江田五月 活動日誌 2001年10月(26〜31) >>日程表 ホーム総目次10月目次前へ次へ


10月26日(金) 外交防衛委質疑、ハン議懇、弾劾、萩原延壽さん

今日は、8時から打ち合わせをし、9時から外交防衛委員会で、テロ対策特措法案と自衛隊法改正案の質疑です。私は、10時過ぎから60分間、福田官房長官と中谷防衛庁長官に一般質疑をしました。

まず福田官房長官に対し、UNHCRに対する寄付について質問。日本の寄付金税制は非常に窮屈です。一緒に知恵を絞ろうと提案しました。次いで、テロ対策について、集団安全保障措置としての位置づけを強調しました。今、歴史の岐路に立っています。しかしそれは、戦時に自衛隊を世界のどこへでも派遣するか、それとも一国平和主義を貫くかの岐路ではありません。積極的国際協調主義の中で、どこまでもアメリカについて行く集団的自衛権の道か、国連を中心とする集団安全保障の道かの岐路なのです。そこを明確にさせないから、国民に、なし崩しでどこへ行くか分からないという不安を与えるのです。

シビリアンコントロールについて。防衛白書を引きながら、主権者である国民が果たす役割が大きいこと、これを阻害してはならないことを質しました。

その後は防衛秘密に集中。中谷長官の一昨日の答弁間違いを指摘し、防衛秘密の垣根を低くすることの重要性を説きました。そして防衛秘密に関し、指定の方法、登録簿の秘密性、実質秘の司法審査、指定解除、標記と通知の関係を質しました。その後、秘密への接近につき、情報公開との関係、共謀の成立に事業者が不可欠であること、教唆でも正犯が想定されない場合は成立しないこと、事業者でない者は漏えい罪の正犯となる余地はないこと、教唆や扇動も具体的危険がなければ成立しないこと、報道の自由、国政調査権、国民の知る権利、シビリアンコントロールとの関係などを質しました。最後に、基本的人権を侵害してはならないことを強調して、終わりました。明確な答弁が得られて、歯止めの出来た部分も多かったと思います。詳細は会議録を見て下さい。

午後から総括質疑。終局。民主党はテロ法案に修正案を提出し、採決。修正案否決(民主は賛成)、原案可決(反対)、附帯決議(賛成)。次いで自衛隊法の採決。原案可決(賛成)、附帯決議(賛成)。17時半に終了しました。

13時15分からハンセン病問題議員懇の役員会。厚労省担当者との折衝です。17時半から1時間、弾劾裁判所事務局と打ち合わせ。大詰めです。

19時過ぎに会館を出て、萩原延壽さんの通夜へ。父との交友が厚く、私も学生時代から謦咳に接していました。『馬場辰猪』や『陸奥宗光』に感動しました。英国留学時、オックスフォードの郊外に住んでおられ、ご自宅でご馳走になったり、下宿探しで世話になったりしました。本物の知識人でした。合掌。



10月27日(土) 労組大会、テレビ、書道展、クラス会

今日は、10時前の新幹線で帰岡。14時から、情報労連岡山地域協議会の定期大会で、民主党岡山県連を代表して挨拶。比例区で高見裕一さん、選挙区で石田みえさんがお世話になりました。そこで、選挙のお礼とお詫びから始め、テロ法案や雇用問題などの国政課題に触れ、組合の抱える課題に言及して、10分ほど話をしました。

15時から、地元のテレビ局、RSKのスタジオへ。夕方のニュースの時間に、3分半の枠で国政報告をさせてくれるので、その録画撮りです。NC法務大臣への就任、同時多発テロ関連の対応や法案についての考え方、昨日の自衛隊法の質疑、最後に選挙制度をめぐる動きに触れました。短時間ですから、いずれも短くまとめなければなりません。意が通じたでしょうか。

15時半から、かな書道の「小野桂華・玲華二人展」へ。お二人は伯母・姪の関係。玲華さんは初めての展覧会で、張り切っていました。

16時から、民主党県連関係の協議と揮毫を少し。18時前、高校クラス会へ。担任教師が贈ってくれた「粟井杯」争奪のゴルフコンペが長年続いており、今日も3組。これに私のような不参加組も加わって、15人で懇親会です。鎖骨骨折と腓骨骨折が1人ずつ。還暦ですから、いろいろ事故もあります。肩の凝らない3時間余を過しました。



10月28日(日) 結婚式、見舞い、上京、防衛秘密

今日は、朝から結婚式・披露宴のフル出場です。私の母方の従妹の20歳になる娘が、かなり年上の人と結婚。2人ともホテル勤務の職場結婚で、会場もそのホテル。来賓の多くもお世話係も、みな2人の同僚。会場の窓もシャンデリアも、ことごとく喜びに溢れていました。

10時からチャペルで結婚式。私たち夫婦は、立ち会い人です。「神が結び合わせたもの、人これを離すべからず。」との神父さまのお言葉に、2人は聞き入っていました。次いで、型どおり写真撮影。

