2003年7月15日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨

○竹中金融・経済財政政策担当大臣の問責決議案を提出:経済失政の責任を問う
18日の予算委員会質疑に立ち、小泉総理の詭弁を暴く
マニフェストが自身の踏み絵であることに気づいた小泉総理は逃げ出そうとしている
道路公団の財務諸表の問題は、小泉総理自身がきちっとした姿勢をとるべき
当事国の了解がない戦地に自衛隊が行くことは、国会最終盤の最大の問題
祝日法:党の姿勢と矛盾を持ってみられないよう、政治的配慮で判断したと理解

■竹中金融・経済財政政策担当大臣の問責決議案を提出:経済失政の責任を問う

【代表】竹中大臣に対する参議院における問責決議案が、わが党が提案しまして、他の野党も提出は共同提出にはなりませんでしたが、扱いについては賛成ということで、共同歩調をとっていただくという形で展開しております。

この理由は、提案書の中にも入っていますが、大きく言って三点のことを指摘しています。一つはこの2年数ヶ月、いわゆる経済財政担当大臣として今回で三度目の骨太方針をまとめて出されたわけですが、少なくとも一回目の骨太方針も、二回目の骨太方針も、まったくそこで述べられたことが実行されていない、達成できていないわけでありまして、その結果が、更なる景気の後退と更なる財政の悪化、そして構造改革も、言葉だけが踊って何一つ実際の改革は進まないという事態でありますから、その担当大臣として、大きい意味での経済失政の責任を問うというのが第一点であります。

第二点は、りそな問題や東京海上火災の問題において、金融担当大臣として、本来官僚がやるべきこと、やるべきでないこと、特に護送船団方式というかつての大蔵省時代は、大蔵省銀行局がいわば全国の銀行の本店、あるいは証券局が本店で、他の民間企業が支店のような関係にあったわけですけれども、それを本来護送船団方式をやめるということで、金融庁を大蔵省から切り離して作ったわけですけれども、結果的に金融庁がやっていることは、かつての大蔵省の各局と変わらないやり方をとっている。

しかもそのやり方は、明らかに恫喝とも言えるような行政主導そのものの問題ですが、その範疇さえ超えたようなやり方をとっているわけです。これをきちっと、そういうやり方を止めることができなかった、あるいはいろいろ言い訳をして、それに対するケジメをつけることができないという意味で、金融担当大臣として失格だということが第二点であります。

多少順番は違いますが、中小企業に対する貸しはがしなど、金融行政そのものの本来業務においても成果が上がらないというよりも、結果的には多くの倒産を引き起こしたということも、あわせて理由としたところであります。

ここにもおられる大塚参議院議員が、今日も最終的に東京海上火災等の問題について、従来の調査に不十分な点を指摘したわけですが、結果的には答えれば答えるほど、矛盾が深まってきたわけでありまして、こういう時期ですから、参議院の判断において問責を出すということになったわけで、朝の役員会で私も含めてそれを同意したというか、それでやってもらいましょうということになりました。

今後の見通しについては、皆さんのほうもいろいろ取材されていると思いますが、与党の中にも従来からいろいろ竹中大臣に対する批判は強かったわけですけれども、しかし果たしてそういう、口で批判するけれども行動まで伴う自民党議員が出るのかどうか、あまり期待はしておりませんが、言葉だけの内閣、言葉だけの自民党、ということを結果的にはそういうことになってしまうのかなと思っていますが、少なくとも国民の多くの批判に対して、私たち民主党はしっかりした姿勢で問責決議案の可決を目指して努力をしたいと思っております。

■18日の予算委員会質疑に立ち、小泉総理の詭弁を暴く

【代表】18日には、今度は衆議院における予算の集中審議が予定されております。現在のところわが党の質疑に、私自身も立つことを予定しております。この中では、一つにはやはりこの2年3ヶ月の小泉政権の経済失政というものを、改めてきちっと総括する形で申し上げたい。またイラクの支援をめぐる問題、イラクの開戦をめぐる問題ではあまりにも酷い答弁が続いています。いわゆるフセイン発言などは、あまりにも酷い答弁でありますので、そういう答弁がこのままお天道様の下でまかり通るのか、そういう詭弁に詭弁を重ねるやり方を押し通すことがきるか、それを暴くことがきるか、これを是非皆さんにもよく聞いていていただきたい。

