2002/07/03-3

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長妻議員、海自イージス艦派遣要請問題を厳しく追及 (民主党ニュース)

 民主党の長妻昭議員は3日、衆議院武力攻撃事態特別委員会で質問に立ち、海自イージス艦派遣要請問題、安倍官房副長官の核保有合憲発言問題などを厳しく追及した。

 始めに長妻議員は、海上自衛隊がイージス艦、P3C掃海艇のインド洋派遣を要請するよう米国に働きかけた問題について、事実関係の説明を求めた。中谷防衛庁長官は「新聞報道されていることは事実ではなく、そのような働きかけはなかった」と述べたが、長妻議員は「その答弁は事実と異なる。一連の調査において事前に米国が非公式に派遣を働きかける趣旨の書類を作成し、それを入手した海幕防衛部長が米国司令官と会談する際に働きかけをしたということが分かった。このような事実があるにもかかわらず、非常に鈍感であり、防衛庁長官として失格である」と批判。

 さらに長妻議員はその会談の際の書類の存在を中谷防衛庁長官に確認した。中谷長官は「米国の立場および信頼関係から会談の内容、書類の存在の有無については答弁を差し控えたい」と具体的な答弁を拒否した。長妻議員は「この状況は文民統制がなされていない」として、海幕防衛部長および関係者の参考人招致を要求した。

 また長妻議員は、安倍官房副長官が早大における核保有合憲発言についての『サンデー毎日』誌の報道をめぐって、同誌が盗聴器を仕掛けていたなどと国会で答弁したことを追及。「『サンデー毎日』が大学の教室に盗聴器を仕掛けた物的証拠はあるのか」と安倍副長官に質した。安倍副長官は「被害者の立場から考えて、話が表に出ない状況の中であのような記事が出ること自体、そのように考えるのは当然である」と一方的に断定した。

 長妻議員は「耳を疑う答弁。内閣官房という国家権力の中枢にいる立場の方が、証拠もないのに国会で一民間企業を犯罪者扱いしている」と批難。「物的証拠があるのであれば、公にするべきだ」と再度求めたが、具体的な答弁がなされなかったため、委員長に安倍副長官からの証拠提出を要求した。


平成十四年七月三日(水曜日)

長妻委員 民主党の長妻昭と申します。時間もありませんので、端的にお答えをいただければ幸いでございます。
 当委員会が五月七日、連休明けに開かれたときに、ちょうどその日の朝日新聞の朝刊に、「イージス艦派遣 対日要請促す 海幕」というような記事が出まして、この記事に関して我々民主党の岡田政調会長が中谷防衛庁長官と小泉総理に質問をしましたところ、こういう事実はない、一切ないというような御答弁がございました。
 今の時点でも、中谷長官、この新聞に書いてある事実は全く事実無根であるということは変わりないのでございますか。
中谷国務大臣 御指摘の報道につきましては、報道された本人であります防衛部長に直接事情を聞きましたところ、四月十日に本人がチャップリン在日米海軍司令官と会談をしたというのは事実でございますが、報道にあるように、米側から海上自衛隊のイージス艦やP3Cをインド洋に派遣することを要請するよう働きかけたという事実はないということを確認いたしております。
 また、今述べた点につきましては、在日米海軍司令部からも確認を得られているところでございまして、本件につきましては、事実と反する報道でございますので、朝日新聞に対して抗議をしたところでございます。
長妻委員 この朝日新聞の報道によりますと、海幕の香田防衛部長が「準備したメモ書きにそって」というようなくだりがありまして、何かメモを持っていって、それに基づいて話をしたような記述があるのでございますけれども、こういうメモというのは存在はしたのでございますか。
中谷国務大臣 報道にもあるような、米側が海上自衛隊のイージス艦やP3Cをインド洋に派遣することを要請するとのメモを作成したということでございますが、当該メモを持って米海軍関係者に働きかけるようなことはこれまでなかったことを海幕からも確認いたしております。
長妻委員 今、作成をしたメモという話がありましたけれども、では、だれかが、どなたかが作成したペーパーを持っていったということはないですか。
中谷国務大臣 これは、日米間でございますので、さまざまなレベルやチャンネルで種々の情報交換、意見交換を行ってきておりまして、この四月十日の会談もそのようなものの一つでございます。
