2006年10月24日(火) 戻るホーム民主党文書目次記者会見目次

小沢一郎代表 定例記者会見要旨

○衆院補選の結果について
北朝鮮核実験の補選への影響について
教育基本法改正への対応について
選挙に関する「小沢神話」について
周辺事態認定をめぐる補選への影響について
北朝鮮問題に対する特措法制定の動きについて
補選から得られた自信、選挙手法見直しの必要性について
細野衆議院議員の不倫問題の補選への影響について
沖縄県知事選・福島県知事選について
小沢代表の草の根交流での訪中について
政府によるNHK短波ラジオへの北朝鮮拉致問題の放送命令について

(質疑応答)

■衆院補選の結果について

【記者】
先日の衆院補選についての結果をどのように受け止め、またどのような課題があると考え、今後の選挙戦に向けて、どう活かしていこうとお考えですか。

【代表】今回の2つの補選、勝利を得られず残念でした。その原因については、一言で言えば、まだ民主党にそれだけの自力がついていないということだろうと思いますが、言い換えれば、有権者の皆さまに深くまだ浸透するに至っていないと。それは党としてもそうですし、また候補者自身の日常活動等を通じての意味でもそうですし、そういう意味において、私自身を含め、この選挙を良い教訓として、次に向けてみんなで頑張っていきたいと思います。

 ただ、負けは負けですから、敗軍の将が余計なことを言う資格はないですが、若干、将来に希望を持って私が感じていることは、今回の選挙戦においても、ほとんどの我が党の仲間が、一生懸命それぞれそれなりに努力をしてくれたと。そういう雰囲気と体制ができつつあるということは、我が党にとって大変良いことだと思っています。

 いずれにしても、投票率が低かったとか、いろいろと理由を挙げれば挙げられるでしょうが、いずれにしてもどんなに投票率が低かろうが、風がアゲインストだろうが、国民の信頼をきちんと得て勝ち上がるという、そういう政党とそれぞれの候補者になれるように心がけていきたいと思います。

■北朝鮮核実験の補選への影響について

【記者】補選の関係ですが、北朝鮮の核実験の問題などが安倍総理に追い風になったという分析もありますが、代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】それも若干、ないというわけではないと思います。しかし、それがあったから、なかったからといって負けるようではいけません。それがあろうが何しようが、勝つと、勝てると、国民の理解を得られるような政党、候補者にならないといけないということです。

■教育基本法改正への対応について

【記者】教育基本法の改正についてですが、安倍政権は同問題を優先課題としていますが、安倍政権に追い風も吹いている状況で、臨時国会での民主党の対応をお聞かせ下さい。

【代表】対応は幹事長や国対の方で、各党といろいろ協議していると思いますが、国会の対応と言うよりも、やはり中身の問題なのでしょうね。私どもは「日本国教育基本法」という法案を提案しています。その中には大きな制度的な改変を含む条項も盛り込まれていますし、私たちはそういう意味でその法案の考え方、成立は実態としては難しいでしょうけれども、考え方を論戦の中で国民にアピールできれば良いのではないかと思います。数が少ないですから、自分の法案を成立させるということにはなりませんが、そういうことに努力していくということだろうと思います。

■選挙に関する「小沢神話」について

【記者】小沢代表といえば、選挙に強いという評価があったわけですが、今回の補選の結果を受けて、小沢神話は崩れたとお考えでしょうか。

【代表】選挙に勝ったり負けたりすることは、今までにもいっぱいあります。選挙に強いというのはある意味ではありがたい評価ですが、選挙は私一人でやるわけではなく、トータルの戦いですから、ただ私の役割は良い候補者を探し、選ぶこと、そしてその候補者でみんなが一致してできるような協力体制をつくること、それが私の一番心がけていることです。演説は、私よりうまい人が党内にいっぱいいますので、それはそれぞれ向きの人にやってもらえれば良いと思います。 今回は本当に残念でしたが、前哨戦ですから、それほどに悲観的になる必要はないだろうと思います。

■周辺事態認定をめぐる補選への影響について

【記者】北朝鮮の核実験に関連して、周辺事態認定に反対ということを代表代行、幹事長との会談で確認したと思いますが、そのことが有権者になかなか浸透しなかったことが補選の敗因になったとお考えですか。

