2002/07/24

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前原議員、有事下の日米軍事協力指針の遅れを指摘 (民主党ニュース)

 衆議院武力攻撃事態特別委員会において24日、民主党の前原誠司議員が質問に立った。前原議員は、前回の質問で、武力攻撃事態下における国民の自由と権利の制限について政府見解の提出を求めていたが、この日回答が示されたため、その内容についてさらに追及した。

 前原議員はまず、憲法に定められた思想・良心の自由、信教の自由の保護について、政府見解では「外部的行為」がなされた場合には絶対的なものとは言えないとしていることを取り上げ、「教会や神社、仏閣などが自衛隊の作戦行動の障害になると見なされた場合、撤去される場合があるのか」などと、具体的に質した。津野内閣法制局長官は、「公共の福祉による制約を受けることはあり得る」とし、そうした措置をとる可能性もあることを明らかにした。

 また前原議員は、日本有事の際、米軍の日本法令に対する遵守義務の履行をいかに担保するかについて質問。川口外相は、日米合同委員会などにおいて必要な調整を行うなどと一般的に答えるに止まったが、前原議員は日本有事や周辺事態の際の日米防衛協力の中身がまったく詰められていないことを指摘し、日米防衛協力のためのガイドラインの日本有事版についてしっかり議論することを要求した。

 さらに前原議員は、有事に即応しうる自衛隊の能力についても問題にし、ソ連を仮想敵国とした冷戦時代の部隊編成・配置の改変、予備自衛官制度の強化などの必要性を提起。中谷防衛庁長官は、冷戦時代の部隊編成の新体制への改変について「10年かけて移行している過程」などと危機意識の乏しい答弁に終始した。


平成十四年七月二十四日(水曜日)

前原委員 民主党の前原でございます。
 それでは、通告をしております質問内容に即してお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、きょうの理事会で私の質問していたことに対しての回答をいただきまして、冒頭、官房長官からそれについての御披露がありました。まず、その感想から申し上げたいわけでございますけれども。
 三番のところに、今までと同じような答弁が繰り返されている。つまり、私の伺った、憲法で保障している国民の自由と権利についてはどう担保されるのか、また、侵害されるとすればどういう権利、自由で、また、絶対不可侵のものは何か、また、制約されるとすればどの程度であるのか、また、どういう補償、救済措置があるのかということについては、今後検討するということで、またもやこれについては明確なお答えが基本的になされておりません。
 私は、やはりこういうものが明確になっていない中で個別の法律を決めるというのは無理があるというふうに思いますので、改めて、この法律のできの悪さというか、根本的な前提が基本的に欠けた法案であるということをもう一度指摘させていただきたいと思います。
 それを前提に、さらに質問をさせていただきます。
 五番目のところなんですが、これは前回私の質問で津野法制局長官がお答えをされた部分と合致してきているわけでございますが、少し突っ込んで書かれている部分があります。
 ちょっと読ませていただきますと、
 例えば、憲法第十九条の保障する思想及び良心の自由、憲法第二十条の保障する信教の自由のうち信仰の自由については、それらが内心の自由という場面にとどまる限り絶対的な保障であると解している。しかし、思想、信仰等に基づき、又はこれらに伴い、外部的な行為がなされた場合には、それらの行為もそれ自体としては原則として自由であるものの、絶対的なものとは言えず、公共の福祉による制約を受けることはあり得る。
こう書いてあるんですね。
 それで、質問を官房長官にさせていただきたいんですが、十九条の保障する思想及び良心の自由で外部的な行為というものがなされるというのは、具体的にどういうことをいうんですか。御答弁ください。

福田国務大臣 外部的な行為というものですが、内心の自由という場面にとどまらない行為を指しておりまして、それらの行為も、それ自体としては原則として自由であるものの、絶対的なものとは言えず、公共の福祉による制約を受けることはあり得るという考え方でございます。
 外部的な行為に係る具体的な事例というのは、これはもうさまざまなものがございます。したがいまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、あえて具体的な事例を申し上げれば、自衛隊法の第百三条に基づき、保管命令を受けた保管者が、その思想、信仰等のために自衛隊に協力しないという考え方に立って、当該命令の対象となっている物資を毀棄する、そしてまた搬出したりするというような行為が想定されるところでございます。
 これは思想、信仰等に基づいて外部的な行為がなされた場合に該当し得る場合でございまして、公共の福祉による制約を受けることは、そういう意味であり得るということでございます。

前原委員 では、次に、二十条の保障する信教の自由のうち信仰の自由ですね。ここで、外部的な行為がなされた場合の、それ自体、公共の福祉による制約を受けることはあり得るということでありますが、具体的に、どういうものが想定されますか。

