2002/06/10

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平成十四年六月十日(月曜日)

瓦委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案並びに東祥三君外一名提出、安全保障基本法案及び非常事態対処基本法案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、各案の審査に関し、非核三原則をめぐる官房長官発言等について集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
金子(一)委員 自由民主党の金子一義でございます。
 まず冒頭に、小泉総理、きのうのワールドカップでありますけれども、歴史的な勝利をおさめました。一言御感想を。
小泉内閣総理大臣 これほど盛り上がったサッカー大会、私、初めてです。本当に勝ててよかったな、国民が老いも若きも一体となって日本選手を応援する、やはりスポーツはいいなと実感しました。
 この日韓共催のアジア初めてのサッカー大会、ぜひとも成功させたいと思っております。
金子(一)委員 総理が開会式に韓国においでになられたその時期に、残念ながら、福田官房長官の記者懇談で、非核三原則を見直して、そして我が国が核兵器を保有することがあり得るということが示唆されたような報道がなされてしまって、大変残念に思っておりますけれども、官房長官、真意をぜひ。
福田国務大臣 御指摘の私の発言でございますけれども、先々週末の記者会見でもって、これはその会見の後の懇談でございますけれども、ざっくばらんな意見交換の中でのものでございましたが、そしてまた正確に一字一句記憶しているわけではございませんけれども、国の安全保障のあり方にはそれぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえたさまざまな国民的議論があり得ることを述べたことでございまして、そういうことは申し上げたけれども、いかなる意味においても、政府としての今後の方向性を示すとか、そういうような趣旨の発言ではこれはございませんでした。
 しかし、こうした自分の発言が、将来、政府としての非核三原則見直しとかいったような可能性を示唆というようなことで受けとめられたということは、これは本当に残念でございまして、私の真意ではないということをはっきり申し上げておきます。
 また、我が国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則、この堅持ということについては、これは歴代内閣も何度も何度も明確に表明し、なおこの内閣におきましてもその方針を貫いておるということでございますので、今後ともこれを堅持していくという立場に変わりないことを申し上げておきます。
金子(一)委員 報道がひとり歩きをいたしまして、国内はもとよりでありますけれども、諸外国でもいろいろな報道がなされる、そのことによって我が国に対する誤解あるいは警戒感が生ずるということ、大変残念でありますけれども、今、官房長官の発言は真意であると我々理解をするところであります。
 ただ、一方で、海外で思わぬ反響を呼んでいることも間違いがない。あるアメリカの有力紙でも、一面トップで、核保有に対するタブーへの挑戦といったような見出しで報道されているというようなことであります。
 改めて、小泉総理、我が国の非核三原則の考え方、つまり我が国と核兵器とのかかわり方について、小泉内閣の御方針あるいは見解をお述べいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 我が国の非核三原則、これを堅持していくということに、小泉内閣、全く変わりありません。
金子(一)委員 福田官房長官の発言が、我々、理解した一方で、なぜこの時期にといぶかられているのも事実であると思っておりまして、小泉総理、総理は憲法改正は大いに議論されることを期待されるという御発言をいただいております。ただ、憲法改正の議論の中で、この非核三原則というのをどういうふうに位置づけられているのか。総理の頭の中に、この非核三原則も見直しをされるべきという位置づけがあるのかどうか。改めて確認をさせていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 憲法改正の議論と私は非核三原則堅持ということは別問題だと思っております。憲法改正の議論は大いにしていただきたい、しかし、この憲法改正議論と非核三原則とは全く関係ないと思っております。
金子(一)委員 今回の有事法制で一番大事なのは、小泉総理、やはり内閣への信頼あるいは内閣総理大臣への信頼ということが、ある意味問われている、言うまでもございません。我々、当委員会で地方公聴会に行きましたときも、武力攻撃事態の予測あるいはおそれの客観的認定ということに対して、最終的な権限者である内閣あるいは内閣総理大臣への信頼というものが議論されたところでありました。
 仮にそういうような誤解があるとすれば、やはりきちっと解いておかなければいけませんし、また、我々、この委員会では、総理、自民党委員はもとより与党委員も、今回の有事法制は今国会でどうしても通していきたい、もちろん十分な審議を尽くした上ででありますけれども、必ず今国会で通していきたいという覚悟で我々臨んでおります。
