2002/06/24

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細野議員「リスト作成は組織的な違法行為」 (民主党ニュース)

 民主党の細野豪志議員は24日の衆議院武力攻撃事態特別委員会における防衛庁情報公開請求者リスト問題の集中審議で質問に立ち、防衛庁の体質と危機管理に対して質問を行った。

 始めに、防衛庁が作成した調査報告書が当初40ページのものであったにもかかわらず、4ページの概要だけが発表されたことについて、細野議員は「小泉首相はこの報告書を見ているはずなのに全く関心がなく、問題に対する主体性のなさには疑問を感じる」と認識の甘さを指摘し、見解を求めた。小泉首相は「細かい指示は出していない。できるだけ分かりやすく報告するように(指示した)」と極めて他人事のような答弁に終始した。

 さらに細野議員は、中谷防衛庁長官に対して「国民への説明責任を果たさなかったことに対する、大臣自身の責任をどのように認識しているのか。国民の側を向いているのではなく、与党の側を向いているだけだ」と混乱を招いた中谷長官に質した。これに対し、中谷長官は「端的にわかりやすく報告した」と苦しい答弁を繰り返し、危機管理に対する認識の欠如を露呈した。

 また細野議員は、リストを作成した三等海佐について「個人の発意で作成したとされているが、事前に上司がリスト作成の事実を知っており、違法性の認識も共有していた。組織的な違法行為そのものである」と防衛庁の体質を厳しく非難。防衛庁が個人的な行為であると強弁するのに対して、内局、空幕、陸幕、海幕各々の情報公開室長の参考人招致を求めた。


平成十四年六月二十四日(月曜日)

瓦委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案並びに東祥三君外一名提出、安全保障基本法案及び非常事態対処基本法案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、各案の審査に関し、防衛庁の情報公開請求者リスト問題について集中審議を行います。
 この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。中谷防衛庁長官。

中谷国務大臣 初めに、六月十一日に公表いたしました調査報告書及び六月二十日に行いました処分について説明をいたします。

 五月二十八日の報道に対し、私より指示をし、萩山副長官のもと、徹底した調査を行ってまいりました。本報告書は、海幕三等海佐開示請求者リスト事案、内局、陸幕及び空幕リスト事案及びこれら事案への対応等につきまして調査結果をまとめております。また、施設庁についても、あわせて調査結果を公表いたしました。

 まず、海幕三等海佐開示請求者リスト事案について説明をいたします。
 前海幕情報公開室三佐が、同室勤務当時、情報公開業務に必要な範囲を超えて、請求者の個人情報を付加したリストを作成しましたが、当該リストには、情報公開業務とは何ら関係を持たない個人に関する記載があり、行政機関電算処理個人情報保護法、以下簡単に法と申し上げますが、第四条第二項違反と評価いたしました。

 また、同三佐は、当該リストを内局、各幕の情報公開室や海幕調査課担当者等に配付をしており、調査の結果、計十四名が当該リストの受領、閲覧または保管に関与していましたことは、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならない旨定めた法第十二条違反と評価いたしました。

 さらに、同三佐の上司である海幕情報公開室長やリストを受領した者については、法に抵触しませんが、個人情報の取り扱いに関する認識が低かったなど、その対応は不適切であったと考えております。

 次に、内局、陸幕及び空幕リスト事案について説明いたします。
 請求者のイニシアルや団体を示す略号、職業または会社名等が記載されたリストが、五月二十八日の新聞報道後、内局、陸幕及び空幕の情報公開室において、それぞれのLANのホームページから削除等されましたが、調査の結果、各リストに請求者を特定できるような情報の記載がないことなどから違法ではないと評価いたしました。

 しかしながら、個人に関する情報の取り扱いについては、慎重かつだれもが広く利用することができる情報公開法の趣旨に沿って疑念を生じないようにすべきとの点において配慮に欠けるものと考えます。

 また、空幕情報公開室員延べ二名が、東京地方調査隊隊員一名に対して、請求内容に氏名等を加えた文書を配付しており、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならない旨定めた法第十二条違反と評価いたしました。

 これら事案発生後の対応については、個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さなどにより、上司に対する適時適切かつ正確な報告がなされておらず、結果として、防衛庁の発表の信頼性を損ない、国民の信頼を著しく失墜させることとなりました。このことは、的確な判断と正確な事実認定を欠いたためであり、防衛庁の業務処理手続において大きな問題があったと考えております。

 次に、防衛施設庁の事案について説明いたします。
 施設部の情報公開担当の専門官が、上司への報告、了承なしに開示請求書に記入された請求者の氏名及び所属団体名等を転記したリストを作成し、LANの施設部掲示板に一時期掲載しました。このことは、情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能だったことから、結果的に当該資料処理情報が目的外の参考資料として掲示されたこととなり、法第九条第一項違反と評価いたしました。

 防衛庁においては、調査結果により確定いたしました事実関係に基づき、六月二十日付で、大臣の補佐等、実行行為、指揮監督責任の三つの観点から、減給四名、戒告四名の懲戒処分計八名、訓戒三名、注意十名、口頭注意八名の計二十九名に対する処分を行いました。

