2002/07/03-4

戻るホーム目次


平成十四年七月三日(水曜日)

木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
 六月四日にマスコミが大きく報じまして、翌五日に衆議院の決算行政監視委員会で保坂展人議員が質問をいたしました、陸上自衛隊駐屯地元司令にかかわる情報公開請求漏出事件について質問をいたします。
 事案の概要をわかりやすくするために、私が情報公開請求漏出事件関係図というものを作成しておきましたので、委員長の許可を得て配付していただきたいと思います。
 これは、新潟県在住の弁護士が防衛庁に対して行った情報開示請求の事実が、後に提起をいたしました訴訟の、民事の損害賠償請求訴訟でありますが、訴訟の相手方である駐屯地の元司令の側に筒抜けになっておったという驚くべき事件であります。
 まず、どのような情報開示請求があったのか、情報開示請求の日時、請求者の氏名、住所、電話の記載の状況、請求する行政文書の名称、請求の方法を明らかにしていただきたい。
 なお、行政文書に記載されております駐屯地の具体名や請求者の住所、電話番号は、プライバシーの関係もありますので、それは明らかにしなくて結構でありますが、それ以外の請求の具体的な中身について答弁を願います。
山中政府参考人 当該事案に係ります行政文書の開示請求の内容でございますが、昨年の十二月に開示請求が行われております。
 当該開示請求書には、開示請求者の氏名、住所、電話番号、それから請求内容が記載されておりまして、この請求内容につきましては、当該駐屯地におきます平成十三年会議費関係書類一切の件ということでございます。
木島委員 答弁漏れがあるので、私の方から補足しましょう。
 請求した日は、平成十三年十二月五日、それが、受け付けが、受理されたのが十二月十日、請求者の名前は言って結構だと私言ったのですが、言わなかったので、私から言いましょう、斎藤裕氏。それから、請求した文書はもう一種類ありまして、平成十三年前渡資金のリアルタイム、名前は伏せますが、○○駐屯地一切の件ですね。そして、請求の方法を言わなかったのですが、直接当事者が出向いたんじゃなくて、防衛庁本庁に対する郵便での請求。
 確認を願います。
山中政府参考人 ただいま御指摘のあったとおりでございます。
木島委員 二通の行政文書開示請求書で開示請求がなされましたが、請求者の氏名、住所、電話番号、請求する文書の特定など、本件は、一点の補正も必要なく、法律上全く問題のない適正な請求だったと確認してよろしいでしょうか。
山中政府参考人 さようでございます。
木島委員 こういう防衛庁本庁に対する郵便による情報開示請求がなされましたが、これは、受理の手続を行ったのは防衛庁のどの部署なんですか。
山中政府参考人 開示請求を受理いたしましたのは、防衛庁情報公開室でございます。
木島委員 長官官房にある情報公開室でございますね。
 この情報公開請求につきましては、結論を言いますと、翌平成十四年、ことしでありますが、一月九日付で、一部開示決定がなされたと思います。そして、請求者本人に文書のコピーが郵送されております。
 相違ありませんか。開示された文書と、不開示部分は何だったのか、簡潔な答弁を願います。
山中政府参考人 基本的に、請求に応じまして開示をいたしておりますが、法人の印影につきましては不開示といたしております。
木島委員 斎藤裕氏、請求者は、実は弁護士であります。しかし、彼は、請求書には弁護士という職業は書き込みませんでした。そして、彼、請求者斎藤弁護士が、自分が行った情報開示請求の事実が漏えいしているんじゃないかということを知ったのは、ことしの四月三十日、依頼者の代理人として駐屯地元司令を相手に損害賠償請求事件を起こした民事訴訟の口頭弁論におきまして、駐屯地元司令の訴訟代理人から、防衛庁に対して情報公開請求をした事実を指摘され、そして、得られた文書を本件民事訴訟で証拠として裁判所に提出しないのか、こういうことを裁判所の中で告げられたからであります。
 しかし、斎藤弁護士が防衛庁長官あての情報公開を請求した内容、今答弁がはっきりとありました、平成十三年会議費関係書類、○○駐屯地一切の件と、平成十三年前渡資金のリアルタイム、○○駐屯地一切の件、そのものであります。この内容と、斎藤弁護士が依頼人の代理人として行っている元駐屯地司令に対する損害賠償請求訴訟とを直接に結びつけるものは何一つありません。
 斎藤弁護士は、先ほど指摘しましたように、情報公開請求書には弁護士の肩書すら記載していなかったのであります。まず、その事実は防衛庁、認めますね。斎藤弁護士が請求したこの二種類の防衛庁の文書と、斎藤弁護士がある依頼者から、駐屯地の元司令に対する損害賠償をやっていた、一定の理由があってやっていた、それとは直接何の関係もない、そういう基礎的な事実は防衛庁、認めますね。
山中政府参考人 ただいま、具体的な氏名を挙げてのお尋ねでございますが、その方の請求に係りますものにつきましては、個人情報保護の観点から申し上げかねますが、お尋ねの十三年の会議費の関係書類につきましては、氏名、住所、電話番号、請求内容が記載されているのみでございます。
木島委員 まともに答えようとしませんから、どういう民事裁判が行われたか。
 もう既に当衆議院の決算行政委員会で保坂代議士から指摘されておりますから繰り返すつもりはなかったんですが、これは、斎藤弁護士の依頼者、民事訴訟の原告、その妻に対して、民事訴訟の被告たる元○○駐屯地司令が関係を強要した、男女関係を強要した。それに対する夫からの損害賠償請求であります。請求を起こしたのは昨年の十一月であります。そして、請求の裁判を起こしたのはことしの一月九日なんです。
 そういう事案と、斎藤弁護士が、この同じ駐屯地でありますが、飲食費に関する書類、この請求をしたこととは直接は全然関係ない。それは事実でありますでしょう、まあ、認めようとしませんが。しかも、駐屯地元司令、裁判の被告は、既にこのときは駐屯地にはおりませんでした。平成十一年には駐屯地司令を退任し、はるか遠く離れた陸上自衛隊、これも名前を伏せます、○○学校勤務になっておるわけであります。
 斎藤弁護士が駐屯地元司令を相手に、依頼者の代理人として民事の損害賠償訴訟を提起する前段階の手続で、内容証明郵便で具体的に損害賠償請求したのは、先ほど言ったように昨年の十一月。らちが明かないので、裁判を起こしたのはことし一月九日。ところが、情報公開請求をしたという事実が漏れた。そして、民事裁判の裁判所において、相手方弁護士から、あんた、情報公開請求しているだろう、情報公開でとった書類はこの裁判の証拠書類として出さないんですか、こんな質問を受ける。弁護士はびっくりしましたと言っています。
 これは、事案を見ますと、情報公開請求事務にかかわっただれかが、逆に斎藤弁護士とその周辺を逆調査し、斎藤弁護士が依頼者から相談を受け、駐屯地元司令、駐屯地の最高責任者です、これを相手にして民事の損害賠償請求をする準備をしている、そういう情報、これは基本的には本人以外にわからない情報でしょう。それを遠隔地にいる元駐屯地司令に伝えたんじゃないか。この情報公開請求という大変私的なプライバシーにかかわる問題をだれかが漏らしたという、だからこんなことになったんだと思えてなりませんが、防衛庁、どうですか。
宇田川政府参考人 御指摘の本件についての経緯を申し上げます。(木島委員「いや、細かいのはいいですよ、もう決算委員会で聞いているようなことはいいですよ」と呼ぶ)
 決算委員会と同じになりますが……
瓦委員長 答弁はきちんとやってください。
宇田川政府参考人 はい。本件は、御指摘のとおり、平成十三年十二月に、原告側弁護士からの会議費に係る行政文書開示請求がなされました。これを受けました東部方面総監部が、当該駐屯地の会計隊長に調査依頼をしたわけであります。
