江田五月のやさしい政治講座 9 1994/03/01

ホーム主張目次目次前へ次へ


今週は内閣改造が焦点

 細川内閣は昨年秋の政治改革法案の衆議院通過以来、コメの部分開放、45日間の国会延長、予算の越年編成、政治改革法案の参議院での否決、トップ会談による逆転可決、国民福祉税構想、日米会談決裂、とまるでテレビの連続ドラマのように毎週ヤマ揚がやってくる展開となりました。

 そして今週の焦点は内閣改造です。細川さんは今週の政治改革修正法案の成立(3月4日頃?)をもって、政治改革政権としての細川内閣第一期に区切りをつけて、大幅な内閣改造を断行し、細川内閣第二期を経済改革政権と位置づけて再スタートさせたい考えです。

 連立与党内には早期改造に反対の意見も強く、内閣改造は容易ならざる状況になっています。たしかに予算成立後の改造の方が連立与党の結束の維持という点からは無難ですが、もしかしたら大きなターニングポイントになるかもしれない日米経済問題は待ってくれません。特に今求められているのは官僚主導ではない政治のリーダーシップですから、内閣総理大臣を中心とした内閣の求心力が低下することがあってはならないと思います。

 内閣改造問題は私自身も当事者の一人ですが、細川内閣の基盤強化につながるよう努力したいと思います。


横路北海道知事と会談

 2月23日夜、横路孝弘北海道知事と会談しました。赤坂プリンスホテルで1時間程話合ったのですが、ホテルの入口に大勢の記者のみなさんがいておかしいなと思って聞いたら細川さんが来ているとのこと。しかも翌日の新聞によれば、細川さんは日本新党の議員の人たちと会った上に、自民党の渡辺美智雄さんと会ったのではないか、ということで当のお二人が否定されているので何ともわかりませんが、偶然の接近遭遇だったというわけです。

 横路さんとは北海道のことも話しましたが、当然現在の政治情勢についても率直に意見交換・情報交換をしました。横路さんは細川内閣を支える車の両輪として新生党・公明党などの軸ともう一つ、連合や社会党・民社党さらにはさきがけや日本新党も加わった軸をつくって二つの軸で細川政権を支え、選挙は協力してやっていく考えで、私も同感です。

 自民党政治に完全に終止符を打つためには、来年4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙、そして新しい選挙制度のもとでの衆議院総選挙を、連立与党はできる限リ一本になってたたかう必要があると思います。

 政界再編をめぐって連立与党内にいろいろな意見があるのは事実ですが、何とかまとまって歴史的な構造改革をすすめていけるよう頑張りたいと思います。


政治 経済 永田町 の 今

■ブロック制の導入が日本を変える?!

 衆議院の新しい選挙制度では、トップ会談による修正で、比例代表の単位にブロック制が導入されることになりました。

 これは政治改革の原点となった90年の第8次選挙制度審議会の答申案と同じで、全国を11のブロックに分け、ブロックごとに比例名簿を提出し、ブロックごとに得票を集計して当選者を決めていくしくみです。北海道から9名、東北から16名、北関東(茨城・栃木・群馬・埼玉)から21名、東京から19名、南関東(千葉・神奈川・山梨)から23名、北陸・信越から13名、東海から23名、近畿から33名、中国から13名、四国から7名、九州から23名、合計200名の比例代表選出議員が誕生するわけですが(大半は小選挙区での敗者復活組になると思います)。

 初めての本格的なブロック単位の社会システムの登場で、いろいろな意味で日本の社会の構造を変えることになるかもしれません。

不況対策の処方箋 その7

 今回の複合不況には「マインド不況」と言われる要案がありました。さまざまなマイナス情報が、企業、投資家、消費者の心理に悪影響を与え、企業マインド・投資マインド・消費マインドを冷やし、事実設備投資や消費の低下につながったというわけです。

 これは現代日本のような高度情報化社会においては重要な要素だと思います。バブル時代には逆にバブルをあおる要案にもなったわけですが、この問題に対してはまず第一に正確な情報が流通し、チェックアンドバランスが機能する社会システムを確立することが必要です。その上で、すばやい変化への対応と、経済や社会の方向性をはっきりとしたビジョンとして示すことが重要です。