12時からの披露宴は、媒酌人なしで、ひな壇は2人だけです。最近は、このタイプが多いようですね。まずホテルの専務さんが主賓挨拶。次いで私が、主賓と親族代表を兼ねて、お喜びとお礼の挨拶。「この瞬間も、空爆に逃げ惑う人や炭疽菌に脅える人がいることも、忘れないで下さい。」と、ちょっと辛口言葉を加えてしまいました。

その後は、歌あり詩吟ありで、賑やかに盛り上がり、私も司会者に頼んで「愛の讃歌」を歌わせて貰いました。

15時にお開き。自宅で一服して、長くお世話になっている方々をお2人、病気見舞い。更に、倉敷まで足を延ばし、天神窯の岡本篤さんの窯出しへ。最終新幹線で上京。

一昨日の私の防衛秘密の質疑につき、地元紙が歯止めと書いてくれました。全国紙が1紙、私が、アメリカのように一定期間経過後は指定解除して公開することも考えるべきだと質したのに対し、中谷防衛庁長官と福田官房長官が、答弁で積極的に検討する姿勢を示したことを報道しました。秘密指定の解除制度は設けることになっており、積極的活用が求められます。

ウオッチ永田町・霞が関

「防衛秘密」条項の慎重な運用求める

民主党の江田五月氏(参院岡山)は26日に開かれた参院外交防衛委員会で、テロ対策にからむ自衛隊法改正案について質問。同法に新たに設けられる「防衛秘密」条項を中心にただした。

改正案は、防衛秘密を漏らした自衛隊員の罰則を強化、処罰対象に民間業者も入れるとしており、江田氏は「情報公開が進む今、むしろ防衛秘密の垣根を低くするのが道筋」とした上で、「報道の自由や一般市民の情報公開法に基づく開示請求が制約されることがあってはならない」と慎重な方の運用を求めた。

これに対して中谷防衛庁長官は「(報道や情報開示請求など正当な手段で防衛情報にアクセスすることに)違法性はない」と回答した。

改正案はこの日、同委員会で可決されたが、江田氏は委員会後、「防衛秘密条項は、ともすると国民の基本的人権を侵害する恐れのある重要な問題」と述べ、防衛庁長官から前向きな答弁を引き出したことで「運用面での歯止めができた」と語った。

2001年10月27日 山陽新聞


防衛秘密「後に解除も」 中谷長官

中谷元・防衛庁長官は26日の参院外交防衛委員会で、「防衛秘密」を新たに指定し秘密漏えいの罰則強化を定める自衛隊法改正案について、「漫然と指定を放置しておくことが適当かといわれると、広く国民に情報を提供し、理解と協力を得ることも重要だ。今後、検討したい」と述べ、一定期間を経過した後の秘密解除を検討する考えを示した。江田五月氏(民主)の質問に答えた。

福田康夫官房長官も、「政府が際限なく秘密を持っていていいかというと、極めて問題が大きいだろう。国民に十分開示する努力を政府は不断に行っていかないといけない」と語った。ただし、「国家国民の安全を損なう恐れのある情報を開示しなくても公益は損なわない」とも述べた。 

2001年10月27日 朝日新聞



10月29日(月) 総会(防衛秘密)、本会議(テロ法等採決)、EU会議

今日は、いよいよテロ特措法案等の本会議採決です。午前中、直嶋参議院幹事長と、会派内の状況につき協議。党議拘束が掛かっているとはいえ、みんなの理解と納得と共感を得て、行動が一致することが大切です。

11時半から1時間強、議員総会。私から、先週金曜日の外交防衛委員会での質疑を紹介し、理解を求めました。要点は、
(1)シビリアンコントロールにおける国民一人ひとりの役割の重要性の確認、つまり、有権者が防衛情報につき関心を持つことは、奨励されることでこそあれ、刑罰で威嚇して萎縮させるのは妥当でないことの確認、
(2)防衛秘密の指定は、個別の情報ごとに行い、登録簿にファイルし、これは情報公開の対象とすること、
(3)形式秘と共に実質秘も、刑事訴訟と情報公開訴訟で、司法審査に服すること、
(4)指定解除の積極的活用を前向きに検討すること、
(5)報道の自由、国政調査権、情報公開、国民の知る権利などを害してはならないこと、
(6)正犯の身分を有する者以外に秘密漏えい罪は成立しないこと、教唆も正犯が想定できない場合は成立しないこと、共謀には必ず正犯となりうる者の関与が必要なことなどです。

その上で、賛成会派の責任として、施行のための政令にも目を光らせ、シビリアンコントロールの基盤を作り、防衛情報に対する市民のアクセスを確立するために努力する態度をとるべきです。

13時前、ちょっとだけ日・EU議員会議の昼食会に顔を出し、13時から50分間、本会議。海上保安庁法改正案は賛成で、225対8で可決(反対は社民党のみでした)。テロ特措法については、福山哲郎さんが修正案を説明、藤井俊男さんが討論。修正案は賛成少数で否決。原案は反対しましたが、140対100で可決。心配した自衛隊法改正案は、会派は5人の棄権・欠席を除き全員賛成で足並みが揃い、197体39で可決。いずれも成立しました。疲れました。