 この当該駐屯地の会計隊長は、行政文書開示請求があったことを口頭で駐屯地司令に報告しております。報告を受けた駐屯地司令は、会議費の関係でありますので総務になります、前に総務等を担当したことのある元三等陸佐に駐屯地内でたまたま会ったときに、行政文書開示請求がなされている対象期間とこの三等陸佐が担当している期間は違っていることはわかっていたわけでありますが、過去の会議費について確認しようと思いまして、会議費の執行を担当していた当時の状況につき聞きました。そのところ、適正に執行したとの回答を得たわけであります。
 その後、元三等陸佐から情報開示請求があったのかと問われた駐屯地司令は、単にあったとのみ答えております。なお、駐屯地司令は、会議費の行政文書開示請求の対象期間が元三等陸佐の総務等を担当した期間とは関係のない期間であったことなどからして、詳細については告げておりません。
 その後、十二月二十日ごろ、今御指摘の民事訴訟の被告になっております元駐屯地司令の一等陸佐が、以前駐屯地司令をしていたときの部下であるこの元三等陸佐と会合の細部日程等の打ち合わせをしたわけでありますが、このときに、元の駐屯地司令は元三等陸佐に、駐屯地でその後変わったことはないかとの問いかけがありましたので、元三等陸佐は、行政文書開示請求が当該駐屯地に来ているということを言ったわけであります。
 これはなぜかというと、駐屯地にとって行政文書開示請求というのは珍しいということからこう申し述べたものであります。
 この元駐屯地司令の一等陸佐は、十二月二十日ごろ元三等陸佐から、駐屯地に会議費の行政文書開示請求があったということのみを聞いた際、行政文書開示請求が自分の駐屯地司令在任期間中のものであると思い込んだわけでありまして、元三等陸佐が当時担当していたときの会議費についてなぜ行政文書開示請求があったのか疑問に思っているものと考えまして、元三等陸佐には、会合の翌日の十二月二十三日、移動中の車の中で、自分が訴えられるためではないかというように言ったわけであります。
 この会合後、元駐屯地司令の一等陸佐が依頼弁護士に相談に行った際、自分が駐屯地司令に在職期間中の会議費について行政文書開示請求がなされているようだということを話したため、これを聞いた弁護士が、民事訴訟の関係で相手方が請求してきたのであろうと推測をしたというものでありまして、それぞれ推測で相手に話したというのが現実でございます。
木島委員 既に六月五日に衆議院の決算行政監視委員会で保坂議員からの質問に答えて流れが答弁されておりますが、それをもうちょっと詳しく言っただけであります。
 私が皆さんに配付している情報公開請求漏出事件関係図の右側の駐屯地会計隊長、ここには文書があるので、ここまではきちっとした公的な手続でしょう。
 そして、ちょっと矢印の位置を変えました。この会計隊長から現駐屯地司令、そこに事実が漏れる、駐屯地司令から駐屯地元三佐に事実が漏れる、駐屯地元三佐から問題の、今当地にはいない、はるか遠く離れた自衛隊学校に勤務している元駐屯地司令のところに情報が漏れる。これは全部漏れた話なんです。
 決算行政委員会での宇田川局長の答弁の中には、この矢印に二重の推測があるなんと言うので、いかに根拠薄弱かを自白しているようなものなんですが、実際にここで言う、今の答弁で総務をやったことがある人物と言いました、駐屯地元三佐。これが中心に情報を漏らしたのかも知れません。
 実は、斎藤弁護士を逆調査する、そして、彼が元駐屯地司令を被告にして民事損害賠償請求裁判を起こそうとしている、そういうことまで探り当てていた。それにこの情報公開請求をした事実漏えいが一つのきっかけになったということをうかがわせるに足る重大な事実を私はつかんできました。
 斎藤弁護士が依頼者の代理人として駐屯地元司令を相手に賠償請求を提起したのはことしの一月九日。その日、ちょうど情報公開請求に対する一部開示決定のなされた日であります。同じ日。これはたまたまでしょう。そのころ、この図面にあります駐屯地の三佐、当時三佐であります、今退官していまして二佐になったようでありますが、彼が、斎藤弁護士の依頼者の身内の者に対して、裁判など起こすな、こんな圧力をかけているというんです。とんでもないことであります。二佐も防衛庁も、こういう身内の者から相談を受けたなどと言っているようであります。裁判を起こすななんて圧力をかけた事実はないかのごとく、否定を防衛庁もこの本人もしているようでありますが、そんなことはありません。
 防衛庁は、この裁判など起こすなという圧力をことしの一月上旬にかけたという事実を、斎藤弁護士や依頼者やその身内の者から事情を確認していないんですか。それとも認めますか、私の今言ったことを。
宇田川政府参考人 御指摘の案件につきまして、訴訟を起こすなという圧力をかけたというお話でございますが、当該弁護士から防衛庁の方にそういうふうなお話がありましたので、確認しましたところ、そういうことはないということで、当該弁護士にお伝えしました。また、その後、当該弁護士から来たペーパーには、それにつきましてはそうではなかったというふうな話を承知しておるところであります。
木島委員 当該弁護士とはだれですか。斎藤弁護士のことをいうんですか。
宇田川政府参考人 おっしゃるとおりですが。
木島委員 そんなことはないんです。私は直接会って確認しているんです。
 さらに、もっと大変な事実もこの弁護士は私に指摘をいたしました。この二佐は、斎藤弁護士の依頼者に対してこう言った。斎藤弁護士のいる法律事務所は問題のある事務所だ、あの事務所はこういう事件を平和運動に利用するような事務所だから訴訟はやめてくれ、こういうことなどを言って、これは斎藤弁護士と被害者である原告を離反させようとする無法な言辞さえ行っている。
 これは、私がその弁護士から直接話を聞いて確認している事実であります。防衛庁は、この重大な、大変な事実、これをつかんでいないんですか。
宇田川政府参考人 先ほどの件になりますが、二月八日付の意見書が当該弁護士から出ておりまして、○○○から訴訟妨害があったとの部分については撤回いたしますというペーパーをいただいておるところであります。
木島委員 しかし事実、そういう妨害があったことは消せない事実なんです。
 中谷防衛庁長官は、ことし六月五日の決算行政委員会におきまして、保坂議員の質問に答えて、本件については事実について重ねて調査すると答弁をしたわけであります。しかし、六月十一日の「調査報告書」、これには何の報告もない。保坂議員への調査結果報告もない。まともな調査は、中谷長官、委員会での答弁にもかかわらず、やってないんじゃないですか。
中谷国務大臣 この調査につきましては、六月四日の報道に対して六月五日に公表いたしておりますが、その六月五日の決算行政監視委員会におきまして人事教育局長から事実関係を答弁したところでありますけれども、保坂議員から、これに対してしっかり調査していただきたいという趣旨の御質問がありましたので、私の方から改めて陸上自衛隊に調査を命じまして、六月の六日に再度報告を受けたところでございます。
 その点の調査におきましては、二つ、さらに調べていただきまして、この駐屯地司令は、元駐屯地司令の不祥事について知っていたかどうか、また元駐屯地司令と元三等陸佐のやりとりはどうであったかという点について調査を命じたところでございます。
木島委員 決算行政委員会で防衛庁から当時答弁があった、現駐屯地司令からこの情報を元の駐屯地司令、要するに裁判の被告、これに情報を漏らしつないだこの駐屯地三佐、この人物と、この関係図に書いておきました一月上旬に裁判なんかやるなという圧力をかけた、この駐屯地の二佐、これは同一人物か、それとも違う人物か、答弁ください。
宇田川政府参考人 委員の配付されましたペーパーの「○○駐屯地元三佐」と、一番下に書いてあります「○○駐屯地二佐」、これは三佐でございましたが、退官するときに二佐に昇任しておりますので同一人物だと思います。