他にもたくさんありますけれども、これまではどちらかと言えば私も、批判をすると同時に私の考え方を提案するという、いわば提案型と攻撃型を半々にやっておりましたので、ややもすればあの小泉さんのごまかし答弁を二、三回聞けば、国民の皆さんには分かってもらえるかと、あるいは聞いておられるマスコミの皆さんも理解してもらえるだろうと思って、それから話を変えた場面もたくさんありましたけれども、今回は時間が許す限り、そういった問題についてきちっとした答弁があるまで答弁と求めていく。きちっとした答弁がない場合には、予算委員会の理事の皆さんの努力を待つことになる。

少なくとも、フセインが見つかっていないからフセインがいなかったことにはならないじゃないかという言葉で、イラク開戦の大量破壊兵器のことを見切ったなんてことが、もし許されるとすれば、日本の国会はどうなっているんだ、日本のメディアはどうなっているんだ、ということになりますから、そんな答弁が繰り返されるようであれば、その時には予算委員会において、そういう答弁では議論が続けられないということにもなりかねないわけでありますから、国民の皆さんが聞いて納得ができない詭弁であるとすれば、その場合にはそれなりの対応をお願いしたいと思っております。

■マニフェストが自身の踏み絵であることに気づいた小泉総理は逃げ出そうとしている

【代表】その問題だけではありませんけれども、そうした経済問題とイラク問題を一つの柱として、質疑をしたいと思っております。それにあわせて、予算委員会の問題であると同時に、昨日・今日の問題でもありますが、マニフェストについての小泉総理の発言、あるいは小泉総理に確認したとする山崎幹事長の発言が、かなり腰の引けた発言になってきております。

つまりは、踏み絵という言葉を使った、使わないという例の腹話術師、今回の場合はどうも自分がしゃべって山崎さんに否定させているので、逆の腹話術になっていますが、そういう言った、言わないという問題ももちろんありますが、それと同時に踏み絵と言ってみたけれども、それが自分自身に対する踏み絵になってくるということに小泉総理も気がついて、そしてそれから逃げ出そうとしているのではないかと思っております。

これは他の場面でも申し上げましたが、つまりは政権公約というのは、与党の場合でいえば与党と総理、つまりは自民党と総理は、一致した形で選挙に勝って、政権を維持できた場合にはこういう形で政権の公約としてやりますと国民に対する約束をすることですから、与党と総理が一致した約束ができなければいけない。

もっと分かりやすく言えば、いわゆる抵抗勢力と小泉総理が、いわば戦っているかの如くの形で、そこで人気を得ていた小泉総理にとっては、そうした一致したものが出せるか出せないか、そのものが踏み絵になってきているわけですから、そういう意味では、その踏み絵をみずから自分に課そうと、みずから蒔いた踏み絵でしたが、それからの逃げを図っているというのが、この1日、2日の小泉発言だと思っています。

私は先の党首討論でも申し上げたように、まさに本物の政権公約を私たちは必ず出しますから、総理も必ず選挙前に出して、国民の選択に供するということを改めて求めていきたいと思っております。

■道路公団の財務諸表の問題は、小泉総理自身がきちっとした姿勢をとるべき

【代表】道路公団の問題が、いろいろな形で議論されています。私も文芸春秋の記事も読みましたけれども、少なくとも道路公団の財務処理について、あの本の中で述べられていること、あるいはわが党の前原議員が新たに指摘した資料などを通して見てみると、藤井総裁が言っていることがとてもそのまま信用できるとは思えないわけでありまして、この問題については小泉総理自身が、いわばみずからの目玉としての公約にも関わる問題ですから、扇大臣のせいにしないで、みずからの責任においてきちっとした姿勢をとるべきだ。それができないような総理大臣には、国土交通大臣を任命したという責任も、そして国土交通大臣が藤井総裁をきちんと処分できないという問題も含めて、最終的には小泉総理の責任であるということは明らかでありますから、そのことを指摘していきたいと思います。


<質疑応答>

■当事国の了解がない戦地に自衛隊が行くことは、国会最終盤の最大の問題

【記者】今国会も残すところ、あと2週間ですけれども、最終盤の国会へ臨む姿勢、お考えをお聞かせ下さい。

【代表】私は実は最大の問題は、この国会がもし政府与党の考えどおりの結果で終わるとすれば、イラクに対する自衛隊の派遣ということにつながってくるわけです。しかしイラク情勢はまさに戦争状態が続いている。大規模か小規模は別として、戦闘状態が続いている戦地であります。その戦地に該当する国の了解もなく、イラク政府というのは存在していないわけですから、自衛隊が他国の領土に、いわばその当事国の了解もなく、戦地に足を入れるということが本当に許されるのかどうか、法律的な問題もいろいろありますけれども、私はそのことがこの国会のとくに最終盤における最大の問題だと思っております。

