2002/06/24

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平成十四年六月二十四日(月曜日)

瓦委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚です。
 まず質問に先立ってお話をしますが、やはり現下、日本の最大の課題は、経済の立て直し、景気の回復ということだと思うんですけれども、会期延長がされまして、重要法案が四つあるというふうに政府の方ではお話しになっているわけですが、私は、この四つの法案、全部ピントがずれているというふうに思うし、また、その中でも健康保険法の一部改正案のように、国民負担増をして景気の足を引っ張るような法律まで含まれてしまっている。そして、それに加えてこの防衛庁のリストの問題というものが出てきて、政府・与党が大変に混乱をしているというふうなことがある。
 そして、その混乱の原因というのは、私は、このリストの問題について言えば、必要性とその責任の所在の問題であるということだと思うんですが、その二つの観点からまずお伺いをしたいと思います。
 防衛庁長官、まずこのリストについてですが、海自のA三佐と言われる人がつくったリストについて、これは全情報開示請求者についてつくってあったのかどうか、いかがですか。
中谷国務大臣 そのようなことでリストを作成されました。そのことは報告書にも書いたとおりでございます。
中塚委員 さて、次に伺いますが、そういうリストをつくった、情報開示請求書以外のプロフィールも書かれていたということなわけですが、それをつくったということは、海自三佐は、やはり必要性があったからつくったということだと思うんですね。なぜその請求書に書かれていないようなことについても書き込む必要があったのか、そこはいかがですか。
中谷国務大臣 本人の述べるところによりますと、請求者から出された行政文書開示請求書には、法律上記載する必要のない請求者の所属等が記載されている場合がありまして、自後、開示請求の状況分析を行う上でこれらの情報を活用できるかもしれないと考え、そして、防衛庁全体に対する開示請求データを把握することによって海上自衛隊に対する開示請求を予測できるのではないかと考え、そして、その情報公開業務において開示請求者がどのような行政文書を要求しているのか明確でない事例が多いことを踏まえて、開示請求に対して迅速かつ的確に行政文書の特定を行うためには開示請求者の背景を知ることが有効でないかと考えたということでありまして、これは、本人の、情報公開業務等につきまして、開示請求者の個人情報を記載した開示請求者リストを作成したものであるというふうに承知をいたしております。
中塚委員 今、分析を行う上で活用できるというお話をされましたが、この報告書、「調査報告」四枚と、あと「調査報告書」四十枚あります。この四枚の方には、開示状況の分析を行う上で活用できるかもしれないということは書いていないんですね。こっちの四十枚の方に初めてそのことが書いてあるわけです。これをもって、その報告ですべて足りるというふうな考え方というのは絶対におかしいし、初めから間違っているということだと私は思います。
 そして、開示状況の分析を行う上で活用できるかもしれないということだが、それでは、やはりその必要性というものはあったということですね。その必要性、つまり業務を効率的に運用していくという上で必要性があったということになるわけだけれども、そのことについて長官はどういうふうにお考えになりますか。
中谷国務大臣 このリストにどのような項目を載せるかということは必要最小限にとどめるということは法律で規定をされておりまして、同三佐が行った必要以上の情報を記入するということは、法律の四条に違反することでございますので、これは不適切な行為であったというふうに思います。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
中塚委員 法律に合っている合っていないということとは別に、その業務の進行において本当に必要なのかどうなのかということをお尋ねしているんです。法律に合う合わないということは、それは裁判所なりが判断することだと私は思っていますけれども、そうではない、国会の場なんですから、そういったことに本当に必要性があるのかないのか、そのことはどうですか。
中谷国務大臣 私も、開示請求の実態をいろいろと聞いてみますと、単に名前、住所、要求分野という項目だけでは、文書は適切なものは探し切れません。やはり、何の目的で使いたい、また、どういうものが欲しいという細部においての請求者からの情報に基づいてそれぞれの資料を探し当てるわけでありまして、やはり業務を行う上におきましては、記載されたもの以上の情報、また御本人との連絡確認のために必要な情報はあるということは認識をいたしております。
中塚委員 政府の皆さんと私どもでは考え方が違うかもしれないけれども、この事件についてやはり責任がどこにあったのかということで処分等があるのは、もう大変大事な話だと思います。ただ、海自三佐が必要性があるというふうに考えてつくったということについて、今の法律とは別に、じゃ、それが本当に必要なのかどうなのかということについての議論というのが全くなされていないし、この報告書には書かれていないということ、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。
 そして、次に、この三等海佐は、私はこれが一番の問題だと思うんですけれども、この四十ページの調査報告書、またこっちの方です、こっちの方にしか書いてないんです。この報告書によれば、行政文書の開示、不開示を審査するための基準づくりを担当したということがあるわけですね。つまり、基準をつくる担当者がリストを作成したということは、これは例えば、反戦自衛官とか受験生の母といったプロフィールによって情報の開示、不開示が左右をされるかもしれない、そういう疑念を国民にもたらすわけです。