 ただ、そういう中で、先週末でしょうか、総理が、自民党の執行部との会談で、本法案について慎重な取り扱いを指示するというような話が伝えられておりますけれども、総理の取り組みへの姿勢が変わられたのか、真意をぜひお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、今国会、法案を幾つか提出しておりますし、この法案、全法案成立を期すよう全力を尽くすということに変わりはございませんし、現在でもその気持ちでございます。
金子(一)委員 福田官房長官、きょうは法律の議論を申し上げるつもりはありませんでしたけれども、冒頭の説明で、ちょっと舌足らずで、おっしゃりたいことがあったんだろうと思いますけれども、憲法と、そして我が国の法律との関係で、再度、確認でありますけれども、この非核三原則というものがどういうふうな位置づけにあるのかというのを、官房長官の口から改めてちょっと御確認をさせていただきたいと思います。
福田国務大臣 私は、この憲法と非核三原則の関係について、これは記者会見で聞かれたものですから、それでとっさに、従来の政府見解を述べた。とっさのことですから、十分でなかったかもしれぬけれども、趣旨は間違っていなかったと思います。
 憲法と非核三原則、これはちょっと違うんですね。手続なんかも、憲法の場合には一応、改正の手続等は決まっていますね。非核三原則はそういうことではないんです。ですから、これは明確に違う性格のものだというように考えております。
金子(一)委員 最後に総理、今度の発言というのが海外でどういう影響が出ているかという一つの記事として、我が国の安全保障に変化があるのではないかという報道がなされていることについて、総理のお考えといいましょうか、御答弁をぜひお願いをしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 我が国が平和国家に徹するという、この外交・安全保障政策について各国は私は理解をしていただいているものと考えております。
 今後も、この方針を説明して、日本が平和国家としての発展を期し、なおかつ、その実績を積んでいるという国であるということを機会あるごとに各国に説明する必要もあると思っております。
金子(一)委員 最後に、重ねて、我々、当委員会としては必ず法案を通していきたい、その気持ちで参ります。
 総理が操っている馬というのは本当に駿馬、血統書つきのサラブレッドでありますので、どうぞ、手綱をきちっと引き締めて、そしてゴールに向けて官邸としても邁進されますことを心から期待をいたしまして、質疑を終了いたします。
 ありがとうございました。
瓦委員長 次に、上田勇君。
上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。
 私は、福田官房長官のきょう議題となっております発言を報道で知ったときに、長官は日ごろから、国会などでのいろいろな言動からして、防衛問題や安全保障政策については慎重なスタンスの方だというふうにずっと考えてきていたものですから、少々違和感も覚えましたし、びっくりしたというのが正直なところでございます。
 その発言の真意については、その後のいろいろな御説明や、きょうも先ほど御答弁をいただきましたので理解をするところでありますけれども、やはり我が国がこれまでそういう非核三原則というのを国内の政策として堅持してきただけではなくて、国連などの場でそういう核廃絶に向けていろいろな努力をしてきたことからすれば、これはやはり不用意な発言であったというふうに言わざるを得ないと思います。
 特に、去年の十一月には、我が国が国連総会で核廃絶、核軍縮決議案を提案いたしまして、圧倒的な多数の国々の賛同を得て採択されたという事実があるわけでございますので、一方でそういうこと、核は縮小しよう、廃絶しようということを訴えていながら、他方で、これはもちろん、先ほど御説明があったように、憲法解釈の、そういう論理上の発言であったということでありますけれども、とはいえ、やはりそれは不用意なものであったというふうに批判せざるを得ないと思います。
 そこで、もう何回も政府の方針については御答弁をいただいているところでありますけれども、特に、この非核三原則を堅持するという政府の方針については何回も答弁をいただいているところなんですが、ぜひ、これまで我が国としては、国際社会に対してもそういうような核廃絶、核軍縮の積極的な取り組みをしてきたので、今後とも一層そうした取り組みを強化していかなければいけないというふうに考えているところでございますけれども、御所見はいかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 我が国としては、核兵器廃絶に向けて、また、包括的核実験禁止条約の発効に向けて、今までも国際社会において積極的な外交展開をしております。この核のない世界実現に向けての努力は、今後とも続けていかなければならないと思っております。
上田(勇)委員 そこで、外務大臣にお伺いしたいというふうに思うんですが、外務大臣、中東を訪問されまして、多くの成果を残されてきたというふうに報道されておりまして、まことに御苦労さまでございます。
 この長官の発言がすぐさま、いろいろな報道を見てみますと、韓国、中国、ロシアなどの近隣諸国からもいろいろな懸念が表明されております。こうした国々の中には、その国自身が核保有国であるので、そういうような批判が本当に当たるかどうかというようなことについての疑問もありますけれども、ただ、やはり我が国の安保政策の大きな転換ということであれば、近隣諸国としてそうした懸念を持つのも当然ではないかというふうに思います。
 そこで、外務大臣に、我が国としては、こうした誤解を解消するためにどういうような働きかけを行ってきたのか、対応を行ってきたのか、また、そのことによって、そういう近隣諸国を初めとして国際社会のこのことについての誤解は解消されたのかどうか、御認識を伺いたいというふうに思います。
