2003年9月24日(水) 戻るホーム記者会見目次

菅直人代表・小沢一郎党首/合併調印式後会見要旨

【菅代表】
ただいま民主党と自由党とが、正式に合併書に小沢党首、私菅直人が調印をいたしまして、ここに新しい民主党が誕生したことを、まず国民の皆さんにご報告させていただきます。そしてこの新しい民主党に対して、多くの国民の皆さんに是非ともご支援をいただき、そして日本の政治に、日本の社会に新しいページを開く、そのきっかけにこの合併がなるように、私どもも、もちろん全力を挙げてまいりますが、多くの国民の皆さんにも、是非そうした方向に向けてのご支援を、重ねて冒頭に申し上げたいと思います。

私は今回の合併につきまして、多少の個人的な思いを含めて、申し上げさせていただきたいと思います。私が初めて衆議院の選挙に立候補したのは、1976年、ロッキード選挙と言われた衆議院選挙でありました。

ある意味ではその時の私と小沢党首の位置というのは、小沢党首は当時から自民党の本当の中枢におられましたし、私はある意味では市民運動の中から無所属で立候補するという立場にありましたので、相当遠い立場にあったと思います。しかし考えてみますと、私自身その時から、何とか日本に政権交代可能な二つの政党が必要だ、自民党を単に批判するだけではだめだ、あるいは野党のあり方を単に批判するだけではだめだ。もう一つの自民党とライバルと呼べるような政党をつくらなければいけない。このことが私にとっては、最初の衆議院立候補の時からの変わらない一つの考え方でありました。

その後いろいろな経緯がありますけれども、1993年、小沢党首が自民党を離党されて、大きな政治のうねりが巻き起きて、細川政権が誕生いたしました。私も細川政権を支える社民連、あるいはその後新党さきがけの一員として、同じ与党の立場に初めて立ったわけであります。

しかしその細川政権が、本来なら政治改革を実行・実現したあと、更に行政改革、分権改革をやる、そういう思いを、細川元総理はじめ、みんな持っていたわけでありますけれども、残念ながら当時の細川総理を支える政党の態勢が、まだまだ十分な力を持てない中で、短命の内閣に終わってしまいました。

それからの10年間、本当にいろいろなことがありましたけれども、しかし逆に言えば、この10年間に、いま204名と岡田幹事長からご報告をいただきましたが、新たな民主党に集った204名のメンバーは、10年前のその時から比べて、大変私は力強い政党にそれぞれの中で育ってきた人たちが、力をつけてきた人たちが、改めてこうして新たな民主党に集まってきた、このように思っております。

そういった意味で、今度間近に迫った総選挙で、国民の皆さんが私たちに政権を任せるという選択をしていただいたときには、10年前、細川政権で進めてきた政治改革を更に進めていく、と同時に10年前やらなければならない中でやれなかった、地方分権に向かう国のかたちを変えていく改革、更には税金の無駄使いをやめさせる改革、とくに官僚主導の政権を、本当の意味での国民主権の政権につくり変えていく。こういった日本の大改革を、私たち、新たな民主党が担って実行していく。そのいけるだけの力をこの10年間にそれぞれ蓄えた仲間が集っていただいたということを、是非とも広く国民の皆さんにご理解をいただきたい、このように思っております。

小沢党首には、本当にある意味ではすべてを、これまでの民主党のやり方に任せるから、自分は一兵卒として、その政権獲得のために全力を挙げるから、このように言っていただいておりまして、その小沢党首の力強い、そうした本当に大きな力を一緒にいただきながら、必ず次期総選挙で、国民の皆さんが期待するような、国の改革を実行できる、そういう内閣をつくるために、政権交代を目指して頑張り抜きたいということを改めて申しまして、合併にあたっての私からのご挨拶とさせていただきます。


【小沢党首】
今日をスタートとして、新しい民主党ができあがったわけでございますけれども、この民主党の役割、使命というのは、非常に重いものであると私は認識しております。私が自民党を離党して以来、細川内閣、そしてその後、政党として新進党の経過がありましたけれども、今回の自由党・民主党の合併による新しい民主党は、本当の意味で政党政治の中で初めて健全な、そして自民党に代わって政権を担当し得る野党が誕生したということだろうと思います。

このことを国民の皆さんにご理解をしていただく。そのためには、やはり我々自身が、本当にいま次第に高まっております、国民の皆さんの間の期待に応え得るような政党にならなければいけないと、私はそう思っております。この試み、挑戦に失敗することになれば、それは日本の議会制民主主義の失敗ということにもなります。また今日八方塞がりの自民党政治が、更に継続することによって、日本そのものが崩壊しかねない状況に陥ってしまうということであろうと、私は認識いたしております。