 本来はそんなことはあってはならないし、ないはずだというふうに思いたいけれども、このことによって、つまり、この三等海佐が行政文書の開示、不開示を審査する、そういうふうなことにかかわっていたという人であった、そのことをやはりちゃんと報告しなければいけないにもかかわらず、四ページ物で済まそうとしたということ、そして、その行政文書の開示、不開示審査の基準づくりをした人がこういうふうな行為をしたということについて、お考えはいかがですか。
中谷国務大臣 委員おっしゃるとおり、開示請求を行う場合には、公平であって、だれかれと峻別なく行うということはやっていかなければならないわけでございます。そういう意味におきましても、この三佐の行為は適当でなかったというふうに思っております。
 報告のあり方につきまして、私なりにああいうスタイルをとったわけでございますが、この点におきましては、御質疑のある中で質問されたら答えるというスタイルでございますが、その報告書に基づいたとおりでございまして、今後、国会の質疑等でさらにお答えをしてまいりたいと思っております。
中塚委員 もう一つは、やはり防衛庁自身の危機管理能力とか情報管理能力ということも問われているんだと思うんですね。つまり、こういうリストが必要だということなら、そのことをちゃんと議論して、制度をつくり上げるということを提案なさるべきなんですよ。そのことが、私がそれに賛成するかどうかは別です、私どもが賛成するかどうかは別ですけれども、そのかわりに、ちゃんと管理者を決めて、セキュリティーレベルに応じて情報にアクセスできるような、そういう仕組みをつくらなければいけないにもかかわらず、今回のように、ちゃんと教育もされていないわ、何がどこでだれがどうなっているのかも全然わからない、おまけに、LANに掲示をされるというふうなことで、また、あるいは十四人の人に配付をされるというふうなことで、使い回しまで行われていた、そういうふうな可能性まであるわけですね。
 そのことに関連してお伺いをいたしますが、この海自三佐のつくったリストについて、孫配付というのはされているんでしょうか。それとも、孫配付されたのであれば、その回収状況というのはどうなっているんでしょうか。
中谷国務大臣 今回その三佐が作成されましたリストは、防衛庁の情報公開室の係長一名、陸幕情報公開室の二等陸佐二名、陸幕の総務課二等陸佐一名、空幕の情報公開室の二等空佐二名、海幕の調査課情報保全室の二等海佐二名、海上自衛隊の中央資料隊の三等海佐一名というところで、九名に配付をされておりました。
 その他ございますが、結局、これの調査の結果におきましては、これを業務に使ったことはないということでございまして、それ以上にこれが広がったということは確認をいたしておりません。
中塚委員 組織的でなかったという先ほど来のお話なんですけれども、やはりこの情報公開法教育とか個人情報保護というものの教育というのがなされていなかったということになるわけで、三佐から引き継ぎを受けた情報公開室長というのは、やはり引き継ぎを受けた段階でそれを破棄するべきだったはずなんですね。そこのところはどうでしょう。
中谷国務大臣 その点につきましては、そのまま保管をいたしたということでございますので、この点につきましては懲戒処分の対象に入れまして処分を行いました。
中塚委員 いや、どうするべきであったかということをお聞きしたわけですけれども、やはりこれはその時点で、もうしかるべき対応というものがなければいけなかったわけですね。そのことをずっとほったらかしにして今日まで延びてきてしまっているということだと思います。
 先ほど来、四枚物とこの四十枚物の報告書の違いについてお話を伺っているんですが、次に、総理に伺いたいというふうに思いますけれども、政府・与党一体であるということではありますけれども、それなら初めからちゃんと政府・与党一体で調査をして、厳しい調査をした上で報告書をつくり、公開をすればよかっただけの話なわけですね。ところが、そういったことは全然されていない。そして、萩山副大臣のもとに調査チームも初めはできたんだけれども、結局、報告書の改ざんによって、政府が相変わらずこの大本営発表的な、さきの戦争のときと同じように、自分の都合のいい情報しか国会に報告しないということになってしまっているわけです。
 国会というのは国権の最高機関で、主権者たる国民の代表としてみんな集まっているわけですから、国会に対する報告書を改ざんするというのは、これはまさしく国民を欺くというふうに言わざるを得ないわけで、先ほど申し上げました、重要と言われている四つの法案の中でも、例えば、中身はほとんど役所の言い分が通っているばかりであって、ところが、こういうふうな事実関係に対する調査のみ政治家が口を出すというのでは、全くもって話にならないというふうに言わざるを得ない。
 特に、今この委員会で審議をされています武力攻撃事態法であれ、また昨年成立をいたしましたテロ対策の特別措置法であれ、国会に報告をするとか承認を得るという手続が含まれているわけですけれども、そういったことについても、与党の政治家がごちょごちょっと言えばその中身が変わるんじゃないかというふうな疑念を抱かざるを得ないわけですが、小泉総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 政府と与党の関係は、政策問題につきましては、常に連携協力を密にするというのは、これは当然だと思っております。
 また、それぞれの問題におきましては、各省庁内で事が済む問題、あるいは与党の意見を聞いた方がいい問題、それぞれあると思います。それは、ケース・バイ・ケースで判断すべきではないかと思っております。
中塚委員 ですから、テロ対策特別措置法であれ武力攻撃事態対処法案であれ、国会に報告を求めるだの承認を求めるだのということがあるわけですね。そういうふうな承認案件、報告案件ということについて、本当にこれは国家の一大事なわけですよ、この委員会で審議されている法律が本当に発動されるようなときは。そのときに、国会に対してなされる報告なりそういったことについて、与党の介入によってその事実がねじ曲げられるようなことが本当にこれからはないというふうに言い切れるんですかというお尋ねなんですが。