川口国務大臣 我が国が非核三原則を堅持いたしておりまして、これをさまざまな場で、国際的な場で今まで表明をしてきたということでございます。例えば、NPTを締結している、また、国連総会での核廃絶決議案を提出している、CTBTの早期発効に向けた働きかけをしている等々ございます。このような考え方について、近隣の諸国に対しまして今まで説明をしてきております。
 今般の発言を受けまして、改めて我が国の考え方につきましては近隣の諸国に説明を行っておりまして、理解を得られていると考えております。外交関係にこのことによって影響があるというふうには考えておりません。
上田(勇)委員 ありがとうございます。
 我が国の非核三原則、それから、国連を初めとするさまざまな国際社会の場で、この核廃絶、核軍縮に向けての取り組みというのは、私は大いに我が国の方針として誇りに思っていいことだというふうに思いますし、国際社会の中からも大変高い評価を得ていることではないかというふうに思います。
 そういう意味で、今回のこの一連の事件、事案につきまして、我が国として引き続きそういう国際社会の場での取り組みを強化していっていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
 それで、ちょっときょうの集中審議の議題ではないんですが、例の防衛庁の情報公開請求者リストの作成問題についてお伺いしたいというふうに思うんです。
 いろいろと調査の結果等報道されているわけでありますが、結果としては、このリストに掲載されていた情報というのがほとんど本人から提供されたものであったり、それほど機微なものがなかったという意味においては私もほっとしているところなんですが、ただ、いずれにしましても、今回の行為というのは、これは現在あります法律に違反しているというような疑いが極めて濃いことであります。
 そして、これは防衛庁だけの問題に限らず、私は、こうした事案というのが我が国の、日本の行政機関全体が、個人の権利やプライバシーといったことについての認識がやはり余りにも低過ぎる、甘過ぎるというようなことをあらわしている事案なのではないかというふうに思います。
 そこで、今回のこの事件、ぜひこれを契機といたしまして、防衛庁だけじゃなくて、各関係機関にも、今ありますこのプライバシー保護についての法制度の趣旨を徹底していただく。そして同時に、プライバシーの保護や個人の権利を保護していくということが行政機関にとって重要な役割であるということを、ぜひ総理の方から、また閣議等を通じて各省庁に徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、総理、いかがでございましょうか。
小泉内閣総理大臣 個人情報が自分のわからないところで使われている、非常に迷惑を受けている方も多いと思います。そういうことがないように、基本的人権、プライバシー、そういうものに対しましてもきちんと法整備をしたいということから、それぞれの法案を提出するわけでございますが、今回、防衛庁の件につきましては、不安、混乱を起こしたことについては、大変反省すべき点が多かったのではないかと思っております。
 また、この問題、これからもIT社会になりまして、多くの方がそれぞれの情報を欲しがるでしょうし、その情報というものは、やはり個人の権利を保護する、人権を擁護する、プライバシーを保護する、そしてなおかつ、言論の自由、報道の自由を確保する、こういうものについても十分配慮しなきゃならない問題だと考えております。
上田(勇)委員 これで終わります。
瓦委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。
 六月の一日の朝刊でありますけれども、「福田長官「核持てる」 非核三原則転換も」なんというような見出しがありまして、中の記事を見ますと、外国からの反発も必至だというようなことで、いかにも現実味を帯びたような記事の中身になっていたんでありますが、私自身はどうも、こういうような状況の中でそういう核政策の転換なんかがあり得るはずがないし、官房長官という内閣の要職におられる方がそういう発言をするはずもないと思って、いささか、こんなことがあるのかなという、そんな感じを持って新聞を読んだ次第であります。
 報道は自由でありますから、いろいろなことを書きますが、それにしても、余りにも現実味を帯びたような書き方をするということはいささか異様な感じが私はするんですが、まず官房長官に、この報道ぶりにつきましてどういうようなお感じを持たれたのか、お聞かせいただきたいと思います。
福田国務大臣 過日の記者会見及び懇談でもって、記者会見では質問がたまたまあったから答えたということでありました。そのことと、それからその後の懇談の場における発言が両方一緒になりまして、報道されているような我が国の方針を変えることを示唆したみたいな表現になって世界に流されたということでありますけれども、これは私の考えていないことを報道しているわけでございまして、そういう意味においては、まことにその報道については残念に思っております。しかし、その結果としていろいろお騒がせをするというようなこともあったことについては、これはもう申しわけなく思っておりますけれども、私の真意と全く違う報道がされているということだけは、これは御理解をいただきたいと思います。
