2003年7月17日

戻るホームイラク目次


156 参議院・外交防衛委員会−(1)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=舛添要一(自民)


平成十五年七月十七日(木曜日)

○委員長(松村龍二君)
 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○舛添要一君 おはようございます。
 イラクの状況について、まず内閣及び外務省にお伺いしたいと思います。
 御承知のように、七月の十三日に統治評議会が発足いたしました。ただ、これで新しいイラクの政権がすぐできるかというと、いろんな問題があると思います。
 まず、外務省として、統治評議会、この発足についてどういう評価をしているか、そして、いろんな問題点があると思いますけれども、そういうことについて、外務大臣の方からお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 七月十三日に、おっしゃられますようにイラクにおいて政治評議会が発足をいたしました。今まで発足をさせると言われていたスケジュールに沿って一歩前に進んだということでございまして、これを受けて、イラクの国内の治安や復興が一層進展をするということを外務省としては、あるいは日本政府としては期待をいたしております。
○舛添要一君 ただ、二十五人の構成メンバーの中身を見ますと、イスラム教のシーア派が十三人、スンニ派が五人、それからクルド人が五人、キリスト教徒一人、トルクメン人一人というような、宗教、宗派別、民族別構成になっていますけれども、確かに反サダム・フセインという色彩はあるんですが、しかし、これは完全にイラクの宗派、民族構成を反映したものではないと思います。
 そういう意味では、いろんな不満がその後出てきて、果たしてこの政治評議会、統治評議会、ポリティカルカウンシルをどういうふうに訳しても構いませんが、そういう問題点についてはどういうようにお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) この構成でございますけれども、私もその民族の構成とのギャップがどれぐらいあるかということでちょっとチェックをいたしてみましたけれども、おおむねほぼ民族の構成の比率に合っているというふうに言って差し支えはないのではないかというふうに思います。シーア派六〇%、クルド一六%、スンニ二〇%という比率で国内の構成があるわけで、ほぼそれに比例をしているかなと思っております。
 それで、おっしゃるように今後の過程については、いろいろなイラクの国内でその政治評議会あるいは統治評議会に対しての批判等は当然にあると思います。それはあって当然であるということだと思います。今後、決して道が平たんであるというふうには思っておりません。決して楽観視はできないと思いますけれども、これに基づいて、これがどんどん権限を持っていって、そして一四八三に基づく政治のプロセスが前に推進をされていくということが重要であると思います。
 当面、そのスケジュールであるところの新憲法に基づいて選挙が行われて、それで新しい政府が発足をするまでの間にはまだまだ幾つかのステップがある、相当な時間は必要であると思います。ただ、これで一歩出た、前に出たということで、これが国連の決議の一四八三にのっとった形で物事を進めていく第一歩であります。これのきちんとそういった形で今後動いていくということを我が国としては期待をいたしております。
○舛添要一君 日本が第二次世界大戦で敗れた後、マッカーサーを中心として占領軍が来た。結局、新憲法制定まで二、三年掛かる。それから、占領軍がいなくなって独立するまでに七年掛かっていますね。例えば、マッカーサーの指令なんというものは、それはまあ例えば吉田茂という受皿があったにせよ、かなり威厳を持って、つまりレジティマシーを持って日本国民に受け入れられたと思います。
 だけれども、このCPA、ブレマー長官とも直接お話ししましたけれども、つまり、権力の分担ということで、その統治評議会、イラク人によるものがだんだんこれ力を持っていかないといけないんですけれども、最終権力をアメリカを中心とする、英米軍を中心としたCPAが持っている、ブレマーさんが持っている、ある意味ではマッカーサーに当たるわけですけれども。これに対してイラク国民の信頼というかそのレジティマシー、正統性を認めようとしない態度が強くなれば、権力の二重構造になってしまう。だから、アメリカの一部には日本に対する占領政策を参考にしてという意見もあるようですけれども、全く違うと思います。
 だから、ちょっと私もブレマーさんと直接話していて、ちょっと楽観的過ぎるんじゃないかなという感を現地ではいたしましたけれども、外務大臣ないし官房長官、こういう点について、日本との比較も入れながら、御所見があればお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 私もアメリカの政府の一部に日本の占領時期と比べて考える人がいるということは聞いたことがありますけれども、おっしゃるように、いろいろすぐに全くパラレルかというとそうでない部分もあると思います。
 ブレマー行政官は非常にはっきりおっしゃっていらっしゃいまして、これは、イラクの統治評議会の設立後、イラクの新憲法を起草するプロセスが開始され新憲法が承認をされた時点で、イラクの新政府がイラクの初めての民主的、自由かつ公正な選挙により選ばれることとなり、その時点でコアリションの仕事は終わることになるということをはっきりおっしゃっていらっしゃるわけでございます。
 委員がおっしゃるように、これから様々な動きはあるというふうに思いますし、必ずしも楽観視はしていないわけですけれども、我が国としては同時に、この十月に国際会議が開かれて、支援国会合、こういったことを成功させていくというようなことにもかかわっておりまして、そういった国際社会の関与、これがより強い状況で今後なっていくと思いますし、それから新しい統治評議会に権限がどのように移っていくか、これも徐々に移っていくことになると思います。
