にアルカイーダが犯行声明を出し、アルカイーダがこの武力攻撃に、米軍攻撃に関係をしているという主張があちこちで出始めました。このアルカイーダは国又は国に準ずる者ですか。
○国務大臣(石破茂君) 国又は国に準ずる者である、国ではございません、国ではございませんが、国に準ずる者というふうに見られる可能性はあると思っています。
 それはただ、恐らく委員が一番、イスラエルでもお学びですから、御案内のとおり、いろんな情報は本当に精査をしてみなければいけません。いろんな情報が流され、それによっていろんな心理的な動揺なり、そういうものを誘うということもかの地においては行われておるというふうに承知をいたしております。
 加えて申し上げますが、何度も議論が出ておりますように、法案第九条におきまして、内閣総理大臣及び防衛庁長官は部隊等の安全の確保に配慮しなければいけないという安全配慮義務というものもございます。ですから、どういう地域でどのようなことをやるかということは、非戦闘地域であるかないかという判断と、そしてまたこの安全確保義務、この二つを念頭に置いて御議論をいただいているものというふうに私は思っております。
○榛葉賀津也君 では、その相手の見極めの判断基準は、ずっと議論のあるように、国際性、計画性、組織性そして継続性の四つの基準があるということですけれども、この判断は、これは防衛庁長官が最終的に、これが国又は国に準ずる者という判断は防衛庁長官が最終的にはなさるという認識でよろしいわけですね。
○国務大臣(石破茂君) それは、法案第八条の第四号にございますように、防衛庁長官は、実施区域の全部又は一部がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施される活動の中断を命じなければならない、こう書いてございます。最終的にという言葉が何を指すのかということにもよりますが、実施区域の変更、すなわち基本計画、法律に定められた要件を満たさないという判断をする者は防衛庁長官でございます。
 そういう意味で、この法律の要件を満たさないということは、要するにそこは非戦闘地域でないということですから、最終的に判断をするのは防衛庁長官という御指摘で間違いないものと考えます。
○榛葉賀津也君 では、想定される相手、これは武力攻撃を仕掛けてくる相手なんですけれども、これが国又は国に準ずる者でなければ、その他は盗賊のたぐいというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 強盗、盗賊のたぐいと申しますか、要は国又は国に準ずる者ではないものであります。ですから、それが強盗なのかもしれません。盗賊なのかもしれません。あるいは暑さで精神に障害を来してそういうような挙に出た人なのかもしれません。少なくとも国又は国に準ずる者ではないということに相なります。
○榛葉賀津也君 それでは、国又は国に準ずる者でないという判断はだれがするんですか。
○国務大臣(石破茂君) 最終的には、先ほど申し上げましたように防衛庁長官でございます。
 それは、見てもいない者が何でそんな判断ができるのかねということになるだろうと思います。この話はずっとPKOのときからある議論でもございますけれども、同時に、先ほど第九条のことを申し上げましたのは、国又は国に準ずる者でなくても、安全が保たれないという場合には、やはりこの第八条の規定に従いまして実施区域を変更するということはございます。それが国又は国に準ずる者であるからして実施区域を変更するということもございますし、そのようなことが本当に頻発をして安全がとても保たれない、自分の身を守るために必要な権限あるいは装備を有していたとしても、それは安全が確保されないという判断になるとするならば、やはりこの八条の要件を満たすことになります。
 したがいまして、実際に見てもいないのに分かるのかということでございますが、それは、いろいろな情報、すなわち、このような者たちであった、あるいは、私たちが取った情報、外国から取った情報、その場の状況等々を、国又は国に準ずる者であるのかないのかと同時に、第九条に掲げてあることを満たすのか満たさないのか、そういうことを勘案して判断することになります。
○榛葉賀津也君 これ、野盗、盗賊のたぐいがアルカイーダとコンタクトを取る可能性は十分にある。そして、大臣は今、アルカイーダは国又は国に準ずる者であるというふうにおっしゃった。これは極めて、加えて、今言った国又は国に準ずる者でないという判断は、これは現場の自衛官がやるわけですよね。これ、まず一点は、非常に私、これ、文民統制の点で大きな問題があるということを指摘をしたいと思います。
 そしてもう一点、これが国又は国に準ずる者か野盗、盗賊のたぐいか云々という議論をやっているのは日本だけなんですよ。そして、先ほども言っているように、我々は情報をアメリカからも取る、イギリスからも取る。しかし、イギリスやアメリカがそのような判断を自分たちは全くする必要もないわけですから、非常に情報が恣意的になる可能性があるというふうに思うんですよ。それはそうでしょう。一緒に行動している自衛隊に法を犯すようなことはさせたくない。結局、すべてが野盗、盗賊である、国又は国に準ずる者でないということが担保できれば何でもできるわけですから。どうですか、長官。