 詳細は、次のとおりであります。
 まず、私への補佐等が不十分であったため、職務上の注意義務違反と指揮監督義務違反により、事務次官を減給二カ月五分の一、官房長を減給二カ月十分の一、文書課長を戒告といたしました。これは、内局、陸幕及び空幕の各リストを違法なものとして早期の公表を進言し、あたかも防衛庁において問題となり得る行為が行われていたかのような印象を国民に与えることとなったことなどによるものであります。

 次に、実行行為について、法に反したことにより、職務上の注意義務違反として、前海幕情報公開室三佐を減給一カ月五分の一、空幕情報公開室員と前室員の三等空佐計二名を戒告、防衛施設庁施設部の専門官を訓戒といたしました。

 このほか、法に違反しませんが、前海幕情報公開室三佐の上司の海幕情報公開室長を、同三佐に対して是正のための特段の指示をせず、開示請求者リストをみずから保管したことにより、職務上の注意義務違反と指揮監督義務違反として、減給一カ月五分の一といたしました。

 また、内局情報公開室長を、上司に報告することなく五月二十八日の新聞報道直後にホームページ上の資料の削除を指示したことなどにより、職務上の注意義務違反として、戒告といたしました。

 さらに、指揮監督責任について、各幕僚長及び防衛施設庁長官を、組織の長として隊員に対する指揮監督が不十分であったことから、注意処分といたしました。なお、陸上幕僚長は、海外出張中のため、帰国後処分を行います。

 また、情報公開に絡む問題として社会的影響が大きいため、一次監督者のみならず二次監督者まで処分を行いました。

 次に、再発防止策について触れたいと思います。
 情報公開業務における今般の事案の根本には、大半の職員の個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さがありました。

 今後は、全職員の意識改革、個人情報に関する教育研修、個人情報保護のチェック体制の充実及び情報公開業務実施手続の改善を柱とした再発防止策を徹底し、これらを通じて、国民が安んじて情報公開請求を行えるよう最大限努力をしてまいります。

 次に、海幕三等海佐開示請求者リスト事案等に係る発表用資料の作成経緯について説明をいたします。
 防衛庁としては、当初、「調査報告書の概要」と「調査報告書」に加え、「防衛施設庁施設部における「情報公開処理状況(施設部関係)」に関する調査結果」と法的評価に関する参考資料としての「「個人情報」とは」の四つの資料を作成し、官邸及び与党への説明をした上で、これらの資料を使用して与野党国会議員や記者の方々へ説明を行うことを考えておりました。

 このため、事務次官が、十日に官房長官に、四つの資料のうち施設庁に関する資料を除く三資料を持参の上、「調査報告書の概要」の案に基づき調査結果のポイントを、十一日、総理にも四つの資料を添えて調査結果の主要なポイントを説明し、総理からは、国民にできるだけわかりやすい形で説明せよとの趣旨の御指示がありました。

 また、十一日午後、人事教育局長が与党幹事長及び国対委員長に説明した際には、「調査報告書の概要」の証拠隠しに係る記述については、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、「調査報告書」はバックデータにすることも考えられるといった趣旨の御指摘をいただきました。

 その後、私は、国民に対し簡潔でわかりやすい説明を行うとの趣旨に立ち、発表用資料については、法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいとの判断から、「調査報告書の概要」を若干修文した「調査報告」を作成いたしました。会見等では、これと個人情報に関する参考資料を配付し、「調査報告書」及び施設庁に関する資料の内容を口頭で補足して説明することとし、午後五時ごろ、人事教育局長が記者ブリーフィングを開始いたしました。

 一方、午後五時半ごろには、衆議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会理事会において、「調査報告」を提出し、この際、出席した防衛局長は、その時点における防衛庁の正式な発表用資料が「調査報告」であることから、その旨を述べたところであります。

 当日の記者ブリーフでは、実際に配付された資料が簡単なものであったことを背景として、記者側より事実関係の細部についても強い関心が示されましたので、「調査報告書」及び施設庁に関する資料も配付いたしました。委員会には次の日配付をいたしました。

 発表用資料の作成経緯は以上のとおりであります。

 私としては、精いっぱい判断し、努力をし、対処したつもりでありますが、今回の調査結果の発表の際の防衛庁の対応により、結果として混乱を生じさせたことは遺憾であります。御批判は謙虚に受けとめ、今後の国会審議の中で誠意を持って説明するなど対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
    ―――――――――――――
瓦委員長 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官柳澤協二君及び防衛庁人事教育局長宇田川新一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。
 ただいま防衛庁の長官の方から、今までの調査の経緯、御説明をいただきました。冒頭の部分でずうっと書いておりますのは、今回防衛庁がやってきたことに対して、情報公開法という趣旨に基づいて明らかに反する行為があったというところをお認めになった報告になっております。

 ここの部分については、もちろんこれは大問題として私ども議論の対象としていきたいと思っておりますけれども、もう一つ、まず冒頭で私が問題としたいと考えておりますのは、この後半の部分、最後の部分に出てきております、この資料の発表の経緯であります。

 きょうは六月の二十四日でありますけれども、当初、この特別委員会の開催は六月の十三日が予定をされておりました。私もその十三日の質問に向けて準備をしておった、その十一日、この資料が発表されたわけですが、発表される経緯の中で、五時過ぎでしょうか、この四ページのものが、これが調査報告書だよという発表がございました。五十ページぐらいのものが出てくるという話はずっと前から防衛庁から出ておりましたので、これはどうなんだということで、我々野党の中からも、そしてその情報を国民に伝える、そういう義務がある記者の皆さんからもさまざまな要求があって、そして九時過ぎでしょうか、四十ページ近くにわたるこういう報告書が出てきたという経緯がございます。