 具体的に今どのような関係に、権力という面で関係になっているかは今いろいろ調査をして調べておりますけれども、そういったことを踏まえながら、少しやはりいろいろ、その日その日、あるいはその月その月で紆余曲折はあるということは考えながら極力の支援をしていき、一日も早くそういった新しい政府ができることを支援をしていきたいというふうに思います。
○舛添要一君 日本の例を私出しましたのは、マッカーサーの指令がありますと、例えば吉田内閣でそれを実行します。けしからぬじゃないか、親米的な内閣でという形で例えば吉田茂を暗殺しようとか、そういうことは起こりませんでした、少なくとも。しかし今、昨日もそうですけれども、バグダッド北西二百四十キロのハディーサというところで非常にアメリカに協力的な市長さんが殺されている。こういうことが起こっているわけですね。
 ですから、そういう状況で、占領というのはそういうものだとも思いますけれども、官房長官ちょっと、官房長官としてこの点についての所見、あればお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 我が国の終戦直後の状況と比較を委員がしておられましたけれども、私は、イラクも官僚組織というのは割合しっかりしているというような話を聞いておりますので、その人たちがまたきちんとした所定の位置に戻ってくるということがあれば、復興は着実にいく可能性は高いんではないかというふうに思っております。
 我が国の場合は、これはまた官僚組織もしっかりしておったし、また大きな政治的ないわゆる暴動が起こるとかいったような、そういうようなこともなかったわけですね。終戦というやっぱり本当に大きなショックがあって、ショックから立ち上がれなかったというようなこともあったのかもしれませんけれども、いずれにしても、幸いなことに、政治もまあいろいろあったけれども、しかし何とか体制は維持できた、そしてその上に官僚組織ががっちりとそれを支えてきたということ、これは我が国の特筆すべきことであったと思います。
 実は私の父親も役人をやっておりましたので、それを日々見ておりましたけれども、終戦の日はどうだったか分かりませんが、もう一日も休むことなく本来の職務に精励をしておったあの姿を見ていますと、官僚組織はそういうこととは、政治とは関係なしにきちんと動いていたという、そういうふうな感じしますね。
 そのところは今のイラクにはないかもしれません。そのないところをブレマー氏始めCPAの人たちがいかにしてサポートしていくかということになるんじゃなかろうかというふうに思っておりますので、もう少し治安が安定するということがまず第一条件でございますので、その安定を図ることに全力を今米軍を中心に行っているということでありますから、その活動には期待をしたいというふうに思います。
 しかし、自分の足で歩けるようになるために我が国もどういう支援が必要なのかということでこの法案もお願いしているわけでございますが、極力イラクの独立のためにいろいろなことを、できる限りのことを我が国もしていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
○舛添要一君 現地を見まして、アメリカ軍とイギリス軍の違い、例えばバグダッド、バスラ、かなり旧官僚機構をイギリスは登用している、したがって比較的安定しているという面が言えると思います。サダム・フセインの体制は社会主義体制で、全就業者の七割ぐらいが軍隊とか警察とかいわゆる公務員であるわけですから、この人たちを復職させる、そういう手だてが必要だと思うんですね。
 今御尊父の福田元総理のお話も出ましたけれども、一部の政治指導者は戦犯として巣鴨に入ったりしましたけれども、官僚機構は基本的に日本の場合おっしゃるように無傷であった。したがって、それが一九四〇年体制というので残っているので、それをたたきつぶそうというのが小泉改革のねらいだと思いますよ。ですから、福田官房長官の御尊父のその体制が残っているのを、今、官僚としてですよ、四〇年体制を倒そうとしている、そういうふうに私は位置付けておりますけれども。
 日本のアメリカに、アメリカというかCPAに対する政策として、例えば今言ったようなことを早く、官僚機構、本当に統治能力があるのはいませんからね、警察官の養成だって今一生懸命米軍のMPがやっているんですね。その警察官がまた襲撃されるというようなことが起こっているので、治安の維持だってそれは現地の警察官がやらないといけない。ファルージャなんというところは、これは一番サダムの残党が残っているところですけれども、結局もうイラク人に任せるしかないというので、アメリカが一歩引いてイラクに任せるというこういうことを、苦肉の策だと思いますけれども、やっていると思いますので、この対CPAに対して日本としてこれから人も出す、この法律が通れば、それからいろんな意味で既に、ほかの意味での人的とか金銭的な支援もしていくということですから、ある程度はっきり申し上げられることは言うべきだと思いますが、その点、政府、いかがですか。どちらでも。
○国務大臣(川口順子君) 姿勢としては、これはおっしゃるとおりだと思います。
 我が国が今後、もっと人が、イラクに我が国からの人が配置され、そして現状についてのもっとはっきりした情報が入手をすることが、もっと、例えばこれイラクというのは、国によって場所によって非常にまだら模様であるというふうに思います。ですから、そういったところについてもはっきり把握をし、そうした上で国の政治のあるいは行政の進め方として、我が国は何といっても復興の経験が自らあるわけですから、そういった経験に基づいて、言うべきことについてはもう当然に言っていくということだと思います。
 調整は、いずれにしてもCPAとの間では常に、既に取っておりますし、今後もっともっと、これは人の配置ができるにつれ我が国の方からももっと働き掛けができるようになるというふうに思います。
○舛添要一君 実は、今問題にしました治安状況で、これ官房長官もおっしゃいましたけれども、いわゆる主要な戦闘は確かに終わっています。しかし、散発的なゲリラ戦のようなことを旧サダム陣営が今でもやっていると。