【代表】全くそうは思っていません。それから周辺事態に認定するしないという話を私どもがしたことはありません。

 産経新聞も、あなたも、周辺事態法の第1条を読んでください。あそこにどう書いてあるか。「我が国が武力攻撃を受ける恐れのある事態」と書いてある。今の事態はそうですか?私の言葉不足で総理も皆さんも意味がよく分からなかったようだけれども、北朝鮮を巡って国連で制裁の決定をしたが、これは我が国の固有のいわゆる事態の問題ではなく、国連の制裁行為であると。周辺事態の想定している事態は、「我が国が武力攻撃を受ける恐れのあるような事態」の時、すなわち我が国の有事のときの問題ですから、この問題と国連の制裁行動とは基本的に性格が違うものであると、総理のお考えはどうですかということを聞いたつもりなのですが、「いろいろ考える」と。そのことを聞いたのではないのです、基本的に違うでしょうと。だからそこが皆さんもよく理解できないと思うけれども、認定するとかしないとかではなく、法律そのものにそう書いてあるでしょうと。だから、それをものすごく拡大解釈して、北朝鮮が核実験をしたことが我が国への武力行為への恐れありと、そう政府が勝手に解釈すれば、政権を持っているのは政府ですから、それに基づいて行動するということも事実行為としてはできるでしょうが、北朝鮮が核実験やったから、イコール我が国が武力行為を受ける恐れがある事態であるとは、普通の常識ある人は思わないのではないでしょうか。

■北朝鮮問題に対する特措法制定の動きついて

【記者】関連ですが、北朝鮮核実験について特措法を作って対応しようと動きが自民党にも、民主党内にもありますけども、代表のお考えをお聞かせ下さい。

【代表】核実験に対してじゃないでしょ。北朝鮮に対する国連の制裁行動に参加するためにということでしょう。

 私は何度も10何年前から言っているけども、私は国連が決定した平和維持のための、あるいは回復のための、とにかく平和活動については、我が国は積極的に参加すべきであると。そしてそれは何ら日本国憲法に抵触しないという考え方です。政府もそれをきちんと、その原則に政府もそうだということになれば、何も周辺事態を持ち出す必要もないし、特措法を持ち出す必要もない。ただ、そういう原則を政府が打ち出せないが故に、特措法であれ、周辺事態法であれ、何かにかこつけていかないといけないという状況に今日なってきていると私は従来から指摘してきたつもりです。党首討論の場でもそう言ったつもりなのですが、記者の諸君にもうまく理解されなかったので、改めて申し上げます。

 私は個々の、日本の固有の事態、有事、それは権限でいえば自衛権の問題になるでしょう。「国権の発動」という言葉で憲法には書かれていますが、正当防衛、自衛の問題ですね。そしてそれは米軍との協力関係で周辺事態法というのができているわけだから、それは有事のときに日本と米国とが、これは安保もあって当たり前のことですが、一緒に行動するときのことを規定したわけです。しかし、今度は国連の、国際社会の活動ですから、それぞれの個別の国の安全保障、自衛権の問題とは、別の性格を持っている話です。私の持論は、国連の決定による国際の共同作業には積極的に参加すべきであり、その参加する行為は日本国憲法に何ら抵触しない。それが私の主張です。

【記者】その関連で、代表とは違う意見が党内に若干ありますが、これに関して今後、見解の取りまとめをする前提に立てば、どのようにお考えになっていますか。

【代表】別にいろんな見解があって良いのではないですか。自民党だって180度違った意見あるでしょう、なかなか報道されないけれども。我が党はそれほど大きな開きはないのではないですか、量的にも考え的にも。ですから、いま政権政策委員会で基本政策のたたき台を作って、それをみんなに諮って、今まで曖昧だった点についても、きちんと党としても基本の考えをまとめようと作業しています。

■補選から得られた自信、選挙手法見直しの必要性について

【記者】補選の話に戻りますが、希望を持てる雰囲気、体制ができたとおっしゃっていましたが、自信を深めたということなのでしょうか。また今後何らかの選挙手法の見直しが必要とお考えですか。

