2003年6月25日

戻るホームイラク目次


「イラク特別措置法案」及び「テロ対策特別措置法案」の論点

民主党 イラク問題等PT

I イラク復興支援特別措置法案について

1 基本認識 
* 対象となるイラク国民にとっての必要性を考慮すれば、本来どういう支援をすべきか。
* 日米関係の視点から、イラクの治安維持を担う米軍等に対して、どう考えるか。
* 中・長期的視点に立った際、わが国の対イラク・中東政策上の国益をどう考えるか。
* 支出される予算規模・費目等をどう考えるか。
* 現下の近隣の国際情勢との関係をどう見るか。

2 政府案

(1)目 的
(第1条)
○ 安保理決議678、687、1441等に基づくイラク攻撃を受け、安保理決議1483号等を踏まえた支援活動。
* 安保理決議678、687、1441を、イラク攻撃の根拠として法目的に含むことの是非
* イラクへの制裁解除を内容とする安保理決議1483号を自衛隊派遣の根拠とすることの是非

(2)基本原則(第2条)
○ 対応措置の実施は、戦闘行為が行われていない地域に限定(3項関係)。【関連:テロ特措法第2条3項】
* 「戦闘地域と非戦闘地域」、「戦闘員と非戦闘員」の峻別、海外での武力行使、武力行使との一体化の関係

○ 受入国の同意に代わって、安保理決議等に従って施政を行う機関(CPA)の同意を要件(3項1号)
* 連合国暫定統治機構(CPA)が自衛隊派遣に与えるとされる同意の意味及び占領行政との関係
* PKO法の活用及び改正の是非

(3)対応措置(第3条、第1条、第7条)
○ 人道復興支援活動
* 「イラク復興支援職員」の位置付け、安全性確保は十分か。

○ 大量破壊兵器処理支援活動:→削除
* 削除となった経過・理由
* 情報操作の可能性に関する米英での議論と政府の武力攻撃支持表明との整合性

○ 安全確保支援活動:武器・弾薬の提供、発進準備中の航空機に対する給油・整備は行わない。
関連:テロ特措法では、第3条2項、別表第二によって、陸上輸送を認めない。
* 武器・弾薬の陸上輸送を認めることの妥当性

(4)国会の関与(第4条・5条・6条)
○ 自衛隊派遣には、部隊規模や派遣期間等を定めた「基本計画」を閣議決定。「基本計画」の中の自衛隊が実施する「対応措置」に対して、防衛庁長官の派遣命令から20日以内に国会付議、「事後承認」。
* 対応措置の実施:事後承認か事前承認か(テロ特措法で議論)。
* 「国会の議決による撤退」規定の是非(事態法で修正)。
* 「国民に対する情報提供義務」規定の是非(事態法で修正)。

(5)武器使用基準(第17条関係)
○ 武器使用基準の緩和は行わず、正当防衛・緊急避難、上官命令、自己の管理下等、PKO法に準拠。
* 現行の武器使用基準と当該危険地域での自衛隊の任務
* 法改正によらず、部隊行動基準(ROE)の変更で、武器使用基準を定めることの是非

(6)法 形 式(附則第2条関係)
○ 時限立法:施行から4年を経過した日に失効。 cf;テロ特措法は2年
* 期限の妥当性


II テロ対策特別措置法案について

1 基本認識
* 日米関係の視点から、アフガニスタンで作戦行動中の米軍及び各国の行動をどう考えるか。
* 支出される予算規模・費目等をどう考えるか。
* 支援活動と現下の近隣の国際情勢との関係をどう見るか。

2 政府案

(1)目 的
(第1条・第3条)
○ 911のテロ攻撃を受け、安保理決議1368号等に基づく協力支援活動、捜索救助活動、被災民救援活動。
* 米・国防長官によるアフガニスタンでの戦闘終結宣言との整合性及び現地のニーズ

(2)国会の関与(第3条2項、別表第二)
○ 自衛隊派遣には、部隊規模や派遣期間等を定めた「基本計画」を閣議決定。「基本計画」の中の自衛隊が実施する「対応措置」に対して、防衛庁長官の派遣命令から20日以内に国会付議、「事後承認」。
* 対応措置の実施:事後承認か事前承認か(テロ特措法で議論)。
* 「国会の議決による撤退」規定の是非(事態法で修正)。
* 「国民に対する情報提供義務」規定の是非(事態法で修正)。
* 現地情勢と基本計画変更の余地、及びテロ終結の判断権者及び判断基準

(3)法 形 式(附則第4号)
○ 時限立法:施行から2年を経過した日に失効するが、別法により、2年以内の再延長可。
* 期限の妥当性及び本年11月の期限と会期制との関係

<経 緯>
○ 対応措置の事前承認に関する修正要求が認められず、法案には反対したが、法案成立後、政府は、「基本計画」を閣議決定後、これに基づき「対応措置」を開始、国会に対して承認を求めた。

○ 民主党は、当該テロが新たな脅威であり、国際協調の枠組みで、自衛隊の活用も含めた新たな対応が必要との認識で、政府の「対応措置」は派遣期間・活動範囲等が妥当なものと判断し、承認に賛成した。

○ 2002年5月、11月に期間を延長、12月、イージス艦の派遣を決定。必要性、憲法・法律上の疑義、イラク問題等との関係、現地での運用の問題点、国会での説明、派遣決定の手続き等を総合的に判断し、シビリアン・コントロールの観点から反対。2003年5月に再延長、来る11月に法律の期限が到来。


2003/06/25

戻るホームイラク目次