福田国務大臣 結局、先ほど申しましたことと同じことになりますけれども、要するに、信仰の自由でもって拒否をするという行為ということであります。

前原委員 では、あえて私の方から違う例を申し上げますので、それがこの外部的な行為に当たるかどうかを御判断いただきたいと思うんです。
 例えば教会をつくる、あるいはお寺をつくる、お墓をつくる、これは一種の信教の自由の信仰の自由からくるものということが言えるわけだと思いますね。つまり、建物をつくる、外部的な行為だと。ただ、これが、例えば陣地をつくらなきゃいけないとか、ここにあることが、教会が、あるいはお寺が、神社があることが作戦行動において極めてよくないという場合においては、この外部的な行為で公共の福祉の制約に係る部分ということを想定され得るわけですか。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。
 非常に具体的な例を挙げられましたものですから、それだけの問題で、いろいろなことについて確定的なお答えをすることは難しいと思います。
 そこで、従来から裁判所等でいろいろ、信仰と信教の自由、そういったものについての制約、そういったものについて判例がございます。
 一つありますのは、実はこれは非常に有名な判例で、加持祈祷師による加持、要するにお祈りして、祈祷して治療行為をするというような行為につきまして、それは信仰によって加持祈祷して、そうしたら通常の治療行為をしなくても治るというような内容の行為なんですけれども、それにつきまして最高裁判所で昭和三十八年に判決がございまして、これと似たようなことになろうか、考え方としては似たようなところがあろうかと思います。
 ここで判例の内容をちょっと御紹介しますと、憲法二十条一項は信教の自由を何人に対してもこれを保障することを、そして同第二項は何人も宗教上の行為、祝典、儀式または行事に参加することを強制されないことを規定しており、信教の自由が基本的人権の一つとして極めて重要なものであることは言うまでもない。しかし、およそ基本的人権は、国民はこれを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うべきことは憲法十二条の定めるところでございます。そしてまた、同十三条は、基本的人権は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする旨を定めており、これら憲法の規定は、決して所論のような教訓的規定というべきものではなく、したがって、信教の自由の保障も絶対的無制限のものではない。
 これを本件について見ると、いろいろ加持祈祷行為等によって、宗教的行為としてそういったことをなされたものであったとしても、これが他人の生命身体に危害を及ぼすような違法な有形力の行使に当たるものであり、これにより被害者を死にいたしたものである以上、その行為が著しく反社会的なものであることは否定し得ないところであって、憲法二十条一項の信教の自由の保障の限界を逸脱したものと言うほかはなく、これを刑法二百五条に該当するものとして処罰したことは、何ら憲法の右条項に反するものではないというような考え方を示しておりまして、信教の自由に基づくいろいろな行為につきましても、その外部的な行為につきましては公共の福祉による制約を受けるということが判例でも明確に言われているわけでございます。
 ただ、先ほどの事例につきましては、これはいろいろな具体的な条件がございますから、一概に何ともこの場で正確なお答えをすることは難しいということでございます。

前原委員 何を私の聞いていないことをぺらぺらと時間を使ってしゃべっているんですか。私の聞いたことに答えればいいんですよ。
 つまりは、信教の自由の延長線上で、いわゆる信仰の自由、そして、それの形としての神社仏閣あるいは教会、そういうものが収用の対象になり得るかどうかと。収用というのは、陣地作戦で、言ってみれば除去し得るものになり得るかどうかということを可能性として聞いているわけですよ。何を言っているんですか、ずっと。わけのわからないことを言わないでください。

津野政府特別補佐人 要するに、私が言いたかったことは、大変失礼しましたが、公共の福祉の制約に従って、いろいろな、基本的人権も制約されるということが一つと、それから、収用されるのかどうかということになりますと、これは今度、憲法二十九条の方の話になってまいります。
 憲法二十九条のこれは第三項でしたか、そこでは、適正な補償をして、相当の補償だったか、ちょっと忘れましたが、その補償をして財産を収用することができるという、そういう規定がございますから、それに合致する限りにおいて、その憲法の条項に反しない限りにおいては、いろいろな財産を収用することはできるというふうに考えております。

前原委員 官房長官、もう一遍私の言ったことに、法制局長官は頭がいいのかよくないのかわからないんですけれども、ちょっと簡単に答えてください。
 つまりは、教会とか神社あるいは仏閣というものが作戦行動の中で邪魔であるというときには、それを正式な手続に基づいていわゆる撤収したり除去したりすることは可能かどうか、あり得るかどうかということを聞いているわけです。

中谷国務大臣 その前に、自衛隊法の百三条で可能な分野でありますけれども、これは、地域において立木等を処分することができる、また、その規定により家屋を使用する場合において、自衛隊の任務遂行上やむを得ない必要があると認められるときは、都道府県知事は、同項の規定の例により、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができるというふうになっておりまして、建物の撤去というものはできないわけでございます。建物等の原状回復をできる程度で形状を変更するということで、あくまでも原状回復ができるということであります。
 それからまた、この百三条の規定は、自衛隊の任務上必要な物資の収用、保管、土地の使用等を公用令書の交付により迅速に確保しようとするものでありまして、一方、家屋については、撤去した場合にはこれを復元することは一般的に困難なものであり、土地収用法では慎重な手続が定められているところであります。
 これらの法的措置の性格、必要性について考慮した上で、家屋については収用を認めず使用のみとしたものでありまして、家屋の形状の変更もこの観点から許容される範囲にとどまるべきものと考えておりまして、具体的には、原状を回復し得る範囲内で家屋の現にある状態を変化させることを考えておりまして、一方的に壊したりということは考えておりません。(前原委員「ちょっと、私の質問に全然答えていないですよ」と呼ぶ)