木島委員 事実は明らかですね。
 要するに、本来そんなところに斎藤弁護士が情報公開請求したかどうかなんという事実が行くはずのない人物です、この三佐、そして退官時二佐。その人物が中心に座って情報を当事者に漏らす、そして漏らしただけじゃなくて、その人物が原告になろうとしている人物に対して、さんざん裁判を起こすなというような圧力をかける、これはどういう構造だ。防衛庁、駐屯地ぐるみで元の駐屯地の司令、これの本当に不祥事ですわ、恥ずかしいような不祥事、これを裁判を起こされちゃ困る、何とか裁判を抑え込む、そういうために動き回った。そして、そのために、たまたま斎藤弁護士がこの情報公開請求をしていたということの情報が一方から流れてきたことをつかんで、それのきっかけにした。そういう構造がここから見えてくるんじゃないですか。これはとんでもない事件だ。防衛庁長官、そういう認識、この図面見て思わないんですか。
中谷国務大臣 裁判中の問題でございまして、双方の関係もございますが、現在の駐屯地司令は、この開示請求手続が行われております平成十三年の十二月十一日から十九日までの間は、この元駐屯地司令の不祥事につきましては承知をしておりませんでした。十二月の二十五日ごろ、この総務をした元三等陸佐から初めて聞いて知ったものでございまして、この駐屯地がこのような不祥事とか裁判にかかわったということはないと思います。
木島委員 根本のところは否定していますが、かかわっているんですよ。この民事損害賠償請求は純粋に民事事件ですよ。ところが、そんな民事事件に現に駐屯地の三佐がかかわってくるという、そうしたかかわるに至ったきっかけが、その弁護士が情報公開請求していたという事実をつかんでかかわってくるという事件なんですよ。
 ですから、私、今回の事件で、防衛庁の情報公開請求者のリストがつくられていた、そしてそれが保管されていた、防衛庁内のLANにずっとまかれていたということがありました。この「調査報告書」によりますと、しかし情報を受け取った方は一切使っていないというようなことをこの報告書には書かれておりますが、これは本当に最悪な情報公開請求者の身元調査がされた、弁護士だけではなくて、その依頼者の周辺にまで身元調査が及んだということをこれは示しているんじゃないでしょうか。
 では、聞きましょう。この斎藤弁護士の情報公開請求に係る事案は、今回問題になってつくられたリスト、陸海空三幕、内局、施設庁、リストに載っていますか。答弁してください。――委員長、私は事前に通告しておいたんです、リストにこれは載っているかと。
山中政府参考人 陸幕の情報公開室の担当者が作成をいたしました開示請求受状況一覧表、これは今回の「調査報告書」においても言及をされておりますが、その中の区分に記載をされております。
木島委員 リストに載ったと。では、だれが作成したどんなリストにどのように記載されて掲載されたのか、それがどのように庁内に広められたのか、それを答弁してください。具体的なリストの載せ方。
山中政府参考人 当該事項につきましては、摘要欄に法律事務所という形で業務処理状況の一覧表の中に位置づけられておりまして、陸幕のLANに掲示されていたということでございます。
木島委員 私は、今回問題になった、たくさんの、数え切れないほどのおびただしい情報公開請求、そしてそれが、みんなリスト化され、まかれていく、それにはセンシティブな情報も入っていた、そして大問題になっているわけですが、その中のたった一つの問題をきょうは指摘をいたしました。
 その情報漏れが、こんな形で、国民の裁判を受ける権利、裁判を起こす権利、弁護士としての権利、権益、それへのとんでもない侵害となってあらわれているということを指摘をしたわけであります。
 そして、これに全く触れていない今回の防衛庁による情報公開請求者リストの「調査報告書」は、まことに不十分と言わざるを得ません。委員会において徹底した真相の解明が必要だ。
 とりあえず私は、この事件というよりも、もっと基本である海幕三佐、そして陸海空三幕の室長の参考人招致を改めて求めたいと思います。
 よろしくお願いしたいと思います。
瓦委員長 後刻、理事会で取り扱います。
木島委員 はい。質問を終わります。

瓦委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 自由党の安全保障基本法案について伺います。
 第三条で、「自衛権の発動としての武力の行使は、我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態が生じた場合に限り、これを行うことができる。」としてあります。これは、我が国が、個別的であれ集団的であれ自衛権を有し、かつ発動できるという憲法解釈を明文化するとともに、自衛権の乱用を禁じる趣旨と理解します。
 そうしますと、経済的権益の保護でありますとか在外邦人保護のための武力行使、そうしたことを自衛権の発動として正当化することは明確に禁止されているということだと思いますが、そうでしょうか。
東(祥)議員 達増委員にお答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、安全保障基本法第三条では、自衛権の発動としての武力の行使を、我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態が生じた場合に限定し、それ以外の武力行使は行わないこととしております。
 戦争は、個別的自衛権の行使を大義名分に行われている。我が国も、過去において、邦人保護を名目に山東出兵し、南方から来る石油を確保するために南部仏印まで進駐してという歴史があります。このようなことのないように、自衛権の発動としての武力の行使は限定的に行わなければならないという趣旨でこの第三条の規定を設けたところであります。
達増委員 これは政府の憲法解釈も伺いますが、経済的権益の保護や在外邦人保護のための武力の行使を自衛権の発動として正当化することは禁止されているという解釈でしょうか。
福田国務大臣 憲法九条のもとで許容されております自衛権の発動としての武力の行使につきましては、政府は従来から、自衛権発動は、三要件に該当する、そういう場合に限られているという解釈をしてきておりますけれども、一般に、お尋ねの経済的権益や在外邦人の保護のための武力の行使がこの要件を満たすことはなく、我が国がそのようなことを目的として武力を行使することは許されないと考えております。
達増委員 こうした自衛権のあり方をめぐる憲法解釈、重要なものを明文化していくということは、非常に重要だと思います。
 そこで、自由党の安全保障基本法案第三条についてさらに聞きますが、これは集団的自衛権の行使についても認めているんだと思います。しかし、それを、日本とその周辺での武力攻撃あるいはそのおそれの事態に限定することで厳しく縛りをかけているということでありましょうか。
 また、そうしますと、九月十一日テロ後、中東やインド洋における日米の軍事協力というものを集団的自衛権の行使として正当化することはできないという解釈になるでしょうか。
東(祥)議員 達増委員御指摘のとおり、自衛権については、個別的であれ、また集団的であれ、国際連合憲章第五十一条において、国家の固有の権利として認められているものであって、その間に大きな区別はないというのが我が党の見解であります。
 しかし、十九世紀、二十世紀の戦争を見たときに、すべて自衛権の名のもとに戦争というものが行われてきたことにかんがみると、集団的自衛権については、その行使を認めるものの、抑制的に、自制的にとらえるべきであると私たちは考えております。