 同会談の具体的な内容につきましては、米側との関係もありまして、防衛庁としては内容につきましてお答えを差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、報道にあるようなイージス艦やP3Cをインド洋に派遣することを要請するようにと米側に働きかけた事実はないことは確認いたしております。
長妻委員 今の答弁はちょっと事実と違うと思うんですね。
 この香田防衛部長は、これに先立って米側から非公式にペーパーが出た、そのペーパーというのは、四月十六日にミニSSC、審議官級の日米安保事務レベル協議というのがあって、それに先立って米側が非公式的に、日本にイージス艦とP3Cを派遣してほしい、こういうようなペーパーを日本側に渡しているということであります。そして、そのペーパーを香田防衛部長が持って、チャプリン司令官と会った。そのペーパーというのは、前半には、これまでの日本のテロ特措法による支援に感謝する内容が書いてある、後半は、今後考えられる支援として、その部分にイージス艦、P3C哨戒機の派遣依頼の部分があった。
 米側がつくったペーパー、非公式でつくったペーパーということらしいんですけれども、それを防衛部長が持って、そのペーパーの存在を知らないチャプリン司令官に対して話をしたということなんですが、それはどう御認識されていますか。
中谷国務大臣 日米間における会話、また、種々の意見交換、情報交換につきましては、米側との関係もありまして、防衛庁として、その内容をお答えしたり、あるいはお示しをするということは差し控えたいと思います。
長妻委員 この国会というのがシビリアンコントロールの本当に最後のとりででありまして、今の話は、そのペーパーというのは、普通より厚い紙でA4判で、水色の縁取りがある表紙プラス三枚のペーパーだったということなんですが、これは、アメリカが非公式に日本に対して要請を出した文書だ。その文書はチャプリン司令官も知らない。その文書をどこかから制服の防衛部長さんが入手をして、そして米のチャプリン司令官に見せた。
 実は、当事者からお話を聞きましたけれども、何でそういうペーパーを見せたんですかというお話を聞きましたら、このミニSSCで、その当時は、四月十日、チャプリン司令官と香田防衛部長がお会いしたわけですけれども、その一週間後ぐらい、四月十六日にミニSSCがワシントンで開かれる、そういう予定だったわけですね。そうすると、四月十日の時点では、香田防衛部長は、ミニSSCで米側からイージス、P3Cの話は出る方向に行っているなと思った。それで、何でこのペーパーを見せたかというと、ミニSSCで話が出た後で、チャプリン司令官が聞いていない、こういうような話が出たらぶれると考えた。そして、時々情報をチャプリン司令官が知らないときがある。チャプリン司令官がおれは知らないと言うよりも、このペーパーをチャプリン司令官にあらかじめ見せて、先手を打っておいた方がいいと考えた。こういう意図のもと、このチャプリン司令官も知らない非公式文書を見せて、その文書に沿って説明をしたということであります。
 こういうことは、防衛庁長官、私は許されないと思うんですが、香田防衛部長にぜひお話をきちんと聞いていただきたいと思うんですが、いかがですか。
中谷国務大臣 四月十日のお話でありますが、四月十日に海幕の防衛部長がチャップリン在日米海軍司令官と会談したというのは事実でありますが、御指摘にあるような、その場に四月十六日のミニSSC用のアジェンダペーパー、これを持参した事実はないということでございます。
長妻委員 これは、私もミニSSCのアジェンダペーパーとは言っておりません、一言も。何でそのアジェンダペーパーという言葉が今出てくるんですか。非公式に米側が示したペーパーであるというようなことしか申し上げていないわけでございますけれども、この話は、私が直接香田部長本人から聞いた話でございます。これは、海上自衛隊という制服の組織が、幾ら米が出した非公式文書とはいえ、米の公式じゃない文書ですよね、それをアメリカのチャプリン司令官に見せて、その要請があったときにチャプリン司令官がおれは知らない、それでそれがつぶれないような、そういう先手を打って見せておこうと。
 こういうような、制服の方が文書を持ってお会いしてお話をするということは、長官、何にも感じないんですか。こういうことは別にいいことなんですか。
