2001/11/16

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153 衆・厚生労働委員会農林水産委員会経済産業委員会連合審査会

<狂牛病集中審議>
農水省、厚労省の責任感欠如を厳しく批判〜筒井信隆議員

 16日の厚生労働、農林水産・経済産業各委員会の連合審査会で、民主党の3番手として、筒井信隆議員(ネクストキャビネット農林水産大臣)が質問に立った。

 この日、筒井議員は、「農水省・厚労省15の責任(含4つのウソ・5つの不作為)」という資料を提示し、これに沿って両省の責任問題を徹底的に追及した。

 冒頭、筒井議員は、15項目の責任問題のうち7項目(肉骨粉等の全面輸入禁止措置が遅すぎた不作為責任と不十分さ、肉骨粉等の全面給与禁止措置が遅すぎた不作為責任と不十分さ・行政指導が徹底されているというウソなど)については、それぞれ単独でも所管大臣の責任が問われるような重大問題だと指摘。全頭検査体制が一応整った現時点で、具体的にどのように責任をとるかを明確にすべきだ、と迫った。

 これに対して武部農水相は、「辞める意思など毛頭ない。“オレがやらなきゃ誰がやる”とい気持ちだ」などと述べ、坂口厚労相も「厚労省に責任があるとなればけじめの付け方を考えねばならないが、まだ具体的に考えていない」と答弁した。

 これを受けて筒井議員は、両省の対応を具体的に追及。とりわけ、千葉で発見された牛の脳が8月6日にはBSEサーベイランスの検査に回され、9月21日にBSEの発生が確認されたにもかかわらず、危険4部位を焼却処分にするという指導が行われたのが9月27日というのは遅すぎると指摘した。
 坂口大臣は、「当初は敗血症という判断で他の病気にも感染しているとは頭が回らなかったところが一番の問題だ」といった認識を示したが、筒井議員は、「疑似患畜も焼却処分にしなければ犯罪になることを知らないのか」と、家畜伝染病予防法の規定に基づいて厚労省の対応を批判した。

 また、農水省に対しては、狂牛病の牛の処置について点検と確認を怠り、焼却処分されたなどとウソをついて消費者不安を煽ったことから莫大な被害をもたらしたことを指摘、「何のけじめもつけないのか」と迫った。ところが武部農水相は、「県や厚労省と農水省との連携がまずかったのであって、農水省だけの問題ではない」などと居直るなど、責任意識の欠如した態度を繰り返しさらけ出した。

(民主党ニュース)

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 今、委員長の許可を得てお配りさせていただいております「農水省・厚労省十五の責任(含四つのウソ・五つの不作為)」、ここで、今度の狂牛病の問題についての行政の責任を整理しております。この中で、特に二重丸をつけたところが大きな責任ではないか、この一つだけでも責任者が責任をとるべき大きな問題ではないかというふうに考えております。

 一番最初の、肉骨粉の全面輸入禁止措置が遅過ぎた、あるいは不十分だった。それから、肉骨粉等の全面給与禁止が遅過ぎたし、また、やはり不十分だった。これ、ちょうど千葉県の、今回の当該狂牛病になった牛は九六年の三月に誕生しておりまして、肉骨粉のイギリスからの輸入禁止の行政指導が九六年三月、同じ時期でございました。そして、肉骨粉の牛への給与禁止の行政指導が九六年の四月、一カ月おくれでございました。この肉骨粉の全面輸入禁止と給与の全面的な禁止、これが九六年三月から行われて徹底されているならば、あの千葉県の牛は発生しなかった。肉骨粉が原因としか考えられませんので、そういう結論が出てくるわけでございまして、それがおくれたからあの千葉県の牛は発生した、こう言えるわけでございます。

 それから、きわめつきは五番、六番でございまして、その千葉県の牛が肉骨粉に加工され流通していた。さらには、その牛が焼却処分されたというふうに、焼却処分したというふうに、うその発表を農水省がやった。これが、一頭出ただけなんですが、消費者の不安を大きくかき立てた、風評被害の大きな原因になった。これも重要な問題だと思うのです。

 八番目が、サーベイランス体制、監視、検査の体制、これがきちんとしていれば、千葉県の牛、当初敗血症の診断をして、そして肉骨粉に加工していた、焼却されなかった、こんなこともなかったわけでございまして、監視、検査の体制が不十分だった。しかし、行政は、それが整備されている、十分である、有効に行われている、こういううそを言っていた。

 それらは、結局十番目の、この甘い見通しですね、これに起因するわけでございまして、欧州委員会が、リスクアセスメント評価で、四段階のうちの悪いところから二番目の三段階に評価して、日本でも発生する可能性あり、こういう評価をしようとしていたところが、農林省は、いや、日本では発生の可能性は極めて薄い、こういううそをついて、その評価を拒否した。まさに、ここでその甘い見通しが表に出てきているわけでございまして、それらの結果、最後の二重丸、生産、流通段階に多大の損害を与えた。先ほど同僚議員が二千億から三千億と言われております。そして、狂牛病対策費として一千五百億円が今予定されている。極めて多大の損害を国民に与えて、そして税金も使う。これだけの問題点を起こしながら、今現在、行政はだれも責任者が責任をとっておりません。

 ここでドイツの例を一つ挙げておきましたが、ドイツでは二〇〇〇年の十一月に発生した。翌年の一月に二人の大臣が、閣僚が辞任をした。この辞任の理由は、甘い見通しに基づいた対策のおくれ、不作為責任でございまして、日本の場合には、さらにその不作為責任が、先ほど言ったように五つもあるわけですが、さらにうそをついた、そういうプラスの責任もある。それでいながら、もう一度言いますが、いまだかつてだれ一人として責任をとっていない。これはなおさら問題だと思うのですが、まず農林大臣、その責任をとる、とらないについてはどう考えますか。

武部国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、当初段階におきまして、行政の不手際、混乱があったことはまことに遺憾にたえない次第であります。

 私は、一人一人呼びつけて、厳重な注意を促しました。こうまで言いました。とにかく二度とない人生だ、二つとない命だ、何でこんな甘い認識になっていたのか、とても信じられない、しかし今緊急の事態だ、したがって、とにかく将来において自分の役人生活の中であのときほど命がけで頑張ったときはなかったというぐらいの努力をしてくれ、そのことをしっかりやってもらわないと、それこそ国民に対して、消費者に対して言いわけにならないぞというようなことを、私は、一人一人呼んで、一人一人詰問して、とにかくその対応に全力を挙げるということを徹底した所存であります。

