河田英正の主張

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2001/01/18 それでも君たちと未来を

先日,県北の普通科高校に「社会人講師活用事業」の一環として現代のクレジット社会に生きるための力をつける目的で,教壇にたった。60分の3年生の2クラス合同授業で,あらかじめ先生からは「生徒たちは長時間のがまんができない,静かにしておくことが苦手だ」などと言われていた。しかしほとんど私語はなく,なかには居眠りをする子もいたが,概して真剣に聞いていた。メモを取りながら熱心に聞いている子もいた。どの子もまだ幼さを残したまなざしで,髪を染めている子もどこかまだかわいさをおぼえた。

この子たちが,あと数ヶ月で大人の「生き馬の目を抜く」厳しい社会に巣立っていく。しかし,わずか60分で大人の社会を生き抜くことのできる術を伝えることのできる話などできるわけがない。目の前の子供たちが,生きていて良かったと実感できる社会であって欲しいと願うばかりであった。

少々,若者たちが脱線することがあるのは,当然のような気がする。若者の特質として,連日報道されている政治の腐敗,経済・社会の不安定な実態をみれば。

それでも,私たち大人は未来を生きる君たちとともにこの社会に生きていかなければならない。心の中で「負けるなよ」と願いながら話した。教育の必要性と重要性を考えた私にとっって新鮮な1コマであった。


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