2000年12月21日 戻るホーム民主党文書目次

『地域から、政府を代えよう』
第19回参議院議員通常選挙政策(草案)

民主党ネクスト・キャビネット

― 民主党は実現します ―

いよいよ21世紀を迎えました。20世紀は戦争と対立の世紀と言われましたが、この新しい21世紀こそ市民が平和に暮らし、自立と共生、ゆとりと豊かさの中で人々の個性と活力が生かされる社会を築き上げる、「創造の世紀」とすることが人類共通の課題ではないでしょうか。

そのためにも、私たちは自分たちの世代、親たちの世代、子どもたちの世代、祖父母や孫たちの世代の営みを確かなものとし、「戦後」に終止符を打ち、日本という国のかたちを正しい姿へと変えていかなくてはなりません。

民主党は、自民党的政治が約50年かけて培った、中央集権、利権構造というよどみを解消し、透明・公平・公正なルールにもとづき、「市民・市場・地方」の三つの視点に根ざした新しい政策路線の確立をめざします。

民主党は、21世紀において、国民と共に、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」という憲法の基本精神をさらに具現化し、発展させることをめざします。

私たちはそのために、2001年に実施される第19回参議院議員通常選挙において、国民に自民党政治の終焉と新しい政治の創造を訴え、力いっぱいたたかう中で参議院における自民党を中心とした政治勢力を過半数割れに追い込み、衆議院の早期解散・総選挙実施の中で政権を国民の手に取り戻します。

民主党がめざすもの、それは自立と共生にもとづく、市民が主役の社会です。47都道府県それぞれの地域から発議し、政府を代えましょう。



― 目  次 ―


民主党は提案します。――日本を変える6本の柱

- 第1の柱―分権改革
- 第2の柱―公共事業改革
- 第3の柱―社会保障改革
- 第4の柱―学校改革
- 第5の柱―財政構造改革
- 第6の柱―IT革命


民主党と市民の共同事業――21の重点政策

1. 子育て支援
2. 男女共同参画
3. 生涯教育
4. 人権保障
5. バリアフリー
6. NPO
7. 金融システム改革
8. 経済・産業
9. 雇用・労働
10. 消費者政策
11. 農林水
12. 環境
13. エネルギー
14. 社会資本整備
15. 外交・安全保障
16. 警察改革・犯罪対策
17. 司法制度改革
18. 税制改革
19. 行政改革
20. 行政監視
21. 政治改革

民主党は提案します。――日本を変える6本の柱

私たちは、20世紀後半に積みかさねた「豊さ」の一方で、漠然とした、しかし、強烈な「不安」の中に生きています。21世紀を「創造の世紀」とするためには、この「不安」を解消することが不可欠です。

「不安」の第1は、老後の不安です。年金・医療・介護という老後を支える三本柱が、不十分なだけでなく、少子高齢社会の到来で、その根本が揺らいでいます。

第2の「不安」は財政です。国と地方を合わせて七百兆円にも達しようという財政赤字は、いずれ、私たち納税者の負担として跳ね返ってきます。老後の不安も、高齢社会を支えるべき国家財政が破綻するのではないか、という財政の不安によって、ますます高まることになります。

第3の「不安」は経済・雇用です。バブル崩壊から10年。国家財政を破綻の縁に追いやりながら、「過去最大」の景気対策を繰り返しても、経済は立ち直りません。もはや、失業・倒産は、一部の人の問題ではなく、すべての国民を不安にさせています。

経済の不安も、その根本原因は、老後と財政にあります。老後を国に頼ることができない。将来の増税がちらついている。だからこそ、国民の財布の紐が固く締まり、個人消費を冷え込ませているのです。経済の不安を解消するためには、老後の不安と財政の不安を小さくする以外にありません。

私たちは、こうした不安を解消するために、六つの提案をします。老後の不安と財政の不安を解消するための「社会保障改革」と「財政構造改革」。財政を立て直すための中心となるべき「公共事業改革」。こうした不安を小さくした上で、経済の未来を切り拓く「IT革命」。そして、未来を担う子どもたちを育てる「学校改革」と、これらの改革をすすめていくために不可欠な「分権改革」です。

これらの改革は、それぞれ独立したものではありません。全体が相互に補完しあって、老後、財政、経済・雇用の不安を解消し、未来への希望を創り出すものです。
私たちは、一日も早く民主党を機軸とした政権をつくり、六つの提案を実現に移すことを、すべての国民に約束します。

第1の柱―分権改革

地域のエネルギーを再興します。

 ゆきすぎた中央集権体制は、全国のあらゆる自治体に画一的行政を強い、地域の自主性を奪ってきました。中央政府が権限と財源の多くを握りしめているために、地方は中央からコントロールされ、地域が本来もっているエネルギーを枯渇させてきました。
 民主党は、もう一度地域のエネルギーを再興するために、権限と財源を地方へ移譲し、自治体と地域に根ざして生活している住民が、権限と責任をもち、自ら決定できるよう大胆な地方分権をすすめます。住民に身近なサービスは基本的に全て市町村が行い、現在の都道府県では対応できない課題については、都道府県を道州として広域的な行政主体に再編成します。中央政府は、外交・防衛・通貨制度など、国家として共通性が求められる役割のみを担うこととし、地域のニーズと時代の変化に対応できるスリムな組織に転換します。
 ただし、現行制度から道州制へのいきなりの転換は現実的ではなく無理も生じます。そこで民主党は以下に掲げる段階を踏みながら、その実現を着実に図ります。
  1. 補助金は「一括交付金」に改革します。
     〜地域のことは、地域で決める〜


     先ず、第1段階として、現行の都道府県・市町村の二層制の自治制度を前提として、国と地方の役割分担を見直します。この見直しに伴って、本来は国ではなく地方で担うべき事業に対して支出されている補助金の大部分については、使途の限定されない「一括交付金」に改革します。例えば、1号線から58号線以外の国道、農業農村整備事業、都市計画事業、さらには義務教育費、福祉関係費などに関する補助金・負担金などは、省庁の枠を超えて一括化し、自治体に交付します。
     この改革により、今までのように細かく制限・限定されていた縦割りの事業ではなく、自治体が必要な事業を効率的かつ的確に行うことができるようになります。


  2. 所得税の一定割合を地域の税源へ移します。
     〜地域のことは、地域で責任をもつ〜


     次に、第2段階として、所得税の一定割合を、住民が暮らしている自治体の自主税源へと移譲し、自治体の判断で必要な事業を選択できる前提となる財源確保が行えるように改革します。
     現在、国と地方の仕事量は、おおよそ1:2となっていますが、税収の比率はおおよそ2:1と逆転しています。この税源移譲により、税収比率を1:1とし地方の自主税源を増やすとともに、このことにより、住民が暮らしている自治体から受けるサービスと、自治体へ支払う税負担の関係を明確にします。
     自治体間の財政調整制度は、税源移譲による不交付団体(交付税の交付を受けないで済む団体)の増加を前提に、規模を縮小します。さらに現在の複雑な地方交付税制度を簡素・透明を基本として、自治体の自助努力を反映できるシステムに改めた上で、真に支援の必要な自治体に限り、適切な財政調整を継続します。そして最終的には「一括交付金」を含めた新たな財政調整制度を創設します。


  3. 市町村合併、コミュニティ創生を行います。
     〜地域の力を強くする〜


     第1段階、第2段階の改革を行うことと並行して、市町村合併とコミュニティ創生のための施策をすすめます。補助金を一括交付金化し、国から地方へ税源を移譲することにより、基礎自治体である市町村の役割は今よりさらに重要なものとなり、それに見あった規模や態勢が必要となります。市町村合併を強制するのではなく、適切な情報公開のもと、住民自ら自治体の規模を判断し、決定できるような仕組みを住民と共に創り出していきます。民主党が法案を提出している住民投票制度もその一つの有効な手段として積極的に活用していきます。
     しかし、市町村合併だけでは、地域に暮らす住民にとって本当の分権とは言えません。身近な行政については、さらに住民の意見を反映できるよう住民参加を促進するとともに、地域コミュニティを創生し、地域のさまざまな課題に対して、行政とコミュニティが協力しながら解決を図れるようにします。


  4. 将来的に道州制を導入します。
     〜分権連邦型国家へ「国のかたち」を変える〜


     以上の改革を行った後、第3段階として道州制の導入を行い、国のかたちを分権連邦型国家へと変えます。道州制の導入については、先ずその段階で改めて国と地方の役割分担を見直します。例えば、原則として全ての公共事業は地方の事業に移管します。各都道府県では対応できない問題については、一定ブロックごとに都府県知事、都府県議会議員からなる委員会を構成し、都道府県の枠を越えた広域的な政策策定・調整を行います。これに伴い、税財源の配分を共同税などの導入も含めて、抜本的に改革します。以上のような過程を経た後、道州制を導入し最終的には道州内の有権者が、道州議会の議員や道州の知事を直接選挙で選出し、それぞれの道州を運営していくことをめざします。
    コミュニティの集合体として身近な行政サービスを行う市町村、市町村では対応することができない広域的な政策策定・調整を行う道州、外交など国家としての統一的事項を担う中央政府、それぞれの役割を責任をもって果たす国のかたちに大きく転換します。

第2の柱―公共事業改革

国民の税金を食いものにする公共事業の癒着構造にメスを入れます。

 国民生活の利便性向上や国際競争力ある産業構造の構築のために、社会インフラの整備は今後も欠かすことはできません。しかし現在の公共事業には費用対効果分析の視点や他の予算とのバランスが著しく欠如しています。景気対策という美名の下で高コスト体質、利権体質、談合体質が温存され、ムダなものも多く、莫大な財政赤字の温床となっています。民主党は、抜本的な公共事業改革を断行することによって、国民にとって本当に必要なインフラ整備を効果的に行い、削減分を財政再建や社会保障の充実、雇用対策などに充当して財政構造改革を推進します。
  1. 5年で3割の公共事業費を削減します。 
     〜量的削減こそが公共事業改革の第1歩〜


    日本の公共投資額は対GDP比で約6%なのに対し、他の先進国はほぼ2〜4%の水準です。しかも日本の公共投資額は社会保障費(公費負担分)の約2倍ですが、他の先進国では社会保障費の約半分にすぎません。また、日本の公共事業は談合などによる高コスト体質で、ムダも多く、景気対策という名目で常に“アクセル全開”の状態です。
    民主党は、談合体質を根絶させることによるコスト削減、二重投資や無駄な公共事業のカット、PFI(民間資金活用)の積極的な導入などによって、必要な社会インフラ整備の量を維持しつつ、5年で3割の公共事業費を削減します。


  2. コンクリートダムから緑のダムへ。
    〜計画中・建設中のダムを一旦すべて凍結、見直し。〜


    森林のもつ保水機能や土砂流出防止機能に着目し、森林の再生、つまり緑のダム化を進めることによって、コンクリートのダムにできる限り頼らない治水対策を確立します。そのため、現在計画中または建設中のダムについては、これを一旦すべて凍結し、2年間をメドにその必要性の再検討を行います。
    また林業従事者への直接払い政策(デカップリング)を導入することで、現在荒廃状態にある人工林の間伐・植林を積極的に推進し、中山間地域における新たな雇用を創出します。切り出された間伐材は、建材としての活用や木質バイオマス発電への利用などに用い、有効活用を図ります。


  3. 地域が計画を定め、独自に執行できる仕組みに変えます。
     〜国の関与を大幅に限定〜


    現在は、地域の個別の公共事業計画にまで、国が金を出す代わりに口まで出します。中央官庁にとって都合の良い事業の実施、国へのおつきあいだけで自治体は財源がなくなり、単独でやりたい事業の多くは手つかずのままです。民主党は、公共事業にかかる補助金を一本化するとともに、他の分野も含め使途に制限のない「一括交付金」の形で自治体に交付します。これにより国が口をはさまず、地域が主体的に公共事業を推し進めることのできる環境をつくります。国が直接的に行う公共事業は、例えば国道1〜58号線の整備、複数の府県をまたがる河川、主要な空港・港湾、森林整備などに限定し、それ以外は地方に任せます。さらに将来はすべて地方が行うように変えていきます。箇所づけや優先順位も自治体が独自に決めることができるようになります。


  4. 道路特定財源制度を廃止します。
     〜公共事業の縦割り固定予算を廃止〜


    現在、公共事業の予算面での裏づけは、分野ごとに分けられた16本の中長期計画で担保されています。つまり道路・空港・河川・公園・下水道・治山・住宅などの計画が別々にあり、予算もそれぞれに存在しています。したがって鉄道や道路、空港整備を交通体系の見地から総合的に考えたり、治山・治水を一体とみなして事業を行う視点が全く欠落していますし、行政は予算を使い切ることしか頭にありません。
    このような弊害をなくすため、計画ごとの予算枠をなくし、公共事業全体でひとつの予算として、異なる役所によって行われる二重投資をなくし、かつ総合的な見地に立った公共事業の執行体制を確立します。当然、道路に特化されている特定財源制度は廃止し、税制のあり方としての抜本改革も含め再検討します。


  5. 農業再生のための事業に大転換します。
     〜政官業の癒着構造を打ち破る〜


     多くの農家のみなさんが減反に苦しむ中、新たに農地を造成しようとする「土地改良事業」など農業土木の多くは、時代に逆行した無駄な事業と言わざるをえません。このように農業関係には無駄や非効率が目立ちます。その理由は、農業関係の公共事業の目的が農業の再生にあるのではなく、関係業者や官僚が天下りした公益法人を救うことにあり、さらには自民党の選挙基盤であるこの組織を維持することにあるからです。
    民主党は公共事業そのものの改革と同時に、官僚の天下り、公益法人制度などを抜本的に改めます。そして、農業関係の公共事業を、税金を使った自民党の選挙維持システムから真剣に農業に取り組む人にとって本当に役に立つものへと変えていきます。


  6. 建設国債を廃止します。
     〜野放図な公共事業の拡大を阻止〜


    国の借金である「国債」の発行は、財政法の規定によって原則的に禁止されていますが、公共事業の財源調達については「建設国債」が認められています。これは公共インフラについては将来世代にわたる財産であることから、それにかかる借金については長期間かけて返済するのも理にかなうという考え方にもとづいています。しかし現在では、財政法では認められていない「赤字国債」が特別立法によって毎年発行され、建設国債とあわせて膨大な借金となってしまいました。
     すでに今日においては、公共事業のためだからといって国債の発行が特別扱いで許される状況にはありません。財政法の改正により建設国債と赤字国債の区分を撤廃し、野放図な公共事業の拡大をくい止めます。