14時から17時40分まで、日・EU議員会議に出席。私は、「地球規模の安全保障問題、特にテロリズムの防止」というセッションで、10分程度発言。集団的自衛権でなく、国際社会の共同対処、つまり集団安全保障こそが大切で、そのため日本は米国だけでなくEUとの関係強化が必要と訴え、国際司法裁判所規程の早期発効と国連警察軍設置を提案しました。共同宣言で、国際的司法機能の充実の必要性が取り上げられます。

18時半から、衆参議長主催のEU議員歓迎レセプション。20時半から、EU友好議員連盟の羽田会長主催で、少人数の懇親会。英語など外国語の歌をたくさん揃えたカラオケルームで、盛り上がりました。彼らも好きですね。



10月30日(火) EU会議、法務委、役員会、NC、爆テロ、EU大使

今日は、9時から日本・EU議員会議の2日目。しかし10時から、私は法務委員会へ。ワールドカップのフーリガン対策などのための出入国管理・難民認定法改正案の趣旨説明。日弁連の司法改革担当の皆さんと打ち合わせ。

日・EU会議に戻ったら、すぐに来客。コーポレートガバナンスにつき経済界からの要請を受けました。12時から常任役員会。テロ関連法案の本会議採決の際、衆議院では党議に反した議員が2人出ました。参議院では党議違反はありませんでしたが、欠席や棄権がありました。党議違反は、党として厳重注意の措置が決まりました。そこで参議院の会派として、欠席・棄権の扱いを協議しました。個人の意見を尊重しながら、集団としてのけじめをどうつけるか、難しい問題です。党議拘束を外す道は、選択していません。

ハンセン病の患者・元患者の皆さんが、内閣総理大臣と衆・参両院議長に謝罪広告を求めており、議員懇談会はこれを支援します。そこで民主党内で、衆・参の両国対委員長に側面支援をお願いしました。

15時から、NC会議。重度聴覚障害者の深田麗美さんと母親の美知子さんのご提言で、民主党が「テレビ字幕法案」をまとめたので、お2人の話を聞きました。補正予算、選挙制度、道路公団改革、爆弾テロ、証券税制につき中間報告。出入国管理法改正案、子育て支援法案につき、党議決定。

17時から、外務・安全保障・法務・内閣(警察)部門合同会議。「テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約」と関連法案の審議です。外務省と法務省から説明を聞き、質疑の後、部門会議としての態度を決めました。

18時、弾劾裁判所事務局と打ち合わせ。19時過ぎ、EU代表部大使公邸でのレセプションに出席しました。昨日のカラオケは、楽しんでいただけたようです。



10月31日(水) 総会、本会議、弾劾公判、評決、藤本さん、森林

今日は、9時から弾劾裁判所事務局と最終打ち合わせ。9時半、議員総会。テロ関連法案の本会議採決に際しての若干の足並みの乱れにつき、角田会長から、倫理規定上の措置についての説明がありました。参議院では、党議に反した行動はありませんでしたが、常任役員で欠席と棄権をした2人の扱いが報告されました。責任を感じて頂くだけでよいと思います。

10時から1時間半、本会議。人事案件の後、小泉首相のAPEC報告につき、柳田稔さんが質疑。司法制度改革推進法案につき、小川敏夫さんが質疑。高齢者に、任意で、公費でインフルエンザの予防接種を認める予防接種法改正案の採決。社民党の内4人だけが反対、他は全員賛成で、可決されました。

11時半から、参議院憲法調査会。幹事を決めました。次いで、幹事会。やっと正式にスタートです。

12時から、国対・理事合同会議。私は中座して、12時20分から、裁判官弾劾裁判所裁判員会議へ。12時半から、今日の公判につき合議。打ち合わせのとおり決定され、13時から第2回の公判手続きが始まりました。書証の取り調べの後、合議のため休廷。被訴追者本人尋問をして、再度休廷して合議。最後に、訴追委員会と弁護人の意見と本人の最終陳述を聞き、判決言渡期日を11月28日と指定して、審理を終結。その後、合議で全員が意見を言い、評決。終わったのは15時を回っていました。私は終始、主任裁判員の役割を果たしましたが、合議の秘密なのでそれ以上はお許し下さい。これから判決起案をし、全員の意見を集大成して判決を仕上げなければなりません。

15時半、和気町長で全国町村会副会長の藤本道生さんが、全国町村会を代表して、住民訴訟制度の改革の要請に来られました。藤本さんとは旧知の関係で、住民訴訟の実状をしっかり聞かせていただきました。16時から、法務省人権擁護局長。

17時から1時間弱、民主党森林環境政策議員懇談会の役員会。私は副会長です。小泉内閣の緊急雇用対策に、森林作業員の件がありますが、どうもインチキ臭いです。18時から、役員と森林労連の皆さんとの夕食会。


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