2003年6月7日(土) 戻るホーム記者会見目次

菅代表 記者会見 要旨(盧武鉉韓国大統領との会談を受けて)

2003.6.7 18:25〜18:45 党本部5Fホール

同席:伊藤英成副代表・外務ネクスト大臣、岡田克也幹事長、枝野幸男政調会長、角田義一参議院議員会長、土肥隆一外務ネクスト副大臣、近藤昭一国際局長代理


(代表冒頭発言)

今日迎賓館で、午後5時半からの予定でしたが若干遅れて始まりまして、5時40分頃から6時15分頃まで、40分近くに渡って盧武鉉大統領と私たち民主党の7名がお会いいたしました。メンバーは、岡田幹事長、伊藤外務ネクスト大臣、枝野政調会長、角田参議院議員会長、近藤さん、土肥さんと私と、そういうメンバーでお会いをいたしました。

私や近藤さん、土肥さんは、2月10日にお目にかかっていますし、岡田幹事長、枝野さんは昨年5月に、候補者としての盧武鉉さんにお会いをしていますので、再会をお互いに喜んだと、そういうところから会談は始まりました。

お互いに紹介をし合った中で、大統領になられて約100日間、この間に特に北朝鮮の核開発の問題などで大変ご苦労されていると思いますが、大統領のお考えをこの段階でうかがいたいと、そういうお話をさせていただきました。

大統領から色々な話がありまして、私も全てをメモにできなかったのですが、全体としては、北との間では何としても平和的な形でこの問題を解決したいと、そういう趣旨のことを言われました。北の核に対しても、一つの交渉のカードとして使ってきているけれども、しかしそういうものに対しても、あまり過剰に軍事的な反発をするのではなくて、平和的な形で対応したいと。特に韓国は、ミサイルを待つまでもなく、大砲の射程距離に多くの国民が生きているということも指摘をされておりました。それだけ、戦争状態になったときの韓国の被害が避けられないという思いがあったのだと思います。それだけに話し合いによる平和的な解決を強く言われたところであります。それについては私たちも、私の方から、基本的な認識はそのとおりに思っているということも申し上げました。

同時に、有事法制がちょうどこの時期に通ったわけでありますが、大統領の方から、この問題は正式な形で何かを言うということはしていないけれども、だからといって韓国国民が全く問題を感じていないというわけではない、という趣旨の話が若干ありました。私の方からは、この法律についてはわが党も対案を出して、そして特に国民の人権、民主的な手続き、そういったところについて、しっかり修正をさせた上で賛成をした法案で、決して他の国に対して何かこう、武力的な行動をするための準備といったものではないし、またそういう視点でわれわれも取り組んでいるのだということを説明を申し上げました。

さらに拉致問題についても私の方から、両国首脳間の共同宣言に盛り込まれたということは良かったと思っている、ということを申し上げた上で、やはりわが国は北との間でこういう問題が従来起きているという、或いは起きそうだという認識をあまり強く持っていなかっただけに、この問題が事実として認識をされるようになってからの反発、驚き、怒りは大変大きいものがあるので、その問題が解決されないでは、将来の色々な経済的な問題についても話が進まないということも理解していただきたい、ということも申し上げました。盧武鉉大統領の方からも、その点については自分たちも理解をしている、こういった話がありました。

全体として色々なやり取りというよりも、盧武鉉大統領の方からの見方をお聞きする場面があったわけですけれども、大変有意義な会談ではなかったかなと思っております。また冒頭、全員の名前までちょっと私も記憶できませんでしたけれども、同席された、韓国大使や日韓の国会議員の交流の会議などで、特に伊藤英成ネクスト大臣などとの間で交流の深い方も何人かおられまして、そういう意味ではこれからのそういう交流についても、改めては触れませんでしたけれども、これまでもそういう交流を進めているんだということを伊藤英成さんの方からもお話がありまして、そういう関係を深めていこうという雰囲気をお互いに感じたところであります。

取りあえず私の方からは以上にさせていただきます。


(質疑応答)

Q:今日の会談の中で、共同宣言にある対抗措置についての話は出たのか。また対抗措置をとることで一致したことへの代表の所見は。

特に対抗措置については話題になりませんでした。盧武鉉大統領の全体の雰囲気は、どちらかと言えば軍事的な、或いは強硬な対抗措置というニュアンスよりも、何としても平和的に話し合いで、というニュアンスの方が全体としては強かったと思いますが、直接その対抗措置とか両首脳間の共同宣言についてのコメントはありませんでした。また私の方からも直接それに触れた質問はいたしませんでした。