中谷国務大臣 この法律に関しまして一点申し上げたいのは、与党の御意見の中で、やはり法理的に基づいてどうなのか、これについてはしっかりと明確にした方がいいという御意見と、簡単、簡単というか簡潔明瞭、そしてわかりやすくという観点で、そういうことを決定したわけでございます。
 政府としてどうあるべきだったかどうか、私なりにも謙虚に反省をしなければならない点があるわけでございまして、このような点につきましては、今後、誠実に国会で答弁をしてまいりたいと思っております。
中塚委員 簡潔明瞭とか、そういう問題じゃないんですよ。
 私が申し上げているのは、武力攻撃事態なりテロ対策特措法なりで、国会に対して報告する、承認を受けるというときにも、いや、ここの表現はちょっと変えた方がいいんじゃないのかとか、あるいはこれは言い過ぎだろうというふうなことによって、その報告書なり承認案件というものが改ざんをされるようなおそれはもう今後ないんですかということを総理にお尋ねしているんです。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 改ざんされるということはないと思います。
 特に、これは与党と政府、関係は密接ですから、どういう状況かというのは政治家が意見を申しても結構だし、また、その意見を役所がどういうふうに判断するか、これも大事な点であります。その点は、改ざんということじゃなくて、いかに国民にわかりやすく説明するかということが大事でありまして、そういう点については自由な意見交換というのはむしろなされてしかるべきものだと思っております。
中塚委員 この四枚の報告書では書いていないことが、現に四十枚の方にいっぱい書いてあるわけですね。しかも、総理、構造改革ということをおっしゃっているんですが、三佐が、情報の開示、不開示を審査するための基準づくりを担当した人であるということは、まさにこれがこの事件においての構造問題じゃないですか。
 だから、そういったことがテロ対策の特措法なり武力攻撃事態法の国会承認ということについても行われるおそれがないんですかというふうにお伺いをしているんですから、そんなおそれはないというふうにお答えになればいいわけですよ。
 次に、公務員の処分ということについて伺いますけれども、やはり公務員の処分というのが大変に甘いというふうに言わざるを得ないですね。
 民間は、法律がある、ないにかかわらず、やはり市場原理なりマーケットというものにさらされているわけで、みずからちゃんとその基準をつくり、みずからを律するということをやっているわけです。
 今回、情報の管理というものもなっていないし、その責任の所在の管理というものもほとんど行われていないということがあったわけで、まさに、教育が不十分だということも私はそこに関連するんじゃないかというふうに思うんですが、やはりこの情報公開法なりなんなりに、個別に、ちゃんと公務員に対する罰則規定を設けるべきだというふうに思うんですね。
 今まで、行政権というものは絶対で、公務員は悪いことをしない、だからきつい規定はないということになっているわけですけれども、やはりここのところ、役所またあるいは政治家ということだけが悪いことをして、規定がないからといって、罰則もない、罰せられない、そして退職金をもらってまた再就職するというふうなことばかり相次いでいるわけですね。
 だから、そういうふうな不信を払拭する、起こったことにどう対処するのかということと、あともう一つ、これからはもう起こらないようにするということ、そのことが必要なわけであって、今回の情報開示請求ということになって、もし開示請求書以外に書き込まれた情報によって不利益をこうむるようなことがあるとすれば、それは個人が不利益をこうむるわけですから、やはりそれと同様に公務員もこの情報公開法の中にきちんとした罰則規定というものを設けるべきだし、そういうふうに違反事例ごとに処分をできる法律に改正するべきであるというふうに思いますが、官房長官、いかがですか。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
福田国務大臣 国家公務員は、情報公開法及び個人情報保護法を含む法令に従いまして行政を遂行する義務を負っておるわけであります。このことは、国家公務員法の法令遵守義務に対する懲戒処分ということがございます。それによって担保されているところでございます。また、個人の秘密を漏らした場合には守秘義務違反ということもございまして、これは国家公務員法の対象でございます。
 そのほか、犯罪として刑罰を科すべきものとしては、職権濫用罪とかそれから公用文書の毀棄罪等という、刑法によりまして、必要なものについては既に刑罰の対象となっております。
 それから、情報公開法や個人情報保護法の運用の適正性の確保ということについては、以上のような事情をもって十分に担保されているというふうに考えておるところでございます。
中塚委員 だから、そういうふうなことはもうわかっているんですよ。わかっているんだけれども、情報公開法自体に罰則規定というものがないから教育だってろくに行われないわけでしょう。そうじゃなくて、この法律のこの規定に違反をしたらこういう罰則があるんだということになれば、ちゃんと情報公開法なり個人情報保護法についての教育だって真剣に行われるようになっていくだろうということをお話ししているんです。
 最後に、このリストに、反戦自衛官とか受験生の母とか、そんなことが書かれていたと。行政権というのは、司法、立法以外はみんな行政権と言われるぐらい本当に強大なものであって、その行政の責任者である皆さんは、やはりもっと真剣に、そして慎重に事に当たってもらわなければいけないというふうに思いますが、これらのリストに書かれた人が、今後、行政上、不利益をこうむることがないようにしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