  7. 談合・ペーパーカンパニーを根絶します。
     〜入札・資格審査制度を抜本的見直し〜


    公共事業の高コスト体制を是正するためには、頻発する談合や贈収賄事件を根絶するための入札制度改革を行う必要があります。独占禁止法改正によって課徴金を大幅に増額し、刑法改正によって違反業者に対する罰則を強化し、さらには入札参加停止期間の大幅延長などの罰則強化によって談合の根絶をめざします。
    また談合の温床となっている指名競争入札を例外なく廃止し、原則としてすべての公共工事において一般競争入札を導入するため、地方自治法や会計法の改正を行います。また入札価格の事前公表の義務付け、ペーパーカンパニーの根絶をめざした経営事項審査の抜本見直しを行うなど、入札にかかる根本的な見直しを断行します。

  8. 本四連絡橋公団を解体します。
     〜採算の見込みのない計画の見直しなど道路公団を改革〜


    莫大な借入金と不透明な償還計画など多くの問題を抱える道路関係特殊法人については、徹底した業務の合理化などを通じて財務体質の改革を実行します。とりわけ事実上破綻状態にある本四連絡橋公団についてはこれを解体するとともに、道路公団との組織統合を検討します。
    高速道路の新規着工路線については、厳密な費用対効果分析を行ったうえで、民間資本導入など多様な手段を検討するとともに、不採算見込み路線の建設凍結や地元負担の明確化など財務体質改善に努め、一定期間が経過した後には民間管理会社への移行も視野に入れた経営形態の根本的な見直しを行います。


  9. 民間の資金と知恵でインフラ整備を進めます。
     〜PFI(民間資金活用)を大胆に推進〜


    公共施設の建設・運営を民間にまかせることで、民間資金やノウハウを活用し、財政に負担をかけることなく良質なサービスを供給するPFI制度を積極的に活用します。また地方自治体におけるPFIの積極活用を促進するため、国によるモデル事業の展開や、PFI推進の数値目標を定めます。
    PFIが増えることで、公共事業費削減のデフレ効果が減殺されることになります。


  10. 公共事業中止による混乱をなくします。
     〜中止後の法的アフターケアシステムを確立〜


    ダムなどの大規模公共事業を中止した場合、当該地域には大きな影響を与えます。その悪影響を排除するため、住民の生活対策のインフラ整備の継続や個別世帯に対する補償など、当該自治体や関係住民に対するアフターケアシステムを法的に整備します。



第3の柱―社会保障改革

年金を充実して、医療・介護をみんなで分かち合う社会保障制度をつくります。

 年金・医療・介護など社会保障に対する不安は、将来不安の中心であり政治不信の大きな原因です。21世紀の少子高齢社会に対応できる社会保障制度を確立するには、若年世代を中心に渦巻く年金不信を払拭することが最優先です。
 民主党は、年金や生活保護その他の低所得者対策などの所得保障を国の責任でしっかり行います。その上で、医療は都道府県、介護・障害は市町村と、より身近な地域に分権化し、保険料・一部自己負担などは国民みんなで分かち合う総合的な社会保障制度を確立します。


  1. 基礎年金の税方式化を進めます。
     〜最低限の年金は、国の責任で〜


    現在、2/3を保険料で、残り1/3を国庫からの負担でまかなっている基礎年金について、公共事業費などムダな支出を削減することにより国庫負担をただちに1/2に増額します。次の段階として、消費税等を財源として5年以内に全額国庫負担とします。これによって、国民年金の未納問題等が解消し、順次、すべての国民に現行水準(月67,300円)の年金が保障されます。また、自営業者等は、毎月の保険料(月13,300円)が必要なくなり、勤労者の厚生年金保険料率も約4%下がります。


  2. 厚生年金支給水準を維持します。
     〜勤労者の年金支給額を確保〜


     勤労者の厚生年金は、基礎年金と合算して現役時代の月収の6割程度という現行の水準を守ります。基礎年金の税方式化に加え、高齢在職者の年金額の調整、モデル年金をもらうための拠出期間の延長、年金積立金の活用などの工夫によって、保険料率を現在以上に引き上げることなく支給水準を維持します。また、支給開始年齢のさらなる延長は行いません。
    3階部分の企業年金については、受給権保護のための基本法を制定するとともに、新たな選択肢として、確定拠出型年金制度を導入します。


  3. 「病院」「専門医」「家庭医」の役割分担を明確にします。
     〜効率的な医療と質の高い医療を両立〜


    医療提供機関を、その役割に応じて、「病院」「専門医」「家庭医」の3つに明確に区分し直します。「家庭医」は、内科、外科、小児科など幅広い研修にもとづき、普通の軽い疾病に対応するとともに、必要な場合には病院や専門医を紹介する窓口となります。
    「病院」「専門医」は、重度・高度の医療提供を重点とします。現在の日本の病院は、病床数が人口比で欧米の2倍に達しているにもかかわらず、入院患者1人当りの職員数は半分以下となっており、このことも起因して平均入院日数は倍以上というのが実態です。こうしたヒューマンパワーの不足が看護職員などの過重労働を生み、医療事故多発の一因にもなっています。質の高い医療を可能にするために、病院の設置基準と診療報酬を大幅に改訂し、病床あたりの医師・看護婦等の数を現在の倍以上にすることで治療効果を飛躍的に向上させ、病床数や平均入院日数を半減させます。
    こうした医療体制の整備により、まずは待たずに診察を受けられる身近な「家庭医」に相談し、必要があると診断された場合には「病院」「専門医」の高度な治療を受けるという仕組みが明確になり、患者にとって便利であるだけでなく、ムダな医療コストを省き、医療費の増大に歯止めをかけることが可能になります。


  4. 老人医療に、ムダづかいチェック体制を組み込みます。
     〜高齢者医療制度を改善〜


     現在の「老人保健制度」は、全国一本で、チェックのためのシステムも競争も存在しないため、薬漬け・検査漬けに加えて、「社会的入院」の温床となっています。そこで現行制度を廃止し、それぞれの現役時代に加入していた保険制度でOB・OGの老後の医療を支える制度に改めます。その際、各保険者によって、加入者の年齢構成が違うなどの不公平が生じないよう、これを調整するシステムを設けます。
     また、高齢者にも保険料負担と利用時の定率1割負担を求めることで、コスト意識に基づく患者本人によるチェックも促します。この場合、現在の生活保護制度のほかに医療費補助制度や貸付制度を新設することで、低所得者に配慮します。
     高コストの老人病院は介護施設に転換を促し、在宅介護の充実とあわせて「社会的入院」をゼロにします。


  5. 薬漬け・検査漬けを防ぎ、財政破綻を防ぎます。
     〜医療における保険者機能を強化〜


    医療保険の財政が破綻に瀕しているのは、高齢化の進展だけではなく、医療費の水増請求や薬漬け・検査漬けをチェックできていないことも原因となっています。本来、こうしたチェックは、健康保険組合や、国民健康保険を所管する市町村など保険者の役割ですが、現実にはそのための体制も、また必要な権限も不十分です。
    そこで、診療報酬請求の内容をチェックしやすいように、コンピューター化を義務付けるとともに、患者・被保険者の立場から医療機関の評価や情報開示を行うことや、診療明細領収書の発行を医療機関に働きかけることなど、保険者としての機能を強化します。さらに当面、高齢者医療を現役時代の医療保険に継続して加入する仕組みに改めた上で、中長期的に、小さすぎる国民健康保険については合併で、全国一本の政府管掌健康保険については分割で、いずれも都道府県を単位に再編し、組合健康保険は適正規模への統合・再編をすすめ、保険者としての役割をきちんと果たせるようにします。各保険加入者の年齢構成などの違いによる財政格差について制度間の財政調整を検討します。
    また、カルテの開示や、診療費明細書の発行義務化などを盛り込んだ「患者の権利法」を制定して、十分な説明と患者自身の納得に基づいた医療を確立し、患者自身によるチェックと医療機関の選択を可能にします。


  6. 介護基盤の整備を最優先で進めます。
     〜より良い介護保険制度の確立〜


    介護保険は導入されましたが、その基盤整備が不十分なままではさまざまな矛盾が噴出します。財政の厳しい状況ではあっても、介護サービスの充実は地域に雇用を生み、地域の活性化を実現する効果をもたらします。また、介護基盤の整備は土木型公共事業に比べて約2倍の経済波及効果が期待できるとの指摘もあります。
    こうした前提に立って、民主党は、財政支出の中で、介護基盤整備を最優先ですすめます。とくに、在宅介護を推進するため、ホームヘルパーやケアマネージャーの増員や質の改善、グループホームや宅老所の増設などを速やかに行います。
     また、要介護認定の正確化や家事援助と身体介護の区分見直し、ホームヘルパーやケアマネージャーの待遇改善、苦情処理の円滑化、オンブズパーソンの設置など、現場で明らかになった問題点に速やかに対応する体制を整備します。



第4の柱―学校改革

どの子にも、人生のチャンスを広げる教育を確立します。

学校現場では学級崩壊、不登校などの深刻な問題を抱え、苦悩しています。その原因の一つとして、社会が急激に変化し、家庭や地域そして社会そのものが教育力を失ったこと、そして中央集権的、画一的な教育の限界があげられます。  
また高等教育では「大学のレジャーランド化」が指摘され、学力低下は小中学校から大学に至るまで問題視されています。「学びの場」の空洞化は深刻であり、現行の教育制度では対処できないところまで来ています。
民主党は、子どもたちが人間として自立し、他者と共存できる知恵を養い、感受性や創造性豊かな人材として育つ「学びの場」を再生します。
まず、教育は国が行うものという受身の意識を改革し、家庭、地域に教育を取り戻します。そのために、保護者と教師が地域において互いに協力し,その創意を生かして学校現場を自主的に改善・改革、運用できる仕組みをつくり出します。
高等教育においては、改革をうながすために国立・私立間の公平な競争をさせ、民間のインセンティブが大いに活かされる仕組みへと転換します。また、希望者には誰にでも何度でも学べる機会を提供します。



  1. 権限を地方自治体と学校に移行します。
     〜文部科学省の一部を廃止〜


    文部科学省のうち教育に関わる部局を廃止し、これに代わって独立行政委員会としての「中央教育委員会(仮称)」を設置します。国=「中央教育委員会」の役割は、各年齢段階の最低基準・基本方針を定めることに限定し、その他の権限は最終的に地方自治体が行使できるものとします。
    全国統一の必須科目を限定し、それ以外は、地域ごと学校ごとに、独自の授業内容を選択できるようにすることで、特色ある学校づくりを可能とします。一方で、必要最小限の基礎知識・基礎能力については、年齢段階ごとに到達目標を定め、標準学力認定を設けることによって、最低限の教育水準を維持します。


  2. コミュニティースクールを設置します。
     〜地域や保護者が主体的に教育に参画できる機会を保障〜


    地域のニーズに基づき、地域が運営する公立学校「コミュニティースクール」が設置できるように法整備します。「コミュニティースクール」は市町村が設置する学校ですが、運営には住民の意思も反映され、画一的な公教育から個性ある公立学校への転換をめざした試みの一つです。その設置構想や運営は地域住民に開かれており、各自治体が「学校づくりプラン」等を一般公募し、その提案をもとに設置します。
    従来の公立学校に加えて特別なニーズや意欲に対応した公立学校の設置を可能にすることにより、地域や保護者が主体的に教育に参画できる機会を保障し、研究・開発を行いつつ公教育全般の活性化を図ります。


  3. 体験学習を推進します。
     〜ふれあいを重ねて共生と自律の息吹を〜


    子どもたちの自律性を引き出しながら、命をいつくしむ心、他者や自然と共生する知恵を養しなう機会をつくるため、体験学習を推進します。共同生活、職業体験、異年齢間交流、都市と農山村地域の交流、国際交流、自然体験、農業体験、社会奉仕体験など、子ども達が自ら考えたプログラムを尊重しつつ、教職員、保護者、地域住民や児童生徒で構成する「学校運営協議会」がサポートするかたちで体験学習を実行します。
    主体性・自律性を重んじ、国の強制による「奉仕の義務化」とはまったく逆の発想による学習方式を導入します。


  4. 少人数学級を実現します。
     〜分かる授業、行きたい学校を実現〜


     学校の第一の本分は基礎学力の定着です。学力低下や不登校に対応するには、なにより分かる授業を実現することが先決です。少人数学級を原則とし、一人ひとりの子どもに目がとどく教育をめざします。
    各科目や学年、理解度に応じて少人数制をはじめ色々なクラスを提供し、「分かるまで教える」ことが可能な授業を実現します。こうしたクラス運営、授業方法、教員の配置などについては、「学校運営協議会」が主体になることで、保護者・児童生徒・地域の声が反映され、「行きたい学校」の実現を可能にします。
     また、子ども達にとってよき教師を確保するため、教員養成の段階で心の問題、学級崩壊を防ぐ具体的な方法等の科目をさらに重視し、クラス運営、教授法など実証的な研究を推進します。子ども達の悩みや苦しみに的確に対応しきれない教師に対しては、そうした研究の成果にもとづく研修プログラムを含めた支援態勢を用意し、教師が疎外され苦悩の中で切り捨てられることなく、子どもたちの悩みと苦しみに的確に対応できるシステムをつくります。


  5. 国立大学と私立大学の格差を是正します。
     〜国立大学を改革〜


     国立大学への手厚い保護が国立・私立間の公平な競争を阻害し、非効率的な経営をもたらしています。そこで、独立行政法人化する国立大学への助成を私学と横並びにします。その一方で、予算、人事面など組織運営に関する大学の自由度を向上させ、大学の経営努力を促します。
    大学教育に対する国の支援は、原則として民間のインセンティブが働きにくい基礎研究などを行う少数の大学院大学に限定します。研究開発のうち、短期的な市場価値は低いものの、学術的に必要な研究については、学校への支援ではなく、個別の研究プロジェクトに対する補助システムを導入して、その水準を確保します。


