2004年3月30日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅直人代表/定例記者会見要旨

○ 総理の年金一元化発言は政府案が抜本改革ではないことの証明
道路公団関連法については対案を出し政府案を廃案に追い込む
六本木ヒルズでの事故では再発防止と共に責任の所在を厳しく問うべき

■年金制度改革法案について

【代表】今、議運の開始を巡っていろいろな動きがありますので、少々遅れてしまいました。

まず年金の問題ですが、改めて「小泉改革宣言」、昨年のマニフェストを見ています。そこには、「2004年に年金制度の抜本改革を実施」と書いてあるんですね。ですからこれが小泉総理の総選挙における約束です。そして現在出されている法案は抜本改革ではない、と自ら認めたのが、この2、3日の発言であります。ということは、すでにマニフェストの約束を破ったということを自ら明らかにしているということです。それだけでも責任をとるだけの必要がある。つまり選挙における政権公約を反故にしたわけですから、責任を取る必要がある、重大問題だと思っております。

その上で、一元化については、これはわが党の昨年のマニフェストにおける主張の最も根本の部分でありますから、わが党の考え方に従いたいということであれば、改めて今の年金の目先の改革が抜本でないということであれば、その法案を撤回した上で、改めて与党案なり、政府案を用意すればいい。あるいはそういう中での話し合いならば、それはそれとして有りうるかと思います。しかし今の案をそのまま推し進めながら協議をしようというのでは、あまりにも虫が良すぎると思っております。

■道路公団民営化関連4法案について

また今日の道路公団の法案の質疑でも、まったくはちゃめちゃな議論であることは、聞く人が聞けばよくわかったと思います。一方では直轄事業で税金を投入して無料の高速道路を作りながら、一方では料金を当てにして政府保証で金を借りていく。また、効率化によって値下げをすると言ってみたり償還をしっかりすると言ってみたり、一体税を使うのか使わないのか、あるいは値下げするのかそれとも建設を抑えるのか、すべてが全部入っている。つまりは、酸とアルカリをいろいろない交ぜにして、結局何のことやらわからないというのが、法案の内容だと思います。

この道路公団関連法について、わが党の岩國NC大臣が、本会議で鮮明にしたように、わが党としての案をある段階できちんと出しながら、いまの政府案に対しては断固反対して、廃案に追い込んでいきたいと考えております。

■岡本行夫首相補佐官の辞任について

岡本行夫補佐官が辞任するというニュースが流れております。岡本首相補佐官はイラク問題を中心に活動していたわけで、イラク問題がまだ極めて難しい状況の中での辞任ということはどういうことなのかと、若干いぶかしい感じがいたします。いろいろわが党が取り上げた問題もありますが、自らの何らかの他の仕事との関連の理由なのでしょうか。

さらには二人の外交官が亡くなったあの事件においても、プレートを外して高速で突っ走ることについてのアドバイスとか、もともとそこを通過すること自体がこの岡本補佐官の行動の事前調査であったのではないかという指摘もありますし、この問題との係わりなどについても、少し不自然な感じがしてなりません。

■六本木ヒルズでの回転扉事故について

もう一点、六本木ヒルズで不幸な事件が起きました。ご家族の皆さんに対して、弔意を表します。いろいろ報道が出ておりますが、死亡には至らなくても、幾つかの小さな事故がこれまでにも相当数あったにもかかわらず、それがきちんと改良されずに放置されていて、そして今回のような不幸な出来事になったということです。それが扉自体のメーカーの責任なのか、あるいは六本木ヒルズそのものの責任なのか、いずれの責任も重なっているとは思いますが、二度とこのような事故が起きないようにすることは当然であるとともに、この問題の責任も厳しく問われるべきではないかと思っております。

<質疑応答>
■尖閣諸島を巡る日本の領土問題について

【記者】(読売)今日の衆院安全保障委員会で、尖閣諸島に中国人が不法に上陸した事件で、尖閣諸島が日本の領土であることを確認することと、政府に再発防止を求める決議が採決されました。それについての感想をお聞かせください。