○国務大臣(石破茂君) ここは議論を整理する必要があるのだろうと思っています。
 まず、文民統制に反するか反しないかというお尋ねでございますが、これは反するものではございません。午前中、齋藤委員の御質問にもお答えをしたことでございますが、そういう場合には極めて抑制的に判断をすることになります。
 それは分からない、分からない場合はどちらか、どちらの判断をするかということになりますと、これはもう国に準ずる者ではないかもしれない、だけれども、それはいいんだ、ないんだという判断をするというよりも、法の八条の、先ほど中断あるいは危険を回避しつつ規定による措置を待つものとなるという法制局長官の答弁もございましたが、その趣旨を踏まえまして、やはりいったん回避をするということになります。そして、それが国又は国に準ずる者であれ、なかれ、使える武器使用の権限は一緒なのです。
 つまり、自己を守るために正当防衛、緊急避難を危害許容要件といたしまして、正当行為として行うことができる。相手が国又は国に準ずる者であろうが、あるいは野盗、盗賊のたぐいであろうが、使える武器使用の権限は一緒です。何が違うかと申しますと、それが国、国に準ずる者であれば、それはいったん危険を回避をし、退避をして防衛庁長官による措置を待つという点が違うわけでございます。したがいまして、文民統制に反するものだというふうには私は考えておりません。
○榛葉賀津也君 この相手の見極めの問題というのは、テロ特措法のときもやりました、有事法制のときもやりました、そして今回もやっている。これ非常に情報によって左右されるもろい組立てになっていると思うんですよ。そして極めて情報によって、恣意的な情報によって結果が左右されがちだと。非常に国民にとっては心配もし、分かりづらいところなんですね。
 じゃ、是非、このようなもろい組立ての法案、分かりにくい法律、齋藤委員の午前中の主張ではないですけれども、やはり私はしっかりもう一度原点に返って見直す必要があるんだろうというふうに思っています。
○国務大臣(石破茂君) 先ほど、イギリスもアメリカも国又は国に準ずる者なんということは考えないぞという御指摘がありました。そのとおりです。
 これは、齋藤委員の御質問にもお答えをしましたが、我が日本政府として本当に憲法というものに忠実に、憲法九条の趣旨というものを生かしていかなければいけない。自衛隊が海外において武力の行使をしたというふうに判断をされないとするための歯止めとしてこのようなものを設けておるわけでございます。
 委員御指摘のように、そういうような机上の空論とかあるいは詭弁とかいうふうなおしかりをいただくこともございますが、それをなくしてこの法案を書くということが本当にできるのかという作業です。これは私も自分の頭の中でそういう法律が書けるのかということを考えてみたことはございます。しかし、私どもが一番重要視しなければならないのは、いやしくも日本が海外で武力の行使をしたというふうな評価を受けない、そのことの担保はきちんとしておく、私はそれは政府として誠実な姿勢だと自分では思っています。
○榛葉賀津也君 イラクの問題がずっと起こってから、私は実は二つのことを頭の中でずっと考えていました。
 一つは、日本の中東外交がどうしてもいまだにゼロサムゲームでこの問題を見ようとする。アラブの敵はイスラエル、イスラムの敵はユダヤ、アラブの敵はアメリカと、すべてをゼロサムゲームで判断しようとしている。私はもうそういう時代じゃないんだろうと思っています。アラブも中東も非常に複雑に入り組んできている。アラブの中はスンニー派とシーア派、ほとんどが実は無党派なんですね、ほとんが無党派。そして、アラブの中にはもうイスラエルを敵視して常に地中海に沈めるんだというような非現実的な話をする国も減ってきている。もう少しこの中東問題を、私はフレッシュでシャープな見方でもう一度考え直す必要があるんだろうというふうに思っています。
 そしてもう一つは、イラクに対しまして、当然日米関係というものは重要でしょう。しかし、今のイラク人の気持ちを分かってあげられるのは私は日本なんだろうというふうに思っています。よく日本における戦後の復興がこのイラクとダブらせてアメリカで議論され、また日本を、日本の戦後を例にしてバグダッドを復興させるんだというような議論もアメリカの新聞、雑誌に出ておりますけれども、私は非常に胸くそ悪くなる思いでございます。少なくとも私は、先ほどのインドの例ではないですけれども、同じアジアの仲間としてイラクの市民の立場に立って物事を考えることのできる、そういった歴史観や地域観、アイデンティティーを我々日本の政治が忘れてはいけないんだろうというふうに思っています。
