2003年7月10日

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156 参議院・外交防衛委員会−(3)

イラク復興支援特別措置法案について
質問者=小泉親司(共産)


平成十五年七月十日(木曜日) 

○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。
 イラク特措法案について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、イラク戦争の最大の要因となりました大量破壊兵器の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 小泉総理大臣は繰り返しイラクは大量破壊兵器を保有してきたということを断定してまいりました。この問題について、じゃ断定した根拠は何かと、こういうふうに問われると、何かフセインがいないことは存在を否定することにはならないとかいういわゆる詭弁を使って、昨日も同じような詭弁を弄して、私が詭弁だとやじりましたら、詭弁じゃないと私に答弁をいたしましたけれども、こういうふうなことを使って私はごまかすのは非常に大きな問題だと思います。私は、この大量破壊兵器がきちんと発見をされ、それが廃棄をされること、ここがやはり戦争の大義上、私は絶対にこれはあいまいにしてはならないというふうに思います。
 先ほども、この点について同僚委員から議論があって、福田官房長官は何か、支持をしたので支持は撤回できないんだというような御答弁でありましたが、私はアメリカのイラクの戦争は不法な戦争だと思っておりますが、政府は正当だと言っている。私はたとえイラクでの戦争を正当だというふうに主張されている方でも、私は大量破壊兵器が発見され、これが廃棄をされるということがないと、これ私は戦争の大義はないというふうに思いますが、まずこの点、官房長官にお尋ねをしたいと思います。

○国務大臣(福田康夫君) 大量破壊兵器があったかないかということ、これは今調査している段階ですから、それはその調査を見ればいいんじゃないでしょうか。
 しかし、武力行使をしたことについて、その武力行使をするという決断をした段階において大量破壊兵器があるという前提は当然あったんですね。その上でそういう行動をしたわけでありますし、そしてまた、その大量破壊兵器があるということについては、国際機関もそれを承認し、そしてまた国連もそのための決議も出していると、こういうことからも明らかなことだというふうに思っております。

○小泉親司君 それじゃ、見付からなくても戦争の大義は成立するということなんですか。

○国務大臣(福田康夫君) ちょっと、何ですか。

○小泉親司君 いや、ちゃんと聞いていてくださいよ。

○国務大臣(福田康夫君) いや、ちょっとこっちで話していたから。

○小泉親司君 外務大臣に教えてもらわなくても私は答えられる質問だと思いますので。じゃ、戦争の、大量破壊兵器が見付からなくても戦争の大義は成立するということなのかと。

○国務大臣(福田康夫君) 大義というのは具体的にどういう意味合いになるか分かりませんけれども、しかし、武力行使をするという背景に大量破壊兵器があった、若しくは大量破壊兵器の疑惑もたくさんあったと、こういうことによるものだということだけは間違いありません。

○小泉親司君 私は、この問題についてはやはりきちんと、疑惑だとかいうような表現で私はごまかさないで、保有していたとあなた方は言っていたわけですから、この点、やはりきちんと明確に私はさせる必要があると思います。
 そこで、今回の法案は、原案段階で大量破壊兵器の捜索、処理、言葉は正確には、法案化されておりませんでしたので、要項として入れるのは、そうしたことが入っていたと。これが削除されたわけですが、なぜ、これ削除したんですか。

○国務大臣(福田康夫君) まず第一に、安保理決議一四八三に基づいて今回の自衛隊のイラク派遣ということが可能になるわけでありますけれども、このイラクの大量破壊兵器の処理について、一四八三ではこれは国連加盟国に要請をしておりません。したがいまして、現時点において我が国として何らかの具体的な措置を想定しているというわけではありません。
 この法律を出すに当たりまして、与党との調整過程において、いろいろな御議論を踏まえまして、この大量破壊兵器処理活動を法案に盛り込まないと、こういうようにしたわけでございます。

○小泉親司君 国連決議、安保理決議一四八三というのは、まず冒頭に、イラクの領土の保全を始めとすることを明記すると同時に、「大量破壊兵器の武装解除及び最終的には武装解除を確認することの重要性を再確認し、」というふうに言っているんじゃないんですか。なぜ、これがその加盟国に課せられていないんですか。安保理決議ですから当然拘束されているので、大量破壊兵器の廃棄がないなんという、そんなことになるわけがないじゃないんですか。

○国務大臣(川口順子君) 今、委員が引かれたところは安保理決議の前文であるわけですね。それで、大量破壊兵器の武装、主文のところでは、これは比較していただきますと、例えば安定及び安全の状態に貢献するように訴える、それから人道上その他の要請を満たすよう支援するように要請するということで、加盟国に対して要請が行われているということであります。
 それで、大量破壊兵器の武装解除については、これは、イラクがその武装解除の義務を果たさなければならないことを再確認をしということが主文の十一で書かれていて、それをイギリス及びアメリカに対して、この点についてのその活動について理事会に報告をするように慫慂をしているというふうに書いてあって、大量破壊兵器のその武装解除について、それぞれの加盟国にそれを、例えば捜索するように、例えばそれを行うように訴える、あるいはそれを要請をするというような書かれ方をしていないという、そういうことです。

○小泉親司君 CPAも大量破壊兵器の捜索の任務を持っているんじゃないんですか。

○国務大臣(川口順子君) それについて、今ちょっと正確にCPAのその仕事の範囲、これはまあ抽象的に書かれているわけですけれども、その中に具体的に大量破壊兵器の捜索を行うということが書かれているかどうかは確認をいたします。

○小泉親司君 重要なことですから是非確認していただきたいと思いますが、外務大臣がよく主文で、答弁をされている、この統合された司令部、当局、つまりCPA、このCPAの任務として、アメリカ合衆国とイギリスの国連大使が安全保障理事会あて文書の中でどういうことをCPAが行うかということが書いてありますが、その中に明確に大量破壊兵器の廃棄と、捜索、廃棄ということが明記されているんじゃないんですか。

○国務大臣(川口順子君) 確認をいたします。

○小泉親司君 私、確認していただかないと先へ進めないんだけれども。何でそんなことが分からないんですか。これは私が外務省のいただいた資料を読んでいるだけで、別にどこかから持ってきたものではありませんので、この点は、私、なぜそんな外務省がそんな基本的なことが分からないのか。
 しかも、官房長官の答弁で何と言っておられるかというと、大量破壊兵器の廃棄は今度の法案の中に国連決議にないから削除したんだと言っておられる。国連決議にちゃんと書いてあるじゃないですか、大量破壊兵器の廃棄というのは。それだったら、何でこれをやったのか。これ官房長官の答弁だっておかしいですよ、これ。明確にこれはおかしい。
 この点、ちょっと大至急確認してください。
 ちょっと速記止めてください。