中谷国務大臣 これは、日米間でありまして、安全保障条約もございますし、米海軍と海上自衛隊、緊密に連携をしながら訓練、またいろいろな話し合いはいたしております。したがいまして、我が国の安全保障の観点におきましても、日米間における種々の意見交換、また情報交換について米側とあるというのは、当然あってしかるべきだと思います。
 しかし、いろいろな話し合いがあっても、政策的に決めるのは防衛庁として決定をいたしますし、また、その決定につきましては国会にもお諮りするわけでございまして、今回の政策決定につきましては、防衛庁としてそのような決定をしたことはないわけでございますし、日米間においていろいろな情報交換、意見交換、これはあってしかるべきだと思います。
    〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
長妻委員 テロ特措法が切れるのが五月十九日でございますけれども、その前の段階でP3Cとかイージス艦を出すということは、実際には出さなかったわけでありますけれども、出すということは、基本的にはイラクに対する攻撃が米側の念頭にあったとしか考えられないわけでありまして、当然そのことは、現行法、テロ特措法ではそれは今の時点では想定していないことでありますので、その部分に関して、基本的には、アメリカからの派遣要請を確実にするために制服の方がそういう文書を持ってチャプリン司令官に会う、そして説明をする、これは一切、全く問題がないということなんですか。
中谷国務大臣 日米間においては、種々の意見交換、また情報交換についてあろうかと思います。これは、日本の安全保障を考えても必要なことであろうと思います。
 この内容につきましては、米側との関係もありまして、防衛庁としてその内容をお答えし、あるいはお示しすることは差し控えたいと思いますが、政策決定といたしましては、我が国として、イージス艦を出したりP3Cを出したりするというのは政治のレベルで決定することでございまして、現にシビリアンコントロールによってイージス艦を出さないという決定をしているわけでございます。
 したがいまして、米側との種々の意見交換、情報交換については実施をするということは必要だと思います。
長妻委員 その意見交換でありますけれども、詳細な内容はお出しできないということなんですが、大体概要、では、どういう意見交換があったんですか。
中谷国務大臣 この点につきましては、米側の事情もございます、日本側の信頼関係もございます、こういった観点で、その内容につきましてはお示しをしたりお話しするということは差し控えたいと存じます。
長妻委員 何か、結果的にP3C、イージスが出ないから、それはそういう判断だったんだというようなお話もありましたけれども、それは、結果は出なかったかもしれませんけれども、その政策決定過程で、こういうような制服の方が文書を持って米の司令官と会ってこういうような話をするということに関して、非常に鈍感過ぎるというふうに思います。
 四月の二十九日には、訪米中の与党三幹事長にウォルフォビッツ国防副長官が実際にイージス、P3Cの派遣要請をしたということもあるわけでございますので、この問題に関しましては、具体的にどういうようなやりとりがあって、そういう要請を促すということはなかったのかあったのかというのをきちんと調査を再度していただきたいと思うんですが、いかがですか。
中谷国務大臣 この件につきましては何度も確認をいたしております。米側から海上自衛隊のイージス艦やP3Cをインド洋に派遣することを要請するよう働きかけたというようなことはやっていない、事実でないということを確認いたしております。
長妻委員 それでは、米側から非公式に出たペーパーに基づいて説明をした、こういう事実は確認しておりますか。
中谷国務大臣 その点につきましては会談の内容でございます。我々が確認したところ、米側が海上自衛隊のイージス艦やP3Cをインド洋に派遣することを要請するとのメモを作成して、当該のメモをもって米軍関係者に働きかけるようなことはこれまでなかったということは確認いたしておりますし、そのような文書等の存在等につきましても、日米安保の関係もございます、この質問に対してお答えするということは差し控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 文書の存在も言えないんですか。そういう文書があったかなかったかもそれは言えないんですか。なぜ言えないんですか。