津野政府特別補佐人 ちょっと先ほどは失礼しましたが、この二十九条三項におきまして、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という規定がございます。したがいまして、この二十九条三項の規定によりまして、もちろんその根拠となる法律等々はまた必要となろうとは思いますけれども、そういったものがあれば、この二十九条三項に基づいて収用されることはあり得る、全くないわけではないということでございます。

前原委員 ですから、私が伺っているのは、憲法で保障された自由、権利というものがある、しかし、それは内面にとどまっている限りは絶対的な保障であるけれども、外部的な行為がなされた場合にはそれが制約を受けることもあり得る、こういうお話の具体例を申し上げているわけであって、神社仏閣それから教会、そういうものがその中に入り得るのかどうかということを初めから聞いているわけです。一言でもう一遍答えてください。

津野政府特別補佐人 お答えいたしますと、これは、先ほどの信教の自由等々の関連で申しますれば、要するに、信教の、いわゆる特定の宗教あるいは信仰に基づいているからというような理由で、そういった理由で私有財産を収用するというようなことではございません。一般的に、必要な公共のために私有財産を用いるというときには、その正当な補償のもとに、それがどういう思想を持っており、あるいはどういう宗教を信仰していようとも、そういうことにはかかわりなく、一般的な財産、私有財産として、そうした事柄、その財産についての収用をすることができるということでありまして、何も宗教との関係でいろいろな問題が出てくるということではございません。一般的な話としてそういうことができるということでございます。(前原委員「だから、あり得るかどうか、イエスかノーかで答えてください」と呼ぶ)
 したがって、そういったことがあり得るということでございます。

前原委員 初めからそう答えたらいいんですよ。
 防衛庁長官、その百三条で、土地を壊したりできないと。では、原状復帰できる範囲でということになったら、その中に教会とか神社仏閣は入るんですか、入らないんですか。

中谷国務大臣 それも入って、原状復旧できます。

前原委員 それを初めから答えてもらったらいいんですよ。その質問をしているんですから。
 ですから、まあ今さら言ってもしようがないですけれども、ずっとこういう答弁なんですよ。国民の皆さん方には、有事法制の必要性云々かんぬんよりも、やはりもう少し政府としては僕は真剣にこれは答えてもらわないと、まともな議論ができないんですよね。ためにする議論をしているわけじゃないのに、それを、何か、知識をひけらかしているのか、よくわからないようなことをわざと言うという、本当に明確に答えてもらいたいと思います、時間がもったいないですから。
 では、外務大臣、こういう基本的人権の尊重というのは、この間私が質問したときに、米軍の行動においてもそれは期待をするということでありました。地位協定では、地位協定に書かれていること以外については米軍は原則自由ということでありますが、日本の法令の遵守ということを期待するということでありましたが、どうやってそれは担保されるんですか。

川口国務大臣 米軍は、一般国際法上、我が国の法令を尊重する義務があるということでございます。それはまさに、日米地位協定の十六条に米軍の構成員及び軍属による我が国の法令尊重義務が定められているということにかんがみますと、米軍が我が国の法令に違反するような行動をとるということは一般に想定をされていないということでございます。

前原委員 質問は、どうやってそれを担保されるんですかと。
 それでは、もう少し突っ込んだ質問をしましょうか。軍隊というのは、日ごろの訓練、またその計画に基づいて、それぞれのオペレーションというものがあらかじめ想定されているわけですよね。それは、どの国でそういう行動を行うかどうかということは前提なくオペレーションというものはいろいろな案が決まっていると思うわけです。
 その中で、では、米軍が本当にいろいろな国で、その法律を熟知して、そしてそれに基づいた行動を行うかどうかという確認が、例えば外務省が米軍に対してとれているのかどうなのか。あるいは、そういう合意が法的あるいは条約としてあるのかどうか。それから、さっき申し上げたように、法令の遵守をしてくれるものと期待をするというのは、それは何度もこの場で他の同僚議員からも質問がありましたからわかっていますけれども、私の質問は、どうそれを担保するんですかということなんです。

川口国務大臣 米軍が我が国の法令を尊重するということにつきまして、何らかの問題が生じ得るというふうに考えられる場合におきましては、個別に両国間で必要な調整を行って、政府において適時適切に対処をしていく、そういうことになるわけでございます。