それ故にいま申し上げましたように、我々の使命と責任は大変重い、そのことを議員の一人一人が、これから選挙に向かって候補者の一人一人が、強く認識して国民の皆さんに訴えなくてはいけない、そして理解を得なくてはいけない、そのように思います。私どもも精一杯、皆さんの新しい仲間も含めまして、一緒になって力をあわせて努力をいたしたいと決意をしております。どうぞ皆様も、今後ともよろしくお願いいたします。


<質疑応答>

【記者】お二人にお伺いします。小泉総理は内閣改造をおこないまして、26日に召集される臨時国会で衆議院の解散をする考えを示しています。次の衆議院選挙に向けて、今回の合併の意義、それからそれによってどのような効果が期待できるとお考えでしょうか。

【菅代表】まず第一に、政党の間で政権交代をおこなう、野党第一党が選挙で勝って政権交代をおこなうというのは、多くの国では当然の如くおこなわれていることが、残念ながら日本の政治の歴史の中では、まだ実現をしておりません。

10年前にも、これは野党第一党が勝って政権交代になったのではなく、ある意味で選挙の後の連立によって、野党第一党ではない党の党首が政権の座に就かれたわけです。そういった意味では、やはり二大政党という形で、国民の皆さんが選挙の前に、予め総理候補、そして政権公約としてのマニフェスト、そしてそれぞれの選挙区で二つの政党の候補者がそれぞれ競い合う、こういう形がとれたこと、この二つの党が合併することによってそういう形がとれること、そのことが私は一番大きな意義であると。

つまり言葉を変えれば、国民の皆さんにとって、政権そのものを選択できる、そういう二つの大きな党ができた。このことが私は一番大きな意義だ、このように考えております。

【小沢党首】同じことであります。いまの政権交代可能な政党、先ほど来、申し上げているとおり、その意味での真の健全な野党がここに誕生したと。それは何かと言えば、自民党の行き詰まった、あるいは腐敗しきってしまった政治を、権力体制に代わって、新しい時代に対応できる政権、それをつくり得る、あるいは担い得る政党がここに誕生したのだというふうに考えております。


【記者】菅代表にお伺いしたいのですが、弊社(朝日新聞)の世論調査で恐縮なんですけれども、小泉首相対菅首相ということで毎回定点調査をしております。今回総裁選の後になりますが、小泉さんが60%中盤、菅さんが20%弱というような結果だったのですが、これは総裁選の影響だと見られますが、これをどういうふうにご覧になられるか。ある意味で民主党の支持率が一桁という中で菅さんの数字の方が底堅さというのを示しているかなと思うのですが、その点いかがでしょうか。

【菅代表】20%近い国民の皆さんが、私に対してそういう期待を持っていただいているということを、まず本当に心からお礼を申し上げたいし、喜びたいと思います。小泉総理の人気というのは、多くの場合、何か日本を変えてくれる政策を実行するというよりも、どちらかと言えば、個人として他の人よりはいいんじゃないのと、そういう支持だと理解をいたしております。

それに対して私自身ということだけではなくて、私たち新しい民主党は、民主党全体の力を合わせて、官僚にコントロールされない政権をつくると、そのことを国民の皆さんに訴えてきているところです。

そういった意味で、今回総裁選、あるいは与党の人事、内閣改造と、小泉さんのほうに注目が集まっていたわけですけれども、これから臨時国会などを通して、それぞれ私と小泉さん、あるいは岡田幹事長と安倍幹事長、そうしたそれぞれが政策を中心にした討論をする中で、最終的に国民の皆さんに、どちらの政権がいいのか、そういう選択をお願いする、そのことを考えますと、現時点で20%近い支持をいただいているのは、チャレンジャーとしてはやりがいがあると言いましょうか、ある意味ではちょうど、戦いがいがある立場に置かせていただいた、このように考えています。


【記者】自民党のほうは、昔の言い方をするといわゆる農村型政党で、合併する前の民主党はいわゆる都市型政党という性格だったと思うのですが、小泉政権になってから自民党のほうも、いわゆる小泉首相の言い方を使えば、国民政党的な形に脱皮を図っているという気がするのですが、それに対して今回自由党と合併した民主党は、どういう形の政党を目指していくのでしょうか。

【菅代表】従来の民主党が、やや都市型というふうに見られていたことは承知しております。しかし従来の民主党も、農業政策において、本当にいまの農政が農民のための農政ではなくて、たとえば農林省のお役人のための農政、あるいは農林省の関係する土木工事に関する人たちの農政になっていて、本当に農業に従事している人たちの立場に立っていない。

そこで私たちは、そうした例えばお米の問題で言えば、デカップリングの問題とか、中山間地の所得保証の問題とか、あるいは山林で言えば、ダムやいわゆるコンクリートで川を覆うよりも、山そのものに多くの人を、保全するための、そういう自然回復型の公共事業に変えるべきではないかと、そういった農村地域・山村地域についても積極的に政策を出してまいりました。