  6. 希望者全員が受けられる奨学金制度を実現します。
     〜誰でも、いつでも、どこでも学べる高等教育〜


    大学生・大学院生に対する奨学金制度を大幅に改め、希望する人なら、誰でも、いつでも利用できるようにします。学費のみならず、最低限の生活費も貸与することで、いったん社会人となった人でも、また、親の支援を一切受けなくても、意欲があれば学ぶことができるシステムをつくります。
    新奨学金制度の普及にあわせて、大学・大学院そのものへの助成は、順次縮減します。この結果、表面的には学費が高くなりますが、奨学金の充実で資力がないために進学できない事態を阻止します。税金と親の負担で学ぶ大学から、真に意欲を持った者が、みずからの将来の負担で学ぶ大学へと意識改革を促し、真に学問の府へと改革します。



第5の柱―財政構造改革

「安心の社会」と「活力ある経済」を創造するための「強い財政」を構築します。

 財政破綻は、社会的弱者に最も大きな影響を与え、さらに経済状況を悪化させ、国民生活そのものを破綻させます。このような事態を回避し、必要な人に必要なサービスを継続的に提供する「安心の社会」と「活力ある経済」を構築することが、民主党の改革政策の基本理念です。
 その上で、「橋本改革」(橋本内閣ですすめられた財政改革)のような一律的な削減ではなく、「官から民へ」「国から地方へ」を実現する構造改革を進める中で、歳出の効率化を大胆に行うことを基本原則としています。また現在の行政の「単年度使い切り主義」「省庁の縦割り」等の構造が歳出を肥大させる圧力になっています。そこでこの行政のあり方を見直し、外部委託、民営化、PFI(民間資金活用)等を導入し、また支出の節約を評価する制度を創設し、行政の仕組みの中に効率を高めるシステムを埋め込みます。
 我が国の財政状況は極めて危険な状態にありますが、既得権益に縛られ、税金を自らの選挙対策に使う現在の与党は、改革の先送りを繰り返すばかりです。この最大の被害者は国民です。民主党は、財政を持続可能な状態に回復させるために、政権をとったその日から財政構造改革に全力で取り組みます。



  1. 5年後に基礎的収支の均衡を実現します。
    〜歳出の見直しを徹底〜


      財政構造改革は、その取り組みが遅れるほど実現を困難にします。そこで民主党は、経済状況を勘案しながら、取り組み開始から原則5年後に基礎的収支(プライマリー・バランス=公債費を除いた歳出と、公債発行による収入を除いた歳入についての財政収支)の均衡を達成することを目標とし、そのために以下のような見直しを行います。但し「安心の社会」「活力ある経済」の創造のために必要な政策分野については、重点化をすすめます。また収入確保策として、競馬、競輪、競艇等の公営競技収入の国庫納付割合増額、一部国庫納付化を検討します。

    • 不要不急な事業の中止を含めた見直し、入札制度改革等によるコスト削減の実現により、5年間で公共事業関係経費を3割削減します。特にダム事業・農業関係公共事業については、全面的な見直しを行います。

    • 天下りの温床となっている特殊法人のあり方を、廃止・民営化を含めて根本的に見直し、これらに対する出資金、補助金等を削減します。又公益法人についても同様の見直しを行います。

    • 年金については基礎年金に対する国庫負担割合を高める一方で、社会保険庁と国税庁の組織統合の検討等をすすめ、間接経費の削減を実現します。

    • 医療保険、介護保険については提供するサービスを充実させる一方で、間接経費の削減、健康促進策拡充による高齢者医療費の抑制、在宅介護拡充による負担軽減等をすすめます。また国立病院は政策医療を担う一部の病院を除き、原則民営化します。

    • 地方への税源移譲、「一括交付金」の創設、地方交付税制度の見直しにより、自治体財政の自立性を高めます。また地方自治体の行政改革を支援することによって、国の財政負担を軽減します。

    • 我が国を取り巻く状況の変化に対応する中で、自衛官定数や正面装備の見直しに積極的に取り組みます。

    • ODAならびに各種拠出金、分担金のむだを省き、ハードからソフトへの転換をすすめる中で、総額を削減します。

    • 複雑で非効率となっている中小企業支援策を、中小零細企業者が使いやすく簡素なものへと改め、予算の効率執行をすすめます。

    • エネルギー安全保障を確保しつつ、原油の自主開発、備蓄等のエネルギー政策について見直し、資金の有効活用をすすめます。

    • 文部科学省の一部廃止による行政経費の削減、財源の地方移譲や雇用形態の多様化による義務教育費国庫負担制度の見直し、国立学校のあり方の見直しを進めます。

    • 農業関係の歳出構造を見直し、環境保全や所得政策に政策の重点をシフトします。

    • 地方分権や行政の効率化、民営化の推進などにより、人件費を大幅に削減します。


  2. 行政に民間の手法を導入します。
    〜行政経費の効率化を推進〜


      対前年度増分主義、縦割り主義等によって行政経費を常に硬直化・肥大化させる現在の行政のあり方を根本から見直し、民間企業のノウハウを可能な限り行政に取り入れる「ニュー・パブリック・マネージメント(公共部門の効率化や透明性の向上のために導入される民間企業的な新しい行政管理手法)」を大胆に導入します。これはイギリスなどで成功した行政改革の手法で、具体的には閉鎖的な現在の行政を民営化、外部委託、PFI等の形で民間に開放することです。こうして行政経費の効率化を常に模索するシステムを組み入れます。さらに地方分権の推進等、行政の構造そのものを改革することで財政状況の改善を実現します。


  3. 会計制度の透明化・簡素化を推進します。
    〜国民が直接財政状況を監視できる環境を実現〜


    財政構造改革を実現するには、国民の理解と協力が不可欠です。そこであまりにも複雑で、普通の市民には理解不能となっている現在の会計制度を抜本的に改めます。具体的には以下の施策に取り組みます。

    • 国のバランスシートを、特殊法人等の周辺部分を含めて、わかりやすく、継続的に公開します。

    • 「財政透明化法」を制定し、国民にわかりやすい形で、財政の情報公開をすすめます。

    • 国の財政をわかりにくくしている特別会計制度等の抜本的な改革をすすめます。

    • 「縦割り」「建設国債と赤字国債の区分」等弊害の目立つ会計制度を改めます。

    • 実効ある「政策評価制度」を義務づけます。

    • 国会に「行政監視院(日本版GAO)」を設置します。

      以上のような改革を通じて、国の会計制度の透明性を高めることによって、国民が直接財政状況を監視できる環境を整えます。


  4. 安易な補正予算を禁止ます。
    〜緊急の事態に限定〜


      政府与党は、景気対策と称して毎年のように安易に補正予算を編成してきました。しかしこの補正予算は財政危機を深刻化するばかりで、一向に景気浮揚効果は見えてきません。民主党は法律の定める原則に戻り、大規模自然災害、金融危機等国家的な必要性のない限り、補正予算を編成しないことを原則とします。また財政構造改革は、景気に対して柔軟な姿勢で実施していきますが、経済対策は主として規制緩和等の制度改革で対応し、公共事業バラマキは行いません。
      現在の政府与党の中には、自分たちが財政状況を悪化させた責任を忘れ、インフレや日銀の国債引き受けによって、財政を維持しようとする主張があります。しかし、これらは国民生活を直接破滅させるものであり、民主党はこのような選択は行いません。


  5. 透明で公平な税制を確立します。
    〜まずは信頼の再生から〜


      収入の確保について最も重要なのは、国の最大の収入源である税制に対して、国民の信用を高めることです。そのためにはまず消費税に代表される税の滞納に対する強力な防止策を講じます。また消費税については、簡易課税制度や免税点の見直し、インボイスの導入等の制度改革を通じて、信頼性を高めていきます。さらに「納税者番号制度」の導入等による総合課税化を進めることによって、透明で公平な税制を確立していきます。

    〜国有財産も有効活用〜

      巨額な借金残高による金利や償還の負担を軽減するために、国の持っているNTT株や民営化する特殊法人の株、遊休土地等を売却し、また情報化社会の到来によって価値の高まってきた周波数割当の入札実施等を行うなど積極的な収入確保策を推進します。



第6の柱―IT革命

世界最高水準の低廉・高速インターネット、バリアフリー情報社会を実現するIT革命をすすめます。

民主党は、インターネットをはじめとするIT(情報通信)が、官主導から民主導へ、中央政府中心からコミュニティー中心へと社会を転換し、人間の生き方を根本から変えるものと位置づけます。
ブロードバンド(通信の高速・広帯域化)革命、知的財産権革命、リテラシー(情報読解力)革命と一体となったIT革命をすすめ、行政改革、教育改革などの構造改革につなげていきます。そのため、最優先事項として、通信分野における競争を促進し、世界最高水準の低廉・高速インターネットの実現に全力を尽くします。
さらに、パート雇用やSOHO(在宅勤務を含めた小規模オフィスでの勤務形態など脱組織型の就労形態)が法制面で不当に差別されることがないよう、民主党が政府の「IT基本法」に盛り込ませた雇用流動化への対応策の具体化を急ぎ、デジタルディバイド(情報格差)解消策、ネット犯罪・トラブル対策についても万全を期していきます。



  1. 業際規制を緩和、IT公正競争監視委員会を設置します。
    〜競争政策を推進〜


    誰もが皆、世界最高水準の低廉・高速インターネットを利用できるよう、通信分野における大胆な競争政策をすすめます。まず、地域通信市場への新規参入を促進し、電気通信サービスのより一層の低廉化や多様化をすすめるため、光ファイバー等の電気通信設備を有する総ての事業者に対し、公正なルールの下、他事業者への適正な市場価額での設備開放の徹底を図ります。
    また、NTTグループ内の競争を促進することを前提としつつ、長距離・地域・ケーブルTV等の区分けをする業際規制を緩和し、通信と放送の融合を制度面からも推し進めるとともに、エンド・トゥ・エンド(発信地点から着信地点)の高速インターネット網の構築を促進させます。また、第一種(設備をもっている事業主=例えばNTTなど)・第二種(設備をもっていない事業主=例えばプロバイダーなど)規制等も廃止し、経済的・効率的なネットワーク構築のための環境を整備します。
    中立的な裁定機関として、「IT公正競争監視委員会」(=日本版FCC)を創設します。この委員会は行政法上の3条委員会として強力な権限をもたせ、公正な競争ルールの下、国際競争も含めた幅広い観点から民間事業者間の競争を監視・裁定します。さらに、通信分野における独占禁止法の厳正な運用等にもつとめます。


  2. 行政サービス電子化法、電子情報公開法を制定します。
    〜ITによる行政の効率化・透明化〜


    「行政サービス電子化法」を制定し、行政サービスをネット上で提供することを義務付けます。また、あらゆる行政情報をネット上で判り易く公開することを義務付ける「電子情報公開法」を制定し、各事業における入札の実態や公共事業の箇所付けなどを国民の前に明らかにし、真の民主主義確立の前提としての情報開示をすすめます。さらに図書館等だれもが気軽に立ち寄れる地域の情報拠点を多数整備するなどして、地方自治体の電子化に対する住民ニーズへの対応力を高めていきます。


  3. 世界の優秀なIT技術者を日本に呼び込みます。
    〜数次ビザの発給要件の緩和〜


    アジア諸国をはじめとした世界の優秀なIT技術者がわが国で活躍できる環境をつくり、日本のIT革命の基盤強化を図るためにも、海外のIT専門家の数次ビザの発給条件の緩和等につとめます。また、日本で働きたい技術者が現地国でも日本語習得や日本文化等の学習を円滑に行えるよう、支援措置を講じます。


  4. 生徒一人に1台のパソコン配備とIT教員を配置します。
    〜ITによる教育改革〜


    生徒一人に一台のパソコン配備と、全生徒がストレスを感じずにネット利用できる高速アクセス網の整備を早急に完了させます。情報リテラシー(情報読解力)を生徒たちに教授できるようにとの観点から、教員免許制度にIT教育に関する項目を追加します。またITを教えられる社会人の教師への登用も積極的にすすめていきます。さらに、時々刻々と進展する最先端のIT関連知識をタイムリーに学生たちに教授できるよう、大学教育レベルでの産学連携を積極的に推進します。あわせて、大学のノウハウの水平展開を促進するため、大学間の連携強化を図ります。

  5. 誰もが使いこなせる情報通信環境を整備します。
    〜「ITバリアフリー法」の制定、IT化に対応した基本スキルの修得支援〜


    障害者も含めてすべての人々が使いやすい情報通信機器を設計する「ユニバーサルデザイン」の思想を普及させ、情報バリアフリー社会を確立します。そのため、障害を持つ政府等の職員が電子事務機器を利用できることを保障する、政府に納品する機器は身障者に配慮したものに限られる、メーカーは障害者向けの機器を用意する義務を負うこと等を規定した「ITバリアフリー法」を制定し、職場のバリアフリー環境の整備をすすめていきます。
    また、IT化の進展に不安を感じている中高年層を対象として、ITの基本的なスキル(技能)に関する資格制度を創設し、修得を促します。また時限的に、地域図書館、職業訓練所や企業等に資金的支援をして、研修環境の整備を推しすすめていきます。


  6. ネット犯罪防止と個人情報保護の法律を制定します。
    〜安心の情報通信ネットワーク整備〜


    サイバーテロ(ネットワーク・システムの破壊行為等)やハッカー対策などネット犯罪全般を包括する「サイバー法」を制定し、ネット運営主体への情報開示請求手続きや発信者の匿名性の制限、安全配慮義務や作為義務など管理責任を明確化します。また、他人の個人情報の違法収集に対する刑罰適用や、個人が自己の情報をコントロールできる権利(=情報流通権)の明確化も含めた「個人情報保護法」を制定します。さらに、電子契約・仲介者責任・情報財取引などについて電子民事立法を推進するとともに、司法の迅速化を推進する観点から、裁判によらずに第三者の任意機関を活用して紛争解決を図る「裁判外紛争処理制度」(=ADR)を導入します。