前原委員 調整というのは、では、どういう調整のメカニズムになるわけですか。どことどこがやるんですか、その調整は。

川口国務大臣 例えば、日米の間には合同委員会といったようなメカニズムも既に存在をしているわけでございまして、そういった場もその一つと考えられます。

前原委員 有事の際に、その合同委員会というのが調整メカニズムとして機能するということが前提だと考えていいんですか。また、その主な構成メンバーはどういうメンバーになるんですか。

川口国務大臣 有事の際におきましても、当然そういったメカニズムは機能するということでございまして、メンバーとしては、これはいろいろなレベルにおいてございますけれども、例えば局長レベル、当方でいえば外務省それから防衛庁の局長レベル、先方はそれに匹敵するレベル、そういうことでございます。

前原委員 では、その調整メカニズムは、事前に日本の法令というものを米軍に知ってもらうような調整をするのか、あるいは、問題が起きたときにそれに対しての調整をするものなのか、どちらですか。

川口国務大臣 これは、既にさまざまな問題についてそういった調整メカニズムというのは機能しているわけでございまして、例えば、一例を挙げれば、環境といったような問題についても平時から行っているわけでございます。

前原委員 私の理解では、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインというものについては三つのパターンがある。平素からの協力と、それから周辺事態での協力、日本有事の協力。
 日本有事の協力についてはまだ議論されていないはずですよ、内容的には。ということは、具体的にまだ決まっていないはずですけれども、それがうまく機能するという御答弁をされるんですか。周辺事態の調整メカニズムも、まだ具体的な細部まで至っていないという話を私は聞いていますよ。まだ議論をしていないはずですよ、日米防衛協力で日本有事の際の防衛協力の中身は。

川口国務大臣 委員が今おっしゃいましたように、日米防衛協力のための指針というものがあるわけでございますけれども、この指針によりますと、日米両政府は日米両国の機関の関与を得て日米間の調整メカニズムを平素から構築するとしておりまして、また、指針は、日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両政府は日米間の調整メカニズムの運用を早期に開始するとしているわけでございます。

 そして、指針がこのメカニズムの運用開始のタイミングを厳格に定めているわけではございませんけれども、両政府が武力攻撃の発生に備えて整合のとれた対応を確保するために必要な準備を進めることが必要な場合には、このメカニズムの運用が開始されるものと考えられます。
 武力攻撃事態におきまして、日本政府が今後整備される事態対処法制に基づきまして米軍支援のための対処措置をとる際には、必要に応じて調整メカニズムを通じて調整が行われるというふうに考えるわけでございます。

前原委員 それは指針の一般的な項目であって、具体的な話では全くないんですよ。
 先ほど申し上げたように、周辺事態の防衛協力でも、まだ詰まっていないところがあるはずです。その中身というのは、一番大変だというのを私が聞いているのは、調整の話、調整メカニズムの話です。
 いわゆる周辺事態の調整メカニズムでもなかなか話が煮詰まっていない中で、日本有事を想定した議論というのはしていないでしょう、まだ。その点について答えてください。

川口国務大臣 日米合同委員会の場では、日ごろから日米間でさまざまな調整を行っているわけでございます。そういった場が有事においても一つの例といたしまして活用をされ得るわけでございまして、そういった場で議論がなされる、調整がなされるということでございます。
 おっしゃったように、有事の際の場合の非常に詰めた問題について今議論をしているわけではないということでございますけれども、例えば合同委員会の場でそういったことは議論し得る、そういうことでございます。

前原委員 議論し得るということで、私はその組織のことを言っているのではなくて、実際問題、今私の根本的な質問というのは、米軍が日本有事の際に行動する際に、日本の法律、特に憲法の遵守というものがどう担保されるかという話の中で、それを調整するのが、一つの形が合同委員会ということですけれども、この法案を出すのであれば、そもそもアメリカとの間で日米防衛協力のガイドラインの日本有事の詰めをやらなきゃいけないじゃないですか。そのことを外務省、外務大臣、全然やっていないでしょう。やり得るという話はされたけれども、具体的な詰めというか、突っ込んだというか、まだ入り口の話もしていないはずですよ。正直に答えてください。

川口国務大臣 従来から申し上げていますように、米軍の行動の円滑化のための支援、このための法制整備につきましては、先ほど来申し上げていますように、関係省庁で協議の上、米軍とも協議をしていくということでございます。
 細かいことについてはそういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、合同委員会等の場で調整の場というのは既にあるということです。

前原委員 結論からいうと、何も議論していないわけです。議論していないし、例えば、この法律ができていない状況で議論できないという理屈もわからないではありません。しかしながら、さっき申し上げたように、周辺事態の法律ができていても、まだ日米間ではこの具体的な詰めというのは調整できていないんですよ、調整メカニズムがあるにもかかわらず。残っているんですね。
 ということを考えると、この問題というのは、そろそろ日本の国内法制である有事法制と同様に、防衛協力のガイドラインの日本有事版というものをアメリカとの間できっちりと議論しなきゃいけないんじゃないですか、外務大臣。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、ガイドラインというのは、日本有事の場合というのも含んでいるわけでございます。
 指針について、先ほど申しましたように、細かいことについては、それは今後まだ詰めなければいけないということがあるということは事実でございます。