 まず総理に伺いたいんですけれども、私、この報告書が出てきた経緯、この四十ページのものが出てきた経緯、これは与党とか野党とかいう立場を超えて、夕方からの混乱というのは大変私は残念である、防衛庁としては大変情けない対応であったというふうに私は思っております。総理はこの部分についていろいろコメントはされていますけれども、この十一日の経緯について、しっかり、どういう見解を持っていらっしゃるのか、その話をまだ伺うことができておりません。

 まず、この十一日の混乱の経緯について、総理としてはどういう評価をされているのか、それを伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この防衛庁のリストの問題につきましては、できるだけわかりやすく国民に説明すべきだという指示をしていたわけでありまして、そういう中において無用の混乱を来したということは大変残念であると思います。

 いろいろな御批判を真剣に受けとめて、今後、このような混乱、不安を与えないように信頼回復すべき、しっかりした対応をとってもらいたいと思っております。

細野委員 無用の混乱という話がございましたけれども、何といいましょうか、総理のこの部分についての主体性に関して、私、やはり、この先ほど防衛庁長官に説明いただいたものを見ても、大きな疑問を持つわけであります。

 というのは、総理は、事務次官から四資料、すなわちこの四十ページのものを含めた御説明を受けられたわけですね、防衛庁の方から。当然、これを全部国民に公表する前提で、このときお話を聞かれたんじゃないんですか。

 四十ページの報告書、総理自身、このとききちっとごらんになって評価をされたんですか。この点伺います。

小泉内閣総理大臣 概略を説明を受けまして、これをわかりやすく説明しなさいと指示いたしました。

細野委員 わかりやすくという意味は、この四十ページの報告書を国民に公表しろと。

 これは、細かい話じゃないですよ。この報告書をみんな待って、どういう事態があったのかと関心を持っていた。情報公開のあり方が今防衛庁でどういうふうに運用されているのか、これを知りたがっていたんですよ。

 これを、総理としては、出す前提で防衛庁に指示されたということでよろしいんですか。

小泉内閣総理大臣 私はそこまで、何ページのものを出せ、どれを出せという、そういう細かい指示は出しておりません。

細野委員 これは、総理、政府の報告書ですよ、政府の報告書。防衛庁が出す報告書で、総理がそれを事前にごらんになって、それで総理は、そんな細かいことは知りません、そんなことをおっしゃって本当にいいんですか。

 細かいことに興味を持ったのはだれですか。それは、与党の幹事長三人じゃないですか。

 今回の問題の経緯で一番不可解なのは、総理はこの部分に関してほとんど御関心がない。ああそうですか、国民に頑張って説明してくださいということをおっしゃって、与党の幹事長三人は、この四十ページのものは、これは参考資料にしたらどうだ、そういう話があった。

 この官邸の無関心さと、そして与党のこの圧力というものが相まって、こういう形でどっちらけたわけじゃないですか。私、この温度差、総理、本当に反省していただかなければならないと思いますよ。

 防衛庁長官にお伺いしますが、先ほど御説明ありましたけれども、この四十ページの報告書に関しては、与党の三幹事長から、この問題に関して、これは出さない方がいいんじゃないかという御意見が出るまでは、これは出すおつもりだったわけですよね。そして、総理にこの説明をされるときは、当然それを出す前提で説明をされたんじゃないんですか。この点、事実関係をまず防衛庁長官にお伺いします。

中谷国務大臣 当初は、その報告書の存在につきましては、記者会見等でその前の週にも記者の皆さんとはお話ししたこともございますし、当日はブリーフにおいてそのような説明を行うという予定でございましたが、しかしながら、与党三党を初めいろいろな人の御意見を伺いまして、その説明の際の正式な資料としては、明確でわかりやすく、簡潔、そして法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいという御意見もありました。

 さまざまな意見のある中で、最終的に決めたのは私でございますが、そのような観点において、報告書といたしましてはその四枚紙でありましたけれども、ブリーフィングにおきましては、報告書に基づいて丁寧にわかりやすく行ったわけでございますが、その報告書を出していただきたいという要望がございましたので、それに応じて提出をしたというのが正直なところでございます。

細野委員 それは、四ページのものの方が読みやすいですよ。読みやすい。
 事実関係を知りたい人にとっては、これはちゃんと読む方がわかりやすいに決まっているじゃないですか。口頭で説明するよりも、資料できちっと書いてあるものの方が皆さんにわかりやすい、こんなの当たり前でしょう。

 では、お伺いしますが、今、要求があったからこの四十ページの報告書を出したとおっしゃった。では、仮に要求がなかったら、これを出すことはなかったんですか。ここをきちっと答えてください。重要ですよ。

中谷国務大臣 その四十ページの資料も四ページの資料も、質は同じでございます。その四十ページの内容を端的に、簡潔で、明瞭に、わかりやすく、結論的に書いたのが四ページでございまして、質は同じだと考えておりまして、仮に要求があったらその本体の報告書はお出しをするつもりでございましたが、要求がない場合は、それはお出しする必要がないということでございますが、要求があったから提出をしたわけでございます。