民主党と市民の共同事業
−21の重点政策−

1.子育て支援

  多様な選択肢を用意し、安心して子育てできる環境をつくります。

 子どもたちがどのように育ち、将来の担い手として成長するかは「社会の再生」の重要な課題です。民主党は、子どもをもちたい人が安心して子どもをもち、家族だけでなく地域・社会も子育てを支えていく社会をめざします。
多様なニーズに対応した保育サービスの充実、子育てに伴う経済的負担の軽減、育児支援制度の拡充を図るとともに、子育ての孤立化や不安の解消をはかるための相談・支援体制を充実します。

  1. 育児休業・小児医療を充実します。
     〜仕事と家庭の両立支援〜


     出産・育児に携わる労働者の育児休業制度を充実させます。そのため、「職業生活と家庭生活の両立支援法」を制定し、「子どもが病気の時の休業制度」や「父親の育児休業取得」をすすめる仕組みをつくり、育児支援の拡充を図ります。また、子どもに対する医療体制とくに小児救急医療を充実させます。さらには教育改革、奨学金制度の充実を図ります。


  2. 多様な保育ニーズに対応できる基盤整備を急ぎます。
     〜エンゼルプランの充実〜


     延長・一時保育など多機能保育所や24時間対応可能な保育所、駅型保育所などの設置をすすめることや、病児保育など多様なニーズに対応できる体制を整備するため、「エンゼルプラン」の更なる充実を図ります。同時に、子どもにより良い保育の質を追求します。また、認可外保育所の充実や、自宅で2〜3人の子どもの面倒を見る「保育ママ」制度の拡充など子育て支援に取り組みます。


  3. 多様な学童保育を提供します。
     〜すべての小学生に放課後の安心を約束〜


     放課後、希望するすべての小学生に安全で楽しく遊べる居場所づくりをすすめます。小学生の母親の6割近くが有職となり、都市化・核家族化が進む状況の中で、地域全体が「ビッグファミリー」となって育ち合う場をつくります。公立小学校に遊び場基地をつくり、スタッフと地域ボランティアの協力、地域の多様な施設との連携などにより様々なプログラムを提供します。


  4. 児童手当や奨学金を拡充します。
     〜子育ての経済的負担を軽減〜


     政府・与党の中では、「少子化対策として児童手当を拡充すべきだ」という意見と「児童手当を拡充しても少子化対策には効果がなく、バラマキ政策だ」という意見が対立しています。しかし、これらは、いずれも児童手当の問題を人口政策上の観点からしかとらえていない間違った議論です。子どもを産む、産まないは、もっぱら個人の選択であり、確かに児童手当などの現金給付によって誘導できるものではないし、そのような愚劣な政策をとるべきではありません。しかし、次代を担う子どもを産み育てている家庭のさまざまな負担は、もっぱら個人の責任に帰せられるべきものではなく、社会全体でこれを分かち合い、支援すべきです。民主党は、このような見地に立って、児童手当の支給対象期間を欧州諸国なみに少なくとも義務教育終了までに、また支給額を現在の2倍程度の水準となるように拡充します。また、高校・大学などに進学する子どもたちの教育費の負担については、教育改革の一環として奨学金制度を大幅に拡充し、基本的に希望する者全員が奨学金を受けられるようにするなどの改革に取り組みます。


  5. 保育所と幼稚園の一元化を進めます。
    〜子育て支援の拠点づくり〜


     核家族化などにより、子どもを育てる親の不安や孤独感が強まっています。また、育児放棄や幼児虐待が増加し、幼い子どもたちを取り囲む環境は深刻な状況になっています。民主党は、幼稚園と保育所の一元化を進め、子育て支援量の確保、質の改善を図るとともに、学校の空き教室など利用して親と子のたまり場づくりに取組みます。そうした場を地域の「子育て支援の拠点」として、育児不安の解消、児童虐待の予防につなげるとともに、基本的な生活慣習や社会生活の最低限のルールを会得できるよう、家庭と地域の教育力向上の場とします。

2.男女共同参画

  真の男女共同参画社会を実現するために、基盤整備を強力に推進します。

 従来の会社中心社会・性別役割分業社会をもとに築かれた社会から脱却し、多様化したライフスタイルを自らの意思と責任にもとづいて選択し、政治・経済・社会のあらゆる分野に参画し、方針や政策を決定することが可能な、真の「男女共同参画社会」の実現をめざします。男女がともに尊重しあい、地域に根ざしたゆとりある思いやりのある社会を築くための社会基盤を整備します。また、未来を担う子ども達の問題は社会全体の問題です。子育ては家庭の内だけにとどまらず、地域・社会で支援すべき課題です。多くの人の輪の中で、人は成長していきます。すべての人が役割を持って存在している大切な一人一人であることを、根幹に据えた男女共同参画制度を構築していきます。


  多様な価値観と選択肢を認めます。
   〜民法改正の実現〜


夫婦間で希望すれば別の姓を選択することができる選択的夫婦別姓制度と婚外子(非嫡出子)の相続差別をなくすことを内容とした民法の一部改正を実現します。

  〜年金・税制の中立化〜

男女共同参画社会をめざす視点から、女性の年金問題に対しては、基礎年金を税方式にすることによって、第3号被保険者(給与所得者に扶養されている配偶者)問題を解決し、女性の無年金者をなくします。
また、税制についても、多様な生き方の選択に対して中立な仕組みに改めます。扶養控除、配偶者控除・配偶者特別控除などを廃止・縮減の方向で見直し、その財源を子育て支援策(児童手当の抜本的拡充、育児・介護休業給付の引き上げ、保育サービス拡充など)を中心に本当に必要な社会保障給付等の財源に転換します。

  〜暴力・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する立法〜

ドメステック・バイオレンス(配偶者や恋人から受ける暴力)を根絶する特別法を制定します。
リプロダクティブヘルス/ライツ(女性の性と体に関する健康と権利・女性が生涯を通して健康に生きられる権利)を尊重した法律を制定します。

  女性の起業支援・クォータ制に取り組みます。
  〜女性の活躍は社会の活力源〜


女性の起業家に対し財政支援を含む援助体制を確立します。
女性が、政策決定の場に多数参画できるようにクォータ制を含むアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を講じ、その実現に取り組みます。



3.生涯教育

  技の教育、地域活動、スポーツ、文化を育み、創造する教育に取組みます。

 民主党は、多様な価値観、生き方が共存し、「心」を大切にする社会をめざします。「技」の教育を体系的に整備し、今までの学歴偏重から多様な生き方が可能な社会を実現します。地域を主体に生涯学習やスポーツ振興を促進し、誰でも気軽に、個々人の興味や関心を充足させ、健康を維持し、真に人間らしい生活ができるように環境を整備します。芸術・伝統文化の保護育成を通して、精神文化を大切にする豊かな社会を創造します。


  1. 職業教育を充実します。
     〜「技」を尊ぶ教育を体系的に整備〜


    「技」を尊ぶ教育を体系的に整備し、今までの知力偏重社会から脱皮します。
    ここ数年の自発的失業者の増加は社会の基盤を揺るがしかねない深刻な問題です。学校と職業社会への移行がスムーズに行われるためにも、職業教育を重視します。
    幼い時からものづくりの喜びを体験し、手に職、技術・技能を身につける職業教育を充実させます。小学生から職業体験学習を充実させ、働くことへの意識を高めます。職業教育での中高一貫教育もすすめます。
    専門高校卒業生に大学の関連学部への推薦入学枠を確保する等、高等教育においても技術・技能を重視する教育に改革します。専門高校、専修学校専門課程を資格取得とリンクさせインセンティブを与えます。


  2. 生涯学習、スポーツを振興します。
     〜芸術、趣味、そして「遊び」で人生を豊かなものに〜


      学校施設は地域に開放し、遊び、スポーツ、芸術、文化など多様な活動の場として提供します。子どもたちだけでなく、仕事帰りの会社員や高齢者などの交流の場として、地域の中心として開放し、地域の教育力を高めます。
      技術の高度化、転・再就職の準備、知的関心、地域活動のリーダー養成、教養講座など多様な教育ニーズに対応する生涯学習社会を実現します。子どもから大人までが利用しやすい施設の整備、公民館活動の活性化や公立図書館のより一層の充実、大学などの学校図書館の開放をします。さらに、コミュニティースクール等を活用し、大学、民間企業、自治体、NPOなど、様々な団体が中心となって、趣味、転職、介護講座など独自性をもって運営できるようにします。
     

  3. 伝統文化の保存・継承と多様な文化体験の場を整備します。
    〜芸術文化を通して心に潤い〜


    芸術文化を通して得られる心の潤いは、現代においてますます重要なものになっています。幼い頃から日常的に芸術文化に親しみ、メセナ(文化支援擁護)の精神を身につけることにより、真に豊かな心を養うことができると考えます。
    日本の伝統文化を保存し、その上にさらなる新たな文化を創造する基盤を整備します。文化財の保護、伝統芸能・工芸の継承、教育における体験鑑賞など、文化・伝統を保護、育成するための環境整備を行います。



4.人権保障

  あらゆる差別を許しません。

 人権とは、形のある権利ではありません。しかし人間が人間らしく生きるために生まれた時からもっている大切な権利です。性別・社会的身分・門地・人種・民族・国籍・年齢・障害等によるあらゆる差別は、許されることではありません。民主党は、人権保障のための法制度や施策の改革に、取り組んでいきます。また、残された第二次世界大戦の戦後処理問題に対しても真摯に取り組み、早急な解決を求める法的措置を講じます。


  1. 互いを尊重しあう共生社会へ。
     〜独立した人権擁護機関を設立〜


     あらゆる人権侵害事件・差別事件等に対応する調査・救済・立法・政策に関する提言力等の機能を備えた独立性の高い新たな人権擁護機関を設立し、差別禁止法を制定します。

     〜個人情報保護法を制定〜

     個人が自己の情報をコントロールできる権利を尊重した個人情報保護法を制定します。

     〜部落問題解決のための法整備〜

     部落問題の抜本的な解決と差別のない社会を実現するため「部落解放基本法」の制定をめざします。

     〜すべての人の生きやすい社会〜

     アイヌの人たち先住民族の人権擁護・生活支援・伝統文化の保存・伝承のための施策を策定し、実行します。外国人の人たちが差別をうけることがないように施策を推進します。


  2. 国際社会でも信頼される国に。
     〜人権条約の批准を推進〜


     国際人権規約選択議定書・女子差別撤廃条約選択議定書など、未批准の人権条約の批准を推進します。国際的な人権の確立に向けた政策課題を「人権イニシアティブ」として国際会議などを通じて国際社会に提案していきます。

     〜恒久平和をめざして〜

     第二次世界大戦中の歴史的事実の真相究明を行うために、すでに国会に提出している国会図書館に恒久平和調査局を設置する法案「国立国会図書館法改正案」の成立をめざします。また、戦後処理問題として「慰安婦」問題の解決をはかるため法案化した「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」の成立を図ります。



5.バリアフリー

  障害のあるなしに関わらず、誰もが安心して暮らせる社会を実現します。

 1981年の「国際障害者年」、83年からの「国連障害者の10年」は世界中に「ノーマライゼーション」の理念を広めました。障害者の社会参加と平等、自立した生活支援を進め、すべての人がともに暮らせるバリアフリー社会をつくろうという目標を示した時代でした。21世紀のいま、その理念・目標を達成しなければなりません。障害者が生き生きと暮らせる社会は、すべての人が生き生きと暮らせる社会です。
 民主党は、バリアフリーの住宅や街づくりなどハード面の整備とあわせ、障害をもつ人の社会参加を支える制度面の改革を行い、誰もが暮らしやすい社会をつくります。


  1. バリアフリー住宅の普及を推進します。
     〜支援制度を充実〜


     住宅の基本構造部分は個人資産としても、バリアフリー化にかかわる廊下やドアの幅寸法の確保や室内エレベーターの設置、バスユニットの特注などについての支援制度を充実し、バリアフリー住宅の普及に努めます。


  2. 建築基準法に「バリアフリー」を明記します。
     〜バリアフリーの街づくりを推進〜


    誰もが自由に生活できる「バリアフリーの街づくり」を計画的に進めます。鉄道の駅舎や公的施設にエレベーター・エスカレーターを設置し、幅の広い歩道の設置や段差の解消、電線類の地中埋設化をすすめます。
     ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)を改正し、一定規模以上の公共的施設に対するバリアフリーを義務づけます。また、現行の建築基準法を改正して「安全」、「防災」、「衛生」の目的に加え、「バリアフリー」を明記し、ノーマライゼーション時代にふさわしい基準にします。


  3. 新障害者プランを策定します。
     〜資格試験の「欠格条項」も廃止〜


     ノーマライゼーション社会の実現のために、福祉・医療・雇用・教育など横断的につなぐ「新・障害者プラン」を策定します。障害を理由に資格試験が受けられないなどの「欠格条項」を廃止します。また、障害を持った人たちに、情報技術などを活用した就業支援や、納税者となる権利を行使できるような法整備に取り組みます。


  4. 統合保育・統合教育を推進します。
     〜子どもたちの正しい理解のために〜


     学校教育において障害者と健常者が共に学ぶ機会を増やし、障害者への偏見をなくす「こころのバリアフリー化」をすすめます。このため、保育園・幼稚園の段階から小中学校教育まで統合保育・統合教育に取り組み、障害をもつ子どもともたない子どもとの分離を前提とした教育を見直します。


  5. 介護保険をエイジフリーに改革します。
     〜年齢区分をなくし若年障害者も対象に〜


     現行の介護保険は、65歳以上の高齢者が原因によらず介護サービスを受けられる仕組みです。民主党は、年齢の区分をなくし65歳未満の被保険者も保険料を払うだけでなく、平等にサービスを受けられるよう、条件を整備しながら介護保険をエイジフリーな仕組みに改革します。ただし、障害者施策としてのサービスは別途受けられることを保障します。


  6. ITバリアフリー法を制定します。
     〜誰でも利用しやすい機器を整備〜


     家電製品や自動販売機、ATMなどに障害者や高齢者が利用しやすいデザインを取入れ、誰もが利用しやすいものにして、障害をもつ人にも開かれた高度情報社会をめざします。また、誰もが使いやすい情報通信機器を設計する「ユニバーサルデザイン」の思想を普及させ、情報バリアフリー社会を確立します。そのため、障害をもつ政府等の職員が電子事務機器を利用できることの保障や、メーカーに対し、障害者向けの機器を用意する義務を負わせること等を規定した「ITバリアフリー法」を制定して、職場のバリアフリー環境の整備をすすめます。