 したがって、集団的自衛権の存在及び行使を認めつつ、それを抑制的にとらえて、例えばベトナム戦争型の、国連加盟国の一部の国々が自衛権の名のもとに戦闘行動を起こしたときに、そのときにすぐさま私たちはそれに参加することはない。あるいはまた、今御指摘のように、九月十一日同時多発テロ後の中東やインド洋での日米軍事協力を行うことはない。それが三条一項の「我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態が生じた場合に限り、」という制約であって、自衛権の行使について明確な規制をしているものであります。
達増委員 これは、およそ集団的自衛権について、権利はあるが行使はできないという政府解釈よりもはるかに現実的で、筋の通った解釈だと思います。
 さて次に、周辺事態との関係について伺いますが、自由党の安全保障基本法案第三条のこの「我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態」というのは、周辺事態法における周辺事態の定義の中にも使われている言葉であります。
 そうしますと、自由党の解釈としては、周辺事態法に言う周辺事態には我が国が自衛権の発動として武力行使を行うことができる、そういう解釈になると思いますが、よろしいでしょうか。
東(祥)議員 詳細は省きますけれども、おっしゃるとおりであります。
達増委員 そこで、政府に伺いますが、政府としては、周辺事態における自衛隊の活動を自衛権の発動としての武力行使というふうに理解しているでしょうか。
中谷国務大臣 周辺事態は、我が国周辺の地域における我が国の安全と平和に重要な影響を与える事態であり、周辺事態では我が国に対する直接の武力攻撃が発生しているわけではございません。したがいまして、周辺事態では、我が国の自衛権発動の三要件が満たされておらず、自衛権の発動としての武力行使を行うことはございません。
 また、周辺事態安全確保法でも、その第二条二項において、周辺事態における対応措置の実施は武力の行使に当たるものであってはならないとされているところでございます。
達増委員 長官に確認したいんですが、さはさりながら、周辺事態において武力攻撃事態になる場合はあり得るということですよね。
中谷国務大臣 委員会でもお答えをいたしておりますが、両者が併存する場合はあり得るわけでございます。
達増委員 この辺が、自衛権の行使としての武力行使というものが、政府の場合、どこまで、どのように認められるのかはっきりしないところであります。
 さて、次に、いわゆる集団的安全保障、国連のもとでの集団的安全保障について政府と自由党に質問をしますけれども、自由党の安全保障基本法案七条一項では次のようにあります。
 「我が国は、国際の共同の利益のため必要があると認めるときは、国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議又は国際連合、国際連合の総会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関若しくは国際移住機関が行う要請に基づいて行われる」、要は次のところです、「国際の平和及び安全の維持若しくは回復を図るための活動(武力の行使を伴う活動を含む。)又は国際的な救援活動に積極的に協力するものとする。」つまり、国連の決定があれば武力の行使を伴う活動にも参加していい、また協力するものとするということであります。
 政府に伺いますけれども、政府の考え方としては、たとえ国連がきちんと決めて関係国に武力行使を伴う活動を要請した場合でも、我が国がその武力行使に参加するのは違憲という考えなんでしょうか。
    〔委員長退席、米田委員長代理着席〕
福田国務大臣 自由党が御提案の安全保障基本法案第七条第一項の場合というのは、国連総会などの決議や国連などの要請に基づいて行われます国際の平和及び安全の維持または回復を図るための活動等に我が国が協力する場合をいうものと考えるのでありますけれども、従来、国連のもとで行われておりますこのような活動等の場合には、一般に、我が国に対する武力攻撃は発生していないというように考えられますので、従来から政府が申し上げております自衛権発動の三要件を満たしていない、したがいまして我が国が武力を行使することは憲法上許されない、このように考えておるところでございます。
達増委員 では、この点について自由党の考えを伺います。
東(祥)議員 我が党の安全保障基本法案第七条には「国際の平和及び安全の維持又は回復を図るための活動等に対する協力」が規定されているところでありますが、国際の平和及び安全の維持または回復を図るための活動は自衛権の行使とは全く別の概念であると我が党は理解しておりまして、国連の平和のための活動は、仮に武力を行使することがあっても、それは国際社会が平和を回復、維持するための活動であって、憲法の禁ずる国権の発動ではない、このように私たちは理解しております。
 日本国憲法前文には、自国のことばかりに専念し、他国を無視してはならない、国際社会において名誉ある地位を占めたいと規定されており、憲法で禁止されていないばかりか、国際社会の一員として、世界の平和のためには汗をかく、時には血を流すことがあっても、国連の国際社会の共同行動には積極的に参加、協力するという原則をこの第七条で明らかにしたところであります。
達増委員 では、これは政府に端的に伺いたいんですけれども、これはもう素朴な疑問であります。
 日本国憲法が国連のもとでの平和活動における我が国の武力行使を禁じている、そう解釈するのはなぜなんでしょう。
安倍内閣官房副長官 国連のもとでの平和活動については、我が国は、国際の平和と安全を実現するために憲法の枠内で協力することとしているわけでございます。
 他方、憲法第九条のもとで許容される我が国の武力の行使は、あくまでも自衛権の発動としての必要最小限度のものに限られると解されるところでございまして、従来、国連のもとで行われている類型の平和活動のうち武力の行使に当たる行為は一般に自衛権の発動としてのものではない、このように考えているところでございまして、我が国としてこれを行うことは憲法上許されないという解釈をとっております。
達増委員 憲法にそう書いてあるからというような内容の答弁だったと思いますけれども、憲法というのは所与のものではないわけでありまして、不磨の大典ではないわけでありまして、憲法制定権力というその時々の国民の総意、そういったものによって成り立っているわけでありまして、今、日本国民が、なぜ日本が国連のもとでの平和活動において武力行使を禁じているのかという疑問を国民は持つでありましょうし、そうしたことにこたえ得る政府のあり方が求められているんだと思います。
 さて、自由党の安全保障基本法案七条の二項には、この国際の平和及び安全の維持または回復を図るための活動等に対する協力は、「国際法規及び国際連合の定める基準その他確立された国際的な基準に従って行われるものとする。」とあります。
 この点からしますと、我が国のPKO法でありますとか船舶検査法でありますとか、国際基準とずれた活動の基準が設けられていると思われるわけでありますけれども、この辺は国際基準に合わせて変えていかなければならないという趣旨でしょうか。
東(祥)議員 達増委員御指摘のとおりであります。
 若干敷衍させていただきますけれども、各国が国連のもとに共同行動するときに、例えば武器使用にしても臨検にしても、ひとり我が国のみが各国と違う行動をとるならば、共同行動の規律を乱し、目的の達成に十分な成果を上げられないことも十分に考えられるところであります。我が国の国際協力が国際法規及び国際連合の定める基準その他確立された国際的な基準に従って行われるのでなければ、我が国が各国から信頼され、尊敬され、必要とされる国家になることはできないと思います。