 私は、好きな言葉の中に、人事を尽くして天命を待つという言葉もあります。また、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできる、この言葉も私の大事にしている言葉でありまして、その精神で今日までベストを尽くして努力している所存でございます。しかし、何度も申し上げておりますように、新聞、テレビで再三、大臣謝罪、陳謝、責任を認める、こういう報道ぶりがございました。それは甘んじて受けなければならないことだ、このように認識いたしております。

筒井委員 抽象的なことを聞いているのではなくて、具体的にどういう責任をとられるのか、これを聞いているのです。

 そして、先ほどからも話がありますように、十月十八日から、全頭検査の体制、屠畜解体の処理の適切な体制ができた、安全だと言われているわけですから、先ほど鮫島議員が言われたようにいろいろな問題点はあるのですが、しかし、大臣の言われていることだと、体制はきちんととった、人事を尽くしたということを言っているわけですから、ここで明確な責任を形としてとらなきゃいかぬ。それほどの内容ではないかというふうに思うのですが、形として、どういう責任を大臣あるいは農林水産省がとられるのか、それを具体的に聞いているのです。抽象的なことを聞いているのではないのです。

武部国務大臣 私は、具体的に答えている所存でございます。
 間断なく、まだまだやらなきゃならぬことが山積していると思いまして、そういったことをしっかりやり通すということが私自身の責任だ、このように思っております。その上で、今委員がさまざまな指摘がございましたが、客観的に、科学的に、我々としてもさまざまな指摘をいただいております。もっともだと思うところが多々ございます。

 したがいまして、第三者委員会というものを立ち上げまして、そこで過去にさかのぼって客観的に、科学的にしっかり検証していただき、その御議論を受けて、私どもも諸般の対応をしなければならない、このように考えているわけでございます。

筒井委員 別の場所で大臣は、責任問題は人事権者の私が判断する、こういうふうに言われておりますが、これは、そういう表現から見ると、行政の事務次官以下の責任のことを言われているわけです。これは具体的に、いつ、どういうふうに判断されるのかという点が一点。

 それから、大臣が就任されてからの、先ほど言った焼却処分したとうその発表をしたり、あるいは焼却されずに肉骨粉に加工してしまったり、こういうまさに失態が起こっているわけで、この最高責任者は大臣ですから、大臣自身の責任は、辞任とかを含めて、どういうふうに、いつ判断されるのか。この二つの点、答えてください。

武部国務大臣 行政の人事権については、私が持っているわけでございます。これは、これからまだまだやらなきゃならない、間断なく対応しなきゃならない緊急の問題が山積しておりますから、これらを徹底させるということが私の今の考えでございます。

 私自身のことは、先ほども申し上げましたように、間断なくやらなきゃならぬ責任を果たしていくというのが私の責任だ、このように考えております。

筒井委員 そうすると、まず、大臣自身がやめる意思は現在ないということですね。それから、部下に関しても辞任等の形でけじめをつけさせる気持ちもない。この二点、今そういう答えですね。

武部国務大臣 私は、今やめる意思は毛頭ございません。それは、そのことについては総理が人事権者でありますので、私は自分の職分のベストを尽くすということが私にとっての一番大事な責任だ、このことは強く考えております。おれがやらなきゃだれがやる、そういう気概でしっかり仕事をしようというのが私のとるべき責任だ、私はこう思っております。

 それから、部下のことにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、私が人事権者でありますので、第三者委員会で人事の問題、責任問題を議論いただくというのは私は適切ではないと思いますが、そこで過去にさかのぼって、客観的に、科学的にさまざまな検証をいただくわけでございます。そういったことも参考にさせていただいて、いずれ私自身がしっかりした判断をしなければならない、このように考えております。(筒井委員「いずれというのはいつですか」と呼ぶ)いずれというのはいずれでございます。

筒井委員 では、時期も定まっていないということですが、極めて責任のない今の答弁だと思います。けじめをつける意思が全くないというふうに判断せざるを得ないと思います。

 具体的に、これからその一つ一つ、今までの失態についてお聞きいたしますが、その前に、厚生大臣、厚生労働省としての責任はどういうふうに考えておられますか。

坂口国務大臣 責任のとり方は、やはりそれぞれ考え方があるというふうに私は思っています。

 私は、就任いたしまして、最初KSDの問題がございまして、これは私のときに起こった問題ではございませんでしたけれども、しかし、私もそれなりの責任をとった次第でございます。

 今回のことにつきましても、いろいろの状況がございましたが、これらのことを勘案して、もし厚生労働省に責任があったということであるならば、それは最高責任者である私がある程度責任をとらなければならないと思っている次第でございます。

筒井委員 先ほどちょっと対応が違うのですが、最高責任者としての責任は具体的に考えておられますか。まだ具体的には考えておられませんか。

坂口国務大臣 今のところ、まだ具体的には考えておりません。

筒井委員 一つ一つの失態あるいは行政の問題点についてお聞きしていきますが、まず、すべての出発点は、千葉の問題の牛が肉骨粉に加工され流通していた、それについて焼却したといううその発表を農林省が行った、ここから始まっているわけでございまして、このために物すごい風評被害が拡大した。

 この牛について、脳を採取しておりますが、この脳の採取というのは農林省のBSEサーベイランス要領、臨床的にBSEが否定できない牛が発見された場合の対応、この文書に基づいて脳を採取して、病性鑑定依頼書とBSEサーベイランス搬入材料の詳細という書面を添えて動物衛生研究所に搬入した、こういう経過であることはまず間違いないですね。

小林政府参考人 今の、私ども四月から始めましたBSEサーベイランス体制、その中の一環として頭部を採取いたしまして、それで検査を始めたということで、そのとおりでございます。

筒井委員 本件牛は、八月六日時点なんですが、BSEが否定できない牛として判断されたのですか、それともBSEが否定できる牛として判断したのですか。どっちでしょうか。

小林政府参考人 八月六日の段階で、この乳用牛一頭につきまして、屠畜場でと畜検査員の方で診断したわけでございます。それは敗血症ということで診断されました。

筒井委員 私の質問に答えてほしいのですが、敗血症であることは敗血症だったわけでしょう。しかし、脳を採取して動物衛生研究所にBSEの検査を依頼しているわけです。この八月六日の時点で、農林省の通達で言うBSEが否定できない牛として判断されたのか、それともBSEが否定できる牛として判断されたのか、どっちですかという質問です。