 そこで、バグダッド市内でも昨日そういうことが起こっている、それからファルージャ、ラマーディ、要するに各地で起こっているわけですし、これは戦死者の数と、昨日の段階で、たしか事故まで含めて戦後亡くなった兵隊さん、アメリカ、イギリス兵、これを入れると九十人近くになっているので、全体で百五十人近くになると。
 そうすると、戦後の死者の数と戦死者を合わせた数が湾岸戦争と変わらないぐらいになってきているというような、こんな感じもしますけれども、この現在の治安状況について、外務省、どういうふうに各地域ごと把握していますか。
○政府参考人(安藤裕康君) お答え申し上げます。
 現時点におきますイラク国内の情勢でございますけれども、治安情勢は、地域的なばらつきというものはございますけれども、全体として見ますと、引き続き十分注意を要する状況が継続しているというふうに私ども認識しております。
 具体的に申し上げますと、地域ごとに申し上げますと、フセイン政権の残党による散発的、局地的な抵抗活動が見られます西部、先ほどお話のありましたファルージャやラマーディ等が入りますけれども、この西部、あるいはティクリート等の中部、それからクルド人地区を除きます北部、こういったような地域では依然として状況は不安定であるということでございます。
 それから、バグダッドにつきましても、バグダッドとその近郊でアメリカ兵に対する攻撃が相次いでおりまして、昨日十六日もバグダッド西の高速道路上で走行中の米軍車両近くで爆発がありまして新たに一名の死者が出ておりますし、そのほかにも昨日は幾つか事件が起きております。
 他方、バグダッド以南、バスラ等を含みますけれども、この地域では散発的な事件は発生しておりますけれども、治安が改善されつつありまして、中には多くの店舗が再開するなど、市民生活が正常に戻りまして治安が大幅に改善された地域もございます。
 それから、ただいまの米軍の死者数でございますけれども、五月と六月はそれぞれ三十七人、二十八人と。七月の十六日現在でございますけれども全体で十八人ということになっております。
○舛添要一君 やっぱり極めてこの死者の数が多いことを留意しないと、危険だから民間人じゃなくて自衛隊員が行くというそういう論理ですけれども、相当派遣隊員の安全確保を考えないといけない。
 それで、防衛庁長官、私は陸上輸送については反対というか必要もないという立場です、基本的に。つまり、米軍の武器弾薬を日本が運ぶ、米軍の戦闘要員を運ぶと、こういうことを米軍や英軍も求めてはいないし、そんなものは、あなた、軽装備のトラックに私がアメリカの兵隊さんだったら乗りたくないですよ、重装備の、死にたくないから。そうでしょう。だから、C130による航空輸送ということを安全のことも考えて御提案申し上げたわけです、我々としては、与党としては。しかし、昨日我々が参りましたバグダッドの国際空港、ここは途中に占領軍のヘッドクオーターズが置かれていますけれども、ここ着陸しようとしたらC130がロケット弾でねらわれて、幸いに当たりませんでした。
 ということは、まずお伺いしますけれども、我が国が持っているC130、チャフ、ちゃんと装着しています、装備していますか、していませんか。これ質問通告なかったので済みませんけれども、昨日の話なので。
○政府参考人(守屋武昌君) お答えいたします。
 C130につきましては、そういうミサイルを撃たれたときの、ミサイルが航空機にロックオンされないようにさせるためのチャフという金属片をまく装置でございますが、現在三機にこれを配備いたしているところでございます。
○舛添要一君 今、ヨルダンに行っている二機ですか、これはちゃんと付いていますか、付いていませんか。
○政府参考人(守屋武昌君) その航空機には付いていないという、付いていないものを今ヨルダンに出しているところでございます。
○舛添要一君 じゃ、今度イラクに行くときは付いているやつと替えるんですか。
○政府参考人(守屋武昌君) 当然、イラクの我々が任務をする飛行場の治安状況とか運用環境とかというものを調査した上で、最適の航空機を送りたいと考えているところでございます。
○舛添要一君 石破長官ね、こういうふうに個々新しい事件というのが起こると、相当な武器が残っているんですね、イラクに。刀狩りやっていますけれども、そんなにうまくいっていないと私は判断しています。したがって今のような問題が出てくる。
 そこで、しかし三機しかなくて、三機、イージス艦のインド洋の話じゃないけれども、三機しかなくて、三機全部ヨルダン、イラク方面に持っていっていいのかどうなのか。ローテーションの問題もあると思います。ですから、そこは相当厳しいチェックをしていただきたい。
 それで、自爆テロでこっちに向かってやってくる、私はどうしても無反動砲持っていけ、装甲車も必要だと、そういうふうに思っていますけれども、長官、それぐらいの重装備をやる覚悟はあるんですか。いつも答弁は、総理含めて、答弁は、そのときの状況に応じてだけれども、それじゃ分からないんで、持っていってくださいよ。向こうからばっと来たときに無反動砲もなきゃ装甲車もなくたって、守れませんよ、自衛隊員の生命を。
 ですから、それはもう具体的な、これぐらいのことは、今ロケット弾の話をしたんですから、C130に対する。そうしたら、チャフがあるやつを持っていくというのを守屋局長お答えになったわけですから、ですから防衛庁長官としても、これぐらいの武器を持っていくということをちゃんと言ってもらわないと。
 それは十一月になるのか十二月になるのか分かりませんけれども、派遣する時期になったらもう非常に治安安定していて要らないということも言えると思いますけれども、もし今、あした出ていけと言ったら何持っていきますか。
○国務大臣(石破茂君) これは幾つかの観点から考える必要あるだろうと思っています。
 一つは、第十七条をどうやって読むかということです。生命又は身体を防衛するためにやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、基本計画に定める装備である武器を使用することができると、こう書いてあるわけですね。これは何なんだということだと思っています。