 このような観点から、安全保障基本法案第九条に、「国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。」としており、それは今御指摘になりましたPKO法や船舶検査法の改正を念頭に置いたものであります。
達増委員 自由党の安全保障基本法案の第八条「国際連合平和協力隊の創設」、この国連平和協力隊の創設ということですが、自衛隊とは別に国連平和協力隊を創設するのはなぜでしょう。
東(祥)議員 我が党は、国際連合の行う平和活動に参加して武力を行使することがあっても、それは国際社会が一致協力して平和のために行う活動であって、自衛権の行使とは別の概念で考えるべきだ、先ほども申し上げたとおりであります。したがって、国際連合平和協力隊という自衛隊とは別個の組織とすることによって国連協力の部隊であることを明確にしようとするものであります。
 国連協力のために専門的に置かれている軍事組織は、いわゆる国連待機軍として北欧などで既に存在しておりますけれども、装備も訓練も通常の防衛任務に当たるものとは異なるものが必要でありまして、国連の平和活動に積極的に参加、協力しようとするためにはこのような組織を創設することが望ましいと考えたところであります。
 なお、国際連合平和協力隊は防衛庁長官の指揮監督のもとに入ることとしておりまして、我が国有事の際あるいは非常事態の際に、必要があれば当然防衛庁長官のもとに任務を遂行することができるといたしております。
達増委員 次に、自由党の非常事態対処基本法案について質問をいたします。
 この非常事態対処基本法案第二条「定義」のところにありますように、直接侵略または間接侵略のみならず、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な災害または騒乱等々、国民の生命、身体もしくは財産に重大な被害が生じ、もしくは生じるおそれが生じ、または国民生活との関連性が高い物資もしくは国民経済上重要な物資が欠乏し、その結果、次が重要だと思います、国民生活及び国民経済に極めて重大な影響が及ぶおそれが生じ、通常の危機管理体制によっては適切に対処することが困難な事態、そういう広い非常事態に対処するための基本法ということで、今回の政府案であります古典的な国家間戦争、二十年前、三十年前から研究されていたそういうことについての有事法制よりも、より今日的課題に直接こたえるものだと思います。
 そのことについては指摘をさせていただきまして、この非常事態対処基本法案と政府の有事法制関連法案の違いの大きいところなんですが、自由党案は、国会の議決によって一たん出した非常事態の布告を廃止できるようにしてある。第五条で、政府が出した非常事態の布告を国会の議決によって廃止できるようにしてある。これはなぜでしょうか。
中塚議員 非常事態においては、内閣総理大臣のもとに権限を集中し、いかなる事態にも迅速的確に執行できる態勢をとらなければいけないというふうに考えておりますが、そういう意味で内閣の執行権を強化するということが必要になるわけですけれども、その行使はあくまでも国権の最高機関たる国会の承認を前提として行わなければいけないと考えております。非常事態自体が限界事例ということになりますが、そういう中でも、日本国憲法の基本原則の一つである国民主権というものはやはり最大限に絶対尊重されなければいけないというふうに考えております。
 したがって、第五条第五項におきまして、非常事態の布告が国会によって承認された後であっても、国会が廃止を議決した場合には直ちに布告を廃止しなければならないとの規定を設けたところであります。
達増委員 政府案では、一たん対処基本方針なるものがつくられ、それが国会の議決で承認されてしまった後は、それを途中で国会の議決で廃止することはできないようになっていますが、これはなぜでしょうか。
安倍内閣官房副長官 御承知のように、今委員が御指摘されたように、対処基本方針を定めたら直ちに速やかに国会の承認を得るということになっておりますし、また変更があった場合、あるいはまた予測事態からおそれ事態に移った場合はその都度国会の承認を受けるということになって、必要としております。
 そして、今御指摘の廃止するに際してのことでございますが、法案におきましては、対処措置を実施する必要がなくなったと認めるときは対処基本方針を廃止する閣議決定を行う旨定めておりまして、武力攻撃事態が終了し、一連の対処措置の必要がなくなれば、対処基本方針を速やかに廃止するということになっているわけでございます。
達増委員 国会と政府の関係についてはもう一つ自由党案と政府案の違いがありまして、自由党案は非常事態に関する国会報告というものを定期的に行わなければならないと義務づけてありますが、政府案の方では事態が進んでいる間の国会報告を義務づけていません。政府案は、対処基本方針を廃止したとき、事態が終わったときにはそれを報告することになっていますけれども、途中の報告はない。
 この点、非常事態というのは政府が暴走する危険性が常にあると思うんですね。したがって、非常事態において政府の暴走を国会がとめることのできる仕組みというのが非常に重要だと思うんですが、これは自由党に伺います。非常事態に関する定期的な国会報告、政府による国会報告を義務づけているのはなぜでしょう。
中塚議員 先ほど申し上げましたが、非常事態におきましては、内閣総理大臣のもとに権限を集中する必要がある一方で、国会には不断のチェックというものがもう絶対的に必要だというふうに思っております。
 内閣総理大臣は、非常事態の布告を発する場合にはあらかじめ国会の承認を得なければならないとしておりますし、非常事態の布告が廃止されるまでの間、国会の承認を得た日から六十日ごとに国会に対し非常事態及びこれへの対処に関する状況について報告をしなければならないというふうに規定をいたしました。
 もとよりこの規定がなくても内閣は国会の求めに応じて必要な報告を行うというのは当然だというふうに考えますけれども、非常事態の重要性及び権限を行使するに当たっての内閣と国会の緊張関係を常に保っておくということが必要であり、内閣に一定期間ごとに国会への報告を義務づけることが適当であるというふうに考えた次第です。
達増委員 質問の通告がちょっと後先いたしますけれども、自由党案では、平素から内閣が非常事態に関する基本計画を決めておくように規定されております。
 一方で内閣の案は、政府案は、この武力攻撃事態が発生した後に対処基本方針を決める、その対処基本方針の中にいろいろ定めることになっているわけでありまして、武力攻撃事態の認定、武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針、対処措置に関する重要事項を対処基本方針として定める。武力攻撃事態に至ったときにそういう基本方針を定めるとなっておりますけれども、この全般的な方針というのが具体的にどのようなものかを伺いたいと思います。
 これが、例えば北海道への敵上陸を断固排除すべしといったような具体的な方針はなかなか内閣としては決められないと思うんですね。そんなことで現場を縛るのは難しい。一方で、抽象的、一般的な方針、例えば住民の避難は優先だとか、そういった一般的な方針であればむしろ平素から決めておくべきことではないかと思うんですが、この点、いかがでしょう。
安倍内閣官房副長官 対処基本方針に定める事項のうち、武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針については、法案に定める基本理念を踏まえつつ、現実の事態に即して武力攻撃事態への対処に当たっての統一指針を示すことを考えております。
 具体的には、例えば外交上の基本的な方針、国の防衛に当たっての基本姿勢、国民の安全確保についての考え方などを現実の事態に即して必要に応じて記載することを考えているわけでございまして、基本的には、その個々の事態に応じた基本的な、外交的な姿勢等々も踏まえての指針を決めていきたい。
