民主党FaxNews No.367 2001年2月19日(月) 戻る2月目次

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[CONTENTS]
(1)「えひめ丸」衝突沈没事故〜調査団をアメリカに派遣 伊藤・首藤・浅尾3議員
先週の衆院予算委質疑から 2/13〜15
(2)ゴルフを続ける首相の心理はいかに!?=生方幸夫議員(2/13)
(3)外交機密費全体を調査公表せよ=海江田万里議員(2/13)
(4)機密費非公開の法的根拠はあいまい=金子善次郎議員(2/13)
(5)公債依存楽観論は政治のモラルハザード=五十嵐文彦議員(2/14)
(6)首相のゴルフ場会員権問題を追及=城島正光議員(2/15)
(7)外交機密費は会計検査院もノーチェック?=平岡秀夫議員(2/15)
(8)機密費事件は本当に個人の犯罪か?=原口一博議員(2/15)
(9)政府の危機管理認識を批判=中田宏議員(2/15)


宇和島水産高実習船と米原潜の衝突沈没事故
党調査団をアメリカに派遣 伊藤・首藤・浅尾3議員

 民主党は16日、米原子力潜水艦「グリーンビル」の宇和島水産高校実習船「えひめ丸」への衝突沈没事故について、調査団をアメリカに派遣した。メンバーは党対策本部長の伊藤英成外交・安保ネクスト大臣、首藤信彦衆議院議員、浅尾慶一郎参議院議員。

 一行はハワイとワシントンを訪れ、行方不明者の捜索、「えひめ丸」引き揚げの可能性、事故原因の調査状況、米側や日本政府の現地での対応状況を調査する。

 ハワイに着いた調査団は、米沿岸警備隊のマクレラン司令官と面会。司令官は、調査団に、不明者の生存可能性は「極めて低い」と述べ、太平洋艦隊のフィッシャー副司令官は「(船体の)引き揚げは難しい」との見方を示した。また、米運輸安全委員会(NTSB)のハマーシュミット調査官は「(原潜の航行は)訓練でなくデモンストレーション(体験航海)だった」ことを明らかにした。

 調査団はサンフランシスコ経由で19日(現地時間)にワシントンに入り、国務省、国防総省関係者と会い、22日成田に戻る予定。


先週の衆院予算委質疑から 2/13〜15

ゴルフを続ける首相の心理はいかに!?
生方幸夫議員

 衆議院予算委員会で13日、森首相が欠席するなか、集中質疑が行われた。民主党・無所属クラブからは一番バッターとして生方幸夫議員が質問に立った。

 生方議員は冒頭で、ハワイ・オアフ島沖で起きた愛媛県立宇和島市立水産高校の実習船「えひめ丸」とアメリカ海軍の原子力潜水艦の衝突・沈没事故について、事件の情報を聞いても森総理が知人とのゴルフを続けた点について、不快感を露にした。

 事故の第一報が入った経緯と各大臣への連絡について伊吹危機管理担当大臣が説明。また「森首相にも10時50分ごろ知らされたと思う」と福田官房長官が答弁した。

 これを受けて生方議員が「森総理はあくまでもプライベートで知人とゴルフをしていたとのこと。最初に情報を耳にした段階で、事の重大さを判断できたはず」とし、その場で中止して戻るのが当然の対応ではないかと迫った。また、首相が記者に対し「官房副長官によろしくと頼んだので、自分が帰って、バタバタ慌てても仕方ないのでゴルフを続けた」としている点も、結局、前日に当番であった安倍副長官に声をかけたにすぎないことが露見した。

 生方議員の質問で、官邸に安倍副長官が到着したのが13時12分、河野外相は同14分、福田長官が39分。森首相に至っては14時15分だった。この現実を前に生方議員は「これで危機管理ができるのか!」と悲鳴ともいえる声をあげた。

 首相経験者として問われた宮沢財務相も「オーディオビジュアルの時代、総理にそこにいてほしかったという感情もわかるが…」とし、危機管理能力に欠けるところはなかったと森首相擁護の立場をとった。

 生方議員は「ゴルフ場からの指示では、アメリカ側からも日本の首相はその程度の認識なのかと思われてしまう」と分析。森首相がとった行動は国民感情としてどうしても許せないとし、「こういう方には日本をまかせられないという思いをあらたにした」と首相としての資質に疑問をなげかけた。