前原委員 では、細かいことというのは、どういう具体的なことを議論しているんですか、言ってみてください。

中谷国務大臣 日米間の調整メカニズムにつきましては、合同委員会、また合同調整グループ、日米共同調整所等の枠組みはつくられております。
 実際に、現時点において、日米間におきましては、日本に対する武力攻撃に際して整合のとれた行動を円滑かつ効果的に実施し得るように、平素から共同作戦計画についての検討を行うこととされておりまして、この共同作戦計画についての検討を初めとする日米共同作業を実施するために、自衛隊、米軍のみならず、日米両国政府の関係機関の関与を得て包括的なメカニズムを構成して、この共同作戦計画についての検討は実施しているところでございます。
 あくまでもこれは運用面の調整等でございまして、前原先生の御指摘の法的な問題等につきましては、今後、米軍の運用等に関する法整備の中で日米間で精力的に実施をしなければならない問題であると認識をいたしております。

前原委員 御答弁されたように、共同作戦については、それは調整を日ごろからしておくことは当たり前の話なんですね。私は、その中に、日本の法律、特に憲法をどう米軍に遵守をしてもらうかというような徹底を事前にやっておかないと、さっきの外務大臣の御答弁のように、後でこれは調整してもしようがないわけで、そのことについての具体的な議論というものをさらに進めておかなければいけないと思うんです。
 私は、御答弁いただきたいのは、別に後ろ向きの話をしているわけじゃないんですよ、何度も申し上げますけれども。つまりは、この有事法制というものがもし前提にあるのであれば、ガイドラインの、日米防衛協力の指針の、日本有事の場合の防衛協力の具体的な中身を、運用面のみならず全般についてやっていかなくてはいけないんじゃないかと思いますが、その決意を政府としては持っているのかどうなのか、そういうことをしっかりと、決意として、あるいは意思として御答弁いただきたいんです。

中谷国務大臣 このガイドラインの締結のときに、日米両国のすべての行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国際連合憲章を初めとする関係する国際約束に合致するものでございまして、この前提において日米間で協議をするということになっております。
 前原委員の御指摘のように、日本有事、また周辺事態等に対しまして、日米間で、政府同士でこの問題について協議をして調整をしていくということは今後必要になってくるわけでありまして、有事法制の整備の一環として、そういうことは実施しなければならないと考えております。

前原委員 官房長官に一言御答弁いただきたいのですが、私も年に一、二回アメリカに行かせていただいて、向こうの政府の方あるいは専門家の方と話をしますけれども、日本有事の場合の防衛協力についての関心というのは極めて低いですよ、今。
 つまりは、周辺事態については、ある特定の想定され得るかもしれないケースがあったわけで、それについてのインセンティブは高かったですけれども、日本の有事に関する防衛協力の議論をアメリカでこれから盛り上げていくというのは相当大変なことだと思います。
 それはやはり政府として意思を持って、国内の法制の整備のみならず、やはり日本だけでは難しいという部分が情報収集も含めてあるわけですから、米軍をいかに巻き込んでいくのかということは、これは政府の意思として必要なことですが、今防衛庁長官が御答弁されたようなことを政府全体としてアメリカに働きかけて、具体的な内容を議論していくというおつもりがあるかどうか、その点について官房長官、御答弁ください。

福田国務大臣 米国に行かれて、向こうの安全保障担当の方々とお話をされる、そういうところで今委員の御指摘のような感想を持たれたということでございますけれども、私どももそれは、その面における重要性というものは十分に認識しております。
 ですから、いろいろな機会をとらえて十分なる対話をしていく、この姿勢というものは大事であり、また、そういうつもりでやっているということではあるのでございますけれども、いずれにしましても、今回の法制の整備におきまして、米軍との協力活動、米軍の活動が円滑にいくようにというような観点からの法整備というものも極めて大事なことであり、先ほど来御関心の国民の保護の問題とか、そういうこととあわせてこの検討をしていくわけでございます。そういう中でいろいろまた御意見を賜りたいと思っておるところでございます。

