江田五月 活動日誌 2002年5月 (15〜16) >>日程表 ホーム総目次5月目次前へ次へ


5月15日(水) 精神、憲法、本会議、役員会s、総会s、国の…

今日は、8時20分から厚生労働部門・法務部門・司法と精神医療PTの合同会議で、内閣提出の心神喪失行為観察法案に対する民主党の対案につき協議。中座。

8時50分から、参議院憲法調査会幹事会。9時から調査会。今日は公聴会で、午前中3時間、14時からさらに3時間、各4人の公述人からそれぞれ15分程度の意見を聞き、委員からの質問に答えていただきます。全て公募の公述人ですが、それぞれ立派な意見でした。

女性が3人、外国人も3人、脳性麻痺の障害者が1人と、多彩な顔ぶれでした。意見も、憲法で保障された基本的人権がまだ十分現実のものになっていないこと、特に外国人や障害者など少数者に保護が薄いこと、憲法改正は何を目指すのかが大切なことなど、実体験に基づいた聞き応えのある意見でした。女性大学院生の「性のあり方に関する女性差別」の主張は、世代による感じ方の違いが最も大きいテーマでしょう。

11時40分、議員総会。12時から1時間半、本会議。瀋陽亡命事件につき、川口外相の報告を聞き、質疑。木俣佳丈さんが、わさびの利いた質問をしました。政府側の木で鼻をくくったような答弁には、怒りよりも情けなくなります。日本の人権後進性を世界に印象づけたことなど、何とも思っていないようです。終了後、国対・理事合同会議。

14時、憲法調査会再会。中座して、常任役員会。自民党から、4人の野党代表者に対し井上前議長が事情説明するという案が示されましたが、これを拒否し、逆提案をしたことが報告されました。内容は、(1)各会派代表者会議に予算委員会理事を加えた会議に井上前議長に出席していただき、説明と質疑を行うこと、(2)小泉首相出席の予算委員会の集中審議を行い、政治とカネなど懸案の質疑をすることの2点です。自民党は15時半に回答するとのこと。

16時半から常任役員会。自民党から、上記2点の枠組みにつき受け入れるとの回答があったとのことで、了解。17時から議員総会。合意を了承し、明日から、その実施方法の協議を含め、全ての委員会が正常化されることになります。18時、瀋陽亡命事件につき取材。19時半から、国のかたち有志で一杯。



5月16日(木) 法務s、国の…、NPO、NC、精神障害

今日は、国会は正常化しましたが、今日の審議日程が昨日までにセットされていないため、理事懇談会での日程協議などから始まります。

9時から、法務部門と司法制度改革WTの合同会議で、司法制度改革推進本部の事務局担当者から、法科大学院の検討状況につきヒアリングと質疑。プロセスでの法曹養成と言いながら、適性検査、法科大学院入学試験または予備的試験、司法試験、司法研修所修了試験など、試験の連続となります。100近くの大学が法科大学院設置に手を挙げており、希望する学生定員を合計すると5000人ほどになるとか。暗中模索ですが、かなり先が見えてきているようです。9時半から、法務部門会議。法務委員会は、衆議院は心神喪失観察法案、参議院は人権擁護法案で、緊迫したやりとりが続きそうです。

11時半から、国のかたち研究会。菅幹事長も交えて、終盤国会の展望につき意見交換。不祥事続出ですが、うみを出しきらなければなりません。13時、知人訪問。

14時から、NPO議員連盟総会。額賀新会長、鳩山民主党代表などの挨拶があり、超党派で取り組む法改正の内容が合意されました。衆議院の内閣委員会から、改正手続きが始まります。

15時から、NC会議。精神障害者対策につき、対案の中間報告が了承されました。あと一歩です。歩きたばこを取り締まる軽犯罪法改正案、国家公務員の内部告発のための手続きを定める公益開示法案、地球温暖化対策推進法案の修正案などが了承されました。法務省記者会見

16時半から1時間弱、法務省記者クラブで、水島広子さん、平岡秀夫さんと精神障害者対策の対案につき記者会見。大勢の記者さんたちが関心を持ってくれ、ホッとしました。18時、民主党憲法調査会の打ち合わせ。その後、週刊誌の取材。



5月16日 司法と精神医療との連携(平岡秀夫さんの今日の一言より)

今日、民主党のNC(ネクスト・キャビネット:次の内閣)で、政府が提出している「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案(以下、「心神喪失者等観察法」と言います。)の対案として、「裁判所法等の一部改正法案」と「精神保健福祉法の一部改正法案」を国会に提出することが決定され、それについて、法務省の記者クラブで、記者発表しました。

政府提出の心神喪失者等観察法は、殺人、強姦、傷害などの重大な犯罪行為を行った者が心神喪失等の状態であったために処罰することができない時に、その者に対して、社会としてどのように対処していくべきか、という視点にたって立案されたものものですが、この法律案は、昨年6月に起こった大阪教育大学付属池田小学校での児童殺傷事件を契機として作成されたものです。

しかし、残念ながら、心神喪失者等観察法は、池田小学校事件の再発防止に役立つ法律案ではありません。つまり、池田小学校事件を起こした人は、過去に軽微な犯罪行為を繰り返し、精神病院への入退院を経て、事件を起こした者であり、心神喪失者等観察法が適用される人ではありえません。

また、心神喪失者等観察法は、診察による判定が困難な「再犯のおそれ」という不確実な将来の危険性予測に基づき、不定期な予防拘禁を認めるものであり、「再犯のおそれ」のある者とのレッテルを貼って、精神障害者への差別・偏見を助長するものとなっています。このような法律を制定しても、精神障害者への適切な医療の提供は行われません。

そこで、民主党として、政府提出法案の対案を用意したわけです。民主党が提案しようとする法律案は、(1) 司法精神鑑定のあり方、特に起訴前の精神鑑定に、安易な簡易鑑定が多いという問題がある、(2) 現行の精神保健福祉法に基づく「措置入院制度」(自傷他害のおそれのある人を、知事が強制的に入院させる制度です。)が必ずしも適切に運用されていないことに現行法の問題点がある、という観点に立って立案されたものです。

具体的には、上記(1) については、最高裁判所と最高検察庁に、それぞれ「司法精神鑑定センター」を設置し、鑑定人の候補者の選定や、精神鑑定に関する情報の収集と調査分析を行わせるための裁判所法と検察庁法の改正を提案しています。これによって、捜査段階や裁判の段階での精神鑑定をシッカリとやっていくことが確保されることになります。

また、上記(2) については、精神障害者を措置入院させるか否かの判断を行うために、精神保健指定医2名が委員となる「判定委員会」を設け、2名の委員が一致して判定をする仕組みとし、その判定に当たっては、精神保健福祉士などから任命される「精神保健福祉調査員」が、過去の病歴や生活環境などを調査する仕組みとするための精神保健福祉法の改正を提案しています。

これから、政府提出の法律案と民主党が提出を予定している法律案の双方が衆議院で審議されることとなりますが、どちらの案が適切か、審議を通じて国民の皆さんに明らかにしていきたいと思っています。


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