細野委員 要求がなかったら出すつもりはなかったとおっしゃいましたね。当初出すつもりだったものを、与党からそういう話があって、幹事長から話があって、要求がなければ出さないことにした。これを隠ぺいと言わずして何を隠ぺいと言うんですか。

 それで、同じとおっしゃったけれども、明らかに一カ所変わっている点がありますね。二カ所あります。一番問題になっているのは三ページの部分で、証拠隠しを行ったと言われてもやむを得ない、この記述が、この四ページのものでは削除されているんですよ。本当に初めからこれを出すつもりであったならば、こっちには、証拠隠しの意図があったと思われてもやむを得ないという記述が残っているんですよ。

 何でここを削除したんですか。こっちを出す気がなかったから、こっちだけ削除したんじゃないんですか。ここを削除した理由、これをきちっと答えてください。

中谷国務大臣 それは、結論としては同じでございます。不適切であるという表現は変えておりません。

 そこで、私が考えたのは、法理的にどうであるかという指摘でございまして、その与党の指摘の中に、証拠隠しに係る記述については、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、その記述は情緒的で回りくどいので法理に照らしてどうなのか、もう少し明確な表現にする必要はないかという指摘がございました。

 そういう意味で、この証拠隠しの表現につきましては、非常に主観的な表現でございますが、結論的には不適切であるということでございますので、その法理的な御指摘が、なるほど、そうであるというふうに感じたからでございます。

細野委員 証拠隠しの部分については、後ほど、もう少し議論をしたいと思います。
 ここでは、それは、私は、証拠隠しの意図が明らかにあったと思いますよ。それについてはきちっと後ほど議論をいたしますが、私が防衛庁長官に申し上げたいのは、あなたは本当に国民の側を向いていたのかということを確認したいんですよ。(発言する者あり)
 委員長、ちょっと静かにさせてください。

瓦委員長 静粛に願います。

細野委員 防衛庁長官、この決定を下したときに、四十ページのものではなくて、四ページのものを出そうという結論を出されたときに、国民に対する説明責任を果たそうという思いが、あなたにはありましたか。与党の側を向いていたんじゃないんですか。この部分、本当に政治家としての良心はどうなんですか。防衛庁長官にこの点をしっかりと答えていただきたい。

中谷国務大臣 資料としては簡潔明瞭でわかりやすく、法理的に端的なものがいいというふうに判断いたしましたけれども、その際の説明につきましては、報告書に基づいて丁寧にわかりやすく説明をすることを命じまして、担当者もそれに従ってやったわけでございます。

 そして、その上において、その報告書を出してほしいという要求がありましたらお出しする予定でございましたので、そういう点におきましては、我々としては、その当時の判断としては、国民にわかりやすく丁寧に説明をしたいということでございます。

細野委員 いや、正直、四ページの方がよかった、そういうことをおっしゃる中谷防衛庁長官のお顔を拝見していて、非常に苦しそうだなと。どちらを向いていたかというのは、その表情を見ているだけで私はよくわかる、そういう思いを持ちました。

 防衛庁長官、今回この報告書を出す前のさまざまな記者会見で、あなたはこういうことを言っているんです。防衛庁長官、あなた、責任をとるべきじゃないですかという記者からの質問に対して、何度も何度も、調査した結果をすべて国民の前で明らかにすることで責任を全うしたいとおっしゃっている。四ページの報告書だけを出してきた時点で、あなたはこの言葉に反していませんか。すべて国民の前で明らかにすると何度も何度もあなたはおっしゃった。この政治的な責任をあなたはどう考えているんですか。

中谷国務大臣 この調査につきましては、私の政治生命をかけて、今回の防衛庁に関するリストの問題について、事実を包み隠さず調べまして、それを報告書にまとめました。そして、それを報告する際におきましては、簡潔明瞭でわかりやすく、そして、法理的に正しい報告をしなければならないということで、文書といたしましてはこの四ページの調査報告をしましたけれども、それのブリーフにつきましては、この調査報告に基づいてすべて誠実にお答えをいたしましたし、また、報告書の求めに対しましてそれを提出いたしたわけでございまして、私の当初の考えはいささかも変わっておりません。

 しかしながら、やり方におきましていろいろと御批判があるわけでございまして、この点につきましては謙虚に反省をし、そして、至らない点は改善をいたしたいと思いますが、結果として報告書を出しております。この点において、いささかもこの事実関係について隠ぺいするとかいう意思はなかったという点について、ぜひ御理解いただきたいと思います。

細野委員 私はこう思うんですね。確かに、最終的に四十ページの報告書は出てきました。でも当初は、この四十ページの報告書を中谷防衛庁長官は出すつもりだったわけですよね。にもかかわらず、与党から言われて四ページのもので済ませようとした。その後確かにこの四十ページの報告書は出てきましたけれども、当初この報告書をきちっと出して説明をされていたら、こんな混乱はなかったはずなんですよ。この四ページの報告書を出したことによって、この報告書自体の信頼性も本当に落ちてしまっている。

 私は、防衛庁の中の方、いろいろと話を伺いましたけれども、やはり調査を担当された方も、大変残念だ、この報告書の信頼性自体が落ちたことを大変残念だとおっしゃっている。