小林政府参考人 BSEサーベイランスの中で一環としてやっておりますが、そのときには敗血症という診断でございまして、BSEにかかっているあるいはかかっている疑いがあるとかそういった判断ではございません。

筒井委員 BSEが否定できない牛として扱われたという答えでよろしいのですか。

小林政府参考人 サーベイランスの流れとしまして、中枢神経症状で見ています。それで、牛海綿状脳症が否定できない牛あるいはその他の中枢神経症状という形でございまして、したがいまして、この段階では敗血症なり牛海綿状脳症があるというふうに確定したわけではございません。そういう意味では、中枢神経症状というよりも敗血症という形で獣医師が判断されたということでございます。

筒井委員 余りこんなところで時間をとりたくないのだけれども、農林省の通達で言う文書は、臨床的にBSEが否定できない牛が発見された場合の対応という形で脳が送られているわけですね、その文書に基づいて。この牛について、否定できない牛だというふうに判断がされたのかどうか、そういう処理がされたのかどうか、その点の質問だけなんです。

小林政府参考人 あくまで敗血症という診断でございますから、BSEのサーベイランスの一環としてやっておりますけれども、BSEが疑われるあるいはBSEにかかっているとかそういった判断ではなくて、敗血症ということでございます。

筒井委員 全然答えていないのですが、時間がかかるだけですから。どうもBSEが否定したのか否定しないのか、今の答えじゃはっきりしないのですが、その牛について、頭部は焼却して、それ以外は肉骨粉にした。この肉骨粉にした中で、危険四部位の一つである回腸遠位部、小腸の一部、これも入って肉骨粉にしたのですね。

坂口国務大臣 そこから先は私の方の範疇に入ると思いますから、その肉骨粉にいたしましたときには、それは確かに、先ほどお話がございましたように、入ってまいりましたときには、いわゆる、平たく言えば、転んで動けなくなった牛だということで入ってきたわけでございますけれども、屠畜をいたしました結果、その結果としては敗血症であったことには間違いなかったわけでございます。それで一応敗血症として処理をした。それで、敗血症でございますが、肉はというか、多分小腸の一部も入ってそれは肉骨粉になっただろうと思います。

筒井委員 この後に厚生労働省は、九月二十七日ですが、この危険四部位についてすべて焼却せよという指導をやっている。発生した八月六日はその前だったので、小腸の一部、危険四部位の一部を含めて肉骨粉にされてしまった。この危険四部位をすべて焼却せよ、こういう行政指導が遅過ぎたのじゃないですか、厚生労働省、どうですか。

坂口国務大臣 その時点のところでは敗血症という病気があったものですから、敗血症として処理をしたということでございまして、そのときに、やはり敗血症はあるけれども、もう一つほかの病気もないかというところに少し頭が回らなかった。そこが我々としては一番問題点だというふうに思っているわけでありまして、一番中心の問題が敗血症であったことだけは間違いないのですが、しかしそれだけで、そこでストップしてしまったということを私たちも今反省しているところでございます。

筒井委員 その問題も一つあるのですが、今聞いているのは、危険四部位も含めて肉骨粉にされてしまった、その後に厚生労働省が、危険四部位は敗血症だろうがBSEだろうが関係なく全部について焼却指導せよという通達を出したでしょう。その通達がもっと早ければ、この時点でもう危険四部位は焼却処分されていたはずなんです。だから厚生労働省の通達は遅過ぎたのじゃないですか。

坂口国務大臣 その時点では、まだBSEが発生したということがわかっていない時点であったものですからそういう処理をしたわけでありまして、いわゆる九月の末のときには一例それが発生をしてから後のことですので、発生をした以上これはそういうふうに処理をしなきゃいけないというので出したわけであります。

筒井委員 だから、発生してから慌ててそういう措置をとっているところに私は遅過ぎたという趣旨があるというふうに言っているのです。

 それと、家畜伝染病予防法によりますと、疑似患畜、患畜、疑似患畜というのは要するに狂牛病にかかっている疑いのあるやつは全部疑似患畜というふうに規定されているのですが、これは焼却処分しなければならない、こういうふうに義務づけられていますね。そして、焼却処分しなかった場合に、それは犯罪である、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金の犯罪であるという規定が家畜伝染病予防法にあることは、まず農林水産省、当時きちんと認識されておったですか。

小林政府参考人 疑似患畜、患畜の規定については、私ども十分承知しております。

筒井委員 疑似患畜というのは、伝染病にかかっている疑いがある家畜はすべて疑似患畜である、こういう規定になっていますね。

小林政府参考人 患畜に至る前の疑わしい段階の牛が疑似患畜ということでございます。

筒井委員 この千葉の牛に関して言えば、だから私は、先ほどから何回も、八月六日の時点で、BSEが否定できない牛と判断したのか、BSEが否定できる牛と判断したのか、これを確かめているんです。全然さっきから明らかではない。

 少なくとも、空胞が認められたのが八月二十四日の時点、それから九月十日の時点では陽性の診断がされた。客観的に見て、私は、八月六日の時点でもう疑いがあるというふうに判断しなきゃいけなかったし、遅くとも八月二十四日、空胞が認められたところで、伝染病の疑いがある、つまり疑似患畜、こういう認識をしなければいけなかったと思うんですが、どうですか。

小林政府参考人 BSEにつきましては、御案内のように、非常に多くの検査法といいますか、そういうのを駆使して、それで確実な確定をしていくという形に国際的にもなっておるわけでございます。
 そういう意味で、今先生から御指摘ありました段階におきましては、最初のうちは敗血症でございますし、またプリオニクス検査の段階では陰性に出る、そんなことがございました。そういう経過をたどりまして、九月十日の疑わしいということを受け、またさらに専門家の先生方の意見を聞いて、それで判断する、そういう手順をとったところでございます。それで、こういった手順をした上で確定していく必要があると考えております。

筒井委員 私の質問にまたあいまいで答えていないんだけれども、八月の時点で空胞が存在した、だれから見たってその時点で疑いがあるというふうに判断すべきだと思うんです。

 だから、その時点でこれは焼却すべき牛だったということがはっきりして、焼却しなかったら一年以下の懲役、五十万円以下の罰金だという問題点が起こるわけですが、その当時は、空胞が発見された時点では既に肉骨粉にされていた、それをずっと農林省はほうっていて、肉骨粉についての焼却指導をしたのが九月十四日ですね。どうしてそれまでほうっていたのか。ここをほうっていたのは、今の焼却すべきだという法律の規定を知らなかったとしか考えられない。あるいは、知っていたら完全に無視した。この点、どうですか。