  7. 政治参加のバリアフリーを推進します。
    〜選挙情報の提供や投票補助など条件整備をします〜


     バリアフリー社会実現のため、視覚や聴覚、知的障害などをもつ人への選挙情報の提供や投票補助など、選挙参加の条件整備をすすめ、政治参加に必要なバリアフリーを図ります。



6.NPO

  官主導ではない、市民公益の実現のため、NPO支援税制を拡充します。

 21世紀を柔軟で自己変革可能な活力ある豊かな社会にするためには、官主導による公益ではない、市民主導による新しい公益概念を生み出すことが必要であり、市民公益を実現・促進させる社会システムをつくり上げることが求められています。NPOを第3のセクターとして認知し、社会システムのなかに位置付け、育成・促進させるために緊急かつ重要な課題として、まず支援税制の拡充を推進します。また、そのプロセスとして、NPO支援税制の充実に向けた市民との共同作業をはじめ、新しい社会システムの構築に向けてNPOとの連携を推進していきます。さらに公益法人等の寄付金税制についても抜本的見直しを進めます。
 2001年は国際ボランティア年です。ひとりひとりが家庭、地域、職場で豊かに暮らせるよう、ボランティア休暇の普及など、ボランティア・NPOの活動が社会に根づくための促進策を積極的に支援していきます。


  1. NPO活動を支援する税制や優遇措置を多様に展開します。
    〜広く皆で支えるために〜


    税の優遇措置を受けることのできる対象は一定の客観的要件を満たしていることとし、その認定は第三者機関が行います。支援税制の内容は、認定された法人に対する寄付については、多くの市民が広く支える制度を目指し、税額控除と所得控除の選択制とし、また、NPO法人が行う収益事業を公益活動に用いた場合については、寄付金として損金参入できることとするなど、市民公益を促進する制度として充実させます。また、相続財産の寄付についても、相続税の優遇措置につき検討します。
    インターネットにおける通信料金の割引、NPOが利用しやすい郵便割引制度の創設を検討します。また、NPO法人の評価・情報提供機関の設立、法人の立ち上げ資金の融資など税以外の分野でもNPOを支援する措置を推進します。


  2. 特定非営利活動法人の分野を拡大します。
    〜活動しやすいNPO法人制度にするために〜


     特定非営利活動法人の12分野を拡大し、「情報の伝達・普及をはかる活動」「科学技術の推進をはかる活動」「産業の流通・振興をはかる活動」「消費者の保護をはかる活動」などを追加します。その他、申請手続きの簡素化、情報公開の方法、虚偽報告等に対する罰則について検討するなど、NPO法人の活動しやすい環境整備と社会的信頼を高めるために、必要な施策を推進します。



7.金融システム改革

  不良債権処理を促進して健全な金融システムを再生。厳格な責任追及によりモラル・ハザードは許しません。

 金融不安はいまだ解消されていません。政府・与党が、不良債権問題の抜本処理を先送りしているからです。私たちは、政府・与党の隠蔽・先送り金融行政を総括し、金融再生関連法に基づいて徹底的な不良債権処理を行うことにより、ペイオフ実施までに健全な金融システムを再生します。もちろん、金融機関の責任は厳格に追及し、モラル・ハザードは許しません。また、直接金融の比率を高めるとともに、担保や保証など銀行に有利な現行の取引慣行を改めさせることにより、中小企業や個人事業主への資金供給を円滑にします。


  1. 金融再生関連法による不良債権処理を徹底します。
     〜健全な金融システムを再生〜


     ペイオフ凍結解除は先送りしません。ペイオフが実施される2002年3月末までに、金融再生関連法に基づいて徹底的な不良債権処理をすすめ、存続不可能な金融機関は整理、存続可能な金融機関には思い切った金額の資本注入を行い、金融不安を解消、健全な金融システムを再生します。当然のことながら、モラル・ハザードは許しません。破綻した金融機関や資本注入を受けた金融機関の責任は厳格に追及します。また、政府が「そごう」に対して実施しようとした、国による債権放棄=税金による私企業救済は認めません。


  2. 情報開示を徹底します。
     〜金融機関の経営内容をわかりやすく〜


     金融機関に対し、時価会計基準に基づいた財務内容や不良債権、地域経済への貢献度などの情報開示(ディスクロージャー)の強化を義務づけます。特に、保険会社については、ソルベンシー・マージン比率算定(不測の事態に備えた支払能力)の厳格化により財務内容の情報開示を強化し、早期是正措置により保険会社の経営を健全化させます。また、公認会計士を大幅に増やすとともに、会計監査が適切に行われているかどうかのチェックを厳格に行います。


  3. 財政と金融を完全分離し、金融行政を一元化します。
     〜透明なルールに基づく公正な金融行政を確立〜


     金融危機を招く一因となった護送船団方式の裁量金融行政と決別します。財政と金融を完全に分離して金融行政を一元化し、金融担当大臣を置くとともに金融検査体制を強化することにより、透明なルールに基づく公正な金融行政を確立します。また、郵貯・簡保については、特殊法人改革の進捗状況をみながら、その規模の縮減を図ります。さらに、日本銀行への政治的圧力を排除し、金融政策の独立性を確保します。


  4. 金融犯罪の取締まりを強化し、「金融問題監視院」を設置します。
     〜バブル崩壊後の金融行政を総括〜


     金融犯罪は厳しく取り締まります。また、国会に「金融問題監視院」(日本版ペコラ委員会)を設置し、バブル崩壊後の金融犯罪・不祥事の真相究明と責任追及を行うことにより、国民に多大な損害を与えた金融行政を総括します。


  5. 中小企業への資金供給を円滑化します。
     〜直接金融の拡大と銀行取引慣行の見直し〜


    中小企業向けの資本市場や債券市場を創設して直接金融の比率を高めるとともに、担保や保証など銀行に有利な現行の取引慣行を改めさせることにより、中小企業や個人事業主への資金供給を円滑にします。



8.経済・産業

  経済構造改革を徹底し、経済産業を活性化します。

 日本経済は、自民党中心の政権による旧い経済構造を温存する救済策と公共事業のバラマキによって長期の景気低迷に陥っています。これでは新しい成長経済を実現することは望めません。これからは、IT(情報通信)、バイオ、新エネルギー、福祉医療、介護、教育、旅行・レジャー、環境、健康などの先端産業やサービス産業を中心とした新しい経済への移行を促進していかなければなりません。
 民主党は、規制改革やIT革命を加速させ、介護・医療・福祉などの社会サービス基盤の整備などに思い切った支援策を講じます。新しい成長分野の担い手であるベンチャー企業、中小企業の元気が出るよう支援策を充実します。科学技術分野への投資を重点化するとともに、知的財産権を保護・強化し、産業競争力を高めます。


  1. 戦略的規制改革を断行し、公正透明な競争を促進します。
    〜規制改革の徹底で経済構造改革を推進〜


     すべての経済的規制を時限性とします。仮にそうした規制を延長する場合は、その理由を行政が明らかにする責任を義務づける「規制サンセット法」を制定します。社会的規制に関しては、基準を明確化し透明化をすすめます。
     従来型公共事業に代わって、これからの成長と雇用増が望めるIT(情報通信)、バイオ、環境、福祉、教育文化などの分野で、民間投資を誘発するための戦略的規制改革を優先的に実施します。
     自由な経済活動を保障する大前提として、公正な取引ルールや時価評価による企業会計基準を確立し、透明性の確保を促進します。あいまいで不透明な商慣行や不公正取引を是正し、「独占禁止法」の実効性を促進するために、公正取引委員会事務局の調査部門を充実します。


  2. ベンチャー支援税制の拡充、女性起業家支援を進めます。
    〜創業支援で起業家を倍増〜


     ニュービジネス、ベンチャー企業の創業を支援するため、創業5年以内の中小ベンチャー法人について、法人課税を減免します。また、これらの企業の直接金融による資金調達を円滑にするため、エンジェル(中小ベンチャー企業に投資する個人投資家)税制を拡充します。増加試験研究費に関する税額控除制度を恒久税制に改めます。
     女性起業家についてのデータベースを作成し、常時、女性起業家に関する情報を確認できるシステムを政府が構築し、民間団体への支援などにより女性起業家の育成に努めます。政府調達において、女性起業家へ一定比率が割り当てられることを促進する制度を創設します。


  3. 円滑な資金供給、まちづくりと一体の商店街振興を実現します。
     〜中小企業・商店街を活性化〜


     中小企業向けの資本市場や債券市場を創設して直接金融の比率を高めるとともに、担保や保証など銀行に有利な現行の取引慣行を改めさせることにより、中小企業や個人事業主への資金供給を円滑にします。政府系金融機関を見直し、中小企業経営、信用評価を専門業務とする特別の調査・評価機関の設置を検討します。また、地域に根ざした金融機関が中小企業にとってさらに有益な金融機関になるよう環境を整備します。
     優秀な技術やアイディアを持ちながら、実行に移す場所がないばかりに、それらを生かせない経営者や起業家のために、ハローワーク等に情報コーナーを設置します。空き店舗・入居希望者等の情報を公開し、商店街の空き店舗や空き地の活性化を図ります。
     商店街を中心とした福祉コミュニティーの再構築のために、1階を商店街、2階以上を高齢者向けケア付き公的賃貸住宅とした「シルバーハウジング」の建設を促進します。商店街と高齢者住宅を結びつけることで、商店街は高齢者たちの知恵と経験が得られ、高齢者たちには雇用機会が得られます。又、介護保険の導入に伴う在宅介護対象者への住宅供給を促進します。


  4. 知的財産権戦略会議の設置、特許体制の強化を進めます。
     〜知的財産権を保護・強化〜


     知的財産権政策を産業競争力強化の重要な政策手段として位置づけ、首相を議長とする「知的財産権戦略会議」を設置します。特許法を改正し、サービスなどの方法を発明の対象にするよう特許概念を抜本的に改革します。
    「特許裁判所」の新設や弁理士の裁判権限の拡充、高い専門性を有する裁判官及び裁判所調査官の育成増員を行います。また、特許係争の悪用に対するセーフティネットの創設に取り組みます。


  5. 先端研究分野への重点支援に取り組みます。
     〜科学技術力強化により産業競争力を向上〜


     21世紀の産業の鍵を握るヒトゲノム(人間の全遺伝情報)、イネゲノム(稲の全遺伝情報)、IT(情報通信)、新エネルギー等の先端分野への研究開発投資を積極的に行い、国際競争力をより強くします。産学官の連携強化を図り、すぐれた技術や方法の発見・開発を促進します。
     知的財産権の創造に重要な役割を果たすTLO(技術移転機関)による大学からの技術移転を促進します。また、特許開発の活性化を促すため特許流通アドバイザーなどによる特許流通の支援策を強化します。



9.雇用・労働

  雇用の場を創り出す基盤整備を強力に推進します。

 雇用の安定は、経済はもとより、社会の安定にとって基盤となるものです。そのためには、経済の構造改革をすすめるとともに、福祉や環境対策などの施策を推進し、新たな雇用の積極的創出をすすめ、雇用安定を実現することが求められています。民主党は、規制緩和や技術革新、構造改革に伴う構造的失業に対して、積極的な労働市場政策を打ち出し、雇用機会創出のための環境づくりをすすめます。少子・高齢社会に伴い、男女の性にとらわれず、従業員の働く意欲や能力を生かすこと、特に女性の活用が企業発展の鍵となります。民主党は仕事を続けながら育児や介護を両立したいという男性、女性のニーズに積極的に応えます。また、ワークシェアリングの発想に立ち、働くときには働き、休むときには休む、メリハリをつけた働き方を提唱し、労働時間短縮を実現します。


  1. 若者の雇用を確保します。
    〜きめ細かい就業支援〜


    失業率が深刻で、しかも定着率の悪い若年層を中心に、学校での職業訓練を積極的に支援するとともに、職業紹介事業の規制緩和を通じ、事業者のニーズにあった職業教育・職業訓練による技能と能力の向上、インターン制度の導入、時間をかけたカウンセリング、きめ細かい情報提供などを積極的にすすめます。


  2. 雇用の流動化には新たなセーフティネットを構築します。
    〜公正な労働市場を確立〜


     「募集・採用等雇用における年齢差別禁止法案」を提案し、特に中高年の再就職希望者に大きく立ちはだかる年齢を理由とする画一的な対応をなくし、公正な労働市場の確立に努めます。また、在職中からの自発的な職業能力の向上をバックアップするとともに、事業主にも安易な解雇を促進しないこと、離職を余儀なくされた場合の再就職支援などを強く求めます。また、IT分野など最新の専門性の高い職業能力を身につけるため、民間活力を最大限活用する「能力開発バウチャー制」の導入などを図ります。


  3. 育児・介護休業をさらに充実します。
    〜仕事と育児の両立を支援〜


    民主党はすでに「育児・介護休業法」を「職業生活と家庭生活の両立支援法」と名称を変更し、「家族看護休業制度」、育児休業の分割取得、短時間勤務制度の請求権確保など、父親も育児に参加しやすい環境整備を提案していますが、今後さらに育児休業給付の拡充、期間労働者への適用などの見直しを行ない、家族の絆を強め、仕事と家庭を両立させるためのメニューを一層豊富にします。


  4. 長期休暇制度を法制化します。
    〜メリハリつけて働く仲間を応援〜


    政府がこれまで批准を怠ってきたILO第132号条約(年次有給休暇に関する条約)批准を実現し、すべての産業において時間外労働を減らし、長期休暇制度の法制化、年次有給休暇の消化といった施策を通じて、労働時間の短縮をすすめます。


  5. パートや派遣の労働条件を整備します。
    〜間接差別を排除〜


    「男女同一労働・同一賃金」の原則に立脚し、雇用保険への加入条件の撤廃など非正規雇用者も含めた社会保険制度や労働条件の整備をすすめ、多様な雇用形態を安易な企業コスト削減や雇用調整弁としてのみ活用することを防ぎます。また、個人の性別・年齢・家族状況にこだわらず、職業能力による評価基準を確立していくことで、正規雇用者を前提とした雇用体系から、流動的な雇用形態にも対応したセーフティネットの確立をめざします。


