河田英正の主張

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2001/12/09 「きよしこの夜」に

ゆっくりとそして荘厳に流れる「きよしこの夜」の背景に悲惨なベトナム戦争の戦況を伝えるニュースが流れる。70年代に発売されたサイモンとガーファンクルの「7時のニュース」である。今年のきよしこの夜には,世界で最も富める国の最新・最強の武器で貧しく不毛の土地に住む人々の多くの命と生活が奪われているニュースが流れている。正義の名の下に繰り返される戦争の歴史である。国内では,皇族の一つの命の誕生に沸き上がった。一方では,生涯戦争しか知らない死んでいく人々,幼い子供たちが飢えと寒さで死んでいる現実がある。かけがえのないはずの命の様々な形である。

「きよしこの夜」が流される季節,何もできないでいることが激しく責められる。半世紀以上も,武力を行使しないことを守り続けてきた日本は,簡単に武装された自衛隊を海外に派遣してしまった。「人を殺してはいけない」との最も単純なメッセージをどこかであげ続けていくこと,わずかでもなんらかの現実的な援助に参加することなどは個人ですぐにでもできそうである。小さな行動が大きな世論を作り上げることができる。

私の日常業務のなかでは,年末を迎えて経済的に破綻に陥った家庭からの相談が増えている。平成元年に約1万件だった破産宣告申立件数は今年は16万件を超えようとしている。経済問題がからんでの離婚や相続関係の紛争の相談も増えている。こうした,経済環境を悪用した金融取引関係の相談の増加も目立つ。殺伐とした時代を迎えている。江田議員の日常の議員活動が誠実にそして問題意識をもって伝えられているこの掲示板にもそうした社会のいらだちが外に向かってストレートに発散されてしまっている書き込みが増えているように思える。残念ながら私たちが選んだ政権が政策を実現している。これを変えていくには,意見の違いを罵倒するだけでなく,私たちが動くしかない。この貴重な掲示板がこれからもそうしたエネルギーを与えてくれるものであって欲しい。


河田英正の主張

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