小林政府参考人 今先生の御指摘にございましたいろいろなプロセスはありますけれども、BSEというこの病気の確定ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、やはりさまざまな検査をし、その上のチェックをする、そういう形で進めておるところでございます。

 したがいまして、その疑似患畜、患畜という形で決定していくに際しましても、そういった科学的な根拠に基づきますそういう検査、確定をした上で進めている、これが必要だと思っております。

筒井委員 全く今のあれもそうなんだけれども、これは永村畜産部長が大体この法律、焼却すべきだった、焼却に違反したら犯罪である、この法規定に気がつかなかった、鶏とか豚の飼料に使うのは問題ないと思った、こういうふうに読売新聞の取材に対して答えているんですが、これが本当だったんじゃないですか。

永村政府参考人 お答えをいたします。
 御質問の九月十六日付の読売新聞の記事につきましては、国と県との間、また、畜産部内の連絡体制の不備、さらに患畜由来の肉骨粉の追跡状況等について取材をされたものだということを記憶をいたしております。これに対しまして、私、九月十日の記者会見のときに、焼却したはずであると発言をいたしましたけれども、その直後に、本来であれば、患畜の屠体がレンダリングに回されていた、この可能性についても思いつくべきであった、思いつかなかったことは不覚であり、私自身深く反省せざるを得ない、こういうことを記者の方に申し上げた。

 それから、もう一つのお尋ねの肉骨粉の件でございますけれども、万が一BSEに汚染された肉骨粉でありましても、豚、鶏に給与した場合、BSEに感染することはない、こういう科学的な知見について御説明をした、こういうことを記憶をしております。

筒井委員 法規定に気がつかなかったといって、豚、鶏にやるのには問題なかったと思ったというふうに取材で答えている。しかし、家伝予防法では、疑いのあるやつは完全に焼却しなきゃいかぬ。全面的に焼却しなきゃいかぬということは、豚とか鶏にも使っちゃいけないということですよ、法律の趣旨は。全く法律の趣旨を理解しない、そういう対応を当時においてもまだやっていた、そういうことじゃないですか。

永村政府参考人 お答え申し上げます。
 BSEに係る汚染物品については、これは当然焼却すべきことは事実でございます。

 繰り返しになりますけれども、私が記者の取材に対してお答えをしたという記憶がありますのは、科学的な知見、あくまでもBSEに汚染された肉骨粉でありましても、鶏、豚に給与してBSEに感染したということはない、これについて説明をした、こういう記憶しかございません。

筒井委員 結局、今も言われましたが、この牛は焼却処分されるべきだったんですか、それとも焼却処分されなくて、結果としてされなかったんですが、されなくてもよかったんですか。これはどうですか。

武部国務大臣 私が畜産部の部下を一人一人呼びつけて詰問したのは、今委員が種々御指摘のあった事柄でございます。

 とにかく、我が国のBSEサーベイランスというのは、日本ではBSEは発生しないという清浄性を確認する、そういう基本的な考え方が念頭にあったということが私は一番大きな問題だった、このように思っているわけであります。

 私も八月五日、六日にさかのぼって、時系列的に、どうしてこうなったんだ、焼却処分にしていたと言ってそうでなかったということについても、どうしてこういうことなんだ、実際、農林水産省がやろうとしているサーベイランスは何なんだ。そこで少しずつわかってきたのは、サーベイランスというのは、今言いましたように、我が国の清浄性を確認するための検体を集めて検査をするということだということがわかってきました。

 つまり、今回の場合には、屠畜場に入って、敗血症という診断で、BSEを疑っていなかったということから外に出てしまったわけでありますが、しかし、なかなか農場段階でサーベイランス用の検体を集めるというのは容易でないので、各家保を通じて、食肉衛生検査所に適当な材料はないかということを要請していたんだそうです。そのうちの一つだということがわかりましたので、それで、その後の対応が時系列的にも我々が理解できないようなそういう形になっているわけです。

 したがって、ここが答えなんですけれども、本来、BSEを疑っていれば、当然焼却しなきゃならない。恐らく畜産部長の話は、BSEを疑っていたから焼却したはずだ、こういうふうに述べていたんだろうということをその後確認いたしましたけれども、そこで私どもは、これは検査体制が甘いということで、農場段階でも、このサーベイランスは清浄性を確認するんじゃない、清浄性を確認するということは非清浄性を確認することでもあるんだということで、九月二十日段階で通達を出して、全頭、起立不能等、中枢神経症状のあるものは屠殺して検査するようにというふうな措置をとったわけでございます。

筒井委員 今の回答ですと、BSEを疑っていたから焼却されるはずだったという判断だということですね。この点だけ。長々と余り答えなくていいですから。

武部国務大臣 屠畜場段階ではBSEを疑っていなかったんです。ですからレンダリングとして出ていたんです。しかし、当然、今回の場合はBSEを疑うべきだった。疑っていれば焼却処分にしなければならなかったという、そこのところが一つの大きな問題点だということを申し上げております。

筒井委員 BSEを疑うべきだった、しかし疑っていなかった、これが事実ですね、今回は。

 そうしますと、サーベイランス体制なんてこの件に関してはいいかげんだったということですね。

武部国務大臣 ですから、サーベイランスをもっと徹底していればこういうことは起こらなかったであろうと。検査体制に対して厳しい認識を持っていれば、当然、屠畜場に入った段階でBSEを疑って、そして焼却処分に至ったであろうというふうに理解しております。

筒井委員 焼却処分に本来されるべき牛が飼料の原料として加工されていた、肉骨粉に加工されていた、これが今回の消費者の不安を大きくあおった大きな原因である、これは認められますか。

武部国務大臣 そのことが非常に大きな要因だと思います。

筒井委員 そうすると、農林省の対応がまさに消費者の不安をあおって、今度のいろいろな消費の低下とか、いろいろな損害を与えた大きな原因であったということは認められるわけですね。

武部国務大臣 私は、点検と確認、報告、連絡、相談ということを徹底すべしということを当初から申しておりました。その意味では、県や厚生省ときちっと連絡をとっていなかった、あるいは省内の連携がまずかった、確認をしていればこういう問題が起こらなかった、点検と確認を怠っていたということは事実だ、かように思います。

