民主党FaxNews No.359  2001年1月25日(金) 戻る1月目次

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[CONTENTS]
(1)有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部を立ち上げ〜27日に現地視察
(2)KSD問題で証人喚問を強く求める〜鳩山代表
(3)「きわめて不十分」外交機密費流用疑惑報告書について談話
(4)真相解明にはほど遠い内容〜菅幹事長が外務省報告を批判
(5)ものつくり大学補助金増額で亀井氏が圧力=桜井充参院議員が参院決算委で追及
(6)鳩山代表がダボス会議に出発
(7)平成13年度予算組み替え要求案へ協議〜野党4党政策責任者会談
(8)4野党共同チームがKSD本部を現地調査
(9)外交機密費疑惑解明チームが発足
(10)KSD問題は政治改革への逆行〜羽田特別代表が徹底追及を表明
(11)「国会で疑惑に答えるべき」額賀経済財政相辞任で談話=菅幹事長
(12)政策理念検討プロジェクトが第3回勉強会


有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部を立ち上げ
「漁民の生活を国営干拓事業が破壊」菅幹事長

 民主党は、九州・有明海の養殖ノリの色落ち被害が深刻化していることを受け、「有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部」を26日から立ち上げ、27日に現地調査を実施する。

民主党の菅直人幹事長は25日の定例記者会見で、「いよいよムツゴロウの復讐が始まった」として、被害が拡大していることに危機感を示すとともに、諫早湾干拓事業との関係について指摘。いわゆるギロチンといわれた潮受堤防の閉めきり直後から諫早湾干拓事業の中止を一貫して訴えてきた菅幹事長は、「家庭雑排水を含む汚濁物が入っている川の水を潮受堤防で差し止め、わざわざ腐らせておいて、ある程度置いて水位が上がってくると、時折水門を開けて水を出すしくみになっている」と問題点に言及。「従来から貝への被害が指摘されており、基本的な構造自体が腐った水を逐次排出する仕組み」と厳しく批判した。

 菅幹事長は、会見で有明海海苔養殖業の後継者から届いた被害の大きさに憤る内容の電子メールを紹介。

さらに、「漁民の生活を、農水省の構造改善局が担当する国営干拓事業によって破壊する構造だ」と述べた上で、今年の参議院選挙でも、その農林省の構造改善局出身の役人が候補者になっていると指摘。「無駄な公共事業発生装置がまさに漁民の被害までも生み出しながらも今なお生き続けようとしている。あらゆる意味で象徴的な農水省政策破綻だ」述べ、「干拓事業の中止を求め、漁民のみなさんと連携をとりながら徹底的に取組んでいく」と決意を示した。

 「有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部」の本部長は菅直人幹事長、本部長代理は佐藤謙一郎環境・農水ネクスト大臣・前原誠司社会資本整備ネクスト大臣が就任。副本部長には有明海を囲む長崎・佐賀・福岡・熊本県選出の高木義明、松本龍、古賀一成、楢崎欣弥、松野頼久各衆議院議員、事務局長を佐賀県選出の原口一博議員がつとめる。

 26日には農水省からヒアリングを行い、翌27日には幹事長を含め数人が現地に入り、漁船で海苔の現状を視察し、漁民の声を直接聞く。

■ ムツゴロウの復讐  菅直人の今日の一言(01-25)

 有明海のノリの壊滅的被害が拡大し、各漁協から私にも悲鳴に近い要請がきている。この原因は国営干拓事業の一環として有明海諫早湾の奥を締め切った潮受け堤防にあると考えられる。つまりこの施設は家庭雑排水を含む川からの水をためて、腐らせてから時折水門を開けて外海に流しだすもの。これまでにも貝などに対する被害が指摘されてきたが責任者である農水省は無視してきた。一日も早く海水を干潟に戻し、水を浄化させない限り腐った水の放出は永久につづく。

 いよいよ干潟に住むムツゴロウの、海水を奪われたことに対する人間への復讐が始まった。昨年急逝された故山下弘文さんの遺志をついで、工事の中止に追い込んでいきたい。



KSD問題で証人喚問を強く求める鳩山代表

民主党の鳩山由紀夫代表は24日の定例記者会見で、1月31日に開会する通常国会へ向けての基本姿勢として「景気の停滞感を払拭できるかどうか、大きな意味をもつ」とし、参議院選挙を控え、厳しい態度で臨むとした。特にKSDの証人喚問を4野党協力のもとで強く求めていく考えを示した。