○委員長(松村龍二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(松村龍二君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(川口順子君) いずれにいたしましても、そのCPAのマンデートに入っているかどうかは今確認中ですけれども、明らかなことは、先ほど申しましたように、加盟国、すなわち日本のような国に対してそれは要請をされていないと、そういうことでございます。

○小泉親司君 私は、この五月八日付けの外務省からいただいた米英の安保理議長あての書簡というのが書いてあります。この書簡というのは、非常に詳しく書いてあるのは、CPAの任務がどういう性格を持ったものなのか、この点について具体的にアメリカとイギリスの占領軍がどういうことをやろうとしているのかということを安保理議長に対して出した書簡なんです。
 それは、先ほども読み上げましたように、アメリカ合衆国及びイギリス、これはちょっとやめますが、安全保障理事会議長あて二〇〇三年五月八日付け書簡に留意するとともに、統合された司令部の下にある占領国としてのこれらの諸国の国際関係法云々かんぬんと、つまりこれが基本になっているわけですよ。その基本になっている中に、これ何て書いてあるかというと、CPAの三つの任務として、一時的な統治権力を行使すること、必要なら安全の提供を行うこと。二、人道援助の提供を行うこと。三、大量破壊兵器の廃棄だと。こういうことがちゃんと明記されている。これCPAの任務として、いわゆる占領軍と──ちょっといいですよ、占領軍の任務としてやっているわけで、ちょっとそれは明確じゃないので次に進みます、仕方ないから進みますが。
 米英司令部は、じゃ、記者会見で大量破壊兵器の現状はどうかという質問を何遍も何遍もやられているんです。私この間ずっと、アメリカ中央軍及びアメリカ国防総省がやっているブリーフィングをずっと毎日毎日読んでおりますけれども、その読んだ中で、繰り返しやっているときに米英占領軍は何と言っているかというと、現在は文書の分析だけやっているんでこれ以上具体的なコメントはできないんだと。つまり、全く捜索活動が、さっき官房長官がお話しになったように、まともにやられていない。
 これは私は、CPAの任務としても非常に重大な問題で、現実問題として、この大量破壊兵器の問題については米英軍もやらない。だから、自衛隊もこれ削除しましたから、自衛隊は大量破壊兵器の捜索活動については支援活動をしないわけですよね、そうですね。ですから、実際にどこが明確にこの大量破壊兵器の捜索、廃棄、こういう問題について責任をするのか、私非常に不明確だと。だから、そこを私指摘したい。
 私、この点では非常に重要だと思うのは、今、国連のUNMOVIC、つまり査察委員会、こういうものの活動を私は早急に再開すべきだと思うんですよ。ところが、現実に国連安保理でも、私ちょうど国連のUNMOVICとIAEAのホームページを見ました。このホームページを皆さんに御紹介しますと、UNMOVICのブリクス委員長は、四月二十二日ですが、イラク戦争後初めて安保理(非公開協議)で発言し、国連査察団の復帰の必要性を訴えた。これが六月二十二日ですか、ちょっと日にちは正確じゃありませんが、同じ発言があります。それから、国連原子力委員会、IAEAは、安保理非公式会合において、同機関が早急にイラクでの活動を再開すべきだとし、活動復帰の指示を待っているとの旨を発言した。
 ところが、なかなかUNMOVICもIAEAも査察に入らないんですよ。事実上、米英軍が、私は邪魔しているとは言わないけれども、事実上これを入れないような状態に追い込んでいるんじゃないかと。この点を私は、この大量破壊兵器の捜索、廃棄と、これをしっかりとやはり戦争の大義ということを、政府がしっかりと処置を取る上でも、私は米英軍に対して、アメリカとイギリスに対して、このUNMOVICのいわゆる活動をイラクにおいて直ちに再開できるような条件、環境を直ちに整えるべきだと、こういうことを日本政府として私要求すべきだと思いますが、官房長官、いかがですか。この点、政府としてそういうことをすべきだと思います。

○国務大臣(川口順子君) 先ほどから伺っていますと、委員の御質問の焦点がずれていっているんですが、まず先ほどの御質問にお答えをさせていただきたいんですけれども、この法案から大量破壊兵器の部分を除いたことということと、CPAがその権限としていかに大量破壊兵器のことをマンデートとして書いているかということは、全然これは別な問題であるということをまずきちんと申し上げたいと思います。
 加盟国は、日本は決議によって大量破壊兵器の捜索をすることを要請されていないということであります。
 それから、CPA、すなわち英国、米国で、豪州もこれにかかわって今捜索をやっていますけれども、これはその決議の十一、主文の十一、一四八三の十一によりまして、英米、この点に対して、大量破壊兵器の捜索、武装解除の問題についての活動につき理事会に報告をするようにということが慫慂されているわけです。したがって、英米等はこれに基づいて報告を恐らくすることになるだろうというふうに思われます。そういう意味でこれをやっているということであります。
 現実問題として、先ほど分析だけをしているというふうにおっしゃいましたけれども、私どもが承知をしているところでは、千人規模の人を送り込んで分析をするということももちろんやっていますし、実際に捜索ということもやっているということです。
 それから、IAEAとUNMOVICが戻るということについては、これはこの主文の十一で同じく、この権限を再検討するという理事会の意思を強調するというふうに書かれております。今、UNMOVIC、それからIAEAがイラクに査察に入るということのオーソライゼーションは決議によってなされていないということであります。

○小泉親司君 私の質問がずれているんじゃなくて、外務大臣の質問がずらしているんだと思います。
 私が言っているのは、CPAの任務に書いてありながら、CPAは大量破壊兵器の捜索、廃棄活動に非常に不熱心だと。だから、私は、何よりも大事なのは、今まで国連が、UNMOVICがやってきたことが戦争によって中断された。しかし、私は、先ほど官房長官もお認めになったように、アメリカが幾ら発見してもこれは疑問だと言う方がおられるかもしれない、私は思います。疑問だと思います。
 だから、国連の機関が入るべきだと官房長官がおっしゃったんですよ。だから、そうであるならば、私は正確にずらさないで答えていただきたいと思いますが、日本政府としてアメリカとイギリスに対して、とりわけ、当然のこととして国連安保理に要求することはもちろんですが、アメリカとイギリスが現実に今イラクを施政下に、事実上の施政下に置いているわけですから、この国々に対してUNMOVICやIAEAの査察を再開すべきだと日本政府としてはっきり言うのかと、この点を明確に外務大臣、これくらいは私答えていただかないと、日本外交、これは失墜しますよ。