 そして、この二つの観点から私は、一体日本が何ができるのかというふうに悩んでいたときに、ちょうど出た新聞が朝日新聞の「イラク人・米軍深まる溝」という見出しでございました。私はこれだと思いました。日本がやらなければいけないことはアメリカ対イラクとかどちらを応援するんだではなくて、この溝を埋めることだと思うんですね。イラク人とアメリカの溝を埋める努力を日本がやる。そして、これは日本しかできないというふうに思っているんです。そして、正に岡本行夫ミッションでエジプトと合同に医療調査団を派遣した。これは正に溝を埋める第一歩である。自衛隊が現地に行かなくてもできることは一杯あると思うんです。
 川口大臣、様々な事故等もあったようですけれども、十四日までの六日間、エジプト、政府合同の医療調査団が現地に行かれました。この報告を現時点で何かお受けになっている点はあるでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 調査団でございますけれども、これは幾つかエジプトといろいろ話をし、またイラクの現場を見た上で、まず日本とエジプトが合同をして、今後イラクにおいて医療に関する協力を行っていくに当たって、バグダッド大学病院、これをその拠点の一つとして候補がそこにできたと、候補がそれであるという報告を受けております。
 それから、バグダッドにおいてセミナー、それからエジプトにおいてイラク人の看護師あるいは医師、その研修を行うのをどうやってやったらいいかということについて具体策の実施の検討というのはこれからあるわけで、それは今後具体的にやっていきます、検討していきますけれども、そういったことを話し合ってきたという報告を受けております。
 それで、幾つかの新聞に、イラクの医療水準とエジプトの医療水準を比較してイラクの方が潜在的に高いので、エジプトにおいてそういった協力を受けることについて必ずしも適切ではないのではないかというような報道がありましたので、そういったことについて聞いてみましたところ、そういうことではない、イラクは過去ずっと最新のイラクの医療の技術から遮断をされてきたわけで、今イラクの医師、看護師は最新の医療技術情報を得ることを渇望しているということでございました。
○榛葉賀津也君 医療以外に日本がほかのアラブやアジアの国々と共同してできることがたくさんあると思うんですけれども、大臣は具体的に医療以外のどのような分野でこのような支援体制が可能だと思いますか。
○国務大臣(川口順子君) まず、イラクにおける我が国の援助の方針としては、医療とか電力とか教育とかそういった生活基盤分野ということがあるわけですけれども、エジプトとの間で何を医療以外に具体的にやっていくことが適切かということについては、これはエジプトの意向も聞かないといけませんが、そういったやっていくことについての意義、効果、エジプトの考え方、これを踏まえて、今後引き続き検討していきたいと考えています。
○榛葉賀津也君 私は、是非、エジプトに加えてその他のアラブ、イスラム諸国、そしてアジアの国々と共同してこういう問題に関与していくということが重要なんだろうと思います。
 今、支援を表明しているアジアの国だけでも、中国、韓国、バングラデシュ、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インドと、中東の国々においては、ヨルダン、サウジ、エジプト、クウェート、バーレーン、カタール、トルコ、そしてUAEと、非常に多くの国が復興しようという意思を示しています。私は、この扇のかなめに川口大臣が中心になって日本が取る必要があるということを述べたいというふうに思います。
 加えまして、この調査ミッションは是非継続していただきたい。そして、この中に、外務省やJICAやNGOの専門調査員だけではなくて、是非商社の方々がもし了解を得られるならば私は入っていただくと、非常に具体的な私は調査ができるんだろうと思います。
 私はよく中東調査会の講演に行くんですけれども、非常に多くの商社の方々が極めて具体的で現実的な質問をなされます。我々政治家はどうしても理論や政治的な質問、歴史的な質問になりがちですけれども、商社の方々は非常に具体的な、現場の安全がどうだという議論をなさいます。是非そういった調査団の検討もしていただきたいというふうに思います。
 アメリカとイラクの溝を埋めるそのもう一つの役割が、正に私は水の問題だろうというふうに思っています。
 官房長官にお伺いするんですけれども、先日、与党調査団がイラクに行かれました。舛添委員も同行されたということですけれども、この報告は、与党団の報告は、これは政府の認識と同じと、政府の認識は与党の調査団の認識と同じという解釈でよろしいでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 先般の与党調査団は、報告を委員会でもいただきましたけれども、それはあの時点においてそういう状況はあるということ。
 ただ、限られた日数ですから何から何までというようなことではなかったんだろうというように思いますけれども、あの時点における状況ということについては、私どもも、ずっとこの調査というのは引き続き行われていますから、そういう流れの中で妥当な調査報告だったろうというふうに考えております。