与党側から非公開の政治倫理審査会で行えばよいという声があることについて、鳩山代表は、「証人喚問が前提ならば拒まないが、国民に見えないところでうやむやにし、終わらせてしまおうという思惑ならば許されない」と批判。証人喚問に応じなかった場合、審議拒否はあり得るのかとの記者の質問に「国民の前でしっかりと議論するのが前提なので、与党が誠実に臨んでくることを期待したい」と述べた。

 また有明海で深刻化しているノリ養殖の被害について、「諫早湾干拓地の水門の影響を指摘する意見があるが」との記者団からの質問に答え、鳩山代表は「かねてから大きな問題として受け止め、水門を開けるよう要望してきた」と説明。貝類など海産物全体の収穫も減少している点にふれ、「このような被害状況を見れば、水門との因果関係は明らか。そもそも漁業被害が出るのは最初から予測されていた」と指摘した。


「きわめて不十分」
外交機密費流用疑惑報告書について談話

 外務省の元外国訪問支援室長による外交機密費私的流用疑惑に対する報告書が25日に発表されたのを受けて、民主党の伊藤英成外交・安全保障ネクスト大臣と桑原豊外交機密費疑惑解明PT座長は同日、談話を発表した。

 談話では、「今回の事件が一個人の犯罪なのか、外務省上層部も含めた組織的な公金流用の事実があったのかもわからず、報告書としては極めて不十分」と批判。さらに、「一遍の報告書の提出をもって事足れりとすべき問題ではなく、内閣官房や外務大臣をはじめとした外務省幹部の責任は厳しく問われなければならない」として、外交機密費や官邸の官房機密費の使途、会計検査態勢の改善等を究明すべきとした。

 民主党は、早急に事件の全容を解明するため、外務委員会の閉会中審査を実施することを強く要求している。


真相解明にはほど遠い内容
菅幹事長が外務省報告を批判

 民主党の菅直人幹事長は25日の定例記者会見で、外務省の前外国訪問支援室長による官房機密費流用疑惑に対する調査報告書にふれ、「いったい何を調べたのか。真相解明には程遠い内容だ」と厳しい口調で批判。「これだけの公金横領が本当にだれも知らない中で行われたものなのか。組織的に関与されたと疑われても仕方ないのではないか」と分析した。また、「多くの報道では外務省の機密費が内閣の報償費に移されたと伝えているが、もしこれが事実だとすると各省庁の予算は他の部局では勝手に使えないと規定する財政法違反だ」と指摘。移していない場合も、なぜ内閣の官房費を自由に使うことができたのか、明らかに矛盾するとした。

 「今回の報告と一部の関係者の処分で幕を引こうとしているが、とてもそれでは解決とはいえない。財政法の問題を含め、官邸が絡んだ事件であるから、森総理は官房長官を指揮して調査し、明らかにするのが義務だ」と、官邸内部の調査も行うべきとの見方を示した。

 また、一部の新聞が、「1997年以前に菅幹事長の秘書がKSD関連団体にパーティ券を購入してもらっていた」と報じたことについて、菅幹事長は「新党さきがけ当時、秘書が党のパーティ券の売却を、KSD関連団体に50枚と25枚ずつ2年にわたって引き受けてもらった」と説明。民主党では昨年10月の段階で徹底的に調査した結果、97・98・99年に民主党本部のパーティ券を10枚ずつKSDに引き受けてもらったことが判明し、購入費を返却している。

 菅幹事長は「これですべてだと思ったが、昨日になって通信社から問合せがあり、秘書がKSDを紹介してくれた人と連絡をとったところ判明した」と報告。従来の発表が不正確であったことを陳謝するとともに、今後、さきがけを通じて返却することを中村敦夫さきがけ代表と確認したと述べた。


ものつくり大学補助金増額で亀井氏が圧力
桜井充参院議員が参院決算委で追及

 参議院民主党・新緑風会の桜井充議員は、24日の参院決算委員会で、KSD問題に関連して平成12年度の「ものつくり大学」への補助金について質問。自民党の亀井静香政調会長らが当時の労働省に圧力をかけ、強引に補助金を増額した実態を暴き出した。

 「ものつくり大学」関連の補助金は、労働省の予算概算要求の段階では50.3億円だったが、その後、異例の変更要求がなされ、71億円まで増額された。桜井議員は、その過程でどのような働きかけがあったかを追及。厚生労働省の酒井英幸職業能力開発局長は、「いろんな人たちからの要望があった」として、「ものつくり大学」総長の梅原猛氏をはじめ、99年11月には自民党の亀井政調会長からも働きかけがあったことを明らかにした。