○国務大臣(川口順子君) まず、現状が、そういう今おっしゃったような形でアメリカ、イギリス等が中心となってこれを捜索をしている、そしてそれは国連の決議によって報告を国連安保理にしなさいということが慫慂されているという状況でやっているわけです。
 それで、委員がさっきおっしゃった点について確認をしましたところ、米英が安保理に送った書簡の中で、CPAの業務として必要に応じ大量破壊兵器を廃棄するということが書いてあるということであるそうです。したがいまして、英米としてはこれに取り組んでいるということであるかと思います。
 我が国の立場というのは、先ほど官房長官もおっしゃいましたように、そういった取組で、最終的な段階では、これの廃棄、武装解除についての確認、これを国連等の国際機関がやることが望ましいというふうに考えております。それは今までも発言をしているということであります。
 今、現状は、先ほど申し上げたような形で、CPAを中心として大量破壊兵器の捜索が行われているという状況であるということで、この現実を踏まえて考えれば、我が国の立場である最終的な廃棄の確認ということを国際的な関与、国連等ですね、国際的な関与をやるということが望ましいというのが我が国の立場であります。

○小泉親司君 私、長い割には核心をついていないと。つまり、私が言っている核心は、再開するのか、それを再開せよということを何でアメリカとイギリス政府に言うぐらいのことができないんですか。ちょっと官房長官ね、そこを明確にしてくださいよ。そこは一番大事な問題だと私は思いますよ。どうですか、官房長官。外務大臣、いや、外務大臣要らない。そんな長いこと言ったって核心ないんですから、あなた。駄目だよ、そんな時間、膨大なやつは。はっきりさせてください。おかしいよ、そんなの。

○国務大臣(川口順子君) ですから、先ほど来申し上げているように、焦点をずらすことなく申し上げているように、現実的に今CPAといいますか、英米で捜索がなされていて、それを国連の安保理に報告をするということが慫慂されている状況にあるわけです。これが現実であるわけです。
 したがって、我が国の考え方としては、委員がおっしゃったように、初めからUNMOVIC等々が入って捜索をするということを今要請するということを言っているわけではなくて、我が国の立場というのは、現実的に考えれば、最終的な検証には国連等の何らかの国際的な関与があるということが重要であるということが我が国の立場、当面のいろいろなことを考えれば、探索とか、それから廃棄とか、そういうことを、現地の安全状況もありますから、連合軍が、コーリションがやることが現実的であるということが我が国の考え方であります。

○小泉親司君 いや、私は外務大臣の答弁としては大変情けないと思います。こんな戦争の大義にかかわることを明確にできないと、私は米英軍が邪魔しているということを言いましたけれども、これは日本の外務大臣もこの大量破壊兵器の捜索、特にUNMOVICの活動を再開するということに対して非常に消極的だということが私よく分かりました。この点では、私は、引き続きこの再開を私は求めるべきだと、日本政府として。この点、ちょっともう長い時間の答弁で非常に核心がつかない答弁でございましたので、私は次に移りたいと思います。
 次に、CPA、先ほどもお話ししました占領軍の問題について、占領軍と自衛隊の関係、自衛隊とイラク国民の関係、派遣される自衛隊とイラク国民の関係、この点について私少しお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回の法案は、自衛隊をアメリカとイギリスの占領下に派遣するということを主たる内容にするものであります。問題は、米英両軍と自衛隊の関係はどうなるのか、自衛隊の国際法上の地位はどのようなものなのか、この点について幾つか質問をいたします。
 まず、国連決議一四八三に明記された当局、英語ではオーソリティーとなっておりますが、占領機構であるこれはCPAの組織図であります。(図表掲示)これは、こちらは私が勝手に訳した日本文で、こちらは英文で、これはアメリカのブッシュ政権に影響のあります外交問題評議会がホームページに掲載しているものであります。これは与党調査団の報告書の組織図とほぼ同じでございますから、極めて私は正確なもの、与党のものが不正確だと言っているわけじゃありませんが、正確なものだというふうに思います。これは外務大臣がもう既に、衆議院でも議論になっておりますので、この組織機構についてはお認めになっておられると思います。

○国務大臣(川口順子君) 認めていないですよ。

○小泉親司君 いや、まあいいや。
 それで、私は、このCPAの組織図がこれありますが、この組織図をちょっと御説明しますと、いわゆるCPAがこの枠であります。ちょっと小さくて悪いですが、この枠の中に軍事部門と非軍事部門が存在している。軍事部門は、第七統合軍部隊がいわゆる中央軍に指揮をされる関係でここに存在していると。この軍事部門と非軍事部門が存在し、軍事部門は主にいわゆる治安活動、戦闘活動を行っている。非軍事部門は主に人道復興支援活動を行っている。
 自衛隊は、人道復興支援活動と治安維持活動を行うということになっていると今度の法案には書いてありますが、この自衛隊はこのCPAのこの図でいきますと、どの部門に入るんですか。

○国務大臣(川口順子君) まず、そのお示しになられた図表、それは確かに前、別な委員から御提示ありまして、そのときに私が申し上げましたのは、これのソースは外交評議会、外交問題評議会ということになっていまして、そのホームページのその更なるソースは国防省というふうに書いてありました。それで、国防省自体がCPAの機構図を発表しているということはないわけでございまして、外交問題評議会が様々な国防省の多分情報の、様々な情報のピースを継ぎ足して出したものが、作ったものがその表であろうというふうに思います。
 それで、そもそもが、例えばその表の中にORHAということが入っているわけですけれども、例えばこのORHAというのは既に存在をしていないわけですね。それからも分かりますように、そのCPAの組織自体がこれは現実のニーズにこたえて柔軟に変わっていくということでありますから、それが今の時点で正しいということを我が方として確認をすることはできない。違う、既に現実と違う部分も入っているという、そういう図であります。
 そもそも日本の組織ではありませんから、我が国として有権的に言うことができないということはありますし、それから現実問題として、その組織自体が今の時点でもなお流動的に動いているということであるというふうに思います。
 それで、自衛隊でございますけれども、いずれにしてもこれは、これは私が御答弁申し上げることではないかもしれませんが、今まで官房長官や防衛庁長官がお答えになっていらっしゃいますように、派遣をしたとしても、この法案に基づいて派遣をしたとしても、米英軍の指揮下に入るということではないということははっきりと今までもおっしゃってきていらっしゃるわけです。
 それから、我が国が持っている情報から判断をしましても、イラクに軍隊を派遣をしている各国の、ほかの国の代表が米英の指揮下に入っていると、そういうことでもないと、これは米国政府からも聞いております。