外交機密費全体を調査公表せよ
海江田万里議員

 続けて質問に立った海江田万里議員は、まず森首相の危機管理意識について「率先垂範=先んじて模範を垂れるという言葉がある。政府の一番上に立つ人にはそういう気構えがなければ」と一言。さらに、とるべき手は尽くしたとする政府側の答弁に、「アメリカの原子力潜水艦との接触によって沈んだという瞬間から様相が違っている。国民も不安に思っている」と反論した。

 次に、外務省の機密費疑惑について、すでに97年当時から外務省内に外交機密費を流用するシンジケートがあるという雑誌報道があり、国会質疑でも取り上げられていたことを指摘。「今回の松尾元室長の問題はまさに氷山の一角であって、もう片側にはやはり外交機密費の問題がある。当時の池田行彦外相はある課長に厳重注意をしている。疑わしいことがあったからでは」として、官房機密費に限定して処理をしようとする外務省に対し、外交機密費についても調査・公表するよう繰り返し迫った。河野外相は「基本的に問題があるという認識は持っていない」としながら、「その仕組み、会計処理について7人の外部の方を参加を得て、何らかの提案をいただくつもり」と答弁した。

 KSD疑惑で、海江田議員は「融資という中小企業の生殺与奪を握っている金融機関によるKSD会員募集は、銀行業法違反ではないか」との見方を示したが、柳澤金融担当相は「少し考えさせてほしい」などと明言を避けた。


機密費非公開の法的根拠はあいまい
金子善次郎議員

 金子善次郎議員は、内閣官房機密費(報償費)について、「報償費を非公開とする法的根拠はあいまいだ。機密費扱いをしなければならない経費があることは理解できるが、すべてがそれに該当するという話は、一般国民はとても了解できない」として、政府の見解を求めたが、「本来公開すべき性格のものではない」との答弁は変わらなかった。

また、「身分的なつながりのない外務省の一事務官に、内閣官房費を手渡すこと自体が政府の組織論からいっておかしい」と金子議員が指摘したのに対し、福田官房長官は「再発防止の観点から支払方法や外務省との役割分担は検討しなければならない」と答えた。

 また、金子議員は、報償費は会計検査院法第22条第1号の「国の毎月の収入支出」に該当する「必要的検査事項」であること、領収書などの計算証明書類は検査院に送付するか、検査院の承認を経て手元保管が認められることを確認した上で、「報償費には、総理大臣の外国訪問の際の一行の宿泊費の差額分も含まれるのか」と会計検査院に質した。同院の石野第一局長が「把握していなかった状況だ」と答えたため、金子議員は「中身がわからないで検査するとはとても考えられない」として再度迫った。金子会計検査院長は「検査を継続中だ」と答えるに留まった。

 金子議員は「領収書の保管方法が違うだけで、報償費だからといって何も秘密ではない」として、厳正な検査をするよう求めた。


公債依存楽観論は政治のモラルハザード
五十嵐文彦議員

 衆議院予算委員会で14日、集中審議が行われた。民主党・無所属クラブから五十嵐文彦議員が質問に立ち、不良債権問題について、財政問題に詳しい議員ならではの深い議論を展開した。

 導入として、五十嵐議員は、「ザ・ワールド・コンペティティブ・イヤーブック2000」で日本の潜在競争力が、90年の3位から、2000年は17位に落ちたことをあげ、失われた10年といわれる経済低迷の要因について「一番大きな問題は不良債権。景気対策に追われ、IT化・金融国際化への認識を誤り、ニューエコノミーへの対策が遅れたのが大きい」と指摘した。

 当初の見方ではとっくに償却されているはずの不良債権が株安などで思った以上に残っており、これが信用収縮を招き、銀行だけでなく一般企業でも取引の慎重化・固定化、生産性の低下をもたらしていると五十嵐議員は分析。

さらに、五十嵐議員は「日本はIT革命のもたらす金融の国際化を見誤っていた」と指摘。また、土地価格についても、「バブル発生以前から日本においては、収益還元価値以上に資産としての価値が重視され、その分が上乗せされていた」と分析し、「この見極めを間違えたのが、不良債権処理が長引いたひとつの原因」として、デフレ傾向がしばらく続くとの見方を示した。