 一つ考えなきゃいけないのは、自分を守るために必要なということは、昔、機関銃一丁とか二丁とか不思議な議論がございましたが、そういう議論はもうとっくに克服したと私は思っているのですけれども、やはり向こうが何を持ってきたかに合わせて、持っているか予想するかに合わせて持っていくということは必要なのだろうと思っています。
 それからもう一つ、委員が御指摘のように、向こうを撃つということではなくて、装甲車であるとか例えば今のチャフ、フレアであるとか、そういうふうに純粋に防御的なもので何を持っていくべきなのかということも考えなければいけません。
 もう一つはローテーションの問題でございます。そういうものを装備したものをみんなイラクに持っていってしまったということになると、イージス艦ではありませんが、じゃ国内の体制はいいのかということになります。このことも判断が必要です。
 更に考えなければいけないのは、これもっと前に戻る問題ですが、例えば戦車とか戦闘機とかいうものになった場合には、もうそこは非戦闘地域ではないのだろうということが考えられます。戦車とか戦闘機を、野盗のたぐいですとか強盗のたぐいですとか、そういうのが戦車とか戦闘機を操れるということはなかなか考えにくいことでございます。一概に論ずることはできませんが、非戦闘地域ではなくなるということもあると思います。
 そういうことを総合的に勘案しながら、例えば今御指摘のチャフ、フレアにしても、三機というふうに今、防衛局長が申し上げました。じゃ、そのほかのものに装着するにはどれぐらいの時間が掛かりどれぐらいの費用が掛かりということも併せて検討しながら、自衛官の身を守る、安全に任務を遂行するということ、そして国内の、日本の防衛体制がきちんとしておる、それを両立させなければいけないということで、今徹底した議論を行っております。万全を期します。
○舛添要一君 いや、だから十七条の解釈で言うと、その安全守るわけでしょう。そうすると、危機管理の原則ですけれども、戦車持っていって戦争するためにやるんじゃなくて、戦車があれば、一段上の兵器を持っていれば物すごい抑止効果が利いて相手が来ないんですよ。そういう発想を入れないで、国会での答弁で野党に突かれて困るからっていうそういう発想ばっかりだから、法律の面だって、特別法、特別法で来る。これは官房長官も総理も恒久法やると言った。
 じゃ、兵力構成の問題にしたって、何で三機だけしかチャフ付けないんですか。だって輸送機やられちゃいますよ。別に戦闘機だけやるわけじゃなくて、兵たんを全部つぶしたら戦争できませんから、輸送機全部落とせばいいじゃないですか。そうしたら、最初からそんな予算けちらないでチャフをちゃんと付けているということをやっておけば、ローテーションの苦しみもないわけですよ。今までの防衛論議というのはそんなくだらぬ国会での議論の上に成り立っているから駄目なんですよ。
 だから、それは自信を持って、政府がちゃんと国会議員を説得するというぐらいの自信を持って、これこれの費用対効果ありますよと。だから抑止ということを考えないと。私が自衛隊員だったら、装甲車もない、無反動胞もないといって、行けといったら行きませんね、死にますから。どうですか。
○国務大臣(石破茂君) 先生のおっしゃることは基本的にそうだと思っています。
 チャフとフレアにつきましては、三機だけでいいとは思っておりません。現在、順次整備中でございますし、その取得が早くなるようであれば、どういう手段を使ってできるかということも今ぎりぎり追求をいたしております。チャフ、フレアについてはそういうことです。
 もう一つは、確かに向こうが持っているものを上回るものを持っていけば抑止力はございます。しかしながら、私どもとしてどういう地域を実施区域にするかということを考えてみますと、非戦闘地域という憲法上のニーズを満たした上で、なおかつ比較的という言葉を使いますが、安全な地域、すなわちそれはもう本当に何も恐ろしいことがないという意味ではなくて、自衛官が持っていく装備、自衛官が持っていく権限、自衛官が達しておる訓練の練度、それに合わせて安全な地域という意味でございますが、そこを設定するということになっております。それを勘案しましたときに、何を持っていくべきかということであります。
 抑止という点は私も十分に認識をしておりますが、そういう観点で実施区域を選定いたします以上、それはそこにおいて必要なものということで判断をすることになります。委員御指摘のそのような考え方は私も十分に持っておるつもりでございますけれども、そのどこを実施区域にするかということの兼ね合いも検討しなければいけないと思います。
○舛添要一君 守屋局長ね、今日実施命令が出てチャフ、フレア全C130に付けろと言ったら、二か月ぐらいでできますか。金は別ですよ。金はどこからか持ってくればいいんで。やれと言われたら。
○政府参考人(守屋武昌君) C130用のチャフ、フレアというのは米国からFMSで購入いたしております。それで、先ほど私、今三機に装備いたしておると申しましたけれども、今予算が付いていまして整備中のものが三機ございます。それが体制が整うのは、アメリカからFMSで購入するものでございますから、今年度中にその体制を取るということは難しいわけでございますが、来年のなるべく早い時期に六機体制を整えたいと思っているところでございます。
○舛添要一君 じゃ、十一月に間に合わないということですね。
 そうすると、官房長官、例えばこういう問題についてアメリカ政府と日本政府で交渉して、あなたたちの協力に対して行くんだから前倒しでパーチェスさせてくれというようなことが言えるだろうし、それから千人も隊員やって、あの中たしか六十人か七十人乗りますよ、兵員だけ運ぶんだったら。全部死んじゃったらどうするんですか。
 だから、予算はそれは外務省だって機密費あって、それいろんな使い道文句言われているわけでしょう。政府の機密費だって、その機密費のことを言うつもりはないけれども、そういうことの予算執行ぐらいはもっとフレキシブルに国会でもやりますよ。ですから、何でもかんでもアメリカの言うことを聞くんじゃなくて、あんたがそう言うんだからそれ出せぐらいのこと言えないんですか。
