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「子ども有害情報」規制法律案について

民主党のHPで「子ども有害情報」規制法律案の骨子を拝見しました。いささかショックでした。それで、次のような意見を送りました。少々興奮していたもので、今見るとだいぶ筆が走りすぎていますが、意見そのものは、基本的に変わりありません。皆さんも、お考え下さい。

私には、この法律案は、正気のさたとは思われません。

  1. 行政機関による規制ではなく,「保護者と地域の大人」を責任主体にすることによって、表現の自由との調和が図られるとお考えのようですが、それは間違っています。

    確かに、熱心すぎるお役人は、表現の自由の大敵ですが、熱心すぎるボランティアはそれよりはるかに悪質な敵になりえます。「お墨付き」をもらったボランティアが熱心すぎるとどんなことになるのか、かつての中国の紅衛兵の例をみればわかるはずです。

    骨子を読みますと、国や地方公共団体は「大人」たちを支援する義務があることになっています。ということは、警察も含まれるということでしょう。こともあろうに、警察を後ろ盾にしたボランティアとは!「責任主体」としてこれ以上不都合なものは、私には考えられません。

  2. 「有害情報」の氾濫と最近の少年犯罪の凶悪化が関係があるとお考えで、それがこの立法案の動機になっているようにお見受けします。しかし、その関係は実証されていません。逆に、少年犯罪の現場に近い私の経験からいえば、それらの間には関係があるとは全く思えないのです。

    法律は、できたその瞬間から一人歩きをはじめるのです。ただの「思い」だけをもとにして、このような重大な立法をしてほしくないのです。あの「暴騒音規制条例」のことを忘れないでいただきたいのです。

  3. そもそも、立法にあたっての発想自体、子どもをナメておられるとしか思えません。30年前、私は片田舎の高校生でしたが、それでもいったん「決意」すればその種の「有害情報」を入手するのはごく容易でした。いまや社会は高度に情報化されていて、しかも子どもたちは30年前の私達よりはるかに多額の現金をもっています。彼らを「有害」な情報から遠ざけておけると、正気で信じていらっしゃるのですか?

    「有効な規制」がされれば、「有害情報」はなくなりはしません。地下にもぐるだけです。そして、それをほしがる子どもを、地下にちかいポジションにおいやるだけです。それが正しいありかただと、本気で考えていらっしゃるのですか?

    そのお考えは間違っています。彼らはあなた方が考えておられるよりもずっとクールで、ずっと事情に通じていて、そして心配しておられるよりは健全です。そういう認識にたって、この立法案について全面的に考え直してくださるようお願いします。

(2001/02/04)


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