○小泉親司君 この図を否定されたわけですが、先ほども言いましたように与党調査団と同じ資料ですから、与党調査団のやつも違うというような趣旨を……(「違う」と呼ぶ者あり)違う、どういうふうに違います。同じですよ。言葉が違うだけですよ。(「上の方はないよ」と呼ぶ者あり)いや、上の方はないのは、そんなの、そんなことは分かっていますよ。下の方は同じじゃないですか、CPAは。(発言する者あり)同じですよ。何を言っているんだよ、同じだよ。いや、まあいいです、時間がないから。
 私は、その問題は、CPAの問題については、私、この点については外務大臣がこれまでも議論してきたことで、いわゆる政府は占領機構のCPAと自衛隊の指揮命令の関係はないんだ、協力関係だけなんだと、こう言っておられる。私は、アメリカ、米英占領軍のいわゆるCPAと、米英占領軍というとあれですからCPAというふうにちょっとしますと、CPAの国際法上の地位については、例えばこれが合法か非合法かという点については確かに議論がある。
 ただ、政府は合法だと言っておりますが、私は合法とも非合法とも今度の国連決議の中では規定されていないというふうに考えておりますが、たとえ占領軍が合法、非合法にかかわらず、現在イラクにおいてイラクとイラク国民を事実上管理するといいますか、そういうことが国連決議で私、認められているというふうに思います。
 そこでお聞きしますが、政府は、自衛隊は占領軍に加わらないんだ、協力だということを説明しておられますが、それじゃ派遣される自衛隊というのはどのような国際法上の法的地位を持つんですか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど別な委員の方の御質問に対してお答えが内閣官房からありましたけれども、国際法上、我が国の組織、自衛隊、この場合自衛隊ですけれども、国の組織ですね、それが外国に行くということのためには、国際法上同意が必要であるということであります。これについて法案にも書かれていますし、この同意を今の状況でおいてはCPAから得るということになります。
 それをすることによって、国際法上、自衛隊が現地で活動をするということについては何ら問題は生じないということであります。

○小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、問題があるか問題がないかということを聞いているんじゃなくて、それじゃ、自衛隊はCPAの同意……(発言する者あり)ちょっと、静かにしてよ。

○委員長(松村龍二君) 静粛にお願いします。

○小泉親司君 CPAの同意ということを取っていきますが、じゃ、その同意によって自衛隊は国際法上どういう権能を持つんですか。

○国務大臣(川口順子君) これは私がお答えすることではないかもしれませんけれども、いずれにしても、この法案の範囲での活動をするわけでございまして、そこの何を、いかなる措置を現地で行うかということについて当局等から同意を得て活動をするということであります。

○小泉親司君 私ね、そんないい加減なことで主権国の軍隊を送るなんということは、これは問題だと思いますよ。
 いいですか。じゃ、例えば軍隊派遣については、小泉総理大臣もお認めになっておりますように、軍隊派遣を国連決議は要請しているわけじゃありません。日本の自衛隊派遣というのは、政府の自主的な行為だと言っております。それは政府が言っていること。それから、イラク政府の同意はありません。となると、CPAが同意を受けるわけですね。じゃ、CPAの同意によってそれが、どういう自衛隊の法的地位が発生するのか。CPAの同意を受ける場合は、例えば一般旅行者もNGOが入るときも一応CPAの同意を受けるんでしょう。そうなってくるけれども、自衛隊という主権国の軍隊が同意ということになって、今度はイラク国民との関係が当然のこととして地上軍が入ってくれば出てくる。そのときにどういう法的行為が起こるのかという権限が明記されなかったら、自衛隊は実際にイラクの領土内でイラク国民との関係での法的地位が発生していない限り活動できないじゃないですか。そこを明確にすべきなんじゃないですか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほどから申し上げていますように、国際法上、政府の機関、自衛隊の部隊等ですけれども、これがよその国の主権下にある領土、よその国に行って活動するときには同意が必要である。そのときにどのような活動をするかということについて同意を得るということであります。どのような活動をするかというその中身については、当然にこの法案に基づいてやるわけです。
 それで、同意が得られた。この場合、当局、相手は当局である、CPAであるわけでして、そこから得られた場合、それで国際法上全く問題はないわけでして、イラクの国民との関係というふうにおっしゃいますけれども、そこは当局との間の同意を得て、そこで整理がされているわけですから、イラク国民との間で何らかの別途の手続を自衛隊が取る必要というのは全くないということです。

○小泉親司君 じゃ、国連決議によりますと、当局に対して課せられている仕事というのは、領土の実効的な統治を通じて、占領軍に課せられているのはイラク国民の福祉を増進することの権限だと、これは小泉総理大臣が私の本会議質問で答弁されていることであります。ということは、自衛隊は、CPA、米英占領軍の同意を受けたことによって、イラクの領土の実効的な統治を通じてイラク国民の福祉を増進するという仕事を携わると、そういう権限を持つんですか。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど来申し上げていますように、自衛隊のやる仕事というのはこの法案の範囲内で行うということです。

○小泉親司君 だって、それはおかしいのは、CPAの任務は、先ほど言いましたように、CPAの仕事と法案の仕事というのはダブっているんですよ、外務大臣。ダブっているじゃないですか。人道復興支援活動と治安維持の支援活動なんだからダブっているじゃないですか。同じことをやっているじゃないですか。現実問題としてどこが違うんですか。
 いいですか。それじゃ、私もう少し具体的に聞きますが、川口外務大臣はもう既にこの問題については答弁をされておる。どういうふうに言っているかというと、当局は、つまり占領軍であるが、国連安保理決議一四八三によって合法的な関係をイラク国民との間で持っている。その姿勢を実行しているわけでして、我が国はその当局の同意を得て入るわけです。したがって、イラク国民の抵抗、これはイラク国民が例えば給料の支払などで占領軍に対してデモをやりました。そのときに占領軍はイラク国民に対して銃口を向けました。二名が、発砲して二名がこの事件では亡くなりました。そういうふうなイラク国民の抵抗、それは事実上全くないということを申し上げるのは難しいかもしれませんが、法的にはその抵抗は合法的ではないと、こういうふうに答弁されました。
 ということは、いわゆる自衛隊に対するイラク国民の抵抗に合法性はない、つまり非合法であるということでありますが、自衛隊が例えばイラク国民の抵抗が起きた、こういう問題についてこれを排除するということも、法的に自衛隊の、自衛隊は国際法上の権能といいますか、可能性、こういうものはあるんですか。