 五十嵐議員は、森首相がダボス会議などで根拠のない楽観論をふりまいている点を、「日本の改革姿勢を疑わせ、信用性を低下させる」と批判。

 また、住宅ローンの負担が相対的に重くなっていることを取り上げ、「税制上の措置など、過去の高いローン金利に国が一定の手を差し伸べることが必要でないか」と提起した。

 最後に五十嵐議員は、公共事業政策を取り上げ、「全く効果を否定するものではないが、乗数効果が落ちて一時的な下支えにすぎない。むしろ呼び水効果がなければ副作用が大きい」と指摘。官僚の権益拡大とあいまって、公共事業の自己目的化が起きているとして、その例として諫早湾干拓事業をあげた。また、自民党閣僚や政策責任者が国債依存に楽観論を述べていることを「政治の世界のモラルハザード」だと厳しく批判した。


首相のゴルフ場会員権問題を追及
城島正光議員

 衆議院予算委員会で15日、前日に引き続き集中質疑が行われ、民主党・無所属クラブの議員3名が、実習船衝突沈没事故、KSD事件、機密費横領事件などを中心に政府を追及した。

 この日、トップで質問したのは、城島正光議員。冒頭、予算委員会の場に森首相が出席していないことに抗議の意を示した城島議員は、まず実習船衝突沈没事故に対する政府の対応の問題を取り上げた。

 城島議員は、首相が、事故発生の連絡を受けた時にプレイしていた神奈川県・戸塚カントリークラブの会員権を、以前に知人から無償で譲り受けていたと報道されていることについて質問。「閣僚の資産公開分にも含まれていなかったが、どうなのか」と事実を質した。

 福田官房長官は、首相に問い合わせていないので答えられない、とお茶を濁そうとしたが、城島議員は、「なぜすぐに聞かないのか」と官房長官の対応を一喝。事実関係を調査し結果を公表することを確約させた。

 また、事故への官邸の対応については、事故当日の非常事態対応の当番だった安倍官房副長官は少なくともその日は官邸にいるべきだったのではないか、なぜ事故の第一報を受けてから何時間も行こうとしなかったのか、と追及。

 これに対して福田官房長官は、内閣情報収集センターに4名の常駐スタッフがいるからいいんじゃないか、などと危機意識の乏しい答弁を繰り返した。

 KSD事件をめぐっては、KSDの補償準備積立金が収支報告書の記載通りに積み立てられているのか、取り崩しがあったという疑いもあるが、どうチェックしているのか、と労働省を追及した。答弁に立った日比労働基準局長は、「十分調べていない」とし、調査の上、実態を明らかにする資料を提出することを確認した。

 さらに、城島議員は、国やKSDからのものつくり大学設立への補助金を国際技能振興財団(KGS)という“トンネル財団”を通過させ、そこに資金をプールしていたという構造や、1999年11月の予算編成時にものつくり大学関連の補助金増額に向けてKSD、労働省、自民党の幹部が頻繁に接触していた実態などを具体的に指摘し、坂口厚生労働相ら関係閣僚を厳しく追及した。



外交機密費は会計検査院もノーチェック?
平岡秀夫議員

 衆議院予算委員会で15日、民主党・無所属クラブから平岡秀夫議員が質問に立ち、切れ味鋭く閣僚に迫った。

 平岡議員は、城島議員に続いて、森首相のゴルフ会員権について質した。まず平岡議員が「課税上どのような問題が生じるか」と質したところ、国税庁側は、「一般論として、贈与ないし取得の事実がないと確認できる場合、贈与税ないし所得税の課税はされない」と説明。「森総理の場合は?」と重ねて質問すると、「個別のことについては守秘義務に課されているので具体的な答弁はひかえる」とした。福田官房長官は、「会員権の所有者は友人の方であり、総理がその会員権を所有しているという事実はない。そのため、資産公開の際にも記載していない」と首相を擁護した。

 平岡議員は「一部の政治家がうまい汁をすっているのではないかという疑惑をもたれた上、課税も行われていない状況では、まじめな納税者は納税の意志がなくなってしまう。たとえ相手が総理でも、国税当局として、しっかりとした調査と適正な課税を行うべきだ」と強く要請した。そして、森首相と便宜を図った友人との間で交わした合意書の提出を理事会に求めた。