  6. 個別紛争処理制度を拡充します。
    〜職場のトラブルを迅速処理〜


    賃金の未払い、解雇、職場での差別的取扱いなど、労働者個人が職場内だけで解決できないトラブルが急増しており、民主党はすでに、現行の労働委員会が個別的労使紛争を簡易かつ迅速に処理できるシステムづくりを「個別的労働関係の調整に関する法律案」で提案しています。今後さらに、地方労働委員会を中心に各都道府県の労働局などと連携しながら、職場のトラブルの相談、あっせん、調停、仲裁まで対応できるワンストップサービス機能をさらに充実させていきます。


  7. ホームレスの社会復帰を支援します。
    〜住居・就労支援で長期化を防止〜


     長引く不況を背景に、都市部を中心に目立っているホームレスの生活実態の把握を的確に行い、生活保護の適切な実施を含め、実態に合った対応をします。特に就労意欲のある路上生活者については、定住場所としての住居支援、就労支援を行い、ホームレス状態の長期化を防ぎ、自立と社会復帰を支援します。



10.消費者政策

  『賢く強い消費者』になるための支援に取り組みます。

 日本はいま、これまでの消費者保護行政を軸とする政策から自立する消費者の行動を積極的にサポートする政策へと大きく転換することを求められています。民主党は、悪徳商法、契約トラブル等から消費者を守ることを目的とした「消費者契約法」の成立に積極的に取り組みました。消費者が法律の趣旨を理解できるよう環境整備を図るとともに、法の厳正な運用に努め、国民一人ひとりが消費者としての自由な選択の幅を広げ、そのリスクを自ら管理する社会の構築をめざします。消費者自らが必要な情報を入手し、自分で的確な判断を下すことのできる「賢く強い消費者」の育成を支援していきます。また、多重債務の発生など社会問題を引き起こしている消費者金融の高金利を引き下げます。金融サービスにおける消費者保護ルールを確立するため、「金融サービス法」を制定します。


  1. 消費者教育の充実、団体訴訟権を整備します。
     〜「賢く強い消費者」をつくる〜


     情報を持ち、自分で的確な判断をくだすことができる「賢く強い消費者」をつくるため、義務教育の段階から消費者教育を強化するなど、消費者教育充実に向けた政策を行います。
     個人だけでなく、消費者団体などが悪質な約款などの差し止めを求める裁判をおこすことができるように団体訴訟権の確立をめざします。


  2. 金融サービス法の制定し、法定金利も引き下げます。
     〜消費者本位の金融サービスのためのルールづくり〜


     さまざまな金融サービスを総合的にカバーする金融サービス法を制定し、消費者保護のルールを確立するとともに、金融機関の身勝手な貸し渋りを防止するため、融資を断る場合はその理由を明確に説明することを義務づけます。
    また、出資法の上限金利を現行の29.2%から15〜20%に引き下げて利息制限法とのグレーゾーンを解消し、サラ金や商工ローンの高金利を是正します。


  3. 食の安全を徹底します。
     〜消費者本位の食品行政〜


     「食品衛生法」を改正し消費者の権利を明確に位置付けます。食の安全性確保のために、食品の成分・由来(無農薬・遺伝子組換え・原料原産国など)の表示を義務化します。輸入農産物の安全確保のために、国際食料検査官制度を創設します。



11.農林水産

  自給率向上と循環型の農林水産政策を確立します。

農業・食料政策は安心した暮らしを送るための重要な政策の柱です。しかし、わが国の農業・農村は、戦後の画一的な農政の結果著しく衰退し、食料自給率を見ても欧米先進国に比べ極端に低いのが実態です。政府・与党がここ数年の間すすめてきたいわゆるガット・ウルグアイラウンド対策も、自給率の向上や競争力の強化に結びつかなかったばかりでなく、農民不在の「農業土木」補助金に群がる政官業の利権構造をこれまで以上に強固なものにしてしまったのです。民主党は、このような硬直かつ不透明な戦後農政から脱却し、真に農業者、消費者の利益となる農政を確立します。そのため、農政の大目標を「食料自給率の向上」と「地域循環型農業の確立」に定め、「農業土木偏重から所得政策重視へ」、「環境保全型農業の促進」、「食の安全の確立」を農政の三大重点政策とします。
 併せて、「緑のダム構想」に基づく森林・林業政策の確立、海洋資源の保全・回復を基本とする海洋・水産政策をうちたてます。


  1. 自給率向上と多様な担い手の確保に取り組みます。
     〜農業・農村の再生をめざす〜


     当面の食料自給率目標を50%に定め、麦・大豆など基幹作物別の目標を設定するとともに、事実上強制となっている米の減反については、実質的な選択制とします。
     担い手対策として、農業参入の規制緩和を進めるとともに、農業生産法人の育成や脱サラなど農外からの新規参入者への支援を行います。IT革命で農村に都市的サービスを提供し、新たな居住者を迎えます。


  2. 農地の有効利用をすすめます。
     〜優良農地の確保〜


     優良農地を確保する視点から転用規制を進めるとともに、国際競争力のもてる農業を育てるために経営意欲のある農業者への農地集積政策を確立します。農振法や都市計画法など農地に関わる関係法の一元化を行い、新たに総合的な土地利用計画を策定できる体制を整備します。


  3. 新たな所得政策を確立します。
     〜農業経営の安定化〜


     所得政策の対象を、1.農産物自由化の影響を最も大きく受ける専業的農家、2.有機農業などの環境保全型農業に取組む農家、3.条件不利地域の定住対策の三つに分け、それぞれ法律に基づく明確なルールをつくります。


  4. 環境保全型農業を進めます。
     〜環境と農業の調和〜


     「有機農産物生産・流通振興法(仮称)」を制定し、生産農家への助成(直接支払い)を行うとともに、学校給食での食材活用・生ごみの飼料化などを通じた地域循環の推進、自然生態系に配慮した土地改良や農薬の空中散布禁止など環境保全型農業をすすめます。


  5. 農業団体を根本から改革します。
     〜地域農業の自立へ〜


     全中・全農を頂点とするピラミッド型の農業協同組合系統のあり方を根本的に改め、地域の農協が自ら考え行動するシステムを確立します。
     自民党の集票・集金マシーン化した現在の土地改良制度を抜本的に見直し、個々の農家が納得の上で主体的に参画する土地改良事業に改めます。


  6. 森林・海洋資源の持続的活用を進めます。
     〜自然との共生をめざす〜


     水源涵養・国土保全・保健休養・野生鳥獣保護を目的とした森林の再生と循環型林業を確立する観点から、森林・林業関係の法整備を行います。
     荒廃の進んだ人工林の間伐に対し直接支払いを実施します。また、間伐材を利用した木質バイオマス発電の推進などによる地域振興を図ります。
     「自然生態系の保護・回復」と「持続可能な漁業の実現」を図る観点から水産・漁業関係の法整備を行います。



12.環境

  環境負荷を増やさない持続可能な社会をつくります。

地球温暖化をはじめとして、オゾン層の破壊、砂漠化など地球規模の環境問題が発生し、年々その規模を拡大させています。また、世界中の人たちが日本人と同様の生活を行った場合、地球が3個必要となるという指摘もなされています。したがって、早急にライフスタイルを転換し、環境容量内での持続可能な社会を築かなければなりません。環境破壊の原因は、自然を無限と考え、自然界に廃棄物や有害化学物質を拡散させていること、自然の生態系による循環を断ち切っていることにあります。したがって、持続可能な社会への転換を図るためにも、1.製品の循環、2.化学物質の循環、3.自然の循環−の輪を確保しなければなりません。そのための具体的政策を提示し、その実現をめざします。


  1. ライフスタイルの転換を行うために。
     〜環境情報公開法を制定〜


     環境に関する情報の多くは、行政や企業に集中的に存在し、国民は自由にその情報を引き出すことができません。環境負荷の少ない製品を消費者が選択できるよう、一定の環境情報の公開を義務づける「環境情報公開法」を制定します。
     〜環境教育法を制定〜
    環境問題の解決のためには、環境と調和しつつ豊かさを増進させる方策をひとりひとりが真剣に考えなければなりません。環境負荷の少ないライフスタイルへの転換を図るため、環境教育を推進する「環境教育法」を制定します。


  2. 省資源・循環型社会を確立します。
    〜廃棄物を徹底的に減量〜


     資源利用の節約と製造者の製品引取義務、廃棄物の管理強化を定めた資源循環・廃棄物管理法を制定します。飲料容器などにデポジット制を導入し、再使用を促進します。

     〜環境保全・資源循環型税制の導入〜

    環境負荷軽減に資するものについては税を軽減し、環境負荷を増大させるものについては税負担を重くするという基本的考え方に立った税制の仕組みを整備します。地球温暖化防止のため、炭素・エネルギーを対象とする環境税を早期に導入します(他に転換不可能な原料炭・ナフサ等の原材料としての使用は対象にしません)。これに伴い、課税対象が環境税と一部重複する自動車関係諸税については、その複雑多岐にわたる仕組みの簡素化、暫定税率をはじめきわめて高率となっている税率の引き下げ、道路特定財源としての使途制限の廃止などを含めて抜本的に見直します。また、電力料金にかかる電源開発促進税についても、今後、その仕組み、税率、使途などについて見直しを検討します。都市近郊の里山・雑木林の保全、都市周辺の水道水源の確保、リサイクル・デポジット制度の普及にむけ、地方環境税制の充実を支援します。


  3. 有害化学物質の拡散を許しません。
    〜化学物質コントロール法を制定〜


    有害化学物質の拡散を防止するため、省庁縦割りではない、有害性の検査や各種規制(製造禁止、用途規制、回収義務、表示)、情報公開などを内容とする総合的な「化学物質コントロール法」を制定します。

     〜シックハウス(室内環境汚染)対策を徹底〜

    化学物質過敏症・シックハウス対策のために、室内汚染の基準、建築物の検査体制の強化、化学物質過敏症患者支援などを内容とした法整備を行います。

     〜フロン回収を義務づけ〜

    オゾン層破壊物質、強力な温暖化物質であるフロンの回収が現状ではほとんどすすんでいません。世界第2位のフロン生産・消費国である日本の責任を果たすためにも、費用負担を明確化してフロンの回収を義務づける法律を制定します。

     〜土壌汚染防止法を制定〜

    土壌中のダイオキシン問題など、有害化学物質による土壌の汚染が問題となっています。有害化学物質で汚染された土壌の実体を把握し、浄化するための法律(土壌汚染防止法)を制定します。


  4. 水循環・自然循環を確保します。
     〜水循環法を制定〜


    自然の摂理に従って絶えず循環している水を総体として捉え、水循環系への負荷を最小化するために、森林と河川の一体的管理を実現する水循環法を制定します。

     〜野生生物保護法を制定〜

    干潟や沼などの湿地は多様な生物の生息地となっていますが、開発などにより多くの湿地が失われています。湿地の開発を抑制し保全を図る法律を制定します。
    農作物などの被害対策だけを優先するのではなく、野生生物の保全が科学的に図られるよう、野生生物保護法を制定します。

     〜環境復元型公共事業への転換〜

     河川のコンクリート張りを自然の状態に回復するなど、環境破壊型の公共事業から環境復元型公共事業への転換を図ります。



13.エネルギー

  循環型経済社会の確立めざし、省エネ国家を構築します。

「循環型経済社会をめざした省エネルギー国家の構築」を目標に、環境優先を基本に、経済のバランスを追求しながら総合的なエネルギー政策を推進します。資源小国であるわが国は、石油、石炭、天然ガスなど必要なエネルギーを国の責任で確保するとともに、「経済発展」「資源の確保」「環境保全」の3つの課題の同時達成(トリレンマの解決)をめざしたベスト・ミックスを追求します。
気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での約束の遵守を前提に、エネルギー多消費につながる社会慣習、生活慣習、経済活動を見直し、省エネルギー・新エネルギー関連の技術開発、研究開発の強化を推進します。環境対策、省エネ推進、原子力発電の安全性向上、再生可能なエネルギーなど、アジア諸国のエネルギー確保のための国際協力を強化します。


  1. 省エネ技術の開発促進、環境重視の教育の徹底に取り組みます。
    〜エネルギーを無駄にしない社会を確立〜


    付加価値の高い省エネルギー型産業構造への転換や、省エネルギー型生活スタイルの普及促進のための実効ある誘導政策の推進に努めます。このため、環境税を含む経済的措置の具体化、省エネを促進するグリーン税制の確立、クリーンエネルギー自動車やコジェネレーションシステムの開発、省エネ型住宅建築技術の開発など、省エネ技術の戦略推進などに取り組みます。環境重視のエネルギー教育を徹底し、意識改革を通じた新たな国民的価値観の形成にも取り組みます。また地球温暖化防止に向け、CO2排出のエネルギー利用を見直し、国際公約の達成に努めます。


  2. 風力、太陽光発電などの割合を高めます。
    〜自然エネルギーの発電を促進〜


    風力や太陽光など再生可能エネルギーの総発電量に占める割合を2025年までに10%に向上させます。このため、自然エネルギー発電の促進に必要な法整備を行うとともに、新エネルギーの利用技術の研究開発と普及促進のための予算を大幅に増額します。燃料電池等についても、重点的な支援策を講じます。核融合などの未来エネルギーの研究開発を積極的に推進します。


  3. 石油依存度を減らします。
    〜天然ガス・コジェネを促進〜


     石油依存度を低下させるため、LNG火力発電所建設、都市ガス利用拡大など天然ガス利用の普及、LNG基地、国内パイプライン網建設など利用環境整備を促進します。さらに、ガス・コジェネレーション、ガス冷房など都市ガスの利用拡大の推進と家庭用高効率機器の開発と普及促進、天然ガス自動車等の積極的導入などに努めます。 


  4. 原子力開発は安全性を最優先させます。
    〜原子力安全規制委員会を設置〜


    わが国の原子力開発は、安全性を最優先させ、万一に備えた防災体制を確立した上で、過渡的エネルギーとして慎重に推進します。まず、原子力安全規制の独立性及び安全チェック機能の強化・充実をはかるため、経済産業省や文部科学省から切り離した、国家行政組織法第3条による原子力安全規制委員会を新たに創設します。原子力施設の立地地域の防災に資するため、住民の安全確保に関する事項については国が責任をもって取り組む体制を確立します。
     プルトニウムの再利用はMOX燃料、高速増殖炉などの研究開発用として使用計画のある分量のみを抽出し、その他の使用済燃料は中間貯蔵します。その間、安全確保を前提とした使用済燃料の国内再処理事業の確立と核燃料サイクルの研究開発を進め、廃炉技術の技術的安定性と併せて、信頼性確立のための先進国間の協力などを推進します。