 この部分に関する責任は、中谷防衛庁長官、あなたにあるんでしょう。この部分に関して、あなたがきちっと責任をとる意思があるのかどうか、私はこれを問いたいんですよ。

 確かにあなたは、中谷防衛庁長官は、今回処分を発表された。いろいろなかなりの数の人が確かに処分の対象になっています。私、記者会見の中で一番気になりましたのが、官房長の更迭の問題であります。官房長がいろいろ不適切な行為が、不手際があったので、これについては更迭をするという結論を出された。そして、記者会見の中であなたはこう言っているんですよ。今回の報告の経緯、十一日に四十ページのものが出てくる、四ページのものが出てくる、ここでもめた、そのことによりまして出てきたこの混乱についても官房長に責任がある、そういうことをおっしゃっていますね。

 この一連の混乱の責任は一体だれにあるんですか。これは本当にはっきりさせないと、官房長に対する、中でこれは更迭をされたわけですけれども、極めて無責任な人事と私は言えると思いますよ。この責任、中谷防衛庁長官自身にあるというのをお認めになるのかどうか、お答えください。

中谷国務大臣 今回の措置につきましては、防衛庁の開示請求者のリストの一連の問題でございます。最初から終わりまですべてを勘案し、懲戒処分に相当するものは何かという点で判断いたしましたら、やはり法律違反に伴うリストの関係、これによる懲戒処分でございます。

 人事に関しましては、こういった処罰とは別に、防衛庁としていかなる体制をとっていくべきかということを考えました。もちろん、すべての責任は私にあるわけでございますし、この報告のあり方においても私が責任があるわけでございますが、今後のことを考えまして、いかなる体制をとれば防衛庁が機能を回復し、また情報公開業務における適切な対応ができることになるのかという観点をかんがみまして、その担当の部局であります官房、また防衛庁のすべての組織の中のコントロールタワーである、すべての情報が集中する官房機構、ここに一番の力点を置いたということで人事異動の措置を行ったわけでございまして、処分は処分として、人事においては今後の防衛庁の体制をどうとっていくかという観点で考えて実施したわけでございます。

細野委員 私が確認をしたかったのは、今回の十一日の報告書を出す時点での混乱、そしてその後の国会の混乱は、原因が、与党のサイドにも大きな問題がありますが、防衛庁の中では、前官房長ではなくて中谷長官自身にあるんですねということを確認しているんです。簡潔に御答弁ください。

中谷国務大臣 この報告のあり方の決定につきましては、いろいろな意見を聞きまして最終的に私が決断をしたことでありまして、私に責任がある問題でございます。

細野委員 混乱の責任を部下になすりつけて、ここの部分に関して記者会見であなたは確かにそう答えているんですよ、今回の報告のあり方についての混乱の責任も含めて官房長が更迭だとおっしゃっている。明らかにこの部分逃げているじゃないですか。

 これは、防衛庁というのは非常にモラルが大事、規律が大事な組織、だれにどの責任があるかはきちっと判断していただかなきゃならない。その防衛庁長官自身が、報告書のあり方に関するその部分の責任も評価の対象になっているとおっしゃって、自分の責任については言及がない、処分されない。これは、私は本当に、防衛庁、今後のことを考えると深刻な問題だと思いますよ。

 では、総理に伺いますけれども、もう一つ、今回の防衛庁の問題に関して、正直、大変心配になったのは、本当にこの組織に日本の危機管理を任せていいのかという問題であります。

 報告書がもう五時ごろには記者の手に渡っていて、我々野党のところにも情報が来ている。それで、この特別委員会の理事会でも、いや、そういう報告書はありません、これだけですとおっしゃっている。明らかにその時点でもう危機管理が成り立っていない、情報管理が成り立っていないわけですね。

 総理は、今回のことに関して、混乱に関して、よく調査をして国民の不安を取り除くようにとおっしゃいましたけれども、今のこの防衛庁の体制、防衛庁の長官の十一日の対応は、本当に私は優柔不断であったし、危機管理がなっていなかったし、そして、最終的に責任もとられない。この防衛庁長官に本当に日本の危機管理をこれから任せていくのが総理は適当だとお考えになるのかどうか、お答えください。

小泉内閣総理大臣 今後、反省すべきは反省し、国民に不安と混乱を起こさないような体制をとるのが防衛庁長官の責任だと考えております。

細野委員 総理はこの問題に関して、今の答えだと何にもしないということですよ。では、総理、伺いますが、この防衛庁に対する信頼と、そして情報公開法を政府できちっとした形で運用していくということに関して、これからどういう行動をとられるんですか。どうやって信頼を回復されるんですか。今後の総理の何をされるのかという点について伺います。

小泉内閣総理大臣 情報公開と個人情報を保護すべき問題、これについてよく注意して、不安を起こさないような各省庁内の体制をとることが重要だと思っております。

細野委員 ほとんど一般論に終始される総理でありますけれども、この問題はもう少しきちっとフォローしていかなきゃなりませんので、その時点でもう一度、いつか総理にこの質問についてはお伺いしたいと思います。まず報告書の中身、もう少し入っていきたいというふうに思います。

 防衛庁長官中心にお伺いしますが、報告書の中では、三等海佐、一番今回大きな問題になった三等海佐の問題については、あくまで個人の発意で行ったとされていますね。さんざん、いろいろ議論があった。これは組織的な違法行為なのか、もしくは、これはあくまで個人の行為なのか。この部分に関してさんざん議論があったところですが、この表現方法というのは、これは三等海佐が個人で行ったというふうに防衛庁長官が判断されたということなんでしょうか。