○榛葉賀津也君 これ是非、後ほどで結構ですから私の方に教えていただきたいんですけれども、七月一日の参考人の答弁で、政府・与党の調査団の杉浦議員がこう言っているんです。国連も自衛隊の浄化能力は高く評価されていますから、日本が水を作ってくると国連も有り難いというふうにおっしゃっているんですけれども、是非国連のどなたがこういう発言をされたのか、また後ほどで結構ですから教えていただきたいということを要望しておきます。
 日本は、これまでにカンボジアとルワンダで水事業に、水の浄化活動に実績があるということなんですね。ただ、砂漠での給水活動の実績はありません。これは極めて、先ほど防衛庁長官もおっしゃったように、鳥取砂丘じゃないですから、非常に砂がパウダー状ということで、私は特殊なこれ技術が必要なんだろうと思うんですけれども、その問題はないんですか。官房長官でも防衛庁長官でも。
○副長官(赤城徳彦君) これは、自衛隊にその浄化、浄水設備がありますけれども、聞いたところによりますと、砂漠とかあるいは高温であるとか砂の問題とか、そういうことについては十分これは堪え得るというふうに聞いております。
○榛葉賀津也君 では、自衛隊がやるこの水の活動というのは、ペットボトルに水を詰め込んで皆さんに配給するようなことを考えているのか、それとももっと包括的なニュージーランドやカザフスタンがやっている、現在イラクでやっているような包括的な水問題を根本的に考えるようなアプローチをしようとしているのか、どちらですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、水のニーズがあるということについては、政府あるいは与党の調査団の報告でニーズがあるということでございますが、具体的にそれに対してどういうふうにこたえていくのか、対応していくのかというのは、更に詳細な調査もし、こちらの装備なり対応能力なりも勘案しながら詰めていかなければならないことでございますので、御指摘のようにペットボトルで運ぶかとか、どういう形で供給するのかということについては今後検討をする課題でございます。
○榛葉賀津也君 まだ決まっていないということだと思います。
 では、この水の浄化、補給、供給という問題は、米英軍若しくは自衛隊のためにやるのか、それともイラクの国民のためにやるのですか、どちらですか。
○副長官(赤城徳彦君) これは、まだ具体的にこれをやるという決定はしたわけではないということを前提にお答えさせていただきたいと思うんですけれども、こういうイラク国内で水を浄化、補給、配給するという、こういう業務が想定されるわけですけれども、これはそのニーズに応じて人道復興支援としても、また米英軍等に対する支援としても実施可能だというふうに考えております。
○榛葉賀津也君 私、川口大臣始め内閣の皆さんに提案をしたいんですけれども、この水の問題、とりわけ砂漠地域での水の問題、中東に行きますと水効率という言葉をよく使います。いかに効率よく水を使うかということですね。
 イスラエル等の農場には水は散布することはしません。地中の中にパイプを張り巡らせて、そのパイプにミクロン状の穴を空け、根毛に一滴一滴水をやって、水を無駄にせずに作物を収穫するという技術が発達をいたしております。実は、この技術が一番発達しているのがイスラエルなんですね。そして、井戸を掘ったり、砂漠地域においてのインフラ整備、水問題のインフラ整備、進んでいるのもイスラエルでございます。
 先ほど、今中東問題はもはやゼロサムゲームではないと私言いましたけれども、是非、イスラエル人が無論バグダッドに行くことはできないでしょう。しかし、テルアビブであるとか若しくはラマラでもいいでしょう、アンマンでもいいでしょう。パレスチナ人とイスラエル人と日本人と、そして現地のイラク人が一緒になって、この水問題を考えていく共同プロジェクトチームを作り、水問題を正に考えていく。アメリカとイラクの溝を埋めると同時に、ロードマップが今大変山場になっていますけれども、イスラエルとアラブの溝も一緒に埋めていく。
 この水を是非活用して、川口大臣、中東問題の大変今注目を浴びている政治家ですので、大臣ですので、是非この問題を私は検討していただきたいというふうに提案をしたいと思います。
 続いて、このイラクとアメリカの溝の最大の理由がやっぱり大量破壊兵器なんですね、戦争の根本が大量破壊兵器があると。しかし、その大量破壊兵器が見付からないんですから。
 ニジェールからのウラン購入計画問題が、もう子供だましのような単純なうそだということが分かってしまった。パウエル長官がパネルを持ってきたり、電話を盗聴までして国連で大々的に大量破壊兵器がある、そして脅威がもう差し迫っているんだと。脅威が差し迫っているから我々は、日本はアメリカの攻撃を支持してしまったんですよね。
 ところが、パウエルが衛星写真をスライドで披露して、千二百キロ以上の長射ミサイル用でイラクが完成した最大級のものとしていたエンジン実験台、テストスタンド、これは全くできていないと、使用することもできないものだということがすぐ分かった。移動式の生物化学兵器の研究施設、これもどこを探しても見付からない。地下に隠されているとしていた研究施設、これもどこにもない。そして、五百キロ以上飛行可能な無人偵察機、UAVですね、これも見付からない。そして、化学薬品もバイオケミカルも見付からないんですよ。これ、全くアメリカが言っていた、若しくは日本政府が認めていた差し迫った脅威なんというのは実はどこにもなかったと。