 何でも政治の役割にするのはどうかと思いますが、やはり政治の重要な仕事です。細川内閣はそのビジョンをまだ示しきれていませんが、構造改革の方向性はかなり見えてきたのではないでしょうか。

■科技庁予算獲得に奮闘

 2月15日、平域6年度予算が閣議決定されました。科技庁予算は一般会計で前年比6.0%増の4,636億円、特別会計も含めて4.1%増の6,052億円となりました。国全体の予算(一般会計)の伸び率が2.3%の中で、科学技術庁の予算は満足すべきものになったと思います。もちろん私自身にとっても予算折衝は初めての経験で、大蔵省との折衝、連立与党の科学技術チームのみなさんとの連絡、事務次官、官房長、はじめ庁内幹部のみなさんとの打ち合わせ、などに動きまわりました。

 科学技術予算については連立与党だけではなく、自民党議員のみなさんも応援してくれました。HIIロケットの成功もプラス効果があったと思いますが、基本的には21世紀へ向けて、科学技術の振興が日本の経済・社会のみならず、生活の豊かさ、国際貢献にとっても非常に重要であることが広く認識されてきたのだと思います。

■細川さんと武村さんの関係について

 今回の内閣改造問題で細川さんと武村さんの関係がクローズアップされています。

 もともと細川内閣は昨年7月の総選挙後に、細川さんと武村さんが提案した「政治改革政権の提唱」に各党が応じて、成立したものです。従って細川さんと武村さんの関係は連立政権にとってきわめて重要かつ本質的なものだと思います。

 しかし1月29日の政治改革法案成立の直後から第二次政界再編成の動きがはじまり、とくに武村さんにとって新党さきがけの党首としての立場と、総理大臣の補佐役としての官房長官の立場に矛盾が生じてきているのも事実だと思います。

 私としては連立政権にとってきわめて重要な細川さんと武村さんの関係は何としても大切にしてほしい。たとえ総理大臣と官房長官という関係が無理な場合でも、細川さんと武村さんのパートナーシップが確立されるよう私も努力していきたいと思います。


科学技術庁情報

「原子力長計」に3301通の意見書

 前回ふれた「原子力開発利用長期計画」の見直し改定作業の一環として、3月4日・5日に開く「ご意見をきく会」に寄せられた意見書が3,301通になりました。数が予想以上であることの上に、400字という制限された字数にもかかわらず、推進の意見も批判意見もステレオタイブでなく非常に真面目なものが多く、科技庁の担当者も驚いていました。

 「ご意見をきく会」のすすめ方を相談した先生方も、手分けして意見書を読んでいただいたということで、形式的でない実質的な意味のある「ご意見をきく会」になると思います。寄せられた意見書はそのままにすることなく、きちんと記録され、いろいろな形で生かされることになると思います。原子力政策に対する疑問や批判を整理して集大成した「原子力Q&A白書」のようなものを発行することも考えられるのではないかと思います。

「むつ」と「ADEOS−II」が復活

 平成6年度予算折衝で最後の大臣折衝に残されたものが3つありました。創造的・基礎的研究の充実強化のための科学技術振興調整費の拡充、科学技術による国際社会への貢献・地球環境問題への取り組みのための環境観測技術衛星ADEOS-II、同じく大型海洋観測船の3つです。

 ADEOS-IIは平成10年冬にH-IIロケット7号機で打上げ予定の衛星で、環境庁やアメリカやフランスのセンサーもつみこむことになっています。大型海洋観測船は、原子力船「むつ」の復活です。原子力船「むつ」は社会的混乱の中で任務を終了し、原子炉を廃炉にすることになっていますが、8,000トンクラスの舶体を生かして改造し、世界一の大きさの大型海洋観測船として甦らせようというものです。青森の地元のみなさんの熱い期待にも応えて、「むつ」が復活することは大きな意義があると思います。


やさしい政治講座 9 1994/03/01

ホーム主張目次目次前へ次へ