  5. 国民の意見をエネルギー政策に反映します。
    〜エネルギー長期需給見通しを国会承認に〜


     エネルギーの安定供給確保のために、エネルギーの長期需給見通しについては国会承認とし、エネルギー資源輸入先の分散化など外交的努力に努め、エネルギー安全保障を確立します。



14.社会資本整備

  住民参加のまちづくり、災害に強いまちづくりを進めます。

住民の暮らしやすい「まちづくり」とは、住民がみずからの手で主体的につくりあげていくものです。民主党はまちづくりにおける地方分権を推し進め、市町村などが行う創意工夫あふれるまちづくりをサポートするとともに、住民参加の体制づくりを地域から支援します。
交通・物流分野では、鉄道・空港・道路・港湾などを総合的・体系的・効率的な整備を行います。また、公共交通機関が誰でも安心して自由に移動できるバリアフリー社会を早急に実現します。
災害対策を推進し、災害発生時の危機管理体制を確立するとともに、不幸にも災害にあわれた方々の生活基盤の再建など、セーフティーネットの整備をすすめます。民主党は住宅再建支援制度の確立や被災者生活再建支援金の拡充など、被災者救済のための諸制度をより充実したものに改めるとともに、国のもつべき責任を明確にします。


  1. 住民参加の「まちづくり」を支援します。
    〜都市政策の分権を推進〜


    徹底した地方分権により、国が極力関与しない形での都市政策を実現します。また再開発事業等に関して、住民参加・住民主導の体制を強化します。
    交通渋滞対策や下水道整備などにPFI(民間資金活用)方式をとりいれるなど、多様な形式での都市インフラ整備を推進します。


  2. 市民のための住宅政策を推進します。
    〜豊かで安心できる住宅環境を整備〜


    住宅取得にかかる税制のあり方について検討し、勤労者のための持ち家政策を推進します。また高齢化社会の到来に伴う住宅リロケーション(住みかえ)の促進、生活スタイルの多様化に対応する中・大規模賃貸住宅普及のための環境整備、耐震基準など住宅の質に関する情報開示等、住宅にかかるさまざまな環境整備を行います。


  3. ひとにやさしい、安心できる交通を確立します。
     〜交通のバリアフリー化を推進〜


     総合交通体系を確立し、誰もが安心して自由に移動できる権利を明記した「交通基本法」の成立をめざします。交通のバリアフリー化をさらに推進するため、タクシーのバリアフリー化、移送サービスの拡充等を求めていきます。航空機内での迷惑行為が増大し、航空機の安全な運行に支障をきたしていることから、航空機内での迷惑行為を防止するための法律の成立をめざします。


  4. 排ガス対策強化・路面電車導入を進めます。
     〜環境優先の交通政策〜


    ディーゼル車の排ガス対策を強化・徹底するとともに、地球温暖化対策としてモーダルシフト(効率的で環境にやさしい交通・物流システム)やノーカーデーの実施などを推進します。環境負荷の少ないバリアフリーな交通機関として評価の高い路面電車(LRT)の復活・導入を推進します。


  5. 観光資源の活用で脱公共事業型地域づくりをすすめます。
    〜観光行政を国土交通省から分離〜


    観光とまちづくりを一体化し、公共事業に頼らない地域づくりを推進します。観光資源の活用を地域経済の柱とするために、観光行政を国土交通省から分離し、新たな行政組織を整備します。


  6. 大規模災害に迅速に対応します。
    〜日本型FEMAを設置し、危機管理体制を確立〜


    米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)を参考に、内閣総理大臣の権限を強化し、「災害情報危機管理室(日本型FEMA)」を設置します。災害発生直後の初動期において迅速な対応を可能とするため、煩雑な諸手続きを簡略化するなど、内閣および関係省庁間の指揮命令系統を改善します。国・地方公共団体・警察・消防・自衛隊・企業・ボランティア・NPOなどの役割分担・協力体制の整備をすすめ、災害発生直後の救援活動の円滑化をすすめます。


  7. 被災者の生活再建と自立支援を応援します。 
     〜災害復興体制を確立〜


    自然災害により住宅が損壊した世帯に対して、住宅再建を可能にするため「住宅再建支援法」を成立させます。国の責任において被災者の生活基盤を回復させるため、生活再建支援金の支給額引き上げ、支給要件の緩和、財源の全額国庫負担など、「被災者生活再建支援法」を改正します。災害により後遺障害を負った方に対し、死亡弔慰金と同額の500万円を最高額に見舞金を支給できるよう、「災害弔慰金法」を改正します。「激甚災害法」に基づく指定基準の緩和を図り、その指定及び実施の迅速化を図ります。



15.外交・安全保障

  「平和を創る国」として、自立的・主体的な外交を展開します。

20世紀、人類は二度の世界大戦と東西冷戦、そして幾多の紛争に苦しんできました。第二次大戦後の日本は、冷戦構造の中で、外交・安全保障上の判断と責任の多くを米国に依存し、自らは経済成長に専念してきました。現在、冷戦構造は終結したものの、拡大する経済格差、貧困、人権侵害、テロ、環境、麻薬、難民、感染症、核兵器拡散など新たな人類の課題が顕在化しています。
21世紀を迎え、朝鮮半島情勢、米新政権誕生など国際情勢が変動する中、「平和の最大の受益者」であった日本が、その特質や経験、得意分野を生かして「平和を創る国」として自立し、主体的に貢献していくときです。
民主党は、歴史の過ちを謙虚に受け止め、新たな国際環境において、諸外国との信頼を基礎に共生を図り、より豊かで平和な国際社会を創造するため、自立的かつ主体的外交を展開します。


  1. 日米安全保障の再構築に取り組みます。
    〜日米関係を創造的に展開〜


    国際情勢の変化をふまえ、日米地位協定の運用改善・見直し、在日米軍基地の整理・縮小、在日米軍駐留経費負担の検証、周辺事態法の不断の見直し等を含め、絶えず日米関係のあり方を検証します。また、積極的に日米対話を促進し、日米安全保障体制を基軸としつつ、新時代において平和と安全を一層確実にするための日米関係を創造します。


  2. 米軍基地の整理・縮小と沖縄振興・発展を推進します。
    〜SACO・の検討と沖縄経済新法の制定〜


    沖縄に集中する米軍基地の整理・縮小を推進する立場から、沖縄県民の意思を最大限尊重し、駐留軍用地返還特別措置法(軍転法)を改正するとともに、SACO合意の再検討をはじめSACO・の検討に着手します。また、民主党の沖縄振興策(2000年5月発表)にもとづき、地域の特性を活かしたベンチャー産業等の導入など、雇用の創出にも寄与する沖縄経済新法の制定をめざします。


  3. 国連平和維持活動(PKO)に積極的に参加します。
    〜PKO法の見直しと参加態勢の整備〜


    国連平和維持活動(PKO)の展開は、世界の平和と安定のために重要な役割を果たしています。紛争の質的変化により多様化・複合化するPKO活動において、PKO参加5原則の見直しや国連平和維持部隊(PKF)の本体業務の凍結解除をはじめ、文民警察派遣、司法行政システムの確立、教育再建や地域インフラなど復興支援や開発に関る新しい活動分野において、我が国が積極的に協力・貢献できるよう、研修・訓練や人材育成のあり方、情報・研究や実施態勢の整備を行います。


  4. 真に役立つ政府開発援助(ODA)に改革します。
    〜ハードからソフトへ、供与原則の厳格化〜


    政府開発援助(ODA)は、我が国の国際貢献の重要な柱のひとつです。現在、様々な課題が指摘されている我が国のODAを、ハード中心から人材育成・技術協力など人間を主体としたソフト中心に転換するとともに、軍備や民主化などに関る供与原則の厳格な適用により、真に国際社会の平和と繁栄に役立ち、国際社会から一層評価されるよう改革します。


  5. 緊急事態で国民の生命・財産・権利をしっかり守るルールを確立します。
    〜緊急事態基本法及び関連法の整備〜


    緊急事態に際し、国民の生命・財産を守るための政府の活動が確実かつ円滑に実施されるとともに、政府の恣意的行動により国民の権利が不当に侵害されないように明確なルールを確立します。


  6. 核のない世界へ核軍縮・不拡散へのリーダーシップを確立します。
    〜常設機関の創設、NGOとの連携強化〜


    「民主党核政策」(2000年4月発表)に則り、核兵器のない世界をめざして、核軍縮・不拡散にリーダーシップを発揮します。核不拡散条約(NPT)の着実な実施に加え、カットオフ条約や核の先制使用禁止条約等の提案実現に向けた検討、核軍縮・核不拡散を恒常的に検討し実施状況を監視する常設機関の創設、「北東アジア非核地帯構想」、内外のNGOや核廃絶に向けた運動の連携等を推進します。


  7. 北東アジア地域の平和と安定の推進に積極的に取り組みます。
    〜朝鮮半島の安定と日朝・日露交渉の推進〜


    米・韓はじめ中・露等周辺諸国と密接に連携して、朝鮮半島の平和と安定に向け積極的な支援を行います。同時に、懸案を抱え停滞している日朝国交正常化交渉や領土問題解決による平和条約締結に向けた日露交渉の推進について積極的に取り組みます。


  8. アジア地域の信頼と安定を高めます。
    〜地域安全保障・経済協力対話を推進〜


    アセアン地域フォーラム(ARF)、アジア太平洋経済協力(APEC)等や、米・中・韓・露等周辺諸国との二国間・多国間協議の場を重視します。信頼醸成と安全保障に関する対話で、日本が積極的にリーダーシップをとり、東アジア地域における安全保障の確保と経済協力を促進し地域の安定を図ります。


  9. 国際社会の諸課題の解決に積極的に貢献します。
    〜国連の諸機能を強化〜


    国際平和の構築に積極的に貢献するため、国連安全保障理事会入りをめざすとともに、貧困、人権侵害、テロ、環境、麻薬、難民、感染症、地雷除去など人類の安全保障に関る国際社会の諸課題について、国連の諸機関の改革を進め積極的に取り組みます。


  10. 幅広く厚みのある外交と日本からの発信を推進します。
    〜NGOとの連携強化、国際交流の推進〜


    NGO・民間ネットワークと連携し、幅広い厚みのある外交をめざすとともに、留学生支援や若者交流、スポーツ交流等積極的な国際交流により、日本の伝統・芸術・文化を世界に発信し、「顔」の見える外交を展開します。



16.警察改革・犯罪対策

  国民のための警察に改革し、犯罪を厳しく取り締まります。

警察に関する不祥事が数々発覚しました。また、警察が、市民の保護の求めに対し、民事不介入などを理由に思いやりのない不適切な対応をしていることも次々に明らかになりました。この警察の「おごり・身内をかばう・閉鎖的・国民に耳を貸さない」などの体質は目を覆うばかりであり、国民は怒り心頭に達しています。また、警察官の違法・不当な行為について、国家公安委員会の監察機能が十分果せていないことも明らかになっています。国家公安委員会の事務を警察が担っていますが、この「監察される側」が「監察する側」を事務補佐するというまったくの矛盾が警察腐敗の温床となっていることは言うまでもありません。民主党は、国民、そしてまじめに勤務する警察官の立場から警察のあり方を改革します。また、時代と共に多様化する犯罪から善良な市民を守るため強力な対策を行います。


  1. 国家公安委員会は警察庁から独立させます。
     〜警察を厳しく監督する態勢を確立〜


     国家公安委員会は、国民に代わり、国民の目線で警察を管理する機関であり、警察庁が国家公安委員会の事務局機能を担っているという、つまり、「監察される側」が「監察する側」の事務補佐をしている現状は本末転倒です。そこで警察から国家公安委員会を独立させ独自の事務局を設置しきちんとした監察態勢を確立します。また、「苦情処理委員会」の設置、警察情報の積極的な公開、いわゆる「キャリア」にとらわれない業務実績と経験に基づく幹部登用などを進めます。憲法上保障された通信の秘密を侵す恐れがある盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受法)は、警察への信頼が回復していないため、廃止します。


  2. 暴力団・カルト・ハイテク犯罪に速やかに対応します。
     〜時代に対応した重点捜査体制の確立〜


    オウム真理教に代表されるカルト教団、対策法施行後もはびこる暴力団、次々と日本に上陸する国際的な犯罪集団、そして、一般市民にも広がっている拳銃や薬物の密売など、私たちの安全を脅かす犯罪組織の拡大がすすんでいます。目的を異にする破壊活動防止法の利用や、対象が拡大してしまう組織的犯罪処罰法ではなく、暴力団対策法をさら拡大強化した犯罪組織取締法を制定します。
     また、こうした問題に加えて、コンピューター・ネットワークを通じた犯罪、ストーカーなど新種の犯罪、ドメスティック・バイオレンスなど家族・家庭内における犯罪など、時代の変化に捜査体制が追いついていない分野が少なくありません。イデオロギー対立下の社会を前提につくられた公安中心の警察組織を柔軟かつ大胆に改め、人員の機能的な配置転換によって、国民生活に密着した犯罪に対する捜査体制を大幅に強化します。


  3. 少年犯罪予防体制の一元化を進めます
     〜地域ぐるみで少年の心の問題に取り組み〜


    少年犯罪を減少させるためには、その背景にある心の問題に真正面から取り組むとともに、犯罪の芽を早い段階で摘み取ることが重要です。しかし、現在の体制では、警察・学校・児童相談所などの関係行政機関が縦割りである上に、保護者・地域住民・ボランティア・弁護士など民間との連携も不十分です。心の悩みを抱えた子どもたちも、また、いじめなどにあっている子どもたちも、どこに救いを求めたら良いのかが分からない状況にあります。
    中学校区程度を単位として、すべての関係者に心の問題の専門家も加えた連絡協議会を設置し、どこが窓口になった場合でも、速やかに適切な専門家のアドバイスを受けられる体制を整備します。特に、行政・警察組織以外の相談窓口を重視し、ボランティア・弁護士・心の問題の専門家など、どこに行けば誰にどんな相談を受けられるのかを、行政の責任で保護者と子どもたちに周知させます。