筒井委員 それが今回の莫大な、金銭的に限っても損害を呼んで、精神的な損害といったら物すごいまた別にある。これについて何にも、先ほどから、一番最初に確認しましたが、大臣もあるいは農林水産省もけじめをつけようとしない。ただ今後一生懸命やるというだけで済まない問題じゃないですか。

武部国務大臣 私は、農林水産省だけのことを申し上げているんじゃないんです。私が焼却処分だということを確認したのは翌朝の新聞ですよ。新聞で、どう処分したかと、全部廃棄とはどういうことかと。だから私は、これは県や厚生省や農林水産省との連絡がまずかったと。これは、十四日にわかっているんですから、もしその前に県や厚生省から、畜産部長が焼却処分にしたというのはそうではないという連絡があれば、当然、みんなプロの集団ですから、そういった連係プレーというのはあるはずなんですね。

 そういう意味で、その連携がまずかったということを申し上げているわけでございます。

筒井委員 全然答えていないので。
 これだけの大きな損害を与えて大きな問題を起こした、その大きな原因が農林省の対応にある、ここまでは認められているんです。そうしたら、それに対するけじめをきちんとこの段階でとらないのはおかしいじゃないですかという質問なんです。

武部国務大臣 委員は農林省、農林省と言いますけれども、そういう連携は農林水産省だけじゃありません。もちろん、確認をせずに焼却処分にしたという発表は、これは言語道断です。しかし、その後、だれからもそうではなかったと。

 普通は、こういう問題が起こったときには当事者がたくさんいるわけですよ。県も厚生省も、それから農林水産省の中にも。そうでなかったという、責任逃れをさせようと言っているんじゃありませんよ、事実を申し上げているのでありまして、そういったことについては、これは連携がまずかった、それは農林水産省も責任を感じていますから、私自身もたびたびそのことは申し上げているわけでありまして、責任を回避する考えはありません。しかし、事実関係を申し上げているわけです。

筒井委員 私も、別に農林水産省だけの責任だと言っていません。厚生労働省の責任ももちろんあります。ほかの責任もあるかもしれない。しかし、一番直接的なのは農林省で、農林省としての責任はどうなんだと。ほかの責任はまた別に聞きますよ、農林水産省としてのけじめはどうとるんだと、それに限定して聞いているんです。

武部国務大臣 当然そのことを承知の上で、私どもは、緊急の事態ですから、とにかくこの問題を解決に向けて、もう恐らく二週間以上は幹部以下農林水産省に泊まり込みのまま対策に当たったわけです。

 責任のとり方、とらせ方というのはいろいろあると思いますが、とにかく、この事態に対して適切な対応をするということが今一番臨むべき、今一番急ぐべきことだという認識でやってきたということでございます。

筒井委員 農林省が消費者の不安を引き起こして消費の低下を大幅に起こした大きな原因である、ここまでは認めながら、最後、責任のけじめになると一切認めないということなんだけれども、これは、そもそも農林省の責任、そんなに私は大臣自体が重視していないんじゃないかと思うんですよ。

 というのは、記者会見で、大臣、こういう発言をしているでしょう。しかも、大臣のホームページにそれを載せているんですが、

 「安全だ、安全だ、もう大丈夫だ、さあ食べろ、食べろ」と言ったって消費者心理というのは言われれば言われるほどなかなか食べたくなくなるんですよ。私の孫なんかも「どうして残すの。どうして食べないの。食べなさい。」と言ったって食べないですよ。「じゃあ、大きいのをパパ食べちゃうよ。」と言うと、「いや。」と言って食べたりするしね。

今のは大臣のホームページから私は引き出してきたんです、記者会見の速記録として。これが間違いだと言われるんですか。(武部国務大臣「最後まで言ってください」と呼ぶ)もう一回読むんですか。今の読んだところはいいでしょう。

 そこのところはこれから色々と多岐にわたった努力をしていく以外にないんじゃないかと思っております。まさに、農林省の責任によって、行動によって消費者の不安が大きくなったんじゃなくて、こういう孫と同じような消費者心理のなせるわざだという、消費者に転嫁しているんですよ。

 先ほどから、テレビでどうだどうだというのも言っているんだけれども、まず、この発言、今何か否定されたので、この発言をしたのかしていないのか、それを答えてください。

武部国務大臣 それは、議事録だとかそういうものはないわけですし、そのホームページは私の秘書が記者会見で発言したものを書いているわけですから、それは、ホームページにそのまま載っているのであればそれを否定するわけにはいきませんけれども、孫のくだりのところはそういう表現でなかったと思います。

 しかし、それは、どういう状況で言ったかということは、消費者心理を考えて私は発言しているわけでございます。安全だ、安全だと私が言ったって、消費者が食べない、食べたくない、牛肉離れをしているという状況がいつまでも続くようであれば、なかなか消費は戻らない。だから、消費者に、あるいは国民にどうやって信頼を回復するかということが一番大事だと。

 その事例として、肉の好きな家族からそういう指摘があったという話をしたはずです。私どもの娘たちがみんながそういうことを言っているという事例として挙げて言ったはずでありまして、今ホームページに載っているわけですからそれは否定いたしませんが、そのときの状況を話をすれば、そういうことを申し上げたわけでございます。

 したがって、我々がやらなきゃならぬことは、この事態からどうして消費者に信頼を回復するかということを申し上げた所存でございます。

筒井委員 孫のところも認めるんですね。孫の発言のところが今違うとか言いましたが、認めるんですね。

武部国務大臣 うちのホームページがそのとおりであればそのとおりだと。だけれども、私は、そのときのことを振り返って、私の家族がほかの人の話などを聞いて、総合してそういうような表現を申し上げたということでございます。

 正確にはよく覚えておりませんが、書いてあるんだったらそのとおりでしょう。

筒井委員 十月二十六日の記者会見ですから、そんな昔じゃないんですよ。つい最近なんですよ。それで、今の、家族がこういうふうに言っていたとかいうやつは、十月二十六日では言っておりません。

 こういうふうに、当初、大臣は、そんなことは言っていないというふうに否定されて、最後は、ホームページから出したんだと言われたら認める。ここに今度の大きな風評被害や何かの責任が、それを消費者とかテレビとかマスコミとかに転嫁している。

 さて、先ほどから、農林水産省の行動によるんだということは言葉としては認められているけれども、本当にそれを心の底から認めていないから、だから、けじめとか責任に関しては全面的に否定するんじゃないですか。もう一度、その点だけ。

