2002/04/16

戻るホーム目次


自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

第一 自衛隊法の一部改正

一 防衛出動時における物資の収用等に係る規定の整備
(一)第百三条第一項又は第二項の規定により土地を使用する場合において、当該土地の上にある立木その他土地に定着する物件(家屋を除く。以下「立木等」という。)が自衛隊の任務遂行の妨げとなると認められるときは、都道府県知事(第一項ただし書の場合には、防衛庁長官又は政令で定める者。(二)及び(四)において同じ。)は、第一項の規定の例により、当該立木等を移転することができることとし、この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、同項の規定の例により、当該立木等を処分することができることとすること。(第百三条第三項関係)

(二)第百三条第一項の規定により家屋を使用する場合において、自衛隊の任務遂行上やむを得ない必要があると認められるときは、都道府県知事は、同項の規定の例により、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができることとすること。(第百三条第四項関係)

(三)第百三条第一項本文又は第二項の規定による処分の対象となる施設、土地等又は物資を第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の用に供するため必要な事項は、都道府県知事と当該処分を要請した者とが協議して定めることとすること。(第百三条第六項関係)

(四)第百三条の規定により処分を行う場合には、都道府県知事は、政令で定めるところにより公用令書を交付して行わなければならないこととするとともに、土地の使用に際して公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合その他政令で定める場合にあっては、政令で定めるところにより事後に交付すれば足りること等とすること。(第百三条第七項・第八項・第九項関係)

(五)第百三条第一項から第四項まで等の規定の実施に要する費用は、国庫の負担とすること。(第百三条第十九項関係)

(六)前記のほか、第百三条の規定による処分に係る立入検査、損失補償等について災害救助法の規定を準用していたものを改め、これらについて同条で明示的に規定することとすること。

(七)その他所要の規定の整備を行うこと

二 防衛出動下令前の防御施設構築の措置に係る規定の新設
(一)防衛庁長官は、事態が緊迫し、第七十六条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、同項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の部隊を展開させることが見込まれ、かつ、防備をあらかじめ強化しておく必要があると認める地域(以下「展開予定地域」という。)があるときは、内閣総理大臣の承認を得た上、その範囲を定めて、自衛隊の部隊等に当該展開予定地域内において陣地その他の防御のための施設を構築する措置を命ずることができることとすること。(第七十七条の二関係)

(二)防御施設構築の措置の職務に従事する自衛官は、展開予定地域内において当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができることとし、その場合には、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならないこととすること。(第九十二条の三関係)

(三)防御施設構築の措置を命ぜられた自衛隊の部隊等の任務遂行上必要があると認められるときは、都道府県知事は、展開予定地域内において、防衛庁長官又は政令で定める者の要請に基づき、土地を使用することができることとするとともに、一(一)の例により立木等の移転又は処分を行うことができることとし、この場合における損失補償等については第百三条の規定を準用すること等とすること。(第百三条の二関係)

三 防衛出動時における緊急通行に係る規定の新設
 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、当該自衛隊の行動に係る地域内を緊急に移動する場合において、通行に支障がある場所をう回するため必要があるときは、一般交通の用に供しない通路又は公共の用に供しない空地若しくは水面を通行することができることとし、この場合において、当該通行のために損害を受けた者から損失の補償の要求があるときは、政令で定めるところにより、その損失を補償するものとすること。(第九十二条の二関係)

四 自衛隊法第百三条に基づく取扱物資の保管命令に従わなかった者等に対する罰則 
(一)第百三条の規定による立入検査(二(三)により土地を使用する場合の立入検査を含む。)を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処することとすること。(第百二十三条関係)

(二)第百三条第一項又は第二項の規定による取扱物資の保管命令に違反して当該物資を隠匿し、毀棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処することとすること。(第百二十四条関係)

(三)(一)及び(二)について、両罰規定を整備することとすること(第百二十五条関係)

五 防衛出動時等における関係法律の特例の整備
 消防法、麻薬及び向精神薬取締法、墓地、埋葬等に関する法律、医療法、漁港漁場整備法、建築基準法、港湾法、土地収用法、森林法、道路法、土地区画整理法、都市公園法、海岸法、自然公園法、道路交通法、河川法、首都圏近郊緑地保全法、近畿圏の保全区域の整備に関する法律、都市計画法及び都市緑地保全法について、防衛出動等を命ぜられた自衛隊の任務遂行を円滑ならしめるための適用除外その他の特例を設けることとすること。(第百十五条の二−第百十五条の二十一関係)

六 事務の区分
 地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とされる事務に、第百三条の二等の規定により都道府県が処理することとされた事務を追加すること等とすること。(第百十六条の三関係)

七 その他
 武力攻撃事態に至ったときの対処基本方針に係る国会承認等の手続が新設されることに伴い、防衛出動命令の手続について所要の整備を行うこととすること。(第七十六条関係)

第二 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正

一 出動の定義に関する規定を整備すること。(第三条第一項関係)

二 防衛出動を命ぜられた職員で政令で定めるもの以外のものには、防衛出動手当を支給することとし、その種類は防衛出動基本手当及び防衛出動特別勤務手当とすること。(第十五条第一項及び第二項関係)

三 防衛出動基本手当は防衛出動時の勤労の強度等の勤労条件及び危険性、困難性の著しい特殊性に応じて、防衛出動特別勤務手当は防衛出動時の戦闘又はこれに準ずる勤務の著しい危険性に応じて、支給するものとすること。(第十五条第三項及び第四項関係)

四 防衛出動基本手当とその他の手当との支給調整に関する規定を整備するとともに、防衛出動基本手当及び防衛出動特別勤務手当の額その他支給に関して必要な事項は政令で定めることとすること。(第十五条第五項−第七項関係)

五 防衛出動手当を公務災害補償の平均給与額算定の基礎に加えること。(第二十七条第二項関係)

六 その他規定の整理を行うこと。(第三十条関係)

第三 附則

一 施行期日
 この法律は、公布の日から施行することとし、第一の四は公布の日から三月を経過した日から施行することとするほか、二に掲げる所要の整備を行う法律の施行期日を定めること。(附則第一項関係)

二 地方自治法等について、所要の整備を行うものとすること。(附則第二項−第四項関係)


2002/04/16

戻るホーム目次