瓦委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 最初に、調査報告書の隠ぺい問題について、総理にお伺いをいたします。
 防衛庁は、情報公開請求者の身元調査リスト問題で、この三十八ページの調査報告書を作成しておりました。作成しておきながら、十一日の特別委員会理事会で、そのようなものは存在しない、報告書そのものを隠ぺいしようとしたわけであります。その日の理事会の場で、私から、四ページの「調査報告書の概要」、これが出ているじゃないか、「調査報告書の概要」があるのなら「調査報告書」があるではないかと私は理事会で詰めたわけでありますが、防衛庁の担当はないと言う。国会に、理事会にうそをついたわけであります。
 この事実は消せないわけであります。私は、これは国会の国政調査権に対する許しがたい冒涜である、そして国会と政府との正常な関係を壊したものとして重大だと考えております。
 総理は、先ほどの答弁で、無用の混乱を来して残念などと言っておりましたが、そんな程度の認識なんですか、総理。国会と政府との関係、重大な問題ではなかったか、そういう認識はないんですか。総理、総理です。
小泉内閣総理大臣 今の御意見は、共産党の立場でそういう意見というのはわかります。
 私は、どういう事実関係があったかというのは後ほど防衛庁長官に答弁させますが、私は、不必要な混乱を来さないように、これからもしっかりと調査してわかりやすく国民に説明しなさいということを指示したわけでありまして、その点について、防衛庁側に対応のまずさもあったのかなと思っております。
 しかし、今の共産党の言い分に対して、必ずしも防衛庁側がそういう認識かどうかということに対して、防衛庁長官からも答弁をさせたいと思います。(木島委員「要らないです。委員長、要らないです」と呼ぶ)
瓦委員長 ちょっと待ってください。
木島委員 委員長、要らないです。時間むだです。委員長、要らないですよ。総理の認識だけが必要なんだ、私の質問は。
瓦委員長 中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 先ほど、うそをついたというふうな点につきましては、事実関係として申し上げますけれども、当時の防衛庁の決定はあの「調査報告」でございまして、もっとほかにないのかという点におきまして、防衛庁長官の決裁を得て国会記者クラブに防衛庁として調査結果として提出したものはこれですということを説明したものでございまして、国会にうそをついたということはございません。
木島委員 私は理事会に出席して、私が体験しているんですから。私がこれを出して詰めたんですから。もうこれ以上触れません、この問題は。しかし、総理が、こんな三十八ページの「調査報告書」がありながら、ありながら、これを理事会に出さなかった、こういう問題に対して、先ほどの程度の認識だということは重大だ、こんな認識では、これからも政府の調査報告書がまともに国会に出されないおそれがあるのではないかということだけ指摘をして、次の問題に移りたいと思います。
 身元調査リスト作成問題であります。
 昨年四月から情報公開制度が始まりました。国民主権の憲法理念に基づいて、国民の知る権利を保障し、公正で民主的な行政を推進するための極めて重大な制度が発足したわけであります。国民だれであれ、差別なく行政庁の持っている情報の公開請求ができることが、この情報公開制度の肝心な点であります。だからこそ、情報公開法では、請求者はみずからの氏名、住所だけを明らかにすればよいという仕組みになっているわけであります。
 ところが、今回、防衛庁でとんでもないことが行われていたわけであります。情報公開請求をした市民の身元調査が行われ、それがリスト化され、防衛庁・自衛隊の中でばらまかれていた。そのリストには、ここにありますが、「市民オンブズマン」、「受験者の母」、「三十代医療過誤?」、「○○新聞社会部」などなど、優先的に保護されるべき市民の思想、信条、宗教、犯歴、病歴など、いわゆるセンシティブな情報が調査され、リストに書き込まれていたわけであります。
 私は、恐るべき事態だ、状況だと思います。こんなことが行われては断じてならぬと思いますが、総理の基本的な認識をお聞きします。
小泉内閣総理大臣 情報公開とそして個人情報を保護する、この認識をきっちりと持たないといけないと思っております。
木島委員 こんなことが行われては断じてならぬ、こんなことが二度と行われないように徹底した調査が必要だ、そのための調査が行われたはずであります。
 問題は、今回、防衛庁によってどんな視点で調査が行われたかということではないでしょうか。
 私、この「調査報告書」をつぶさに検討してみました。率直に言って、防衛庁の調査の観点は、個人情報保護法に違反するかどうか、そういう非常に狭い視野でのみ調査が行われている。そして、このような市民の身元、身辺調査が行われたことをほとんど問題にしないで、そしてリストがつくられたことが法に触れるかどうか、リストが配付されたことが法に触れるかどうか、個人情報保護法四条、九条、十二条、これに該当するかしないかのみの視点で調査が行われている。そして、ほとんどの場合は、これは法による個人情報に該当しない、個人情報ファイルに該当しない、こんな結論づけになっているわけであります。視点が狭い。問題は、このような市民に対する身元調査をすること自体がまず問われたはずであります。
 そこで、こんな調査、こんな視点では、防衛庁は、個人情報保護法四条、九条、十二条に違反しなければ防衛庁は幾らでも市民の身元調査をしてもいい、そんな観点、立場でこの調査を行ったんですか、お聞きをいたします。
中谷国務大臣 今回の調査につきましては、厳正に精力的に行ったわけでございますが、防衛庁といたしまして開示請求者の身元を調査したり、またそれの思想を調査したり、そういう事実はございません。