中谷国務大臣 いろいろな情報交換や意見交換、これは必要上やっておりますが、そういったペーパーの存在ですね、これにつきましては、米側との関係もございます、その内容につきましてお話をするということは、日米関係、また安全保障上差し控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 そのペーパーがあるかないか、ちょっとお答えいただきたいと思うんですね。というのは、このペーパーを内局ももう持っているということらしいんですね。そして、香田防衛部長が国会には出せない、そういうことで、米でも全然そのペーパーの存在を知らないチャプリン司令官に、日本側が勝手に出しているわけですよね。それにもかかわらず、そのペーパーがある、ないということも一切国会で言えないというのは納得できませんので、ちょっときちんと出すようにしてください。
中谷国務大臣 日米間で、そのような情報交換というか、意見交換、これは頻繁に行っております。しかしながら、その内容につきましては、非常に、お互いの立場もございますし、信頼関係もございます。その内容等につきましては、答弁は控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 ちょっとあるかないか、出してください、あるかないか。
瓦委員長 再度、長妻君、質問として立って。
長妻委員 あるかないか、答えてください。
中谷国務大臣 それも含めまして、日米間の信頼関係の問題がございます。この点につきましては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
瓦委員長 長妻昭君。――長妻君、質問をお続けください。
長妻委員 国会というのがシビリアンコントロールの本当に最後のとりででありますので、こういうことに関して、その文書があるかないか、お答えください。
中谷国務大臣 この点につきましては、米側との関係もございます。あるともないとも言えません。お答えは差し控えたいと思います。
長妻委員 では、これはどういう影響が出るのですか。
中谷国務大臣 これは会談の内容等にも関係をする可能性もございまして、日米の間での話し合いでございます。米側の立場、事情等もございますし、我が国としても、安全保障上、この日米間の会談の内容、やりとり等につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 それじゃ、日本の制服の方とアメリカの制服の方が密室で話して、その話の内容はすべて一切何にも言えない、書類がある、ないも全部言えないと。それは、本当の軍事機密の最高機密であれば私も理解できないわけではありませんけれども、こういうペーパーがあるのかないのかというのを国会で聞いているわけですから、お答えください。
中谷国務大臣 この点につきましては、そういうことも含めましてあり得るわけでございまして、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
長妻委員 いや、私が聞いているのは、そういうことも含めてあり得るというのは、国家機密の話だと思いますけれども、その文書というのは、米が非公式につくったペーパーで、そこには別にその国家機密という話ではなくて、日本の支援に感謝するというのと、イージス、P3C、これを派遣してほしい、こういう文書なわけですから、そういう文書があったのかないのかというのを、ぜひ委員長、理事会で御検討いただいて、あるかないかということを国会にお示しいただくようにお取り計らいをいただきたいと思います。
瓦委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
長妻委員 いずれにしましても、まあその背景には内局と海幕とのいろいろな確執があるということも、私も、漏れ伝わってきておりますけれども、いずれにしましても、この話は非常に、制服同士、それは単なる情報交換であれば、それまでするなと言うつもりはありませんけれども、こういう非公式ペーパーを持っていってその要請を確実にする、固めをする、地固めをする、こういうようなことを制服の方がやって、それは何にも問題ないんだ、一切その内容は言えない、これは防衛庁長官として失格である、文民統制がなされていない一つの兆候が今出たというふうに私は考えておりまして、委員長にさらに要請をいたしますけれども、この香田防衛部長を初め、関係者の方々の参考人をここで要求させていただきますので、ぜひ理事会で御検討をいただきますようお願いを申し上げます。