○国務大臣(川口順子君) いろいろな、少し混乱があるように思いますけれども、先ほど来申し上げていますのは、自衛隊は、この法案に明記されていますように、イラクの中で活動するに当たって、そのたしか対応措置について何を、入ること自体これは国際法上同意が必要であって、入って、そこで何をするかという対応措置について同意を得るわけですね。その対応措置が何かということは、これはこの法案の範囲内での対応措置でしかあり得ない。それ以上のことをやるということはあり得ないわけです。
 それから、先ほど合法性云々ということの議論というのは、これは私の今記憶では、今引用なさったことについては、ジュネーブ条約の適用の問題について議論をしていたときの話ではなかったかという記憶がございますけれども、いずれにしても……

○小泉親司君 違います。

○国務大臣(川口順子君) 失礼しました。
 自衛隊が現地でやるということについての対応措置の中身は法案の範囲内であり、それから、ですから、具体的な個別個別のことがそれで読めるかどうかということは、法案のそれぞれのその個別個別に応じ、それが法案で読めるかどうかということで判断をしていくということであるわけでして、CPAがやっていること全部を自衛隊がやるということでイラクの中に行くわけでは全くないということです。

○小泉親司君 私はCPAの全部と言っておりませんので、CPAの一部を自衛隊がこれは仕事として担うことになるんでしょう。法的にそういうふうなことになる。
 例えば、じゃ、例えばPKOのときに、これは指揮があるかどうかという議論がありました。そのときには私は指揮があると言ったんだけれども、政府の方はこれは指図であると言った。しかし、指揮があるか指図かというのは別にしまして、PKOの場合には、停戦合意があり、同意があり、中立性が保たれて、事実上国連という旗の下で、国連のお墨付きの下で行っているんですよ。ステータスは青い帽子をかぶり、国連の旗の下にいるわけです。
 ところが、今度の場合については、CPOについては指揮命令権は存在しないけれども、いわゆる協力の関係だと。じゃ、協力の関係というのはどういうふうに自衛隊がその法的立場があるのかと、ここが一番大きな問題で、これ防衛庁長官は、いわゆる日の丸を持っていくと昨日もおっしゃったから、つまりそういうことであると思いますが、じゃ、例えば今度の問題で自衛隊がイラクに行きますと、今度はイラク国民と自衛隊の関係ということが発生するわけですね。これは発生しないと幾ら言ったとしても、客観的にはイラク国民と自衛隊の関係が発生する。
 川口外務大臣は、自衛隊に対するイラク国民の抵抗があるということをお認めになっている。じゃ、ではイラク国民との関係では、占領軍とイラク国民との関係では、先ほど言いましたように、いわゆるイラク国民の抵抗に対して米英がこれを、抵抗を排除するということになった、した、現実にやっている。それじゃ、自衛隊に対するイラク国民、自衛隊とイラク国民との関係では、これは占領軍とイラク国民との関係と自衛隊とイラク国民との関係というのはこれは変わりがないんですか、それとも違いがあるんですか。そこをお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) これは総理も何回も言っていらっしゃると思いますけれども、日本の自衛隊は占領軍としてイラクに行くわけでは全くないわけです。そういうことではない。ですから、そのCPAの同意を得て入るということですけれども、それは入ることについての同意。
 それで我が国が、我が国として、自衛隊としてイラクの復興人道支援、あるいはその法律に書いてあるような仕事をするために、そういった対応措置を取ることについての同意であって、CPAがやることを我が国の自衛隊がやるわけでもなければ占領軍として入るわけでもない。我が国の自衛隊というのは、日本の自衛隊として復興人道支援、それから安全確保支援を行うことをやりに行くためであって、事実上イラクの人たちと接触があるでしょうということは申し上げました。それは事実上の話であって、国際法の仕組みとして関係は全く、そこは関係はないわけです。
 国際法上の仕組みとしては、我が国の自衛隊は先ほど言った、他国の領土に入ることについて、政府機関として入るということについて同意を得、そこでどのような対応措置を取るかということについて同意を得る、それで国際法上の仕組みの問題としては完結をしているわけであって、実際にイラクの人と触れ合って話をする、あるいは何かある、触れ合いがあるでしょう。そういった、その事実上の関係、それは事実上の問題であって、国際法上の問題とは全く別の話であるということです。国際法上は同意を得た時点で完結をしているということです。

○小泉親司君 大分、外務大臣は混乱してきている。なぜ混乱しているかといいますと、それじゃ、自衛隊は一般旅行者と同じなんですか、自衛隊の派遣というのは。いわゆる外交官が行っているのと同じなんですか。違うでしょう。これは、主権国家の独立と平和を守る軍隊がいわゆる主権国家の主権の行使として事実上行くんでしょう、軍隊なんだから。そのときに自衛隊が、自衛隊員がその権利を持たない限り、どうやってそれじゃイラク国民との関係で活動をするんですか。
 私が言っているのは、イラク国民と仲良くすると、これはそういうことになるでしょう。そういうことを言っているんじゃなくて、現実に自衛隊の活動はCPAの仕事を全部担うわけじゃないけれども、少なくともCPAがやっている仕事を支援する仕事をするわけですから、そのときにイラク国民からどうやって見られるかといえば、当然これは法的、実態的にもこれはイラク国民から見ればCPAの一部になると。その一部を担うことになることは当たり前なわけで、これがじゃ、一部にならないというふうな根拠というのは一体どこにあるんですか。
 同意を得て入るという意味を私はさっきお聞きしましたが、そうなれば、当然のこととしてこれは一般旅行者とは違う。いわゆる主権国の軍隊として当然のこととして、占領軍の全部とは言わないけれども、少なくとも支援活動という問題ではその一部を担うという権能と地位を持たなかったら何にもできないんじゃないんですか。その点いかがですか、それは。外務大臣。

○国務大臣(川口順子君) どのように御説明をしたら混乱をほどくことができるだろうかというふうに悩んでおりますけれども、我が国の自衛隊は人道復興支援を例えばしに行きます。それで、結果的にはたまたま我が国の行う人道復興支援はCPAの行う人道復興支援と人道復興支援という言葉においては同じであるかもしれない。ただ、我が国はCPAの支援をしに行くわけではないんです。我が国の人道復興支援というのはイラクの国民の人道復興支援をやりに行くわけであって、それを、我が国の自衛隊は日本政府の機関ですから、日本政府の機関が外国の領土の中に入っていくというときに、国際法上、領土主権との関係で同意を得なければいけない。同意を得れば、国際法上の問題はそこで解決をするということを申し上げているわけです。
 ですから、その同意というのが先ほど来申し上げている同意であって、自衛隊が入るということ、そこでどういう対応措置を取りますということについてCPAの同意を得る、これはたまたま今はCPAである。これがもしよその国であるということを考えたらば、それはその国の政府であるということであって、国際法上それが必要であるということを申し上げているわけです。
 それで、たまたま中でやる仕事はカテゴリーとしてはCPAがやっている仕事と同じ部分もあるかもしれない。それは、だけれども、結果論であって、CPAのやっている仕事自体を支援しに行くわけではないということを先ほど来申し上げております。