 この三佐の行動によりまして、不適切な点がありまして、法律にも触れるわけでございまして、この点、開示請求者の皆様方に大変御迷惑をおかけし、そしてこの点につきましては心からおわびを申し上げたいと思っておりますが、この「調査報告書」に書かれていた点につきましては、事実関係をすべて書いておりまして、それに基づいて法律に従って処罰をし、また、情報公開の全般の問題等につきましても勘案をいたしまして、それなりの責任の所在を明らかにしたところでございます。
木島委員 だから、私が指摘したのは、この報告書は、例えば海自の三佐の問題についても、「評価」のところを見てください、開示請求者リストの作成の問題と配付の問題だけですよ。問題は、こんな身辺調査、思想調査まがいのことをしたこと自体がまず根源的に問われているんじゃないか、そこがほとんどこの調査の対象になっていないということを厳しく私は指摘しておきたい。
 具体的に質問をしたいと思います。問題の発端であり、報告書も個人情報保護法違反と認めたのが、海上幕僚監部情報公開室の三佐、三等海佐による個人情報の調査収集、リストの作成、配付の問題であります。
 お聞きをします。この三等海佐の経歴はどのようなものか、調査部門にいたことはないか、端的に答弁願います。
中谷国務大臣 この三佐は、昭和五十二年に海上自衛隊に入隊をした後、「てるづき」、「ゆうしお」、「やえしお」等、潜水艦の勤務をいたしまして、その後、海上幕僚監部等におきまして、調査部調査課二課、このときはロシア担当の調査官だったそうでございますが、その経験、それから海上幕僚監部調査部調査課、そして平成十年より横須賀地方総監部の防衛部第二幕僚室長、これは主に前で作戦をする職種でございますが、それを経た後、平成十二年より海上幕僚監部で海幕情報公開室開設のための準備に従事をし、平成十三年四月より公開室の勤務を経て、平成十四年より岩国調査分遣隊長となっております。
木島委員 ほとんど調査畑を歩いてきた人物であります。
 この三等海佐がリストを手渡した主な相手が、海上幕僚監部調査課情報保全室の二等海佐と海上自衛隊中央調査隊の三等海尉の二人であります。いずれも調査部門の人間であります。
 防衛庁長官にお聞きをいたします。調査部門の基本的な任務は何ですか。
中谷国務大臣 調査隊の任務でございますが、特に海上自衛隊の中央資料隊といいますと、海上幕僚監部並びに東京都に所在する海上自衛隊の部隊及び機関の保全のために必要な資料及び情報の収集、整理、配付に関すること等でございます。
木島委員 調査部門の一般的な任務を聞いたわけでありますが、海上幕僚監部に関する答弁をいただきました。答弁のとおりです。防衛庁からいただいた概要によっても、調査部門の任務は、部隊や機関の保全のために必要な資料及び情報の収集、整理、配付であります。
 要するに、防衛庁あるいは自衛隊のいろいろな秘密というんですか、これに近づこうとする者に対して逆調査する、近づけさせない、それが基本的な任務なんでしょう。市民の知る権利を保障するべき情報公開室に、このような防衛庁・自衛隊の機密を保全することを主たる任務とする調査部門の人間が配置されていた。問題だと思うんですが、一体何人いたのか。陸海空各幕僚監部、そして内局、さらに防衛施設庁、それぞれ、情報公開室の人員とそのうち調査部門、調査課とか調査隊とか保全室と言われておりますが、それの経歴を有する者の人員は何人か、数字だけきちっと明らかにしてください。
中谷国務大臣 人員の数でございますが、まず、陸上情報公開室に現在勤務している者は九名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は二名でございます。海幕情報公開室に現在勤務している者は九名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は二名であります。航空情報公開室に勤務している者は十名でありますが、そのうち情報及び調査部の経歴を持つ者は二名であります。内局の情報公開室に現在勤務している者は六名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名であります。防衛施設庁情報公開室に勤務している者は五名でありまして、そのうち情報の経歴を持つ者はおりません。
木島委員 今回、海幕の事案ですが、調査畑の経歴を有する人物がすべての公開請求者の身元を調査した、そしてリストをつくった、そしてこれを配付した。そして、リストを受け取った相手側の人物も調査部門の人間だった。国民の情報公開請求権を担当するそういう部署に、国民の基本的な権利、情報公開請求を担当する、そんな部署に、逆に国民を監視し、国民の情報を収集することを任務とする調査部門の人間が配置されていた。今、施設庁を除く陸海空三幕、内局すべて配置されていた。答弁のとおりであります。
 今回の問題は、情報公開制度を利用して自衛隊や防衛庁の情報を得ようとしたすべての市民、当然の権利を行使しようとしたすべての市民を監視し、敵視し、これらをマークするために調査部門ぐるみで行われていたんじゃないですか。それがこの問題の根本的な核心ではないですか。防衛庁長官の答弁を求めます。
中谷国務大臣 まず、事実関係でありますが、この調査に基づきまして、先ほどお渡しをした、各部局また海上自衛隊の中央資料隊においては、このリストなるものを業務上使用していないということが確認をされております。
 また、情報公開室等の人選でございますけれども、職員の配置につきましては、本人の技能、能力、適性を総合的に勘案して行っております。