前原委員 次に移らせていただきますけれども、今有事法制の議論をしているわけでありますが、法律の中身、これについていろいろ問題があるということは再三申し上げてきたとおりでありますし、また今は、米軍との協力のいわゆる詰めの必要性、また戦略的な議論の開始の必要性というものをお話ししたわけですが、私は、さらに重要なのは、自衛隊のいわゆる能力といいますか、部隊編成も含めた、実際の能力というものにやはりスポットを当てていかないといけないと思うのです。
 つまりは、法律は決まったけれども、実際問題、自衛隊の行動というものについていろいろな問題が私はあるんじゃないかという気がしてならないわけです。そのことについて防衛庁長官に、時間がなくなってきましたので、幾つか問題点を挙げていきますので、簡潔にお答えください。
 例えば陸上自衛隊の体制では、いろいろ機動部隊等のシフトが若干は行われつつあるというのは私もよく認識しております。しかし、基本的にはソ連が存在していたときの大規模着上陸阻止の体制というものをまだ、特に陸上自衛隊の編成では引きずっているのじゃないですか。ですから、北方展開が重視をされているという今の陸上自衛隊の体制が基本的には変わっていないというところであります。
 となると、今後の考えられ得る危機というものに対しては、部隊編成のいわゆる編成がえも含めて大きく私は見直していかなくてはいけないのではないか。この点について一点お伺いしたい。
 それから、もう一つは、予備自衛官、即応予備自衛官という制度を自衛隊は持っているわけでありますが、この予備自衛官制度というのは、他国に比べると物すごく比率が低いんですよね。人数が少ないわけです。人数が少ないですし、また同時に、何かがあったときに、この人たちが例えば実戦配備をするための訓練に要する時間ということを考えると、専門家の方に聞くと、大体半年ぐらいかかるんじゃないか、こういう話なんです。
 つまりは、昔のように仮想敵国と言われる大国があって、何かし出しそうだというときに号令をかけて、そして準備をして、半年以上たってその兆候が出てきたということになれば、いわゆる予備自衛官の体制というものは間に合うかもしれないけれども、実際、テロ、ゲリラ、どういう形で戦いが起きるかわからない中で、この予備自衛官、即応予備自衛官体制というのは本当に機能するのかどうか。この点について、二点目、御答弁をいただきたい。
 それから、基地の脆弱性というものをどう考えるかということなんですが、特に私が問題意識を持っていますのは、航空自衛隊の基地の戦闘機のシェルターのカバーされている率というのは物すごく低いですよね、日本は。これは、一度やられたら、滑走路などというのはもちろん舗装し直してやれば何とかまた空港として使える可能性があるわけでありますけれども、戦闘機をやられたら、もうそれで終わりですよね。ということは、いかにその戦闘機の抗堪性を高めるかということを考えたときに、今の日本の自衛隊というのはそういう面にお金を余り使っていませんよね、防衛庁長官はユニホームの方ですからよくその点はおわかりだと思いますけれども。
 以上の三つ、私は、法律の整備と同時に体制の問題として、これは、大きな変革、ひょっとしたら防衛大綱を見直すぐらいの変革をしないと、実際問題、起こり得る有事あるいは緊急事態というものに今のままだったら対応できないのではないかという思いを持っているんですが、その点について御答弁いただきたいと思います。

瓦委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
瓦委員長 始めてください。
 中谷防衛庁長官。

中谷国務大臣 現在の防衛計画の大綱につきましては、基本的には、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないように、独立国として必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという基盤的防衛力構想をとっております。
 この大綱で示されている防衛力は、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織、配備において均衡のとれた体制を保有することを主眼としたものでありまして、我が国の置かれている戦略環境、地理的特性を踏まえて導き出されたものでございます。
 冷戦後にこの大綱が定められまして、それに従って、現在、部隊の配置転換を計画的に行っておりますし、この大綱には、我が国の防衛に加えて、テロリズムにより引き起こされた特殊な災害を含む各種の事態への対応を防衛力の役割の一つとして挙げておりまして、現中期防におきましても、ゲリラ、特殊部隊による攻撃、核・生物・化学兵器による各種事態への対処能力の向上や、サイバー攻撃等の可能性におきましての情報セキュリティーの確保なども計画の方針として、主要な柱として行っておりまして、新たな危険をも念頭に置いた防衛力の整備に既に着手をしている段階でございます。
 それから、予備自衛官、即応予備等の能力につきましては、即応予備につきましては、出頭すべき日の五日前までに防衛招集命令書を交付することといたしておりまして、即応予備自衛官を招集してあらかじめ指定された部隊において自衛官として勤務を行わせるためには、五日程度は要することになると考えております。また、予備自衛官につきましては、同様に、出頭すべき日の十日前までに交付することといたしておりまして、この階級の自衛官として勤務を行わせるためには十日程度要することとなっております。
 あと、航空自衛隊の基地等の防御につきましては、航空機を攻撃から援護するために、航空機の掩体整備を昭和五十五年から開始して、現在まで主要基地において鋭意整備を進めてきているわけでありますが、航空機の掩体整備に当たっては、必要とする地積、財政事情等を勘案して計画的に整備を進めているところでありまして、今後ともこれらの諸制約を考慮しつつ、航空機掩体の整備を鋭意推進していく所存でございます。

