2000/04/13

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達増拓也(自由党)質問 「選挙期間中のホームページ利用の可否について」

衆議院・政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会


○林(幹)委員長代理 次に、達増拓也君。

○達増委員 自由党の達増拓也でございます。
 まず、洋上投票、在外投票の準備状況について伺いたいと思います。
 さきの台湾の大統領選挙は非常に盛り上がりまして、世界各地に散らばっていた台湾の選挙権を有する人たちが必死になって、必要であれば台湾に戻って投票した。やはりそういうことが期待されて、今回の我が国におけるこういう改正にもなったと思っております。

 ただ、国民の権利の行使でありまして、今までそういう権利がなかった、投票できなかった、それが権利を持って投票できるようになるということでありますから、外国で働く、外国に居住する日本人というのはある程度覚悟を持ってそうしているわけでありまして、そういう意味では、余り手とり足とりお世話をするという発想ではなく、一義的には、権利を行使する側がそれなりに自助努力をすべきものだというふうに考えております。

 その上で、国内においても不在者投票制度の弾力的な運用などという工夫が行われている、そういう工夫で、権利を行使するぞという在外邦人または洋上の皆さんの権利行使がスムーズにできるような工夫をしていただければと思うんですが、その辺の準備状況、洋上と在外、それぞれについてお願いいたします。

○保利国務大臣 委員は海外の御経験がございますし、外務省にずっとお勤めでございますので、海外にいる者が投票したいという気持ちを持っておられるということをよくつかんでおられるだろうと思います。私もまた、二十数年前でありますが、フランスに五年ほどおりまして、父親が政治家であったことからも投票したいものだというふうに思ったことがあります。ようやくここで、ことしの五月一日以降に公示される選挙から、在外選挙人の方が投票するという制度ができまして、実施に移るところでございます。

 現在、この制度の周知及び在外選挙人名簿への登録などの促進については、ポスターとか、あるいはリーフレットなどの配布をしたり、テレビとかラジオ、新聞などでメディアを活用して、国内外に啓発をしているところでございますけれども、登録の申請者数は、三月末の時点で五万三千六百六十七人という数字になっております。申請者でございますから、登録者はもうちょっと減るわけでございまして、四万一千ぐらいの数字になると思います。

 こういう状況でございますが、今後また、このところ大体一カ月間六千人ぐらいずつの割合でふえていっておりますので、登録者数はふえていく可能性があると思っております。しかし、まだまだ不十分だと思います。そうしたいろいろな問題について、今後、各選挙管理委員会やあるいは在外公館等にいろいろお世話になりまして、説明会などをやりまして、事務手続及び管理執行体制についていろいろ助言を行ったりいたしておるところでございます。

 それから、洋上投票でございますけれども、これもまた五月一日以降公示される衆議院選挙あるいは参議院選挙から実施されるということに相なりました。これは大分昔から御要望がございまして、海洋婦人会でありますとか、海員組合でありますとかからも、船の上から投票できるようにしてくれと。ただ、技術的な問題がかなり難しくて、これはなかなか実現しなかったんですが、ファクス投票、それも秘密が守られる形のファクス投票のやり方が開発をされまして、それで投票用紙等も大体今月いっぱいには用意をしておくというような状態にまで来ております。

 そんなことで、小冊子をつくったり、あるいは都道府県の選挙管理委員会や海運会社などにそうしたものを配ったりして、いろいろ準備を進めているところでございます。

○今井政府参考人 外務省といたしましても、自治省と協力しつつ、在外公館を通ずる登録申請を促進するためにさまざまな努力を行ってきておるところでございます。

 まず、在外選挙が導入されたことを特に在留邦人の方々に周知していただくというための広報を行っておりまして、具体的に申しますと、東京におきましては、国際協力事業団であるとか、国際交流基金であるとかそういう政府機関、それから経団連、日本商工会議所等の民間団体にお願いいたしまして、海外に赴任する人たちに、この選挙の存在と、それから意義を知っていただくための協力をお願いしているというところでございます。また、海外におきましても、外務省、自治省の職員が出張いたしまして、現地で説明会を開くだとか、現地の日本語の新聞、あるいは日本人会の会報等、さまざまな手だてを使いまして広報に努めてきております。

 さらに、在外選挙人名簿への登録申請は、原則として申請者が各在外公館に赴いて手続をとっていただくということになっておりますので、在留邦人の便宜を図るために、在外公館の職員が在留邦人が居住している遠隔の地に出張いたしまして、そこで登録申請の受け付けを行うというようなこともしておりますし、また在外公館の所在地の周辺におきましても、在留邦人の集まる日本人会の会合だとか、あるいは日本人学校、補習校の会合だとか、あるいは企業事務所が多く集まっているような地域等にみんなに集まってもらって、そこへ職員が出向いて登録申請の受け付けを行うといったような努力をしているところでございます。