 その際の教育等におきましても事前に行っていたわけでございますが、今回このような違法行為がございましたので、この点につきましては、今後、情報公開における開示請求者の個人情報またプライバシーを保護する、また、公平に扱って分け隔てなく峻別を行う情報公開にするということと、自衛隊の本来任務でございます国の防衛に関して、その情報の収集、保全をやっていくという二つの問題、これはきちっと峻別をいたしまして、決して情報公開に来られた方々のプライバシーがその分野の外に出ないような体制を講じるとともに、人事のあり方等におきましても、厳正に検討をし教育を行っていかなければならないと思っております。
木島委員 防衛庁長官は盛んに、今回つくられたリストは配付を受けた者によって利用されていないと言います。「調査報告書」にもそういうことが書いてあります。しかし問題は、市民の情報が調査され、それが調査部門によって保管されている、そのこと自体が大問題なんですよ。
 航空幕僚監部の情報公開室でも全く同様の状況があった。これは報告書に書かれております。リストを作成した三人の三等空佐は、いずれも調査部門の勤務経験を有しております。そして、リストを渡されたのは航空自衛隊東京地方調査隊の三等空尉であります。そして、彼は情報を受けたことを調査隊長にまで報告していたわけであります。紛れもなく、これは調査部門ぐるみじゃないんですか。どうですか。
中谷国務大臣 この点につきましては、調査した結果、航空自衛隊で口頭によって報告をされたのは開示の内容でございまして、防衛庁に情報公開があって、その中央資料隊等に開示請求のあること、また、その所管する場所等に対して開示請求があったということでございました。
木島委員 今、短い時間で明らかにしましたように、今回、海上幕僚監部でのリスト作成、配付も、また航空幕僚監部でのリスト作成、配付も、明らかに調査部門ぐるみだと評価できるんじゃないでしょうか。情報公開請求をする市民の信条や思想を調査し、これを監視するために行っていたんじゃないか。
 「調査報告書」を読みますと、これを、挙げて個人の発意でなされたもの、顔見知りの仲間意識で渡したものなどとしておりますが、こんな調査は、身内をかばう防衛庁の保身でしかないんじゃないんでしょうか。こんな報告書で一件落着というわけにはいかないと私は思いますが、論議を聞いていて、総理、どう思いますか。総理の認識を聞きます。
小泉内閣総理大臣 国民に不安と混乱を来さないように、今までの御指摘を踏まえて、再発防止、そして信頼されるような対応を防衛庁もきちんととるべきだと思っております。
木島委員 今回の核心部分については、全くまともな調査がされていない。当委員会で、参考人招致を初め、徹底したこの問題についての解明が必要だということを主張して、質問を終わります。
瓦委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門でございます。
 小泉総理には、昨日、本当に暑い中、沖縄全戦没者追悼式に御参列いただきました。お疲れさまでございました。
 冒頭ですが、今回の防衛庁問題に入ります前に、昨日の総理のごあいさつの中でちょっとお聞きいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。あいさつの中に、沖縄における米軍の存在は、我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく貢献しているという点がございましたけれども、その点についてお伺いいたします。
 これは、去る五月の復帰三十周年記念式典でベーカー米国大使が発言されたのとほとんど同じで、私はそこに座っておりましてちょっと驚いたのですが、総理のお気持ちの中には、我が国のみならずアジアの平和と安定に貢献しているのだから、そのまま我慢してくれというお気持ちがあったのか、お聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 その後のあいさつにも、沖縄県民が米軍の存在によって多大の負担に苦しんでいるというこの現状を解決していかなくてはならないということも述べているわけであります。アジアの安定、これは日本の安定にも不可欠でございます。日本とアメリカが日米安保条約を締結して、日本にも米軍基地がありますが、そういう日本とアメリカとの安定、これはやはりアジアの安定にも寄与しているのではないかという認識でございます。
東門委員 余りきょうこれに時間を割くわけにいきませんので、あと一点だけお聞かせください。
 その後に、関係各位の理解と協力を得ながら県民の負担軽減に向けて誠心誠意取り組んでまいりますとあるんですが、その関係各位というのが、どういう方々が総理の頭にあったのか、そして何が県民の負担と考えておられるのか、その負担を軽減するとおっしゃるわけですが、負担というのは何なのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 まず、米軍の基地の七五%が沖縄に存在している、この整理縮小、こういうものにつきまして、政府も、アメリカ側初め、地元の沖縄の県を初め、あるいは基地の所在地の自治体の方々、いろいろな関係者がおられます。そういう方々の理解と協力を得ながら、沖縄県民の負担を少しでも軽減できるような対策を今とっているわけであります。特別行動委員会、さらには沖縄の振興開発計画、それぞれこれは関係各位の御理解と御協力を得ることが大変大事でありますので、そういう趣旨を私は関係各位ということで表現したわけでございます。
東門委員 関係各位、何か県民の姿が見えないで、ぽっぽっといかれたような気がするんですが。
 それと、県民の負担という負担は何を意味しておられますかということには答えていただかなかったんですが、どういうことを負担と考えておられるのか。いわゆる基地の面積なのかあるいは兵員の数なのか、そういうところをお聞かせいただきたい。何が負担だと、これをどのように軽減、まあ、どのようにはともかくいいんです、何を負担だと思っておられるのか、そこをお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 基地の存在自体も負担でしょうし、あるいは、米軍の人数の点あるいは飛行機等の騒音の点、いろいろ負担はあると思います。基地のない県にしたいという気持ちもよくわかります。そういう観点と安全保障上の観点、そういうものを御理解いただきながら、沖縄の皆さん方にはいろいろ御負担をおかけしておる、そういう点にも配慮しながら、この米軍基地の整理縮小について政府としても誠心誠意努力の必要があるなと思っております。