 桜井議員は、25日の委員会でも引き続きこの問題を追及。桜井議員は、外国人研修生の滞在期間延長を実現するため、国会議員に働きかけていたKSD関連財団の「中小企業国際人材育成事業団」(アイム・ジャパン、平成3年設立)について、その事業運営の問題性を厚生労働省がどこまで把握していたかを問いただした。答弁に立った日比徹労働基準局長は、監督省庁としての初めての立ち入り調査をこの日ようやく行ったことを認め、3年に1度の立ち入り検査さえ怠っていた実態が明らかになった。

 これに対して桜井議員は、今回のKSD問題に対する監督省庁としての責任を明確にせよ、と追及。日比局長は「公益法人に対する指導・監督が徹底しなかったことについて責任を感じている」と厚生労働省としての責任を認めた。


鳩山代表がダボス会議に出発

 鳩山由紀夫代表は25日午前、スイスで行われる世界経済フォーラム(ダボス会議)に向けて成田を出発した。古川元久国際交流委員長が同行する。28日(現地時間)まで滞在し、「日本の未来へのシナリオ」と題したディスカッションに参加し、英語で討論するほか、各国の政府首脳や経済人と会談する予定。

 鳩山代表は24日の記者会見で、ダボス会議について「政治の停滞を日本経済の停滞に結び付けたままでいいのか。新たな政治を起こすことで活性化できるといった視点で、民主党の考えを述べたい」と心境を説明。金融問題の具体的な解決策や、民主党が掲げる財政健全化の道筋・構造改革IT政策などに関して議論をすすめたいとの考えを示した。森総理をはじめ日本の政治家が数人参加する中、「それぞれの政治家が日本の姿をどのように描いているかを見ていただく絶好のチャンスだ」と期待感を表した。



平成13年度予算組み替え要求案へ協議
野党4党政策責任者会談

 民主・自由・共産・社民の野党4党政策責任者会談が24日、国会内で行われ、4党共同で打ち出す平成13年度年度予算案の組み替え要求案について話し合った。前国会で行われた審議拒否による「抵抗共闘」だけでなく、具体的な政策案を示して自民党に政権交代を迫ろうというもの。

 民主党の岡田克也政策調査会長は、会議後の記者会見で「基本方針として、骨太でわかりやすいものにし、財政悪化を踏まえて、国債発行を縮減する内容とすることで合意した」と説明。整備新幹線予算や関西国際空港2期工事関連予算といった公共事業費の削減、財源の裏付けのない児童手当拡大の撤回、首相官邸や外務省の報償費の削減などで一致した。

 ただ、各党それぞれ基本政策の違いがあるため、防衛費の削減については自由党が反対し、ODA費については「こうした世界貢献も必要」として社民党から削減反対の声があった。

 予算委員会の総括質疑では、今日の議論を踏まえながら各党の立場でそれぞれ主張し、総括質疑終了後に、合意した共通項目での組み替え要求案を出す方針だ。


4野党共同チームがKSD本部を現地調査

 民主・自由・共産・社民の野党4党共同KSD等疑惑追及プロジェクトチーム(PT)のメンバー8名は23日、事情聴取のため東京・墨田区のKSD本部とIMM・JAPAN(アイム・ジャパン)を訪れた。民主党からはPT座長の鍵田節哉、手塚仁雄両衆院議員、高嶋良充参院議員が参加した。

 まずKSD本部では、山根、七井両理事への質疑が行われた。しかし、詳細および核心部分については資料を押収されていること、古関全理事長の独断専行を理由に、両氏は「承知していなかった」との答えに終始。とりわけ、額賀前経済財政担当相や、政界に流れたとされる金の流れについては、「一切管理していなかった」と答えるにとどまった。

 続いて行われたIMM・JAPANでの聴取では、近藤特別参与への質疑が行われた。主に、年度ごとの事業収入および欠損、KSDからの助成金額、役員体制、古関前理事長に提供した8100万円などについて問いただした。

 同PTでは、去る19日に労働厚生・文部科学・法務・金融・外務のKSD関係5省庁からの公開ヒアリングを予定していたが、省庁側が「国政調査権の行使は国会でしてもらいたい」などとの理由で参加を拒否。これに対し、PTでは同日首相官邸に安倍晋三官房副長官を訪ねて抗議し、欠席の真意説明とヒアリングへの省庁の出席を要求した。