瓦委員長 防衛庁宇田川人事教育局長。(細野委員「長官にお伺いしています。長官です」と呼ぶ)
 防衛庁長官中谷元君。

中谷国務大臣 本件につきましては、事実関係を詳細に調べました。その本人の証言、またほかの証言等もあわせまして、その結果といたしまして、該当の三佐がこのリストを作成したのは、三佐の発意によるものでありまして、上司の指示やほかの部署からの依頼に基づくものではなかったという点。また、このリストの作成作業は、専らこの三佐によって行われたものでありまして、この三佐以外の者が、リストの作成のために使用されることを認識しつつ開示請求者の個人情報を同三佐に提供したとか、同リストの作成作業に協力したというような事実は確認をされなかったわけでございます。

細野委員 あくまで個人の発意によってなされて完結をされた、そういう判断だというふうに思います、今の御答弁を伺う限りですよ。でも、この報告書、結構、私熱心に読んだんですけれども、これ、本当に個人の行為だとは思えないんですよ。

 まず第一点は、そもそもこの三等海佐は、海幕の情報公開室の担当に平成十三年の四月になっているんですね。その数カ月後、七月の時点では、上司である海幕の情報公開室長は、この三等海佐がリストをつくっていることを知っているんですよ。組織の長がですよ。それでそのまま放置をしている。

 さらに、もっと言うと、三等海佐に異動の内示があったのは、平成十四年の二月となっています。そして、その時点で、同じく上司である海幕の情報公開室長にリストをどのように扱いましょうかということを相談しているんですね。そして、上司がそのリストを引き取って、さらにもう一つ非常に重要なのは、この三等海佐は、自分のこのファイルについては、みずからは削除している。上司に託して、みずからは削除している。個人で持って歩いているんじゃないですよ。

 この引き継ぎ行為があって、しかも海幕の情報公開室長が今回の事件が発覚するまでこのファイルを持っているという事実をもってしても、これは明らかに上司と部下のことを考えて、組織自体としてこのファイルをつくっていた、これは明らかじゃないですか。この上司と部下の関係を組織じゃないとしている根拠は一体何なんですか。

宇田川政府参考人 事実関係については委員御指摘のとおりではございますが、引き継ぎを受けた海幕の情報公開室長は、それをそのまま保管していたということでありまして、一切手を加えておりませんし、使用した形跡はございませんので、それをもってして組織的に作成したと言うことはできないと思います。

細野委員 長官、いいですか、違法性の認識も共有しているんですよ。三等海佐もこれは違法かもしれないなと思っている。上司も違法かもしれないなと思っている。そこでデータが引き継がれていて、これは組織的な違法行為じゃないという根拠が、防衛庁長官、あると思いますか。しっかりこれ答えてください。

中谷国務大臣 組織的とか、組織とは何かということでございますが、事実に基づいて調査をしまして、これを作成したのは、該当の海の三佐が業務に使うのに便利じゃないかという思いで作成をし、上司もそれを黙認していましたが、最終的にそれを受け取ったという点におきましては非常に不適切な行為であるという点で懲戒処分の対象にいたしまして、処分をいたした。これは事実に基づいてそのように行ったわけでございます。

細野委員 では、もう少し詳しく伺いますが、人事教育局長、三等海佐から上司である情報公開室長にどういう引き継ぎがあったのですか、何を話をしたのですか。これは組織か個人かという判断をする上で極めて重要ですよ。きちっと答えてください。

宇田川政府参考人 報告書にも述べたところでありますが、三等海佐は、自分の転勤が近くなったということから、自分の持っているフロッピーをどうしようかということで海幕の情報室長に相談したわけであります。そうしたところ、ほかに引き継ぐ者がないということから自分が引き継いだわけでございますが、これは、あくまでそのものを保管するという意味だけでありまして、その上司が、海幕の情報公開室長がその後ほかの部下に命じたり、あるいは自分でほかの情報を収集したり、あるいはまたフロッピーを更新したりということは一切しておりませんので、その時点で……(細野委員「それは聞きました、それは結構です」と呼ぶ)はい。

細野委員 今、人事教育局長からは引き継ぎという認識はあったというお話ありましたね。私もいろいろ仕事、今まで変わってきまして、部署も異動した経験がありますけれども、引き継ぐ、何を引き継ぐかといったら業務の内容を引き継ぐんですよ。これは、業務として少なくとも三等海佐が認識をしていたということは明らかじゃないですか。個人じゃないですよ、これは。

 委員長にお願いします。これはきちっと、海幕の情報公開室長に来ていただいて、どういう形で引き継ぎがあったのか、それをどう認識をされたのかということについて聞かないと、ここの事実関係は明らかになりません。これは、個人の問題なのか、もしくは組織の問題なのかということを判断するのに極めて重要な参考人だと私は考えます。ぜひこの委員会での出席を求めたいと思います。

瓦委員長 後刻、理事会におきまして協議をいたします。

細野委員 私は、組織という意味において、今海幕の情報公開室についての話をしました。もう少しこれは拡大する可能性があると思っているんです。といいますのは、この海幕の情報公開室の三等海佐がつくっていたリストというのは、海幕に出された情報公開のリストだけではないんですね。内局に出てきたものも、陸幕に出てきたものも、空幕に出てきたものも、その全体のリストを作成している。