これは質疑の中でも議論をしていきたいと思いますが、戦闘行為というものを、国際的武力行使という形で、説明が法案の中でされておりますけれども、それでは現実にバグダッドの中で米軍の車両のロケットを打ちこまれて死者が出ている。その行為は戦闘行為でないというのか、あるというのか、とてもフィクションでは済まない現実が、私たちの前に突きつけられているわけでありまして、わが国の原則は、基本的には自衛隊はわが国を守るための存在であり、一つの例外として国際貢献のPKO、そういうところについては自衛隊を使うということでありますが、戦地に戦争を事実上共に戦うという形で自衛隊を出すか出さないか、このことが国会の最終盤における最大の課題であろうと思っております。

■祝日法:党の姿勢と矛盾を持ってみられないよう、政治的配慮で判断したと理解

【記者】祝日法の問題でお伺いしたいのですが、幹事長や政調会長は、スジの悪い法案だが賛成する意向を示されました。代表から見て、そのスジの悪さというのはどの辺にあるとお考えでしょうか。それから与党の法案に乗らないというのは分かるのですが、賛成した理由というのは何でしょうか。

【代表】これはなかなかいろいろな過去の経験を、私たちも持っています。例えば国旗・国歌法のときには、民主党は日の丸を国旗として法定化するということについては、賛成しただけではなくて、実はその単独法を提案しました。しかし結果としては、その単独法は与党によって否決されて、国旗と国歌の両方を法律で定めるという法案については、とくに国歌についてはいろいろな議論がありましたので、それを当時、いわゆる自主投票に任せるという形をとったわけですが、多分ここにおられる皆さんも、国旗については、わが党が独自法を出して賛成をした事実はほとんど記憶にない、多くの皆さんもそのことを残念ながら記憶をされておりません。

結果的には、国旗・国歌について意見がまとまらなかった、あるいは反対したというニュアンスで伝えられているわけです。今回の祝日法も、いろいろな論点があるわけですが、ある意味ではいったん「みどりの日」としておいたものをなぜ変えるのか、また新たにみどりの日を設けるのが、どこまで休日を増やすのかなど、いろいろな議論があるわけですが、あえて言えばそういったことと、例えば昭和の日ということについて、皇室を尊敬していくという基本的な党の姿勢とは矛盾をもって見られることにならないようにという政治的配慮から、政調会長のような判断になったというふうに私は理解しています。

■竹中大臣問責決議案:相手の罠にはまらず、十分に戦略性をもった判断だ

【記者】問責決議案についてお伺いします。他党などから、十分戦略がないなどとも言われていますが、このタイミングが最良だったのかどうかお伺いします。

【代表】こういう問題のタイミングというのは、常にそういう、もっと前が良かったとか、後が良かったとかいう議論が出る問題です。わが党の戦略が100%常に正しいという、唯我独尊なことを言うつもりはありませんけれども、少なくともわが党がこの国会でとってきた全体の流れを、私はしっかりした戦略に基づいて選択されてきている、そして相当程度の効果を挙げていると思っております。

例えば会期延長後の国会の中でも、いろいろな議論はありましたけれども、結果的にテロ特措法が切り離された中で、ある意味で与党が非常にそのことの対応を巡って混乱をしているわけでありまして、これなども、それは他のやり方をとれば、初めから与党のほうは両方を衆参通すことが、あるいは戦術的・戦略的にできる状況になったかもしれませんが、例えばそれを少なくとも今国会で処理をさせないという形の、ある意味での結果を生み出していることも、決して偶然でなっているわけではありません。

また竹中大臣に対する問責決議案も、気をつけなければ、わが党が抵抗勢力と同じ立場で竹中大臣を批判しているという誤解を、わざと小泉総理は広げることは大変得意でありますから、そういう罠にはまらない形でしっかりと、特にりそな問題、あるいは東京海上問題といったように逃げ道のない証拠を突きつけながら、その問題に加えて経済政策全体の失政をあわせて、この時点で出すというのは私は、少なくとも相手の罠にはまらないで、こちらの土俵で勝負をしているという意味で十分戦略性をもった判断だったと思っております。