 同PTは、KSD等疑惑追及集会を、1月30日午後1時から衆議院講堂(別館5階)で、4党所属議員を対象に開き、通常国会を直前にKSD問題の徹底追及を確認しあう。また前日の29日には、都内で4党共同の街頭演説会を開催する予定だ。



外交機密費疑惑解明チームが発足

 民主党は24日午前、外務省の元要人外国訪問支援室長による外交機密費流用疑惑調査のための「党外交機密費疑惑解明プロジェクトチーム」を国会対策委員会の下に設置した。座長は桑原豊、座長代理は安住淳、事務局長は木下厚各衆院議員。

 初会合であいさつした鳩山由紀夫代表は「自民党を中心にした政権が長く続いたことでさまざまな疑惑が出てきている。この問題は相当根が深いと考えられ、個人の問題なのか、外務省や政府全体の問題なのか、大いに調査しなければならない。特に外交機密費が総理大臣官邸から支出される官房機密費に流用されていたという指摘は、根回し型の政治が終わったなかで、余った予算が何に使われているかわからないまま、やみからやみに葬られるように動いている実態が今でもあるのではないか」と述べ、元室長の個人的流用だけでなく、外務省の資金の流れについて調べる考えを示した。また、内閣官房機密費について「流用なら首相官邸の問題にもなる。外相だけでなく、官邸の問題である」と述べ、流用が明らかになった場合、首相サイドの責任を追及することを強調した。



KSD問題は政治改革への逆行
羽田特別代表が徹底追及を表明

 民主党の羽田孜特別代表は、22日の定例記者会見で、KSD問題を政治改革への逆行として徹底的に追及する意向を示した。

 会見でまず羽田特別代表は、今回のKSD問題が、特定の政治家と財団法人の癒着によるなる“不祥事”などではなく、業界団体と結びついて金で票を動かすという自民党政治そのものの構造的問題だという認識を強調。「1993年のリクルート事件を契機にした政治改革の教訓もすべて無にする大問題。額賀経済財政担当相の辞任の見通しも報じられているが、大臣の辞職で一件落着などという問題ではない」として、事件の全容を徹底糾明する姿勢を明らかにした。具体的には、他の野党とも協力しながら、参考人招致や証人喚問を求めていくほか、31日の国会開会前にも、閉会中審査の実施を求めていく。

 また、官房機密費流用問題については、「こういう事件が再発することのないよう、外務省の機密費もからめて議論する必要がある」とし、少なくとも会計検査院によるチェックは必要ではないか、という考えを示した。

 さらに、20日の民主党大会における発言の中で、フィリピン政変にふれたくだりが
「誤解されかねない」と一部マスコミに取り上げられたことについて、「本来、選挙を通じて大統領の交代がなされるべきであるのに、それがかなわず、民衆が自らああした行動に訴えざるをえなかった、という意味で否定的に述べたまでだ」と真意を説明した。



「国会で疑惑に答えるべき」
額賀経済財政相辞任で談話=菅幹事長

 民主党の菅直人幹事長は23日、KSD(財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)疑惑にからみ、1,500万円の資金提供を受けていた額賀福志郎経済財政政策担当大臣が辞任したことについて、談話を発表した。

 額賀氏に対しては、昨年1月の小渕前首相の施政方針演説の中に、KSDが推進していた「ものつくり大学」の設置について言及するよう工作を行ったのではとの疑惑が取りざたされている。菅幹事長は談話の中で「額賀氏は、これらの疑惑について国民にきちんと説明すると同時に、国会での証人喚問にも応じるべきである」と指摘。さらに、事前に知りながら同氏を閣僚に任命した森首相の責任もきわめて重大だとして、「森総理自身が積極的に疑惑の全容解明に取り組む責任がある」と述べた。



政策理念検討プロジェクトが第3回勉強会

 民主党の政策の基本理念を検討する「政策理念検討プロジェクトチーム」(岡田克也座長、長浜博行事務局長)の第3回勉強会が24日、国会内で行われた。昨年11月17日の京都大学経済研究所の佐和隆光所長、11月29日の東京大学の高橋進教授からのヒアリングに続くもの。この日は駿河台大学の成田憲彦教授が、「民主党の理念」という内容で講演を行い、参加議員との間で活発な討議がなされた。


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