 そして、そこで載ってきている、問題となった受験生、受験者、括弧、これは何か病名が書いてあったという報道があります。センシティブ情報ですので私側からは申しませんが、それで失格であるとか、反戦自衛官であるとか、そういう問題となった記述は、その他の情報公開室の担当者から聞いたという話になっている。三等海佐が見られたのは行政文書の開示請求書だけという記述がありますので、これは他の情報公開室の室員から聞いたわけですよね。

 この部分に関して、どういうところが、どういう形で情報を提供したか、この辺しっかり調査されているんですか。そこの記述がほとんどこの報告書にないんですよ。御答弁ください。

宇田川政府参考人 今お尋ねのA三等海佐が入手した方法でありますが、それはほかの情報公開室の担当者との意見交換や雑談の中で得たものであります。そのことは報告書の四ページに記述されております。

 ちょっと読み上げますと、「A三等海佐が他課室の担当者から入手したとする個人情報は、これら担当者との意見交換や雑談の中で同三等海佐が得たものであり、担当者の方にしてみれば、意見交換や雑談の中で聞かれたことに答えることが、開示請求者リスト作成のために協力することになるという認識はなかった。」というふうなことで、一応調べたものは記述しております。

細野委員 では、具体的に一点だけ伺います。
 「受験者の母」という情報は、これは受験者のリストを持っているところからしか得られないですね。これはどこから情報を得ているんですか、三等海佐は。これは場合によっては、そこに受験者のリストがあったとすれば、そのリスト上の情報を流しているという意味においては、この行為自体、行政機関の個人情報保護法の十二条に違反する可能性はありませんか。この情報をどこから得たのか、御答弁ください。

宇田川政府参考人 委員お尋ねの、海幕三等海佐が、受験者、病歴でありますが、そこの、母という情報を得た経緯でありますが、これは開示請求者から情報公開請求に関する作業の過程において受験者の病歴を知った他の職員、これは陸幕でありますが、陸幕の情報公開室員との意見交換の中で得たものであると承知しておるところであります。

細野委員 陸幕から得たということでありまして、これは、それぞれ本当にちゃんと調べないと、相当いろいろな問題がある可能性がありますよ。

 加えて言うと、私、この報告書を見てみて、なるほどなと思った部分がある。それは、この三等海佐がなぜそのリストをいろいろな人に配って回ったかという問題なんです。自分でつくっておいて整理をするだけなら、自分で持っていればいいわけですよね。わざわざ他の部署の情報公開室にこのリストを配ったのは、そういう情報をくれた人に対して感謝の気持ちがあったと書いてあるんですよ。(発言する者あり)何がいいことなんですか。感謝の気持ちがあったということは、情報を提供した側、出した側ともらった側、これは同じである可能性もあるんじゃないですか。というか、そう考えるのが自然ですよね。情報を出した側と情報をもらった側、例えば同一人物がいるとしたら、ここの記述、明らかにおかしいじゃないですか。ここは矛盾しているんですよ。同一人物いないですか、お答えください。

宇田川政府参考人 委員の御質問は、お互いに相互の関係があったということだということであれば、私どもの調査の結果はそうではございませんでした。と申しますと、この三等海佐は頻繁によその情報公開室に行って雑談とか意見交換の中で情報を収集しているわけでありますが、渡した方、結果的に渡す結果になっているんですが、渡した方はA三佐がつくっているリスト作成のために協力する意識は全くございませんでした。これは何回も確認しましたが、そうでございました。しかしながら、A三佐の方で、あなた何で渡したのかというのを確認しましたら、それは、彼がいろいろなほかの情報公開室とのやりとりで入手した情報も自分がつくっているリストの参考としていますので、これら担当者への感謝の気持ちもあったということでありまして、はっきりと一方通行の話であったと認識しています。

細野委員 局長、感謝の気持ちというところ、成り立たないじゃないですか。三等海佐は情報をもらった感謝にそのリストを渡したと言っているんですよ。同一人物がいるのかいないのか。

 もし仮にそれがいないとすると、逆にこの感謝の意味は極めて深刻になるんですよ。というのは、それぞれの、違う、陸幕や内局の情報公開室が組織として情報をくれたから、その組織の人間に渡したということになるじゃないですか。しっかり答えてください、この部分は。

宇田川政府参考人 先ほども申しましたが、間違いなく三等海佐はほかの情報公開室員から情報をとっております。ところが、とられている、あるいは情報を提供したとA三佐が思っている人間については、報告書にも書きましたけれども、A三佐のつくっている開示請求者リスト作成のために協力するという認識は全くございませんでした。したがいまして、A三佐は感謝の気持ちを持っていましたが、片方は全くそういう意識はなかったというのが調査の結果であります。

細野委員 いや、ここはやはり一番矛盾しているんですよ。
 本当にそれぞれの情報がどこから来たのか。例えば、これですよ。情報を出した側がリストをもらっていれば、そのリストを見たら、自分の出した情報が書いてあるの、すぐわかりますよね。その感謝が、仮に一対一の関係でないとしたらもっと深刻で、組織としてお互い認識していたということになるじゃないですか。