 なお、状況に応じて、必要とあらば個別具体的な地名等を記載することもあり得る、このように考えております。
達増委員 有事の際の政府のトップリーダーシップのあり方についてですけれども、政府案の第十五条のところで「内閣総理大臣の権限」とあるんですが、ここに「対策本部長の求めに応じ」云々とありまして、第十五条の中に内閣総理大臣と対策本部長が出てきて、内閣総理大臣は対策本部長の求めに応じこういうことができるとか書いてあるんですが、実は対策本部長というのは内閣総理大臣でありますから、同じ人なわけであります。
 政府首脳と官房長官が別々の人のごとくにやりとりして妙なことが起きた、最近そういうことがありましたけれども、総理大臣と対策本部長があたかも別々であるように規定されておりますと内閣と対策本部の関係でいざというとき混乱するのではないかと思うんですが、ここはいかがでしょう。
津野政府特別補佐人 お答えいたします。
 武力攻撃事態対処法案の第十五条におきましては、対策本部長による総合調整に基づく所要の対処措置が実施されない場合に、内閣総理大臣は、対策本部長の求めに応じまして、地方公共団体の長などに対し必要な指示等ができるという規定が置かれているわけでございます。ここで言う内閣総理大臣と申しますのは、内閣の首長たる内閣総理大臣を意味しているわけでございまして、対策本部の長たる内閣総理大臣とは法的に別人格、異なる人格を有するものでございます。
 このような規定といたしましたのは、法案第十五条の指示等を受けます地方公共団体の長等は、当該指示に従う法律上の義務を負うこととなりまして、このような強力な権限を対処措置の総合調整を主たる任務といたします対策本部の長に付与することは適当でないというふうに考えまして、内閣の首長たる内閣総理大臣の総合的な判断、強力なリーダーシップのもとで的確かつ迅速に行使することが適当であるということによるものであります。
 このように、対策本部長の権限と内閣の首長たる内閣総理大臣の権限は法律上明確に区別して記載する必要があるものであり、このような区別が内閣と対策本部の関係で混乱するというような事態はないというふうに考えております。
    〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
達増委員 しかし、与党の議員から見ても何をするかわからないような人が総理大臣になっていたりしますと、暴走する危険性がありますし、また、内閣として総理を補佐しているスタッフ、今の内閣の官僚と、対策本部として総理を補佐する、多分防衛庁、自衛隊から来るんでしょうが、そのスタッフは全然違うわけでありまして、総理がもし優柔不断だと、スタッフ同士で総理を綱引き、右腕と左腕を引っ張るような格好になり、いずれにせよ問題であると思います。
 その点、自由党案は、対策本部のかわりに非常事態対処会議という、これは内閣の一部の閣僚が組織する、戦前で言う五省会議のような、まさに戦時内閣のような仕組みになっていて、非常にそこは現実的である。
 三十分たってしまいましたので終わりますけれども、さらにこの法案について審議していくことが必要だと申し上げて、終わります。ありがとうございました。
瓦委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、先月の二十四日、この委員会でいわゆる防衛庁の情報請求者リスト問題に関しまして集中審議がございましたが、この審議を聞いてみまして、中谷長官を初め防衛庁の方は、いわゆる海自の三佐の個人的な発意に始まり、組織的なものではなかった、こういうふうに結論づけようとされておりますけれども、私は逆に疑念が非常に深まったと思っています。そこで、改めて、大きく三つに分けて質問をいたしたいと思います。
 まず第一点は、いわゆるこの「調査報告書」の公表経過に関しまして、一つ一つ確認をしてみたいと思います。
 まず、六月の十日の夕刻から翌十一日の深夜にかけまして、中谷長官を初め幹部が会議を開いた席で、いわゆる「調査報告書」と「調査報告書の概要」を提出するということが確認されたはずであります。その際には、いわゆる問題となりました文言、証拠隠しと思われても云々というところも盛り込んだ中身であったはずであります。
 そこで、六月の十一日の昼前、これは防衛庁が作成をしました、今回の「リスト事案等に係る発表用資料の作成経緯」、いま一つは「調査報告書等に係る事前説明等の概要」に基づいて今私は申し上げておりますが、十一日の昼前に、事務次官が首相官邸へこの文書を、報告書を持っていった。
 そして、同じく十三時三十分ごろ、一部の国会議員へ事前説明を計画し、約三十名の国会議員などに説明をしたというふうにございまして、六月二十八日、内閣委員会の理事会に提出をされた「事前説明等の概要」によりますと、少なくとも事前説明等を計画した議員等の主な所属先、これは一々全部を言いませんけれども、主なところだけを申し上げますと、自民党の政務調査会、国防部会、安全保障調査会、あるいは衆議院の当武力攻撃事態への対処に関する特別委員会などにかかわる、所属をしている与党の議員の皆さん方に事前の説明を行い、約三十名であったということでありますけれども、この事前説明を行った中に、この特別委員会の与党の理事の皆さん方は含まれているのかどうかをまず確認したいと思います。
中谷国務大臣 防衛庁といたしましては、当初の方針といたしまして、六月の十一日に、「調査報告書の概要」、「調査報告書」、防衛施設庁に関する調査結果及び「「個人情報」とは」の四つの資料を使用して官邸及び与党への説明をした上で、調査結果を正式発表する当初の予定時刻の十七時までに、与党三党の国会議員の中の防衛庁と御縁の深い議員や防衛関係の部会に所属する議員、さらに役職にある議員等、計百十一名に事前の説明を計画いたしました。
 このときには、非常に国会議員が多数に上りまして、短時間に説明などを行わざるを得ないことから、幹部職員が手分けをして説明を実施することとして、先方の都合により、アポイントがとれた一時半ごろから随時、院内や議員会館等を訪問いたしました。
 他方、事前説明の実施中の同日の十五時ごろ、防衛庁として発表用資料を「調査報告」とすることを正式に決定いたしまして、およそこのころまでに資料の説明をしたのは三十名でございました。
 これらの方々は、議員会館の事務所に在室されて説明を聞かれた議員と秘書の方に預けることとなった議員でございますが、説明を聞かれた議員の中にも、「調査報告書の概要」のみで説明を聞かれた議員と「調査報告」を一べつされただけの議員という例もございました。
 このように、防衛庁側の対応にも議員の方々の対応にもさまざまなことがございましたし、また、説明を受けた時刻に、前後、先後関係がある中で、たまたま説明を受けた、あるいは受けなかったということも、私どもの説明等の有無にかかわって無用の誤解が生じることにもなりますので、断定的に、「調査報告書」について説明を受けたとして、特定の委員会の理事であることを含めて個別に議員名を申し上げることは差し控えたいと存じておりますし、また、その中に衆議院の事態特委に所属される与党の議員も含まれたかどうかということにつきましても、私どもの説明等の計画の有無にかかわって無用の誤解が生じるということにもつながりかねませんので、お答えは差し控えたいと存じております。
今川委員 おかしいですよ。六月の十一日夕方の五時四十分から正式にこの特別委員会の理事会が始まるわけでありますが、その席で、きょうはここにお見えになっていませんが、与党の筆頭理事久間議員を初め与党の理事の皆さん方は、この防衛庁がつくった「調査報告」、四ページ物、これ以外は知らないと語気荒くおっしゃったんです。