【代表】負けてなんだかんだいうと、言い訳みたいな話になるので、それは言うべきではないと思いますが、今の質問に答えて言うならば、自分としては、来るべき大きな戦いに向けて、決して悲観していないと感じています。

■細野衆議院議員の不倫問題の補選への影響について

【記者】補選の関連で、先日、鳩山幹事長が細野議員の不倫の問題が影響したのではないかという発言がありましたが、代表はいかがお考えですか。

【代表】そういうことも言われますけども、それは僕は大したことではないと思います。基本は国民の気持ちをきちんとつかみ、きちんと理解してもらう、その日常の作業だと思っています。

■沖縄県知事選・福島県知事選について

【記者】地方選挙の関連ですが、沖縄知事選はモデルケースとも言われるような野党共闘になりましたが、民主党としてどのような選挙として位置づけて取り組まれるのか。そして福島知事選について、小沢代表がおしゃっていたような多選の弊害、腐敗が原因でこのような事態になりましたが、福島知事選にはどのように取り組んでいくお考えですか。

【代表】 福島と沖縄とは、その性格が違うと思います。福島は今の話にあったように、多選の弊害、長い権力は必ず腐敗する。やはり強大な権限を持つ知事が長くやっているということは、その知事が自民党の系統であれ、どの系統であれ、よろしくない。だから私は原則2期、どんなに長くても3期と、アメリカの例を引いて言っているのは、まさにそこにあるわけです。

 一方沖縄は、歴史的由来から考えても、そして今日の国際情勢、あるいは日米関係等々、あらゆる意味で非常に大きな意味を持つ知事選だと思います。そして、たまたま5党プラス「そうぞう」の6党で合意ができたということは、選挙戦を進めるにあたって、有力な体制ができあがったということだろうと思います。私もできる限りの応援団の役割をして、何とかしてこの沖縄知事選で勝利したい。県民の皆さんの支持を得たいと思っています。

【記者】沖縄県知事選の関連で、自民候補は今回の知事選を「与党側の基地の段階的な撤去論か、野党側の基地の固定化論か」と位置づけていますが、その位置付けについてどのようにお考えですか。

【代表】それは多分、自民党の宣伝文句じゃないですか。私はアメリカのプレゼンスは必要だと前提として思っています。ただ、今のような量的な米軍の駐留自体が必要かというのは疑問です。もう一つ沖縄に特有なのは、日本に駐留する米軍が7割以上あるというのは、沖縄の県民に対して申し訳ない。全国民がそう思うべきだと思います。

■小沢代表の草の根交流での訪中について

【記者】今週末に草の根交流で訪中される予定だと思いますが、草の根交流とはいえ、野党第1党の代表が中国に行っていろんな考えを伝える良い機会だと思いますが、代表どのようにお考えですか。

【代表】私はもうずっと何度も行っていますし、過去何度も、私は彼らにとって厳しい議論をしてきています。だから、とってつけたように行って意見をしゃべる必要はないわけで、そういう意味で、20年近い、長い草の根交流の歴史ですし、また大勢の方が参加されるので、できればそういう人たちに挨拶に行きたいと思っていますが、まだ最終的には確定していません。

■政府によるNHK短波ラジオへの北朝鮮拉致問題の放送命令について

【記者】今日、菅総務大臣が、NHKの短波ラジオ国際放送に北朝鮮拉致問題を取り上げるように命令することを審議会に諮問するということを会見で述べましたが、NHKのラジオ放送に対して拉致問題を政府が命令することについてご意見をお聞かせ下さい。

【代表】細かいことは知らないけれども、一応その中立的な公共機関として存在を認めておいて、一方的に政府の宣伝を権力で押し付けるのはどうかと思います。それほどしたければ、国営放送を作るという手法もあります。良いか悪いかは別ですよ。私が言いたいのは、何事もそうですが、きちっとした筋道の通った原則なり、論理的な結論でもってこうするというのではなく、何となくその時その時で、こういうふうにこじつけようか、こういうふうに言おうかという類で、権力が行使されるのはよろしくないと思います。

編集/民主党役員室


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