○小泉親司君 私、先ほどこれ機構図を示したのは、実際に今、安全確保支援活動も人道復興支援活動も主な担い手はCPAなんですよ、でしょう。だから、CPAの活動を具体的に支援する、つまりCPAが包括的にアンブレラの下でやっている、これは国連決議でも当局の下に活動するということを言っておりますから、当然のこととして当局の下で活動している。だから、私は、指揮命令がどうだと言って聞いているんじゃないんですよ。現実問題として自衛隊が現実に同意を得て入って、国際法上の地位を獲得するということになれば、当然占領軍の、米英占領軍の一部を担わざるを得ない活動になるんじゃないかと、なるだろうということを言っているんです。そこはどうなんですか。
 いや、例えばですよ、例えば、米軍の抵抗と題する資料が外交問題評議会の、アメリカの、資料の中であります。その中で例えば何と言っているかといえば、イラクのレジスタンス、これは六月三十日付けの報告ですが、イラクのレジスタンスは日増しに組織化され、拡大している多くの兆候を示していると。だれが米軍を攻撃するのかという点については、攻撃者はしばしばイラクにおける連合軍の存在と行動に怒った普通のイラク人を含んでいるように見えるんだと。つまり、普通のイラク人もアメリカの占領政策に反対していると。
 例えば、じゃ、自衛隊に対して、先ほど私これ質問しましたがお答えないので、イラクの国民が自衛隊のいわゆる様々な治安活動の支援、こういう問題に対して抵抗の戦い、抵抗をした、こういう問題については、自衛隊はこれは排除する権限があるんですか、それはどういう権限に基づいてそれはあるんですかということをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) CPAは一四八三によって、何をするということが一四八三に書いてあるわけですが、我が国の自衛隊が行くのは正に同じ一四八三が要請をしているから、我が国として主体的に判断をした結果、自衛隊を送るということが適切だろうという判断があって、今この法案の審議をお願いをしているということでありまして、我が国の自衛隊が行くのは、先ほども申しましたけれども、占領軍あるいは占領当局に協力をするために行くのではなくて、我が国としての判断に基づいて人道支援、人道復興支援ないし安全確保支援をするために行くということであります。そのための国際法上の手続は、同意を得る、当局の同意を得る。この場合、たまたま当局であるということであって、相手国政府、一般的に言えば相手国政府の同意を得て、それで入っていくということになるわけです。それで、それは国際法上の仕組みの話であります。
 それから、我が国は、先ほど言っているように、占領をしに行くわけではないわけです。人道復興支援ないし安全確保支援のために行く。自衛隊としてやることについていえば、それは法律の範囲内でやる、武力行使をしに行くわけではないわけです。これも総理が何回もおっしゃっているとおりであります。

○小泉親司君 CPAに協力するんじゃないんですか。あなた、協力するために行くんじゃないと言ったけれども、協力しないんですか。

○国務大臣(川口順子君) 一四八三の要請を得て、我が国としてはイラクの安保理の決議の要請をしているようなことのために行く。CPAも同じことをやっている。CPAと我が国は緊密に連携をし、調整をしながらやっていくということであります。

○小泉親司君 私、今回のイラクの事態というのは、これまでの歴史の上でも極めて特殊な状況なんだと。
 占領と言いながら、実際にはイラク政府との間は御承知のとおり停戦合意がないと。防衛庁長官も衆議院でお認めになっているように、法的には戦争状態だとこれは言っておられる。となると、これまでの軍事占領とは性格も実態も違うと。政府は、占領軍には加わらないとか、占領軍の指揮命令は受けないから憲法上の交戦権行使にはなることはないというふうにしておりますが、私はこれは自衛隊を派遣することによって、川口外務大臣も言っておりますが、イラク国民の抵抗を事実上認めて、その法的地位、法的にはその抵抗は合法ではないという答弁をされている。となれば、当然のこととして、イラク国民を排除するということも自衛隊は当然合法的に認められるというふうな論理になると思うんですが、その点は外務大臣、お認めにならないんですか。

○委員長(松村龍二君) 小泉委員、もう一度質問をお願いします。

○小泉親司君 ちょっとね、混乱していて、答弁、私質問しているわけですから、ちょっとね、これはちょっとひどいですよ。(「質問が分かりにくかった」と呼ぶ者あり)じゃ、分かりにくかったんだったら向こうへ言ってください、そんなこと言うんなら。(発言する者あり)そうだよ、そんなこと言うんなら向こうへ言ってください。

○委員長(松村龍二君) 小泉親司君、もう一度質問をお願いします。
 委員長の指名以外の方は発言しないようにお願いします。

○小泉親司君 時間がないんですから、正確に聞いておいてください。
 あなたは、イラク国民の抵抗、これは事実上全くないということを申し上げるのは難しい、つまりイラク国民の抵抗が自衛隊に対してある可能性がある、これは法的にはその抵抗は合法的じゃないんだと、つまり非合法だとおっしゃっているわけですよ。ということは、自衛隊がそれを排除すると、これは先ほども繰り返し私言っているように、そういう可能性というのは非常に高いわけで、そのときに──ちょっと聞いてくださいって。自衛隊が、よろしいですか、自衛隊がそれを排除するということは合法なんですかとお聞きしているんですよ。その点については全然答弁ないじゃないですか、これ、これまでも。基本的な問題についてお聞きしているんですよ。

○国務大臣(川口順子君) 自衛隊がそういう抵抗が事実上あったときに、その可能性は論理的には排除できない、すべて全くないということは言えないという意味で申し上げたわけですけれども、当然に武器使用、要するにその自然権的な権利として自らを守る、これは防衛庁長官が再三再四おっしゃっていらっしゃいますけれども、そういうことを行うということは、これはあり得るわけですね、これは排除できない。それは状況、個別的、個別具体的な状況によって何が起こるかということで、仮に行った人が、行った人が何か突然に襲われたとしたら、身を守るために排除をするということが否定できないかもしれない。
 ただ、申し上げているのは、占領しに行くわけではない、武力行使をしに行くわけではないわけです。人道復興支援、安全確保支援をやるということで行っているわけですから、そういったおっしゃるような抵抗を、どこかでデモがあった、それは排除するということは業務ではない。したがって、再三再四言っていますように、自衛隊がここでやることというのはその法律の範囲内でやるということを先ほど来申し上げてお答えをしているつもりでございます。