○国務大臣(福田康夫君) チャフのお話ございましたけれども、そのことだけではないのでありまして、必要ならばそれは装備をするとかいったようなことはやっていかなければいけない。特にこれ、イラクの支援ということであれば、イラクの復興支援だということであれば、防衛庁の予算だけで考えるかどうか、金額にもよるわけですけれども。ですから、その辺は弾力的に、政府として全体として考えていくべき問題だというように考えております。
 今、年度内難しいという防衛庁のお話ございましたけれども、これは米国との話合いによってそれを早めるという、この可能性は十分にあると思います。ですから、その必要度に応じまして十分協議をして、目的を達成できるようにしたいというふうに思っております。
○舛添要一君 法律では事後承認になっていますけれども、防衛庁長官、今日のような話で、こういう計画でいきますよということは、例えばこの委員会でちゃんと御説明していただけますね。
○国務大臣(石破茂君) それは、国会に対しまして適時適切な情報の提供ということはいたします。
○舛添要一君 だから、軍事機密に当たるところは、それはもう隠さないといけないかもしれませんが、こういう大事なことについては、どういう武器を持っていく、どういう装備をしていく、ただ陸上自衛隊のトラック持っていきゃいい話じゃなくて、それに対する警護ということを考えておかないといけない。水を作るといったって、水作っているところを撃ってきたらどうするんですか、全部警備はアメリカさん頼みですかと、こういうことではいけないんで、これは是非、我々は国権の最高機関の国会の場として、ちゃんとそういうことは知って、必要なコントロールをやることを国民に負託されていますから、是非そこは怠りないようにやっていただくことをここの場でお約束いただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) これは、委員の御指摘のように、国会におきまして実施の可否について事後的に御承認をいただくことになっております。しかし、その場合においても、必要な情報というものは国権の最高機関であります国会に対しまして適時適切に御説明を申し上げるということは、機密の部分を除きましてでございますけれども、これは政府としての義務であるというふうに考えておりますし、その旨、衆議院でも答弁を申し上げております。
 この場で、参議院におきましてもそれは同様の考えであることを申し上げさせていただきたいと存じます。
○舛添要一君 私は、基本的にいろんな、今の事件は報道に基づいて申し上げましたけれども、政府として、向こうにCPAがありますが、例えばバグダッドの空港で昨日起こったようなC130に対するロケット弾による攻撃、具体的にどうだったのか、どういう兵器を相手が使ってきたのか、どういうふうにしてC130はその攻撃を回避したのかと、そういうことをつまびらかに一つ一つ情報を蓄積していくことが自衛隊を安全に送る方法だと思いますが、そういうチャンネルはちゃんと持っておられるんですか。いかがですか、官房長官ないし防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) それは、アメリカと緊密な連携、これはもう言葉だけで言ってもしようがありませんので、まさしく委員が御指摘のように、どういう状況でどういうものが何を使って攻撃を仕掛けてきたのかということをきちんと把握をしませんと、私どもも何を持っていっていいのかということに相なります。どこでやればいいのかということに相なります。
 それは、やはりプロの自衛官、実際にそれの兵器に身をゆだねる自衛官が、プロ対プロというか、ミリタリー・ツー・ミリタリーと申しますか、そこできちんとした意見交換をする、そこできちんとした情報把握をする。そのために、例えて言いますと、イラクに日本大使館といいますか、まだ大使館という名称は使っていないのかもしれませんが、そこに自衛官を駐在させる等々、その辺は外務省ともよく連携をしながら、政府全体できちんとした情報の把握をするのは当然の義務であるというふうに考えております。
○舛添要一君 ちょっと、話題を少し全世界的な規模に変えたいと思いますけれども、九・一一のテロ以来、何もかも国際政治というのはテロとの戦い、アメリカの方針で動いているような感じがしてならない。そして、その悪の枢軸という話をして、イラク、イラン、北朝鮮ですね、今度イランの核開発疑惑ということが持ち上がってきている。
 だから、日本外交の基本は、安全の基本も日米安全保障条約であるし日米同盟であることは、これはもう自明の理でありますけれども、しかし、その中で同盟国として言うべきことはしっかり言う、そのことがアメリカのためにもなるんですよと。それから、同盟国であるにしても、日本の国益とアメリカの国益は必ずしも一〇〇%一致はしません。そういうことのさめた認識で外交をやっていただかないといけないんですが。
 そこで、イラクはまあ戦争は終わった状況で、今度イランの核疑惑についてアメリカが問題にしている。その中で、我が国が開発に参画しているイランのアザデガンの油田について、今日ちょっとこの話題を取り上げたいと思いますけれども、基本的にアメリカが核の疑惑があるのでストップしてくれと。じゃ、日本はどうするかと。今夏休み入りというようなことで、ちょっと頭を冷やす冷却期間は置いているように見ていますけれども、まずは資源エネルギー庁、このアザデガン油田の開発の現状について簡単に説明をしていただいて、ほしいと思います。お願いします。
○政府参考人(岡本巖君) 御説明申し上げます。
 アザデガンの油田は九九年に発見されたものでございますが、二〇〇〇年十一月にハタミ大統領が来日をされて、首脳会談が行われ、その中で日本に優先交渉権を与えるということで合意がされたものでございます。
 優先交渉権を取得するというのは、事実上、その権益についてのコミットが行われたということでございまして、以後、日本側のコンソーシアムがイラン側の石油省あるいはNIOCとの間で交渉を二年半近くにわたって続けてまいっておりまして、優先交渉権自体は六月末までが期限でございましたが、なお詰めるべき論点というのが残っておりますので、イラン側も、六月末を経過した後においても、ここまで積み上げてきた交渉でございますので、日本との間の交渉を続けたいということで、今粛々と交渉は続行されているところでございます。