 続けて平岡議員は外交機密費に対する会計検査院の検査方法について質問。1月29日から2月2日まで行われた外務省への会計検査で、検査院側は「詳細な中身と報償費の使い方がどういう状況だったか調べ、現在持ち帰って検討中だ」とあいまいな答弁。内閣官房に対する会計検査については「報償費の管理体制がどうなっていたのか。内部的なチェック体制がどうなっていたか。事実関係を十分調査して、発生原因を究明し、再発防止につとめる」と、通り一遍の答弁を繰り返した。

 平岡議員は「強制調査の段階に入れば、松尾元室長の関係資料の多くは押収されてしまうはず。会計検査院が検査しようと思っても対応できないことになる。強制捜査が入る前にできるだけ早い対応を」と迫った。



機密費事件は本当に個人の犯罪か?
原口一博議員

 衆議院予算委員会で15日、民主党・無所属クラブから原口一博議員が質問に立ち、冒頭でまず北方領土4島への政府の対応について追及した。

 与党内に2島返還論が出てきている点を指摘したのに対し、河野外相は「日露交渉における4島の返還に対するわが国の態度・姿勢は何ら変更はない」と弁明。原口議員は「ロシアも大きく変わっている。2島返還で効をあせるのではなく、じっくりと信頼関係を構築する中で返還を達成することが大事だ」として、前向きな取組みを要請した。

 続いて外務省機密費の問題について、原口議員は「これだけのお金をどうして個人が動かせたのか。差額宿泊費分を各職員に手渡したときもあれば、ホテルに一括払いもする。どうしてそんなことができるのか、聞けば聞くほど不可解だ」として、当時の上司への聞き取り調査の内容を示すようを求めた。

 しかし河野外相らは、「調査の結果、チェック体制の不備・指揮系統の不明確さが明らかになった」と繰り返すだけで、原口議員が現時点でわかっていることは何かと重ねて質しても、一切明らかにしなかった。

 続けて上司が官房報償費である点を認識していたかと質したのに対し、「報償費との認識はあったが支払い方法については把握していなかった」と飯村官房長は答弁。報道に基づき「会計責任者たちは官房費であることを知らなかったとしているが」と再質問すると、「把握していなかった」と答えを覆す一幕があった。

 原口議員は半分あきれ顔で「これは真相を知る上で最も大事な点だ」と声を上げ、内閣・外務省は松尾個人の犯罪だとしているが、当人は何ら説明していないと分析。「松尾個人をひょっとするとこの大きな組織が追いつめているのではないか。そのことさえも疑える答弁だ」と指摘した。

 原口議員は、「このような残念な事件は早く解決しなければいけない。予算審査の妨げにもなる」と言及。会計検査院に対し「事実関係の究明について調査書を提示し、説明するのが国民に対する義務だ」と求め、取り扱いを理事会で検討するよう野呂田予算委員長に求めた。

 最後に、民主党の有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部の事務局長でもある原口議員は、諫早湾干拓事業による諫早湾の漁業被害に言及。「有明海は4〜6月が産卵期。予断をもたずに調査し、漁業被害と漁民の再建に向けての対策を練られるべきだ」と、谷津農林水産大臣に早急な対応を求めた。


政府の危機管理認識を批判
中田宏議員

 15日の衆議院予算委員会集中質疑で質問に立った民主党・無所属クラブの中田宏議員は、実習船衝突沈没事故に関連して、「在沖米軍司令官の沖縄県知事への誹謗問題や米兵の放火事件を見ても、米軍全体がたるんでいるんじゃないか。米軍のモラルにまで踏み込んでものを言うべきではないか」と河野外相を追及。また、事故当日の森首相の「危機管理じゃないでしょ、事故でしょ」という発言を問題にし、危機管理についての基本認識を質した。福田官房長官は、危機管理一般についての認識は共通するとしながらも、首相発言については「言葉の問題」と逃げた。

 KSD問題については、KSDが金融機関を対象に新規会員一人当たり500円をキックバックするという会員獲得キャンペーンを展開していた事実を指摘。そうしたことが行われないよう、厚生労働省および金融当局に厳重な監督を要求した。


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