○達増委員 オーストラリアやシンガポールに在住の日本人の皆さんで、インターネットを利用して情報交換をしながら日本の政治について議論をしているようなグループのメンバーから、手紙、電子メールをもらったことがありまして、非常にそういう関心があちこちに高まってきているんだと思いますので、ぜひそういう思いにこたえる運用をしていただきたいと思います。

 さて、インターネットの話であります。きょう、先ほどから議論が続いておりまして、選挙期間中のホームページ利用の可否、要は文書図画に当たるのであればだめだ、簡単に言えばそういうことだと思います。

 今のホームページの現状、確かに安く簡単にだれでもつくれるようにはなってきておりますが、一方では、これはもう国会議員の皆さんのところに、十万円でつくるとか、百万円出せばこのくらいのものができるとか、お金さえかければすごいものができる、そういう現象も実際ありますし、特に才能が要求される分野ですので、ホームページデザインの一流の人、カリスマホームページデザイナーなどという人が出てきますと、何千万円よこせとかいう話になってくる危険性もあると考えておりまして、自由党としては、やはりそういう、いわゆる全面解禁といいましょうか、完全自由自在なホームページ利用というものについてはちょっと慎重なわけであります。

 公職選挙法というのはいわばゲームのルールでありまして、ポスターの枚数とかはがきの枚数、なぜこの枚数かというのは、やりやすいように、効果的な選挙ができるようにという中で一定の縛りをかけていくものでありますから、自由党は、ふだんの政治活動についてはホームページは全面的に活用して、いわば時代はE政治だと思っております。Eビジネス、Eコマース、Eトレード、政治についてもE政治ということで、インターネットを活用した政治というのは、平時においては全面的に展開しなきゃならないとは思っているのですけれども、選挙期間中においてはそれなりの制約もあり得るのかなと考えているのです。

 ただ、一般の方の間でインターネット普及率が非常に高まっている中で、こういう工夫はあり得ると思うのです。それは、サーバー、ホームページを置いておく場所ですね、それを選挙管理委員会が用意して、いわば今まで新聞に折り込んで配る選挙公報のような形で、大きさとかフォーマットを一定のものとして、各候補者につくってもらったものを掲載するとか、あるいは選管の方で写真や履歴をもらって、それを一定の形式で掲載するということがあり得るかもしれません。

 先ほど来の議論の中で、特に選挙期間中、外国にいる日本人が情報が乏しくなるのではないか、そういう人たちのためにも、いわばそういう最低限の情報について、公的にインターネットを通じて提供するということはやってもいいんじゃないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○保利国務大臣 選管のホームページに選挙公報等を載せるということについては、先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、選挙公報は、公職の候補者などの政見などを当該公職の候補者などが申請した原文のまま掲載するというものでございまして、選挙公報がどのようなものになるかは選挙運動にかかわる問題であるというふうに認識をしております。

 選挙運動の方法等については、これまで国会において、いろいろな審議、あるいは各党間の議論の積み重ねの中から、現在のようなルールがつくられてきたところでございまして、選挙公報をインターネットのホームページに掲載するか否かということについては、インターネットの利用を選挙運動の中でどう位置づけるかということと密接な関係がございますので、それを含めた議論を国会の中で、各党各会派においてしていただく、それで方向づけを出していただくというのがいいのではないか、このように考えておる次第であります。

○達増委員 国会の中で電子政府に関する議論もなされております。恐らく、そういう電子政府をつくっていく中の議論として、選挙を管理運営する側でそういう電子的な広報もという議論も可能だと思いますし、技術的にはもう非常に現実的なところまで来ておりますから、いずれ、やると決まったときにすぐできるような研究などは行政の中でもやれるのではないかというふうに思います。

 さて、次に、電子メールであります。これについても、先ほど他の委員の質問に答えて、文書図画に当たれば電子メールによる投票の呼びかけなどは違法になるのではないかということでありました。

 先ほど例として出ていたような個人の電子メール、確かに、今物すごい勢いで携帯電話を使った電子メールのやりとりが普及しているのは、それが安いからであります。普通におしゃべりをしていると一分二分かかってしまうものが、電子メールのデータのやりとりは瞬間で行われますから、それで、ここ半年の大きい変化だと思います、若い世代を中心に電子メール利用が物すごい勢いでふえている。

 一方、悪い電子メールというのもあるんです。これはやはり、メールアドレスを持っている国会議員の皆さんでいろいろ迷惑をこうむっている方がいるんじゃないかと思いますけれども、いろいろな怪しげなものを売ろうというセールスがどこからともなくたくさん来たりとか、あとは、インターネット上のわいせつ画像を取り締まることが決まったときには、反対する人たちから同じ内容の電子メールが大量に私のところに来て、非常な迷惑をいたしました。