○舛添要一君 交渉もそうなんですけれども、この油田の開発で契約方式、バイバック方式の問題点であるとか操業期間の長短、それぞれプラス、マイナスあると思います。こういう点については、資源エネルギー庁はどういう判断、つまり、アメリカとの圧力というようなのはちょっと横に置いておいて、純粋に操業してもうかるのかどうなのか、カントリーリスク含めて。そういう点についての細かいアセスはどうなっているんですか。
○政府参考人(岡本巖君) アザデガンの油田の前に、まず、イランは日本にとって三番目に多い輸入相手国、日本の原油輸入約四百万バレルのうちの一三%に相当する五十一万バレルぐらいを輸入している大事な輸入先でございます。
 その上で、アザデガンというのは、日本のコンソーシアムが操業、オペレーターシップという操業権を持ってやるという、かつ、その規模において少なくともカフジの油田に匹敵するぐらいの生産が見込まれる大きな油田でございます。したがいまして、これをやることの石油の安定供給上の意義というのは大変大きいものがあると私ども考えております。
 御指摘の契約条項のバイバックというのは、イランで九〇年代後半、ヨーロッパ、アジアを中心に十五ぐらいのプロジェクトが現に開発され、あるいは探鉱が行われておりますが、すべてバイバックで行われておりまして、バイバックの契約方式であるから投資採算性が悪いということではありませんで、バイバックの下でもいわゆる国際的にほかの地域で行われている開発案件に比して遜色のないようなROR、投資収益率というものが確保できるように、日本側のコンソーシアムはイランとの間で鋭意今折衝をしているというふうに報告を受けております。
○舛添要一君 操業期間の長短は。
○政府参考人(岡本巖君) 操業期間ということは、実は、操業期間の長さということと、それから投資額、プロジェクト総額、そこからはじき出される投資収益率というものを幾らに設定するかというところが正に交渉の一つの大きなポイントでございまして、まだ先方との間でその辺を中心に交渉しているところでございます。
○舛添要一君 資源エネルギー庁、つまり政府としては、この油田について引き続き交渉して、続けていくという決意ですね。
○政府参考人(岡本巖君) 先生御指摘の、一方で核疑惑の問題があって、外務省あるいは官房長官を始めとする官邸とも御相談申し上げております。私どもは、この石油の安定供給という観点から、あるいは三番目の大きな輸入相手国というイランとの関係ということをにらみながら、アザデガンの案件については交渉を粛々と続けていくべきと考えて、そのような立場で政府の中で今調整をしているところでございます。
○舛添要一君 外務大臣、外務省としてはどういう要請がアメリカから来ているのか、そしてIAEA含めてイランの核査察の問題は現状どうなっているのか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) イランとの関係では二つの政策の課題があるというふうに考えまして、一つが核疑惑の問題であります。
 これについては、IAEAが六月十九日に理事会をいたしまして、そこで議長総括というものを出しました。この議長総括には、イランが過去に行った保障措置協定上の申告漏れに対しての事務局長の懸念、そしてイランに対して即時に保障措置上の問題を是正するように求めるということが書いてあるわけです。現在、IAEAがエルバラダイ事務局長がイランに行ったりいたしまして、イランとの間で調整を行っております。
 我が国としては、その推移、これについて注目をして見ていっているということです。当然、我が国は唯一の核の被爆国であるわけでして、核の問題については、ほかの、我が国の国民は非常に懸念をしているところが大きいと思います。我が国としては、イランをめぐる核の開発の疑惑に対する国際社会の懸念を共有をしているということでございます。そして、イランに対してIAEAに対して完全に協力をするということ、それとともに追加議定書を早期かつ無条件にこれを締結をし、そして完全履行をする、それを通じて国際社会が持っている懸念を払拭をするようにということを求めてきております。それが核の問題でございます。
 それから、エネルギーの資源については、今、岡本長官がお話をしたように、原油自主開発の推進という課題であります。それでお尋ねの米国との間のやり取りでございますけれども、これはやり取りがあるということは事実でありますけれども、相手国との関係もありまして、そのやり取りの具体的な内容については、ここで発言をさせていただくのは控えたいというふうに思います。
 いずれにしても、この二つが、両方が重要な課題であるということでございます。そういう認識に基づいてしっかりと対応をしていく、それとともに米国を始めとする関係国との間で緊密に協議をしていきたいという考え方でおります。
○舛添要一君 官房長官はお時間がおありでしょうから、お立ちになる前に、今、外務大臣、しっかりと対応していくとおっしゃいましたが、どうしっかり政府はやるんですか。その幾つかの要求、これを首相官邸としてどうまとめていかれるんですか。
○国務大臣(福田康夫君) 今、資源エネルギー庁と外務省の状況報告させていただきましたけれども、確かに問題が、難しい問題がございます。
 一つはエネルギーの問題である、もう一つは核疑惑問題、イランの核疑惑問題と、こういうことでございます。その問題両方うまく解決できれば一番いいんですけれども、うまく解決できるように、今イラン政府とも、それからまた米国とも協議をする、そしてまた、関係諸国との協議といったようなこともございますが、そういうような今作業をしている最中でございます。しっかりとその辺は問題点の大きさというものを把握しながら協議を継続していきたい、そのように思っております。
○舛添要一君 官房長官、どうぞ御退席ください。
 通告していませんけれども、防衛庁長官、防衛担当者として見て、まあ後ほど北朝鮮の問題はお話ししますけれども、世界全体の核拡散というふうなことを考えたときに、非常に今アメリカがイランを懸念していますけれども、日本の防衛当局としてはどういう情報を持ち、どういう判断をしているのか、差し支えない限りでイランの核疑惑について何かお答え願えますか。──政府委員でも構いませんが。突然ですが。
