江田五月のやさしい政治講座 7 1994/01/10

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お詫び=只今、時局が急激に動いており、お知らせが不可能な状態にありますので、今週末にまとめ上げ、1/31午後にはお伝え致しますのでご容赦ください。

年が変わって流れが変わったか

 94年は「再編成・構造改革」の年。その第一関門である政治改革法案の成立は、昨年末まではなかなか容易ならぬ情勢で、正直言って成立の可能性は6割、解散総選挙や内閣総辞職の可能性もあり得るという展開でした。

 連立与党は悲壮な決意で、正月4日には各党がそれぞれ議員総会を開いて政治改革実現の決意を固め、5日からの委員会審議に備えました(もちろん私は科技庁長官として4日の午前10時30分の職員のみなさんへの年頭挨拶から公務開始です)。

 5日の参議院政治改革特別委員会は自民党の欠席戦術にもかかわらず連立与党と共産党と二院クラブで審議を行ないましたが、この辺から流れが変わってきたようです。連立与党の結束も固く、経済4団体の首脳の政治改革早期成立発言もあって、さすがの自民党も成立を前提とした修正論議に傾いてきた感じです。

 現段階(1月9日)では1月20日頃にはいよいよ歴史的な法案成立か、というところですが、しかしまだまだ楽観はできません。小幅修正で可決成立(自民党再分裂コース)、大幅修正で可決成立(社会党分裂コース)と、波乱必至の展開ですが、10日以降私自身も汗をかいて、何としても政治改革法案の成立にこぎつけたいと思います。


「新党」あるいは「新・新党」に先駆的役割を果たす

 私たち社民連は1月6日に全国運営委員会を開いて、来るべき政界再編成に積極的に対応するために3つの政治指針を決めました。

 それは (1)細川連立政権の維持・発展に全力投球 (2)新しい政党は古いイデオロギーを乗り越えた新しい政治理念で (3)社民連は「新党結成の先駆的役割を果たす」ことを前提にあらゆる行動を推進する、の3点です。

 新聞などでは、1月中にも社民連解党へ、などと報道されたのですが、そこまでまだ決めたわけではありません。しかし1月20日頃にも政治改革法案が成立すれば、政界再編成はまさに「待ったなし」ですから、社民連は文字通り「新党」あるいは「新・新党」結成のために先駆的役割を果たさなければなりません。

 従って1月20日頃にはもう一度全国運営委員会などを開いて政治方針を確認することになっています。「新党」あるいは「新・新党」の構想には、連立与党を一本化する[連立新党論やさきがけ日本新党とデモクラッツなどを中心とした「リベラル新党(日本民主党)」論などがありますが、いずれにしても新しい選挙制度のもとでの最初の選挙は「連立与党」VS自民党のたたかい(すなわち55年体制VS95年体制のたたかい)になるのではないかと思います。


政治 経済 永田町 の 今

■女性の政治参加と少数意見の尊重について

 選挙制度の改革の中で、とくに小選挙区制の導入について、女性の政治参加が困難になる、少数意見が排除される、という危惧があるようです。

 国会でも議論になりました。もちろん比例代表制でカバーできるということですが、それ以上に進めることもできると思います。

 今回の制度改革の最大のポイントは個人本位から政党本位の制度になるということですから、問題は政党のあり方です。私はたとえば少数意見の尊重は必ずしも小政党の存在だけが大切ではなく、大きな政党の中で少数意見を尊重することも重要だと思います。

 また、大きな政党が女性の政治参加を推進するという自己ルールをもつことが必要です。私たちがつくる「新党」あるいは「新・新党」はそういう政党にしなければならないと思います。

不況対策の処方箋 その5

 今回は「政策不況」への処方箋です。今回の不況は在来型でない全く新しいタイブの複合不況ですから、過去の経験別に頼りがちの大蔵省、通産省、経済企画庁などの政策や見通しは大はずれでした。政治の方も行政に対するリーダーシップが弱く、とくに大蔵省に対してはリーダーシップどころではない状態です。