加えて今回、自由党の皆さん、小沢党首はご承知のように岩手県のご出身でありますし、実は私も生まれは山口県なんですけれども、そういった意味では、農村地域にもしっかりとした基盤なり、支持者の多い自由党と、民主党が合併したことで、まさに広く国民に開かれた政党、新たな民主党もそうした全国民的な政党に、一層なってきたと、またなりたいと、このように考えております。


【記者】小沢党首にお伺いいたします。合併をすれば選挙に勝つというお話があったと思いますが、小泉内閣の支持率は依然として高いわけですが、現状をどうご覧になりますか。あともし今選挙になれば勝てると思いますか。またその根拠があれば具体的に教えて下さい。

【小沢党首】今の話は二つとも結局同じことだと思いますが、私は今度の総選挙において十分、我々が勝利する可能性があると、確信をしております。小泉さんの人気が高いということは、いわゆる人気でしかないと私は思っております。本当に総理大臣として、政治家として、あるいは自民党に対するのも同じですが、政治そのものに対する信頼と支持という、あなたがたのいろいろやっておられる世論調査の数字は、必ずしもそういうものを表しているとは思いません。

現に私は今回の朝日新聞の調査を見ていませんけれども、何かどこかのちらっと見た中では、今回の我々の合併に対する期待感というのは、非常に高い数字を示しております。これは各社ともだいたい同じ傾向だと思いますけれども、そういう数字を見ますと、私は最初に申し上げましたように、ますますその、総選挙において自民党に勝利することができるというふうに考えています。与野党比で見れば、私どもは完全過半数にはあと100名ひっくり返らなければいけないのですけれども、与野党比で最低限で言えば、60ですね。これはまさに容易に達成し得る数字だと思っております。

それから、今回の合併は、1プラス1イコール2という数式には、結果には、ならないと思います。2以下になるか、2以上になるか。こういうことの場合には、必ずそういう結果が現れると思います。過去3回の選挙、得票を見ましても、1プラス1イコール2で、ほぼ自民党の平均得票と肩を並べるところまでいきます。ですから先ほど言ったように、我々自身のこれからの行動が、国民に支持されないときは2以下にしかならないと私は思います。しかし我々がきちんとした主張を打ち出して、国民の皆さんの関心を高めることができるならば、私は1プラス1が2.5にも3にも、十分いまの状況でなり得ると。選挙その他について、詳しいことがありましたらまたいつでもお話しいたしますけれども、おおざっぱに言って、そういうふうに私は考えておりますので、政権交代、多数をとると、自民党に勝つということを、私は信じております。


【記者】菅代表にお伺いいたします。今度の総選挙で新しい民主党を国民に選んでもらう上で、アピールしていく自民党との違いに対して、争点をどのへんにおいていらっしゃいますか。

【菅代表】民主党が政権をとった場合に、これだけはやるというマニフェストの素案はすでに発表していますが、最終的な重点項目は、10月5日の党大会で発表したいと思っています。その中にどういう内容を盛り込むか、最終決着はしていませんが、一つには、いまの日本の国のかたちが、中央の官僚を中心にした政治になっている、これをまず18兆円の紐付き補助金を地方に移していくという地方分権、地方主権の国のかたちに変えていく、これが一つの柱です。

同時にたとえば、自然破壊型の公共事業によって、無駄な税金が非常にたくさん使われている。これを自然回復型で雇用効果の高い、そういう公共事業に振りかえていく。まさに税金の使い方を根本から変えていきたい、こう考えています。

また政治改革でいえば、現在の衆議院480の定数を、比例部分を80削減する、これを政権交代した中で、国会に提案をしていきたい、こう考えています。すでに多くのところで関心を持たれている高速道路の無料化ですが、これは単にタダにしたいということで申し上げているのではありません。地域、とくに大都市部以外のところで、せっかく高速道路がありながら値段が高くて、出入り口が少ないために、あまり活用されないで下の道路が混み合って、バイパスをつくって欲しいなんてことがたくさん言われております。

そういう大都市部以外の高速道路を無料化して、出入り口をいまの3倍程度にすることによって、地域の経済にも、あるいは地域の住民の生活にも、役に立つ形で利用できる高速道路に変えていきたい。

小泉総理は高速道路公団の民営化、つまりは永久有料化を提案されておりますけれども、私たちは、高速道路公団は少なくとも大都市部以外は廃止して、そして無料化する、このことを提案していきたいと思っています。そういった意味で小泉政権2年半、私の目から見る限りは、改革らしい改革は、言葉は踊っているけれども、何も進んでおりません。私たちが政権を担うときには、いま申し上げたようなところを中心にして、国の根本的なかたちを変え、あるいは税金の使い方を根本から変え、そしてその中から、日本のいまの行き詰まった社会を救い出す、その突破口を開きたい、こう考えています。


編集/民主党役員室


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