前原委員 防衛庁長官、政治家同士の議論ですから、それを読まないで答弁してください。
 つまり、私が言いたいのは、今の陸上自衛隊、陸におられたんですよね長官は、本当に今のその体制というものが、旧ソ連の着上陸侵攻作戦阻止から全く違う展開に変更できているんですか、部隊編成が。それを聞いているんです。それをしなきゃいけないかどうかという話を聞いているのと、掩体整備だって金がかかるから、それは所要の手続に従ってやっていきますというのは、それは聞かなくても当たり前の話で、今一〇%もないでしょう、掩体整備率というのは、シェルターの。しかし、政治の意思で、では、どういうふうにその資源配分を変えていくかというようなところは、まさにそれは、防衛庁長官がトップなんだから、どういうことをメーンに財政の投入をしていくか、資源の投入をしていくかということを考えなきゃいけないでしょう。
 それから、予備自衛官の話も、具体的な、そういう事務的な何日何日ということじゃなくて、役に立つのかという質問をしているわけですよ。だから、読まないで答えてください。

中谷国務大臣 部隊の配置につきましては、今計画的に新しい体制に移っている段階でありますが、現場の声を聞きますと、とにかく人が足らない状態で、それは、災害の対応、地域の警備の計画、またPKOの派遣など、非常に苦慮しながら新しい体制に移行をいたしております。すぐにすべてが実施できるかといえば、階級や年齢等もあって、これの体制転換には時間がかかるわけでありますが、十年をかけて新しい体制に今移行している段階でございます。
 今後につきましては、新たな事態を認識いたしまして、在り方検討会議等で検討をいたしておりますが、中期的な防衛力整備計画に移せるものは移しつつ、また次の次の中期もにらんで、今後のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 それから、予備自衛官等につきましては、招集の時期に真剣に訓練を続けておりまして、基本的には現職の自衛官が対応するわけでありますが、その予備的な戦力としては、予備自衛官、また新たに今度は予備自衛官補というものを創設いたしましたが、一般人からたくさんの方々が応募されて、大変能力の高い組織になっておりますけれども、こういった能力をすべて結集して任務の達成に邁進をしてまいりたいと考えております。
 また、掩体等につきましては、財政的な問題等を勘案しつつ、計画的に実施をしてまいりたいと考えております。

前原委員 もうちょっとリーダーシップを持って答弁してもらいたいですね、それは、残念ですけれども。
 ちょっと関連して二つ、違う質問をさせていただきたいのですが。
 不審船の海底からの引き揚げについて外務大臣に伺いますが、中国への損害賠償というのはやるんですか、やらないんですか。まず簡単にお答えください、イエスかノーかで。

川口国務大臣 イエスかノーかということであれでございますけれども、短く答えを申し上げれば、我が方として具体的に今何も決定をしていないということでございます。
 これについては、中国側から、事件が発生して以来、現場に我が方の船がずっといまして、漁民が漁業ができないということで要望が出ているわけでございまして、我が方としては、この件については、真剣に対応し、誠意を持って対応したいというふうに思っておりますが、具体的に何ら決まったと、そういうことではございません。

前原委員 外交というのは、私は相互主義というのが必要だと思うんですね。それは、不審船の引き揚げで何日何十日も船が停泊して、その辺の漁民が迷惑しているのは、それはあるかもしれませんが、中国の海洋調査船というのは、過去、かなり日本の排他的経済水域、あるいは尖閣の周りだと領海内にも侵入していますよね。そして、ルールに反した形での海洋調査船も数あるというふうに聞いています。
 それから、水産庁に資料をいただいたんですが、これは中国の漁船でありますので民民の話かもしれませんけれども、中国の漁船による漁具被害というものもかなり、特に長崎なんかでは発生をしている。山口、長崎、北海道、そういったところから上がってきているということであります。
 私は、その辺は、向こうから言われたら言われっ放しで、誠意ある対応ということになれば、こちらも海洋調査船がルールに反してやられているケースがあると私は聞いていますし、具体的な数字も聞いていますけれども、そういうものに対して、では、日本も被害請求したらどうですか。

川口国務大臣 これにつきましては、委員御案内のように、昨年の二月にできました枠組みがあるわけでございます。この枠組みに関連して、事前通報なしに中国が調査を行った、あるいは事前に通報したことと異なる行動をとったというようなことは、四件あったと私は承知をしております。
 それで、昨年九月以降は、こういった本件の枠組みに合致しない事実ということはないということでございまして、今後、もしそういう枠組みに合致しないような案件が発生をしたということであれば、これは中国に申し入れを行うということはもちろんのことでございますし、枠組みについて中国側と平素から意思疎通を図っていく、そして、この枠組みが円滑に効果的に運用されるように考えていくということでございまして、過去に起こった場合につきましても、当方としては、それぞれについて中国側に申し入れをしているということでございます。そして中国も、これについては大事な枠組みであるので堅持をしていきたいということを言っているわけでございます。