中谷国務大臣 防衛庁の中の話でございますが、これは内局も幕もお互い信頼関係も持っておりますし、連絡や意思疎通、連携もいたしながら進めているわけでございます。
 ただ、この文書等の存在等につきましては、米側の立場、事情もございますし、日米関係の信頼もございます。この点についてはお答えできないという点は、ぜひ、こういった防衛、安全保障の観点での話でありますので、御理解をいただきたいと存じます。
長妻委員 再度、参考人の話でございますけれども、この当事者の方は、どこでも出てお話はするということも私に言っておりますから、香田防衛部長と防衛庁の増田審議官と吉川第五幕僚室長、このお三人を含めて、プラス関係者の方の参考人を委員長として理事会でお取り計らいをいただきたいと思います。
瓦委員長 後刻、理事会でお諮りをいたします。
長妻委員 この問題は、さらにシビリアンコントロールという観点で、ぜひ深く受けとめていただきたいと思います。
 もう一つは、安倍官房副長官の御発言に関して、私の方で質問主意書を何度かお出しをさせていただきましたけれども、明確なお答えがございませんので、ここでお尋ねをいたしますが、安倍副長官が五月の二十七日、参議院の予算委員会でこういうお話をされております。
 例の、早稲田大学でICBMの発言の問題に絡んで、大学の教室にサンデー毎日が盗聴器とまた盗撮ビデオを仕掛けた、こういう発言を国会でされているのですけれども、これは物的証拠というのはあるのですか。
安倍内閣官房副長官 委員から既に質問主意書を四回、そして、武力攻撃事態対処法を審議すべきこの貴重な委員会でさらに御質問をいただいているわけでございますから、委員は恐らくそれをやった実行犯について確証を思っておられるのだろう、こう私は推測をしているわけでございますが、この私が行った講義の教室には、基本的には授業料を払ってそれを聴講する学生のみ、あるいは教授だけがその場にいることが許されているわけであります。そして、そのときには、オフ・ザ・レコード、もちろん録音とかビデオを撮ることは許されていないということは確認し合っているわけでございます。学生はまさかそんなことをするわけがないわけでありますから、当然、それを発表したサンデー毎日を疑うというのが私は至極当然のことではないかなと思います。
 例えて言えば、私が家でおふろに入っているとき、私の写真をだれかが撮った。そんな写真はだれも見たくないかもしれませんが、それをサンデー毎日が発表した。そうしたら、私は、サンデー毎日がそれを盗撮したと言うのは当然じゃないですか。善意の第三者がいて、それを持ってきたというふうに、それを……(発言する者あり)答弁中だからちょっと聞いていただけますか。それをもって、私がそう言ったことをもって、あなたがそんなことを決めつけるのはおかしいと言うことが、私はおかしい。善意の第三者が突然持ってきたと言っても、私は被害者ですから、それをにわかに信じるわけにはいかないということであります。
 委員は、サンデー毎日の立場に立って今質問しておられますからそういう感じなんでしょうけれども、私はその早稲田大学において、静かな学びやであるべき教室において講義をしたわけでありまして、それをある日突然、サンデー毎日が、許されていないのにそれを掲載すれば、私がそう思うのは至極当たり前ではないかな、こう思うわけでありまして、それを非難するというのは、私にはとても理解できない。
長妻委員 今のは私もちょっと耳を疑う答弁でございますけれども、大学の教室に、サンデー毎日がという主語を言って、盗聴器と盗撮ビデオを仕掛けたと。一民間企業を犯罪者だと。これは、盗聴するには不法侵入しなきゃいけないですからね。犯罪者だということを国会で明確に答弁するからには、それも官房副長官という国家権力のトップにおられる方ですよ、そういう方が物的証拠もなくこういう発言をされるというのは、これは私は異常だというふうに考えております。