○小泉親司君 まあ、要するに排除されていないということを、その武器使用の権限の範囲内でとおっしゃったから、それは排除されていないということだと思いますが、私が言っているのは、日本が、自衛隊が例えば私は人道復興支援だけに参りましたと言ったって、イラク国民から見れば他国の軍隊が来たことになるんですよ。これはお認めになるわけでしょう。そうしたら、当然のこととして、イラク国民との関係が生じるでしょうと。だから、私は、そのイラク国民が抵抗、イラク国民の抵抗として自衛隊を攻撃しないなんという可能性は、私は可能性としては非常に高いし、私はあり得るというふうに思います。だから、そのときにイラク国民が、イラク国民の抵抗に対して自衛隊がこれを排除、それは合法だと外務大臣言っておられるわけですから、当然それは排除するということにならざるを得ないと、こういうふうなことなんでしょう。それ、どうですか。

○国務大臣(石破茂君) 先生のおっしゃっておられる設定がちょっとよく理解できないのですが、要は自衛隊が、例えば給水活動をしていたといたします。浄水活動や給水活動をやっていたとします。それに対して自衛隊出ていけというような、そういうような抵抗運動のようなものがあった、もう自衛隊はもう人道活動しかしていないけれども、それに対して出ていけというようなものがあったとします。それを排除するということ、つまり、それに対して我々は人道的な活動で来ているのだと、したがってそのような妨害はやめてくださいということを要請し、説得しということはございます。
 しかしながら、実力をもって、実力をもってというのは武器をもってという意味でございますが、それを排除するというようなことは当然考えられておりません。それに対して武器を使ってきたというような場合には、何度も申し上げておりますとおり、十七条の範囲内で武器を使用することはございますが、それを実力をもって排除するということまでは私どもとしては想定をしておらないところでございます。

○小泉親司君 私は、具体的に給水したからどうだということをそう細かくお聞きしているんじゃなくて、自衛隊の法的地位、実態の中での法的地位というのはどういうことを持つのかと、これは基本的な問題なんですよ、先ほども繰り返し言っているように。つまり、自衛隊という軍隊が他国に乗り込んでいくわけですから、これは一般旅行者がその国の同意を得てちょっと国に入るというのと違うんです。それは防衛庁長官だってお分かりになるでしょう。
 じゃ、あなたの部下が、自衛隊という主権国家の軍隊が国際法上の権能を持たないでイラクで何で活動できるんですか。そんな給水活動云々かんぬんということを私は言っているんじゃないんです。そこを、だからイラク国民から抵抗を受けたら当然それを排除するということも、当然のこととして自衛隊としてないということにならないだろうと、論理的に、そこを言っているんです。

○国務大臣(石破茂君) これは当然旅行者とは違います。なぜならば、旅行者は国連決議の要請を受けて行くわけではございません。我々は一四八三の要請、そしてまたこの法律の根拠に従って行くわけでございまして、当然旅行者とは立場が異なるわけでございます。
 私どもが何に従って現地で活動するかといえば、国内法的には今御審議をいただいている法律でございます。そして、国際法的には国連決議に従いまして、私どもはその要請に従いまして、あるいは求めに応じまして国内法を整備をし、お認めをいただきました段階において現地で活動する、そういう仕組みでございます。

○小泉親司君 私はこれの点については引き続きちょっとこの問題についてはやりたいと思いますが、実際にやはり私は、先ほども繰り返し言っておりますように、一国の主権国家の軍隊が他国に入るということになれば、当然これは国際法上の明確な地位がないと様々な活動、これできないということは明確なわけで、その意味で私、その法的地位が具体的にどういうことになるのかという点についてはこれ引き続き追及したいと思いますが、私は、この自衛隊が行けば当然やはり占領軍との協力もしないんだといっても、それは軍隊としてCPAの下、これは当然のこととして占領軍の占領機構の下にこれはあるんだというふうなことをイラク国民が考えることは当然のことでありますから、その点で私はこういうふうな自衛隊の派遣というのは占領軍の一部とならざるを得ないということを私指摘して、もう一つの問題についてだけお尋ねしたいと思います。
 問題は、次は、戦闘行為とは何かと、この問題であります。
 今日、秋山法制局長官に、お見えになっておられますのでちょっと幾つかお尋ねしますが、その前に、今度の法案の中には第九条で配慮事項というものが書かれております。つまり、自衛隊員の安全について配慮しなくちゃいけないということが書かれている。これはテロ特措法にもPKO法にも存在しない規定であります。つまり、私がお聞きしたいのは、今まで防衛庁長官の説明は戦闘地域と非戦闘地域を分ける、まあ分けると言うとなんですが、非戦闘地域で実際に自衛隊は活動するから大丈夫なんだと言っていた。ところが、今まではそのような仕組みの中であるにもかかわらず、今度の法律の中では九条で安全のための配慮ということを規定している。これ、なぜこういうふうな規定が、PKOやテロ特措法にはない規定が今度の問題では加わったんですか。どこにその根拠があるんですか。

○国務大臣(福田康夫君) ただいまの質問でございますけれども、イラクの情勢、これはもう何度も申し上げているとおり、国内の戦闘は基本的には終了していると、大規模な戦闘は行われていない。しかし、一部地域においてはフセイン政権の残党による散発的、局地的な抵抗活動が見られるということで、必ずしも治安が良好でない地域もあると、こういうような理解をしておるところであります。
 したがいまして、法案九条におきまして、そういうようなイラクの国内情勢も踏まえまして、対応措置の実施に当たりましては、イラク復興支援職員及び、自衛隊だけではないです、復興職員の、部隊の、自衛隊の部隊の安全の確保に万全を期すべきことをより明確にするためにこういう規定を設けたものでございます。

○小泉親司君 私、先ほど言いましたように、元々自衛隊の活動地域は非戦闘地域に限られているんだと、だから問題はないんだと。これは、PKOや実際に戦争が行われたところに派遣したテロ特措法でも同じ説明がされてきた。ところが、本法案では、この安全に対する配慮という規定を置かれた。私は、この意味というのはどういう意味なのか、これが今の官房長官の私、答弁ではちょっと非常に理解し難い。
 そこで、この点について、私は、この規定を置いた根拠というのは一体何なのか、もうちょっと防衛庁長官、説明していただきたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) これ、繰り返してもう申し上げて恐縮ですが、別に非戦闘地域で活動するから問題ないんだということは、問題ないんだと私は申したことはありませんが、第九条の趣旨というのを制度的に担保したものであって、安全かそうでないかということがぴったり重なる概念ではございませんということは再三答弁を申し上げているとおりでございます。
 そして、なぜこの九条のようなものが、テロ特措法にはないものが設けられたのかという御質問でございますが、これは隊員の安全により万全を期すために設けた規定というふうに私どもは理解をしておるところでございます。