前原委員 向こうはお金の話まで来ているわけですね。余りお金の話をするのはどうかと思いますが。
 先ほどおっしゃったように、枠組みができた後も違反件数というのはあるわけですよ。ありますし、それと同時に、それに対する被害というのも私はあると思いますよ。ですから、申し入れをして、向こうが、はい、そうですか、悪かったねということで、そしてこちら側からは、不審船の引き揚げで迷惑をかけたからお金を出しましょうと。これは全く相互主義の観点から私は反すると思いますので、これがもし安易に行われるということであれば、私は、外務大臣の責任も含めて、徹底的に国会の場で追及をしていきたいと思います。それだけ申し上げておきます。
 最後に、朝銀に対する質問をしたいと思います。村田副大臣、お越しでございますので。
 四つの受け皿の信用機関、信用組合がまだ発足ができていません。これは私も何度か国会で質問させていただきましたけれども、定款の中に、朝鮮総連の幹部、元幹部、学習組、そういったものに所属をした人は入れないということで、一応、近畿の三組合については役員改選が七月十九日にあって、私もそのリストをもらっております。
 村田副大臣に簡単にお聞きをしたいんですが、この理事長、それから副理事長、常務理事、それから非常勤の理事の中に、本当に定款違反に当たるような人はいないというふうに考えるかどうか、その点についての分析をお示しいただきたいと思います。

村田副大臣 新設の受け皿の四信組につきましては、発足時に際して、朝鮮総連等の組織からの独立性を求める、そういうことで、定款にそのことも書いていただきました。
 それを実現するという意味で、私どもも、国会等での大変厳しい御指摘も受けまして、役員体制についての見直しというものをこれまで要求してきたところでありまして、今委員がおっしゃるように、新しい役員体制がその受け皿の三信組についてはできたわけであります。
 これに朝鮮総連等の役員が入っていないかということでございますが、役員の定義にもよりますけれども、私どもは、信用組合の独立性に影響を及ぼすような、そういう人事というものは、それはない、定款が守られている認識でもって考えているということでございます。

前原委員 きょうは公安の方に来てもらっていると思いますが、ミレ、京滋、兵庫ひまわり、この理事長、副理事長、常務理事、それから非常勤の理事、この中に、定款に当たる、問題に当たると言われる朝鮮総連の幹部、元幹部、学習組、その所属メンバーや、所属したメンバーがいるかいないか、その点について、具体名は結構でございますから、いるかいないか、それだけ、公安、イエスかノーかで答えてください。

漆間政府参考人 お答えいたします。
 朝鮮総連を大変密接な関連のある傘下団体も含んだ総体としてとらえるという形でお答えすることになれば、今お尋ねの役員の中に、過去において、公刊物の中で、みずからが傘下団体の役員であるということを明らかにしているというケースはございます。
 しかし、それ以外の者につきましては、まさに学習組も含めまして、これは非公然の組織でございますから、警察の情報活動によってその内容は明らかにしなきゃならないわけでありますが、その内容を明らかにすることは将来の警察活動に大変支障を及ぼしますので、その辺については答弁を差し控えさせていただきます。

前原委員 今答弁されたように、村田副大臣、これはまだ人事で問題ありますよ。今聞かれたとおりですよ。
 つまりは、定款違反、定款に抵触をしない人事であるというふうに思うとおっしゃいましたけれども、私も、今の局長が答弁されたように、そうじゃないと思っています。もしこれをスタートさせたら大問題ですよ。だって、定款違反のことを金融庁として認める話ですから。これはスタートをさせる前にこの人事をもう一度洗われなければ、このことについて私は――全部でこれ一兆四千億円ぐらいなんですよ、国費投入が。大きな問題なんですね。
 ですから、きょうは今の警備局長の御答弁を指摘して、このメンバーで定款がクリアをしているという答弁について、私は、それはこの立場では認めない。何かありますか、答弁。どうぞ。

村田副大臣 私どもは定款違反の事実は認めるところではないということを、私は御答弁申し上げました。
 先ほどの警察庁の方の答弁は、傘下団体云々ということを言っておりまして、私がその答弁を理解するに、その傘下団体というものが具体的にいかなるものを指すのか。私どもは、商工人の団体、これは彼らが信用組合を組成していく中で当然のこととして商工会のメンバーにもなるし、そういう意味で、私どもは、その団体に入っていることゆえにこれは定款違反という事実を、そういうことになるというふうには理解していないわけでございます。

前原委員 これで終わりにしますが、委員長にちょっとお願いをしたいと思います。
 この事態特で、理事会で諮っていただくのが適切かどうかわかりませんが、日本の安全保障上、極めて重要な問題でございますし、今、私の議論と、それから警備局長、それから副大臣の答弁の中には、定款の定義というものに対するずれがあると思います。
 つまりは、定款で定められている、朝鮮総連あるいは元朝鮮総連の幹部であるかないかというものの定義をしっかりとやはり委員会に示していただきたい。そのもとで、やはり物差しがないとなし崩し的に税金投入が行われてしまうと思いますので、そのことを理事会でお諮りをいただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

瓦委員長 後日、後刻理事会で取り計らってまいりたいと思います。
前原委員 質問を終わります。ありがとうございました。


2002/07/24

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