武部国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私は、もう毎日のように新聞で、謝罪、陳謝、責任を認める、このように報道されているんです。そのことは私は常に認めているんです、素直に、率直に。農林水産省の責任も認めているんです。しかし、それに対して今何をしなきゃならぬかというのは、緊急の事態に間断を入れずに仕事をしていくことだということでございます。だから、先ほど人事を尽くして天命を待つというようなことも申し上げたのも、そういうことであります。

筒井委員 責任までは認めている。大きな責任も認めている。それに対するけじめをつけろと私は言っているんですよ。それについては一切認めようとしない。

 今一つの問題を指摘しましたが、肉骨粉の給与禁止、これも極めて遅過ぎた不作為責任があるし、また、給与禁止の行政指導が徹底されないで牛に給与されていたのに、その指導が徹底されている、こういううそを公文書でも出しておりますので、その点についてお聞きをいたします。

 まず、肉骨粉の給与禁止、これも先ほどどなたかが言われたけれども、小出しなんですよね。四段階にわたっている。最初、九六年の四月に、牛以外は自由で、牛に対する給与禁止の行政指導をした。次に、ことしの九月十八日に牛についてのみ法的禁止をした。これが二段階目。それからその次に、ことしの十月四日から全面的な、輸入、製造、出荷の禁止をした。これは行政指導をやった。十月十五日になって法的な全面禁止をした。その後、今度はすぐまた半月ぐらいで、法的全面禁止のうち、鶏、豚について解禁した。これを含めると、全部で五段階なんですよね。小出しにしている。

 これを、冒頭申し上げましたが、九六年三月に千葉県の牛は生まれたので、九六年四月の行政指導だったんですが、九六年の三月から全面的禁止、一挙に最初からそれをやっていれば、あの千葉県の牛は発生しなかった可能性が非常に強い。小出しでおくれる、この責任も、農林省、私は大きいと思うんですよ。

 ほかの国は、例えばイギリスは、八八年の七月に肉骨粉の牛への給与を禁止している。八八年ですから、日本の徹底されなかった行政指導でさえ八年おくれですよ。九六年にすべての家畜への肉骨粉の給与を禁止している。これは十三年ぐらいおくれですか。いずれにしても、外国の措置から比べたら十年前後おくれた。九六年の三月から四月に、法的に牛への給与を全面的に禁止する、この措置がとれなかった理由は何かありますか。とれなかった理由ですよ。

武部国務大臣 とれなかった理由というのは、私、当時の状況をよく承知しておりませんから、正確に責任ある答弁はここではできませんが、後でまた事務当局から答弁させますけれども、私は、結果論として、そのときに法的措置をとっていた方がそれはよかったのかもしれません。しかし、だからといって、行政指導だから今度の結果になったということを断定していいのかどうか、このような感じもいたします。

 やはり、この間、四百五十九万頭、十三万六千戸に及ぶ全頭、全戸の調査をいたしました結果、約五千頭の牛が給与してはならない肉骨粉を使っていたという結果です。しかしこれは、確率からいたしますと、比率からいたしますと〇・一一%とか、そのオーダーですね。

 しかも、私の知っている友人、農家はたくさんいますけれども、それは英国であれだけ大発生し、EUであれだけ大発生し、家畜というのは自分の大変大きな財産、資産ですね。毎日の糧です。将来を支える糧でもあります。そして、愛情をかけて飼育している存在でもあります。私の知っている友人など、真剣に酪農経営、畜産経営を営んでいる者は、行政指導があろうがなかろうが、プロの経営者としては肉骨粉などを給与するなどということは考えられない、こういうことを言っている。

 そういう友人がたくさんいるということを考えますと、これは、行政指導の不徹底という責任は免れませんけれども、しかし行政指導だけではない、これがすべてではない、私はこのように理解し、一定の効果があったんじゃないか、このように思っております。

筒井委員 当初、農林省でさえ、一万頭近くが肉骨粉が給与されていたと言って、最終的に五千頭ぐらいだというふうに訂正したこと自体もそうなんですが、行政指導が徹底されていなかったことは事実なわけですよ。それは、九千頭だからいい、五千頭だからいいという問題じゃないでしょう。確率の問題じゃないんですよ。五千頭とか九千頭給与されていて、そこから一頭でも出たら大問題なんですから。だから、行政指導ではなくて、完全に法的な禁止をしなきゃいかぬと私は先ほどから言っているんですよ。

 しかも、行政指導がこういうふうに徹底されていなかったことが後ではっきりしたのに、今も大臣は認めたのに、千葉県の牛が発生するまではずっと、行政指導は徹底されています、こう言っていたでしょう。肉骨粉の反すう動物への給与中止も有効に実施されております。しかも、そんな抽象的なことだけじゃなくて、具体的に、九六年四月以降、行政指導により肉骨粉の牛への給与が効果的に防止されている。これは農林省の公文書ですよ。九六年四月以降、肥飼料検査所が立入検査を行い、製造記録、製造設備の実地検査を行って、行政指導の遵守状況を確認している。徹底してなかったことが後でわかったのに、この千葉県の牛が発生する前は、行政指導が徹底されていますと公文書でうそをついている。この責任はどうなんですか。

武部国務大臣 責任は認めているじゃありませんか。ですから、行政指導が徹底してなかったという事実は事実として、私どもは認めているんです。(筒井委員「いや、うそをついていたのはどうですか」と呼ぶ)うそをついていたと。それはその当時はそう思っていたんでしょう。そういうことが認識の甘さだということで、私は、一人一人呼びつけて厳重に注意を促しているんですよ。その上に立ってしっかりやらなきゃだめだということを促して、対応をさせているんですよ。

 それはけじめの話もありますけれども、私は、そういった問題について、二度とこういうようなことがあってはいけない、行政上の縦割りの問題や、あるいは現場の家畜衛生保健所もあるいは食肉衛生検査所も、これは県段階が直接管理しているわけでありますから、そういったことにならないように。今委員の指摘されるようなことは、これまで国会でもいろいろ御指摘がありました。我が党内でもいろいろあります。そこで、これは、第三者委員会、調査委員会を立ち上げて、ここで専門家の皆さん方や消費者の皆さん方、そういった方々に、過去にさかのぼって検証をしていただこう、客観的に、科学的に検証していただこう、そして二度とそういうことにならないような体制づくりをしよう、責任を感じているから、そういう努力を今しつつあるわけです。