 この部分に関しては、本当、私、防衛庁全体の問題としてきちっと調べていただきたい。ここの部分に関して、もしきちっとした調査ができないんであれば、陸幕と、そして空幕と内局、それぞれの情報公開室の担当者に出てきてもらって、どういう情報のやりとりがあったのかというのを正確にこの委員会で議論をする必要がある。どちらかをきちっと防衛庁に担当していただくように委員長にお願いをいたします。

瓦委員長 当委員会におきまして、委員の質疑をそのままお続けください。よくまた理事会におきまして御相談をさせていただきます。

細野委員 これはもう理事の皆さんにお任せするしかありませんが。
 海幕の情報公開室の話をしました。そして、この報告書を見ただけでは、陸幕や空幕や内局の情報公開室もつるんでいたという可能性がある。この報告書を見たらそう読めるんですよ。それに関してきちっとした答えが出なければ、これは防衛庁に対する疑念なんてとても晴らせませんよ。その意思があるのであれば、きちっとそういう調査をしていただきたい。理事会ではそういう議論をしていただきたい。これは私から最後に要望させていただきたいというふうに思います。

 時間もなくなってまいりましたので、最後、一つ私が一番怪しいと思っている人物について御質問させていただきたいと思っております。

 防衛庁の情報公開室のE室長。防衛庁の情報公開室ですからいわゆる内局と言うんでしょうか、そこの情報公開室長。彼は、実は五月の二十七日、毎日新聞社からこの問題について問い合わせを受けた、一番初めに問い合わせを受けた人物です。そうですね、この報告書によると。そして、その調査にずっと主体的にかかわってきているのがこの内局の情報公開室長。

 その情報公開室長は、二十七日にその請求を受けた後、二日後、二十九日に、内局にも情報公開のリストがあったことがわかった、それにイニシアルがついていることがわかった。それを部下に命じて消させているんですね、イニシアルの部分を。しかも、そのデータを上書きしていること、そしてそのことを、データの存在も、そしてそれを消去したことも上司には一切報告していないんです、内局の情報公開室長は。

 さらにもう少し先を読むと、五月の三十一日には中谷防衛庁長官自身から、シンガポールへ行かれる前に、もっとちゃんと調査をするようにという指示をこの内局の情報公開室は受けている。主体的に調査を始めているんです。そして、陸幕や空幕、それらの情報公開室の担当者を集めて、ちゃんとリストを出せということを請求して、まさに内局の情報公開室にそのリストを集めて、これは問題があるんじゃないかという議論をしているんです。

 このときに内局の情報公開室長は、当然ですけれども、みずからのところにリストがあること、みずからはその情報を消去したことを知っていたはずですね。それであるにもかかわらず、内局のリストの存在が明らかになったのは、何と防衛庁の長官が記者発表、中間発表をされる直前の六月の三日の未明。この二十七日から三日の経緯を見ると、内局の情報公開室長は、まさにこの調査の真ん中に座っていたにもかかわらず、一番最後まで情報を出していないんですよ、みずから調査していたのに。これは、隠匿の意思はなかったと報告書に書いていますが、明らかに、陸幕、空幕のリストと比較して、内局が同じ種類のリストであることをわかっていたはずです。それが最後まで出てこなかった。本当にこれ、隠匿がないとお考えなんですか。

 けさ、私、一つ新しい情報を得ました。この内局の情報公開室長は、他の部署に異動になった。これは、隠匿の意思があったということで防衛庁の長官が判断されたというふうに考えてよろしいんですか。これは、隠匿の事実があったかなかったかを判断する上で極めて重要。

 さらに、最後に、この四枚で出すときに証拠隠しの意図はなかったと。消されたことに関する重要な政治責任も含んでいます。

 防衛庁長官に、最後、この点については御答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 結論といたしましては、証拠隠しをした事実はなかったものの、証拠隠しをしたと見られてもやむを得ず、不適切であるということであります。

 事実、内局のLANにつきましてはイニシアルでありまして、それが法律に触れるかどうか、正直言って彼自身もわからなかったと思います。その時点で法律に触れるんだということがわかったら、その申告を行うべきでございますが、事実として、このイニシアルが法に触れるかどうかという点についてはわからずに、一時的に、これが違法性じゃないかということでほかの部署から指摘をされて、それで報告を上げたわけでございますが、結果として違法でないと評価をいたしておりまして、まさに、それが法律に触れるかどうか彼自身も迷っていたし、当然、違法であると彼自身思ったら、その時点で報告をしてきたというふうに判断をいたします。

細野委員 違法かどうかということをここで問題にしているのではないんです。防衛庁という組織は命令系統はきちっとしていなきゃならない。仮に、きちっと調査をしろ、そういう命を防衛庁長官から受けて、みずからそれを隠していたとしたら、これは組織としては完全に破綻しているんですよ。その部分について証拠隠しの意図があったかどうかということをきちっと委員会の場所でもはっきりしていただきたいということを申し上げているんです。

 最後に、委員長に、この内局の情報公開室長はなぜか、ほかの情報公開室長と違って、彼だけは先週の金曜に異動されたということですが、長官官房の秘書課付の部員ということでございますが、きちっと出てきていただいて、その辺の意図について御答弁をいただきたい。その参考人を要求して、私の質問を終わりまして、同僚議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。


2002/06/24

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