 それで、私は、いい政府というのは、やはり間違いを率直に認める。基本的には、物的証拠がなくて一民間企業を犯罪者だとこういうふうに決めつけているわけですから、物的証拠は、では、あるんですか、ないんですか。
安倍内閣官房副長官 今委員は、いわゆるサンデー毎日の編集長が何回か私に対して抗議をしてまいりました。そして、五週にわたって私を非難する記事を書いているわけであります。私は、そういう非難を覚悟で、私の政治家としての責任をかけて申し上げているわけであります。それに対して私は、本当に五回にわたってそういう抗議をされているわけであります。
 先ほども申し上げましたように、そこには学生の諸君と教授しかいない。では、委員は学生がやったと言っているのですか。
長妻委員 物的証拠があるんですかと聞いているんです、物的証拠が。
 だから、これは基本的には、内閣官房という先ほど申し上げた国家権力の中枢におられる方が、一民間企業を国会の場で犯罪者だと言ったわけですね。(発言する者あり)
瓦委員長 静粛に願います。
長妻委員 盗聴器と盗撮ビデオを仕掛けたというふうに断定をしているわけですから、それなりの証拠があるということでないとそういう発言はすべきではないというふうに私は考えておりますので、ぜひ今後も、その物的証拠があるかないか明確に、委員長、物的証拠があるかないかを私は聞いておりますので、その部分を答弁させてください。(発言する者あり)
瓦委員長 静かにしてください。
安倍内閣官房副長官 まるで私が訴えられていて……(長妻委員「物的証拠を聞いている」と呼ぶ)私が答えているんですから、黙ってください。それで、何かまるでここが裁判の場所で、私が被告人のように、物的証拠を出せと言われているんですが、その場所には、何回も申し上げますが、学生の諸君と教授しかいなかった。そこで、これは外に出さないということになっていて、学生の諸君もその約束を守ってくれた。そして、ある日突然サンデー毎日がそういうものを明らかにした。サンデー毎日を疑うしかないじゃないですか。だれだってそうですよね。それに対してサンデー毎日は私に対していろいろな抗議をしている。
 先ほども申し上げましたように、例えば写真を撮られて、ある日突然その写真が載せられた、それに対して非難をするというのは当然じゃないですか。これを記事にして、サンデー毎日は利益を得ているわけなんですね。この利益を得ているのはどこかといえば、私は、損失をこうむった早稲田大学ではない。サンデー毎日は明らかに部数を伸ばしたらしいですから、私の名前を出して。当然、サンデー毎日は利益を上げたということですから、だれが利益を上げたかを考えれば、合理的な疑いが発生するのは至極当たり前ではないでしょうか。そういうふうに思うわけであります。
長妻委員 今の御答弁が内閣官房副長官の御答弁とは私は思えないんですね。
 委員長、私は、さっきから四回質問しております。物的証拠があるんですか、ないんですかと。これに対してお答えになっておられませんので、それを委員長からもお答えになるように言ってください。
安倍内閣官房副長官 私は、国会で答弁をしている以上、確信を持って答弁をしている、私の責任において答弁をしているわけであります。では、委員は、よほど確信を持って、だれか別の犯人がこれだというふうに確信を持っているんだったらお示しをいただきたい。
 これは、サンデー毎日が私に対して名誉を傷つけられたと言って、私とサンデー毎日の間で……(発言する者あり)済みません、私が答弁中ですから、静かにしてください。私とサンデー毎日の間で、これは今議論をしているわけであります。そこへ突然、長妻委員が、どういうわけかサンデー毎日の側に立って御質問をされているわけですから、私は大変驚いているわけであります。
 私の父も、長い間毎日新聞に勤めておりました。ですから、何人も毎日新聞にも知己がいるわけでございます。ある日、私の父が、まだ生前なんですが、サンデー毎日がある人のことを誹謗中傷の記事を書いたことがありました。それに対して……(長妻委員「委員長」と呼ぶ)ちょっと、答弁中ですから、バックグラウンドを私は説明しているんですからね。名誉毀損を――座ってください、答弁中ですから。
瓦委員長 答弁者に申し上げますが、手短にお答えください。
安倍内閣官房副長官 はい、わかりました。(発言する者あり)
瓦委員長 静かにしてください。静粛に願います。
安倍内閣官房副長官 よろしいですか。今、これ……(発言する者あり)では、聞いてください。