東門委員 ぜひ、今おっしゃった負担、その軽減、それに向けてやはり総理には頑張っていただきたいと思います。
 次に、防衛庁のリスト作成問題についてお伺いいたします。
 少し私はさかのぼりますけれども、六月の初めごろになりますが、防衛庁が、情報公開請求者に関して請求フォームには記載されない情報まで書き加えた個人情報リストを作成して、それを防衛庁内のLANなどで公開し、それが外部に漏えいした問題に関して、防衛庁長官は、まことにゆゆしき問題で言語道断、請求者に御迷惑と不安を与えたことを心からおわび申し上げたいと述べ、謝罪をしておられますが、長官は、この問題の何がいけないと認識をして、何を謝罪しておられるのか、その問題の所在についてまずお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 問題は、情報公開を請求してきた方々の個人情報が防衛庁の中で不法に利用をされて、それに基づくリストがつくられ、それが配付をされ、閲覧をされていた事実。また、LANに関しましては、一時的にはそのような認識を持って私自身国民の皆さんにおわびをしたわけでありますが、この点につきましては、よく調べてみると、そのリストだけでは個人が判定できないようなリストでありまして、これは間違っていたわけでございますが、いずれにいたしましても、情報公開で請求をしてこられた方々のプライバシーを大切にしていなかったという点につきまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。
東門委員 では、まず作成そのものがいけなかったということで理解してよろしいですね。作成がなければ、ほかの問題は続きませんものね。このリスト作成、それもおっしゃったわけでしょう、それが問題だと。だから、そこがなければ、作成がなかったならば、今のような問題は起こらなかったわけですよね。ですから、長官の認識としては、まず作成に大きな問題があったというふうに理解してよろしいのでしょうか。
中谷国務大臣 この個人情報リストというのは、事務処理のために必要な部分もございます。しかし、法律によって不必要な情報の入った個人情報リストをつくってはならないと定められておりまして、その点、不必要な項目等が記載されたリストをつくった点について、大変こちらとしても国民の皆さんに申しわけないということでございます。
東門委員 済みません、私もちょっと間違えました。作成そのものじゃなくて、個人情報の収集に問題があったというふうに理解していいわけなんですね。
 続けます。
 五月三十一日の衆議院内閣委員会でも実際答弁されておりますし、また、今回の報告書でも出ております、いわゆる行政機関個人情報保護法に違反であると。例えば、個人情報保有を事務遂行に限定するべきであるという第四条、あるいは目的外利用を禁ずる第九条、そして個人情報をみだりに漏えいすることを禁ずる第十二条、そういうふうに違反しているということは報告書にも明らかになっているんですが、その中でお伺いしたいのは、第五条、行政機関の長、この場合は防衛庁長官御自身になるわけですが、個人情報の漏えい等の防止のための必要な措置を講ずる、そういう旨を定めた五条になぜ言及しておられないのか。報告書にもありませんし、内閣委員会での御答弁にもなかったんですが、なぜでしょうか。
中谷国務大臣 この点につきましては、報告書の最後に「まとめ」という形で、今回、情報公開の法律の趣旨や個人情報の保護に関する法律に照らして、防衛庁として大変至らない点があって、その点は心から反省をしておわびを申し上げますということで、今回の点につきまして防衛庁として至らなかった点があったことは認めます。
 そこで、この五条との関係でございます。
 五条におきましては、行政機関が個人情報を確保する措置及び個人情報の正確性を確保する措置を講じるよう努めなければならないということを規定いたしております。防衛庁としては、個人情報の取り扱いに対し、安全確保の観点から、システムのセキュリティーの向上、また関係規則等についての教育の充実に努めていたところでございますが、しかしながら、全般的に個人情報に対する認識が十分でなかったことが明らかとなって、国民に不安と疑念を与えたことは遺憾でございまして、このようなことが二度と起きないように、全力で再発防止に努めてまいりたいと考えております。
東門委員 私の質問以外のことも随分入ってきたんですが、私がお尋ねしたいのは、防衛庁長官の責任のとり方がそれでいいのかということなんですよ。いわゆる二月間、五分の一の給与の自主返納という形をとっておられます。それに関してなんですね。
 私は、やはり行政のトップ、組織の長として、責任はまず長官にあると思うんです。そこから、私は、やはり御自身で辞任する、あるいは、これは総理の任命権者としてのもちろん権限になろうかと思いますが、それがあってしかるべきだと思っているのです。
 それともう一点。今回の処分の中で、官房長はたしか給与の、それは十分の一の二月になっていますが、しかし、更迭をされましたよね。ところが、事務次官は更迭はされない、そのまま留任。御本人は、責任は私にあるということで長官に進退伺も出されたというふうに記者会見の中ではっきり述べられておりますけれども、その事務次官、いわゆるトップに長官、そして行政、事務方のトップとして事務次官がおられるわけですよ。そのお二人は軽い。どちらかといえば、官房長、文書課長に比べればかなり軽いと私は思います。そういう処分の仕方でいいのか、本当に妥当なのか、長官の見解を伺いたいと思います。