 必ず、私は、だから、外交担当者の話も聞かないといけないけれども、軍事の専門家として、そういう質問があったときにやっぱり常に答えられるだけの情報を持っておく必要があると思うんです。どういう判断ですか、軍の方は、防衛当局はと言われたときに、これは意地悪で言っているんではなくて、必ずアメリカの議会にしても、CIAもあるけれどもDIAもある、いろんな情報機関あるわけですから、やっぱりこれは日本の安全と防衛ということを担当する省庁としては、役所としては常にそういうことにも興味を持っておく必要があると思いますので、これは急な質問ですから、御無理であれば結構ですけれども、感想でも構いません。
○国務大臣(石破茂君) この核の問題は、私はその運搬手段である弾道ミサイルと併せて考えていかねばならない、我が国の防衛というものを考えますときに。そしてまた、外交的にどういう状況なのかということも併せて考えていかねばならないと思っております。
 そういう意味で、イランの核の問題につきましては、私どもも重大な関心は持っております。そして、米側ともいろんな議論をしながら情勢の把握に努めております。ただ、それが大量破壊兵器、そして運搬手段、それから地政学的、外交的にどうなのかといいますと、これは北朝鮮とやはり違うのだろうというふうに思っております。かといって無関心というわけではございません。
 その点が我が国の防衛政策上どのような意味があるかという点も含めまして、今後とも関心を持って見てまいりたいと思っております。
○舛添要一君 アメリカの政策ということを私、冒頭に申し上げましたけれども、悪の枢軸、イラクときて、イランときて、北朝鮮。当然、イラクの背後にはビンラディン含めてのその九・一一のテロ対策はあるわけですけれども、同時に中東和平の問題もあります。どうもイラン、イラク、北朝鮮に対する政策は私は首尾一貫していないというふうに見ています。
 さあそこで、北朝鮮、我々にとって最も深刻な頭痛の種であります北朝鮮ですけれども、この数日大きな動きがあっていますが、まず使用済みの核燃料棒の再処理やったという説もある、やらないという説もある。この問題について、外務当局としてはどういう情報を得て、どういう御判断をなさっていますか。
○国務大臣(川口順子君) アメリカが、ニューヨークでのアメリカと北朝鮮との非公式の接触の際に、北朝鮮、これは国連の関係者ですけれども、北朝鮮が使用済燃料の再処理を完了したと言ったということを十五日にアメリカが明らかにしているわけです。
 そして、この件については、我が国といたしましてもアメリカ側からしかるべく情報の提供は受けております。そして、アメリカ自身が、北朝鮮のこの発言の真偽、果たしてそうかどうかということについて更なる分析、検討をしているというふうにしているわけでございます。
 我が国も含めて、北朝鮮が使用済核燃料の再処理をしたと、再処理を完了したということを確認する情報は持っておりません。この発言についても、したがいまして、確たることを申し上げられる状況ではないということです。
○舛添要一君 非常に危険な瀬戸際外交ゲームを北朝鮮はやっているというふうに私は判断しています。
 そして、今までの北朝鮮の外交交渉タイプというのをずっと分析していくと、結局、対外的な窓口をアメリカに限定したいということをやってきているわけですね。つまり、我々は隣国であって大きな関心を持っている。韓国は同じ民族であって、隣国である。そういう中で、中国とロシアがどれだけ北朝鮮に対する抑止能力を持っているかということもございます。そういうことを見たときに、中国と北朝鮮の会談が開かれた。非常に北朝鮮は渡りに船だったような形でこれを受け入れましたけれども、この中朝会談、そしてそこで出された結論、これをどういうふうに外務省分析しておられますか。マルチ協議か対米単独協議かという関連も含めてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 中朝の協議が行われて、それについて中国側の発表としては、今回の訪問は非常に重要かつ有益なものであったということを言っています。それから北朝鮮側も、双方は、朝米間の核問題と相互の関心事となる国際問題について深みのある意見を交わしたというふうに言っております。我が国としても、中国の努力は有益であり、そして重要であったと思います。そして、中国の努力について、我が国としては多としております。
 この協議の内容について、中国側から説明を受けておりますけれども、これは関係国との関係もあって、内容を明らかにするということは差し控えさせていただきたいと思います。
 それで、いずれにしても、我が国の考え方として、北朝鮮に関するいろいろな問題があります。この包括的な解決、これのためには、日韓が参加をした形での対話プロセスの継続が不可欠であると考えております。関係国と引き続き緊密に連携をして、北朝鮮側に対して前向きな対応をしていくように働き掛けるということを考えております。
○舛添要一君 韓国の盧武鉉政権の対北朝鮮アプローチと、若干我が国のアプローチはニュアンスの違いがあると思いますけれども、その点はいかがですか。そして、もしあるとすれば、どう調整しますか。
○国務大臣(川口順子君) 韓国の盧武鉉大統領と小泉総理とこの前東京でお話をして、発表させていただいたようなステートメントを出させていただきました。あそこに書いてあることというのが日韓両方の首脳が合意をしたということであります。
 韓国は、北朝鮮と地続きの国である、それから同じ民族である、過去においても戦乱の経験を持っている。それから、ソウルの場所からして、非常に北朝鮮から影響を受けやすい場所に首都がある国であります。我が国は、北朝鮮との関係では、海一つ隔てて、韓国の、当然に場所が、地理的な場所も違いますし、そこからくる考え方の違いがあって、これは当然であると思います。