これから会期末2週間になったわけですけれども、まだまだ大きな法案が参議院に残っているわけですし、不信任案という問題も、まだ課題として十分に生きているわけでして、そのことを考えたときに、それぞれがお互い自由な国の政党ですから、いろいろ批判し合うことは自由ですけれども、少なくとも私が理解する限り、民主党は民主党としてしっかりとした戦略の中で判断をし、そして相当程度の成果というか、プラスの結果を生み出していると思っています。

■小泉総理が国民に語っている詭弁は、マスコミも含めて国民的な検証が必要

【記者】ブレア首相が今週末来日をします。大量破壊兵器についてきちんと説明しているブレア政権の支持率が下がり、小泉総理は曖昧な説明のわりには支持率を保っている、そのあたりの原因について、どう分析されますか。

【代表】まさにそれが小泉流のマジックというか、小泉流のごまかし技術だと思っております。私も党首討論のときに、大量破壊兵器やフセイン政権の崩壊後2ヶ月以上経って、今後見つからない場合にどういう態度をとるのかということを、ごくオーソドックスな形で聞いたつもりでありますけれども、結局見つかると思うと言うだけで、見つからない場合の対応については何も言わない。

さらに他の党首の質問に対しては、先ほど申し上げたような、まさに詭弁そのもので押し通そうとしているわけです。ですからそのことはあえて言えば、小泉総理の天才的なごまかし技術とそれに対して野党の私たちが、その天才的なごまかし技術を完全には打ち破れない。

分かる人が聞けば、全部分かっているのですが、完全には打ち破られていない。あえて言えば、そのやりとりを見ている、あるいは報道しているマスコミの皆さんもおかしいと思いながら、そのおかしさについてきちっとした検証を、私はこれはマスコミの責任というのは、決して野党の責任を逃げるつもりで言っているのはなくて、小泉総理が国民に語っている言葉が、インチキなのかインチキではないのかということを、野党だけの検証ではなくて、国民的な検証が必要ですから、そういう意味では、小泉総理のインチキな言葉をきっちりと検証しきれていない、あるいは批判しきれていないマスコミも、私は責任のある部分を一緒に負っているのではないかと思っています。

アメリカやイギリスは、そうはいっても、もちろん事実関係をわざとねじ曲げたということもありますが、もう少し言葉を大事にする国ですから、その言葉一つ一つに対して、総理大臣あるいは大統領という立場で言ったことについては、きっちりと言葉そのものの意味からしてそれを検証していくということが、私は日本よりはもっともっと厳しいように感じますね。

■イラク特措法は参議院でも徹底的に議論をして、最大限の努力をする

【記者】二つ質問します。一つは、イラク新法が先週の最大の問題というお話でしたが、今日の竹中さんの問責決議案が終わって、イラク新法の参議院での成立がおそらく来週の末くらいになるかと思うのですが、あくまで反対なのか、まあしょうがないという感じなのかというのと、竹中大臣の問責決議案について出したが、衆議院では出ないという状況と聞いているが・・・。

【代表】中には、イラク特措法に対してわが党は修正案を出したから、そのために何か法案の成立についてはやむを得ないとも思っているんだと、誤解をされているところが一部にあるようであります。しかし、修正案の中身は皆さんもよくご存知のように、自衛隊をイラクに派遣すること、そのことすべてを外すという修正案、つまりは極めて抜本的な修正案でありまして、その修正案が結果的に通らないで政府案になった段階で、政府案をわが党としては反対という態度で衆議院も臨みました。

ですから参議院においても当然、現在の衆議院の政府案が通ることは好ましくない。反対だと、政府案は通らないということは、ある意味ではそれは採決の結果否決されることもあり、あるいは審議未了で廃案になることもあり、あるいは通らないというだけで言えば継続審議ということもあり、つまり法律を通ることについて、私たちは反対をしているわけでありますから、決して反対をしているということを変えているつもりはありませんし、やむを得ないとか何とかということについて、そういう結論を出しているつもりはありません。

ある意味では同じというか、つまりはその後のイラクの情勢の変化も踏まえて、徹底的な議論をした中で、最終的に法案の問題点をあぶり出す中で、この法案が通らないような最大限の努力はしていきたいと思っております。

竹中大臣に対して衆議院で不信任決議案を出すかどうかというのは、先ほどの戦略・戦術の問題でありまして、会期末が迫る中で、もちろん竹中大臣に対する不信任決議案を出した上に、場合によっては更に内閣不信任案を出すという選択もあります。しかしその場合には、竹中さんに対しては、二重の形で、いわば重なる部分もあるわけで、それなら内閣不信任案をもし出すとすれば、その中に含まれているというふうな考え方も当然あり得るわけでありまして、そこはまさに戦略・戦術の問題として、日程上の問題とあわせて考えているのが、いまの国会の状況だと理解しています。