 そうすると小泉総理は、いや、査察に協力しないやつが悪いんだと言うんですよね。しかし、相手は政府、政治やっているわけですよね、国として。当然、様々な外交手段として自分たちの国を守ろうとするのは当然ですから、国連の査察をやっているにもかかわらず、これをあのような、もう過去の議論をぶり返すことはしませんが、非常に私は安易にアメリカが、そして日本がこのイラク攻撃を認めてしまった。そして、これが最大の溝ですよ。しかし、もう起こってしまったんですからこの溝を埋めなきゃいけない。
 それには、茂木副大臣が先日、十五日、宮城県の講演でおっしゃったそうです、国連の査察が必要だというふうにおっしゃっているんですね。これ副大臣のコメントですから、これは政府の見解と判断してよろしいですね、川口大臣。
○国務大臣(川口順子君) 今後の査察についての我が国の立場ということですけれども、これは今後大量破壊兵器についての査察が可能な状態になれば、少なくとも最終的には国連等の国際機関の関与、これが重要であるというのが我が国の考え方であります。
 それで、今はどういうふうになっているかといいますと、これは安保理の決議の一四八三に書いてございますけれども、英米両国に対して査察といいますか武装解除ですね、武装解除の確認についての自らの活動について安保理に報告をするように慫慂している。そして、UNMOVIC及びIAEAの権限を再検討する安保理の意思というのを強調しているわけです。したがいまして、イラクにおいて今後国連の査察が、査察団の活動が再開をされるかどうかということは、今後の安保理における検討の結果によるということになります。
 我が国としては、これを今後引き続きフォローをしてまいりますし、先ほど申しましたように、最終的な確認の段階では何らかの国際的な関与、国連等の国際的な関与が重要だというふうに考えているということです。
○榛葉賀津也君 それでは、具体的に、大臣はアメリカ若しくは国連にどのように具体的に一日も早く国連の査察を再開するように呼び掛けるお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) 私は、現実的に考えた場合に、現在、アメリカ、イギリス、豪州等が捜索を行っているという状況にあります。そして、この動向についてどういう状況に今なっているかということについては、機会があるたびに極力私自身も聞くことにいたしておりますし、今後引き続きこの状況を注目をしたいと思います。
 今の段階で直ちに国連において査察団を入れるということを言うということは、例えばいろいろな観点から見て直ちにそれを行うことが現実的かどうかというふうには思っております。
○榛葉賀津也君 UNMOVIC、IAEAは一刻も早く国連による査察を再開するべきだということをあちこちでブリクス元委員長も言っていますよ。
 これは一日も早く、私は大量破壊兵器がイラクになかったなんて考えていませんよ。あったんでしょう。しかし、恐らく攻撃の前にイラクによってこれはほとんどが廃棄されたということが現実なんだろうと思います。ですから、探しても恐らくわずかなものしか見付からない可能性が高い。それが現実なんですよ、だと思います。
 しかし、大事なのは、アメリカだけではなくて国連がその事実を一刻も早く突き詰めること。あいまいになっているから余計疑心暗鬼が出る、溝が埋まらない。なかったらなかった。しかし、元々あったけれども、このような状況でイラクが、サダム・フセインがその前に破棄をしてしまったんだという明確な事実を早く突き詰めることなんだろうと思います。
 そして、アメリカだけでこの査察をやった場合、アラブ諸国から信頼されていないんですから、現在。たとえアメリカが事実を言っても、その事実報告が疑いの目で見られる可能性がある。そういうことがあっては絶対にいけない。だからこそ、その公平性やアピール性を担保するためにも、アメリカだけではなくて、国連、UNMOVICが一緒になって査察をするということが極めて大事で、先ほど同様、このことをきっちりとアピールできるのは私は日本しかないと思うんですよ。どうですか、大臣。
○国務大臣(川口順子君) 委員が今おっしゃった考え方というのは一つの筋の通った考え方であるというふうに思っています。
 それで、日本の政府として言っている、少なくとも最終的には、最終的な検証には国連等の国際機関の関与が重要だと言っている趣旨の背景にはそういうことがございます。それで、そのような考え方については、これは今もう既に日本からも言って、アメリカに対しては言っているということであって、先ほど申しましたのは、他方で、今査察団が入っていくためには、先ほど申し上げた一四八三の経緯にかんがみまして、安保理において今後どういう検討が行われるか、その検討の結果次第であると、そういうことであると思います。