両首脳のその問題については、従来、対話と圧力という小泉総理とブッシュ大統領の話の一つの延長上にある形なのかなと、理解はしております。そういう意味で、その意味するところがどういう意味内容なのかということは、必ずしもまだ、こうだからそれでいいんだとか、こうだから悪いんだというよりも、ふわっとした中身ではないかと受け止めております。

実は今日の盧武鉉大統領との会談でも、私の方からは、少なくとも国内については、例えば日本から多くのお金が北に流れていたとか、日本から色々な兵器開発に関わる物品が北に流れていたという証言が、アメリカで脱北者からされていると。そういうことについてわが国としても、北に対するお金の流れや物品の流れについては、従来よりは厳しい姿勢で臨むべきだと私たちも思っていると、そういう趣旨のことは申し上げました。ですから、そういうある程度日本国内の問題としてきちっとやらなければいけないことは、私たちもやらなければならないと思っております。その上で、しかし基本的には話し合いという形で、何とかこの北の問題を軟着陸させなければいけないというふうに思っておりますので、今の質問について、内容がふわっとしていますので、それに対する見解も今申し上げたところで、ふわっとお答えしておきたいと思います。


Q:代表が言った、金の流れ、物品の流れについての言及は。

特に答えというものはありませんでした。これはあくまで日本の国内の問題として私は申し上げたものですから、特に直接的なコメントはありませんでした。


Q:小泉総理の靖国神社参拝、麻生政調会長の創氏改名発言について話題になったか。

全く話題には出ませんでした。私の方からも特には取り上げませんでしたし、盧武鉉大統領からもそれに関わる発言は全くありませんでした。


Q:有事法制については、他に何か言及はあったか。

趣旨については今言ったようなところです。つまりは、盧武鉉大統領として、大統領という立場でこれについて正式にどうこうと言うことはしていませんと言いながら、やはり韓国国内では、そういうことを言っていないから一切問題がないというふうに受け止めているわけではないというような趣旨の、多少微妙な表現でしたが、そういうお話はありました。それと関連して、先ほど申し上げたように、私の方からもわが党としてこの法案について修正という形を勝ち取る、実現する中で賛成した、その理由についても説明を申し上げたところです。


Q:その説明に対する盧武鉉大統領の答えは。

直接、わが党のその姿勢に対するコメントはありませんでした。ただ全体として、北朝鮮の核問題などが色々取り沙汰されているこの時期に、こういう法案が成立したことについて、今申し上げたように、自分たちとして正式な形でどうこうと言うつもりはないけれども、国内に多少の懸念はあるというニュアンスの話はありましたが、わが党のことについて直接触れた部分はありませんでした。

最後に、出る所で私は、前回も盧武鉉大統領に会ったときに、10数年前ですか、盧武鉉大統領が琵琶湖の井上さんというヨットスクールに1週間くらい行かれたことがあるんですけれども、その話をちょっといたしました。その前に公使とも話をしておりましたが、或いは若干会うようなことになるかもしれないということを公使が言われておりましたが、正確なところは分かりませんが、私もその井上さんのヨットスクールの生徒でありますので、前回行ったときにはそのことを最初の話題にさせてもらった関係で、ちょっとその話をほんの一言触れておきました。


Q:この場を借りて聞くが、小泉総理と与党三幹事長が、イラク新法提出で合意したが。

一般的には私だけではないと思いますが、わが党はイラクの現状の中で、例えば人道的にお手伝いをするということを一切やるべきではないという立場ではなくて、そういうことが何かあるのか、今も調査団を出しているところです。ただ、いわゆる自衛隊を出すような法案については、本当にそういうものが必要なのか、可能なのか、どうなのか、この点については、きちっとした政府・与党の説明をうかがう中で判断をすべきものだと。ですから、現時点で内容もはっきりしない中で、内容についてのコメントはできない、そういう段階だと思っています。


Q:テロ特措法の延長も決めたが、それについては。

そういうことが従来から一部のマスコミなどで触れられていたことは知っていますが、実際にそういう方針に政府・与党がなったということは、私はまだ確かめておりません。今のお話を聞いても、そういうことになったのか確かめておりませんので、かなり性格が違う法律、性格が違う問題でもありますので、それについても、もちろん時限立法にテロ特措法はなっていますから、自然の流れで言えば、必要がなくなったものは時限ですから無くなるのが当然だと、それは現時点での立場です。


Q:イラクへの自衛隊派遣は、必要だと判断すればやぶさかではない、ということか。

あまり上に形容詞がたくさん付いてもそれに答えようがありませんが、つまりは今、最初に申し上げたのは、まずイラクの復興という問題で何が本当に望まれているのか、必要なのか、という問題が一方にあって、一方に日本としての色々な、憲法を含む色々な立場があるわけですから、あまり予断を与えるような形の返事をしない方が正確だと思います。

以 上


編集/民主党役員室


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