筒井委員 立入検査を行って、製造記録、製造設備の実地検査も行って、行政指導が徹底されていることを確認していますと言っているんですよ。こんなうそを公文書で出しながら、責任は認めます、それで済ましていたら、国民はもう農林省が言っていることは信用できなくなるじゃないですか。文書で出したって、これはまたどうかわからない、そのときはそう思っただけだと。

 そういう信頼を回復するためには、こんなことはめったにないんです、めったにないというか、このときだけです、はっきり、こんなおかしなことをやったのでけじめをつけます、今後はそんなことはしない、それを形であらわさない限りは、農林水産省が何を言ったってもう国民は信用しなくなっちゃいますよ。だから、けじめをきちんとつけることが、これからの牛肉の消費を拡大させるためにも必要なんだとるる先ほどから言っているんですよ。

武部国務大臣 だから、けじめをつけるために我々は今全力を挙げているわけです。あなたの言う、委員の言うけじめというのはどういうことを言わんとしているのか、理解できるところもあるし、そうでないところもありますけれども、それは、我々は、第三者委員会も立ち上げて、客観的に、科学的にも御検討いただいた上でいろいろ考えますよ。何もけじめをつけないなどと言っているわけじゃないので。

 だから、それは、その公文書はいつの時点か、私は正確に記憶しておりませんが、私が大臣になってからですか。私は、ですから、先ほども何度も申し上げておりますように、一人一人呼びつけて、そして厳重に注意を促し、二度とこういうことが起こってはならないということで、体を張って努力をすべきだということを言っているわけでありまして、今、私どもとしては、けじめをつけるその過程にある、このように御理解いただければありがたいと思います。

筒井委員 今の挙げた文書というのは、農林省の生産局が平成十三年三月に出した「我が国の牛海綿状脳症(BSE)ステータス評価手法の概要」、こういう文書です。

 そして、今の話だと、けじめは必ずつけます、時期はただ確定していないけれどもという回答ですか。

武部国務大臣 いろいろなけじめのつけ方はございますが、私は、きちっとしなければならないという認識で、今ベストを尽くしている所存です。

筒井委員 それから、この千葉で発生する直前に、欧州委員会がリスクアセスメント評価をしようとした。これは、そもそも農林水産省がその評価を要請した。その欧州委員会が日本でも発生リスクがあり得る、発生があり得る、つまりレベルスリー、四段階のうちの三段階で評価しようとしたところが、農林省は発生リスクは極めて低い、こういう判断を当時やっていて、それを拒否した。その直後に発生したわけですから、欧州委員会の評価が正しかったことが証明されたわけです。農林水産省のそのときの判断、評価が甘い、根拠のない見通しであることがはっきりしたわけですね。その点まず、そうですね。

小林政府参考人 ただいまの欧州委員会のステータス評価の経緯について御説明いたします。

 EUでは、今、第三国からBSEの侵入を防止するということで、今の御指摘のステータス評価を始めておりますが、我が国からしますと、EUの方に化粧品とか医薬品の輸出がありますので、それを対象ということで、まず交渉してまいりました。ただ、その過程におきまして、EUの方のこのBSE評価手法につきまして我が国と議論があったわけでございます。

 具体的には、そのEUの方の基準が各国の発生状況なりサーベイランス体制等、こういうのを考慮していないというのが一つございます。また、評価基準自体が、OIE規約という国際基準がございますけれども、それから大きくかけ離れている。いわば、そういったステータス評価をするときの基準の面で、我が国は国際的な基準の方に沿うべしということを主張したわけでございます。

 その後、EUの方も、今までの基準にかえまして、ことしの七月には今申し上げましたOIE規約、これはことしの五月に決まりましたけれども、を踏まえた新しい基準を採択したということでございまして、そういうことで、この経過の中で、我が国といたしましては、国際基準との整合性のない基準、これによる評価を行うことは適当でないということでEUの方に申し入れ、EU側と協議してきたところでございます。その結果、EUの方としても我が国に対するBSE評価を行わないという形で、この結論になったということでございます。

筒井委員 つまり、私が確認したかったのは、欧州委員会の発生があり得るという評価が正しくて、それを拒否した日本の農林省の発生リスクは極めて低い、日本の安全性は極めて高いという判断が間違っていましたねという、この点の確認なんですよ。大臣、どうですか。

武部国務大臣 私は聞いていたのは、EUのステータスを求めるという理由の一つに日本から輸出する医薬品、化粧品などがある、このためにステータス評価を求める、しかし、その後、それは不必要になったということが一点。それから、今局長から説明しましたように、EUのステータス評価というのはOIEの基準から相当かけ離れているということと、それから、OIEで総会を開いて新たな基準をつくる、つくったというかつくるというふうに言いましたね。そして……(発言する者あり)今、質問者に答えているんですからね。(筒井委員「私もこの質問をしているんですよ、どっちが正しかったのか、どっちが間違っていたのか」と呼ぶ)では、最後まで聞いてください、丁寧に発言しますから。その上で、EUも国際基準、OIEの評価に合わせるという情報もある。結果、EUも七月には国際評価に合わせたというふうに、その後報告を聞いております。

 したがいまして、私は部下に話をしたのは、これはきちっと評価を受けるべきであったんじゃないのかということは申し上げましたが、しかし、そういう理由から了解したということでございます。OIEの基準が新しくつくられる、日本はそれを求めたい、EUもそれに合わせるという情報もある、しかも化粧品だとか医薬品の輸出のためにこのEUの評価を求めるというのが当初の目的でもあったというふうなことから了承したということでございます。

筒井委員 基準の中身については、日本の基準のつくり方にいいかげんなところがある、これはこの後でまた聞くんです。結論として、農林水産省はこの点でも間違えましたねと。今のそれは、大臣、認められた趣旨ですね。

武部国務大臣 いや、間違ったというふうには思っておりません。

筒井委員 先ほど言いましたように、欧州委員会は日本でも狂牛病の発生があり得るという評価だった。農林水産省はそれを拒否して、そんなことはない、日本では今までも発生していないし、発生の危険性は極めて低い、こういう判断をしたんですよ。だけれども、その後発生したんですよ。もうはっきりしているでしょう。

武部国務大臣 私どもはそういう判断をしていないんです。EUが日本で発生する、そういう可能性ありと、しかし日本はそうではないという、そのことの理由で評価を受けなかったというわけではないということを申し上げているのであります。