【代表】何度か申し上げましたが、尖閣列島というところには、明治時代にはカツオ節工場があって、かなりの島民がそこで生活していたと聞いております。その後撤退して無人島になる中で、こういう領有権をめぐる紛争になっていくわけです。直接の事件との関わりではありませんが、やはり離島というものがもつ特別な意味を、もう一度しっかり噛みしめる必要があるのではないかと思っております。

また今回の事件そのものについては、ある程度このような行動が予測されていたにもかかわらず、それを予防というか止められなかった点に、政府や関係機関に不十分さがあったのではないかと思っています。ですからそのような決議がなされたことは、当然の主張だと思います。

■年金制度改革法案について

【記者】(NHK)今日与党側は、議運の中で1日に本会議で質疑をすることを、採決をして決めたいという考えですが、これについてどのようにお考えでしょうか。また採決が行われた場合に、民主党としてどのような対応をするおつもりでしょうか。

【代表】国会運営について、国対委員長、あるいは幹事長、必要に応じて私にも相談がくることになっておりまして、いまそのちょうど渦中であります。いろいろな判断がありますので、いま私が十分な状況把握なく、この場で申し上げるのは控えたいと思います。

【記者】(朝日)年金について、自民党の中川国対委員長が、民主党案は抜本改正なのか、そうではなくて関連なのではないかと言ったようです。その理由としては、プライバシー保護の観点から納税者番号が見送られてきたと、それがそのままの民主党案の中では消費税などの抜本的な消費税改正と連動する話であるのに、それが考慮されていないと、その二点の理由で民主党案に対しても異議を呈したようですが、それについてもしご反論などあればお願いします。

【代表】いつでも野党の国対委員長ができるということだけは申し上げておきたいと思います。自分のほうの法案が抜本改正でないことをまず認めなくてはいけない人が、わが党の法案をいろいろ言っているというのは、それは自分の責任を果たしたことにはならない。だんだんうつるんですね。「説明責任転嫁症候群」というのは。総理から国対委員長にも感染したのではないでしょうか。

【記者】(共同)先日代表が会見で、国民年金未払いの問題で江角マキコさんの参考人招致をという話をしておられましたが、その後のお考えをお聞かせください。

【代表】その点については、少し私の考え方をホームページにもその直後に書いておきました。いろいろ話題になることで、現在の国民年金の問題点が、より明らかになってきたということ自体は、それを狙ったわけではないでしょうが、別の意味で一つの効果があったのかなと思っています。

【記者】(NHK)年金の問題ですが、先週野田国対委員長が、1日の本会議は欠席ということにはならないという主旨のご発言をされたのですが、その方針は今もいきているのでしょうか。

【代表】わが党が、まず審議拒否ありきという対応ではないという一般原則は、この一年余りの行動、あるいはそれ以前からの行動で、それはそれとしてはっきりしていると思います。それに加えて今回、総理の新たな発言があった中で、一体どう政府としてこの法案に責任を持とうとしているのか、それとも全く矛盾したことをしているのか、という問題が新たに生じておりますので、それに対して、いろいろ今官房長官などもお呼びして、その問題を巡って議論をしていると聞いておりますし、その上でのことですので、そういう状況にあるということです。

【記者】総理の年金一元化発言ですが、参院選の争点隠しではないかなどいろいろな見方があると思います。総理の発言の真意をどのようにお感じになるかお聞かせください。

【代表】先ほども言いましたように、マニフェスト違反を自ら自供したと、そういうふうに受け止めます。

■道路公団関連法案に対する民主党案の提出について

【記者】(読売)道路の問題で、民主党として対案を用意されるということですが、その具体的な中身と、国会への提出期日について教えてください。

【代表】私の理解では、まさにわが党マニフェストの高速道路無料化、無料化という表現が若干誤解を招くということであれば、通行料の無料化ということでしょうか、まあ同じことですが、それを実現できる形の公団廃止法案になるのではないかと思っています。時期については、来月のどこかと聞いていますが、あまり確定的な日程までは聞いていません。


編集/民主党役員室


2004年3月30日 戻るホーム記者会見目次