○榛葉賀津也君 大量破壊兵器同様にイラク人とアメリカの溝が埋まらないもう一つの要因は、私は劣化ウランだと思っています。この劣化ウランの問題はきっちりと日本が明確に真相究明をしていく必要があると思うんですね。川口大臣は九日の連合審査で、米軍の劣化ウラン弾の使用の有無について同僚委員の質問に対しましてこういうふうに言っているんですね。政府として今問い合わせをしているという答弁をいただきました。その問い合わせの結果は、大臣、どうなったでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 米軍の劣化ウランの使用状況については、政府として今、委員がおっしゃってくださいましたように改めて確認中でございまして、まだその結果には接していません。
○榛葉賀津也君 ちょっと待ってくださいよ。今日は十七日ですから、もう一週間以上たっていますよね。この照会は、じゃ、いつ、だれにされましたか。
○国務大臣(川口順子君) 外交ルートでワシントンで聞いております。今ワシントンのだれがだれにということについては情報を持っておりません。
○榛葉賀津也君 外交ルートはもうごまんとあるんですけれども。
 では、アメリカは、大臣、劣化ウラン弾を使用したということを公表していませんよね。使ったか使わなかったかも言っていない。使っていなかったから使っていませんと言えばいいんですけれども、公表しないと言うんですね。これ、なぜ公表しないんでしょうか。若しくはアメリカに報告する義務はないとお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) アメリカ軍が何でこれを公表しないかということの理由を私は推測することはできません。イギリス軍は使用量については発表している。アメリカ軍が発表しないということについては何か理由はあるであろうというふうに思いますが、それについては今私は承知をしておりません。
○榛葉賀津也君 いや、もう一点、報告する義務はあると思いませんか。
○国務大臣(川口順子君) 法的にこれを公表しなければいけないということは全くないと思います。これが何らかの形で問題が、国際法上問題があるとされているわけではないということであります。あとはイギリス軍のように何をどこで使ったか、どこというのは言わなかったかと思いますが、どれぐらい使ったか、劣化ウラン弾をどれぐらい使ったかということについて発表する、しない、これはその国のいろいろな判断であると思います。
○榛葉賀津也君 先ほど様々な外交ルートを使ってワシントンに問い合わせたという答弁ですけれども、では、いつ問い合わせました。日にちだけ言ってください。
○政府参考人(安藤裕康君) 先日、委員会で委員御指摘のとおり御議論がございまして、それを踏まえまして直ちにワシントンの大使館に対しまして訓令を出しまして、改めて問い合わせをした、直ちにやったわけでございますけれども、その後、十日の日に先方の国務省の方から、まだその点については調査中であるのでもう少し待ってほしいということを言ってきております。
○榛葉賀津也君 もう少し待ってほしいということは、もう少し待てば答えが出るということですね。
○政府参考人(安藤裕康君) 先方の言い方は、国防省及び統合参謀本部に照会中であり、追って連絡をしたいということでございました。
○榛葉賀津也君 では、追っての連絡を待ちましょう。
 私がこの問題を言うのは、決して重箱の隅をつっつくために言っているんじゃないんです。一つは人道上の理由。我が国は広島、長崎で被爆をし、極めて特有の歴史観を持っているはずです。そして、先ほども言った我が国の品性として、我が日本の哲学として、こういった問題をきっちりと、あいまいにしてはいけないということです。
 そして、二点目の理由は、自衛官がここに行くわけですよね。汚染された土壌、汚染された水、そして汚染された食糧がある可能性がある。我々が日本人を現地に送る以上、その地域がウランによって汚染をされていないという担保をきっちりと取らなければいけない。極めて今、あの湾岸戦争のときも障害を持ったお子さんやがんが多発している、それが劣化ウランと何らかの因果関係があるんではないかという論文発表がたくさん出ている。しかし、真相は分からない。そして、このイラクも同じでございます。
 防衛庁長官、自衛官を派遣される責任者の長として、この問題は明確に、使ったのか使わないのか、もし使ったのならどこなのかということを追及する必要があると思いませんか。
○国務大臣(石破茂君) 劣化ウラン弾の状況につきましては、先ほどから外務大臣がお答えになっておるとおりでございます。
 いずれにいたしましても、防衛庁長官として隊員の安全確保に配慮しなければいけないということに私どもきちんと留意をしなければなりません。ただ、劣化ウラン弾につきまして、それが人体に与える影響については様々な議論がございます。これは何が正しいということを私が言うだけの知見を今持っておりません。アメリカはアメリカとして、湾岸戦争で使われた劣化ウランと人体に対する影響の間についての因果関係について肯定的なことは言っているとは承知をいたしておりません。我が国としてそれをどのように判断をするか。委員おっしゃるように被爆国でございます。そういうものに対する認識もあります。