■高速道路無料化は、党内でしっかり議論し、まとめる方向で議論中

【記者】高速道路無料化について、首相が無料化について無理だと言って、利用者からある程度料金をとらなければ問題があると言いましたが、代表はどうお考えでしょうか。

【代表】まずその議事録を読むときには、質問のところをまず読んでもらいたいと思います。桜井充参議院議員が、民営化をするということは、料金をとる、もっと言えば料金をとり続けることですね、と総理に聞いているんですね。それに対して総理は、ストレートには最後まで答えない。それは利用する人がある程度負担することが必要です、といった一般論にすり変えている。

問題は、総理が言っている民営化というのは、永久有料化であるということがまず一点、しっかり押さえられないと、その議論は成り立ちません。それからもう一つ、高速道路の料金を無料化することについて、総理が一方的にわが党の案を彼なりに理解して決めつけて批判をしていますが、法律を見てください。現在の道路公団の法律は、当初からある段階で、償還が終わったら無料化するという形の法律になっているんです。

それをズルズルと延ばしてきて、今日のような結果になってきているのです。無料化できないというのは、法律そのものを否定することになります。そういう意味でまずは、小泉総理の言っていること自体が、実は現在の法律の趣旨と反しているし、また民営化ということをみずから言いながら、そのことについて答えないで、わが党が、私が言ったことを彼流に勝手に解釈して言っている。その二点をまずきちっと押さえてもらわないと議論が公平ではありません。すり替えの名人がやることですからね。

その上であえて言えば、この間いろいろな機会に言っていますように、高速道路を無料化にした場合におけるメリット、あるいはいろいろな問題点、あるいは40兆円の償還財源を何に求めるか。当然40兆円の償還財源が何らかの形で求めなければできないのか、そういったことも含めて現在、わが党の『次の内閣』の中に設けられたこのプロジェクトにおいて、しっかりとそうしたものを議論してまとめる方向で議論しております。

もちろん私個人の考え方はいろいろありますけれども、最終的には党として一致した形で私はマニフェストをつくろうと思っていますから、小泉さんのように思いつきで、自分の考えだけでマニフェストをつくるというのではなくて、本物のマニフェストをつくろうと思っていますから、最終的な結論は、その議論の中で私も最後の場面では関わってそれを詰めていきますので、まずはそれを見てください。

私の意見はまたいろいろな機会に言っていますから、参考にしたければ、過去の私の発言を調べてください。

■埼玉出直し知事選:候補擁立は、地元の皆さんともよく相談して判断していく

【記者】埼玉県の土屋知事がお辞めになり、8月にも出直し選挙になりますが、代表はかねてより、地方選挙は衆議院選挙とは戦い方が違うんだとおっしゃっていましたが、今回どのように戦うつもりでしょうか。

【代表】一般的に、知事選と衆議院選挙は違うということを、従来言ったことはその通りですし、それはいまでもそう思っております。それは言うまでもないことですが、知事というのは、そこの県民、東京で言えば都民ですが、県民が直接誰を知事にするかというのを、候補者から選べるまさに大統領型の選挙であります。

それに対して国政は、総理大臣を誰にするかを直接選べるわけではなくて、ある意味では国会議員を選んで、それが多数派になったときに、その多数派の党から総理大臣が選ばれる形ですから、そういう点では政党が中心になるというのは当然であるし、またそのことが責任ある国政を担う、いわば構造だということになっていると思います。

そういう点で、ある場面では、知事選については地域の中、あるいはしかるべき人が手を上げたときに、県民にとって誰が一番望ましいのかという判断の中で応援をする、あるいは推薦をすることもあり得ます。必ずしも衆議院選挙・参議院選挙のように、全選挙区にわが党公認候補、基本的には出していくという、そういうことと同列に考えるということにはならない。

今度の埼玉の場合も同じだと思っています。ですから埼玉の中で、もちろんこういう人が県民にとってふさわしい、それが政党関係者の中の意見もあるかもしれません。そういうものが出てきた中で、地元の皆さんとも相談して判断していきたい。何が何でも本部で300小選挙区全部埋めるのと同じようなレベルで、何が何でも本部で候補者をつくっていくという発想では、少し違うということは、従来から言っているとおりであります。


編集/民主党役員室


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