  4. 「犯罪被害者基本法」を制定します。
     〜被害者の立場から〜


    犯罪被害者への給付金制度を拡充するとともに、すでに民主党が提出している、犯罪被害者の権利を保障する「犯罪被害者基本法」の成立を図ります。



17.司法制度改革

  国民に開かれ、そして迅速な司法を実現します。

 現在の裁判について、国民の多くは、近寄りがたい存在と受けとめています。これは、裁判所が閉鎖的であり、権威主義的であると思われることと、裁判と国民を結びつける役割を担っている弁護士の不足から来るものと考えられます。このため、わが国では、紛争の多くが、「示談」「泣き寝入り」「民暴」「政治決着」「行政指導」など、裁判外の手法により決着付けられており、「二割司法」などと呼ばれるように、司法が本来期待されている機能のごく一部しかその役割を果たしていません。民主党は、国民に開かれ、そして迅速な司法を実現するため、司法のあり方を制度の根本から改革します。


  1. 法曹人口を大幅に拡大します。
     〜ロースクールの新設〜


     わが国の法曹人口は約2万人であり、総人口に対する割合は欧米主要国の20分の1〜4分の1に過ぎません。国民に対し法的サービスが行き渡るようにするため、早急に司法試験合格者数を毎年3千人程度まで拡大し、法曹人口10万人体制をめざします。法曹の質を維持しながら増員するため、法科大学院(ロースクール)制度を新設します。
     弁理士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士など隣接専門職の参画を広げ、国民に利用しやすい司法を実現します。


  2. 裁判を迅速化します。
     〜集中審理方式の導入〜


     現在の民事裁判では、争いのある事件については、長期化することが避けられない構造になっています。当事者による主張・立証活動について、原則として短期集中的に実施することを義務づける集中審理方式を採用し、裁判の迅速化を図ります。


  3. 実社会の経験を踏まえた裁判官に。
     〜法曹一元制度の導入〜


     現在の裁判官は、司法修習終了後ただちに採用され、その後は、年数を経て出世していくキャリアシステム(官僚制)に縛られています。そのため、社会常識に乏しく、また、上からの統制に服しやすい裁判官を生み出しています。このようなキャリアシステムを改め、裁判官を、弁護士などを10年以上経験した者などの中から登用する仕組み(法曹一元制度)を実現するとともに、その登用にあたっては国民の声が反映される制度も採用します。


  4. 国民や専門家が参加する裁判制度に改革します。
     〜陪審制・参審制の導入〜


     裁判に国民の良識を直接反映させるため、刑事裁判では陪審制を採用し、被告人の選択により陪審による裁判を受けることができることとします(選択的陪審制)。
     民事裁判のうち特許事件、医療過誤事件、海難事件など特殊分野の裁判については、その分野の専門家が裁判官を補助する参審制を採用します。
     その他の民事裁判あるいは行政事件についても、国民が参加する陪審制、参審制を導入します。


  5. 裁判を受ける権利を充実します。
     〜被疑者国選弁護法の制定〜


     経済的理由で裁判を断念したり、弁護士を依頼できないといった状態を解消するため、「法律扶助法」を充実させ、「被疑者国選弁護法」を制定します。



18.税制改革

  

 自公保政権は、何らの改革理念も財政再建への道筋も示さないまま、景気対策と称して無責任なバラマキ減税、高額所得者を優遇する所得税・相続税の累進税制緩和、キャピタルゲイン課税などの改革先送りの議論を続けています。民主党は、このような政策をすみやかに転換します。民主党は、何よりも国民が安心できるしっかりとした社会保障の財源基盤を確立することが重要と考えます。また、税制を簡素でわかりやすいものにし、税制の公平と信頼を取り戻します。国民の多様な生き方の選択を尊重する立場から、個人所得課税はジェンダー・フリー(性別役割分業を固定化しない税制)、エイジ・フリー(特定年齢層だけを特別扱いしない税制)であるべきです。また、租税特別措置などの政策税制については縮小の方向で整理を進めますが、日本経済の再生と持続可能な社会への脱皮をめざしニュービジネスや環境問題に思い切った政策税制や新しい社会システム税制を導入します。


  1. 多様な生き方の選択を尊重するシンプルな税制を実現します。
     〜複雑な所得控除を子育て支援などの社会保障給付に転換〜


    家族単位、男性主体の所得税を、男性も女性も所得に応じて負担する所得税に改めます。扶養控除や配偶者控除などの人的控除は、所得税制を複雑なものにし、その課税最低限を引き上げているだけでなく、所得控除であるがゆえに高い累進税率の適用される高額所得者に有利な仕組みとなっています。人的控除を見直し、その財源を子育て支援策(児童手当の抜本的拡充、育児・介護休業給付の引き上げ、保育サービス拡充など)を中心に本当に必要な社会保障給付等の財源に転換します。この改革により、課税最低限は下がりますが、子育ての経済的負担の重い低中所得層の実質的な負担はむしろ軽減します。

     〜所得税の総合課税の実現〜

    利子・配当・株式譲渡益などを他の所得と合算して課税する総合所得課税を実現します。このため、納税者番号制度を導入します。

     〜納税の選択肢拡大〜

    納税手段の選択肢を広げます。サラリーマンの年末調整と確定申告の選択制度を導入します。また、インターネットを通じた電子申告納税制度を早急に導入します。NPO寄付金控除制度等については、税額控除方式の導入なども含め、いっそう充実させます。

     〜基礎年金の税方式への転換〜

    世代間の不公平を解消します。全国民共通の基礎年金は主として消費税でまかなう税方式に改めます。また、公的年金課税の適正化を図ります。

     〜消費税を信頼できる税制に改革〜

    消費税については、課税上の不公平を解消するため、インボイス制度を導入するとともに、課税売上3,000万円以下の事業者の免税制度、課税売上2億円以下の事業者の簡易課税選択制度については縮減の方向で全面的に見直します。


  2. 日本経済の再生と、持続可能な社会に脱皮するため、ニュービジネスや環境問題に思い切った政策税制、社会システム税制を導入します。
     〜地方税源の抜本的拡充〜


    地方分権の推進に必要な地方税財源を確保します。所得税の一定部分を地方税に移譲することにより、国と地方の税収を1:1に改めます。法人事業税については、経済情勢や中小企業の実態も踏まえつつ、応益課税の観点から薄く広く負担する外形標準課税に改めます。地方自治体の課税自主権を拡大します。

     〜ニュービジネス・ベンチャー支援〜

    ニュービジネス、ベンチャー企業の創業を支援するため、創業5年以内の中小ベンチャー法人について、法人課税を減免します。また、これらの企業の直接金融による資金調達を円滑にするため、エンジェル税制(中小ベンチャー企業に投資する個人投資家)を拡充します。増加試験研究費に関する税額控除制度を恒久税制に改めます。

     〜環境保全・資源循環型税制の導入〜

    環境負荷軽減に資するものについては税を軽減し、環境負荷を増大させるものについては税負担を重くするという基本的考え方に立った税制の仕組みを整備します。地球温暖化防止のため、炭素・エネルギーを対象とする環境税を早期に導入します(他に転換不可能な原料炭・ナフサ等の原材料としての使用は対象にしません)。これに伴い、課税対象が環境税と一部重複する自動車関係諸税については、その複雑多岐にわたる仕組みの簡素化、暫定税率をはじめきわめて高率となっている税率の引き下げ、道路特定財源としての使途制限の廃止などを含めて抜本的に見直します。また、電力料金にかかる電源開発促進税についても、今後、その仕組み、税率、使途などについて見直しを検討します。都市近郊の里山・雑木林の保全、都市周辺の水道水源の確保、リサイクル・デポジット制度の普及にむけ、地方環境税制の充実を支援します。

     〜土地課税の適正化〜

    固定資産税や相続税における土地の評価、土地譲渡所得税など土地をめぐる税制のゆがみを是正し、適正な土地利用の促進を図ります。



19.行政改革

  官僚主導から政治主導へ。

 「国民主権」を言葉だけで終わらせないために、官僚主導の政治から、政治主導の政治へと改革します。今までの官僚主導型行政システムでは、中央省庁の権限が強すぎ、ここから裁量行政、利益誘導、天下り、情報の占有など、さまざまな問題が生まれる原因となっています。必要な諸政策を、政権が迅速に決断して実行するため、官僚主導型行政システムを、政治主導型行政システムに転換します。行政改革自体が行政主導とならぬよう、責任を持って民主党が改革を断行します。


  1. 首相の権限を強化します。
     〜政治主導の政治を実現〜


    内閣法を改正し、内閣の首長である内閣総理大臣の統括権や指揮監督権、裁定権などを明確にします。また、実質的に決定権を担っているとも言われる事務次官会議は廃止し、副大臣会議で政府部内の調整を行います。


  2. 特殊法人なども情報公開の対象にします。
     〜情報公開法をさらに充実〜


    成立した「情報公開法」をさらに充実させます。知る権利を明記し、「情報公開法」の対象機関を、特殊法人や行政代行業務を行う公益法人・営利企業まで広げます。行政情報の保存・管理に関する法律を制定するとともに、大臣主導のガイドラインを設けて、インターネット上などに行政情報の開示を義務付けるなど積極的に情報公開を推進します。


  3. 省庁横断の一括採用・一括人事を行います。
     〜公務員の人事制度改革〜


     公務員の採用については、省庁別縦割りの人事・採用制度を改め、省庁横断的に国として一括採用・一括人事を行います。また、指定職以上の幹部国家公務員を特別公務員に変更し、民間人の登用を含めて人材の流動化を容易にします。公務員の人件費を大幅に削減します。



20.行政監視

  政官業の癒着と税金のムダづかいをなくします。

政官業の癒着を断ち切るため、政官業癒着の温床である特殊法人や認可法人、公益法人を抜本的に見直すとともに、官僚の天下りを厳しく制限し、認可法人・公益法人による政治献金を禁止します。また、国会による行政監視機能を大幅に強化して行政のムダづかいをチェックするとともに、財政透明化法を制定して政策評価を恒常的に行い、行政の効率化を図ります。


  1. 特殊法人を廃止し、天下りも厳しく規制します。
     〜政官業の癒着を断つ〜


    特殊法人を 1.廃止 2.民営化 3.独立行政法人のいずれかに改革し、制度そのものを廃止するとともに、認可法人をゼロベースで見直し、公益法人を整理・縮小します。また、特殊法人や独立行政法人、認可法人への官僚の天下りを原則として禁止するとともに、公益法人や民間企業への天下りも厳しく制限します。さらに、認可法人や公益法人等による政治献金を禁止します。


  2. 財政の情報公開を進めます。
     〜国民のチェック態勢を整備〜


    「財政透明化法」を制定し、国民にわかりやすい形で、財政の情報公開を進めます。また、財政をわかりにくくしている特別会計を抜本的に見直し、整理します。


  3. 行政監視院を設置。政策評価で行政の効率化も図ります。
     〜税金のムダ遣いを厳しくチェック〜


    国会に強力なチェック機能を有する行政監視院を設置し、税金のムダづかいなどを厳しくチェックするとともに、「政府業績評価法」を制定して政策評価を恒常的に実施し、行政の効率化を図ります。



21.政治改革

  信頼される政治再生へ、さらなる腐敗防止を断行します。

 政治が真のリーダーシップを発揮するためには、まず政治家、政党をはじめとした政治全体が国民から信頼されることが大前提であることは言を待ちません。その意味からも、政治資金の透明化、政官業の癒着構造の解体をはじめとした政治腐敗防止策をさらに講じていくことは、いまなお最優先の課題です。また、国民、住民の政治参加の機会を最大限に保障し、公平・明快な選挙制度改革を重ねていくことも政治改革の最重要課題です。 
 そして、国民が直接首相を決定できる仕組みであり、国民により身近な政府の実現と、より強いリーダーシップの発揮という二つの課題を同時に満たす「首相公選制の検討」という新しい道も模索します。
こうした改革を重ねて、国民が選挙を通じて政治をコントロールし、そしてその政治が行政をコントロールする、「国民主権に基礎を置く政府」を実現します。


  1. 「政治とカネ」をクリーンにする法整備を進めます。
    〜政治腐敗を元から断つ〜


    先の国会で成立した「あっせん利得処罰法」は与党のごり押しで「ザル法」となっており、これを実効性あるものに改正します。また、国会議員等の資産公開制度強化や、政治資金収支報告書等のコピーを解禁し保存期間を現行の3年から刑法の時効期間である5年に延長するなど、「政治とカネ」の透明度を高めます。


  2. 18歳選挙権や一票の格差是正に取組みます。
    〜選挙制度は選ぶ側の論理で〜


    衆参の役割を明確にした上で、衆参の改革をすすめ、また、その役割に合った代議員を選出する方法としてふさわしい選挙制度に改めていきます。また、選挙権年齢を18歳に引き下げるとともに、被選挙権年齢も引き下げます。在外邦人投票制度の選挙区選挙への拡充、永住外国人への地方選挙権付与を実現します。一票の格差を是正、インターネットを利用した選挙運動解禁、電子投票制度実用化への研究を促進するとともに、地方自治体の首長の四選禁止を実現します。


  3. 住民投票を制度化し、首相公選制の導入も検討します。
    〜国民が直接意思表示をできる機会の保障へ〜


    国民の多くはいま、国のリーダーを自分たちの手によって直接選ぶことができないことに不満を抱いています。それは、密室政治によって一国の総理を内定してしまう自民党政治に対する不信であることは言うまでもありませんが、同時に、国民の選択が生きる制度的工夫も求められています。その一つが、「首相公選制の検討」です。現行の議院内閣制を大きく見直し、国民が直接首相を決定できる仕組みも検討する必要があります。これにより、国民により身近な政府の実現と、より強いリーダーシップの発揮という二つの課題を同時に満たすことも可能となります。民主党はそうした新しい道も模索します。
    また、国政や住民自治の根幹にかかわる課題に有権者が直接意思を明確に示すことができる、国民投票制度、住民投票制度を実現します。

2000年12月21日

戻る/民主党文書目次