中谷国務大臣 今回の事柄に対する責任は、最高責任である私が有するものでございますが、まず懲戒処分としても、最高の処分として、この給料の五分の一、二カ月というのをやりました。
 それから、今後の責任のとり方といたしましては、やはり私自身がもう二度とこのようなことを起こさないような体制をつくっていくか。やめて責任放棄をしてしまえばそれで終わりでありますけれども、今までずっとこの問題を中心に調査をしてまいりました。また、防衛庁全般にも責任を負っていかなければなりません。この職にとどまって、もう二度とこのようなことが起こらないように全力でやる、責任を持ってやるという責任のとり方をいたしたいと考えております。
 よく世間では、トップが責任とってやめろと言いますけれども、問題は中身であります。もう二度とこのようなことを起こさないようなシステムをどうつくっていくのか、そのために中をどう改革していくのか、そのために何をなすべきかということが重要でありまして、私にとりましては、このような情報公開に関して二度と国民の皆様方に御迷惑をかけないようなシステムを全力でつくっていきたいという気持ちで今後対処してまいりたいと思っています。
東門委員 今の御答弁、ちょっとよくわからないのですけれども、事務次官を一番重い懲戒だとおっしゃるんですが、私は官房長の方がはるかに重いと思います。どうしても理解できないんですよ。事務次官の方が軽い。職員の皆さんもほとんどそう思っておられるんじゃないですか、防衛庁の皆さんも。そういう次官のもとで、あるいは長官のもとで、本当にこれから再発防止策に向けて、庁を挙げて、庁内一丸となって動けるかというのをすごく疑問に思うんです。特に事務次官、私はやはり、官房長を更迭された、そうであれば事務次官もその対象になるべきだと思います。ですから、そこはぜひ考慮していただきたいと思います。
 時間がないので急ぎます。
 長官は、二十日の記者会見で、今回のリストの問題から、今後は行政の透明性を確保する情報公開と防衛庁の情報保全を行っていくと発言されておられます。防衛庁にとって、開示とそれから保全、どちらが重要なのでしょうか。どのように両立をさせていくお考えか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
中谷国務大臣 まず、人事につきましては、やはり官房というのは情報がすべて集まって、それを処理されるという、いわゆるコントロールタワーの部分でありまして、その部分において強化をしていきたいという観点で行ったものでございます。この点につきましては、事務次官に責任を持って防衛庁の立て直しをさせるということでございます。
 それから、お尋ねの点……(東門委員「情報の保全と開示」と呼ぶ)これはやはり、今回のことを教訓といたしまして、情報公開についての情報について、申し込まれた方のプライバシーが守られる、また公平に、分け隔てなく開示請求が実現できるような、そういうことをやっていくのと同時に、防衛庁の本来国を守るという任務に関して、国の安全に関する情報を収集し、また保全をしていくというものは、これはないと防衛庁は任務を果たせませんので、この二つをきちんと峻別して、その情報が入り込まないように仕分けをするというふうなことを、具体的にいろいろと考えておりますけれども、講じることによりまして、両者が両立できるような体制をとってまいりたいと考えております。
東門委員 事務次官の件ですが、実際に報告書にも出ていますよね、長官がシンガポールにおられるときに空幕の情報を上げなかったと、はっきりと彼のミスだということが出ている。それにもかかわらず、やはり残ってもらうということがよくわからないんですが、時間がありませんので、これはこの次にまたお聞きしたいと思います。
 今の情報保全と開示の両立の件ですが、情報保全も確かに大事だと今おっしゃいました。でも、今のこの集中審議もそうですが、今回は新聞報道で、リスト作成が、個人情報を収集して、余分のものが入っている、そういうのが明らかになったわけですね。これは防衛庁の情報が外に漏れたということであって、長官のおっしゃる情報の保全にはなっていないと思うんです。
 マスコミに情報が漏れた、その事実をどう思っておられるのか、今後は情報管理を厳しくしていこうとお考えなのか、今回の件からです、お聞かせください。
中谷国務大臣 今回の件におきましては、新聞報道で、情報公開における防衛庁としてのあり方というものを私自身把握したわけでありまして、今回の件を考えますと、やはり防衛庁における情報公開のあり方につきまして、国民の皆さんから信頼の置ける体制をどうとるかというところに、一番の教訓としてとらえてまいりたいと考えております。
東門委員 とても大事な点だと思います。本当に国民から信頼される政府、信頼される防衛庁、情報開示、しっかりとしていただくということなんですが、本当に今回のケースで、新聞報道がなければ、私たちは一切それを知らなかったわけですよ。
 例えば、私が開示を請求したとしましょう。私についてどういう情報がついているのかというのは、請求した本人としてはとても嫌な思いでいると思います。そういうことに対して、今国民の防衛庁に対する、あるいは政府全体に対する不信感というのはとても大きくなっていると思うんですね。それを本当に具体的に国民に理解していただく、そういう方法を私は考えるべきだと思います。
 そういう中で、きょう、二十分という時間、すごく短い時間です。これでは絶対に不足です。私もたくさん質問を準備してまいりました。余りにも短くて半分もできません。それで、委員長、この防衛庁の問題、いろいろ私も今申し上げました、事務次官の処分の問題等もあります。ぜひ参考人等をお呼びいただいて、審議を続けていただきたいと思います。
 終わります。
瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十八分散会


2002/06/24

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