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3月2日,日弁連は,福岡地検の捜査情報漏洩事件について会長談話を発表しました。内容は,最高検・最高裁に対して,早急に厳正な調査をしてその結果を公表するよう求める,というものです。

なぜ今ごろになってこんな談話なのでしょう? ひと月前に出せたはずなのに。

聞くところによると,経過はこうです。
3月2日に行われた日弁連の理事会では,この事件に対する対応は議題としてとりあげられていませんでした。理事の間から,そのことについて疑問が出されました。昼食休憩のあと理事会が再開されると,執行部は「談話」の文章を配って,「さきほどこのとおりの会長談話を発表した」と報告しました。(慣例上,「会長声明」は理事会で審議したうえで出すことになっていますが,「会長談話」だと,ただ理事会に報告するだけでよいのです。)

一部の理事から談話の内容について意見が出されましたが,執行部は「もう発表したから」と言って押し切った,ということです。

この日の理事会では,司法制度改革審議会での,福岡事件についての最高裁・法務省の「説明」についても報告がされました。いわく,「最高裁は『現在調査中であり結果を審議会に報告する。』法務省は『現在捜査中であり結果を審議会に報告する。』とのことであった。日弁連としては,結果の報告を待って今後の対応を考える」のだそうです。

私は,「会長談話」の内容に不満です。
事件が弁護士全体の信用に影響していることを言っていません。最高検・最高裁に「求める」だけで,弁護士として弁護士会としてどうするのかを言っていません。情報もらしが組織的にされたことを言っていません。検察庁・裁判所の人事交流が問題の背景にあることを言っていません。身内だけの調査では問題があることを言っていません。調査のスタンスに問題があることを言っていません。

私は,「会長談話」の出かたにも不満です。
理事会にはからない「談話」なら,事件の直後にでも出せました。いままで何もしなかった理由について,一般会員には一言の説明もありません。理事会の当日に,理事会に全然はからないで「談話」で発表するというのはどういうことでしょう。執行部は,この問題を理事会で審議されたくないのでしょうか。会員の不満が強くなってきたから,談話だけ出してお茶を濁そうということなのですか?
日弁連はいつからこのような茶番劇をやるようになったのですか?

私は,日弁連執行部の,司法制度改革審議会でのこの問題の扱い方にも不満です。
最高裁・法務省の「結果報告」が出るのをお利口して待っているだけなのですか?問題の根っこの部分についての討論なら,今すぐにでもできるのではないのですか?最高裁・法務省のご高説を拝聴するだけの司法改革なのですか?

日弁連執行部に申し上げたい。日弁連の会員は,内輪のゴタゴタを見られるのを恥と考えて,不満のうちにも沈黙を守る温厚の君子ばかりではありません。あまりナメてもらいますまい。

(2001/03/07)


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