○小泉親司君 私、こういう、非戦闘地域だから大丈夫だと言いながら、こういうふうな、また更に安全区域を決めるんだと。これはテロ特措法にも、先ほど言いましたようにPKOにもないんで、この点について私は、いかにこの危害が、危険な区域がたくさん存在しているということを、私、法案の仕組みとしてこれは示したものだと、もちろんと言っておられるので、そういうものだというふうに私も理解をいたします。
 そこで、私──ちょっと待ってください、私の質問なんだから。戦闘地域という点について、秋山法制局長官が来られているので、ちょっと法制局長官にもお尋ねしたいと思いますので、ちょっと時間がないので申し訳ない、長官。
 秋山法制局長官は、いわゆる治安の悪い地域におきましては、他国の軍隊が盗賊団に対して実力を行使している、そのような状況におきましても、それは国際紛争を解決する手段としての武力行使ではないので、武力行使と無関係の行為なので憲法九条との関係で一体化の問題を生ずることはないんだと、こういう御答弁をされた。
 そうすると、今のところは危険な区域がたくさん存在する。実際に、相手が盗賊団かそれともフセイン政権やバース党の残党なのか、先ほども防衛庁長官も答弁しておりましたけれども、どこで頻発的に起こるか分からないというふうな状況の下で、これ、こういうふうな私、答弁をしますと、それじゃ相手が盗賊団なのかそれともフセイン政権やバース党の残党なのか、一体どこでどういうふうに確認するのか、どこでどうやって切り分けするのか、この点については、これ全く分からない下で憲法にかかわる問題として重大なことを私、発言されるというのは非常に問題だと思いますが、その点は法制局長官はどういうふうにお考えなんですか。

○政府特別補佐人(秋山收君) 法律論として基本的な考え方は今御質問の中で出ていたとおりでございますけれども、私が申し上げましたのは、憲法九条が禁止しておりますものは国際紛争を解決する手段としての武力の行使でございまして、従前申し上げております武力行使との一体化の問題もこの枠組みの中で考えられるべきものと考えます。
 この法案は、周辺事態法それからテロ特措法などで確立いたしました骨組み、すなわち、いわゆる非戦闘地域で支援を行う、二条三項、それから、そのような要件が失われるような状況においては、活動を一時停止し、あるいは実施地域を変更するというようなことで、今の武力行使との一体化の問題を避けるような定型的な担保を作っているわけでございます。
 したがいまして、九条との関係で、戦闘行為とは、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。」、それから、国際的な武力紛争とは、国又は国に準ずる組織との間において生ずる武力を用いた争いをいうものと考えているところでございます。
 私が申し上げましたものは、論理の問題としてお答えすれば、米英軍等の他国による実力の行使の相手方がおっしゃるような盗賊団のようなたぐいの場合には、これは国又は国に準ずる組織に評価されるものではない。したがいまして、国際的な武力紛争には当たらず、したがって、そのような行動が行われております地域で仮にいろいろな支援活動、あるいは支援活動を行ったとしましても、それにつきましては武力の行使との一体化の問題が生ずることはないというふうに申し上げたわけでございます。
 それで、そんなことを言っても、とっさの場合に、突然起きた紛擾事態が、相手方が盗賊団なのかあるいは国に準ずる組織なのか分からないではないかという御質問でございますが、観念的には、もちろん国に準ずる組織と申しますのは国際的な紛争の当事者たり得る実力を有する組織体ということでございますが、とっさの場合に分からないという状況がありましたら、それは正に運用の問題といたしまして、法案第八条第五項の考え方に沿いまして、その見極めが付くまでの間、取りあえずその活動は一時休止するなどして活動の継続を差し控えて、それで法律上の要件が満たされていることが確認された後に活動を再開するということであるべきであると考えます。

○小泉親司君 中央軍のニュース発表を見ますと、米英占領軍は、例えば砂漠のサソリ作戦とかガラガラヘビ作戦などをやっております。これは、武装した米軍が家々を回って残党狩りをやるという強制的な捜索軍事活動であります。
 私、この作戦を米軍のホームページで詳しく見ますと、これは国際的な紛争じゃないと。そうすると、政府が根拠に挙げている人や物を破壊する行為を伴わない場合も存在すると。ということになると、こういうものは戦闘行為に含まれないと、こういうことになるんですか。

○政府特別補佐人(秋山收君) 結局、その相手方が国に準ずる組織であるかどうかということで、そこは今お尋ねの作戦がこの法律の戦闘行為あるいは国際的な武力紛争に該当するかどうかということが決まるわけでございますけれども、その見極めは、正に具体的な個別具体の事案の事実関係に即して判断されるべきものであると考えますが、当該行為の主体が一定の政治的な主張を有し、相応の組織や軍事的実力を有するものであって、その主体の意思に基づいてその破壊活動が行われているというような場合には、その行為が国に準ずる組織によるものに当たるとされることがあるのではないかと考えます。

○小泉親司君 となると、そのガラガラヘビとか砂漠のサソリ作戦とか、こういうふうな行為は戦闘行為になるんですか、ならないんですか。長官、どうですか。

○国務大臣(石破茂君) それは米軍が行っている場合と我々とは違います。
 私どもが戦闘行為として判断する場合には、日本国憲法第九条により禁止されている武力の行使に該当するような戦闘行為にならないということでありまして、先生御指摘の、そういうガラガラヘビはあるいはサソリは戦闘行為なのかということはなかなか正面からお答えをすることが困難な御質問かと思います。
 それによって、そういうことが行われている地域は、じゃ戦闘地域と言うのかねという御質問であればそれはまた別のお答えがありますが、そのこと自体は戦闘行為なのかというふうにお尋ねいただきますとなかなかお答えが難しゅうございます。

○小泉親司君 時間が参りましたので、私、この点についてもちょっと引き続きやりますが、ちょっと具体的な問題をもう少しやはり調査していただいて、そういうガラガラヘビやサソリやそういうものが実態としてどういうふうになっているのか、この点についても私は明確にすべきだと。
 つまり、そんなこともよく分からないでこういう法案を私は粛々とやるのは問題だというふうに考えておりますので、その点をひとつ強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

    ─────────────
○委員長(松村龍二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、河本英典君が委員を辞任され、その補欠として近藤剛君が選任されました。


2003/07/10

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