 そういった違いがどれぐらい実際に政策を立てていく上で大きいかということですけれども、我が国は、アメリカも交えてですが、日米韓、それからまた日韓も非常に強い連携を持っております。日常ベースでコンタクトをしていて、意思疎通は大変によくできる関係にあります。そういった土壌がありますので、具体的に何かあったときにそれに対して対応が違うことになるかどうかということが問題であるわけでして、それぞれの状況において十分に、そういった共同歩調が必要なときには、共同歩調を取ることができるような合意ができる、そういう協調関係に我が国と韓国とはあるというふうに私は考えています。
○舛添要一君 防衛庁長官にちょっと軍事的な側面についてお伺いしますけれども、このここ数週間のいろんな発表や北朝鮮のステートメントを聞いていますと、具体的にどれぐらいの核爆弾を持っているのか。それから、ウラン濃縮型の、いわゆる広島型の爆弾をやっているということを言ったんですけれども、当然これは、再処理ということならプルトニウム型やっているということでしょうし、それは元々我々が、私なんかは三つから五つぐらい持っているんじゃないかと十年ぐらい前から申し上げておりました。それはプルトニウム型を念頭に置いているわけですけれども、最近また、弾道ミサイル、核弾頭の小型化、特にプルトニウムだと思いますけれども、そういうことも報じられている。
 具体的にどれぐらいの能力を、核ミサイルを、核弾頭を装てんして日本に対してミサイル攻撃するときには本当にどれぐらいの能力を持っておるのか、そういうアセスメントの上に防衛政策を立案しないといけないと思いますけれども、それらの点について防衛庁としてはどういうふうに把握、判断なさっていますか。
○国務大臣(石破茂君) 情報の細部といいますか、細かいことにつきましては防衛局長から答弁をいたさせますが。
 私は、排除できないという言い方をしております。つまり、持ってないんだと。それは、小型化したかどうか、ミサイルに積めるほど小型化したかどうかということについて、本当に確証はありません、正直申し上げて。だれも見たわけじゃないから分からないというのが本当のことだと思います。
 ただ、ないと思って政策を組み立てて、実はありましたでは、これはもうどうにもこうにもなりません。あると思ってありませんでしたであれば、それはまだよいのですけれども、ないと思って実はありましたということではどうにもならない。それは、あるというふうな断言はできません。しかし、その可能性が排除できないという以上、例えばミサイル防衛にいたしましても、国民保護法制にいたしましても、そういうような観点から政府の中でも議論をしていかねばなりませんし、防衛庁としても政策を立案する責任があると、かように考えております。
 情報につきましては、防衛局長からお答えを申し上げます。
○政府参考人(守屋武昌君) 北朝鮮の弾道ミサイルとか核開発の状況についてでございますが、各国ともこの情報の収集、分析に一生懸命やっているところでございますが、御承知のとおり、この国は極めて閉鎖的な体制を取っておりますので、世界各国の軍事分析家としまして、断定的なことを申し上げることはできないというのが現状でございます。
 しかしながら、一連の北朝鮮の発言や行動を考えれば、核兵器計画が相当に進んでいる可能性を排除することができない、それから弾道ミサイルに搭載する努力もしていることも排除できないと考えておりまして、防衛庁としては重大な関心を持ってその動向を注目していると、こういう現状でございます。
○舛添要一君 そこで、今のような軍事情勢も含めた上で、外務大臣、最後に、日本の今後の対応、今もう既におっしゃいましたけれども、一つは、国連の安保理をどういうふうに絡ませるのかと、このことについて日本外務省としてはどういうふうにお考えか。それから、先ほど私申し上げましたけれども、最後は要するに北朝鮮はもうアメリカしか相手にしない、これまでもそうだった。だけど、そこを中国、我が国、韓国、できればロシア、こういうことを入れて五か国、六か国の協議というマルチの場に持っていくという、もう一つの場の設定があると思います。これは、早ければ来月にでもそういうことができればいいなと思っていますけれども。
 国連安保理との関係、これはプラス、マイナスあると思います。それから、バイかマルチか、そういう面について、今後、対北朝鮮政策においてこういうような日本外交を川口外務大臣としては展開していくんだという、展開していくんだという、その方針を示していただければ有り難いと思います。
○国務大臣(川口順子君) 我が国の北朝鮮に対する政策の基本的な考え方につきましては、これは前からも申し上げておりますように、日朝平壌宣言に従って核問題あるいは拉致問題を含む諸懸案を解決をして国交正常化を実現をしていく、これが北朝鮮にとって利益であるということを北朝鮮に理解をさせるということが重要であるというふうに考えております。北朝鮮の言動、いろいろございますけれども、それに対しては冷静に対応をしていくことが重要であると考えています。
 それで、安保理の話と多国間協議の話と二つおっしゃられましたけれども、多国間協議の話について言えば、中国の、中朝の会談がありまして、今の時点で、次回いつ協議が開かれるかということについて具体的に申し上げるということは困難であります。それから安保理については、これは安保理が正に決めることでありますけれども、今、多国間の協議をやっていくためにいろいろな外交努力が行われているわけであります。どのような対応を安保理としてするということになるか、これはよく分かりませんけれども、慎重にやっていくという、タイミングという意味では慎重にやっていくことが重要であると考えます。
○舛添要一君 これから秋に向けて非常に重要な外交日程がメジロ押しでありますし、特に平壌宣言から一周年を迎える九月十七日、しかし、その三日後には自民党総裁選というような予定も入ってきそうですし、外交というのは、国内の政局がどうであれ、というのは世界はそんなことに関係なく動いていますから、粛々とちゃんと外交の継続性を守ってやっていただくこと、それから防衛庁に対してはしっかりした情報を取っていただくこと、これはイラク含めてそうですけれども、そういうことで誤りないようにこの国を導いていただきたいと、そういうことを要望しまして、終わります。
 ありがとうございました。


2003/07/17

戻るホームイラク目次