河田英正の主張

戻る目次


2003/06/04 弁護士報酬保険制度は?

弁護士報酬に間して保険が発達しているのはヨーロッパ諸国です。特にドイツでもっとも普及しているのではないかと思います。保険制度ですから当然に保険料の支払いが必要です。保険料はあまり高額ではないので、普及率は高いと思われます。しかし、国民の6割以上の人が法律扶助の制度が適用となって、経済的理由による司法へのアクセス障害をなくしています。この点で圧倒的に世界水準に比し劣っている我が国では、まずは法律扶助制度の充実が必要でしょう。保険制度は、法律扶助の適用のない中産階級の人向きの制度です。しかも、敗訴者負担となる部分については保険の適用はありません。

こうしてみると、敗訴者負担制度は、基本的に国民が司法へのアクセスを阻害するものとしてしか作用していません。司法によって公正な社会を実現していくために、誰もが司法に容易にアクセスできる制度にすることが必要です。司法改革審議会報告書も司法へのアクセス障害にならないよう敗訴者負担導入にあたっては十分に検討しなければならないとされているにも関わらず、司法改革推進本部司法アクセス検討会では、アクセス障害となるか否かについて論議することなく、導入を原則としてその負担金額などについて審議を強行しています。国民の声など審議の場面では話題にすることさえ許さない状況です。

このような状況であるからこそ、この論議が国民の見える国会では十分に審議を尽くしていただき、国民の司法アクセス権に支障のない制度になるよう議員に期待するわけです。


河田英正の主張

戻る目次