 そこで政治の行政に対するリーダーシップ確立のために行政における政治家のポストを大幅にふやす、いわゆる小沢構想(一種の政治的任命制度)や今回の通産省の局長更迭問題などが起るわけですが、政治の過剰な優位も三権分立に反することになります。従って当面は内閣機能の強化、中央省庁のリストラ、行政手続法(成立)と情報公開法による行政の透明性確保、規制緩和、公共投資配分比率の見直し、地方分権、などを細川内閣の基盤を強化していくことによって実現していくことが重要だと思います。

■1月に五月・六月対談

 1月6日(日)に地元岡山のテレビ番組で加藤六月衆議院議員と1時間の対談をすることになりました。五月・六月対談というわけです。加藤六月さんといえば私の隣の選挙区の岡山2区で当選10回の大物議員で、昨年の7月に自民党を離党して、現在は無所属として、「新生党・改革連合」の会派に所属し、いわば連立与党の仲間ということになります。

 自民党時代の加藤さんは農水相、政調会長などの要職を歴任した実力者。私たちから見れば批判すべき自民党の中心人物だったわけです。その加藤さんと連立与党の仲間としてテレビで対談というわけですから、政界再編大積極論者である私としても、ちょっと信じられないような展開となりました。地元の視聴者のみなさんも驚かれるかもしれませんが、連立政権とはこういうものだと腹を固めておもしろく実のある対談にしたいものだと思っています。

細川・赤松・江田、3人の百人一首

 福岡県大牟田市の三池カルタ記念館が春の企画で「百人一首」展をやるので、細川さんと赤松さん(文相)と江田さんに、自分の好きな百人一首を葉書に書いてほしい、という依頼が親友の江橋崇法大教授(憲法学)からクリスマスイブにやって来ました。聞けば彼はこのカルタ記念館の運営委員で、春の企画の監修者であるとのこと。

 年末に細川さんと赤松さんにお願いすると快諾をいただき、1月5日には葉書が3枚そろいました。細川さんは「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」、赤松さんは「たき乃音はたえて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞えけれ」、私は「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」。細川さんは解散に言及し、私のは八党派が一つふえて(「改革の会」)九党派になったことをうたったものだ、とは江橋教授の迷解説です?


科学技術庁情報

H−IIロケットいよいよカウントダウン

 94年は科学技術庁にはビックニュースが多い年ですが、最初のビックイベントが2月1日に種子島宇宙センターで打上げ予定のH−IIロケットです。

 H−IIロケットは静止軌道(赤道の真上、高度3万5786km、地球の自転速度と同じになるので衛星が静止して見える)に2トン級の人工衛星を打上げる世界的水準の能力をもつロケットで、アメリカのタイタン、欧州のアリアンなどと同等のものです。第一段にLE−7、第2段にLE−5Aとよばれる液体酸素・液体水素エンジンを使うなど、100%純国産のロケットです。日本版スペースシャトルであるHOPE(無人有翼往還機)もこのH−IIで打上げる予定ですし、商業用衛星打上げも行うことになっています。国会日程が許せば、私も種子島に行って打上げ現場に参加したいと思っています(成功確率は95〜100%のようです。)

「農業」「雇用」対策本部に手を上げる

 科学技術庁長官は所管の科学技術行政の責任者であると同時に原子力委員長、宇宙開発委員長でもあります。また政府の科学技術会議や安全保障会議のメンバー、放射能対策本部の本部長でもあります。もちろん閣議のメンバーであり、連立与党の党首の一人として政府与党連絡会議のメンバーでもあります(政府与党首脳会議のメンバーではない)。

 これだけでも十分忙しいのですが、年末年始にかけてできた政府の「緊急農業農村対策本部」と「緊急雇用対策本部」のメンバーに、長官官房とも相談の上、積極的に手を上げて加わることになりました。いずれも当初は科学技術庁長官はメンバーに入っていなかったのですが、いずれも科学技術の発展による新分野の研究開発が重要だと主張して参加しました。私の気持ちだけでなく科技庁職員のみなさんの積極性の表われで、今年の科技庁は元気印でいけると思います。


やさしい政治講座 7 1994/01/10

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