 しかし、今、中谷長官の御説明を聞いていますと、いろいろと支障を来しかねないというような趣旨でありますが、どういう支障が生じますか。少なくとも、ここは委員会なんですから、できるだけというよりも一〇〇%正直にこの間の事実経過をはっきりしないと国民の不信を高めるばかりじゃないですか。だから、私は改めて一個一個を確認したいと申し上げているんです。
 次に、十一日の十四時から十六時にかけてとなっていますが、人事教育局長が与党の幹事長及び国対委員長へ説明をされた。その中で、既にこの間の集中審議でもそうですし、新聞報道等にもありますように、自民党の山崎拓幹事長を初め、我々がそういう報道等で知る限り、三十八ページ物のこういう分厚い調査報告はまずい、こういうものを出せば少なくとも三日間はかかってしまうだとか、「調査報告書の概要」というのも、一部、二十四日の防衛庁長官の説明書によりましても、十二ページに、「「調査報告書の概要」を若干修文した「調査報告」を作成」というふうに御説明があっているわけですが、このように、与党の幹事長や国対委員長に説明に行ったときに、この三十八ページ物は隠した方がいい、あるいは証拠隠しをしたと思われてもいたし方ないというふうな文言は削除した方がいいだとか、そういったことが言われたわけですね。
 これを圧力ととるかどうかは別の問題としましょう。おおよそ、与党幹事長、国対委員長に説明したときに、与党の皆さんからどういう話があったのかを要領よく簡潔にお答えください。
中谷国務大臣 与党の中の御意見につきましては、政府でございますので、その中身につきましては政党の議論でございます。
 ただし、私はその模様につきまして報告を受けたわけでございますが、その報告を受けた中身におきましては、「概要」は法理的によく整理をされているが、その中にある証拠隠しに係る記述については、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、当該の記述は情緒的で回りくどいので、法理に照らしてどうなのか、もう少し明確な表現にする必要はないかという指摘がございました。
 私も、証拠隠しを行っていたと言われてもやむを得ず、不適切という記述をしておりましたけれども、この点について、誤解を受けないような表現、法理的な表現という観点で、単に不適切としたわけでございまして、文意につきましては変わってないということでございます。
 また、報告書はバックデータにすることも考えられるといった趣旨の意見もいただきましたけれども、私といたしましては、発表用資料につきましては、簡潔明瞭でわかりやすく、法理的な、端的な表現で書かれているものがいいと判断をいたしまして、この「概要」の記述をもとに「調査報告」と題する発表用資料を作成いたしておりまして、会見におきましては努めて丁寧に、この報告書に基づいて説明をいたしておりましたが、記者会見の記者の要求、また委員会においてこの報告書の提出の要求がございましたので、その時点でこの「調査報告書」を提出するということにいたしたわけでございます。
今川委員 いかにも、与党からの圧力で文言を修正したり、三十八ページ物が実はあったのに、あったと言われたくないものですから、苦し紛れの説明なんです。これは、この間の集中審議のときと同じ答弁にしかなってません。
 では、同じ日の十五時三十分、これは、そのときの官房長が与党幹事長や国対委員長へいわゆる新しい四ページの「調査報告」を提示したというようにありますけれども、そのとき、与党の幹事長や国対委員長の御意見、反応はどうだったんですか。
柳澤政府参考人 当時、私、官房長をやっておりまして、お届けをしたわけでございますが、三時ごろ、防衛庁の方で新たな公表資料をつくられていたということでございまして、私、たまたま国会の中におりまして、三時半ごろ、それを受け取って、新しい資料ができましたのでお届けしますということでお届けをしたわけでございますが、特に内容についての、私の方から報告あるいはやりとりといったものは行っておりません。
今川委員 いやいや、これはその二時から四時ぐらいにかけて、先ほど申し上げたように、与党の幹事長、国対委員長に持っていったのは、「調査報告書」三十八ページ物と「調査報告書の概要」だったわけでしょう、四ページ物。それを持っていって、いろいろ与党側から意見があり、一部修正をしたりして、今言いましたように、この「調査報告」という書きかえた四ページ物を示したときに、与党の幹事長や国対委員長はもう何もおっしゃらなかったんですか。例えば、うん、これでよろしいとか、その程度のやりとりはあっているんじゃないですか。いま一度、答弁ください。
柳澤政府参考人 私の方は、当時、基本的にはお届けするだけの形で行ったわけでございますが、そこで内容は特に私の方から御説明はいたしませんでしたが、それぞれごらんになって、はっきりした言葉を覚えてございませんが、この方がわかりやすいといったようなコメントといいましょうか、は伺ったように記憶しております。(発言する者あり)
今川委員 ちょっと黙っていてくださいよ。
 それでは、同じ日、十七時四十分から始まった事態特別委員会の理事会におきまして、調査報告書はないと言い張ったんですね。私たちは、その日、理事会が始まる前に、このような、同じ四ページですけれども、「調査報告書の概要」というふうに記されたファクスで手に入れたものがありました。野党四党ともこれは持っていたんです。
 ところが、防衛庁から示されたものは、先ほどから言いますように、「書の概要」というところが外れているんですね。私たちは、この「調査報告書の概要」という四ページ物を手にしたときに、概要という以上、あらましですから、当時、五十ページか六十ページに及ぶ調査報告書の本体らしきものがあるといううわさもこれは流れておったものですから、当然、概要がある以上は本体があるというふうに思うわけですね。しかし、実際、開かれた理事会では、この「調査報告」、四ページ物しかないというふうにおっしゃいました。なぜ、この「概要」という言葉を外されたんですか。
中谷国務大臣 その時点におきまして、それを防衛庁の正式資料とするというふうに決めたからでございます。
今川委員 いや、答えになっていない。「調査報告」なのか「調査報告書の概要」なのか、持つ意味が全然違うじゃないですか。「調査報告」だったら、あなたがおっしゃるとおり、たとえ分量が少なかろうがどうしようが調査報告ということになりますよ。ところが、そこに「概要」という言葉をくっつけておきますと、先ほど申し上げたように、「概要」があれば、本文、本体があるというふうにだれだって思うじゃないですか。だから、都合が悪いということで削ったんではないんですか。
 私は、今回の事態を非常に重大に見ます。一部報道によりますと、与党やあるいは防衛庁の内部で、今回の事件の核心は、リストを作成したことにあるんではなくて、そういう作成した経緯が、情報が漏れたことに問題があるというふうに認識しているやに一部報道もございます。
 しかし、中谷長官、少なくとも、先ほど申し上げたように、六月の十日から十一日深夜にかけて、あなたを初め幹部が集まった会議の中で、本来の「調査報告書」と「調査報告書の概要」をこの委員会にも提出をするということを一たん意思決定をされたにもかかわらず、経過の中で、与党の幹事長や国対委員長からいろいろなことを言われ、そして「調査報告書の概要」が「調査報告」というふうに文言が変わり、当初は少なくとも三十八ページの「調査報告書」の本体も隠された、こういう事態というのを私は非常に重大だと思います。
 少なくとも、長官、自衛隊の最高指揮官は総理大臣でしょう。今回のような事態、文書があるとかないとか、文言を削除したとかしなかったとか、これ自体も問題なんですが、しょせん与党の幹事長や国対委員長はこういう文書作成にかかわっては部外者でしょう。一たんこういう経過とか問題点を指摘されたときには、ごらんのとおり、そこにいたはずの与党の幹事長や国対委員長は部外者ですから、おれたちは知らぬ、責任はない、このようになってしまいます。
