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発禁原稿

会長の「ひとりごと」のとおり、弁護士会の「地域司法計画」の前文から、岡山県民の県民性についての部分が削除されました。(予定稿が、会の全員協議会で配布されたのですが、そのあと「やめとけ」というご意見が殺到したらしいのです。私は面白いと思ったんですけどね。)

さて、今回はこのモンダイの原稿の、その中でも最もモンダイだと思われるくだりを、ご紹介してしまいます。なんといっても、

1、このコラムの内容が弁護士会の意見と一致しないこともあることは、読者の皆さんもよくご存知だと思いますし、

2、「自己を客観化する」ということは、自己批判の出発点であると同時に、ギャグの原点でもあるわけですから。

『近世初期の「人国記」では・・・備前人は「上下トモ利根ノ故ニ、利根ヲ先トシテ万事執行フ」とあり、備前人は理論で万事を取り仕切ろうとすると見られていた。次に備中人は「意地強ク、侍ヲ初トシテ百姓男女マデモ勇気ノ義理ヲハゲマス心常ニアリ」と意地っ張りの一徹者とされ、美作人に至っては「百人ガ九十人ハ万事ノ作法卑劣ニシテ欲心強ク、…片意地強ク我ハ人ニマサラン事ヲ思ヒ」と散々な評価を受けていた。』

『・・・朝日新聞社「新人国記」(1983年)によれば、以下のような岡山県出身著名人の評価がある。

まず、法然、栄西などの多くの宗教家を輩出した岡山県の特徴は、葉上照澄比叡山延暦寺長臈(和気町出身)によれば、「宗教は厳しい自然の中で生まれるが、岡山は違うな。欲の皮が突っ張っているやつが多くて、その反動で宗教家が出る」とされている。・・・

・・・また、芥川賞作家の吉行淳之介(岡山市出身)は「九州あたりだと、芥川賞作家が出たら、町ぐるみで祝うらしいね」と言う。この吉行の言を記者は「うらやましがった風ではない。何をして暮らしても良い。が、人は頼らぬ、頼ってくるな、の国柄を表す一例だ。」と評価する。・・・

・・・「お国自慢の一つは、岡山駅が全国有数の鉄道分岐点であること。新幹線、山陽線、津山線、吉備線、伯備線、宇野線、赤穂線と指を折って、どうだ、という顔にいくつも会った。昔から陸路、海路に恵まれて、産物の集散地だった。新しいものを受け入れ、こなす才覚が自然と備わった。」

・・・「岡山人に岡山人を語らせると、二時間はしゃべるよ、と岡山人から聞いた。それほどではなかったが、多くの人たちが問わず語りに話した。総じて批判調。いわく、理屈っぽい。それも理屈の上に「小」がつく、などと。ただしその底に、ある種の自負が込められているのもうかがえた。」・・・』 

注1 まあ、たしかに、外部向けの公刊物の中で、自分から吹聴するほどのことじゃないかもしれませんけどね。

注2 ふと気になったので急いで申し上げておきますが、原文の筆者は私ではありません。

注3 原文筆者の名誉のために申し上げておきますと、彼は(私が引用しなかった部分で)岡山の県民性を弁護するために涙ぐましい努力をしています。

(2001/04/30)


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