 サンデー毎日が、名誉毀損をされて、サンデー毎日が大変困ったことがありました。窮地に陥って、明らかに裁判に負けるということで、私の父のところに、何とかしてくれと言ってきたことがあるんですね。そのとき父は当然断ったんです。ですから、そういうふうに、週刊誌が書くことは決して絶対ではないということを私は申し上げているわけでありまして。
 それで、私は確信を持ってそういうふうに申し上げているということでございます。
長妻委員 これは、私が言っているのは、一民間企業ですよ。(発言する者あり)いや、与党の皆さんもぜひ聞いていただきたいんですけれども、一民間企業を犯罪者だというふうに国会で言っているわけですから、それに関して、今物的証拠はあるんですかと何度質問してもお答えにならない。これはもう、物的証拠なしに一民間企業を犯罪者だというふうに決めつけているというふうに私は断ぜざるを得ませんので、ぜひ反省をしていただいて、撤回をしていただきたい。そして、サンデー毎日に謝罪をするということを要求をいたします。
 それでは、次の質問に移ります。(安倍内閣官房副長官「委員長、答えさせてください」と呼ぶ)これは切りがありませんので、次の質問に移りますけれども……(発言する者あり)
瓦委員長 質問をお続けください。静粛にしてください。
長妻委員 委員長、ぜひ理事会で、この物的証拠があるのかどうか、これについてぜひ安倍官房副長官に明確な御答弁を求めるような、理事会で御協議をいただきたいと思います。いかがですか。
瓦委員長 理事会で後ほど話をいたしますが、でき得る限り理解がいただけるように、答弁がかみ合うように、質問とかみ合うように御協力を賜りたいと思います。
 どうぞお続けください。
長妻委員 いや、理事会で、私はかみ合うように、質問はシンプルです。物的証拠があるんですかと、これだけですので、理事会ででも。
瓦委員長 後ほど理事会で取り扱います。(発言する者あり)静かにしてください。
長妻委員 これは安倍副長官、多分、私が考える政府高官のお立場がどういうお立場なのかということと、安倍副長官のお立場の考えが違うと思います。
 私も、それは人間ですから、皆さんもそうですけれども、だれでもちょっと言い過ぎたこととか、それはありますよ、ちょっと口が滑ったとか。ただ、重要なのは、それが根拠がなく言ったことに関しては、ああ、それはちょっと言い過ぎた、申しわけない、こういうふうに率直に謝ることが、私はそういう方が政府中枢におられる政府がいい政府だというふうに信じておりますので、ぜひ御検討を理事会でお願いいたします。
 そして、政策の質問をさせていただきますと、法案にちょっと入らせていただくんですけれども、報道の自由の問題で、福田官房長官は、報道の自由は有事の際にもきちんと担保されるというお話がありましたけれども、例えば誘拐報道のような報道協定、こういうようなものというのは、有事の際に想定はされるんでしょうか。
福田国務大臣 事態の状況に応じまして、人命尊重などの観点から、本当に必要な場合においては、報道協定などについてお願いをする、こういうことはあり得るわけであります。仮に報道協定が必要と判断された場合でありましても、報道機関の自由意思を尊重するということには変わりはありません。
長妻委員 それと、指定公共機関の指定でございますけれども、報道によりますと、ある民放が指定公共機関になるのを難色を示しているというようなことも聞いておりますけれども、結局、指定公共機関に政令で指定をするときに、そこがずっと話し合いをしても、最後、拒絶をした場合は、それは政令で指定をしないということでよろしいんですか。
福田国務大臣 実際に、いかなる機関を指定公共機関として政令で指定するかということは、今後の個別の事態対処法制に定める事項ごとに、当該機関の業務の公益性の度合い、武力攻撃事態への対処との関連性などを踏まえまして、総合的に判断をしていくということになります。
 その際に、当該機関の意見も当然聞くことになりますが、例えば、指定を拒否するとかいったような場合、そのような場合の、例えば罰則を設けるといったようなことは、これは全く考えておりません。
長妻委員 質問を終わります。ありがとうございました。


2002/07/03

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