 こうしたほかの組織以上に厳格さが要求される防衛庁・自衛隊の指揮系統の混乱というものを長官はどのように認識をされますか。
中谷国務大臣 総理からは、国民にわかりやすく説明してくれというふうに御指示をいただいておりました。
 この報告書につきましては、発表の前の週であります金曜日の記者会見等におきましても報告書の存在を明らかにしておりましたし、また当日も報告書の提出を前提にいろいろな調整をいたしておりまして、私にとりましては、与党初めいろいろな意見を聞きまして、簡潔で明瞭でわかりやすく法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいと判断をし、口頭で「調査報告書」の内容を説明したわけでございますが、この報告書につきましては、いずれ提出をしなければならないというふうに考えておったわけでございます。
 その後、委員会また記者からの要求に応じて提出をしたわけでございますが、当時の私といたしまして、精いっぱい判断をして努力をしたつもりでございますが、このことによりまして、国会また委員会初めいろいろなところに混乱を生じさせたことについては遺憾に思っておりまして、御批判につきましては謙虚に受けとめまして、国会の審議等の中で誠実にこの中身において誠心誠意説明をしていきたいと考えております。
今川委員 もう繰り返しませんが、この「調査報告」なりだけじゃなくて、こういう分厚い資料があった方が、より正確に具体的にわかりやすいというのははっきりしているじゃないですか。
 では、余り時間もございませんが、二点目に入りたいと思います。
 「調査報告書」の内容です。今回法的に違法とされたのは、海幕のA三佐と空幕のS及びT三佐のみ違法である、あとは言ってみれば不適切だが違法ではないという論理の組み立てでこの報告書はでき上がっていると思うんです。
 具体的にお尋ねしますが、例えば、イニシャルや名字だけで個人を特定できる情報が入っていないので個人の識別は不能であるというふうになっておりますけれども、しかしこれは、例えばほかのデータと照らし合わせれば特定できるケースもあるじゃないですか。実際に、総務省編集の逐条解説によると、一定の条件で検索して、その結果を別ファイルと照合することによって容易に本人を確認できる場合は個人情報であるというふうにきちっと規定していますよ。この点、いかがですか。
中谷国務大臣 今回基準といたしました行政機関の電算処理個人情報保護法は、行政機関における個人情報の電算処理の進展にかんがみまして、個人を識別できる情報を体系的に集積した個人情報ファイルをそもそもの対象といたしております。
 この進行管理表、御指摘のものにつきましては、まず個人名が記載されていない、またイニシャルや区分が記載されていますが、それだけでは特定の個人を識別できず、また他の情報と容易に照合して当該個人を識別できないということから、これらは個人情報を体系的に集積したものではなくて、個人情報に着目した電算処理が困難な構成になっているため、本法の規定が適用される個人情報ファイルには該当しないと判断したわけでございます。
 また、照合の点につきましては、この開示書のつづりというものは、内局及び陸海空幕の情報公開室においてそれらの室員以外が参照できないように厳重に保管をされている事情を勘案すれば、進行管理表に記載された内容は、法第二条二号の、当該情報のみでは識別できないが、他の情報と容易に照合でき、それにより当該個人を識別できる情報には当たらないということでございまして、これらを作成した者が違法行為を行ったと言えず、違法行為を理由とした処分を行っていないということでございます。
今川委員 実は、昨日、私、手に入れたんですが、我が党の保坂議員が都合五、六回、海幕及び内局各幕僚の作成した進行管理リスト一覧なり三等海佐が作成したリストなどについて提出を求めました。昨日やっと届いたんですね。この中も随分墨が塗ってありますが、先ほど私が申し上げたように、今回のリストを、それぞれ別ファイルを照合すると個人が特定できる。
 さらに、もう一点お伺いしたいと思うんですが、仮に識別できるものでも、情報公開法の事務に必要な範囲内であるという答弁も、考え方もあるようでありますが、請求書の記載以外からリストに盛り込まれた情報は、内局で百一件、陸幕で百四十一件、空幕で六件。情報公開法には職歴の確認などを定めた条文はありませんよね。しかも、総務省の個人情報保護室は次のようにしております。請求者が任意に提供した情報以外の情報をあえて収集し、電算機処理データに保有することは、情報公開法上の必要な事務の範囲を超えている。
 今回もまさにこれに該当するんではないですか、長官。
宇田川政府参考人 委員御指摘の点でございますが、それは海幕のA三佐の件とか、あるいは航空自衛隊の情報公開室のSとTだったですか、については先生おっしゃるように該当しますが、そのほかの内局、陸幕、情報公開室でつくった抵触すると判断した以外の空幕のリストについては、抵触しないというふうに判断したところであります。
今川委員 およそ答えになっていないと思います。
 今回、これは中谷長官、違法であるというふうに防衛庁が認定したのは都合四名ですね。今私が申し上げた二点を、仮に、やはり法の範囲を超える、法の規定を超えるというふうにやってしまうと、法違反者は結構な数に上ってしまう。だから、いろいろとへ理屈をつけて法違反者の数を絞り込んでしまった、私はそのように思うんです。
 いま一つお尋ねします。
 いわゆる自衛隊の調査隊の任務でありますが、その一つには、自衛隊に批判的な団体や個人の情報収集、身元調査、こういったことを任務としているはずであります。今回の事件の背景には、元調査隊員あるいは現在の調査隊員、そういったところにもともとこの海幕三佐もいたわけですね。それで、同僚と情報交換をしたとかいろいろなことが言われていますけれども、違法と知りつつも、リストを受け取ったり、あるいは上司がそれを引き継いだり、あるいは机の中に保管をしたり、なぜする必要があるんですか。違法だったら、上司に届け出る、上司の指示に従ってそれなりの処分をしてしまえば済むことではありませんか。
 たまたま今回、「調査報告書」では、別目的で利用したりしたようなことはないというふうに言いわけはされておりますけれども、問題は、そういうデータを、ファイルを保管すること自体に問題がありはしませんか。この点、いかがですか。
宇田川政府参考人 海幕のA三佐から受け取った中には、受け取って机の中に保管したりしておるのがおりますが、一切そのほかの用途に使っていないということであります。
 先生おっしゃるように、それを上司に報告すべきだという点はございます。したがいまして、それについては適切ではなかったと評価しまして、何人かは処分しているところであります。
今川委員 もう時間が来てしまいましたが、きょうの私の質問に対する答弁にしましても、長官、少なくとも、この海幕三佐、それに各幕僚の情報公開室長をこの場にきちっと呼んでください。事実の確認を一つ一つやっていきましょう。そうしないと、疑惑は全然晴れていないですよ。
 少なくとも、今回は、百名を超える情報請求をした一人一人の国民の人権の一部が侵害されたということが一番大きい問題なんです。内部で、だれがこんなことを漏らしたんだということを、犯人捜しをしているんだというばかみたいな話もありますが、冗談じゃないです。事の本質は、情報公開制度に基づいて請求したにもかかわらず、その人の身元調査までがなされてしまったという人権侵害問題なんです。そのためにも、私は、参考人をきちっとこの場に呼んでいただくことを申し上げまして、質問を終わります。


2002/07/03

戻るホーム目次