 先ほども言いましたように、近くOIEの基準が改まって、それを求めたい、それから、EUも、情報によればその国際基準に合わせるというふうに聞いている、しかも、日本がステータスを求める一つの理由が化粧品や医薬品の輸出に関してその必要性があるからだということであって、新しい基準に合わせるというのであれば、それで結構だろう、こういうことを申し上げたということです。

筒井委員 結論として、明確に、農林省の危険性は極めて低いということが、これが間違いだったということは、狂牛病が発生したわけですから、これはもうはっきりしているわけです。それもなかなか認めようとしない。今の姿勢でそれがはっきり出ていると思うんです。

 そして、この肉骨粉の輸入なんですが、輸入禁止に関しても五段階、四段階ですか、極めて小出しにやった。当初は、イギリスからの肉骨粉禁止、これは九六年の三月。それから、その次、EU全体からの輸入禁止、これがことしの一月一日。それから、ことしの十月四日にすべての国から輸入全面禁止。最低限、三段階でやった、小出しにした。

 これは、アメリカは八八年に、つまり日本よりも十年ぐらいですか、八年かな、日本より八年早くイギリスからの肉骨粉の輸入を禁止した。EUからの肉骨粉の輸入禁止は、アメリカは九一年にやっていますから、十年日本より早い。

 だから、確認したいのは、まず、そういうふうに外国と比べて日本は大幅におくれた、その不作為責任を認められる、認めるべきだ。それから、大体、三段階とか四段階に小出しにするんじゃなくて、最初からやるべきではなかったか。この二点についてお答えください。

小林政府参考人 まず、この肉骨粉の輸入停止の経緯をちょっと申し上げます。

 今お話ございましたように、我が国では……(筒井委員「経緯はいいよ、時間がないから」と呼ぶ)要するに、OIEの基準がございます。例えて言いますれば、BSE発生国から入れる際には、肉骨粉の処理につきまして、いわゆるOIEで定めております加熱処理等の基準がございまして、この基準のもとに入れているということでございます。

 したがいまして、BSEとの関係でいきますれば停止ということもありますけれども、そういう加熱処理基準、国際基準を用いて輸入してくる、そういった対応をとってきたということでございます。

筒井委員 そういう結果、結局、このBSE発生国からの輸入量が日本は極めて莫大になったわけです、過去八年間において。ただ、農林省が、その量は計算によると十キログラムにすぎない、こういう計算をしているのです。だから、日本で発生の危険性は極めて低いなんて言っているんです。

 この十キログラムの計算の根拠として、過去八年間、発生国からの肉骨粉輸入量は、発生国の場合、肉骨粉としては明確に、オランダとフランスですが、失礼、イタリアとデンマークですが、ここからもう八年間で八万トンほど輸入している。これはどうも計算に入れているようですが、発生国からの骨粉とか血粉に関する輸入、大量にあるのですが、これは一切計算に入れていない。それから、イギリスからアジア、香港とかタイとか、そういうのを経て日本に来た肉骨粉等もあるのですが、これも一切計算に入れていない。この二つは計算から除外していることは、除外して判断していたことは認められますね。

小林政府参考人 今の十キロの考え方でございます。
 これは、イギリス等のBSE発生国からの生きた感染牛それから汚染肉骨粉を通じて侵入する、そういう仮定を置いたときに、今お話ございました八年の輸入量をベースに我が国に侵入した可能性のある汚染肉骨粉の量を試算したところでございます。

筒井委員 いや、だから、確認したいのですよ。

 発生国であるイタリア、デンマークから八年間で輸入した肉骨粉八万トン、これはその計算の中に入れているようですが、発生国からの骨粉とか血粉の輸入、これは一切計算から除外していたという点が一点。それから、イギリス等の発生国からアジアを経て日本に来る、この肉骨粉も結構いっぱいあったようですが、これも計算から除外していた。この二点を今確かめているのです。

小林政府参考人 この推定に当たりましては、今申し上げましたように、BSE発生国からの感染牛とそれから汚染肉骨粉、これはリスク評価上発生源になるという仮定のもとでやっておりますので、血粉など他のものはこの発生の原因として主要ではないということで入っておりません。(筒井委員「それから、アジアからの迂回輸入の点も入っていませんね」と呼ぶ)それも入っておりません。失礼しました。

筒井委員 発生国から八年間で骨粉は二万四千トンも輸入されていて、血粉は約三百トンも輸入されている。それにプラス、イギリス、EUからアジアを経て輸入されたものも物すごい多額に上る、大量に上るわけですが、これを一切評価に入れないで、日本は安心だ、発生の危険性は極めて低いと。こういった判断自体が間違いなんじゃないですか。大臣、どうですか。

小林政府参考人 こういった前提のもとで試算したあれですけれども、先ほど申しましたように、加熱処理とかそういった形でBSE発生国からの輸入はやってきておる、そういう一つの国際基準に基づく安全措置というものを講じたというところが一つの背景としてございます。

筒井委員 私の質問に先ほどから答えないのだけれども、私が言っているのは、そういうふうに発生国からの血粉あるいは骨粉、全然危険性、リスク評価で一切考慮の対象から外した、アジアからの迂回輸入の肉骨粉等も全部リスク評価の対象から外した、そんなことを、大量のものを外した上でリスク評価したって、こんなのは間違うのは当たり前じゃないですかという質問なんです。大臣、どうですか。

小林政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、輸入に際しましては、今の国際基準でありますとか、それから、第三国の関係のお話ございますけれども、動物検疫のルールといたしまして、相手の国からの輸出証明、こういったところで、今の加熱処理だとか、それからどこで、どこの工場でつくられたか、そういう前提の中で輸入している。そういう前提の中ですから、危険度を評価するときに、肉骨粉なんかと比べて血粉とかそういうものは先ほどのような対応をしたということでございます。

筒井委員 リスク評価で今言った二つの点を外しても、これは間違いではなかったというふうに現在も判断されているのですか。最後にこの点だけちょっと確認したいと思います。

小林政府参考人 先ほど申しましたように、リスク評価をするときに一つの前提を置きまして、その中でいろいろな学者の先生方の意見も聞きながらやっていくという作業と、それから、今回BSEが発生いたしました、これについてどう評価するか、これについての私どもの今までの対応に対しまして種々御批判いただいているところでございます。それに対してどう評価するかということは、私ども分けて考えたい。

 したがいまして、今までの経過の中で先ほどのような作業をしてまいりましたけれども、これからの対応といたしましては、今回BSEが発生したということを重く受けとめて対応していきたいと考えております。

筒井委員 終わります。


2001/11/16

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