2002/04/26

戻るホーム目次


有事法制関連法案の質疑入り 平岡秀夫議員「今日の一言

今日、衆議院の本会議で、有事法制関連3法案について、政府からの趣旨説明と与党及び野党各党からの代表質問が行われました。3法案とは、武力事態に対処するための法律案、自衛隊法などの改正法案、そして国家安全保障会議法の改正案です。

有事法制あるいは緊急事態法制において重要と思われる点は、これまでもこの「今日の一言」で説明させてもらったことがありますが、いよいよ、政府案が国会で審議されることとなり、連休明けには、「事態対処特別委員会」で活発な質疑が行われる予定です。私は、法務委員会の野党筆頭理事という立場にいるために委員には選ばれませんでしたが、この委員会での質問の機会は戴けるのではないかと思っています。

政府が提出した有事法制関連法案には、色々問題があると思っていますが、今日は、そのうち、民主的統制(シビリアン・コントロール)についてちょっと問題点を指摘してみたいと思います。

政府案では、「武力攻撃事態」(法案では、「我が国が外部から武力攻撃(そのおそれがある場合を含む。)を受けた事態、または事態が緊迫して武力攻撃が予測されるに至った事態」と言っています。)においては、内閣は、自衛隊の「防衛出動」などの対処措置を含む「対処基本方針」を策定し、それの国会承認を受けなければならないこととなっています。

また、この「対処基本方針」については、緊急を要する場合には、事前の国会承認ではなく、事後の国会承認でも良いこととされています。

この政府案で問題と思われるのは、第一に、国会の事後承認の手続きが不十分ではないかと言うことです。国会の事後承認の期限が付されていないために、国会承認手続きがたなざらしにされて、国会承認を得ないで「防衛出動」をした自衛隊が、何時まで経っても出動したままで行動するという事態も想定されます。期限を過ぎたら、自動的に「不承認」になるという仕組みが必要と思っています。

第二に、「対処基本方針」を廃止したり、「防衛出動」を停止したりする権限が内閣にしかなく、国会の判断ではできないこととなっていることです。政府が、武力攻撃事態が終了しているのに、何時までも自衛隊を出動させたままにしているという事態もありえるわけです。諸外国の例をとっても、国会が緊急事態の状況における体制を終了させることのできる規定を置いています。

この点を、政府の担当者に尋ねたことがありますが、その担当者は、「防衛出動」の停止を国会が必要と認めているのに、政府が停止をしないときには、その内閣の不信任を決議して内閣を替えればよい。」というような説明をしていました。しかし、不信任された内閣は、憲法上も、国会を解散して総選挙をし、そして新しい内閣が生まれるまでは、そのまま残ってしまい、事態が益々混乱してしまうこともあるのではないかと思われます。

このように、政府案における民主的統制については、検討すべき問題が多くあるように思います。


2002/04/26

戻るホーム目次