 いずれにいたしましても、私どもとして、隊員の安全確保に万全を尽くさなければいけない。その中において、その地域がどういう地域であるかということも考慮の中には入るわけでございます。
○榛葉賀津也君 今、長官御指摘のとおり、アメリカはまた違った見解をされています。しかし、極めて多くの研究者や極めて多くの国がその因果関係を示唆する論文なり発表をしている。であるならば、我々は、少なくとも安全を担保するためにそちらのサイドに立ってこの問題を吟味する必要があるのは明確だと思うんですね。
 加えて、イラク攻撃の理由ですよ、アメリカの。これが、何とイラクが積極的に大量破壊兵器を持っていないということを情報を出さなかったということが理由なんでしょう。だったらアメリカだって劣化ウラン弾を使っていないという理由をしっかり出すべきだと思うんですけれども、川口大臣、どうですか。
○国務大臣(川口順子君) イラクの問題とそれからアメリカの問題とは異なると思います。
 これ、ここでまた繰り返しませんけれども、イラクの場合は十年にわたる安保理の決議に対して違反をしてきたということが背景にあるわけです。それで、劣化ウラン弾、これについての評価は、今国際的にはそれは健康上問題がないというのがUNEP、WHO等々の判断であります。そして、それについて国際的な条約で禁止されているわけではないということでありまして、アメリカはそれを出さないとすれば、出さないその理由としてはいろいろあるだろうと思いますけれども、イラクの問題とそれからアメリカの問題、これは同じ机上で論ずることはできないと思います。
○榛葉賀津也君 論じられると思いますよ、これは筋の問題ですから。やったやらないをはっきり言わない、隠しているんじゃないか、シロだということを言わない、それが悪いと言うんでしょう。同じですよね。
 確かにシチュエーションは違いますよ。これ、アメリカだって積極的にこの問題を公表していく義務が私は当然あると思いますよ。そしてアメリカは、私は使ったなら使った、使ったことも問題があるかもしれない。しかし、もし本当に使ったならばアメリカが積極的に土壌を浄化していく、この問題を考えていく、溶融問題を考えていく、そういった姿勢をイラク人に示すことが、私はイラクとアメリカの溝を埋めることだと、アメリカの民主主義、アメリカの正義、そしてアメリカの品性というものをイラクの人たちにしっかりと見せる。これは、私はピンチをチャンスに変えるチャンスだと思うんですよ。是非これは、今報告を待っているということですから、もしアメリカから報告がありましたら御報告をいただきたいというふうにお願いをいたしたいというふうに思います。
 今、イラクにおいて大変困っている方々がいる。それは、アメリカに留学経験があったりアメリカのサイドに立ってイラクを変えていこうと言っていたいわゆる親アメリカ派のイラク人、これアメリカンラバーズと言うんですけれども、彼たちが非常に今苦しい立場にいるんですね。
 私は、日本政府が、こういった現地でアメリカのサイドに立って、若しくは新しいイラクをつくっていこうというサイドに立って真剣に考えているイラク人たちや、そういったイラクの運動を応援していく必要があると思うんですね。様々なNGOだとか運動が今起こりつつイラクの地でありますけれども、日本としてそういった方々に何か支援を考えているんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) イラクの復興について、切れ目なくオールジャパンでという話をしております。それで、NGOの方々もイラクの復興に当たっては非常に重要な役割を果たすと思います。
 そのNGOはもちろん日本のNGOもありますし、例えばヨルダンのNGOに対して我が国は支援をしているわけですけれども、そういった意味で、先ほど来委員がおっしゃっていらっしゃるアラブの国々のNGOというのも、その他の国際NGOもあると思います。そして、いずれイラクの国内で、これ今アフガニスタンでもそういうことでやっていますが、イラク人のNGOが立ち上がっていくというような状況になると思いますけれども、そういった段階ではそこも視野に入れて我が国としては考えていきたいと思います。
○榛葉賀津也君 私は、イラクの復興のかぎはいかにしてイラクの市民をこの復興の運動に巻き込むかということなんだろうと思います。一部のサダム・フセインをいまだ支持しているゲリラ、そして片や米英軍による解放によって歓喜しているイラク人、実はこの両方は極めて私は少ないと思っているんです。この真ん中にいる脱力感と無力感にさいなまれている無党派の絶対多数のイラク人をいかに復興に向けて日本がやる気を出させるか、この活動をやっていく必要があると思うんですね。