井上(喜)委員 我が国は、非核三原則、つくらないし、持たないし、持ち込ませないということでありまして、これが我が国の基本的な政策であります。しかし、我が周辺諸国の状況はといいますと、これは核を持っている大国があるわけですよね。我々はそういうことをやはり十分に認識しないといけないと思うんでありますけれども、特に、核大国と言われるソ連、中国、あるいは核開発を進めております北朝鮮ですね、核の配備状況でありますとか核の開発状況、どんな状況になっているのか、防衛庁長官にお伺いをいたします。
中谷国務大臣 まず、ロシアに関する戦略核戦力につきましては、SS25などのICBM、また戦略爆撃機ツポレフ95H等がシベリア鉄道沿線を中心に配備をされております。また、SLBMを搭載したデルタ3級などSSBNがオホーツク海を中心とした海域に配備をされております。
 中国につきましては、核戦力については五〇年代半ばから独自の開発を進めておりまして、中距離爆撃機H6、ツポレフ16のほか、弾道ミサイルを保有しております。
 また、核実験を実施いたしておりまして、現在、ICBMを約二十基保有するほか、SLBM、CSSN3を搭載する弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を一隻保有するほか、新型のICBM東風31及びSLBMなどの開発も進めております。
 また、中距離ミサイルについては、日本を含むアジア地域を射程におさめるミサイル東風4、東風3、東風21を合計約百基保有しており、従来の東風3から命中精度などの性能が向上した新型の東風21への転換が進みつつあります。
 また、短距離弾道ミサイル東風15、東風11も保有しておりまして、配備数の増加の動きも見られます。
 北朝鮮等につきましては、スカッド、テポドン等、現在開発いたしている模様でございます。
井上(喜)委員 我が国は、非核三原則ということで核を持たないわけでありますし、我が国の周辺諸国には、今のお話にありましたような状況でありまして、そういうことを念頭に置いた上で、我が国の安全保障の体制を整備していく必要があろうと思うのであります。
 今国会に有事三法が出ておりますけれども、これも大変おくれにおくれてやっと出てきたというような状況であるのであります。そういう点では我が国の安全保障の体制も、もっともっとやはり整備をしていくといいますか充実をしていく、そういう必要があろうかと思うのでありますが、これからの取り組みにつきまして、総理の所見をお伺いいたします。
小泉内閣総理大臣 有事に備える、いざというときに備えるということについて、私は、これは本来、それほど政党間で対立する問題ではないと思っておるんです。どこの国でも、国家の安全をいかに確保していくか、緊急事態が起こる前から、平時から緊急事態にどう備えるかという点について、私はそんなに考えの開きはないと思っております。
 そういう点から、この法案に対しましても、じっくり議論をしていただければ、責任ある政党だったらば御理解をいただけるのではないかと思っております。
井上(喜)委員 我が国の非核三原則、これは国内政策でありますが、やはり、世界に向かって、核の拡散防止でありますとか、あるいは核の削減、廃絶、こういうことを働きかけていく必要があると思うのであります。そのために具体的にどういうような取り組みをされていくのか、これについても総理の見解をお伺いいたします。
福田国務大臣 これは核の問題でございますけれども、我が国はそれは放棄しているということでありますが、要は、核の必要のない世界をつくるということではないでしょうか。そういう世界が実現すれば、こういう議論もないわけでございますので、まず、我が国としては、我が国のなし得る方策として、そのことについて最大限力を振るっていくべきである。それが我が国の特色ある外交であり、国家戦略である、このように考えております。
井上(喜)委員 いま一つはっきりしませんが、時間の関係もありますので次に進みたいと思うのです。
 防衛庁長官、これは質問として出しておらなかったのでありますけれども、非常に常識的なことなのでお伺いしたいのでありますけれども、防衛庁のいわゆるリスト、外部の人が情報の、内部資料の請求をしてきて、その請求者、どんな資料を請求したとか、そういう請求者の何か今までの経歴みたいなものを記載したリストが漏れたとかいうような話がありますが、そのときに、長官は言語道断だという言葉を使われたと思うんですよね。あるいは、厳罰に処するということを言われたのでありますが、私は、あれはどういう意味なのか、今もってよくわからないんですよ。
 なぜ言語道断なのか、何をもって、どういう理由でもって厳罰に処するのか、その辺のところをもう少し説明していただけませんか。
中谷国務大臣 防衛庁・自衛隊という組織でありますので、当然、国の安全上必要な情報の保全とか調査は必要でございます。
 しかしながら、情報公開制度というのは、開かれた政府を目指して国民に行政が説明責任を行うという趣旨で昨年四月から設けられて、その制度にのっとって情報請求をしてくる人に対して、それらの情報が不必要に庁内に出回ったり、また、それに対して疑念を抱かせるということは、あってはならないことであると考えております。
 そういう観点におきまして、やはりプライバシーの保護というものを守れるという前提でないと情報公開制度というものは成り立たないわけでございますので、現在、こういう実態がどうであったのか、実態の調査をいたしまして、至らない点につきましては改善をして、安心して情報公開制度ができる体制をとらなければならないと思っております。
井上(喜)委員 終わります。


2002/06/10

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