 したがいまして、やはり、無制限な電子メールの利用というのは、ファクスによる紙爆弾などと同じでありまして、問題があると思っております。

 他方、個人的に、本当におしゃべりの感覚で電子メールのやりとりをする、携帯電話を使って個人間でやりとりをするような話は、運用面で、あるいは取り締まりの面といいますか、そこでかなり実態に照らした対処が求められるんではないかと思います。

 政府としてのお答えについては、先ほども質問の中で出ていましたので、さらに質問することはいたしませんけれども、そういう運用あるいは取り締まりの中で、悪いEメールじゃなく、いいEメールについては何らかの工夫ができないかということについてはいかがでしょうか。

○保利国務大臣 公職選挙法では、およそ人の視覚に訴えるものはすべて文書図画ととらえております。したがいまして、Eメールのように携帯電話やコンピューターのディスプレーに表示される画面は、公職選挙法上の文書図画に当たるものと解されておりまして、音声を伝達する電話とは異なるという解釈をいたしております。

 しかし、今委員いろいろお話しのように、Eメールもどんどん出てきておりますし、それから、先々インターネットが全国民的に普及をするという時代も来ないということを言うわけにもいかないというような状況というのにかんがみまして、今後の選挙のあり方というのは、二十一世紀の新しい姿というものを想定しながら、国会の中でいろいろ各党で御論議をいただくのがいいんじゃないかなと思います。

 ただ、私ちょっと懸念するのでありますが、これは国家公安委員長としての懸念でもありますが、電子社会というのは裏の部分がございまして、ハッカーあるいはサイバーテロと言われているようなものが随分横行しておる。その実体がなかなかつかみ得ないというようなこともある。アメリカはことし千七百億円、それから来年は二千二百億円ぐらい使ってハッカー対策をやると言われている時代に、日本はちょっとその点が手薄になっておりますので、こうしたものの普及というのが、将来、裏の対策なしに広まったときの恐ろしさというのを何か予感するのでありますが、こういったところもあわせて考えていくべきことかなと思います。

 いずれにいたしましても、各党各会派で電子関係については御論議いただくことを期待いたしております。

○達増委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。ハッカーとかサイバーテロ的なことへ、セキュリティー面に対しては非常に気をつけなければならないと思います。ですから、選挙期間中ホームページを全面解禁しますと、それを妨害工作なんということもあり得ると思っておりまして、その意味でも、選管がきちっとサーバーを用意してくださればかなりいいんではないかと思っている次第であります。

 最後に、電子投票について伺います。
 先ごろ、議員会館のロビーで電子投票の実験が行われました。選挙の投票を電子的に行うことであります。また、今、マイクロソフト・ネットワークというところのホームページで、次の総理はだれがふさわしいかというネット投票が行われております。小沢一郎自由党党首が一位でありまして、中坊公平さんとか田中眞紀子さんが二位、三位のあたりに続いておりまして、一万何千のあたりで争っております。ちなみに森総理は二千とか三千のあたりに今いるのでありますけれども、そういうことが技術的にはかなり可能になってきている。

 それで、選挙制度を所管する自治省、大臣としてどのようにお考えか伺いたいと思います。

○平林政務次官 便宜私からお答えを申し上げます。
 電子投票、すなわち電子機器を用いた投票方式の導入ということにつきましては、メリットの面もございます。例えば開票時間の短縮というようなことが選挙の管理、執行の上で非常に有益だということも考えられるわけでございますが、現行の公職選挙法が原則といたしております自書式の投票方式を改めるという、いわば制度の改正が必要でございます。

 これにつきましては、平成六年の衆議院議員選挙制度の改革に合わせて記号式が採用された後で、議員提案によりまして自書式に戻った、こういういきさつがございます。そのいきさつなどを踏まえますと、国民の間に広い合意が得られる必要があるものと考えられます。

 また、費用対効果の検証とか、ハード、ソフト両面での安全対策などの解決をすべき多くの問題もある。これは、委員がおっしゃったようないろいろな問題がございます。確かにあると思います。

 さようなことで、自治省としましては、選挙事務に電子機器を導入することによって有権者の利便の向上を図る、投開票事務の迅速化を図るということは重要な課題と考えております。平成十一年の七月に電子機器利用による選挙システム研究会というものを設置いたしておりまして、研究会におきまして、現行の投開票事務における電子機器利用の状況や、諸外国の電子機器を利用した投票制度につきまして現在調査研究を進めておるというところでございます。平成十二年度におきましても、引き続き、電子機器を利用した投開票システムにつきまして調査研究を進めてまいりたい、さようなことを現在やっております。
 以上でございます。

○桜井委員長 達増君、時間が来ましたので簡潔に。

○達増委員 E政治の流れに対応した制度、運用を工夫することを希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


2000/04/13

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