 大臣の主導で、五月の十九日からイスラエルとパレスチナの信頼醸成会議を東京で行いましたね。そのときに、大臣、エマラさんというパレスチナ人の方がいらっしゃったということを思い出していると、記憶しているというふうに思います。彼女は、第二次インティファーダの始まったパレスチナにおいて、子供たちに石を投げるんじゃなくて勉強をしようと、実は日本から出発した生涯教育論理をパレスチナにおいて実践をして、石を投げる子供たちに石を投げるんじゃなくて勉強をしようという運動をずっとされている。
 私は、冒頭に言いましたが、アメリカとイラクの人間の溝を埋める積極的な活動を是非大臣がイニシアティブを取ってやっていただきたい。そして、冒頭、新聞記事を配付いたしましたが、インドのネールが日本の子供たちに象のインディラを贈り大きな希望を与えたように、今、正に我々日本がアジアに恩返しをする番だと、そういったメッセージをしっかり送っていただきたいというふうに思います。
 残りが九分になってしまいましたが、最後、今、このイラク復興で一番今後活躍が期待されるのが現地で汗を流している方々、そして若しくは今後現地で汗を流す可能性のある方々、とりわけODAを実施していくJICAの方々の活動がこれから注目をされるというふうに思います。先日もODA大綱の見直しが発表をされ、このODAの在り方、そしてこれを行使するJICAのこれからの在り方がどうなっていくんだということが注目をされています。
 十月一日からJICAが独立法人化されることは言うまでもございませんが、今注目されているのが、そのやはり総裁人事だと思います。大臣は、以前の私の質問に対しまして、オールジャパンで適材適所を見付けていきたいと。川口大臣が田中眞紀子前外務大臣から引き継いで今のポジションにいらっしゃる一つの大きな理由は、外務省改革ですよね。これに尽きると思います。そして、独立法人化でJICAが新たなニューJICAとして第一歩を歩もうとしている。その注目された総裁人事が、私は、かつてのように外務省からの、言葉は悪いかもしれませんが、天下りという形では絶対いけないと思うんです。新しいJICAを引っ張っていく人材を持ってこなければいけないと思っています。
 今、大臣はどのようにこの人事についてお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) この前申し上げたオールジャパンで適材適所をという考え方に基づきまして、今いろいろ検討をいたしております。
 私は、JICAという組織について、これはシリアにこの前行ったときにもシリアの外務大臣の夫人に言われましたけれども、我が国がやっている支援の中で、人が現に現地に行って、そして目に見える形で協力をしているという意味で、JICAというのは日本の外交の実施をしているという意味で、非常に大きな組織である、重要な組織である、JICAさえあればという雰囲気のおっしゃりようで、非常に高い評価をしていらっしゃいました。JICAの組織も、そういう意味で今その改革を一生懸命にやり、JICAに課せられた使命をきちんと認識をして動こうとしているというふうに私は思っています。
 こういった組織の長を任命するという責任は非常に大きな責任であると思います。今、JICAについて、どういう組織であるべきなのか、あるいは現状どうなのか、どういう考え方があるのかという観点で、いろいろいろんな方にお話を伺いながら私は今勉強を重ね、推考を、考え方についての推考をいたしております。この前申し上げたオールジャパンで適材適所ということは変わっておりません。
○榛葉賀津也君 その大臣の答弁を聞いて安心をいたしました。
 五月七日の決算委員会の質問において、山本一太委員がJICAの理事長は外部から登用したらどうだという質問に際して、大臣が、今おっしゃったオールジャパンを舞台に適材適所で考えたいということをおっしゃいました。
 私は、冒頭言いました、大臣の今一番大事な任務はやはり外務省を変えていく。この議論をいたしますと、JICA対外務省というような構図で物を語る方々もいます。私は決してそうじゃないと思っているんです。JICAが変われば、必ずいい影響が私は外務省にも行くと思うんです。そして、少なくともそのためには、現場のプロパーの職員のモチベーションや、独法化した新しいJICAの、そして新しいODAの在り方を考えた場合、やはり経営感覚と国際感覚のあるトップをプロパーか若しくは外部からきっちりと据えていく、そういったアプローチが大事なんだろうと思います。少なくとも、従来の天下り型の人事はこの川口大臣のときでやめるしかない、今しか私は変えることができないと思っています。大変難しい、若しくは苦しい決断が大臣に迫られるのかもしれません。しかし、これからの開発支援や復興支援そして新しいODAの在り方を考えている良識ある与党、野党問わず、多くの国民は大臣の英断を私は絶対に支持をするというふうに考えています。
 是非、現場の分かる、そして国際感覚のある方をJICAの総裁に据えていただいて、これからの新しいODAの在り方そして新しい日本の開発援助の在り方を考えていきたいということを私は強く要望をして、私の質問を終わりたいと思います。


2003/07/17

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